(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該環状支持台の該複合ガラスプレート支持部には吸引保持溝が形成されており、該吸引保持溝に負圧を作用することにより、該複合ガラスプレートを該複合ガラスプレート支持部に着脱可能に吸引支持する、請求項1記載のチャックテーブル。
該テーブル基台の該固定部には吸引保持溝が形成されており、該吸引保持溝に負圧を作用することにより、該保持テーブルを構成する該環状支持台を該テーブル基台の該固定部に着脱可能に吸引固定する、請求項1又は2記載のチャックテーブル。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
個々に分割された半導体デバイスは、その裏面にポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂脂等で形成された厚さ20〜40μmのダイアタッチフィルムと称するダイボンディング用の接着フィルムが装着され、この接着フィルムを介して半導体デバイスを支持するダイボンディングフレームに加熱することによりボンディングされる。半導体デバイスの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを装着する方法としては、半導体ウエーハの裏面に接着フィルムを貼着し、この接着フィルムを介して半導体ウエーハをダイシングテープに貼着した後、半導体ウエーハの表面に形成されたストリートに沿って切削ブレードにより接着フィルムと共に切断することにより、裏面に接着フィルムが装着された半導体デバイスを形成している。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
しかるに、上記特許文献1に開示された方法によると、切削ブレードにより半導体ウエーハとともに接着フィルムを切断して個々の半導体デバイスに分割する際に、半導体デバイスの裏面に欠けが生じたり、接着フィルムに髭状のバリが発生してワイヤボンディングの際に断線の原因になるという問題がある。
【0005】
近年、携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、より薄い半導体デバイスが要求されている。より薄く半導体デバイスを分割する技術として所謂先ダイシング法と称する分割技術が実用化されている。この先ダイシング法は、半導体ウエーハの表面からストリートに沿って厚みが20〜40μmの切削ブレードによって所定の深さ(半導体デバイスの仕上がり厚さに相当する深さ)の分割溝を形成し、その後、表面に分割溝が形成された半導体ウエーハの裏面を研削して裏面に切削溝を表出させ個々の半導体デバイスに分割する技術であり、半導体デバイスの厚さを50μm以下に加工することが可能である。
【0006】
しかるに、先ダイシング法によって半導体ウエーハを個々の半導体デバイスに分割する場合には、半導体ウエーハの表面からストリートに沿って所定の深さの分割溝を形成した後に半導体ウエーハの裏面を研削して該裏面に分割溝を表出させるので、ダイボンディング用の接着フィルムを前もって半導体ウエーハの裏面に装着することができない。従って、先ダイシング法によって半導体デバイスを支持するダイボンディングフレームにボンディングする際には、半導体デバイスとダイボンディングフレームとの間にボンド剤を挿入しながら行わなければならず、ボンディング作業を円滑に実施することができないという問題がある。
【0007】
このような問題を解消するために、先ダイシング法によって個々の半導体デバイスに分割されたウエーハの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを装着し、この接着フィルムを介して半導体デバイスをダイシングテープに貼着した後、各半導体デバイス間の間隙に露出された接着フィルムの部分に、半導体デバイスの表面側から上記間隙を通してレーザー光線を照射し、接着フィルムの上記間隙に露出された部分を溶断するようにした半導体デバイスの製造方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように先ダイシング法によって個々の半導体デバイスに分割されたウエーハの裏面にダイボンディング用の接着フィルムを装着し、この接着フィルムを介して半導体デバイスをダイシングテープに貼着した後、各半導体デバイス間の間隙に露出された接着フィルムの部分に、半導体デバイスの表面側から上記間隙を通してレーザー光線を照射する際には、分割溝によって形成された半導体デバイス間の間隙を検出してレーザー光線照射位置のアライメントを実施する。
しかるに、半導体デバイスに形成される切削溝は幅が20〜40μmであるため、レーザー加工装置のチャックテーブルに保持されたウエーハに形成されている分割溝を撮像装置によって認識することが困難であり、分割溝(半導体デバイス間の間隙)から外れてレーザー光線が照射される場合がある。
このため、接着フィルムの溶断が不十分となり、ダイシングテープから接着フィルム付きデバイスをピックアップすることができないとともに、デバイスの裏面を損傷させるという問題がある。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、被加工物に形成されている分割溝を確実に認識することができる加工装置に装備されるチャックテーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、加工装置に装備され被加工物を保持するためのチャックテーブルであって、
