【文献】
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【文献】
SORUM CHRISTOPHER,MAGNETIC RESONANCE IN CHEMISTRY,2009年12月29日,P244-248
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の少なくとも1種の化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物、ならびに、任意に賦形剤および/または補助剤を含む、医薬。
腫瘍、癌、腫瘍形成、成長および伝播、動脈硬化、眼疾患、例えば年齢誘発性黄斑変性、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶、免疫系の代謝および疾患、自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病ならびに血管の疾患の処置のための、請求項2に記載の医薬。
【発明の概要】
【0022】
式Iで表される化合物およびそれらの塩が非常に価値のある薬理学的特性を有し、一方良好に認容される(tolerated)ことが見出された。
【0023】
本発明はさらに、本発明による1種または2種以上の化合物の、疾患、好ましくは本明細書に記載される、Rafキナーゼによって引き起こされ、媒介され、かつ/または伝播する疾患、ならびに特にFAKによって引き起こされ、媒介され、かつ/または伝播する疾患の、処置および/または予防における使用に関する。
【0024】
本明細書中で議論される疾患は、通常は2群、過剰増殖および非過剰増殖疾患に分割される。これに関連して、乾癬、関節炎、炎症、子宮内膜症、瘢痕、良性前立腺過形成、免疫学的疾患、自己免疫疾患および免疫不全症は、非癌性疾患と見なされるべきであり、この中で関節炎、炎症、免疫学的疾患、自己免疫疾患および免疫不全症は、通常は非過剰増殖疾患と見なされる。
【0025】
これに関連して、脳癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病は、癌性疾患と見なされるべきであり、これらのすべては通常、過剰増殖疾患と見なされる。
【0026】
特に、癌細胞成長は、本発明の標的である疾患である。本発明は、したがって、前記疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性化合物としての本発明の化合物に、ならびに本発明の化合物の、前記疾患の処置および/または予防のための医薬品の調製のための使用に、ならびに前記疾患の処置方法であって、本発明の1種または2種以上の化合物のかかる投与を必要とする患者への投与を含む、前記方法に関する。
【0027】
本発明の化合物がin vivoで抗増殖作用を有することを、示すことができる。本発明の化合物は、過剰増殖性疾患を有する患者に投与されて、例えば腫瘍成長を阻害し、リンパ増殖性疾患と関連する炎症を低減し、組織修復による移植拒絶または神経学的損傷を阻害するなどする。本化合物は、予防目的または治療目的に適している。
【0028】
本明細書中で用いる「処置」の用語を、疾患の防止および既往症の処置の両方を指すために用いる。増殖の防止を、顕性疾患の進行の前に本発明の化合物を投与することによって達成して、例えば腫瘍の成長を防止し、転移成長を防止し、心臓血管手術と関連する再狭窄を軽減するなどする。あるいはまた、当該化合物を、患者の臨床症状を安定化するかまたは改善することにより、進行中の疾患の処置のために用いる。
【0029】
宿主または患者は、任意の哺乳動物種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属し得る。動物モデルは、実験的調査のために興味深く、ヒト疾患の処置のためのモデルを供給する。
【0030】
特定の細胞の本発明の化合物での処理に対する感受性を、in vitro試験によって決定することができる。典型的には、細胞の培養物を、様々な濃度で、活性剤が細胞死を誘発するかまたは遊走を阻害することを可能にするのに十分である期間にわたって、通常約1時間〜1週間、本発明の化合物と組み合わせる。in vitro試験を、生検試料からの培養した細胞を用いて行うことができる。次に、処理の後に残留する生細胞を計数する。
【0031】
用量は、用いる特定の化合物、特定の疾患、患者の状態などに依存して変化する。治療的用量は、典型的には、標的組織中の所望されない細胞集団をかなり低減し、一方患者の生存能を維持するのに十分である。処理を、一般的には、かなりの低減、例えば細胞負荷の少なくとも約50%の低減が生じるまで継続し、所望されない細胞がもはや身体中で本質的に検出されなくなるまで継続してもよい。
【0032】
キナーゼ阻害剤の同定のために、様々なアッセイ系が利用可能である。シンチレーション近接アッセイ(Sorg et al., J. of Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)およびフラッシュプレートアッセイにおいて、基質としてのタンパク質またはペプチドのγATPでの放射性リン酸化を、測定する。阻害化合物の存在下で、低下した放射性シグナルが検出可能であるか、または完全に検出可能ではない。さらに、均一な時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術は、アッセイ法として好適である(Sills et al., J. of Biomolecular Screening, 2002, 191-214)。
【0033】
他の非放射性ELISAアッセイ法は、特定のホスホ抗体(ホスホ−AB)を用いる。ホスホ−ABは、リン酸化された基質のみを結合する。この結合を、化学発光によって、二次ペルオキシダーゼ抱合型抗ヒツジ抗体を用いて検出することができる(Ross et al., 2002, Biochem. J., 366: 977 - 981)。
【0034】
細胞増殖および細胞死(アポトーシス)の調節解除に関連した多くの疾患がある。関連する状態は以下のものを含むが、それらには限定されない。本発明の化合物は、平滑筋細胞および/または炎症細胞の血管の内膜層中への増殖および/または遊走があり、例えば新生内膜の閉塞性病変の場合における、当該血管を通っての制限された血流がもたらされる多くの状態の処置に適している。関連する閉塞性血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、移植後の移植冠血管疾患、静脈移植血管狭窄、吻合周囲補綴の再狭窄(peri-anastomatic prosthetic restenosis)、血管形成術またはステント留置後の再狭窄などを含む。
【0035】
従来の技術
他の二環式複素環式化合物は、WO 2003/035065におよびWO 2006/114180に記載されている。
FAK阻害剤としての、ピリジン誘導体は、WO 2009/105498およびWO 2008/115369に記載されている。
癌に対抗するための他のピリミジン誘導体は、WO 2004/056807およびWO 2010/055117に記載されている。
【0036】
発明の概要
本発明は、式I
【化1】
式中、
X
1は、CまたはNを示し、
X
2は、CまたはNを示し、
X
3は、CまたはNを示し、
X
4は、CまたはNを示し、
X
5は、CまたはNを示し、
【0037】
R
1は、X
1=Nの場合は不在である、
または
NH(CH
2)
nHetもしくはNH(CH
2)
nArを示し、
R
2は、X
2=Nの場合は不在である、
または
HもしくはHet
1を示し、
R
3は、X
3=Nの場合は不在である、
または
H、N、A、Hal、Cyc、OHもしくはOAを示し、
【0038】
R
4は、X
4=Nの場合は不在である、
または
【化2】
を示し、
R
5は、X
5=Nの場合は不在である、
または
HもしくはHalを示し、
R
6は、H、Ar
2、A、Het
2、COHet
3、CONH
2、CONHA、CONA
2またはCycを示し、
R
7は、Hまたは1、2、3もしくは4個のC原子を有するアルキルを示し、
【0039】
Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリル、ジヒドロインドリル、インダゾリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリダジニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニルまたはテトラヒドロピラニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
【0040】
Arは、非置換であるか、またはHal、A、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nOA、(CH
2)
nCN、NO
2、SO
2A、COOH、COOA、NH
2、NHA、NA
2、CHO、COA、(CH
2)
nCONH
2、(CH
2)
nCONHA、(CH
2)
nCONA
2、Het
3、NHCOHet
3、SO
2NH
2、SO
2NHAおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換、三置換、四置換もしくは五置換されているフェニルを示し、
【0041】
Het
1は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリル、ジヒドロインドリル、インダゾリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリダジニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニルまたはテトラヒドロピラニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、OH、NR
7SO
2Aおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
【0042】
Ar
1は、非置換であるか、またはHal、A、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nOA、(CH
2)
nCN、NO
2、SO
2A、COOH、COOA、NH
2、NHA、NA
2、CHO、COA、(CH
2)
nCONR
7、Het
3、NHCOHet
3、NR
7SO
2Aおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換、三置換、四置換もしくは五置換されているフェニルを示し、
【0043】
Het
2は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリル、インドリニル、ジヒドロインドリル、インダゾリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリダジニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、オキサゾリジニルまたはテトラヒドロピラニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、NR
7SO
2A、Het
3および/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されており、
【0044】
Ar
2は、非置換であるか、あるいはHal、A、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nOA、(CH
2)
nCN、NO
2、SO
2A、COOH、COOA、NH
2、NHA、NA
2、CHO、COA、(CH
2)
nCONH
2、(CH
2)
nCONHA、(CH
2)
nCONA
2、CONHHet
3、COHet
3、Het
3、NHCOHet
3、NR
7SO
2Aおよび/もしくはNHCOAによって単置換、二置換、三置換、四置換もしくは五置換されたフェニル、またはインダニルを示し、それは=Oによって置換されていてもよく、
【0045】
Het
3は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、インダニル、ジヒドロピリダジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、ジヒドロインドイル、ジヒドロピリジル、インドリル、インダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、キノリル、キノキサリニル、キナゾリニルまたはテトラヒドロキノリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、(CH
2)
nN(R
7)
2および/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されており、
【0046】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状もしくは分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子はFによって置き換えられていてもよく、ならびに/またはここで1つもしくは2つの隣接していないCHおよび/もしくはCH
2基は、O、NHおよび/もしくはNA’によって置き換えられていてもよく、
A’は、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
【0047】
Cycは、3、4、5、6または7個のC原子を有し、非置換であるか、またはCON(R
7)
2もしくはNR
7SO
2Aによって単置換されている環状アルキルを示し、
HalはF、Cl、BrまたはIを示し、
nは0、1または2を示し、
【0048】
ただし、
a)X
1、X
2、X
3およびX
4の少なくとも1つはNを示し、かつ最大2つが同時にNを示し、
b)X
1=Nである場合は、X
4≠NかつR
4≠Hであり、
c)X
4=Nである場合は、X
1≠Nである、
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0049】
本発明は、式Iで表される化合物およびそれらの塩に、ならびに式Iで表される化合物であって、式中
X
1が、Nを示し、
X
2が、Cを示し、
X
3が、Cを示し、
X
4が、Cを示し、
X
5が、Cを示し、
R
4が、NH(CH
2)
nHet
1またはNH(CH
2)
nAr
1を示す
前記化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体の製造方法であって、
【0050】
式II
【化3】
式中、
X
1は、Nを示し、
X
2、X
3、X
4、X
5は、Cを示し、
Halは、Cl、BrまたはIを示し、
Lは、シリル保護基を示し、
および
R
1、R
2、R
3、R
5は、請求項1で示した意味を有する、
で表される化合物を、
【0051】
式IIIaまたはIIIb
H
2N(CH
2)
nHet
1 IIIa H
2N(CH
2)
nAr
1 IIIb
式中、Het
1、Ar
1およびnは、請求項1で示した意味を有する、
で表される化合物と反応させること、
かつ/あるいは
式Iで表される塩基または酸をその塩の1種に変換するること
を特徴とする、前記方法に関する。
【0052】
式Iで表される化合物はまた、これらの化合物の水和物および溶媒和物を意味するものと解釈される。
本発明はまた、これらの化合物の光学活性型(立体異性体)、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、それらの相互の引力のために生成する、不活性溶媒分子の化合物上へのアダクションを意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば一水和物もしくは二水和物またはアルコラートである。
【0053】
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解釈される。
プロドラッグ誘導体は、例えばアルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の有効な化合物を形成する、式Iで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm.
