(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光分離部は、前記投影光学系の瞳面に配置され、前記照明光は前記瞳面の第1の部分を介して前記照明領域に向けて照射され、前記反射光は前記瞳面の前記第1の部分とは異なる第2の部分を介して前記感応基板に向けて投射されるように設けられた透過部と反射部で構成される、
請求項1に記載の露光装置。
所定の中心線から一定の半径の円筒状の外周面を有するマスクの前記外周面に形成されたマスクパターンからの反射光を所定の投影領域に投影する投影光学系と共に使われる照明光学装置であって、
光源からの光を入射して、前記外周面の一部に設定される照明領域に向かう照明光の源になる光源像を形成する第1の光学系と、
前記マスクの外周面の周方向に関しては、前記光源像の共役位置を前記マスクの外周面と前記中心線との間の中央の位置又はその近傍の位置に設定する第2の光学系と、
前記マスクの前記照明領域に照射される前記照明光の広がり角(NA)を、前記中心線に沿った方向よりも前記外周面の周方向で大きくするように、前記光源像の分布を前記中心線に沿った方向と前記周方向とで異ならせる光学部材と、
を備えた照明光学装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のデバイス製造システムSYS(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)の一例による構成を示す図である。ここでは、供給ロールFR1から引き出された可撓性の基板P(シート、フィルム等)が、順次、n台の処理装置U1,U2,U3,U4,U5,・・・Unを経て、回収ロールFR2に巻き上げられるまでの例を示している。
【0020】
以下の説明において、XYZ直交座標系は、基板Pの表面(または裏面)がXZ面と垂直となるように設定され、基板Pの搬送方向(長尺方向)と直交する幅方向がY軸方向に設定されるものとする。以下の説明において、X軸方向の周りの回転方向をθX軸方向とし、同様に、Y軸方向、Z軸方向の周りの回転方向をそれぞれθY軸方向、θZ軸方向とする。
【0021】
供給ロールFR1に巻かれている基板Pは、ニップされた駆動ローラDR1によって引き出されて処理装置U1に搬送される。基板PのY軸方向(幅方向)の中心は、エッジポジションコントローラEPC1によって、目標位置に対して±十数μmから数十μm程度の範囲に収まるようにサーボ制御される。
【0022】
処理装置U1は、印刷方式で基板Pの表面に感光性機能液(フォトレジスト、感光性カップリング材、感光性メッキ還元剤、UV硬化樹脂液等)を、基板Pの搬送方向(長尺方向)に関して連続的または選択的に塗布する塗布装置である。処理装置U1内には、基板Pが巻き付けられる圧胴ローラDR2、この圧胴ローラDR2上で、基板Pの表面に感光性機能液(感応性機能液)を一様に、或いは部分的に塗布するための塗布用ローラ等を含む塗布装置Gp1、基板Pに塗布された感光性機能液に含まれる溶剤または水分を急速に除去するための乾燥装置Gp2等が設けられている。
【0023】
処理装置U2は、処理装置U1から搬送されてきた基板Pを所定温度(例えば、数十℃から120℃程度)まで加熱して、表面に塗布された感光性機能層(感応性機能層)を安定に定着するための加熱装置である。処理装置U2内には、基板Pを折返し搬送するための複数のローラとエア・ターン・バー、搬入されてきた基板Pを加熱するための加熱チャンバー部HA1、加熱された基板Pの温度を、後工程(処理装置U3、基板処理装置)の環境温度と揃うように下げるための冷却チャンバー部HA2、ニップされた駆動ローラDR3等が設けられている。
【0024】
処理装置U3(基板処理装置)は、露光装置を含み、処理装置U2から搬送されてきた基板Pの感光性機能層(感応性機能層)に対して、ディスプレー用の回路パターンや配線パターンに対応した紫外線のパターニング光を照射する。処理装置U3内には、基板PのY軸方向(幅方向)の中心を一定位置に制御するエッジポジションコントローラEPC2、ニップされた駆動ローラDR4、パターニング光が基板Pの照射される位置において基板Pを支持する基板支持ロールDR5(基板支持部材)、及び、基板Pに所定のたるみ(あそび)DLを与えるための2組の駆動ローラDR6、DR7等が設けられている。
【0025】
処理装置U3には、円筒状の外周面に反射型のマスクパターンMが形成されて、Y軸方向と平行な中心線の回りに回転するドラムマスクDMと、ドラムマスクDMのマスクパターンMにY軸方向に延びたスリット状の露光用照明光を照射する照明ユニットIUと、基板支持ロールDR5に支持される基板Pの一部分に、ドラムマスクDMのマスクパターンMの周方向の一部分の像を投影する投影光学系PLと、及び投影されるパターンの一部分の像と基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)するために、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AMと、が設けられている。
【0026】
処理装置U4は、処理装置U3から搬送されてきた基板Pの感光性機能層に対して、湿式による現像処理、無電解メッキ処理等のような各種の湿式処理の少なくとも1つを行なうウェット処理装置である。処理装置U4内には、Z軸方向に階層化された3つの処理槽BT1、BT2、BT3と、基板Pを折り曲げて搬送する複数のローラと、ニップされた駆動ローラDR8等が設けられている。
【0027】
処理装置U5は、処理装置U4から搬送されてきた基板Pを暖めて、湿式プロセスで湿った基板Pの水分含有量を所定値に調整する加熱乾燥装置であるが、詳細は省略する。その後、幾つかの処理装置を経て、一連のプロセスの最後の処理装置Unを通った基板Pは、ニップされた駆動ローラDR9を介して回収ロールFR2に巻き上げられる。その巻上げの際も、基板PのY軸方向(幅方向)の中心、あるいはY軸方向の基板端が、Y軸方向にばらつかないように、エッジポジションコントローラEPC3によって、駆動ローラDR9と回収ロールFR2のY軸方向の相対位置が逐次補正制御される。
【0028】
上位制御装置CONTは、製造ラインを構成する各処理装置U1からUnの運転を統括制御するものである。上位制御装置CONTは、各処理装置U1からUnにおける処理状況や処理状態の監視、処理装置間での基板Pの搬送状態のモニター、事前・事後の検査・計測の結果に基づくフィードバック補正やフィードフォワード補正等も行なう。
【0029】
本実施形態で使用される基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等のフレキシブルな基板である。樹脂フィルムの材質は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂のうち1または2以上を含む。
【0030】
基板Pは、各種の処理工程において受ける熱による変形量が実質的に無視できるように、熱膨張係数が顕著に大きくないものを選定することが望ましい。熱膨張係数は、例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって、プロセス温度等に応じた閾値よりも小さく設定されていてもよい。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素等でもよい。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。また、基板Pは、予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、あるいは、表面に精密パターニングのための微細な隔壁構造(凹凸構造)をインプリント法により形成したものでもよい。
【0031】
本実施形態のデバイス製造システムSYSは、デバイス(ディスプレーパネル等)製造のための各種の処理を、基板Pに対して繰り返し、あるいは連続して実行する。各種の処理が施された基板Pは、デバイスごとに分割(ダイシング)されて、複数個のデバイスになる。基板Pの寸法は、例えば、幅方向(短尺となるY軸方向)の寸法が10cmから2m程度であり、長さ方向(長尺となるX軸方向)の寸法が10m以上である。基板Pの幅方向(短尺となるY軸方向)の寸法は、10cm以下であってもよいし、2m以上であってもよい。基板Pの長さ方向(長尺となるX軸方向)の寸法は、10m以下であってもよい。
【0032】
次に、処理装置U3(露光装置EX、基板処理装置)による露光の原理を説明する。
図2は、露光装置EXの光学系の概略構成を説明するための模式図である。
図3は、照明領域IRに入射する光束及び照明領域IRから出射する光束の状態を示す説明図である。
【0033】
図2に示す露光装置EXは、ドラムマスクDM、照明光学系IL、投影光学系PL、光分離部10、及び偏向部材11を備える。ドラムマスクDMは、円筒面状の外周面(以下、円筒面12という)を有し、反射型のマスクパターンMを円筒面12に沿うように湾曲させて形成してある。円筒面12は、所定の中心線の回りに所定半径で湾曲した面のことであり、例えば、円柱又は円筒の外周面の少なくとも一部である。ドラムマスクDMは、回転中心軸AX1(中心線)の周りで回転可能である。
【0034】
照明光学系ILは、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンM上の照明領域IRを、投影光学系PLの一部を介して照明光L1で落射照明する。照明光学系ILは、照明光L1の源になる光源像L0を形成する第1光学系13と、投影光学系PLの一部を兼ねた第2光学系14(その光軸を14aとする)とを含む。光源像L0からの照明光L1は、投影光学系PLの瞳面に配置される凹面鏡の母材となる硝材で構成される光分離部10の通過部15を通って第2光学系14に入射し、第2光学系14を通って偏向部材11の上側の反射平面で偏向された後に、照明領域IRに照射される。投影光学系PLは、光分離部10と、光分離部10と照明領域IRとの間の光路に配置された第2光学系(光学系)14とを含む。
【0035】
詳細は後述するが、光分離部10は、
図2中で光軸14aから上半分が通過部(透過部)15であり、そこに光源像L0(例えば、フライアイレンズで作られる多数の点光源像の集まり)が形成される。または、
図2中で、光分離部10の光軸14aから下半分は、凹面状の反射部16となっている。
【0036】
投影光学系PL(第2光学系14を含む)は、照明領域IRで発生した反射光束を基板Pに向けて投射することで、照明領域IR内に現れるマスクパターンMの一部の像を基板Pに投影する。以下の説明において、照明光L1の照射により、マスクパターンMから発生して基板に投射される光束を、適宜、結像光束L2という。
【0037】
照明領域IRで発生した結像光束L2は、偏向部材11の上側の反射平面で偏向されて第2光学系14に入射し、第2光学系14を通って光分離部10の反射部16で反射した後に、第2光学系14を再度通って偏向部材11の下側の反射平面に達する。偏向部材11の下側の反射平面で反射した結像光束L2は、照明領域IRと共役な位置で、照明領域IR内に現れるマスクパターンMの一部に対応した中間像Imを形成する。この中間像Imは、その後に配置される投影光学系(
図4に符号PL2で示す)によって、基板P上に再結像される。
【0038】
ところで、
図3に示すように照明領域IRが円筒面状に湾曲しているので、照明光L1の主光線L1aの照明領域IRに対する入射角は、円筒面12の周方向における主光線L1aの入射位置に応じて異ならせるようにする。これは、照明領域IRから発生する結像光束L2の各主光線L2aを、回転中心軸AX1と垂直な面内では互いに平行にするためである。
【0039】
本実施形態において、照明光学系ILは、結像光束L2の各主光線L2aが互いに平行に近い状態(テレセントリックな状態)となるように、回転中心軸AX1と垂直な面内で主光線L1aを非平行にした照明光L1を、照明領域IRに照射するように構成されている。すなわち、照明光学系ILは、結像光束L2の投影光学系PLへの入射側をテレセントリックな状態にすべく、照明領域IRに入射する照明光L1が非テレセントリックな状態に構成されている。
【0040】
このような照明状態にする為に、照明光L1の各主光線L1aは、円筒面12と回転中心軸AX1との中間位置(円筒面12の半径の1/2の位置付近)で収斂するように設定される。従って、その中間位置は、照明光学系ILの瞳面(
図2の光分離部10の通過部15)と共役な位置になっている。
【0041】
また、回転中心軸AX1と垂直な面内における結像光束L2の各主光線L2aの進行方向は、例えば、各主光線L2aの照明領域IR上の発生位置と回転中心軸AX1とを結ぶ線(径方向)に対して傾くように設定される。これは、
図2に示すように、照明光L1と結像光束L2とを、光分離部10の位置で、光軸14aを挟んで上下に分離させる必要があるからである。そのため、
図2に示したように、回転中心軸AX1と垂直な面内における結像光束L2の各主光線L2aの進行方向は、第2光学系14の光軸14aと垂直な面(紙面と垂直)に対して、この面(紙面)内で一定角度だけ傾いたものとなる。
【0042】
次に、処理装置U3(露光装置EX)の構成についてより詳しく説明する。