被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルを支持するテーブル基台と、を具備し、
該保持テーブルは、表面から裏面に至り空気の流動を許容する多孔質ガラスで形成された多孔質プレートと該多孔質プレートを収容する収容凹部を有し該多孔質プレートに吸引力を伝達する吸引孔を備えたガラスで形成された収容プレートとからなる複合ガラスプレートと、該複合ガラスプレートの外周部を支持し該吸引孔に連通する連通孔を備えた複合ガラスプレート支持部と該複合ガラスプレートを囲繞して形成された環状支持部とを備えた環状支持台とから構成され、
該テーブル基台は、該保持テーブルを構成する該環状支持台を固定する環状の固定部と、該環状の固定部の内側に形成された発光体収容部と、該発光体収容部に配設された発光体とからなり、該環状支持台に形成された連通孔に吸引力を伝達する吸引力伝達孔が設けられている、
ことを特徴とするチャックテーブルが提供される。
【0012】
上記環状支持台の複合ガラスプレート支持部には吸引保持溝が形成されており、該吸引保持溝に負圧を作用することにより、複合ガラスプレートを複合ガラスプレート支持部に着脱可能に吸引支持する。
また、上記テーブル基台の該固定部には吸引保持溝が形成されており、該吸引保持溝に負圧を作用することにより、保持テーブルを構成する環状支持台をテーブル基台の固定部に着脱可能に吸引固定する。
更に、上記複合ガラスプレートを構成する収容プレートに設けられた
収容凹部の底面には同心円状に形成された複数の円形吸引溝が設けられており、該複数の円形吸引溝は連通溝を介して吸引孔に連通されている。
また、上記複合ガラスプレートは、収容プレートに設けられた
収容凹部の底面における複数の円形吸引溝の間に配設されたボンド剤を介して接合されている。
また、上記テーブル基台には、発光体収容部を冷却するための冷却手段が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるチャックテーブルは、被加工物を保持する保持テーブルと、保持テーブルを支持するテーブル基台とを具備し、保持テーブルは、表面から裏面に至り空気の流動を許容する多孔質ガラスで形成された多孔質プレートと該多孔質プレートを収容する収容凹部を有し該多孔質プレートに吸引力を伝達する吸引孔を備えたガラスで形成された収容プレートとからなる複合ガラスプレートと、該複合ガラスプレートの外周部を支持し該吸引孔に連通する連通孔を備えた複合ガラスプレート支持部と該複合ガラスプレートを囲繞して形成された環状支持部とを備えた環状支持台とから構成され、テーブル基台は、保持テーブルを構成する環状支持台を固定する環状の固定部と、該環状の固定部の内側に形成された発光体収容部と、該発光体収容部に配設された発光体とからなり、環状支持台に形成された連通孔に吸引力を伝達する吸引力伝達孔が設けられているので、例えば保持テーブルに保持されたウエーハに形成された分割溝を検出してレーザー光線照射位置のアライメントを実施する際には上記発光体を点灯せしめる。この結果、発光体による光がウエーハに形成された分割溝を透過するため、撮像手段によって分割溝を確実に検出することができる。従って、レーザー光線を分割溝を通してウエーハの裏面に装着された接着フィルムに確実に照射することができ、個々に分割されたデバイスの外周縁に沿って接着フィルムを確実に切断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従って構成されたチャックテーブルの好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明に従って構成されたチャックテーブルが装備されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。
図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記矢印Xで示す方向と直角な矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構7と、該レーザー光線照射ユニット支持機構7に矢印Zで示す方向に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット8とを具備している。
【0016】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す加工送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒状の支持筒体34によって回転可能に支持された被加工物保持手段としてのチャックテーブル4を具備している。
【0017】
チャックテーブル4について、
図2および
図3を参照して説明する。
図2および
