(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137803
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】薬剤容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20170522BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20170522BHJP
B65D 77/24 20060101ALI20170522BHJP
A61J 1/05 20060101ALN20170522BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D25/20 Z
B65D77/24
!A61J1/05
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-217560(P2012-217560)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69859(P2014-69859A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100156845
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 威一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100112896
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏記
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(72)【発明者】
【氏名】十田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】新関 一馬
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−139641(JP,U)
【文献】
実開昭60−025634(JP,U)
【文献】
特開2007−055659(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3171870(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3110713(JP,U)
【文献】
特開2012−062065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
B65D 25/20
B65D 77/24
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状薬剤を収容し、一端部に筒状の口部を有し、押圧可能な可撓性を有する容器本体と、
前記容器本体の口部に取り付けられ、前記容器本体が押圧されることにより前記液状薬剤を吐出させる吐出孔を有する蓋部材と、
前記容器本体に設けられ、前記吐出孔の吐出方向を向く鏡面を有する鏡面部材と、
を備え、
前記吐出孔の吐出方向が、前記口部の軸線と交差しており、
前記容器本体の表面において、前記吐出孔が設けられている側に取付部が形成されており、当該取付部に前記鏡面部材が固定されている、薬剤容器。
【請求項2】
前記吐出孔の吐出方向と、前記鏡面を直交する仮想線とが略平行となるように構成されている、請求項1に記載の薬剤容器。
【請求項3】
前記吐出孔の吐出方向と、前記鏡面を直交する仮想線とが交差するように構成されている、請求項1に記載の薬剤容器。
【請求項4】
前記取付部は平坦面により形成されており、当該取付部の平坦面に前記鏡面部材が取り付けられる、請求項1から3のいずれかに記載の薬剤容器。
【請求項5】
前記取付部は曲面により形成されており、当該取付部の曲面に前記鏡面部材が取り付けられる、請求項1から3のいずれかに記載の薬剤容器。
【請求項6】
前記取付部の周縁に、当該周縁に沿って延びるリブが形成されている請求項4または5に記載の薬剤容器。
【請求項7】
前記容器本体において、前記吐出孔が設けられた側の側面には、前記鏡面部材が設けられる第1傾斜面と、当該第1傾斜面を挟んで前記口部の軸線方向に前記蓋部材とは反対側に配置された第2傾斜面と、が設けられ、
前記第1傾斜面は、前記蓋部材から離れるにしたがって、前記軸線から離れるように傾斜し、