図4は、露光装置EXの構成を示す図である。露光装置EXは、マスクパターンMを保持して回転中心軸AX1の周りで回転可能なドラムマスクDM(マスク保持部材)と、基板Pを支持して回転中心軸AX2の周りで回転可能な回転ドラムDP(基板支持部材)とを備える。照明光学系ILは、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンM上の照明領域IRを、ケーラー照明により均一な明るさで照明する。
【0043】
投影光学系PLは、照明領域IRから発生する結像光束L2を、回転ドラムDPに支持された基板P上の投影領域PRに向けて投射することにより、マスクパターンMの一部分(照明領域IR内)の像を基板Pに結像する。
【0044】
図4に示す投影光学系PLは、照明領域IR内のマスクパターンMの中間像Imを形成する第1投影光学系PL1と、その中間像Imを基板Pに投影する第2投影光学系PL2とを備える。
図4に示す第1投影光学系PL1と第2投影光学系PL2は、例えば、円形イメージフィールドをプリズムミラー(偏向部材11、35)の上下の反射平面で分割したハーフ・イメージフィールドタイプの反射屈性型投影光学系としてテレセントリックに構成される。
【0045】
露光装置EXは、いわゆる走査露光装置であり、ドラムマスクDMと回転ドラムDPとを所定の回転速度比で同期回転させることによって、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンMの像が、回転ドラムDPに支持された基板Pの表面(円筒面に沿って湾曲した面)に連続的に繰り返し投影露光される。
【0046】
ドラムマスクDMは、円柱状又は円筒状の部材であり、その外周面(円筒面12)に沿って反射型のマスクパターンMが形成されていれば良い。
【0047】
マスクパターンMは、例えば、100μm程度の厚さの可撓性のガラスシートに蒸着された高反射性の金属被膜をパターニングしたシート状マスクとして作成され、それをドラムマスクDMの外周面に巻き付けて、ドラムマスクDMに対して交換可能に取り付けられる構成でも良い。
【0048】
回転ドラムDP(
図1の基板支持ロールDR5)は、円柱状又は円筒状の部材であり、その外周面が円筒面状である。基板Pは、例えば、回転ドラムDPの外周面の一部に巻きつけられることで、回転ドラムDPに支持される。マスクパターンMの像が投影される投影領域PRは、回転ドラムDPの外周面の近傍に配置される。
【0049】
基板Pは、複数の搬送ローラに懸架されることで支持されていてもよく、この場合に投影領域PRが複数の搬送ローラの間に配置されていてもよい。
【0050】
露光装置EXは、例えば、ドラムマスクDM及び回転ドラムDPをそれぞれ回転駆動するための駆動部と、ドラムマスクDM及び回転ドラムDPのそれぞれの位置を検出する検出部と、ドラムマスクDM及び回転ドラムDPのそれぞれの位置を調整するための移動部と、露光装置EXの各部を制御する制御部とを備える。
【0051】
露光装置EXの制御部は、検出部の検出結果に基づいて駆動部を制御することで、ドラムマスクDMと回転ドラムDPとを所定の回転速度比で同期回転させる。また、この制御部は、検出部の検出結果に基づいて移動部を制御することで、ドラムマスクDMと回転ドラムDPの相対位置を調整する。
【0052】
図1に示した照明ユニットIUは、
図4に示す光源20、及び照明光学系ILの第1光学系13を含む。照明光学系ILの第1光学系13は、光源20から発せられた光により照明光L1の源になる光源像L0を形成し、また照明光L1の光強度分布を均一にする。
【0053】
光源20は、例えば水銀ランプ等のランプ光源、またはレーザーダイオード、発光ダイオード(LED)等の固体光源を含む。光源20から発せられる照明光L1は、例えば、輝線(g線、h線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等である。
【0054】
図5は、
図4にも示した光源20から照明光学系ILの第2絞り部材26までの構成を示す図である。
図5に示す第1光学系13は、インプットレンズ21、フライアイレンズ22、第1絞り部材23、リレーレンズ24、シリンドリカルレンズ25、及び第2絞り部材26を備える。
【0055】
インプットレンズ21は、光源20から発せられた照明光L1が入射する位置に配置されている。インプットレンズ21は、照明光L1をフライアイレンズ22の入射端面22aに収まるように集光する。フライアイレンズ22は、インプットレンズ21の光軸に直交する面に二次元的に配列された複数のレンズ要素22bを有する。
【0056】
フライアイレンズ22は、インプットレンズ21から出射した照明光L1をレンズ要素22bごとに空間的に分割する。フライアイレンズ22から光が出射する出射端面22cには、レンズ要素22bごとに一次光源像(収斂した点光源等)が形成される。この一次光源像が形成される面は、
図4中の第1投影光学系PL1の瞳面(照明光学系ILの瞳面でもある)の近傍の光分離部10、および、後に説明する共役面40(第1共役面、
図10等に示す)と光学的に共役である。
【0057】
第1絞り部材23は、いわゆる開口絞り(照明σ絞り)であり、フライアイレンズ22の出射端面22cまたはその近傍に配置される。
【0058】
図6は、照明光学系ILの第1絞り部材23の構成を示す図である。
図6に示すように、第1絞り部材23は、フライアイレンズ22からの照明光L1の少なくとも一部が通る長円状又は楕円形状の開口23aを有する。
【0059】
図5、
図6において、第1絞り部材23は、リレーレンズ24の光軸と直交した面(XY面と平行)に配置される。また、開口23aは第1方向(X軸方向)の内寸(寸法)D1が、回転中心軸AX1に平行な方向に対応した第2方向(Y軸方向)の内寸(寸法)D2よりも小さい。内寸(寸法)D1の第1方向は、
図2又は
図4中のドラムマスクDM上の照明領域IR内では、円筒面12の周方向と一致する。
【0060】
第1方向は、円筒面12上の周方向に射影される方向であり、第2方向は、円筒面12の回転中心軸AX1に平行な方向に射影される方向である。すなわち、第1絞り部材23は、円筒面12の周方向における照明光L1の広がり角(NA)を、円筒面12の回転中心軸AX1に平行な方向における照明光L1の広がり角(NA)よりも小さくするように、設けられている。
【0061】
図7A及び
図7Bは、
図4および
図5に示した照明光学系ILの第1絞り部材23から光分離部10までの具体的な光学系(レンズ配置)の一例を示す図である。
図7Aには、回転中心軸AX1に直交する面における平面図が示されている。
図7Bには、回転中心軸AX1に平行な面における平面図が示されている。
【0062】
図7Aに示すように、第1絞り部材23の開口23aは、第1光学系13のZ軸と平行な光軸13aに対して一方側(+X軸側)に偏らせて配置されている。また、
図7Bに示すように、第1絞り部材23の開口23aは、Y軸方向において第1光学系13の光軸13aに関して対称的に配置されている。すなわち、第1絞り部材23は、X軸方向から見て開口23aの中心を第1光学系13の光軸13aが通るように、配置されている。
【0063】
リレーレンズ24は、第1絞り部材23を通った光が入射する位置に配置されている。リレーレンズ24は、フライアイレンズ22に形成された複数の一次光源像からの光束を重畳するように、設けられている。フライアイレンズ22の射出側に形成された複数の一次光源像からの光は、重畳される位置で光強度分布が均一化される。
【0064】
シリンドリカルレンズ25は、フライアイレンズ22において一次光源像が形成される位置から第2絞り部材26に至る光路に配置されている。
【0065】
先の
図4、
図5中のシリンドリカルレンズ25と同様に、
図7A、
図7B中のシリンドリカルレンズ25は、XZ面内でのパワー(屈折力)が、回転中心軸AX1と平行するYZ面内でのパワー(屈折力)よりも大きい光学部材である。シリンドリカルレンズ25のパワー(屈折力)が大きい方向は、
図2又は
図4中のドラムマスクDM上の照明領域IR内では、円筒面12の周方向と一致する。
【0066】
第2絞り部材26は、いわゆる視野絞りであり、照明領域IRの位置及び形状を規定する。第2絞り部材26は、照明領域IRと共役な位置またはその近傍に配置されている。フライアイレンズ22に形成された複数の一次光源像からの光は、リレーレンズ24及びシリンドリカルレンズ25によって第2絞り部材26の位置に重畳され、第2絞り部材26における光強度分布が均一化される。すなわち、インプットレンズ21、フライアイレンズ22、リレーレンズ24、及びシリンドリカルレンズ25は、照明光L1の光強度分布を均一化する均一化光学系19を構成している。
【0067】
なお、照明光学系ILは、一次光源像から第2絞り部材26に至る光路の少なくとも一部に配置され、一次光源像を源とする照明光L1の光強度分布を第2絞り部材26の位置又はその近傍において均一にする均一化光学系19を含む。また、照明光学系ILは、第2絞り部材26を備えていなくてもよい。また、均一化光学系19は、フライアイレンズ22の代わりにロッドレンズを用いて構成することもできる。この場合に、照明光学系ILの構成は、ロッドレンズにおいて光が出射する出射端面が照明領域IRと光学的に共役になるように、適宜変更される。
【0068】
図7Aおよび
図7Bに示すように、第1光学系13は、第2絞り部材26と光分離部10との間の光路に配置されたレンズ群27を備える。レンズ群27は、例えば、第1光学系13の光軸13aを回転中心とする軸対称な複数のレンズで構成される。
図7Bに示すように、レンズ群27は、X軸方向から見たときに第1絞り部材23と光学的に共役な瞳面28(第2共役面)を形成する。瞳面28上には、
図2(又は
図4)に示したように、照明領域IRに照射される照明光L1の源になる光源像L0(二次光源像)が形成される。
【0069】
投影光学系PLの瞳面28に形成される二次光源像L0は、
図2(又は
図4)や
図7A、
図7Bにおいて、X軸方向の寸法が、回転中心軸(中心線)AX1と平行なY軸方向の寸法よりも大きくなるように設定される。二次光源像L0の寸法が大きくなるX軸方向は、
図2又は
図4中のドラムマスクDM上の照明領域IR内では、円筒面12の周方向と一致する。
【0070】
また、
図7A、
図7Bにおいて、第2共役面(瞳面28)に形成される二次光源像L0の分布範囲は、回転中心軸(中心線)AX1と平行なY軸方向の寸法が、X軸方向の寸法よりも小さくなるように設定されている。二次光源像L0の分布範囲の寸法が相対的に大きくなるX軸方向は、
図2又は
図4中のドラムマスクDM上の照明領域IR内では、円筒面12の周方向と一致している。
【0071】
ところで、レンズ群27は、第1絞り部材23に形成された一次光源像からの光束のうち、Y軸方向に広がる成分を瞳面28上に収斂するように、構成されている。ここで、シリンドリカルレンズ25のパワーがX軸方向とY軸方向とで異なっていることから、一次光源像(第1絞り部材23の開口)の各点からX軸方向に広がる成分は、
図7Aに示すように瞳面28上の1点には収斂しない。換言すると、瞳面28は、Y軸方向から見たときに第1絞り部材23と光学的に共役でない関係になる。
【0072】
光分離部10は、その少なくとも一部が瞳面28に配置されるように、瞳面28の位置またはその近傍に配置される。ここで、瞳面28の位置又はその近傍は、照明領域IRに対してほぼフーリエ変換面に相当する面である。そのため、光分離部10のうち照明光L1が通過する範囲(
図2中の通過部15)を規定することによって、ドラムマスクDM上の照明領域IRに入射する照明光L1の主光線L1aの向き(配向特性)を規定することができる。光分離部10(規定部)は、
図3を用いて説明したように、結像光束L2の投影光学系PLへの入射側をテレセントリックにすべく、照明光L1の照明領域IRへの入射側が非テレセントリックになるように、光分離部10における照明光L1の通過範囲(分布範囲)を規定する。光分離部10は、照明領域IRを落射照明する為に、投影光学系PLの光路内に配置されている。
【0073】
図8は、照明光学系ILの光分離部10から投影光学系PLの中間像面32(Im)までの構成を示す図である。
図9は、本実施形態による光分離部10を示す平面図である。
【0074】
図8に示す光分離部10は、光が透過する材質のレンズ部材30と、レンズ部材30の表面に形成された反射膜31(
図2中の反射部16に相当)とを含む。レンズ部材30は、例えばメニスカスレンズのような形状であり、第1光学系13から照明光L1が入射してくる面30a側が凸面であり、面30aの反対を向く面30b側が凹面である。反射膜31は、レンズ部材30の面30bに設けられている。
【0075】
図9に示すように、光分離部10は、第1光学系13からの照明光L1の少なくとも一部が通過する通過部15と、マスクパターンM上の照明領域IRで発生した結像光束L2(
図2参照)が反射する反射部16とを備える。光分離部10において、反射膜31は、レンズ部材30の面30bの一部を除いて形成されており、通過部15は、光分離部10のうちZ軸方向から見て反射膜31が形成されていない領域に配置されている。
【0076】
通過部15は、第1光学系13の光軸13aと面30bとの交点13bに関して、−X軸側に配置されている。通過部15は、面30bのうち交点13bと重ならない領域に配置されている。通過部15(光通過窓)は、
図8において、X軸方向を長手方向とし、ドラムマスクDMの回転中心軸AX1と平行なY軸方向を短手方向とする長円状に形成されている。従って、長円状の通過部15の長手方向は、