図3に示すチャックテーブル4は、第2の滑動ブロック33の上面に配設された円筒状の支持筒体34に図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。チャックテーブル4は、被加工物を保持する保持テーブル5と、該保持テーブル5を支持するテーブル基台6を具備している。保持テーブル5は、円盤状の多孔質プレート51と該多孔質プレート51を上面に装着する収容プレート52とからなる複合ガラスプレート50と、該複合ガラスプレート50を支持する環状支持台53とからなっている。
【0018】
保持テーブル5の複合ガラスプレート50を構成する多孔質プレート51は、表面から裏面に至り空気の流動を許容する多孔質ガラスで形成されている。また、複合ガラスプレート50を構成する収容プレート52は、ガラス材によって円盤状に形成されており、上面に上記多孔質プレート51が嵌合する
収容凹部521が設けられている。この
収容凹部521は、深さが上記多孔質プレート51の厚みと同一寸法に形成されており、底面5521aには同心円状に形成された複数の円形吸引溝521bおよび該複数の円形吸引溝521bに連通する連通溝521cが設けられている。また、収容プレート52には、
図3に示すように上記連通溝521cと連通する吸引孔521dが設けられているとともに、下面に位置決め穴521eが設けられている。このように構成された収容プレート52の
収容凹部521に多孔質プレート51を嵌合することにより複合ガラスプレート50が構成される。なお、複合ガラスプレート50を構成する収容プレート52と多孔質プレート51は、上記同心円状に形成された複数の円形吸引溝521bの間に配設されたボンド剤を介して接合されていることが望ましい。
【0019】
保持テーブル5を構成する環状支持台53は、内周部上面が環状の段差を持って形成され上記複合ガラスプレートの外周部を支持する複合ガラスプレート支持部531と、該複合ガラスプレート支持部531を囲繞して形成された環状支持部532を備えている。複合ガラスプレート支持部531には、上記複合ガラスプレート50を構成する収容プレート52に設けられた吸引孔521dと連通する連通孔531aが設けられているとともに、上記収容プレート52の下面に設けられた位置決め穴521eが嵌合する位置決めピン531bが設けられている。また、複合ガラスプレート支持部531には、円弧状の吸引保持溝531cが設けられているとともに、該円弧状の吸引保持溝531cと連通する吸引保持孔531dが設けられている。この吸引保持孔531dは、後述するテーブル基台6に設けられる吸引固定孔を介して図示しない吸引手段に連通されるようになっている。なお、
図2においては円弧状の吸引保持溝531cおよび吸引保持孔531dは各1個が示されているが、複合ガラスプレート支持部531には上記連通孔531aと位置決めピン531bを結ぶ線を線対称として一対の円弧状の吸引保持溝および吸引保持孔が設けられている。
【0020】
保持テーブル5を構成する環状支持台53の上記複合ガラスプレート支持部531を囲繞して形成された環状支持部532の内周部には、互いに対向する位置に設けられた半円弧状の凹部532a、532aが設けられている。この半円弧状の凹部532a、532aは、複合ガラスプレート支持部531に嵌合された保持テーブル5を取り出す際に指を入れることができるようになっている。また、環状支持部532の下面には、
図3に示すように後述するテーブル基台6との位置決め用の位置決め穴532bが設けられている。更に、環状支持部532には、後述する環状のフレームを吸引保持するための4個の吸着手段54が配設されている。この吸着手段54について、
図4を参照して説明する。
図4に示す吸着手段54は、
図2に示すように環状支持部532に設けられた円形凹部532cに配設された吸着パッド541を備えている。この吸着パッド541は、蛇腹状の支持部541aを備えており、上端が環状支持部532の上面より僅かに突出するように構成されている。このように構成された吸着パッド541は、環状支持部532に設けられた吸着パッド用連通孔532dに連通されている。
【0021】
保持テーブル5を構成する複合ガラスプレート50および環状支持台53は以上のように構成されており、環状支持台53の複合ガラスプレート支持部531に複合ガラスプレート50を構成する収容プレート52を嵌合する。なお、環状支持台53の複合ガラスプレート支持部531の段差は複合ガラスプレート50の厚みより僅かに浅い寸法に形成されており、従って複合ガラスプレート50の上面(被加工物保持面)は環状支持部532より僅かに突出するように構成される。この結果、複合ガラスプレート50の上面(被加工物保持面)に載置される被加工物を複合ガラスプレート50の上面(被加工物保持面)で確実に支持することができる。なお、保持テーブル5を構成する複合ガラスプレート50は被加工物であるウエーハの大きさに対応して複数用意することが望ましく、保持テーブル5を構成する環状支持台53は環状支持部532を複合ガラスプレート50の大きさおよび後述する環状のフレームの大きさに対応して複数用意することが望ましい。
【0022】