115, 61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
本発明は、当然にまた、式Iで表される化合物の塩の溶媒和物に関する。
【0054】
本発明はまた、本発明の式Iで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば比率1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000での混合物に関する。
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
【0055】
「有効量」の表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師によって求められているかまたは所望されている生物学的または薬学的応答を引き起こさせる、医薬の、または薬学的に活性な化合物の量を示す。
さらに、「治療的有効量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害もしくは副作用の改善された処置、治癒、防止もしくは解消、あるいはまた疾患、愁訴もしくは障害の進行の低減
を有する量を示す。
表現「治療的有効量」はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0056】
1回より多く出現するすべてのラジカル、例えば、Aについて、それらの意味は互いに独立している。
SEM−Cl = 2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド
S−Phos = 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル
Xanthphos = 4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン
DABCO = 1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
TFA = トリフルオロ酢酸
【0057】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直鎖状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
【0058】
Aは、非常に特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
【0059】
アルキル基中の1つまたは2つの隣接していないCHおよび/またはCH
2基はまた、O、NHおよび/またはNA’によって置き換えられていてもよい。
アルキルはまた、CH
2O−CH
2−CH
2−OHまたはCH
2−CH
2N(CH
3)
2を示してもよい。
A’は、好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはベンジルを示す。
【0060】
環状アルキルは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを示す。
Aは、アルコキシを示し、好ましくは、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、トリフルオロメトキシまたはシクロペントキシである。
【0061】
−COA(アシル)は、好ましくはアセチル、プロピオニル、さらにまたブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイルまたは例えばベンゾイルを示す。
Halは、好ましくはF、ClまたはBr、しかしまたIを示す。
X
1は、好ましくはNを示す。
X
2は、好ましくはCを示す。
X
3は、好ましくはCを示す。
X
4は、好ましくはCを示す。
X
5は、好ましくはCを示す。
R
7は、好ましくはHまたはメチルを示す。
【0062】
Arは、例えば、非置換フェニル、さらに好ましくは、例えばA、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、スルホンアミド、メチルスルホンアミド、エチルスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、ジメチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、Het
3および/またはNHCOHet
3によって単置換、二置換または三置換されているフェニルを示す。
Arは、特に好ましくは、(CH
2)
nOAおよび/またはHet
3によって単置換または二置換されているフェニルを示す。
【0063】
Ar
1は、例えば、非置換フェニル、さらに、好ましくは、例えば、A、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、スルホンアミド、メチルスルホンアミド、エチルスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、ジメチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル、Het
3および/またはNHCOHet
3によって単置換、二置換または三置換されているフェニルを示す。
【0064】
Ar
1は、特に好ましくは、Hal、(CH
2)
nCN、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONR
7および/またはNR
7SO
2Aによって単置換または二置換されているフェニルを示す。
【0065】
Ar
2は、例えば、非置換フェニル、さらに好ましくは、例えばA、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ベンジルオキシ、スルホンアミド、メチルスルホンアミド、エチルスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、ジメチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニル Het
3および/またはNHCOHet
3によって単置換、二置換または三置換されているフェニルを示す。
【0066】
Ar
2は、特に好ましくは、Hal、A、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nOA、COOA、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONH
2、(CH
2)
nCONHA、(CH
2)
nCONA
2、CONHHet
3、COHet
3、Het
3および/またはNHCOHet
3によって単置換、二置換、三置換、四置換または五置換されているフェニルを示す。
【0067】
Hetは、好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリル、ジヒドロインドリル、インダゾリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリダジニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニルまたはテトラヒドロピラニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはAおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されている。
【0068】
Hetは、特に好ましくはピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、Aまたは=Oによって単置換されている。
【0069】
Het
1は、好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリル、ジヒドロインドリル、インダゾリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリダジニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニルまたはテトラヒドロピラニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、NR
7SO
2Aおよび/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されている。
【0070】
Het
1は、特に好ましくはピリジル、ピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、A、OH、NR
7SO
2Aおよび/または=Oによって単置換、二置換または三置換されている。
【0071】
Het
2は、好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリル、インドリニル、ジヒドロインドリル、インダゾリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピリダジニル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、オキサゾリジニルまたはテトラヒドロピラニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、NR
7SO
2A、Het
3および/もしくは=Oによって単置換、二置換もしくは三置換されている。
【0072】
Het
2は、特に好ましくはピリジル、オキサジアゾリル、ジヒドロピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、インドリニルまたはピラゾリルを示し、その各々は、A、NR
7SO
2A、Het
3および/または=Oによって単置換または二置換されている。
【0073】
Het
3は、好ましくはピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、インダニル、ジヒドロピリダジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、ジヒドロインドイル、ジヒドロピリジル、インドリル、インダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、キノリル、キノキサリニル、キナゾリニルまたはテトラヒドロキノリルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、(CH
2)
nN(R
7)
2および/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されている。
【0074】
Het
3は、特に好ましくはピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、(CH
2)
nN(R
7)
2および/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されている。
【0075】
したがって、本発明は特に、述べたラジカルの少なくとも1つが上に示した好ましい意味の1つを有する式Iで表される化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群を、以下の従属式Ia〜Igによって表すことができ、それは式Iに適合し、ここで、より詳細に表示しないラジカルは、式Iの場合において示した意味を有するが、ここで
【0076】
Iaにおいて、Arは、(CH
2)
nOAおよび/またはHet
3によって単置換または二置換されているフェニルを示し;
Ibにおいて、Hetは、ピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、Aまたは=Oによって単置換されており;
Icにおいて、Het
1は、ピリジル、ピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、A、OH、NR
7SO
2Aおよび/または=Oによって単置換、二置換または三置換されており;
【0077】
Idにおいて、Ar
1は、Hal、(CH
2)
nCN、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONR
7および/またはNR
7SO
2Aによって単置換または二置換されているフェニルを示し;
Ieにおいて、Het
2は、ピリジル、オキサジアゾリル、ジヒドロピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、インドリニルまたはピラゾリルを示し、その各々は、A、NR
7SO
2A、Het
3および/または=Oによって単置換または二置換されており;
【0078】
Ifにおいて、Ar
2は、Hal、A、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nOA、COOA、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONH
2、(CH
2)
nCONHA、(CH
2)
nCONA
2、CONHHet
3、COHet
3、Het
3および/またはNHCOHet
3によって単置換、二置換、三置換、四置換または五置換されているフェニル、あるいはインダニルを示し、それは=Oによって置換されていてもよく;
【0079】
Igにおいて、Het
3は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、(CH
2)
nN(R
7)
2および/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されており、
【0080】
Ihにおいて、X
1はCまたはNを示し、
X
2はCまたはNを示し、
X
3はCまたはNを示し、
X
4はCまたはNを示し、
X
5はCまたはNを示し、
【0081】
R
1は、X
1=Nの場合は不在である、
または
NH(CH
2)
nHetもしくはNH(CH
2)
nArを示し、
R
2は、X
2=Nの場合は不在である、
または
HもしくはHet
1を示し、
R
3は、X
3=Nの場合は不在である、
または
H、CN、A、Hal、Cyc、OHもしくはOAを示し、
【0082】
R
4は、X
4=Nの場合は不在である、
または
【化4】
を示し、
R
5は、X
5=Nの場合は不在である、
または
HもしくはHalを示し、
R
6は、H、Ar
2、A、Het
2、COHet
3、CONH
2、CONHA、CONA
2またはCycを示し、
R
7は、Hまたは1、2、3もしくは4個のC原子を有するアルキルを示し、
【0083】
Hetは、ピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、Aまたは=Oによって単置換されており、