前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面と連続し、前記蓋部材から離れるにしたがって、前記軸線に近接するように傾斜する、請求項1から6のいずれかに記載の薬剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の薬剤等が収容された容器の外面を押圧することによって当該薬剤をノズルから噴射する、所謂スクイズボトルと呼ばれる薬剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スクイズボトルと呼ばれる種々の容器が提案されている。スクイズボトルとは、一般的に液状の薬剤を収容する可撓性のある容器であり、その外面を押圧することで、容器の内圧を増大し、内部に収容された薬剤をノズルから噴射することのできる容器をいう。このようなスクイズボトルとしては、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、トイレの便器のリムの裏側等、構造上狭い部分に薬剤を噴射するものがある。特許文献1には、容器の頸部の長さと径を規定すると共に容器を押圧した後の復元速度を規定することによって、リムの裏側のような狭い部分を洗浄する際に薬剤を噴射しやすくする容器が開示されている。また、特許文献2には押圧すべき容器の膨出面に稜線部を設け、この稜線部を所定の位置に形成することによって、膨出面を握りやすくし、これによって、リムの裏側にも容易に且つ的確に薬剤を噴射できる容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−96839号公報
【特許文献2】特開2012−62065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リムの裏側のように対象領域が見え難い場合には、使用者が身をかがめて対象領域をのぞき込むか、あるいは手鏡などを使用して対象領域を確認するしかなく、このような煩雑な作業をしなくては、薬剤を対象領域に的確に塗布することができなかった。このように清掃すべき対象領域が見え難い場合、実際にその領域が汚れているのか、噴射した薬剤がその領域に塗布されているのか、あるいはブラシ等での清掃後にその領域の汚れが除去されているのかを容易に確認することができない。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、便器のリムの裏側のように、使用者から見えない、あるいは見え難い領域であっても、容易に且つ確実に薬剤を塗布することができる薬剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薬剤容器は、液状薬剤を収容し、一端部に筒状の口部を有し、押圧可能な可撓性を有する容器本体と、前記容器本体の口部に取り付けられ、前記容器本体が押圧されることにより前記液状薬剤を吐出させる吐出孔を有する蓋部材と、前記容器本体に取り付けられ、前記吐出孔の吐出方向を向く鏡面を有する鏡面部材と、を備えている。
【0007】
この構成によれば、容器本体に、薬剤を吐出する吐出孔の吐出方向を向く鏡面が設けられているため、便器のリムの裏側のように、見え難い領域であっても、鏡面によって、その領域を映し出すことができる。したがって、使用者が身をかがめてのぞき込んだり、手鏡を使用することなく、見え難い領域を鏡面で確認した上で、又は鏡面で確認しながら薬剤を噴射することができる。その結果、対象領域の汚れの確認、薬剤の塗布の確認、及び汚れの除去の確認を容易に且つ確実に行うことができる。なお、「吐出方向を向く」とは厳密に吐出方向と鏡面とが直交している必要はなく、少なくとも吐出方向と鏡面とが平行でなければよい。
【0008】
上記薬剤容器においては、吐出孔の吐出方向を、口部の軸線と交差させることができる。このようにすると、使用時において容器本体の挿入方向から角度を付けて薬剤を吐出できるため、リムの裏側などに容易に薬剤を塗布することができる。
【0009】
上記薬剤容器においては、前記吐出孔の吐出方向と、前記鏡面を直交する仮想線とが略平行となるように構成することができる。このようにすると、鏡面が吐出孔の吐出方向と同じ方向を向くため、対象領域に吐出孔を向ける位置決め動作と、鏡面に対象領域を映し出す確認動作とを、吐出孔及び鏡面の角度を変えることなく一連の動きで行うことができる。したがって、清掃作業を効率的に行うことができる。なお、吐出方向と仮想線とは、必ずしも厳密な平行でなくてもよく、例えば、5度程度のずれであれば許容できる。
【0010】
あるいは、上記薬剤容器においては、前記吐出孔の吐出方向と、前記鏡面を直交する仮想線とが交差するように構成することができる。このようにすると、吐出孔の吐出方向と、鏡面を直交する仮想線との交差部分に対象領域が位置すると、対象領域を鏡面に映しながら、薬剤を噴射することができる。したがって、対象領域への薬剤の塗布をさらに確実に行うことができる。
【0011】
上記薬剤容器においては、容器本体に平坦面を有する取付部を形成し、この平坦面に鏡面部材を取り付けるように構成することができる。このように、鏡面部材を平坦面を有する取付部に取り付けると、鏡面部材の取り付け状態が安定し、鏡面が平坦になるため、対象領域を確実に映し出すことができる。