上記テーブル基台6は、保持テーブル5を構成する環状支持台53の外周部を固定するための環状の固定部61と、該環状の固定部61の内側に段差を設けて形成された凹状の発光体収容部62と、該発光体収容部62に配設された発光体63とからなっている。環状の固定部61には、上記保持テーブル5を構成する環状支持台53に設けられた連通孔531aと連通する吸引力伝達孔611および上記吸着パッド用連通孔532dと連通する吸着パッド用吸引孔612が設けられている。環状の固定部61の上面には、円弧状の吸引固定溝613、613が設けられているとともに、該円弧状の吸引保持溝613、613と連通する吸引固定孔614、614が設けられている。また、環状の固定部61の上面には、上記保持テーブル5を構成する環状支持台53との位置決め用の位置決めピン615が設けられている。この位置決めピン615は
図3に示すように環状支持台53の環状支持部532の下面に形成された位置決め穴532bと嵌合するようになっている。なお、上記吸引力伝達孔611と上記吸着パッド用吸引孔612および吸引固定孔614、614は、図示しない吸引手段に連通するように構成される。
【0023】
上記環状の固定部61の内側に形成された凹状の発光体収容部62に配設された発光体63は、LED等からなっている。この発光体63が発光することによって発する熱による影響を防止するために、上記テーブル基台6には発光体収容部62を冷却するための冷却手段65が設けられている。冷却手段65は、発光体収容部62の下側に冷却室650が形成され、該冷却室650を形成する底壁651には冷却風導口651aが設けられているとともに、外周壁652には冷却風排出口652aが設けられている。
【0024】
テーブル基台6は以上のように構成されており、テーブル基台6の上面に保持テーブル5を構成する環状支持台53を載置し、テーブル基台6の上面に設けられた位置決めピン615に環状支持台53の環状支持部532の下面に形成された位置決め穴532bを嵌合することにより両者が位置決めされ、チャックテーブル4が構成される。このようにしてテーブル基台6に保持テーブル5を構成する環状支持台53を装着することにより、テーブル基台6に設けられた上記吸引力伝達孔611と上記吸着パッド用吸引孔612は、保持テーブル5を構成する環状支持台53に設けられた連通孔531aと吸着パッド用連通孔532dにそれぞれ連通せしめられる。
【0025】
以上のようにして、テーブル基台6に保持テーブル5を構成する環状支持台53を装着したならば、図示しない吸引手段を作動すると、テーブル基台6に設けられた吸引固定孔614、614を介して円弧状の吸引保持溝613、613に負圧が作用するため、保持テーブル5を構成する環状支持台53が着脱可能に吸引固定される。また、図示しない吸引手段を作動すると、吸引固定孔614、614および吸引保持孔531dを介して保持テーブル5を構成する環状支持台53の複合ガラスプレート支持部531に設けられた円弧状の吸引保持溝531cに負圧が作用するため、複合ガラスプレート50が複合ガラスプレート支持部531に着脱可能に吸引支持される。更に、図示しない吸引手段を作動すると、テーブル基台6に設けられた吸引力伝達孔611と保持テーブル5を構成する環状支持台53に設けられた連通孔531aおよび複合ガラスプレート50を構成する収容プレート52の
収容凹部521の底面521aに形成された連通溝521cを介して同心円状に形成された複数の円形吸引溝521bに負圧が作用する。この結果、収容プレート52の
収容凹部521に嵌合された多孔質プレート51の下面から上面に負圧が作用せしめられ、複合ガラスプレート50の上面(被加工物保持面)に載置された被加工物を吸引保持することができる。また、図示しない吸引手段を作動すると、テーブル基台6に設けられた吸着パッド用吸引孔612および保持テーブル5を構成する環状支持台53に設けられた吸着パッド用連通孔532dを介して吸着パッド541に負圧が作用せしめられ、環状支持台53の環状支持部532に載置される後述する被加工物であるウエーハをダイシングテープを介して支持する環状のフレームを吸引保持することができる。
【0026】
上述したように構成されたチャックテーブル4においては、テーブル基台6の環状の固定部61の内側に形成された凹状の発光体収容部62に配設された発光体63を点灯すると、発光体63から発光された光は複合ガラスプレート50を構成するガラス材からなる収容プレート52および多孔質ガラスからなる多孔質プレート51を通して複合ガラスプレート50の上面(被加工物保持面)に載置された被加工物に照射される。
【0027】
図1に戻って説明を続けると、上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動せしめられる。
【0028】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記チャックテーブル4の加工送り量を検出するための加工送り位置検出手段374を備えている。加工送り位置検出手段374は、案内レール31に沿って配設されたリニアスケール374aと、第1の滑動ブロック32に配設され第1の滑動ブロック32とともにリニアスケール374aに沿って移動する読み取りヘッド374bとからなっている。この加工送り位置検出手段374の読み取りヘッド374bは、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル4の加工送り位置を検出する。なお、上記加工送り手段37の駆動源としてパルスモータ372を用いた場合には、パルスモータ372に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル4の加工送り位置を検出することもできる。また、上記加工送り手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル4の加工送り位置を検出することもできる。