Arは、(CH
2)
nOAおよび/またはHet
3によって単置換または二置換されているフェニルを示し、
【0084】
Het
1は、ピリジル、ピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、A、OH、NR
7SO
2Aおよび/または=Oによって単置換、二置換または三置換されており、
Ar
1は、Hal、(CH
2)
nCN、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONR
7および/またはNR
7SO
2Aによって単置換または二置換されているフェニルを示し、
【0085】
Het
2は、ピリジル、オキサジアゾリル、ジヒドロピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、インドリニルまたはピラゾリルを示し、その各々は、A、NR
7SO
2A、Het
3および/または=Oによって単置換または二置換されており、
【0086】
Ar
2は、Hal、A、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nOA、COOA、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONH
2、(CH
2)
nCONHA、(CH
2)
nCONA
2、CONHHet
3、COHet
3、Het
3および/またはNHCOHet
3によって単置換、二置換、三置換、四置換または五置換されているフェニル、あるいはインダニルを示し、それは=Oによって置換されていてもよく、
【0087】
Het
3は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、(CH
2)
nN(R
7)
2および/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されており、
【0088】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状もしくは分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子はFによって置き換えられていてもよく、ならびに/またはここで1つもしくは2つの隣接していないCHおよび/もしくはCH
2基は、O、NHおよび/もしくはNA’によって置き換えられていてもよく、
A’は、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
【0089】
Cycは、3、4、5、6または7個のC原子を有し、非置換であるか、またはCON(R
7)
2もしくはNR
7SO
2Aによって単置換されている環状アルキルを示し、
HalはF、Cl、BrまたはIを示し、
nは0、1または2を示し、
【0090】
ただし、
a)X
1、X
2、X
3およびX
4の少なくとも1つはNを示し、かつ最大2つが同時にNを示し、
b)X
1=Nである場合は、X
4≠NかつR
4≠Hであり、
c)X
4=Nである場合は、X
1≠Nであり、
【0091】
Iiにおいて、X
1はNを示し、
X
2はCを示し、
X
3はCを示し、
X
4はCを示し、
X
5はCを示し、
【0092】
R
1は不在であり、
R
2はHまたはHet
1を示し、
R
3はH、CN、A、Hal、Cyc、OHもしくはOAを示し、
【0093】
R
4は
【化5】
を示し、
R
5はHまたはHalを示し、
R
6は、H、Ar
2、A、Het
2、COHet
3、CONH
2、CONHA、CONA
2またはCycを示し、
R
7は、Hまたは1、2、3もしくは4個のC原子を有するアルキルを示し、
【0094】
Hetは、ピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、Aまたは=Oによって単置換されており、
Arは、(CH
2)
nOAおよび/またはHet
3によって単置換または二置換されているフェニルを示し、
【0095】
Het
1は、ピリジル、ピラゾリルまたはジヒドロインドリルを示し、その各々は、A、OH、NR
7SO
2Aおよび/または=Oによって単置換、二置換または三置換されており、
Ar
1は、Hal、(CH
2)
nCN、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONR
7および/またはNR
7SO
2Aによって単置換または二置換されているフェニルを示し、
【0096】
Het
2は、ピリジル、オキサジアゾリル、ジヒドロピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[b]ピリジニル、インドリニルまたはピラゾリルを示し、その各々は、A、NR
7SO
2A、Het
3および/または=Oによって単置換または二置換されており、
【0097】
Ar
2は、Hal、A、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nOA、COOA、NH
2、NHA、NA
2、(CH
2)
nCONH
2、(CH
2)
nCONHA、(CH
2)
nCONA
2、CONHHet
3、COHet
3、Het
3および/またはNHCOHet
3によって単置換、二置換、三置換、四置換または五置換されているフェニル、
あるいはインダニルを示し、それは=Oによって置換されていてもよく、
【0098】
Het
3は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはピペラジニルを示し、その各々は、非置換であるかまたはA、(CH
2)
nN(R
7)
2および/もしくは=Oによって単置換もしくは二置換されており、
【0099】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状もしくは分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子はFによって置き換えられていてもよく、ならびに/またはここで1つもしくは2つの隣接していないCHおよび/もしくはCH
2基は、O、NHおよび/もしくはNA’によって置き換えられていてもよく、
A’は、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
【0100】
Cycは、3、4、5、6または7個のC原子を有し、非置換であるか、またはCON(R
7)
2もしくはNR
7SO
2Aによって単置換されている環状アルキルを示し、
HalはF、Cl、BrまたはIを示し、
nは0、1または2を示す、
ならびに、その薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物である。
【0101】
式Iで表される化合物およびまたこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には公知でありそして前述の反応に適する周知の反応条件下で、製造される。また、ここで、本明細書では詳細には述べない、自体公知の変法を用いてもよい。
【0102】
所望により、出発物質をまた、それらを反応混合物から単離せず、代わりにそれらをさらに式Iで表される化合物に直ちに変換することによりin situで生成することができる。
式IIおよびIIIで表される出発化合物は周知である。しかしながら、それらが新規である場合は、それらを自体公知の方法によって製造することができる。
【0103】
式Iで表される化合物を、好ましくは式IIで表される化合物を式IIIで表される化合物と反応させることにより得ることができる。
反応を、当業者に公知の方法によって行う。
反応を不活性溶媒中で行う。
【0104】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル、例えばアセトニトリル;スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル、例えば酢酸エチルまたは前記溶媒の混合物である。
特に好ましいのはジオキサンである。
【0105】
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常は20℃〜150℃、特に約40℃〜約140℃である。
反応を、好ましくは、当業者に公知のバックウォルド条件下で行う。
【0106】
式Iで表される化合物を、さらに好ましくは式IVで表される化合物を式Vで表される化合物と反応させることにより得ることができる。
反応を不活性溶媒中で行う。
【0107】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのはn−ブタノールである。
【0108】
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常は−10℃〜90℃、特に約0℃〜約70℃である。
【0109】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、それらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野で公知の手順によって、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得るそれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩の形態は、大部分、慣用的な方法によって製造される。本発明の化合物がカルボキシル基を含む場合は、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることによって生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0110】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩が、同様に包含される。式Iで表される数種の化合物の場合、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびそれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびそれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することによって、酸付加塩を生成することができる。
【0111】
したがって、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩は、以下のものを含む:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0112】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩を含むが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0113】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される本発明の化合物の塩は、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩を含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0114】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C
1〜C
4)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C
1〜C
4)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C
10〜C
18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C
1〜C
4)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を用いて製造することができる。
【0115】
好ましい上述の薬学的塩は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンを含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0116】
本発明の塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を引き起こさせることによって製造する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することによって、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0117】
上述のとおり、本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0118】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を引き起こさせることによって製造する。塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することによって、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0119】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0120】
上述に関し、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、本発明の化合物をその塩の1種の形態で含む活性化合物を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性化合物に対して、前に用いられていた活性化合物の遊離形態または活性化合物のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合は、このように解釈されることが明らかである。活性化合物の薬学的に許容し得る塩形態はまた、活性化合物に前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらに、活性化合物の薬力学に対して身体における治療的有効性に関する正の影響を有することができる。
【0121】
本発明の化合物は、それらの分子構造のためにキラルであり得、したがって様々な鏡像異性体の形態で存在してもよい。それらは、したがってラセミ体で、または光学活性体で存在することができる。
【0122】
本発明の化合物のラセミ体または立体異性体の医薬活性が異なり得るので、鏡像異性体を使用することが望ましい場合がある。これらの場合、最終生成物またはさらに中間体を鏡像異性体化合物に、当業者に公知の化学的もしくは物理学的方策によって分離するか、またはさらにそれ自体で合成において使用することができる。