【0012】
あるいは、上記薬剤容器においては、前記容器本体に前記鏡面部材が取り付けられる取付面を有する取付部を形成し、前記取付面を曲面により形成することができる。鏡面が吐出方向を向く限りは、曲面の形状は特は限定されないが、例えば、取付面が容器本体の口部の軸線に対して凸となるように湾曲させることができる。このようにすると、容器の内部が減圧したときに、取付面が容器本体の内側に向かって収縮するのを防止することができる。
【0013】
上記取付部の周縁には、この周縁に沿って延びるリブを形成することができる。このようにリブを形成すると、取付部の強度が向上するため、容器本体を押圧しても取付部が変形するのを防止することができる。したがって、鏡面が変形して対象領域を確認し難くなるのを防止することができる。
【0014】
上記薬剤容器では、前記容器本体において、吐出孔が設けられた側と同じ側面には、鏡面部材が設けられる第1傾斜面と、この第1傾斜面を挟んで前記軸線方向に前記蓋部材とは反対側に配置された第2傾斜面と、を設けることができる。そして、第1傾斜面を、蓋部材から離れるにしたがって、前記軸線から離れるように傾斜させ、第2傾斜面を、第1傾斜面と連続し、蓋部材から離れるにしたがって、前記軸線に近接するように傾斜させることができる。
【0015】
この構成によれば、鏡面部材が設けられた第1の傾斜面と連続する第2の傾斜面を、蓋部材から離れるにしたがって、軸線に近接するように傾斜するように構成している。そのため、蓋部材とは反対側から鏡面を見たとき、容器本体が鏡面への視線を阻害することなく、鏡面を見ることができる。したがって、鏡面を確実に見ながら、洗浄操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る薬剤容器によれば、便器のリムの裏側のように、使用者から見えない、あるいは見え難い領域であっても、容易に且つ確実に薬剤を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤容器の正面図である。
【
図6】
図1の薬剤容器の他の例を示す側面図である。
【
図7】本発明の薬剤容器の他の例を示す側面図である。
【
図8】本発明の薬剤容器の他の例を示す断面図である。
【
図9】本発明の薬剤容器の他の例を示す側面図である。
【
図10】本発明の薬剤容器の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る薬剤容器の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1はこの薬剤容器の正面図、
図2は
図1の側面図、
図3は
図1のA−A線断面図、
図4は
図2のB−B線断面図である。
【0019】
図1〜
図4に示すように、この薬剤容器は、上端部に口部11を有する容器本体1と、口部11を閉じる蓋部材2を備えている。容器本体1は、可撓性のある材料で形成されており、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、またはこれらの混合材料などをブロー成型することによって形成できる。容器本体1に収容される薬剤は特には限定されないが、例えば、トイレ用液状洗剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらを混合したものが挙げられる。なお、必要に応じて溶剤、安定剤、ゲル化剤等を混合しても良い。又、本発明における薬剤はトイレ用に限定されるものではなく、浴室、配管の洗浄などに用いられる液状洗剤であっても良い。更には、洗剤の用途に限らず、例えば機械部品同士を円滑に作動させるための機械油など、見え難い対象領域に対して容易に的確に液体を噴出するための用途であれば、他の液体であっても同様に適用することができる。
【0020】
なお、特にトイレのリム裏等、対象領域が特定の部材の下面に位置する場合には、薬剤を対象領域に塗布した後、薬剤が対象領域から滴下するのを防止するために、薬剤の粘度を所定の範囲に規定するのが好ましい。薬剤の粘度としては、単一円筒型回転(B型)粘度計(TVB−10M;東機産業株式会社製)を用いて、ローターNo:M2、回転数:30rpm、30秒間回転後の条件で測定される粘度において、10〜1000mPa・sが好ましく、200〜600mPa・sが更に好ましい。
【0021】
容器本体1は、薬剤が収容される断面矩形状の胴部12と、その上端に一体的に形成された円筒状の口部11とで構成されている。胴部12は、口部11の軸線Xに沿って延びる直方体状に形成されており、矩形状の底面121と、この底面121から上方に延びる4つの下部側面、つまり第1〜第4下部側面1221〜1224を有している。第1及び第3下部側面1221,1223は、底面121の短辺から延びる側面であり、互いに対向している。一方、第2及び第4下部側面1222,1224は、底面121の長辺から延びる側面であり、互いに対向している。