【0029】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
【0030】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、上記第2の滑動ブロック33の割り出し加工送り量を検出するための割り出し送り位置検出手段384を備えている。割り出し送り位置検出手段384は、案内レール322に沿って配設されたリニアスケール384aと、第2の滑動ブロック33に配設され第2の滑動ブロック33とともにリニアスケール384aに沿って移動する読み取りヘッド384bとからなっている。この割り出し送り位置検出手段384の読み取りヘッド384bは、図示に実施形態においては1μm毎に1パルスのパルス信号を後述する制御手段に送る。そして後述する制御手段は、入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル4の割り出し送り位置を検出する。なお、上記第1の割り出し送り手段38の駆動源としてパルスモータ382を用いた場合には、パルスモータ382に駆動信号を出力する後述する制御手段の駆動パルスをカウントすることにより、チャックテーブル4の割り出し送り位置を検出することもできる。また、上記加工送り手段37の駆動源としてサーボモータを用いた場合には、サーボモータの回転数を検出するロータリーエンコーダが出力するパルス信号を後述する制御手段に送り、制御手段が入力したパルス信号をカウントすることにより、チャックテーブル4の割り出し送り位置を検出することもできる。
【0031】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構7は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール71、71と、該案内レール71、71上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台72を具備している。この可動支持基台72は、案内レール71、71上に移動可能に配設された移動支持部721と、該移動支持部721に取り付けられた装着部722とからなっている。装着部722は、一側面に矢印Zで示す方向に延びる一対の案内レール723、723が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構7は、可動支持基台72を一対の案内レール71、71に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動させるための第2の割り出し送り手段73を具備している。第2の割り出し送り手段73は、上記一対の案内レール71、71の間に平行に配設された雄ネジロッド731と、該雄ネジロッド731を回転駆動するためのパルスモータ732等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド731は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ732の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド731は、可動支持基台72を構成する移動支持部521の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ732によって雄ネジロッド731を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台72は案内レール71、71に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられる。
【0032】
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット8は、ユニットホルダ81と、該ユニットホルダ81に取り付けられたレーザー光線照射手段82を具備している。ユニットホルダ81は、上記装着部722に設けられた一対の案内レール723、723に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝811、811が設けられており、この被案内溝811、811を上記案内レール723、723に嵌合することにより、矢印Zで示す方向に移動可能に支持される。
【0033】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット8は、ユニットホルダ81を一対の案内レール723、723に沿って矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動させるための移動手段83を具備している。移動手段83は、一対の案内レール823、823の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ832等の駆動源を含んでおり、パルスモータ832によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ81およびレーザビーム照射手段82を案内レール723、723に沿って矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ832を正転駆動することによりレーザー光線照射手段82を上方に移動し、パルスモータ832を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段82を下方に移動するようになっている。