【0123】
ラセミ体のアミンの場合、ジアステレオマーが混合物から光学的に活性な分割剤との反応によって生成する。好適な分割剤の例は、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、好適にN保護されたアミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンもしくはN−ベンゼンスルホニルプロリン)、または様々な光学的に活性な樟脳スルホン酸のR体およびS体である。また有利なのは、光学的に活性な分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースまたは炭水化物の他の誘導体またはシリカゲル上で固定化されたキラルに誘導体化されたメタクリレートポリマー)によるクロマトグラフィー鏡像異性体分割である。この目的に適している溶離剤は、水性またはアルコール性溶媒混合物、例えばヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルであり、例えば比率82:15:3においてである。
【0124】
同位体
式Iで表される化合物がその同位体標識体を含むことを、さらに意図する。式Iで表される化合物の同位体標識体は、化合物の1個または2個以上の原子が通常天然に存在する原子の原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子(単数)または原子(複数)によって置き換えられているという事実以外は、この化合物と同一である。
【0125】
容易に商業的に入手可能であり、式Iで表される化合物中に周知の方法によって包含させることができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素、例えば、それぞれ
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
31P、
32P、
35S、
18Fおよび
36CIの同位体を含む。
【0126】
前述の同位体および/または他の原子の他の同位体の1種もしくは2種以上を含む式Iで表される化合物、そのプロドラッグまたは薬学的に許容し得る塩は、本発明の一部であると意図される。式Iで表される同位体標識化合物を、多くの有益な方法で使用することができる。例えば、例えば放射性同位体、例えば
3Hまたは
14Cが包含された式Iで表される同位体標識化合物は、医薬および/または基質組織分布アッセイに適している。
【0127】
これらの同位体、すなわちトリチウム(
3H)および炭素14(
14C)は、それらの単純な製造および優れた検出能のため、特に好ましい。より重い同位体、例えば重水素(
2H)の式Iで表される化合物中への包含は、この同位体標識化合物のより高い代謝安定性のおかげで治療的利点を有する。
【0128】
より高い代謝安定性は、増加したin vivoでの半減期またはより低い投与量に直接的に変換可能であり、それは、ほとんどの状況下で本発明の好ましい態様を表すであろう。式Iで表される同位体標識化合物を、通常、合成スキームおよび関連する記載において、例の部において、ならびに本テキスト中の製造の部において開示した手順を行い、非同位体標識反応体を容易に入手できる同位体標識反応体と置き換えることにより製造することができる。
【0129】
化合物の酸化的代謝を一次運動性同位体効果(primary kinetic isotope effect)によって操作するために、重水素(
2H)をまた、式Iで表される化合物中に包含させることができる。一次的な速度論的同位体効果は、同位体的核の交換に起因する化学反応の速度の変化であり、それは次に、この同位体的交換の後の共有結合形成に必要な基底状態エネルギーの変化によって引き起こされる。より重い同位体の交換によって、化学結合のための基底状態エネルギーの低下が通常もたらされ、したがって律速的な結合切断における速度の低下が引き起こされる。
【0130】
結合切断が多生成物反応の配位に沿った鞍点領域において、またはその近辺で生じる場合は、生成物分布比を実質的に変化させることができる。説明のために:重水素が交換可能でない位置における炭素原子に結合する場合は、k
M/k
D=2〜7の速度差は典型的である。この速度差が酸化を受けやすい式Iで表される化合物にうまく適用される場合は、この化合物のin vivoプロフィールは、それによって大幅に修正され、改善された薬物動態学的特性をもたらし得る。
【0131】
治療薬を発見し、開発する際に、当業者は薬物動態学的パラメーターを最適化し、同時に所望のin vitro特性を保持することを試みる。乏しい薬物動態学的プロフィールを有する多くの化合物が酸化的代謝を受けやすいことを推測することは合理的である。現在利用可能なin vitro肝臓ミクロソームアッセイは、このタイプの酸化的代謝の経過における有用な情報を提供し、つまり、かかる酸化的代謝に対する抵抗によって改善された安定性を有する式Iで表される重水素化合物の合理的な設計を許容する。式Iで表される化合物の薬物動態学的プロフィールにおける著しい改善は、それによって得られ、in vivoでの半減期(T/2)、最大治療効果における濃度(C
max)、用量反応曲線下面積(AUC(area under the dose response curve))およびFの増大の点から;ならびに物質の低下したクリアランス、用量およびコストの点から、定量的に表現することができる。
【0132】
以下は、上記を説明することを意図する:酸化的代謝のための攻撃の多数の可能性のある部位、例えばベンジル水素原子および窒素原子に結合した水素原子を有する式Iで表される化合物を、水素原子の様々な組み合わせが重水素原子によって置き換えられている一連の類似体として製造し、したがってこれらの水素原子のいくつか、ほとんどまたはすべては重水素原子によって置き換えられている。半減期決定によって、酸化的代謝に対する抵抗における改善が改善された程度の好ましく正確な決定が可能になる。このようにして、親化合物の半減期を、このタイプの重水素−水素交換の結果、100%にまで拡張することができると決定される。
【0133】
式Iで表される化合物中での重水素−水素交換をまた使用して、所望されない有毒な代謝物質を減少させるかまたは取り除いた、出発化合物の代謝産物スペクトルの好ましい修正を達成することができる。例えば、有毒な代謝産物が酸化的炭素−水素(C−H)結合切断によって起こる場合は、重水素化類似体が、特定の酸化が律速段階ではない場合であっても所望されない代謝産物の産生を大幅に減少させるかまたは除外するであろうことを合理的に推測することができる。重水素−水素交換に関する最先端技術についてのさらなる情報は、例えばHanzlik et al., J. Org. Chem. 55, 3992-3997, 1990、Reider et al., J. Org. Chem. 52, 3326-3334, 1987、Foster, Adv. Drug Res. 14, 1-40, 1985、Gillette et al., Biochemistry 33(10), 2927-2937, 1994、およびJarman et al., Carcinogenesis 16(4), 683-688, 1993中に示されている。
【0134】
本発明はさらに、化合物および/またはそれらの生理学的に許容し得る塩の医薬(医薬組成物)の製造のための、特に非化学的方法による使用に関する。それらを、ここで少なくとも1種の固体、液体および/または半液体の賦形剤または補助剤と一緒に、ならびに所望により1種または2種以上のさらなる活性化合物と組み合わせて、好適な投薬形態に変換することができる。
【0135】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、および任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0136】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性化合物を含む投与単位の形態で、投与することができる。このような単位は、処置される状態、投与の方法、ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.1mg〜3g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含んでもよく、または医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性化合物を含む投薬単位の形態で投与してもよい。好ましい投与単位処方物は、前に示されるように、毎日の用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性化合物のこの対応する部分である。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野で周知の方法を用いて製造することができる。
【0137】
医薬処方物を、すべての所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与に適合させることができる。このような処方物を、薬学分野で公知のすべての方法を用いて、例えば活性化合物を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることによって製造することができる。
【0138】
経口投与に適合した医薬処方物を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして投与することができる。
【0139】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。散剤を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することによって製造する。風味剤、保存剤、分散剤および色素が、同時に存在してもよい。
【0140】
カプセルを、上記のように散剤混合物を製造し、成形したゼラチン殻をそれで充填することによって製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールを、充填操作の前に散剤混合物に添加することができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善することができる。
【0141】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどを含む。これらの投与形態で用いられる潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを含む。錠剤を、例えば散剤混合物を製造し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を添加し、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることによって処方する。
【0142】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および任意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することによって製造する。散剤混合物を、それを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、それをふるいに通過させて押圧することによって顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、それを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0143】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を添加することによって潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。色素を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0144】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で製造し、そのようにして所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することによって製造することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて製造する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることによって処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に添加することができる。
【0145】
経口投与用の投与単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することによって製造することができる。
【0146】
本発明の化合物および塩、溶媒和物およびそれらの生理学的に官能性の誘導体をまた、リポソーム送達系、例えば小さな単層小胞(small unilamellar vesicles)、大きな単層小胞(large unilamellar vesicles)、および多層小胞(multilamellar vesicles)の形態で投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0147】
本発明の化合物ならびにそれらの塩をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。当該化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含することができる。当該化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0148】
経皮的投与に適合した医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性化合物を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所投与に適合した医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0149】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所用軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合、活性化合物を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性化合物を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースのクリームを得ることができる。