図2(又は
図4)や
図8中のドラムマスクDM上の照明領域IR内では、円筒面12の周方向に対応している。
【0077】
光分離部10のうち、Z軸方向から見て反射膜31が形成されている領域は、結像光束L2が反射する反射部16に利用されるとともに、通過部15を介して照明領域IRに向かう照明光L1の通過範囲を規定する規定部としても利用される。換言すると、反射膜31は、照明光L1が光分離部10のうち通過部15以外の領域を通過しないように、設けられている。また、反射膜31は、結像光束L2を反射させるように、少なくとも、光分離部10のうち交点13bに関して概ね通過部15と対称的な位置に存在する領域を含むように配置される。
【0078】
図8の説明に戻り、第2光学系14は、光分離部10の通過部15を通過した照明光L1が入射する位置に配置されている。第2光学系14は、照明領域IRが第1絞り部材23と光学的に共役になるように、照明光L1を集光する。すなわち、第2光学系14及び、
図7A及び
図7Bに示したレンズ群27は、第2絞り部材26と光学的に共役な面を照明領域IRに形成する。
【0079】
第2光学系14は、例えば、所定の中心軸(光軸14a)の周りで軸対称な複数のレンズにより構成される。第2光学系14の光軸14aは、例えば、第1光学系13の光軸13aと同軸に設定される。第2光学系14に入射した照明光L1は、第2光学系14の光軸14aを含む面(YZ面)に対して一方側を通って、第2光学系14から出射する。
【0080】
偏向部材11は、第2光学系14から出射した照明光L1が入射する位置に配置されている。偏向部材11は、例えば、三角プリズム状の部材であり、互いに直交する第1反射面11a及び第2反射面11bを有する。第1反射面11a及び第2反射面11bは、例えば、それぞれ第2光学系14の光軸14aとほぼ45°の角度をなすように配置される。
【0081】
第2光学系14から出射した照明光L1は、第1反射面11aで反射して偏向され、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンM上の照明領域IRに入射する。この照明光L1は、マスクパターンMで反射回折することによって、結像光束L2を発生させる。照明領域IRに入射する照明光L1、及び照明領域IRから出射する結像光束L2については、後に
図9〜
図14を参照して詳しく説明する。
【0082】
照明領域IRから出射した結像光束L2は、偏向部材11の第1反射面11aに入射する。結像光束L2は、第1反射面11aで反射することで偏向され、第2光学系14に入射する。第2光学系14に入射した結像光束L2は、先の
図2、
図3で説明したように、照明領域IRに向かう照明光L1とは別の光路を通る。第2光学系14における結像光束L2の光路は、第2光学系14の光軸14aを含む面(YZ面)に対して、照明光L1の光路と概ね反対側(+X軸側)に配置される。
【0083】
第2光学系14を通った結像光束L2は、光分離部10に入射する。
図9に示すように、光分離部10において結像光束L2が入射する範囲R1は、照明光L1が第1光学系13から光分離部10に入射する範囲R2(通過部15)と重複しないように、設定される。結像光束L2が入射する範囲R1は、例えば、YZ面に関して通過部15と反対側に設定され、光分離部10の反射部16になっている。反射部16は、瞳面28又はその近傍に配置されており、また、
図3に示したように照明領域IRの各点から出射した主光線L2aは、互いにほぼ平行な関係であるので、照明領域IRの各点で発生した光束は、範囲R2でスポットが重ねあわされるように、反射部16に入射する。
【0084】
図8に示すように、反射部16に入射した結像光束L2は、反射部16で反射して第2光学系14に再度入射する。第2光学系14を通った結像光束L2は、偏向部材11の第2反射面11bに入射し、第2反射面11bで反射して偏向される。第2反射面11bで反射した結像光束L2の主光線の進行方向は、照明領域IRから出射するときの主光線の進行方向と概ね平行な方向であり、第2光学系14の光軸14aに対して非垂直に交差する方向である。
【0085】
結像光束L2のうち照明領域IRの各点から出射した光束は、第2光学系14を2回通ることによって、照明領域IRと光学的に共役な中間像面32上のほぼ1点に収斂する。このようにして、投影光学系PLのうち
図4に示した第1投影光学系PL1は、マスクパターンMの一部(照明領域IR)の中間像を、中間像面32(Im)に形成する。中間像面32は、投影領域PRとも光学的に共役な面であり、投影領域PRの位置および形状を規定するための視野絞り(第3絞り部材)が配置されることがある。
【0086】
図4に示した第2投影光学系PL2は、例えば、第1投影光学系PL1の光路における光分離部10の代わりに、光分離部10と光学的に共役な位置に凹面鏡33を配置することで構成される。すなわち、第2投影光学系PL2は、第1投影光学系PL1の第2光学系14と同様の第3光学系34を含む。中間像面32を通った結像光束L2は、偏向部材35の第1反射面35aで反射して偏向され、第3光学系34を通って凹面鏡33に入射する。凹面鏡33に入射した結像光束L2は、凹面鏡33で反射して第3光学系34を再度通った後に、偏向部材35の第2反射面35bで反射して偏向され、回転ドラムDPに支持された基板P上の投影領域PRに入射する。結像光束L2のうち中間像面32の各点から出射した光束は、第3光学系34を2回通ることによって、中間像面32と光学的に共役な投影領域PR内の対応する各点に収斂する。このようにして、第2投影光学系PL2は、第1投影光学系PL1によって形成された中間像Imを投影領域PRに投影する。
【0087】
次に、照明領域IRに入射する際の照明光L1と照明領域IRから出射する結像光束L2の状態についてより詳しく説明する。
【0088】
図10は、照明領域IRに入射する光束(照明光L1)、及び照明領域IRから出射する結像光束L2をドラムマスクDMの回転中心軸AX1の方向(Y軸と垂直なXZ面内)から見た側面図である。
図11は、照明領域IRから出射する結像光束L2を、
図10とは直交する方向(Z軸方向)から見た上面図である。
【0089】
図10(
図3参照)に示すように、照明光L1の主光線L1aは、ドラムマスクDMの回転中心軸AX1の方向(Y軸方向)から見たときに、回転中心軸AX1と円筒面12の間に一次光源像(第1絞り部材23)と共役な共役面40(二次光源像が形成される第1投影光学系PL1の瞳面28とも共役)が形成されているように、照明領域IRに入射する。共役面40(第1共役面)は、例えば、回転中心軸AX1と照明領域IRとの中央の位置又はその近傍に配置される。すなわち、光分離部10の通過部15と反射部16の位置関係は、マスクパターンMの半径をrとしたときに、回転中心軸AX1から共役面40までの距離D3が半径rの約半分になるように、設定される。
【0090】
ここでは、照明光L1の主光線L1aの延長線41は、ドラムマスクDMの回転中心軸AX1に直交する断面において、共役面40上で交わるように配置される。このような主光線L1aの延長線41の交点142は、ドラムマスクDMの回転中心軸AX1と平行な線上に連続的に並んで配置される。すなわち、光分離部10の通過部15と反射部16の位置関係は、照明光L1のうち円筒面12の周方向に分布する主光線L1aの延長線41が回転中心軸AX1と平行な共役面40上の線と交わるように、設定される。すなわち、照明光学系ILは、光源20から発生した照明光L1を、光分離部10を介して照明領域IRに照射すると共に、照明光L1の主光線L1aを、回転中心軸AX1と円筒面12との間の所定位置に向かうように、円筒面12の周方向に関して傾ける。
【0091】
また、照明光L1のうちドラムマスクDMの回転中心軸AX1と平行な方向に分布する主光線L1aは、互いにほぼ平行な関係で照明領域IRに入射する。そして、
図11に示すように、結像光束L2の主光線L2aは、ドラムマスクDMの回転中心軸AX1と直交する方向(Z軸方向)から見たときに、互いにほぼ平行な関係で照明領域IRから出射する。ここでは、照明光L1の主光線L1aは、Z軸方向から見てドラムマスクDMの円筒面12のほぼ法線方向(X軸方向)から照明領域IRに入射し、結像光束L2の主光線L2aは、Z軸方向から見てドラムマスクDMの円筒面12のほぼ法線方向(X軸方向)に向って照明領域IRから出射する。
【0092】
次に、
図9、
図12、及び
図13を参照しつつ、光源像と共役な面における瞳の形状について説明する。
図12は、瞳の説明で参照する照明領域IRの代表位置を示す図である。
図13は、光源像と共役な共役面40におけるスポットを示す図である。ここでは、説明の便宜上、照明領域IRの各点を経由する光束(照明光L1及び結像光束L2)は、光源像と共役な面(瞳面28及び共役面40)においてスポット形状が円であるものとする。
【0093】
図12において、符号P1〜P9は、X軸方向から平面視した照明領域IR上の点を示す。点P1、点P2、及び点P3は、
図10等に示した円筒面12の周方向に並ぶ点のグループ(第1グループという)である。点P1は、照明領域IRの+Z軸側の端、点P3は照明領域IRの−Z軸側の端、点P2は点P1と点P3の中央に配置されている。同様に、点P4、点P5及び点P6の第2グループ、点P7、点P8及び点P9の第3グループは、それぞれ、円筒面12の周方向に並ぶ点のグループである。また、点P1〜点P3の第1グループは、照明領域IRの−Y軸側の端に配置され、点P7〜点P9の第3グループは、照明領域IRの+Y軸側の端に配置され、点P4〜点P6の第2グループは、第1グループと第3グループとの間に配置されている。
【0094】
まず、
図9及び
図12を参照しつつ、瞳面28における照明光L1の通過範囲について説明する。
図12に示す照明領域IRにおいて回転中心軸AX1と平行な方向に並ぶ点P1、点P4、及び点P7に入射する照明光L1の主光線は、照明領域IRの周方向における入射位置がほぼ同じであり、照明領域IRに対する入射角がほぼ同じである。
【0095】
そのため、点P1、点P4、及び点P7に入射する光束は、それぞれ、瞳面28上の通過範囲の位置が、先の
図8も参照するとX軸方向に関してほぼ同じになる。そのため、ドラムマスクDM上の照明領域IR内の点P1、点P4、及び点P7に入射する光束は、照明領域IR側からみると、ほぼ同じ方向から進んでくる光束となる。ここでは、点P1、点P4、及び点P7に入射する光束は、いずれも、
図9に示す瞳面28上のほぼ同じ範囲R3を通過する。同様に、回転中心軸AX1と平行な方向に並ぶ点P3、点P6、点P9に入射する光束は、いずれも、瞳面28上のほぼ同じ範囲R4を通過する。
【0096】
また、点P1に入射する照明光L1の主光線と点P3に入射する照明光L1の主光線は、照明領域IRの周方向における入射位置が異なっており、照明領域IRに対する入射角が異なっている。
【0097】
そのため、照明領域IR内の点P1に入射する光束が、瞳面28を通る通過範囲(範囲R3)の位置と、照明領域IR内の点P3に入射する光束が、瞳面28を通る通過範囲(範囲R4)とはX軸方向にずれている。
【0098】
図9において、範囲R3のY軸方向の位置は、範囲R4とほぼ同じである。また、範囲R3のX軸方向の位置は、範囲R4のX軸方向の位置よりも、第1光学系13の光軸13aと光分離部10の交点13bから離れている。
【0099】
なお、
図12に示す照明領域IRにおいて回転中心軸AX1と平行な方向に並ぶ点P2、点P5、及び点P8に入射する光束の通過範囲は、
図9に図示されていないが、範囲R3と範囲R4の間に配置される。同様に、点P1と点P3を結ぶ線上の任意の点を通る光束は、この任意の点の点P1からのずれ量に応じて、範囲R3から範囲R4に向ってずれた範囲を通過することになる。そのため、照明領域IRに入射する照明光L1の瞳面28上の通過範囲は、例えば、範囲R3と範囲R4とを結ぶ長円状の範囲R2となる。
【0100】
このように、通過部15の範囲R2を長円状にすると、回転中心軸AX1の周方向に分布する結像光束L2の主光線L2aは、照明光を平行光束として照明領域に入射させる場合よりも、互いに平行な関係(テレセントリックな状態)に近くなる。このことは、共役面40が回転中心軸AX1と照明領域IRとの中央の位置又はその近傍に配置されるように、光分離部10やそれ以前の照明光学系を設定することと相まって達成される。
【0101】
次に、
図10、
図12及び
図13を参照しつつ、共役面40における瞳の形状について説明する。共役面40における瞳の形状は、照明領域IRに入射した照明光L1がドラムマスクDMの内側に仮想的に伝播したときに、共役面40に形成される二次光源像の形状に対応したものである。
【0102】
円筒面12上の照明領域IR内の周方向に並ぶ点P1、点P2、点P3には、主光線L1aの延長線41が共役面40上でほぼ1点に重なるように、照明光L1の主光線L1aが入射する。そのため、点P1、点P2、点P3に入射する光束は、それぞれが円筒面12の内側まで伝播したとすると、共役面40上での通過範囲の位置が揃うことになり、いずれも
図13に示す範囲R5を通過することになる。同様の理由により、円筒面12上の照明領域IR内の周方向に並ぶ点P4、点P5、点P6に入射する光束は、いずれも同じ範囲R6を通過し、円筒面12上の照明領域IR内の周方向に並ぶ点P7、点P8、点P9に入射する光束は、いずれも同じ範囲R7を通過することになる。
【0103】