【0034】
図示のレーザー光線照射手段82は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング821を含んでいる。ケーシング821内には図示しないパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング821の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光器822が装着されている。
【0035】
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段82を構成するケーシング821の先端部には、レーザー光線照射手段82によってレーザー加工すべき加工領域およびレーザー加工した領域を撮像する撮像手段80が配設されている。この撮像手段80は、撮像素子(CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を制御手段9に送る。
【0036】
制御手段9はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)91と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)92と、9演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)93と、カウンター94と、入力インターフェース95および出力インターフェース96とを備えている。制御手段9の入力インターフェース95には、上記加工送り位置検出手段374、割り出し送り位置検出手段384および撮像手段80等からの検出信号が入力される。そして、制御手段9の出力インターフェース96からは、上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ532、パルスモータ632、レーザー光線照射手段82および表示手段90等に制御信号を出力する。
【0037】
本発明に従って構成されたチャックテーブル4を装備してレーザー加工装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
【0038】
図5には、上述したレーザー加工装置によって加工される被加工物としての半導体ウエーハが示されている。
図5に示す半導体ウエーハ10は、厚さが例えば50μmのシリコンウエーハからなり、その表面10aには複数のデバイス101がマトリックス状に形成されている。このように構成された半導体ウエーハ10は、デバイス101を区画する格子状に形成されたストリートに沿って分割溝102により個々のデバイス101に分割されている。そして、半導体ウエーハ10の裏面にはダイボンディング用の接着フィルム11が装着され、この接着フィルム11側が環状のフレーム12に装着されたダイシングテープ13の表面に貼着されている。なお、接着フィルム11は、エポキシ系樹脂で形成された半透明なフィルム材からなっている。また、ダイシングテープ13は、ポリ塩化ビニル(PVC)等の半透明な樹脂シートからなっている。
【0039】
次に、上述したレーザー加工装置を用いて、半導体ウエーハ10のデバイス間である分割溝102を通して接着フィルム11にレーザー光線を照射し、接着フィルム11を分割溝102に沿って切断する接着フィルム切断工程を実施する。
上述したレーザー加工装置を用いて接着フィルム切断工程を実施するには、半導体ウエーハ10(ストリートに沿って分割溝102が形成されている)をダイシングテープ13を介して支持した環状のフレーム12を上記チャックテーブル4の保持テーブル5を構成する環状支持台53の環状支持部532に配設された吸着パッド541上に載置するとともに、ダイシングテープ13における半導体ウエーハ10の貼着領域を保持テーブル5の複合ガラスプレート50の上面(被加工物保持面)に載置する。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、上述したように吸着パッド541により環状のフレーム12を吸引保持するとともに、複合ガラスプレート50の上にダイシングテープ13および接着フィルム11を介して半導体ウエーハ10を吸引保持する(ウエーハ吸引保持工程)。
【0040】