図2に示すように、第1下部側面1221は、軸線X側に若干凸となるように湾曲しており、特に、上部において、上方にいくにしたがって軸線から離れるような傾斜面S1(第2傾斜面)を有している。一方、第3下部側面1223も、軸線X側に凸となるように湾曲しているが、第1下部側面1221に比べて湾曲の度合いは小さく、上端部の傾斜も小さい。第2及び第4下部側面1222,1224は、第1及び第3下部側面1221,1223を連結するものであり、
図4に示すように、これに伴って断面形状は外部に向かって凸となるように若干湾曲している。このように、第2及び第4下部側面1222,1224は、第1及び第3下部側面1221,1223に比べて面積が大きく、また外側にやや膨出しており、この部分を押圧することで、容器本体1内の内圧を増大させ、後述するように、薬剤を吐出するようになっている。
【0022】
上記第1〜第4下部側面1221〜1224の上端には、それぞれ第1〜第4上部側面1231〜1234が連続的に形成されている。
図2に示すように、第1上部側面1231は、第1下部側面1221から連続して上方に延びているが、上方にいくにしたがって軸線Xに近接するように傾斜し、この傾斜面S2(第1傾斜面)には後述する鏡面部材3が取り付けられる取付部125が形成されている。第3上部側面1233は、第3下部側面1223から連続して上方に延びており、上方にいくにしたがって若干軸線Xに近接するように傾斜している。第2及び第4上部側面1232,1234は、それぞれ第2及び第4下部側面1222,1224と連続し、第1及び第3上部側面1231,1233を連結するものである。これら第2及び第4上部側面1232,1234は、第1及び第3上部側面1231,1233の傾斜に対応するように、側面視が台形状に形成されている。
【0023】
ここで、取付部125について、詳細に説明する。
図1に示すように、取付部125は第1上部側面1231の傾斜面S2に形成されており、矩形状の平坦面と、この周縁に形成されたリブ1251とで構成されている。そして、平坦面には、矩形シート状の鏡面部材3が取り付けられており、吐出孔231の吐出方向Y1を向いている。鏡面部材3は、表面に鏡面を有しており、裏面が接着剤などによって平坦面に貼り付けられている。平坦面の軸線Xに対する傾斜角αは、特には限定されないが、5〜60度が好ましく、10〜30度が更に好ましい。
【0024】
図3に示すように、第1〜第4上部側面1231〜1234の上端には、円筒状の口部11が連続して形成されている。口部11の外周面には雄ねじが形成されており、この雄ねじに、蓋部材2が取り付けられる。
【0025】
次に、蓋部材2について説明する。蓋部材2は、ポリエチレン等の材料で形成されている。なお、蓋部材2の材料は容器本体1と同様の材料で形成することもできる。そして、蓋部材2は、口部11に取り付けられる円筒状の大径部21と、この大径部21の上部に一体的に形成された小径部22とを有している。さらに、小径部22の上部には、吐出孔231が形成されたノズル23が一体的に設けられている。大径部21の内壁面には、口部11の雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。また、小径部22の外周面には、雄ねじが形成されており、図示を省略するキャップを取り付けることで、容器本体1に収容された薬剤の漏出を防止すると共に、ノズル23を保護することができる。ノズル23の側面には、吐出孔231が形成されており、蓋部材2を口部11に取り付けたときに、吐出孔231が第1上部側面1231及び第1下部側面1221と同じ側を向くように構成されている。また、吐出孔231の吐出方向Y1は、軸線Xから傾斜するように延びており、
図2に示すように、鏡面3と直交する仮想線Y2と略平行となっている。蓋部材2は、大径部21、小径部22、及びノズル23が一体となった中空に形成されており、容器本体1に収容された薬剤は口部11から大径部21、小径部22、及びノズル23を介して吐出孔231から吐出されるようになっている。
【0026】
次に、上記のように構成された薬剤容器の使用方法について、
図5を参照しつつ説明する。ここでは、便器のリムRの裏側に薬剤を塗布する場合について説明する。
図5に示すように、使用者は、まず、第1下部側面1221が上方を向くようにして、第2及び第4下部側面1222,1224を下側又は上側から親指及び人差し指で掴む。このとき、吐出孔231は上方を向いており、この状態で、ノズル23をリムRの裏側に近づける。そして、容器の角度を調整しつつ、鏡面3にリムRの裏側を映し出して薬剤を噴射する対象領域を確認する。このとき、吐出孔231の吐出方向Y1と、鏡面を直交する仮想線Y2とはほぼ平行となっているため、鏡面3は吐出孔231の吐出方向と同じ方向を向く。そのため、対象領域に吐出孔231を向ける位置決め動作と、鏡面に対象領域を映し出す確認動作とを、吐出孔231及び鏡面3の角度を変えることなく一連の動きで行うことができる。