また、回転中心軸AX1と平行な方向(Y軸方向)に並ぶ点P1、点P4、点P7には、互いにほぼ平行な関係で照明光L1の主光線L1aが入射してくる。そのため、点P1、点P4、点P7に入射する光束は、それぞれが円筒面12の内側まで伝播したとすると、回転中心軸AX1と平行なY軸方向において、共役面40上での通過範囲の位置がずれることになる。すなわち、範囲R5は、共役面40上の−Y軸側の端に配置され、範囲R7は、共役面40上の+Y軸側の端に配置され、範囲R6は、範囲R5と範囲R7の中央に配置されることになる。結果として、照明領域IRに入射する照明光L1は、共役面40における瞳の形状が範囲R5と範囲R7とを結ぶ長円状の範囲R8になる。
【0104】
上述のように、結像光束L2のうち照明領域IRの各位置で発生する主光線L2aは、円筒面12の周方向と、回転中心軸AX1と平行な方向(Y軸方向)のそれぞれの方向において、互いにほぼ平行になる。そのため、投影光学系PLは、その入射側(照明領域IRの出射側)がテレセントリックに構成できる。
【0105】
以上のような本実施形態の処理装置U3(露光装置EX)は、投影光学系PLに入射する結像光束L2が平行光束に近くなるように照明光学系ILが構成されているので、投影光学系PLを複雑にしなくとも、湾曲したマスクパターンMの像を精度よく投影露光することができる。そのため、処理装置U3は、マスクパターンMを回転させながら露光処理を実行することで基板Pを効率よく露光できる。
【0106】
また、処理装置U3は、投影光学系PLの瞳面28に光分離部10を配置したので、照明光L1の光路と結像光束L2の光路を分離することができる。そのため、処理装置U3は、例えば偏光分離スプリッタ(PBS)等を用いて光路を分ける構成と比較して、PBSにおける光量の損失や迷光の発生を低減することができる。なお、光分離部10は、PBS等で構成されていてもよい。
【0107】
また、光分離部10は、通過部15を介して照明領域IRに向かう照明光L1の通過範囲を規定するので、照明領域IRに入射する際の照明光L1の主光線L1aの向きを高精度に規定することができる。また、光分離部10は、反射部16を利用して照明光L1の通過範囲を規定するので、構成をシンプルにすること等が可能になる。
【0108】
ところで、照明光L1のうち回転中心軸AX1に平行な方向に分布する主光線L1aの関係(例えば、互いに平行)は、結像光束L2のうち回転中心軸AX1に平行な方向に分布する主光線L2a関係(例えば、互いに平行)においても維持される。また、結像光束L2において円筒面12の周方向に分布する主光線L2aの関係(例えば、互いに平行)は、照明光L1のうち円筒面12の周方向に分布する主光線L1aの関係(例えば、互いに非平行)から変化する。そのため、例えば、結像光束L2において円筒面12の周方向に分布する主光線L2aが互いに平行な関係になるように、照明光L1の広がり角(NA)を等方的なパワーを有する光学部材で調整すると、結像光束L2のうち回転中心軸AX1に平行な方向に分布する主光線L2a関係が互いに平行にならなくなる。
【0109】
本実施形態においては、シリンドリカルレンズ25によって、ドラムマスクDMの円筒面12上の照明領域IRに達する照明光L1の広がり角を、回転中心軸AX1に対応する方向(Y軸方向)と、照明領域IR内での円筒面12の周方向とで異ならせている。
【0110】
すなわち、シリンドリカルレンズ25は、照明領域IRに達する照明光L1の主光線L1aのうち、回転中心軸AX1に平行な方向に並ぶ主光線L1aは互いに平行にしつつ、円筒面12の周方向に並ぶ主光線L1aはその延長線41が回転中心軸AX1に平行な共役面40上の線と交わるように偏向する。そのため、回転中心軸AX1に平行な方向に分布する結像光束L2の主光線L2aを互いにほぼ平行にするとともに、円筒面12の周方向に分布する結像光束L2の主光線L2aも互いにほぼ平行にすることができる。なお、照明光L1の広がり角に異方性を持たせる手法としては、光ファイバーを束ねた導光部材を用いて、この導光部材の光出射側の形状を、例えば、
図6中の第1絞り部材23の開口部23aのような長円状または楕円状とし、その光出射側を
図6中の第1絞り部材23の位置に配置しても良い。
【0111】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略する。
【0112】
図14は、本実施形態によるによる処理装置(露光装置EX2)の構成を示す図である。
図14に示す露光装置EX2は、投影光学系PLがオフナー光学系のような光学系で構成されている点で、第1実施形態と異なる。
【0113】
投影光学系PLは、マスクパターンMの一部(照明領域IR)の中間像Imを形成する第1投影光学系PL1と、第1投影光学系PL1が形成した中間像を基板P上の投影領域PRに投影する第2投影光学系PL2とを備える。ここでは、第1投影光学系PL1と第2投影光学系PL2は、それぞれがオフナー光学系のような光学系で構成されている。
【0114】
照明光学系ILは、光源20から光分離部50までに配置される要素については、第1実施形態と同様に構成できる。光源20から発せられた照明光L1は、均一化光学系19を通ることによって第2絞り部材26における光強度分布が均一化される。第2絞り部材26を通った照明光L1は、レンズ群27を通って光分離部50に入射する。
【0115】
図15は、
図14中の照明光学系ILの一部及び第1投影光学系PL1を拡大して示す図である。光分離部50は、第1実施形態で説明したような通過部15及び反射部16を備えるものである。光分離部50は、照明光L1の源になる光源像が形成される瞳面の位置またはその近傍に配置される。通過部15と反射部16の配置については、第1実施形態と同様である。
【0116】
光分離部50は、照明光L1が入射してくる面50aと、面50aの反対を向く面50bとを有する。面50bは、第1投影光学系PL1の光路において結像光束L2が入射する面であり、外部(結像光束L2の入射側)に向って凸になっている。
【0117】
光分離部50の通過部15を通過した照明光L1は、収差の補正等に用いられるレンズ群51を通って凹面鏡53の反射面53aに入射する。反射面53aは、光分離部50の面50bと対向するように配置される。凹面鏡53の反射面53aと光分離部50の面50bは、曲率中心がほぼ同じ位置に配置される湾曲面である。
【0118】
反射面53aに入射した照明光L1は、反射面53aで反射することで集光され、収斂しながら偏向部材(平面反射鏡)54の反射面54aに入射する。偏向部材54の反射面54aに入射した照明光L1は、反射面54aで反射することで偏向され、像調整部材55を通って照明領域IRに入射する。像調整部材55は、光強度分布の調整、広がり角の調整、収差の補正等に用いられる光学部材(パワーを持つレンズ素子)である。
【0119】
以上のような照明光学系ILは、
図3を参照して説明したように、照明領域IRで発生する結像光束L2の主光線を互いに平行にすべく、照明領域IRへ入射する照明光L1の主光線の延長線がドラムマスクDMの内側で交差するように、構成されている。
【0120】
照明領域IRで発生した結像光束L2は、像調整部材55を通って偏向部材54の反射面54aに入射し、反射面54aで反射して凹面鏡53の反射面53aに入射する。反射面53aに入射した結像光束L2は、反射面53aで反射することによって集光され、収斂しながらレンズ群51を通って光分離部50の反射部16に入射する。反射部16に入射した結像光束L2は、反射部16で反射し、レンズ群51を通って凹面鏡53の反射面53aに入射する。反射面53aに入射した結像光束L2は、反射面53aで反射することによって集光され、収斂しながら偏向部材(平面反射鏡)56の反射面56aに入射する。
【0121】
ここでは、偏向部材54および偏向部材56は、偏向部材54と偏向部材56との間に結像光束L2を通すことができるように設けられている。偏向部材56の反射面56aに入射した結像光束L2は、反射面56aで反射することによって偏向され、像調整部材57を通って中間像面32に入射する。像調整部材57は、像調整部材55と同様の機能を有する光学部材である。このようにして、第1投影光学系PL1は、マスクパターンMの一部(照明領域IR)の中間像Imを中間像面32に形成する。
【0122】
図14の説明に戻り、第2投影光学系PL2は、例えば、光分離部50の代わりに凸面鏡60を配置することで構成される。中間像面32を通った結像光束L2は、偏向部材61の第1反射面61aで反射して凹面鏡62に入射し、凹面鏡62で反射して凸面鏡60に入射する。凸面鏡60に入射した結像光束L2は、凸面鏡60で反射して凹面鏡62に入射し、凹面鏡62で反射した後に偏向部材61の第2反射面61bで反射して、回転ドラムDPに支持されている基板P上の投影領域PRに入射する。このようにして、第2投影光学系PL2は、マスクパターンMの照明領域IRの中間像Imを基板P上の投影領域PRに投影する。
【0123】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略する。
【0124】
図16は、本実施形態のデバイス製造システムSYS2(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)の構成を示す図である。ここでは、供給ロールFR1から引き出された可撓性の基板P(シート、フィルム等)が、順次、n台の処理装置U1,U2,U3,U4,U5,・・・Unを経て、回収ロールFR2に巻き上げられるまでの例を示している。
【0125】
図16においても、XYZ直交座標系は、基板Pの表面(または裏面)がXZ面と垂直となるように設定され、基板Pの搬送方向(長尺方向)と直交する方向(幅方向)がY軸方向に設定されるものとする。
【0126】
次に、本実施形態のデバイス製造システムSYS2の処理装置U3(露光装置EX、基板処理装置)による露光の原理を説明する。
図17は、露光装置EX3の光学系を説明するための模式図を示す図である。
図18は、照明領域IRに入射する照明光L1及び照明領域IRから出射する結像光束L2を示す図である。
【0127】
図17に示す露光装置EX3は、マスクパターンMを保持するドラムマスクDM、照明光学系IL、投影光学系PL、及び基板Pを支持する回転ドラムDP(
図16に示した基板支持ロールDR5)を備える。
【0128】
ドラムマスクDMは、円筒面状の外周面(以下、円筒面12ともいう)を有し、反射型のマスクパターンMを円筒面12に沿うように円筒面状に湾曲させて保持する。円筒面は、所定の中心線(回転中心軸AX1)の回りに所定半径で湾曲した面のことであり、例えば、円柱又は円筒の外周面の少なくとも一部である。
【0129】
照明光学系ILは、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンM上の照明領域IRを、投影光学系PLの一部を介して照明光L1で落射照明する。照明光学系ILは、照明光L1の源になる光源像L0を形成する第1光学系13と、投影光学系PLの一部を兼ねた第2光学系14とを含む。第1光学系13によって形成される光源像L0は、光分離部10の通過部15(透過部)の近傍に形成され、光源像L0から進む照明光L1は、通過部15を介して第2光学系14に入射し、第2光学系14を通って照明領域IRに入射する。
【0130】
投影光学系PLは、照明領域IRで発生した反射光束を、回転ドラムDPに支持されている基板Pに投射することで、マスクパターンM上の照明領域IRの像を基板Pに投影する。投影光学系PLは、照明領域IRの中間像Imを形成する第1投影光学系PL1と、第1投影光学系PL1が形成した中間像Imを基板Pに投影する第2投影光学系PL2とを備える。第1投影光学系PLは、光分離部10と、光分離部10と照明領域IRとの間の光路に配置された第2光学系(光学系)14とを含む。以下の説明において、照明光L1によって照明されているマスクパターンMで発生して基板に投射される光束を、適宜、結像光束L2という。
【0131】
照明領域IRで発生した結像光束L2は、第1投影光学系PL1の第2光学系14を通って光分離部10の反射部16で反射した後に、第2光学系14を再度通って偏向部材17に入射する。偏向部材17に入射した結像光束L2は、偏向部材17によって偏向され、凹面鏡18に入射する。
【0132】
照明領域IR内のある点から発生した光束(結像光束L2)は、第2光学系14を2回通ることによって、照明領域IRと光学的に共役な中間像面42上の対応する点(共役点)に収斂する。このように、第1投影光学系PL1は、照明光L1によって照明されているマスクパターンMの一部(照明領域IR)の中間像Imを中間像面42に形成する。照明領域IRが光出射側に向って凸の円筒面状であるので、中間像面42は、光入射側(偏向部材17側)に向って凹の円筒面状になる。
【0133】
凹円筒面鏡(以下、単に凹面鏡と呼ぶ)18は、中間像面42の位置またはその近傍に配置されている。凹面鏡18は、中間像面42に沿うように、光入射側に向って凹の円筒面状に湾曲している。凹面鏡18で反射した結像光束L2は、第2投影光学系PL2の光学部材(レンズ、ミラー等)を経由して投影領域PRに投射される。このようにして、マスクパターンMの照明領域IRの像は、回転ドラムDPに支持された基板P上の投影領域PRに投影される。
【0134】