【0150】
目への局所的適用に適合した医薬処方物には、点眼剤が含まれ、ここで活性化合物を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解させるかまたは懸濁させる。
口における局所的適用に適合した医薬処方物は、薬用キャンディー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与に適合した医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0151】
担体物質が固体であって鼻腔内投与に適合した医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗い粉末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した散剤を含む容器からの鼻道を介する迅速な吸入によって投与する。担体物質としての液体とともに鼻腔内スプレーまたは点鼻剤で投与するに適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0152】
吸入による投与に適合した医薬処方物は、微細粒子状細粉またはミストを含み、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーによって生じせしめ得る。
膣内投与に適合した医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0153】
非経口投与に適合した医薬処方物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、それによって処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;ならびに水性の、および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含むことができるもの、を含む。処方物を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルで投与してもよく、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射用水を添加することのみを要するように、フリーズドライ(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態で貯蔵してもよい。レシピに従って製造される注射溶液および懸濁液は、無菌の散剤、顆粒および錠剤から製造することができる。
【0154】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において通常である他の剤を含むことができることは、言うまでもない;したがって、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含んでいてもよい。
【0155】
本発明の化合物の治療的有効量は、例えば、ヒトまたは動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与の方法を含む多くの因子に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師によって決定される。しかしながら、処置のための本発明の化合物の有効量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳動物)の体重1kgの範囲内および特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳動物についての1日あたりの実際の量は、通常は70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたりの個々の用量として、または通常は1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分もしくは6回分)で投与し、したがって合計の1日用量が同一であるようにすることができる。その塩または溶媒和物の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0156】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、および少なくとも1種の他の医薬活性化合物を含む医薬に関する。
【0157】
さらなる医薬活性化合物は、好ましくは化学療法薬、特に血管新生を抑制し、したがって腫瘍細胞の成長および拡散を抑制するものである;ここで好ましいのは、VEGF受容体を対象とするリボザイム(robozymes)およびアンチセンスを含む、VEGF受容体阻害剤、ならびにアンジオスタチンおよびエンドスタチンである。
【0158】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができる抗新生物薬の例は、一般的にアルキル化剤、代謝拮抗薬;エピドフィロトキシン(epidophyllotoxin);抗新生物酵素;トポイソメラーゼ阻害剤;プロカルバジン;ミトキサントロンまたは白金配位錯体を含む。
【0159】
抗新生物薬は、好ましくは以下のクラスから選択される:
アントラサイクリン、ビンカ医薬、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、エポチロン、ディスコデルモリド、プテリジン、ジイネン(diynene)およびポドフィロトキシン。
【0160】
前記クラスにおいて、特に好ましいのは、例えばカルミノマイシン(carminomycin)、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン(methopterin)、ジクロロメトトレキサート、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(cytosinarabinoside)、ポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシド、エトポシドホスフェートまたはテニポシド、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、リューロシジン(leurosidine)、ビンデシン、リューロシン(leurosine)およびパクリタキセルである。
【0161】
他の好ましい抗新生物薬は、エストラムスチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ゲムシタビン、イホスファミド、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、シタラビン、イダトレキサート(idatrexate)、トリメトレキサート、ダカルバジン、L−アスパラギナーゼ、カンプトテシン、CPT−11、トポテカン、アラビノシルシトシン、ビカルタミド、フルタミド、リュープロリド、ピリドベンゾインドール誘導体、インターフェロンおよびインターロイキンの群から選択される。
【0162】
本発明はまた、
(a) 有効量の本発明の化合物ならびに/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、
ならびに
(b) 有効量のさらなる医薬活性化合物
の別個のパックからなるセット(キット)に関する。
【0163】
セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。セットは、例えば、各々が有効量の本発明の化合物ならびに/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、
ならびに、溶解した形態または凍結乾燥形態での有効量のさらなる医薬活性化合物
を含む個別のアンプルを含んでもよい。
【0164】
使用
本化合物は、チロシンキナーゼ誘発性疾患の処置における哺乳動物のための、特にヒトのための医薬活性化合物として好適である。これらの疾患は、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の成長を促進する病理学的新血管形成(または血管新生)、眼の新血管形成(糖尿病性網膜症、年齢誘発性黄斑変性など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)を含む。
【0165】
本発明は、式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、癌の処置または防止のための医薬の調製のための使用を包含する。処置のための好ましい癌腫は、大脳の癌腫、尿生殖路癌腫、リンパ系の癌、胃癌、喉頭癌および肺癌の群から起因する。癌の好ましい形態のさらなる群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、膠芽腫および乳癌である。
【0166】
また包含されるのは、本発明の請求項1に記載の化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、血管新生が関与する疾患の処置または防止のための医薬の調製のための使用である。
血管新生が関与するかかる疾患は、眼の疾患、例えば網膜血管化、糖尿病性網膜症、年齢誘発性黄斑変性などである。
【0167】
式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、炎症性疾患の処置または防止のための医薬の調製のための使用はまた、本発明の範囲内にある。かかる炎症性疾患の例は、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎、遅延型過敏反応などを含む。
【0168】
また包含されるのは、式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、哺乳動物におけるチロシンキナーゼ誘発性疾患またはチロシンキナーゼ誘発状態の処置または防止のための医薬の調製のための使用であり、ここでこの方法に対して、本発明の治療的有効量の化合物を、かかる処置を必要とする罹患した哺乳動物に投与する。治療的量は特定の疾患に従って変化し、過度の努力なしで当業者によって決定されることができる。
【0169】
本発明はまた、式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、網膜血管化の処置または防止のための医薬の調製のための使用を包含する。
【0170】
眼の疾患、例えば糖尿病性網膜症および年齢誘発性黄斑変性の処置方法または防止方法は、同様に本発明の一部である。炎症性疾患、例えば関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎および遅延型過敏反応の処置または防止のための、ならびに骨肉腫、骨関節炎およびくる病の群からの骨病理の処置または防止のための使用は、同様に本発明の範囲内にある。
【0171】
表現「チロシンキナーゼ誘発性疾患または状態」は、1種または2種以上のチロシンキナーゼの活性に依存する病理学的状態を指す。チロシンキナーゼは、増殖、付着および遊走および分化を含む様々な細胞活性のシグナル伝達経路に直接または間接的に関与する。チロシンキナーゼ活性に関連する疾患は、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の成長を促進する病理学的新血管形成、眼の新血管形成(糖尿病性網膜症、年齢誘発性黄斑変性など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)を含む。
【0172】
式Iで表される化合物を、癌、特には急速成長する腫瘍の処置のために患者に投与することができる。
本発明は、したがって、式Iで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または変調が作用を奏する疾患の処置のための医薬の調製のための使用に関する。
【0173】
好ましいのは、式Iで表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の、
請求項1に記載の化合物によるチロシンキナーゼの阻害によって影響される疾患の処置のための医薬の調製のための使用である。
【0174】
特に好ましいのは、疾患の処置のための使用であり、ここで当該疾患は固形腫瘍である。
固形腫瘍は、好ましくは肺、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃および/または喉頭の腫瘍の群から選択される。
【0175】
固形腫瘍は、さらに好ましくは肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
好ましいのは、さらに、血液および免疫系の腫瘍の処置のための、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択された腫瘍の処置のための使用である。
【0176】
式Iで表される開示した化合物を、抗癌剤を含む他の既知の治療剤と組み合わせて投与することができる。本明細書中で用いる用語「抗癌剤」は、癌を処置する目的のために癌を有する患者に投与されるあらゆる剤に関する。
【0177】
本明細書中で定義した抗癌処置を、単独の療法として適用してもよいか、または本発明の化合物に加えて、慣用の手術または放射線療法または化学療法を伴ってもよい。このような化学療法は、以下のカテゴリーの抗腫瘍剤の1種または2種以上を含んでもよい:
【0178】
(i)医学的腫瘍学で使用される抗増殖/抗新生物薬/DNA損傷剤およびその組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシス−プラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソ尿素);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばフルオロピリミジン、例えば5−フルオロウラシルおよびテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素およびゲムシタビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシンおよびミトラマイシン);抗有糸分裂剤(例えばビンカンアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン、ならびにタキソイド、例えばタキソールおよびタキソテール);トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシドおよびテニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカンおよびカンプトテシン)ならびに細胞分化剤(例えばオールトランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸およびフェンレチニド);