【0027】
こうして、汚れがある領域を特定した上で、親指及び人差し指で第2及び第4下部側面1222,1224を押圧すると、容器本体1の内圧が増大する。これにより、薬剤が容器本体1から押し出され、蓋部材2の吐出孔231から噴射されて対象領域に塗布される。このとき、使用者は、鏡面3により、薬剤が対象領域に正しく塗布されたか否かを確認することができる。また、所定時間経過後、或いはブラシ等で掃除した後、鏡面3を用いて対象領域の汚れが除去されたか否かを容易に確認することもできる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、容器本体1において、薬剤を吐出する吐出孔231と同じ側に鏡面3が設けられているため、便器のリムRの裏側のように、見え難い領域であっても、鏡面3によって、その領域を映し出すことができる。したがって、使用者が身をかがめてのぞき込んだり、手鏡を使用することなく、見え難い領域を鏡面で確認した上で、又は鏡面で確認しながら薬剤を噴射することができる。その結果、対象領域の汚れの確認、薬剤の塗布の確認、及び汚れの除去の確認を確実に行うことができる。
【0029】
また、第1下部側面1221は、第1上部側面1231との境界から軸線Xに近づくように傾斜しているため、底面121側から取付部125の鏡面3を見たとき、第1下部側面1221が鏡面3への視線を阻害することなく、鏡面3を見ることができる。したがって、鏡面3を確実に見ながら、洗浄操作を行うことができる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、吐出孔231の吐出方向Y1と、鏡面3を直交する仮想線Y2とが略平行となるようにしているが、
図6に示すように、これらが交差するように構成することができる。このようにすると、吐出孔231の吐出方向Y1と、鏡面3を直交する仮想線Y2との交差部分Zに対象領域が位置すると、対象部分を鏡面3に映しながら、薬剤を噴射することができる。したがって、対象領域への薬剤の塗布をさらに確実に行うことができる。
【0031】
また、上記実施形態では、断面矩形状の容器本体1について説明したが、容器本体1や蓋部材2の形状は、薬剤を排出できるように押圧可能であり、少なくとも鏡面が吐出孔231の吐出方向を向いていれば、特には限定されない。例えば、
図7に示すように、吐出孔231の吐出方向Y1と口部11の軸線方向Xとを一致させるとともに、容器本体1を中間部で屈曲させ、屈曲部分から底面12側へ向かう第1下部側面1221の傾斜面に鏡面部材3を配置することができる。鏡面部材3が吐出方向Y1を向いていれば、これ以外の形状ももちろん可能である。
【0032】
上記実施形態では、取付部125を平坦にしているが、これを湾曲させてもよい。例えば、
図8に示すように、取付部125に軸線X周りに凸となるような取付面を形成することもできる。このようにすると、容器の内部が減圧したときに、取付面が容器本体の内側に向かって収縮するのを防止することができるため、鏡面部3の取付状態が更に安定する。なお、このような凸面を形成するための曲率半径は、使用者が鏡面3に映し出される対象領域を視認できる程度であれば特に限定されないが、例えば曲率半径は150mm〜250mm程度とするのが好ましい。但し、曲率半径がこれよりも小さくてもよく、このようにすると、鏡面3に映し出される範囲が広くなるため、鏡面3を介して見える視野が大きくなるという利点がある。
【0033】
このほか、
図9に示すように、軸線方向Xに沿って鏡面3を凹状に湾曲させたり、
図10に示すように、軸線方向Xに沿って鏡面3を凸状に湾曲させることもできる。このように、鏡面3は平面を湾曲させた形状のほか、三次元的な球面状など種々の曲面にすることができる。
【0034】
また、鏡面部材3は、シート状でなくてもよく、板状の鏡面部材3を取付部125に取り付けてもよく、鏡面としての機能を果たすものであれば、他の構成のものであっても良い。更に、鏡面部材3は、矩形シート状でなくてもよく、例えば丸形状、楕円形状、三角形状などであっても良い。
【0035】
上記実施形態では、鏡面部材3を容器本体1の側面に固定しているが、鏡面部材3を容器本体1に対し着脱自在に取り付けるように構成してもよい。このとき、その鏡面が吐出孔231の吐出方向Y1を向く限りは、鏡面部材3を容器本体1の任意の位置に取り付けるようにすることもできる。また、例えば、鏡面部材3が蓋部材2に引っ掛けられるなどして本発明の薬剤容器に取り付けられる場合であっても、鏡面部材3が容器本体1に接触したり、あるいは容器本体1の一部を覆うような位置にある限り、鏡面部材3は容器本体1に取り付けられたものとする。
【符号の説明】
【0036】
1 容器本体
11 口部
125 取付部
1251 リブ
2 蓋部材
231 吐出孔
3 鏡面部材
S1 傾斜面(第2傾斜面)
S2 傾斜面(第1傾斜面)