ここで、凹面鏡18が設けられていない構成(単なる平面鏡の場合)を想定する。この構成において、第2投影光学系PL2の像面は、第1投影光学系PL1の像面(中間像面)と同様に光入射側に向って凹の円筒面状になり、投影領域の接平面に対して投影領域と反対側に湾曲する(投影領域と凹凸の向きが逆になる)ことになる。そのため、湾曲した投影領域の周方向において接平面との接線から離れるにつれて、デフォーカスが大きくなる。
【0135】
図17に示す露光装置EX3において、凹面鏡18は、第2投影光学系PL2の像面が光入射側に向って凸状となるように、像面を変換する。換言すると、凹面鏡18は、第2投影光学系PL2の像面の曲率中心が投影領域PRに対して投影領域PRの曲率中心と同じ側に配置されるように、第2投影光学系PL2の像面を変換する。そのため、第2投影光学系PL2の像面は、円筒面状に湾曲した基板P上の投影領域PRに沿うような形状になり、結果として、露光装置EX3は、所望のパターンを精度よく忠実に転写することができ、高精細なパターン露光が可能となる。
【0136】
ところで、
図18に示すように照明領域IRが円筒面状に湾曲しているので、本実施形態では、照明光L1の主光線L1aの照明領域IRに対する入射角を、円筒面12の周方向における主光線L1aの入射位置に応じて異ならせる。すなわち、通常の照明系によるケーラー照明法のように、物面に入射する照明光の主光線を互いに平行するのではなく、円筒面12の半径のほぼ半分の位置に収斂するような主光線にする。このようにすると、照明領域IR内の各点で発生する反射光束(結像光束L2)の主光線L2aが、円筒面12の周方向に関して互いに平行な状態(テレセントリック)になる。
【0137】
本実施形態において、照明光学系ILは、円筒面12の周方向に関して、照明光L1の主光線が非平行となる非テレセントリック系として構成され、結像光束L2の主光線を周方向に関して平行になるようにする。その為、
図18に示すように、照明光L1の主光線L1aを延長した延長線41が円筒面12の内側で半径の約半分の位置で交差するように、構成されている。
【0138】
このような結像光束L2において、照明領域IR上の各点で発生した主光線L2aは、例えば、互いに平行な関係で照明領域IRから出射する。ドラムマスクDMの中心線(回転中心軸AX1)の方向から見たときの各主光線L2aの進行方向は、例えば、各主光線L2aの照明領域IR上の発生位置と回転中心軸AX1とを結ぶ線(径方向)に対して交差する方向である。また、
図17に示したように、回転中心軸AX1の方向から見たときの各主光線L2aの進行方向は、例えば、第2光学系14の光軸14aと非垂直に交差する方向である。
【0139】
上述したように、照明光学系ILは、第1投影光学系PL1の入射側がテレセントリックになるように構成されているが、投影光学系PLを通る結像光束L2は、例えば第1投影光学系PL1で発生す収差等によって、テレセントリックな関係が崩れることがある。凹面鏡18は、例えば第1投影光学系PL1で発生する収差等を加味して、基板Pに投影される像の特性を調整するように設けられている。そのため、露光装置EX3は、湾曲したマスクパターンMを用いる場合においても、精度よく露光できる。
【0140】
また、第1投影光学系PL1は、例えば、倍率がN倍(ただし、N<1)の縮小光学系として構成される。すなわち、第1投影光学系PL1は、中間像面42にマスクパターンMの一部分の像を縮小倍率で形成する。このような構成にすることで、結像光束L2において主光線L2aのテレセントリックな関係からのずれ量を小さくすることができる。投影光学系PLは、例えば、マスクパターンMの投影領域PRの一部分の像を等倍率で投影領域PRに形成する等倍光学系であり、第2投影光学系PL2は、倍率が1/N倍の拡大光学系として構成される。
【0141】
なお、投影光学系PLが全体として等倍光学系である場合に、第1投影光学系PL1及び第2投影光学系PL2は、いずれも等倍光学系であってもよいし、一方が縮小光学系であって他方が拡大光学系であってもよい。また、投影光学系PLは、全体として縮小光学系であってもよいし、全体として拡大光学系であってもよい。
【0142】
次に、処理装置U3(露光装置EX3)の構成についてより詳しく説明する。
【0143】
図19は、露光装置EX3の構成を示す図である。露光装置EX3は、マスクパターンMを保持して回転中心軸AX1の周りで回転可能なドラムマスクDM(マスク保持部材)と、基板Pを支持して回転中心軸AX2の周りで回転可能な回転ドラムDP(基板支持部材)とを備える。回転ドラムDPの回転中心軸AX2は、例えば、ドラムマスクDMの回転中心軸AX1とほぼ平行に設定される。
【0144】
ドラムマスクDMは、一定半径の円柱状又は円筒状の部材であり、その外周面が円筒面12である。マスクパターンMは、例えば、ドラムマスクDMの外周面に巻き付けられて、ドラムマスクDMに対してリリース可能に取り付けられる。マスクパターンMは、例えばドラムマスクDMの表面に蒸着法等を用いて形成されていてもよく、ドラムマスクDMからリリース不能でもよい。リリース可能なマスクパターンMとしては、極薄ガラスシート(厚さ100μm程度)に蒸着されたクロム層をパターニングしたもの、透明な樹脂やプラスチックのシートに遮光層でパターニングしたものが使われる。このようなシート状のマスクパターンMをドラムマスクDMに巻き付ける場合、或いはドラムマスクDMの表面に直接マスクパターンMを描画形成する場合のいずれにおいても、円筒面状に湾曲したマスクパターンMの半径(直径)を精密に把握しておくことが重要である。
【0145】
回転ドラムDPは、一定半径の円柱状又は円筒状の部材であり、その外周面が円筒面状である。基板Pは、例えば、回転ドラムDPの外周面の一部に巻きつけられることで、回転ドラムDPに支持される。マスクパターンMの像が投影される投影領域PRは、回転ドラムDPの外周面の近傍に配置される。基板Pを支持する基板支持部材の構成は、適宜変更可能である。例えば、基板Pは、複数の搬送ローラに懸架されることで支持されていてもよく、この場合に投影領域PRが複数の搬送ローラの間に平面状に配置されていてもよい。
【0146】
図19のように、照明光学系ILは、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンM上の照明領域IRを、ケーラー照明のような照明法により均一な明るさで照明する。投影光学系PLは、照明領域IRで発生する結像光束L2を、回転ドラムDPに支持された基板P上の投影領域PRに向けて投射することにより、マスクパターンMの一部分(照明領域IR内)の像を基板P上の投影領域PRに結像する。
【0147】
露光装置EX3は、いわゆる走査露光装置であり、ドラムマスクDMと回転ドラムDPとを所定の回転速度比で同期回転させることによって、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンMの像を、回転ドラムDPに支持された基板Pの表面(円筒面に沿って湾曲した面)に連続的に繰り返し投影露光する。
【0148】
露光装置EX3は、例えば、ドラムマスクDM及び回転ドラムDPをそれぞれ回転駆動するための回転駆動部と、ドラムマスクDM及び回転ドラムDPのそれぞれの位置を検出する位置検出部(ロータリーエンコーダ等)と、ドラムマスクDM及び回転ドラムDPのそれぞれの位置を調整するための移動部と、露光装置EX3の各部を制御する制御部とを備える。
【0149】
露光装置EX3の制御部は、位置検出部が検出したドラムマスクDM及び回転ドラムDPの回転位置に基づいて回転駆動部を制御することで、ドラムマスクDMと回転ドラムDPとを所定の回転速度比で同期回転させる。また、この制御部は、位置検出部の検出結果に基づいて移動部を制御することで、ドラムマスクDMと回転ドラムDPの相対位置を調整可能である。
【0150】
次に、照明光学系ILについて、より詳しく説明する。照明光学系ILの第1光学系13は、光源20から光分離部10に至る光路に配置された均一化光学系19と、均一化光学系19から光分離部10に至る光路に配置されたレンズ群27とを備える。
【0151】
均一化光学系19は、光源20から発せられた光により複数の一次光源像を形成し、複数の一次光源像からの光束を重畳することで光強度分布を均一にする。均一化光学系19から出射する照明光L1は、レンズ群27の光軸27aに対して非平行な方向に進行して、レンズ群27に入射する。レンズ群27は、均一化光学系19が形成する一次光源像と共役な二次光源像を形成する。ここでは、レンズ群27が軸対称な光学系であり、レンズ群27の光軸27aを第1光学系13の光軸13aとする。
【0152】
本実施形態の光源20について、例えば、第1実施形態と同様に構成できる。なお、本実施形態では、
図16に示した照明ユニットIUは、例えば、光源20及び第1光学系13を含む。
【0153】
図20は、均一化光学系19の構成を示す図である。
図20に示す均一化光学系19は、インプットレンズ21、フライアイレンズ22、第1絞り部材23、リレーレンズ(集光レンズ)24、シリンドリカルレンズ25、及び第2絞り部材26を備える。
【0154】
本実施形態のインプットレンズ21について、例えば、第1実施形態と同様に構成できる。なお、本実施形態のインプットレンズ21の光軸21aは、レンズ群27(
図19参照)の光軸27aとほぼ平行であって、光軸27aと直交するX軸方向において光軸27aから+X軸側にずれている。
【0155】
本実施形態のフライアイレンズ22について、例えば、第1実施形態と同様に構成できる。なお、本実施形態のフライアイレンズ22は、インプットレンズ21から出射した照明光L1をレンズ要素22bごとに空間的に分割する。フライアイレンズ22から光が出射する出射端面22cには、レンズ要素22bごとに一次光源像(集光点)が形成される。この一次光源像が形成される面は、後に説明する共役面(第1共役面)40(
図24等に示す)と光学的に共役である。
【0156】
第1絞り部材23は、いわゆる開口絞りであり、フライアイレンズ22(
図20参照)の出射端面22cまたはその近傍に配置される。
図21は、第1絞り部材23の構成を示す図である。第1絞り部材23は、フライアイレンズ22からの照明光L1の少なくとも一部が通る長円状又は楕円形状の開口23aを有し、開口23aの中心は、例えば、インプットレンズ21(
図20参照)の光軸21aとほぼ同軸に設定される。
【0157】
図20に示すように、第1絞り部材23はインプットレンズ21の光軸21aと直交した面(XY面と平行)に配置される。また、開口23aは第1方向(X軸方向)の内寸(寸法)D1が、回転中心軸AX1に平行な方向に対応した第2方向(Y軸方向)の内寸(寸法)D2よりも小さい。内寸(寸法)D1の第1方向は、
図17又は
図19中のドラムマスクDM上の照明領域IR内では、円筒面12の周方向と一致している。
【0158】
なお、本実施形態において第1方向、および第2方向に関して、第1実施形態と同様に定義できる。
【0159】
図22A及び22Bは、第1絞り部材23から光分離部10までの構成を示す図である。
図22Aには、回転中心軸AX1に直交する面における平面図を示す。
図22Bには、回転中心軸AX1に平行な面における平面図を示した。
【0160】
図22Aに示すように、第1絞り部材23の開口23aは、第1光学系13の光軸13aに対して一方側(+X軸側)に偏らせて配置されている。また、
図22Bに示すように、第1絞り部材23の開口23aは、Y軸方向において第1光学系13の光軸13aに関して対称的に配置されている。すなわち、第1絞り部材23は、X軸方向から見て開口23aの中心を第1光学系13の光軸13aが通るように、配置されている。
【0161】
リレーレンズ(集光レンズ)24は、第1絞り部材23を通った光が入射する位置に配置されている。リレーレンズ24は、フライアイレンズ22に形成された複数の一次光源像(集光点)からの光束を重畳するように、設けられている。フライアイレンズ22に形成された複数の一次光源像からの照明光L1は、重畳される位置での光強度分布が均一化される。
【0162】
シリンドリカルレンズ25は、フライアイレンズ22において一次光源像が形成される位置から第2絞り部材26に至る光路に配置されている。シリンドリカルレンズ25は、ドラムマスクDM(
図17参照)の円筒面12(マスクパターン面)の周方向の円弧を含む面、すなわち回転中心軸AX1と垂直なXZ面に関する屈折力(パワー)が、回転中心軸AX1と平行な方向のYZ面に関する屈折力(パワー)よりも大きい光学部材(レンズ群)として構成される。
【0163】
第2絞り部材26は、いわゆる視野絞りであり、照明領域IRの位置及び形状を規定する。第2絞り部材26は、照明領域IRと共役な位置またはその近傍に配置されている。
図22Aに示すように、第2絞り部材26において照明光L1が通る開口の中心位置は、第1光学系13の光軸13aによりも+X軸側にずれている。また、
図22Bに示すように、第2絞り部材26において照明光L1が通る開口の中心位置は、第1光学系13の光軸13aとほぼ同じ位置に配置されている。
【0164】
フライアイレンズ22に形成された複数の一次光源像からの光は、リレーレンズ24及びシリンドリカルレンズ25によって第2絞り部材26の位置に重畳され、第2絞り部材26における光強度分布が均一化される。すなわち、インプットレンズ21、フライアイレンズ22、リレーレンズ24、及びシリンドリカルレンズ25は、照明光L1の光強度分布を均一化する。
【0165】