【0179】
(ii)細胞分裂阻害剤、例えば抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲン受容体下方制御剤(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン薬(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲステロン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害薬(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール(vorazole)およびエキセメスタン)ならびに5α−還元酵素の阻害剤、例えばフィナステリド;
【0180】
(iii)癌細胞浸潤を阻害する剤(例えばメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばマリマスタットおよびウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害剤);
【0181】
(iv)増殖因子機能の阻害剤、例えばそのような阻害剤は、増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツズマブ[Herceptin(登録商標)]ならびに抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤ならびにセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、例えば上皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD−1839)、
N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)および6−アクリルアミド−
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、例えば血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤、ならびに例えば肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤を含む、
【0182】
(v)抗血管新生薬、例えば血管内皮増殖因子の効果を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ[Avastin(登録商標)]、化合物、例えば公表された国際特許出願WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856およびWO 98/13354に開示されているもの)ならびに他の機構によって作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンジオスタチン);
【0183】
(vi)血管損傷剤、例えばコンブレタスタチンA4ならびに国際特許出願WO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434およびWO 02/08213に開示されている化合物;
(vii)アンチセンス療法、例えば上に列挙した標的を対象とするもの、例えばISIS 2503、抗Rasアンチセンス;
【0184】
(viii)遺伝子療法アプローチ、例えば異常な遺伝子の置換のためのアプローチ、例えば異常なp53または異常なBRCA1もしくはBRCA2、GDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)アプローチ、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌性ニトロ還元酵素を使用するもの、および化学療法または放射線療法に対する患者耐性を増大させるためのアプローチ、例えば多剤耐性遺伝子療法を含む;ならびに
【0185】
(ix)免疫療法アプローチ、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を増大させるためのex-vivoおよびin-vivoアプローチ、例えばサイトカイン、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子での形質移入、T細胞アネルギーを低下させるためのアプローチ、形質移入した免疫細胞、例えばサイトカインで形質移入した樹状細胞を用いたアプローチ、サイトカインで形質移入した腫瘍細胞系を用いたアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を用いたアプローチを含む。
【0186】
以下の表1からの医薬を、好ましく、しかし排他的にではなく、式Iで表される化合物と組み合わせる。
【0192】
この種の併用処置を、処置の個々の成分の同時の、連続的な、または個別の分配で達成することができる。この種の併用物は、本発明の化合物を用いる。
【0193】
本発明は、腫瘍、癌、腫瘍形成、成長および拡散、動脈硬化、眼疾患、例えば年齢誘発性黄斑変性、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶、免疫系の代謝および疾患、自己免疫疾患、肝硬変、糖尿病ならびに血管の疾患の処置のための使用のための、式Iで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0194】
アッセイ
例中に記載した本発明の化合物を、以下に記載したアッセイによって試験し、キナーゼ阻害活性を有することが見出された。他のアッセイは文献から公知であり、当業者によって容易に行うことができた(例えばDhanabal et al., Cancer Res. 59:189-197;Xin et al., J. Biol. Chem. 274:9116-9121;Sheu et al., Anticancer Res. 18:4435-4441;Ausprunk et al., Dev. Biol. 38:237-248;Gimbrone et al., J. Natl. Cancer Inst. 52:413-427;Nicosia et al., In Vitro 18:538- 549を参照)。
【0195】
FAKキナーゼアッセイ(自己リン酸化)
接着斑キナーゼ(FAK)アッセイを、384ウェルフラッシュプレート(flashplate)アッセイとして(例えばTopcount測定のため)または384ウェル画像フラッシュプレートアッセイとして(LEADseeker測定のため)行う。2nMのFAK、400nMのビオチン化基質(His−TEV−hsFAK(31 686)(K454R)×ビオチン)および1μMのATP(それに0.25Ciの33P−ATP/ウェルを加えた)を、30℃で2時間、試験化合物とともに、または試験化合物なしで、50μlの全容積でインキュベートする(60mMのHepes、10mMのMgCl
2、1.2mMのジチオトレイトール、0.02%のBrij35、0.1%のBSA、pH7.5)。
【0196】
反応を25μlの200mMのEDTAを使用して停止させる。30℃で30分後、液体を除去し、各々のウェルを100μlの0.9%塩化ナトリウム溶液で3回洗浄する。非特異性反応を、1μMのEMD 1076893/0(PF−−562271)の存在下で決定する。放射能を、Topcountを使用して(フラッシュプレート使用の場合)、またはLEADseekerを使用して(画像フラッシュプレート使用の場合)測定する。結果(例えばIC50値)を、例えばSymyx Assay Explorerを使用して計算する。
【0197】
FAKキナーゼ阻害剤の細胞試験方法
FAKの細胞活性のアッセイについては、チロシン397におけるFAKの自己リン酸化の程度を、96ウェルフォーマットでLuminexに基づくアッセイを用いて決定する。HT29細胞を、100μlの培地(90%のDMEM/10%のFCS)中で、ウェルあたり30,000個の細胞と共に播種し、翌日に試験物質の連続希釈(7種の濃度)で無血清条件下で30分間インキュベートする。細胞を、その後ウェルあたり90μlの溶解緩衝液(20mMのトリス/HCl pH8.0、150mMのNaCl、1%のNP40、10%のグリセロール、1%のホスファターゼ阻害剤II、20mMのβ−グリセロールリン酸、0.1%のプロテアーゼ阻害剤カクテルIII、0.01%のベンゾナーゼ(benzonase))を使用して溶解させ、溶解物を不溶性の細胞構成要素から96ウェルフィルタープレート(0.65μm)を通した遠心分離によって分離する。
【0198】
溶解物を、4℃で一晩、抗全FAK抗体が結合したLuminexビーズと共に振盪させながらインキュベートする。検出を、翌日に、P−Y397−FAK抗体および種特異性PE標識二次抗体を添加することにより行う。P−Y397−FAKを、60秒の測定時間におけるキャビティあたり100事象の決定により、Luminex100機器での測定によって検出する。薬理学的ブランクとして、30μMのFAK基準阻害剤で処理した細胞から得られたシグナルを、すべての他のバッチから減ずる。Y397におけるFAKの最大のリン酸化に対して使用した対照値は、溶媒(0.3%のDMSO)のみで処理した細胞からのシグナルである。試験物質で処理したバッチの値をコントロールのパーセントとしてそこから計算し、IC50値をAssay Explorerによって決定する。
【0199】
PDK1の阻害についての試験
実験バッチを、384ウェル/微量滴定プレートを備えたフラッシュプレート系で行う。
【0200】
それぞれの場合、PDK1試料His
6−PDK1(Δ1−50)(3.4nM)、PDK1基質ビオチン−bA−bA−KTFCGTPEYLAPEVRREPRILSEEEQEMFRDFDYIADWC(400nM)、4μMのATP(0.2μCiの
33P−ATP/ウェルを有する)およびウェルあたり50μlの慣用の実験溶液中の試験物質を、30℃で60分間インキュベートする。試験物質を、対応する濃度で(所望により希釈系列で)使用する。コントロールは、試験物質なしで行う。反応を標準的な方法を使用して停止させ、洗浄する。キナーゼの活性を、トップカウント(top count)で、包含させた放射能によって測定する。非特異性キナーゼ反応(ブランク値)を決定するために、実験バッチを、100nMのスタウロスポリンの存在下で行う。
【0201】
評価
ブランク値(スタウロスポリンの存在下での試験物質の使用なし)の放射能(1分あたりの分解)を、すべての他の放射能値から減ずる。コントロール(試験物質なしでのキナーゼ活性)を100パーセントに等しく設定し、すべての他の放射能値(ブランク値を減じた後)を、それに関連付けて設定して表現する(例えばコントロールの%で)。
計算:
100*(試験物質でのキナーゼ活性の値−ブランク値)
(コントロールの値−ブランク値)
=コントロールに対する%
【0202】
IC
50値(50%阻害)を、統計プログラム、例えばRS1によって決定する。本発明の化合物のIC
50データを、表2に示す。
【0204】
APCI−MS(大気圧化学的イオン化−質量分析)(M+H)
+。
本発明の化合物のIC
50データを表1に示す。
【0205】
IKKε−キナーゼ試験(IKKイプシロン)
キナーゼアッセイを、384ウェルフラッシュプレートアッセイとして行う。
1nMのIKKε、800nMのビオチン化IκBα(19−42)ペプチド(ビオチン−C6−C6−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE)および10μMのATP(0.3μCiの
33P−ATP/ウェルを有する)を、50μl(10mMのMOPS、10mMの酢酸マグネシウム、0.1mMのEGTA、1mMのジチオトレイトール、0.02%のBrij35、0.1%のBSA、0.1%のBioStab、pH7.5)の全容積で、試験物質とともに、または試験物質なしで30℃で120分間インキュベートする。反応を、25μlの200mMのEDTA溶液を使用して停止させ、30分後に室温で吸引で濾別し、ウェルを、100μlの0.9%のNaCl溶液で3回洗浄する。キナーゼ反応の非特異性比率(ブランク)を、3μMのEMD 1126352(BX−795)を使用して決定する。放射能をTopcountで測定する。IC
50値を、RS1を使用して計算する。
【0206】
TBK1−キナーゼ試験
キナーゼアッセイを、384ウェルフラッシュプレートアッセイとして行う。
0.6nMのTANK結合キナーゼ(TBK1)、800nMのビオチン化MELK誘導ペプチド(ビオチン−Ah−Ah−AKPKGNKDYHLQTCCGSLAYRRR)および10μMのATP(0.25μCiの
33P−ATP/ウェルを有する)を、50μl(10mMのMOPS、10mMの酢酸マグネシウム、0.1mMのEGTA、1mMのDTT、0.02%のBrij35、0.1%のBSA、pH7.5)の全容積で、試験物質とともに、または試験物質なしで30℃で120分間インキュベートする。反応を、25μlの200mMのEDTA溶液を使用して停止させ、30分後に室温で吸引で濾別し、ウェルを、100μlの0.9%のNaCl溶液で3回洗浄する。キナーゼ反応の非特異性比率(ブランク)を、100nMのスタウロスポリンを使用して決定する。放射能をTopcountで測定する。IC
50値を、RS1を使用して計算する。
【0207】
本明細書中において、すべての温度を、℃で示す。以下の例において、「慣用のワークアップ」は、以下のことを意味する:必要ならば水を加え、必要ならばpH最終生成物の構成に応じて2〜10の値に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、シリカゲル上のクロマトグラフィーおよび/または結晶によって精製する。シリカゲル上のRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール 9:1。
【0208】
質量分析(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
+
FAB(迅速原子衝撃)(M+H)
+
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)
+(他に示さない 限り)
【0209】
例1
スキーム1は、本発明の7−アザインドールをどのように製造することができるかの概略を示すが、ピロロピリミジン類、例えば「A14」はまた、この経路によって入手可能である。
【0211】