次に、個々のデバイス102に分割された半導体ウエーハ10の裏面10bに装着された接着フィルム11のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント工程を実行する。即ち、制御手段9は加工送り手段37を作動してチャックテーブル4を撮像手段80の直下に位置付ける。チャックテーブル4を撮像手段80の直下に位置付けたならば、チャックテーブル4を構成する発光体63を点灯する。この結果、上述したように発光体63から発光された光は複合ガラスプレート50を構成するガラス材からなる収容プレート52および多孔質ガラスからなる多孔質プレート51を通して複合ガラスプレート50の上面(被加工物保持面)に載置された半導体ウエーハ10に照射される。半導体ウエーハ10に照射された光は、分割溝102を透過するため、撮像手段80によって確実に検出することができる。このようにして半導体ウエーハ10の所定方向に形成された分割溝102を検出することにより、集光器822とレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント工程を実行する。また、半導体ウエーハ10に形成されている上記所定方向と直交する方向に延びる分割溝102に対しても、同様にレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント工程を実行する。
【0041】
以上のようにして半導体ウエーハ10の裏面10bに装着された接着フィルム11のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント工程を実施したならば、上記制御手段9はレーザー加工すべき加工領域のX,Y座標値をランダムアクセスメモリ(RAM)93に格納する。なお、レーザー加工すべき加工領域のX,Y座標値は、上記加工送り位置検出手段374および割り出し送り位置検出手段384からの検出信号に基いて求めることができる。
【0042】
次に、チャックテーブル4を集光器822が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリートに沿って形成された分割溝102を集光器822の直下に位置付ける。このとき、半導体ウエーハ10は、分割溝102の一端(
図6の(a)において左端)が集光器822の直下に位置するように位置付けられる。次に、制御手段9は、パルスレーザー光線照射手段82に制御信号を出力して集光器822から接着フィルムに対して吸収性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつ、チャックテーブル4を
図6の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめるように加工送り手段37を制御する。そして、分割溝102の他端が
図6の(b)に示すように集光器822の直下位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル4の移動を停止する。この結果、パルスレーザー光線が所定のストリートに沿って形成された分割溝102を通して接着フィルム11に照射され、接着フィルム11には
図6の(c)に示すようにデバイス102間に沿って切断溝110が形成される(接着フィルム切断工程)。この接着フィルム切断工程においては、上述したアライメント工程において分割溝102が確実に認識され、レーザー加工すべき領域が明確に検出されているので、デバイス101の外周縁に沿って接着フィルム11を確実に切断することができる。
【0043】
上記接着フィルム切断工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 :LD励起QスイッチNd:YVO4パルススレーザー
波長 :355nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 :50kHz
平均出力 :1W
集光スポット径 :φ5μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0044】
上述したようにパルスレーザー光線を所定のストリートに沿って形成された分割溝102を通して接着フィルム11に照射し、接着フィルム11にデバイス102間に沿って切断溝110を形成する接着フィルム切断工程を実施したならば、制御手段9は第1の割り出し送り手段38を作動して、チャックテーブル4を分割溝102の間隔だけ割り出し送りし、上記接着フィルム切断工程を実施する。このようにして所定方向に形成された分割溝102を通して接着フィルム11にパルスレーザー光線を照射する接着フィルム切断工程を実施したならば、チャックテーブル4を90度回動せしめて、上記所定方向と直交する方向に形成された分割溝102を通して接着フィルム11にパルスレーザー光線を照射する接着フィルム切断工程を実施する。この結果、接着フィルム11には、全てのデバイス102間に沿って切断溝110が形成される。
【0045】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、上述した実施形態においては保持テーブル5を構成する環状支持台53をテーブル基台6に吸引固定する例を示したが、環状支持台53をテーブル基台6に締結ボルトによって締結してもよい。
また、上述した実施形態においてはテーブル基台6の発光体収容部62は保持テーブルを構成する複合ガラスプレート50より大きく構成した例を示したが、これは被加工物としてのウエーハの大きさに対応するためである。即ち、ウエーハの大きさに対応した複合ガラスプレート50を備えた保持テーブル5が選択されるので、テーブル基台6の発光体収容部62はウエーハの最大径に対応したガラスプレート50を備えた保持テーブル5に対応できる大きさに設定されている。