なお、照明光学系ILは、一次光源像から第2絞り部材26に至る光路の少なくとも一部に配置され、一次光源像を源とする照明光L1の光強度分布を第2絞り部材26の位置又はその近傍において均一にする均一化光学系19を含む。また、照明光学系ILは、例えば投影光学系PLが視野絞りを備えている場合に、第2絞り部材26を備えていなくてもよい。また、均一化光学系19は、フライアイレンズ22の代わりにロッドレンズを用いて構成することもできる。この場合に、照明光学系ILの構成は、ロッドレンズにおいて光の出射する出射端面が照明領域IRと光学的に共役になるように、適宜変更される。
【0166】
レンズ群27は、例えば、所定の軸を回転中心とする軸対称な複数のレンズで構成される。
図22Bに示すように、レンズ群27は、X軸方向から見たときに第1絞り部材23と光学的に共役な瞳面28を形成する。瞳面28上には、
図17に示したように、照明領域IRに照射される照明光L1の源になる光源像L0(二次光源像)が形成される。
【0167】
第1投影光学系PL1の瞳面28に形成される二次光源像L0は、照明光路に沿ってドラムマスクDMの円筒面12上に射影してみると、円筒面12の周方向の寸法が回転中心軸(中心線)AX1の方向の寸法よりも大きく設定される。
【0168】
また、第2共役面(瞳面28)に形成される二次光源像L0の分布範囲は、その二次光源像L0の分布範囲を照明光路に沿ってドラムマスクDMの円筒面12上に射影してみると、回転中心軸(中心線)AX1の方向の寸法が円筒面12の周方向の寸法よりも小さくなるように、設定されている。
【0169】
ところで、レンズ群27は、第1絞り部材23に形成された一次光源像からの光束のうち、Y軸方向に広がる成分を瞳面28上に収斂するように、構成されている。ここで、シリンドリカルレンズ25のパワーがX軸方向とY軸方向とで異なっていることから、一次光源像(第1絞り部材23の開口23a)の各点からX軸方向に広がる成分は、
図22Aに示すように瞳面28上の対応する各点上では収斂しない。換言すると、瞳面28は、X軸方向から見たときに第1絞り部材23と光学的に共役な関係であり、Y軸方向から見たときに第1絞り部材23と光学的に共役でなくてもよい。
【0170】
本実施形態の光分離部10について、例えば、第1実施形態と同様に構成できる。なお、本実施形態の光分離部10は、光が透過する材質のレンズ部材30と、レンズ部材30の表面に形成された反射膜31とを含む。レンズ部材30は、例えばメニスカスレンズのような形状であり、第1光学系13から照明光L1が入射してくる面30a側が凸面であり、面30aの反対を向く面30b側が凹面である。面30bは、例えば、球面の一部を含む湾曲面である。反射膜31は、レンズ部材30の面30bに設けられている。
【0171】
図23は、光分離部10の構成を示す平面図である。
図23に示すように、光分離部10は、第1光学系13からの照明光L1の少なくとも一部が通過する通過部15と、マスクパターンM上の照明領域IRで発生した結像光束L2(
図17参照)が反射する反射部16とを備える。光分離部10は、一次光源像から照明領域IRに至る光路と照明領域IRから中間像面42に至る光路とにまたがって配置される。 本実施形態の光分離部10の反射部16は、例えば球面の一部を含む凹面状に湾曲した反射面(反射膜31)を含む。
【0172】
図19に示したように、第2光学系14は、光分離部10の通過部15を通過した照明光L1が入射する位置に配置されている。第2光学系14は、照明領域IRが第1絞り部材23と光学的に共役になるように、照明光L1を集光する。すなわち、レンズ群27及び第2光学系14は、第2絞り部材26と光学的に共役な面を照明領域IRに形成する。
【0173】
第2光学系14は、例えば、所定の中心軸の周りで軸対称な複数のレンズにより構成される。本実施形態においては、この所定の中心軸を第2光学系14の光軸14aとする。第2光学系14の光軸14aは、例えば、第1光学系13の光軸13aと同軸に設定される。第2光学系14に入射した照明光L1は、第2光学系14の光軸14aを含む面(YZ面)に関して一方側と通って、第2光学系14から出射する。第2光学系14から出射した照明光L1は、ドラムマスクDMに保持されたマスクパターンM上の照明領域IRに入射する。この照明光L1が、マスクパターンMで反射回折することによって、結像光束L2が発生する。
【0174】
ここで、照明領域IRに入射する際の照明光L1と照明領域IRから出射する結像光束L2について、より詳しく説明する。
【0175】
図24は、照明領域IRに入射する光束(照明光L1)、及び照明領域IRから出射する結像光束L2をドラムマスクDMの回転中心軸AX1の方向(Y軸方向)から見た側面図である。
図25は、照明領域IRから出射する結像光束L2を、
図24とは直交する方向(Z軸方向)から見た上面図である。本実施形態において、照明光L1と結像光束L2に関する
図24及び
図25における説明は、第1実施形態の
図10及び
図11における説明と同様の内容なので、ここではその説明を省略する。
【0176】
次に、光源像と共役な面(瞳面28、共役面40)における瞳の形状について説明する。
図26は、瞳の説明で参照する照明領域IRの代表位置を示す図である。
図27は、光源像と共役な共役面40における瞳の形状を示す図である。ここでは、説明の便宜上、照明領域IRの各点を経由する光束(照明光L1及び結像光束L2)は、光源像と共役な面(瞳面28及び共役面40)においてスポット形状が円であるものとする。
【0177】
図26において、符号P1〜P9は、X軸方向から平面視した照明領域IR上の点を示す。点P1、点P2、及び点P3は、ドラムマスクDMの円筒面12の周方向(平面視したときのX方向)に並ぶ点のグループ(第1グループという)である。点P1は、照明領域IRの+X軸側の端、点P3は照明領域IRの−X軸側の端、点P2は点P1と点P3の中央に配置されている。同様に、点P4、点P5及び点P6の第2グループ、点P7、点P8及び点P9の第3グループは、それぞれ、円筒面12の周方向に並ぶ点のグループである。また、点P1〜点P3の第1グループは、照明領域IRの−Y軸側の端に配置され、点P7〜点P9の第3グループは、照明領域IRの+Y軸側の端に配置され、点P4〜点P6の第2グループは、第1グループと第3グループとの間に配置されている。
【0178】
まず、瞳面28(光分離部10)における照明光L1の通過範囲について説明する。
図26に示す照明領域IRの周縁上で回転中心軸AX1(Y軸方向)と平行な方向に並ぶ点P1、点P4、及び点P7に入射する照明光L1の主光線は、照明領域IRの周方向における入射位置がほぼ同じであり、照明領域IRに対する入射角がほぼ同じである。そのため、点P1、点P4、及び点P7に入射する光束は、それぞれ、光分離部10(瞳面28)上の通過範囲の位置が、
図22Aにおいて、X軸方向では揃うことになる。従って、
図23に示すように、点P1、点P4、及び点P7に入射する光束は、いずれも、光分離部10(瞳面28)上の範囲R3を通過する。同様に、回転中心軸AX1と平行な方向に並ぶ照明領域IR内の点P3、点P6、点P9に入射する光束は、いずれも、瞳面28上の範囲R4を通過する。
【0179】
また、点P1に入射する照明光L1の主光線と点P3に入射する照明光L1の主光線は、照明領域IR(円筒面12)の周方向における入射位置が異なっており、照明領域IRに対する入射角が異なっている。
【0180】
そのため、点P1に入射する光束が通る光分離部10(瞳面28)上の通過範囲(範囲R3)と、点P3に入射する光束が通る光分離部10(瞳面28)上の通過範囲(範囲R4)とは、瞳面28上ではX軸方向にずれ、照明領域IRでは円筒面12の周方向にずれている。
【0181】
図23において、瞳面28上での範囲R3のY軸方向の位置は、範囲R4とほぼ同じである。また、範囲R3のX軸方向の位置は、範囲R4のX軸方向の位置よりも、第1光学系13の光軸13aと光分離部10の交点13bから離れている。
【0182】
なお、
図26に示す照明領域IRにおいて回転中心軸AX1と平行なY軸方向に並ぶ点P2、点P5、及び点P8に入射する光束の通過範囲は、
図23に図示されていないが、範囲R3と範囲R4の間に配置される。同様に、点P1と点P3を結ぶ線上の任意の点を通る光束は、この任意の点の点P1からのずれ量に応じて、範囲R3から範囲R4に向ってずれた範囲を通過することになる。そのため、照明領域IRに入射する照明光L1の瞳面28上の通過範囲は、例えば、範囲R3と範囲R4とを結ぶ長円状の範囲R2となる。
【0183】
このように、通過部15の範囲R2を長円状にすると、回転中心軸AX1の周方向に分布する結像光束L2の主光線L2aは、照明光を平行光束として照明領域に入射させる場合よりも、互いに平行な関係(テレセントリックな状態)に近くなる。このことは、共役面40が回転中心軸AX1と照明領域IRとの中央の位置又はその近傍に配置されるように、光分離部10やそれ以前の照明光学系を設定することと相まって達成される。
【0184】
次に、共役面40における瞳の形状について説明する。共役面40における瞳の形状は、照明領域IRに入射した照明光L1がドラムマスクDMの内側に仮想的に伝播したときに、共役面40に形成されるスポットの形状とほぼ同じである。
【0185】
円筒面12の周方向に並ぶ照明領域IR中の点P1、点P2、点P3には、主光線L1aの延長線41(
図24参照)が共役面40上でほぼ1点に重なるように、照明光L1の主光線L1aが入射する。そのため、点P1、点P2、点P3に入射する光束は、それぞれが円筒面12の内側まで伝播したとすると、共役面40上での通過範囲の位置が揃うことになり、いずれも
図27に示す範囲R5を通過することになる。同様の理由により、円筒面12の周方向に並ぶ照明領域IR中の点P4、点P5、点P6に入射する光束は、いずれも範囲R6を通過し、円筒面12の周方向に並ぶ点P7、点P8、点P9に入射する光束は、いずれも範囲R7を通過することになる。
【0186】
また、回転中心軸AX1と平行な方向(Y軸方向)に並ぶ照明領域IR中の点P1、点P4、点P7には、照明光L1の主光線L1aが互いにほぼ平行な関係で入射してくる。そのため、点P1、点P4、点P7に入射する光束は、それぞれが円筒面12の内側まで伝播したとすると、回転中心軸AX1と平行なY軸方向において、共役面40上での通過範囲の位置がずれることになる。すなわち、範囲R5は、共役面40上の−Y軸側の端に配置され、範囲R7は、共役面40上の+Y軸側の端に配置され、範囲R6は、範囲R5と範囲R7の中央に配置されることになる。結果として、
図27に示すように、照明領域IRに入射する照明光L1は、共役面40における瞳の形状が範囲R5と範囲R7とを結ぶ長円状の範囲R8になる。
【0187】
上述のように、結像光束L2のうち照明領域IRの各位置で発生する主光線L2aは、円筒面12の周方向と、回転中心軸AX1と平行な方向(Y軸方向)のそれぞれの方向において、互いにほぼ平行になる。そのため、投影光学系PLは、その入射側(照明領域IR側)がテレセントリックに構成できる。なお、
図19等に示すように、照明領域IRから出射するときの結像光束L2の主光線L2aの進行方向は、回転中心軸AX1の方向から見たときに、第2光学系14の光軸14aと非垂直に交差する方向である。
【0188】
次に、投影光学系PLについてより詳しく説明する。
図28は、第1投影光学系として機能する光路を示す図である。
図29は、第2投影光学系として機能する光路を示す図である。
【0189】
投影光学系PLは、
図28に示すように中間像Imを形成する第1投影光学系PL1と、
図29に示すように中間像Imを基板Pに投影する第2投影光学系PL2とを備える。第1投影光学系PL1と第2投影光学系PL2は、例えば、円形イメージフィールドを分割したハーフ・イメージフィールドタイプの反射屈性型投影光学系としてテレセントリックに構成される。
【0190】
図28に示す第1投影光学系PL1は、第2光学系14、光分離部10、偏向部材17、レンズ群43、及び偏向部材44を含む。
【0191】
第2光学系14は、上述したように照明光学系ILの一部を兼ねており、レンズ群45及びレンズ群46を含む。レンズ群45及びレンズ群46は、照明光学系ILが形成する光源像と共役な面(第1投影光学系PL1の瞳面28)を形成する。
【0192】
レンズ群45は、第2投影光学系PL2の光軸PL2aを含み回転中心軸AX1(
図19参照)に平行な面(XY面)に対して、照明領域IR(ドラムマスクDM)と同じ側に配置されている。レンズ群46は、第2投影光学系PL2の光軸PL2aを含み回転中心軸AX1(
図19参照)に平行な面(XY面)に対して、照明領域IR(ドラムマスクDM)と反対側に配置されている。
【0193】
第2光学系14に入射した結像光束L2は、照明領域IRに向かう照明光L1(
図19参照)とは別の光路を通る。第2光学系14における結像光束L2の光路は、第2光学系14の光軸14aを含む面(YZ面)に対して、照明光L1の光路と概ね反対側(+X軸側)に配置される。
【0194】
第2光学系14を通った結像光束L2は、光分離部10に入射する。光分離部10(
図23参照)において結像光束L2が入射する範囲R1は、照明光L1が第1光学系13から光分離部10に入射する範囲R2(通過部15)と重複しないように、設定される。結像光束L2が入射する範囲R1は、例えば、YZ面に関して通過部15と反対側に設定され、光分離部10の反射部16になっている。反射部16は、瞳面28又はその近傍に配置されており、また、