商業的に入手できる5−トリフルオロメチル−2−アミノピリジン 1を、標準条件下でヨウ素化して、2を得る。これを1−エチン−4−フルオロベンゼンと薗頭反応で反応させて、3を得る。ピロロピリジン 4を塩基性条件下で構築し、過酸によって酸化して、5を得る。6を、オキシ塩化リンによる還元的塩素化条件下で生成する。7を得るためのトランスハロゲン化の後、NH官能基を保護して8を得る。最後に、「A32」が、バックウォルド条件下で得られる。
【0212】
順序に関し、中間体8を迂回して実行することもまたできるが、その場合、収率は悪くなる。
【0213】
例2
以下の例は、CF
3の代わりにCNを使用し、中間体7および8を省略した順序を記載するが、最終生成物を得るための6の直接的なバックウォルドカップリングもまた可能であるためである。
【0214】
HPLC方法:1_100_2(機器:LaChrom)
カラム:Chromolith Performance RP18e 100-3mm
流量:2ml/分(ポンプ:L−7100)
溶媒A:水+0.05%のHCOOH
溶媒B:アセトニトリル+0.04%のHCOOH
波長:220nm(検出器:L−7455)
勾配:0〜0.2分:99%のA、0.2〜3.8分:99%のA→100%のB、3.8〜4.4分:100%のB、4.4〜4.5分:100%のB→99%のA、4.5〜5.1分:99%のA
【0215】
LC−MS方法:極性.M(機器:Agilent 1100/1200シリーズ)
カラム:Chromolith Speed Rod RP18e-50-4.6
流量:2.4ml/分
溶媒A:水+0.05%のHCOOH
溶媒B:アセトニトリル+0.04%のHCOOH
WL:220nm
勾配:0〜2.8分:4%のB〜100%のB、2.8〜3.3分:100%のB
【0216】
N−(3−{[5−シアノ−2−(4−フルオロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルアミノ]メチル}ピリジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(「A9」)の製造
a) 6−アミノ−5−ヨードニコチノニトリルの合成
6−アミノ−3−ピリジンカルボニトリル(10.0g、0.081mol)、トリフルオロ酢酸銀(25.5g、0.115mol)および160mlの1,2−ジクロロエタンを、フラスコ中で合わせ、還流下で5時間加熱する。ヨウ素(29.5g、0.116mol)を加え、混合物をさらに18時間加熱する。冷却後、混合物を濾過し、水とジクロロエタンとの間で分割する。有機相および水相をCeliteを通過させて濾過する。水相を抽出して消耗させ、合わせた有機相を合わせ、乾燥し、蒸発させる。残留物を酢酸エチルに溶解させ、チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄する。溶媒の除去によって、6.6gの帯黄色結晶生成物が得られる。これらを、さらなる精製をせずにさらに反応させる;HPLC:2.57分;LCMS: 246 [M+H]
+。
【0217】
b) 6−アミノ−5−(4−フルオロフェニルエチニル)ニコチノニトリルの合成
上で製造したヨウ素化合物(300mg)、ヨウ化銅(I)(20mg)および炭酸セシウム(1.7g)を、3つ首フラスコ中で合わせ、100℃で真空中で1時間乾燥する。THF(50ml)、1−エチン−4−フルオロベンゼン(250mg)およびPd(dppf)
2Cl
2×CH
2Cl
2(78mg)を、その後窒素下で加える。
【0218】
バッチを100℃で撹拌し、その間、黒色懸濁液が生成する。ワークアップのために、冷却した反応混合物を水に加え、その後酢酸エチルで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発させる。残留物をクロマトグラフィーによって精製し、220mgの表題化合物を得る。HPLC[Rt] 3.31分;[M+H]
+ 238。
【0219】
c) 2−(4−フルオロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリルの合成
NaH(150mg)を、最初に5mlのNMP中に窒素下で導入する。上で製造したアルキン(220mg;5mlのNMPに溶解させた)を撹拌しながら加え、60℃で12時間撹拌する。暗褐色溶液が生成する。バッチを撹拌しながら水に加える。非常に微細な結晶性沈殿物が生成し、それを酢酸エチルの添加によって溶解させる。相分離の後、有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、吸引で濾別し、真空中で蒸発乾固させる。このようにして得られた表題化合物を、さらなる精製をせずに、さらに反応させる;
LC−MS: 238[M+H]
+; HPLC: 3.26(Rt/分)。
【0220】
d) 2−(4−フルオロフェニル)−7−オキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリルの合成
上で製造した二環式化合物(260mg)を、20mlのエチレングリコールジメチルエーテルに超音波浴中で溶解させる。270mgのm−クロロ過安息香酸を加え、混合物をRTで4時間撹拌する。反応を完了させるために、さらに135mgの酸を加え、混合物をRTでさらに12時間撹拌する。反応混合物を真空中で蒸発乾固させ、水を加え(わずかな濁り)、混合物を、次に飽和K
2CO
3溶液を使用してpH12に調整する(可視的な沈殿)。バッチをRTでさらに2時間撹拌し、次に吸引で濾別する。沈殿物を真空中で乾燥させる;
収率:250mg;LC−MS:254[M+H]
+;HPLC:2.77(Rt/分)。
【0221】
e) 4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリルの合成
上で調製した250mgのN−酸化物を、5mlのホスホリルクロリドに加え、80℃で2時間撹拌する。冷却したバッチを水に注意深く加え、POCl
3が反応した際にNaOHを使用してpH13に調整する。この相を、次に酢酸エチルで抽出する。有機相をNa
2SO
4で乾燥し、吸引で濾別し、真空中で蒸発乾固させ、210mgの粗生成物を得、それをクロマトグラフィーによって精製し、39mgを得る;HPLC:3.57(Rt/分);LC−MS:272[M+H]
+。
【0222】
f) 「A9」の合成
4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル(30mg、0.11mmol)、N−(3−アミノメチルピリジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(159mg、0.552mmol)およびN−エチルジイソプロピルアミン(0.282ml、1.656mmol)を、0.4mlの1−メチル−2−ピロリドンに懸濁させ、マイクロ波中で170℃で40分間加熱する。反応は、さらに40分後おいてでさえもなお完了していないため、さらに同等のN−(3−アミノメチルピリジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(31.8mg、0.110mmol)を加え、バッチを170℃でさらに60分間加熱する。ワークアップのために、バッチを水と酢酸エチルとの間で分割し、有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、蒸発させ、茶色の油を得、それをクロマトグラフィーによって精製する;収率:17mg(34%);LC−MS:451[M+H]
+;HPLC:3.07(RT/分)。
【0223】
例3
代替の合成を以下に示す:
【化7】
【0224】
スキーム2からの2の合成
144gのm−CPBA(メタ−クロロ過安息香酸)を、分割して10分にわたって、50gの7−アザインドールを1.5lの酢酸エチルに溶解させた溶液に、撹拌しながら0℃で加える。添加完了時に、混合物をRTでさらに1時間撹拌する。反応完了時に、固体を濾別し、クロロホルム/メタノール=9:1に溶解させ、飽和炭酸ナトリウム溶液を使用して中和する。相分離の後に、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、60%の収率(34g)でN−酸化物を無色固体として得る;
【0226】
3の合成
32mlのメタンスルホニルクロリドを、18.5gの中間体2を1lのDMFに溶解した溶液に52℃で滴加する。添加完了時に、バッチを72℃でさらに2時間撹拌する。ワークアップのために、バッチをクラッシュした氷上に注ぎ、5NのNaOHを使用して中和する。沈殿物を濾別し、乾燥させ、4−Cl−7−アザインドールを75%収率(16g)で無色固体として得る;
LCMS:(方法A)153.0(M+H)、RT.2.10分、93.4%(max)、93.6%(254nm)。(方法A−H
2O中の0.1%のTFA、B−ACN中の0.1%のTFA:流量−2.0ml/分。カラム:X Bridge C8(50×4.6mm、3.5μm)+veモード);
【0228】
4の合成
5gのNaH(鉱油上60%)を、16gの中間体3を500mlのTHFに溶解させた溶液に0℃で分割して加える。添加完了時に、混合物を示した温度でさらに20分間撹拌したままにし、22.3gのトリイソプロピルシリルクロリドをこの温度で滴加する。反応完了時に、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液を使用してワークアップをし、水で希釈し、石油エーテルで抽出する。得られた粗生成物を、石油エーテルとともにシリカゲル上でクロマトグラフィー分離し、生成物4を92%(30g)の収率で無色液体として得る;
LCMS:(方法A)309.2(M+H)、RT.7.56分、93.4%(max);
【0230】
5の合成
53mlのsec−BuLiを、30分にわたって11gの中間体4を250mlのTHFに溶解させた溶液に−78℃で滴加する。1時間後、18gのヨウ素を、30分にわたって滴加する。バッチを0℃へと加温している間に、懸濁液が生成する。混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液を使用してワークアップをし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を、水および飽和NaCL溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、5.25g(53%)の生成物4−クロロ−5−ヨード−1−トリイソプロピルシラニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを無色固体として得る;LCMS:(方法A)435.0(M+H)、RT.7.98分、96.9%(max)。
【0232】
6の合成
27mlのTBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド;THF中1M)を、11gの中間体5を250mlのTHFに溶解させた溶液に0℃で加え、混合物をさらに30分間撹拌する。溶媒をその後真空中で除去し、残留物を酢酸エチル中に吸収させ、水および飽和NaCl溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。蒸発によって、生成物6が99%の収率(7g)で淡い黄色の固体として得られる;
【0233】
【化12】
LCMS:(方法A)279.0(M+H)、RT.3.97分、63.5%(max)。
【0234】
例4
スキーム2から分かるように、9とせしめるための8の官能化は成功しない。したがって、代替の保護基方略をどのように使用して最終生成物を得るかを、以下に記載する。
スキーム3は、最終分子をどのようにして獲得するかを要約する。
5位における置換基を、本明細書中でCF
3について明示的に示した,
中間体2の反応の間に導入する。
【0235】
2位における置換基Rを中間体4の反応の間に導入し、4位におけるR’を中間体6の反応の間に導入する。
【化13】
【0236】
例5
N−メチル−2−[2−(6−モルホリン−4−イルピリジン−3−イル)−5−トリフルオロメチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルアミノ]ベンズアミド(「A33」)の製造
LCMS方法:A−H
2O中の0.1%のTFA、B−ACN中の0.1%のTFA:流量−2.0ml/分
カラム:X Bridge C8(50×4.6mm、3.5μm)+veモード。
HPLC方法:A−H2O中の0.1%のf TFA、B−ACN中の0.1%のTFA:流量−2.0ml/分
カラム:XBridge C8(50×4.6mm、3.5μm)。
【0237】
a) 4−クロロ−5−ヨード−1−(2−トリメチルシラニルエトキシメチ
ル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
【化14】
上で製造したスキーム2からの7gのアザインドール 6を、75mlのTHFに溶解し、0℃に冷却する。1.2gのNaH(鉱油上60%)を、この温度で分割して加え、30分後、化学量論量のSEMClを15分にわたって滴加する。反応が完了した際に、混合物を水性塩化アンモニウム溶液を使用してワークアップをし、酢酸エチルで抽出する。水および飽和NaCl溶液での洗浄によって、生成物を88%(9g)の収率で黄色油として得る;
LCMS:(方法A)409.0(M+H)、RT.6.51分、57.4%(max)。
【0238】
b) 4−クロロ−5−トリフルオロメチル−1−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
【化15】
上で製造した9gの出発物質を、45mlのDMF中に4.2gのヨウ化銅および8.5mlのメチル2−フルオロスルホニルジフルオロアセテートとともに懸濁させ、100℃で2時間加温する。反応完了時に、銅塩を濾別し、残留物を酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を水および飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。蒸発後に得られた残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製し、4.6g(59%)の無色固体を得る;LCMS:(方法A)351.0(M+H)、RT.6.75分、43.3%(max);
【化16】
【0239】
c) 4−クロロ−2−ヨード−5−トリフルオロメチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
【化17】