図18に示したように照明領域IRの各点から出射した主光線L2aは、互いにほぼ平行な関係であるので、照明領域IRの各点で発生した光束は、範囲R2でスポットが重ねあわされるように、反射部16に入射する。
【0195】
図28に示すように、光分離部10の反射部16に入射した結像光束L2は、反射部16で反射して第2光学系14のレンズ群46を通り、偏向部材17に入射する。偏向部材17は、例えばプリズムミラーであり、光分離部10から結像光束L2が入射する面が平面状の反射面である。
【0196】
偏向部材17は、第2光学系14を通って照明領域IRに向かう照明光L1(
図19参照)を遮らないように、照明光L1の光路から外れた位置に配置されている。ここでは、偏向部材17は、光分離部10で反射した結像光束L2を、ドラムマスクDMに向かわないように遮光する。偏向部材17に入射した結像光束L2は、偏向部材17で反射することによって偏向され、レンズ群43に入射する。
【0197】
レンズ群43は、照明領域IRと共役な中間像面42が形成されるように、偏向部材17で反射した結像光束L2を集光する。レンズ群43は、第2光学系14の光軸14aと回転中心軸AX1(
図19参照)とを含む面(YZ面)に関して、例えば投影領域PR(回転ドラムDP)と同じ側に配置される。レンズ群43は、例えば第2光学系14のレンズ群45と光学的に等価になるように、構成される。レンズ群43は、例えば、所定の軸(第2投影光学系PL2の光軸PL2a)の周りで回転対称なレンズ等の光学部材で構成される。第2投影光学系PL2の光軸PL2aは、例えば、第2光学系14の光軸14aと直交するように設定される。
【0198】
偏向部材17で反射してレンズ群43を通った結像光束L2は、偏向部材44の反射面44aに入射し、反射面44aで反射することによって偏向されて凹面鏡18に入射する。偏向部材17は、例えばプリズムミラーであり、反射面44aがほぼ平面状である。
【0199】
図29に示す第2投影光学系PL2は、凹面鏡18、偏向部材44、レンズ群43、レンズ群47、及び凹面鏡48を含む。
【0200】
図28、
図29に示す凹面鏡18は、第1投影光学系PL1によって中間像Imが形成される中間像面42の位置またはその近傍に配置されている。すなわち、結像光束L2のうち照明領域IR上の各点から出射した光束は、凹面鏡18上の対応する各点(共役点)の各々に収斂し、その各点で反射する。凹面鏡18は、偏向部材44から結像光束L2が入射してくる面が概ね円筒面状の反射面になっている。凹面鏡18の曲率半径は、第1投影光学系PL1の倍率に拘わらず、照明領域IRの曲率半径とほぼ同じに設定される。
【0201】
凹面鏡18で反射した結像光束L2は、凹面鏡18に入射時の進行方向に対して非平行な方向に進行し、偏向部材44に入射する。そのため、凹面鏡18で反射した結像光束L2の偏向部材44に対する入射角は、凹面鏡18に向かう際の偏向部材44に対する入射角と異なることになる。結果として、凹面鏡18及び偏向部材44で反射した結像光束L2は、偏向部材17から偏向部材44に向かう際の結像光束L2の光路(
図28参照)とは異なる光路を通ってレンズ群43に入射する。
【0202】
レンズ群43を通った結像光束L2は、偏向部材17に遮られることなく、レンズ群47に入射する。換言すると、偏向部材17は、光分離部10で反射した結像光束L2が入射する位置であって、かつ凹面鏡18で反射した後に偏向部材44で反射した結像光束L2が入射しない位置に配置されている。
【0203】
レンズ群47は、第1投影光学系PL1の瞳面28と共役な瞳面47aが形成されるように、偏向部材44で反射してレンズ群43を通った結像光束L2を集光する。レンズ群47は、例えば第2光学系14のレンズ群46と光学的に等価になるように、構成される。レンズ群47は、例えば、所定の軸(第2投影光学系PL2の光軸PL2a)の周りで回転対称なレンズ等で構成される。
【0204】
偏向部材44で反射してレンズ群43及びレンズ群47を通った結像光束L2は、凹面鏡48に入射する。凹面鏡48は、例えば、第2投影光学系PL2における瞳面47aの位置又はその近傍に配置される。凹面鏡48は、例えば、結像光束L2が入射してくる側の入射端面が球面状に湾曲した反射面として構成される。凹面鏡48は、入射端面のうち少なくとも、結像光束L2が入射する領域が反射面である。
【0205】
なお、凹面鏡48は、入射端面のうち結像光束L2が入射する領域の一部が反射面でなくてもよい。例えば、凹面鏡48は、入射端面のうち結像光束L2が入射する領域の一部を結像光束L2が透過する透過部にすることで、絞り部材として機能させることができる。この透過部の少なくとも一部に代えて、結像光束L2を吸収する吸収部が設けられていてもよい。
【0206】
凹面鏡48で反射した結像光束L2は、レンズ群47およびレンズ群43を通って投影領域PRに投射される。結像光束L2のうち中間像面42上の各点からの光束は、レンズ群43およびレンズ群47をそれぞれ2回通ることにより、中間像面42と共役な面(第2投影光学系PL2の像面)上の対応する点(共役点)の各々に収斂する。このようにして、第1投影光学系PL1によって中間像面42に形成された中間像Imは、第2投影光学系PL2の像面に投影される。
【0207】
第2投影光学系PL2の像面は、回転ドラムDPの外周面に支持された基板P上の投影領域PRとほぼ同じ位置に設定されており、マスクパターンM上の照明領域IRの像は、投影領域PRに投影露光される。このような露光装置EX3において、凹面鏡18は、第2投影光学系PL2の像面を、投影領域PRの形状に合わせるように変換するので、照明領域IRの像が精度よく忠実に投影される。
【0208】
ところで、
図25等を用いて説明したように、照明光学系ILは、投影光学系PLに入射する際の結像光束L2の主光線L2aが互いにほぼ平行になるように、構成されている。しかしながら、投影光学系PLの少なくとも一部を通った結像光束L2は、例えば収差等によって、主光線が互いに平行な関係からずれることがある。投影領域PRに入射する際の結像光束L2の主光線の互いの関係が平行な関係からずれるほど、露光の精度が低下する可能性がある。
【0209】
そこで、投影光学系PLは、結像光束L2の主光線の向きを互いにほぼ平行な関係に近けるように補正する補正部を備えていてもよい。この補正部は、照明領域IRから投影領域PRに至る光路のいずれの位置に配置されていてもよい。ただし、中間像面42の近くに配置されているほど、結像光束L2の主光線L2aの向きを効果的に補正できる。
【0210】
例えば、凹面鏡18は、投影光学系PLのうち中間像面42に最も近くに配置された光学部材であり、上述の補正部は、凹面鏡18を利用して構成できる。例えば、凹面鏡18は、第2投影光学系PL2の瞳面47aに達する結像光束L2の主光線が互いに平行になるように、その反射面の形状と位置の一方または双方が設定されていてもよい。
【0211】
すなわち、凹面鏡18の形状は、結像光束L2の主光線が互いに平行になるように、例えばY軸方向に直交する断面形状が円形と異なる楕円状に設定されていてもよい。また、凹面鏡18の位置は、結像光束L2の主光線が互いに平行になるように、第2投影光学系PL2の像面と投影領域PRとの距離が焦点深度以下となる範囲において、中間像面42からずれて配置されていてもよい。
【0212】
なお、上述の補正部は、偏向部材17と偏向部材44の一方または双方を含んでいてもよい。例えば、偏向部材44の反射面44aは、第2投影光学系PL2の瞳面47aに達する結像光束L2の主光線が互いに平行になるように、湾曲していてもよい。これは、偏向部材17についても同様である。
【0213】
偏向部材44は、偏向部材17よりも中間像面42の近くに配置されているので、上述の補正部とすることで主光線の向きを効果的に調整できる。また、偏向部材17は、中間像面42に向う結像光束L2が入射し、中間像面42から出射した結像光束L2が入射しないので、結像光束L2の主光線の向きを調整する上で設計自由度が高い。また、上述の補正部は、凹面鏡18と偏向部材17と偏向部材44とは別の光学部材を含んでいてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0214】
以上のような本実施形態の処理装置U3(露光装置EX3)は、投影光学系PLに入射する結像光束L2が平行光束に近くなるように照明光学系ILが構成されているので、投影光学系PLを複雑にしなくとも、湾曲したマスクパターンMの像を精度よく投影露光することができる。そのため、処理装置U3は、マスクパターンMを回転させながら露光処理を実行することで、基板Pを効率よく、かつ精度よく露光できる。
【0215】
また、円筒状に湾曲したマスクパターンMの像を円筒状に湾曲した基板P上に投影する為に、中間像面の位置に円筒状の反射面を持つ凹面鏡18を設けたので、第2投影光学系PL2の像面は投影領域PRに沿うように変換されることになり、処理装置U3は、走査露光方向(マスクパターンMの円周方向)に関して、照明領域IRと投影領域PRの幅を広く確保することが可能となり、生産性が高く、且つ高精度な露光処理ができる。
【0216】
また、処理装置U3は、第1投影光学系PL1の瞳面28に光分離部10を配置したので、照明光L1の光路と結像光束L2の光路を分離した落射照明方式を採用することができる。そのため、処理装置U3は、例えば偏光分離スプリッタ(PBS)等を用いて光路を分ける構成と比較して、PBSにおける光量の損失や迷光の発生を低減することができる。なお、光源20をレーザ光源等にし、照明光の偏光特性を利用して光量損失の低減を図れる場合は、そのような光分離部10をPBS等で構成してもよい。
【0217】
また、光分離部10(規定部)は、通過部15を介して照明領域IRに向かう照明光L1の通過範囲を規定するので、照明領域IRに入射する際の照明光L1の主光線L1aの向きを高精度に規定することができる。また、光分離部10は、反射部16を利用して照明光L1の通過範囲を規定するので、構成をシンプルにすること等が可能になる。
【0218】
ところで、照明光L1のうち回転中心軸AX1に平行な方向に分布する主光線L1aの関係(例えば、互いに平行)は、結像光束L2のうち回転中心軸AX1に平行な方向に分布する主光線L2a関係(例えば、互いに平行)においても維持される。また、結像光束L2において円筒面12の周方向に分布する主光線L2aの関係(例えば、互いに平行)は、照明光L1のうち円筒面12の周方向に分布する主光線L1aの関係(例えば、互いに非平行)から変化する。そのため、例えば、結像光束L2において円筒面12の周方向に分布する主光線L2aが互いに平行な関係になるように、照明光L1の広がり角(NA)を等方的なパワーを有する光学部材で調整すると、結像光束L2のうち回転中心軸AX1に平行な方向に分布する主光線L2a関係が互いに平行にならなくなる。
【0219】
本実施形態においては、シリンドリカルレンズ25によって、照明光L1(主光線)の広がり角を、ドラムマスクDMの回転中心軸AX1が延びる方向と円筒面12の周方向とで異ならせている。すなわち、シリンドリカルレンズ25は、照明領域IRに達する照明光L1の主光線L1aのうち、回転中心軸AX1に平行な方向に並ぶ主光線L1aを互いに平行にしつつ、円筒面12の周方向に並ぶ(分布する)主光線L1aをその延長線41が回転中心軸AX1に平行な共役面40上の線と交わるように偏向する(設定する)。そのため、回転中心軸AX1に平行な方向に分布する結像光束L2の主光線L2aを互いにほぼ平行にするとともに、円筒面12の周方向に分布する結像光束L2の主光線L2aも互いにほぼ平行にすることができる。なお、照明光L1の広がり角に異方性を持たせる手法としては、先の第1実施形態と同様に、光ファイバーを束ねた導光部材を用いて、この導光部材の光出射側の形状を調整する手法を用いることもできる。
【0220】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態において、上記の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略する。
【0221】
図30は、本実施形態によるによる処理装置(露光装置EX4)の構成を示す図である。
図31は、
図30の構成において照明光学系ILとして機能する光路を示す図である。
図32は、
図30の構成において第1投影光学系PL1として機能する光路を示す図である。
図33は、
図30の構成において第2投影光学系PL2として機能する光路を示す図である。
【0222】
投影光学系PLは、マスクパターンMの一部(照明領域IR)の中間像Imを形成する第1投影光学系PL1と、第1投影光学系PL1が形成した中間像を基板P上の投影領域PRに投影する第2投影光学系PL2とを備える。ここでは、第1投影光学系PL1と第2投影光学系PL2は、それぞれがオフナー光学系のような光学系で構成されている。照明光学系ILは、第1投影光学系PL1の一部を介して照明領域IRを照明光L1で照明する。
【0223】
照明光学系ILは、光源から第1絞り部材23までに配置される要素(均一化光学系19)については、例えば、第3実施形態と同様に構成できる。光源から発せられた照明光L1は、均一化光学系19を通ることによって第1絞り部材23における光強度分布が均一化される。
【0224】
図31に示す照明光学系ILは、光分離部50、像調整部材51、凹面鏡52、レンズ群53、凸面鏡54、偏向部材55、及び像調整部材56を備える。
【0225】
第1絞り部材23を通った照明光L1は、像調整部材51を通って光分離部50の反射部57に入射する。像調整部材51は、一次光源像と共役な面に形成される二次光源像の像特性を調整するために、収差等を加味して設けられる。像調整部材51は、適宜、省略可能である。
【0226】
光分離部50の反射部57は、均一化光学系19から照明光L1が入射する位置であって、投影光学系PLを通る結像光束L2(
図30参照)が入射しない位置に配置されている。光分離部50の反射部57は、例えばプリズムミラーであり、均一化光学系19から照明光L1が入射する面が平面状の反射面である。
【0227】
反射部57に入射した照明光L1は、反射部57で反射することにより偏向され、凹面鏡52に入射する。反射部57で反射して凹面鏡52に入射した照明光L1は、凹面鏡52で反射し、レンズ群53を通って凸面鏡54に入射する。
【0228】
凹面鏡52は、例えば球面の一部を含む反射面を有し、均一化光学系19において形成された一次光源像(
図20に示す第1絞り部材23)と共役な瞳面28を形成するように、照明光L1を集光する。すなわち、瞳面28には二次光源像が形成される。
【0229】
レンズ群53は、瞳面28における二次光源像の像特性を調整するように適宜設けられ、例えばフィールドレンズを含む。凸面鏡54は、例えば、球面の一部を含む反射面を有し、凹面鏡52と曲率中心が一致するように設けられている。ここでは、凹面鏡52の中心と凸面鏡54の中心とを結ぶ軸を照明光学系ILの光軸ILa(第1投影光学系PL1の光軸PL1a)とする。凸面鏡54と凹面鏡52は、凸面鏡54で反射した光(照明光L1、結像光束L2)が凹面鏡52に再度入射するように設けられている。
【0230】
凹面鏡52からの照明光L1は、照明光学系ILの光軸ILaに対して、凸面鏡54の−X軸側に入射して、凸面鏡54で反射し、凹面鏡52に再度入射する、凸面鏡54で反射して凹面鏡52に入射した照明光L1は、凹面鏡52で反射して偏向部材55に入射し、偏向部材55で反射することにより偏向して、像調整部材56を通って照明領域IRに入射する。
【0231】
偏向部材55は、例えばプリズムミラーであり、凹面鏡52から照明光L1が入射する面が平面状の反射面である。像調整部材56は、像調整部材51と同様に収差等を加味して適宜設けられる。
【0232】
図32に示すように、第1投影光学系PL1は、像調整部材56、偏向部材55、凹面鏡52、レンズ群53、凸面鏡54、及び像調整部材58を含む。
【0233】
照明領域IRから出射した結像光束L2は、像調整部材56を通って偏向部材55に入射し、偏向部材55で反射することで偏向される。偏向部材55で偏向された結像光束L2は、
図31に示した凹面鏡52から偏向部材55に向かう照明光L1の光路とは別の光路を通って、凹面鏡52に入射する。凹面鏡52に入射した結像光束L2は、照明光L1とは別の光路を通り、レンズ群53を通って凸面鏡54に入射する。凸面鏡54において結像光束L2が入射する位置は、第1投影光学系PL1の光軸PL1aに対して、照明光L1の入射位置とは反対側(+X軸側)に配置される。
【0234】
凸面鏡54で反射した結像光束L2は、レンズ群53を通って凹面鏡52に入射し、凹面鏡52で反射する。凹面鏡52で反射した結像光束L2は、光分離部50の通過部59を通って、像調整部材58に入射する。ここでは、光分離部50の通過部59は、反射部57が設けられてない領域である。すなわち、反射部57は、凸面鏡54で反射した後に凹面鏡52で反射した結像光束L2が入射しない位置に配置されている。このように、光分離部50は、照明光L1の通過範囲を規定するように設けられている。
【0235】
結像光束L2のうち照明領域IR上の各点から出射した光束は、以上のような光路を通ることによって、照明領域IRと共役な中間像面42上のほぼ1点に収斂する。換言すると、中間像面42には、照明領域IRの像が形成される。像調整部材56及び像調整部材58は、中間像Imの像特性を調整するように、収差等を加味して適宜設けられる。像調整部材56及び像調整部材58の一方または双方は、適宜、省略可能である。
【0236】
図33に示すように、第2投影光学系PL2は、凹面鏡60、像調整部材58、偏向部材61、凹面鏡62、レンズ群63、凸面鏡64、偏向部材65、及び像調整部材66を含む。
【0237】
凹面鏡60は、中間像面42の位置またはその近傍に配置されている。第1投影光学系PL1が形成する中間像Imの形状に沿うように、結像光束L2の入射側に向って凹の円筒面状に形成されている。凹面鏡60は、第3実施形態で説明したように、第2投影光学系PL2の像面の形状を投影領域PRに沿うように変換する。
【0238】
凹面鏡60に入射した結像光束L2は、凹面鏡60で反射し、像調整部材58を通って偏向部材61に入射する。偏向部材61は、例えばプリズムミラーであり、凹面鏡60からの結像光束L2が入射する面が平面状の反射面である。偏向部材61は、凹面鏡60で反射した結像光束L2が入射する位置であって、第1投影光学系PL1の凹面鏡52(
図32参照)から凹面鏡60に向かう結像光束L2を遮らない位置に配置されている。
【0239】
偏向部材61に入射した結像光束L2は、偏向部材61で反射することによって偏向され、凹面鏡62に入射する。凹面鏡62に入射した結像光束L2は、凹面鏡62で反射してレンズ群63を通り、凸面鏡64に入射する。
【0240】
凹面鏡62は、
図32に示した第1投影光学系PL1の瞳面28と共役な瞳面67を形成するように、結像光束L2を集光する。凹面鏡62は、例えば、第1投影光学系PL1の凹面鏡52と光学的に等価になるように構成される。凹面鏡62は、例えば球面の一部を含む湾曲した反射面を有する。
【0241】
レンズ群63は、例えば投影領域PRに形成する像の特性を調整するように収差等を加味して適宜設けられ、フィールドレンズ等を含む。
【0242】
凸面鏡64は、瞳面67と共役な位置またはその近傍に配置される。凸面鏡64は、例えば、第1投影光学系PL1の凸面鏡54と光学的に等価になるように構成される。凸面鏡64は、例えば球面の一部を含む湾曲した反射面を有し、この反射面の曲率中心が凹面鏡62の曲率中心とほぼ同じ位置に設定される。
【0243】
凸面鏡64で反射した結像光束L2は、レンズ群63を通って凹面鏡62に再度入射し、凹面鏡62で反射して偏向部材65に入射する。偏向部材65に入射した結像光束L2は、偏向部材65で反射することにより偏向され、像調整部材66を通って投影領域PRに入射する。
【0244】
以上のようにして、第2投影光学系PL2は、中間像面42に形成される照明領域IRの中間像Imを、第2投影光学系PL2の像面に形成する、第2投影光学系PL2の像面は、回転ドラムDPに支持された基板P上の投影領域PRの位置またはその近傍に設定されており、照明領域IRの像が基板P上の投影領域PRに投影露光される。
【0245】
以上のような本実施形態の処理装置U3(露光装置EX4)は、投影光学系PLに入射する結像光束L2の主光線が平行系に近くなるように照明光学系ILが構成されているので、投影光学系PLを複雑にしなくとも、湾曲したマスクパターンMの像を精度よく投影露光することができる。そのため、処理装置U3は、マスクパターンMを回転させながら露光処理を実行することで、基板Pを効率よく、かつ精度よく露光できる。
【0246】
また、処理装置U3は、湾曲したマスクパターンMの像を湾曲した基板P上に投影する。また、処理装置U3において、凹面鏡18は、第2投影光学系PL2の像面を投影領域PRに沿うように変換するので、処理装置U3は、精度よく露光できる。また、例えば結像光束L2がテレセントリックに近づくように補正部を設けることで、処理装置U3は、精度よく露光できる。この補正部は、例えば、凹面鏡60、像調整部材58、及び偏向部材61の少なくとも1つを利用して構成できる。
【0247】
また、処理装置U3は、第1投影光学系PL1の瞳面28に光分離部10を配置したので、照明光L1の光路と結像光束L2の光路を分離することができる。そのため、処理装置U3は、例えば偏光分離スプリッタ等を用いて光路を分ける構成と比較して、光量の損失や迷光の発生を低減することができる。
【0248】
なお、本発明の技術範囲は、上述の各実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の各実施形態で説明した要素の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の各実施形態で説明した要素は、適宜組み合わせることができる。
【0249】
なお、上述の各実施形態においては、基板P上の投影領域PRが円筒面状に湾曲しているが、投影領域PRが平面であってもよい。
【0250】
すなわち、基板Pが実質的に変形しないリジッドな基板である場合、或いは可撓性のシート状基板でも投影領域PRを含む一定の範囲を平坦(平面)に保持できる場合には、各実施形態の露光装置によって、それらの平坦(平面状)の基板Pを同様に露光することができる。
【0251】
例えば、基板Pが実質的に変形しないリジッド基板等であって、露光装置は、この基板Pを露光してもよい。また、基板P上の投影領域PRが平面状になるように基板Pが搬送され、露光装置は、このような基板Pを露光してもよい。
【0252】
なお、上述の各実施形態においては、照明光学系の数が1つであり、投影光学系の数が1つであるシングルレンズ方式の露光装置の例を説明したが、露光装置は、複数の照明光学系と投影光学系の組を、ドラムマスクDMや回転ドラムDPの回転中心軸AX2、AX1が延びる方向に複数配置した構成、いわゆるマルチレンズ方式の露光装置であってもよい。
【0253】
なお、第1実施形態及び第3実施形態においては、光分離部10の反射部16を利用して照明光L1の通過範囲を規定しているが、反射部16とは別の設けられた遮光部によって通過範囲を規定してもよい。この遮光部は、例えば通過部15の外側に入射する光を吸収することで、この光を、光分離部10を通過しないように遮光してもよい。また、通過部15は、例えば、照明光L1を通すように配置された空隙(開口)であってもよい。
【0254】
[デバイス製造方法]
次に、上記の実施形態のデバイス製造方法について説明する。
図34は、上記の実施形態のデバイス製造方法を示すフローチャートである。このフローチャート中の一部の工程は、先の
図1や
図16に示したデバイス製造システムSYS、SYS2(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)で実施される。しかし、
図34のフローチャートの全ての工程を実施する為には、さらに複数の製造処理装置を用意する必要がある。
【0255】
図34に示すデバイス製造方法では、まず、例えば有機EL表示パネル等のデバイスの機能・性能設計を行う(ステップ201)。次いで、デバイスの設計に基づいて、マスクパターンMを製作する(ステップ202)。また、デバイスの基材である透明フィルムやシート、あるいは極薄の金属箔等の基板を、購入や製造等によって準備しておく(ステップ203)。
【0256】
次いで、準備した基板をロール式、パッチ式の製造ラインに投入し、その基板上にデバイスを構成する電極や配線、絶縁膜、半導体膜等のTFTバックプレーン層や、画素部となる有機EL発光層を形成する(ステップ204)。ステップ204には、典型的には、基板上の膜の上にレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクにして上記膜をエッチングする工程とが含まれる。レジストパターンの形成には、レジスト膜を基板表面に一様に形成する工程、上記の各実施形態に従って、マスクパターンMを経由してパターン化された露光光で基板のレジスト膜を露光する工程、その露光によってマスクパターンの潜像が形成されたレジスト膜を現像する工程、が実施される。
【0257】
省資源化のための、従来のレジストプロセスを使わないアディティブ(Additive)なプロセスの典型として、印刷技術等を併用したフレキシブル・デバイス製造の場合は、フレキシブルな基板の表面に機能性感光層(機能性感応層、感光性シランカップリング材等)を塗布式により形成する工程、上記の各実施形態に示した露光装置を使って、ドラムマスクDMを経由してパターン化された露光光を、フレキシブル基板上の機能性感光層(機能性感応層)に照射し、機能性感光層にパターン形状に応じて親水化した部分と撥水化した部分を形成する工程、機能性感光層の親水性の高い部分にメッキ下地液等を塗工し、無電解メッキにより金属性のパターンを析出形成する工程、所謂、120℃以下の低温湿式プロセス等が実施される。
【0258】
次いで、製造するデバイスに応じて、例えば、基板をダイシング、あるいはカットすることや、別工程で製造された他の基板、例えば封止機能を持ったシート状のカラーフィルターや薄いガラス基板等を貼り合せる工程が実施され、デバイス(表示パネル)を組み立てる(ステップ205)。次いで、デバイスに検査等の後処理を行う(ステップ206)。以上のようにして、デバイスを製造することができる。上記の実施形態におけるデバイス製造方法は、処理装置(基板処理装置)によって、ドラムマスク(マスク保持部材)を回転させつつ感応性基板を所定方向に搬送して、感応性基板にマスクパターンを連続的に露光する工程と、露光された感応性基板の感応層の変化を利用して後続の処理を実施する工程とを含む。