上で製造した4.6gの構成単位を、50mlのTHFに溶解させ、化学量論量のnBuLiを、−45℃で滴加する。30分後、8.32gのヨウ素を25mlのTHFに溶解させた溶液を、示した温度で滴加する。RTへとゆっくり加温した後、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液を使用してワークアップをし、生成物を上に記載したように単離し、4g(64%)の淡い茶色の固体を得る;LCMS:(方法A)477.0(M+H)、RT.7.1分、74.6%(max);
【化18】
【0240】
d) 4−クロロ−2−(6−モルホリン−4−イルピリジン−3−イル)−5−トリフルオロメチル−1−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの合成
【化19】
290mgのピナコリル6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−3−ボロネート、19mgの酢酸パラジウム、34mgのS−Phosおよび800mgの炭酸セシウムを、400mgの上で製造した中間体に2.7mlのジオキサンおよび0.3mlの水中で加える。混合物を60℃で12時間加温し、次に水および酢酸エチルを使用してRTでワークアップをし、250mg(58%)の表題化合物を淡い茶色の油として得る。
【化20】
【0241】
e) N−メチル−2−[2−(6−モルホリン−4−イルピリジン−3−イル)−5−トリフルオロメチル−1−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イルアミノ]ベンズアミドの合成
【化21】
80mgの上で製造した中間体、23mgのN−メチルアントラニルアミド、148mgの炭酸セシウムおよび18mgのキサントホス(xanthphos)を、2mlの脱気したジオキサンに懸濁させ、7mgの酢酸パラジウムを加える。混合物を100℃で12時間加温し、次にRTで慣用のワークアップおよび精製を施し、表題化合物を46%の収率(45mg)で黄色油として得る。
LCMS:(方法A)626.8(M+H)、RT.5.24分、74.7%。
【0242】
f) 表題化合物「A33」の合成
【化22】
30mgの出発物質を、5mlのTHFに溶解させ、0.25mlの4N HCl溶液を加える。混合物を還流下で5時間沸騰させ、反応が完了した際に蒸発させる。残留物を、酢酸エチルおよび中和した炭酸ナトリウム溶液を使用して吸収させる。慣用の手順によって、12mg(65%)の白色固体が得られる。
(分析は例の表を参照)
【0243】
例6
5−アザインドール類、例えば例の表からの「A1」〜「A3」を、以下のスキームに従って製造することができる:
【化23】
スキーム4
【0244】
a) 出発物質2(1.8g)を、150mlの脱気したアセトニトリルにアルゴン下で溶解させ、7.8mlのTBAF(THF中1M)を、10分にわたって加える。出発物質1(1.5g)、1.2mlのDABCO、34mgのヨウ化銅(I)および340mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を、その後加える。この混合物を90℃で2時間撹拌する。冷却後、溶媒を真空中で除去し、残留物を酢酸エチルと水との間で分割し、最後に得られた有機粗生成物画分を、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製し、970mgの帯黄色の粘着性固体3を得る;LCMS:337.0(M+H)、RT.1.797分。
【0245】
b) 920mgの上で製造した固体3を、テトラクロロ金酸ナトリウム二水和物(54mg)とともに20mlのTHFに溶解し、75℃で48時間撹拌する。RTに冷却した反応溶液を真空中で蒸発させ、ジクロロメタン/メタノール=95.5でのシリカゲル上でクロマトグラフィー分離し、930mgの帯黄色油を得る;LCMS:337.0(M+H)、RT.1.699分。
【0246】
c) 中間体4(125mg)および4−アミノオキシインドール(60mg)を5mlのエタノールに溶解させ、数滴のジオキサン中の4N HClの添加の後、120℃でマイクロ波中で1時間加熱し、濾過後に70mgの表題化合物「A1」を得る(例の表中の分析)。
【0247】
例7
例の表からのプリン誘導体(イミダゾピリミジン)、例えば「A4」〜「A6」、ならびにイミダゾピリジン誘導体、例えば「A17」は、スキーム5に示す順序によって入手可能である。
【化24】
【0248】
a) メチル2−クロロニコチネート2(8.8g)およびメチルスルホニルメチルアミン 1(6.3g)を、180mlの乾燥ジオキサンに溶解させ、アルゴンを使用して脱気する。2.4gの炭酸セシウム、1.1gの酢酸パラジウムおよび4.3gの4,5−ビスジフェニルホスファニル−9,9−ジメチル−9H−キサンテンを、この溶液に加える。反応は100℃で2時間後に完了する。慣用のワークアップの後に、混合物を酢酸エチル/ヘプタン=2:1でのシリカゲル上でクロマトグラフィー分離し、9.7gの黄色油を得、それは保存時に固化する;LCMS:245.0(M+H)、RT.1.315分。
【0249】
b) 7.9gのこの中間体を、70mlのTHFおよび70mlの水に溶解させ、2.7gの水酸化リチウムを加える。RTで2時間撹拌した後に、反応は完了し、2N HCl溶液を使用してワークアップをする。混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させることによって黄色固体が得られ、それを直ちにさらに反応させる;LCMS:231.0(M+H)、RT.1.027分。
【0250】
c) このようにして得られた1.6gの2−(N−メチルメチルスルホンアミド)ニコチン酸を、10mlのジクロロメタンに懸濁させ、0.6mlの塩化チオニルを滴加する。この懸濁液を40℃で3時間撹拌し、数滴のDMFの添加直後に、3を1gの6−クロロピリミジン−4,5−ジアミンとRTで16時間さらに反応させる。溶媒の除去によって、2.3gの位置異性体4の1:3混合物が得られ、それを30mlのPOCl3中で50℃で48時間直ちにさらに反応させて、5を得る。ジクロロメタン/メタノール=100:0→90:10でのクロマトグラフィーによって、810mgの無色固体が得られる;LCMS:339.0(M+H)、RT.1.341分。
【0251】
d) 100mgの中間体5を、5mlのエタノールに、70mgの2−メトキシ−4−モルホリン−4−イルフェニルアミンとともに溶解させ、数滴の4N HClの添加後に120℃でマイクロ波中で2時間加熱する。生成物「A17」が、分取HPLC精製の後に32%の収率(49mg)で得られる(分析は例の表を参照)。
【0252】
例8
4−(4−フルオロフェニル)−2−(ピペリジン−4−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(「A91」)の合成
a) 4−クロロ−2−ヨード−5−トリフルオロメチル−1−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(476mg)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキサボロラン−2−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル(311mg)、ビス(ジ−tert−ブチル−(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(14mg)および炭酸セシウム(954mg)を、フラスコ中で合わせ、4.5mlのジオキサンおよび0.5mlの水に懸濁させる。この混合物を60℃で12時間加温する。RTに冷却した後、混合物を10mlの水で希釈し、酢酸エチルで抽出して枯渇させる。混合物に、慣用のワークアップを施し、325mg(61%)の4−(4−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチルを帯黄色泡状物質として得る;
【0254】
b) 上で製造した中間体(265mg)、(4−フルオロフェニル)ボロン酸(84mg)、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(7mg)および炭酸セシウム(477mg)を、ジオキサン(2.7ml)/水(0.3ml)に懸濁させ、60℃で12時間撹拌する。混合物に、慣用のワークアップを施し、165mg(56%)の4−(4−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチルを帯黄色泡状物質として得る。
LCMS:(方法A)594.2(M+H)、RT.7.722分、65.9%(max)、72.6%(254nm)。
【0255】
c) 上で製造した中間体(160mg)を、乾燥メタノール(10ml)に溶解させ、活性炭(40mg)上の10%パラジウムを加える。フラスコを水素気球で密閉し、1時間撹拌する。不溶性構成要素を、その後濾別し、蒸発の後、粗製の4−(4−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを直ちにさらに反応させる。このために、80mgを、ジオキサン中の2mlの4N HCl溶液中に吸収させ、60℃で5時間加温する。慣用のワークアップおよび注意深い精製によって、表題化合物「A91」が無色固体として得られる。
【0256】
例9
2−(3−メトキシフェニル)−4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(「A88」)の合成
a) 例8a)のもとで記載したように、4−クロロ−2−ヨード−5−トリフルオロメチル−1−(2−トリメチルシラニルエトキシメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(476mg)、3−メトキシフェニルボロン酸(152mg)、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)パラジウム)(II)ジクロリド(14mg)および炭酸セシウム(954mg)を使用し、275mg(60%)の4−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを無色固体として得る;
LCMS:(方法A)457.0(M+H)、RT.7.94分、94.8%(max)、96.2%(254nm)。
【0257】
b) 例8bのもとで記載したように、4−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(228mg)、1−メチルピラゾール−4−ボロン酸(75mg)、ビス(ジ−tert−ブチル−(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(7mg)および炭酸セシウム(477mg)を使用し、2−(3−メトキシフェニル)−4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを淡い黄色の固体として9%の収率(48mg)で得る;
LCMS:(方法A)503.0(M+H)、RT.6.733分、86.5%(max)、90.4%(254nm)。
【0258】
c) 例8c)の第2部で記載したように、90mgの例9bのもとで製造した中間体をここで使用し、表題化合物「A88」を無色固体として9.8%(6.4mg)の収率で得る。
【0259】
例10
2−((2−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)オキシ)ベンゾニトリル(「A93」)の合成
a) 2−ヒドロキシベンゾニトリル(179mg)および炭酸カリウム(415mg)を5mlのDMSOに溶解した溶液を、100℃で15分間加温し、4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(444mg)を、次に加える。混合物を、示した温度でさらに12時間撹拌し、20mlの水をワークアップのために加える。混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和NaCl溶液および硫酸ナトリウムを使用して乾燥させる。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって、57mg(11%)の2−((2−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)オキシ)ベンゾニトリルが茶色を帯びた固体として得られる。
LCMS:(方法A)528.3(M+H)、RT.7.124分、93.2%(max)、76.6%(254nm)。
【0260】
b) 例8c)の第2部で記載したように、52mgの例10aのもとで製造した中間体をここで使用し、表題化合物「A93」を無色固体として得る。
【0261】
例11
N−(2−((2−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチニル)フェニル)−N−メチルメタンスルホンアミド(「A27」)の合成
CuI(19mg)、Pd(OAc)
2(22mg)およびCs
2CO
3(1.27g)を、4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(628mg)、N−(2−エチニルフェニル)−N−メチルメタンスルホンアミド(450mg)を1,4−ジオキサン(10ml)に溶解させ脱気した溶液に加え、混合物を100℃で5時間撹拌する。慣用のワークアップおよび精製によって、表題化合物が70%の収率(663mg)で得られる。
【0262】
例12
N−(2−(2−(2−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)エチル)フェニル)−N−メチルメタンスルホンアミド(「A28」)の合成
例11に従って製造した化合物(50mg)を、H-Cube中のパラジウムカートリッジ上に、20mlの乾燥メタノールと共に、40kgの圧力および20ml/hの流量で通じる。精製によって、表題化合物が65%の収率(37mg)で得られる。
【0263】
以下の化合物が、示した例と同様にして得られる。
【表7】
【0301】
$)
HPLC
カラム:Xbridge C8(50×4.6)mm、3.5μm
移動相:
A:H
2O中の0.1%のTFA
B:ACN中の0.1%のTFA
流量:2.0ml/分
勾配:
時間 %のB
0 5
8.0 100
8.1 100
8.5 5
10.0 5
【0302】
2) LC−MS
カラム:XBridge C8、3.5μm、4.6×50mm;+veモード
溶媒A:水+0.1%のTFA;
溶媒B:ACN+0.1%のTFA;
流量:2ml/分;
勾配:
分 %のB
0 05
8.0 100
8.1 100
8.5 05
10.0 05
【0303】
%
2分のみの実行時間
%6
6分のみの実行時間
&
カラム:Waters Xbridge(C18、50×2.1mm、3.5ミクロン)
流量:0.8ml/分、カラム温度:25℃
溶離剤A:アセトニトリル95%+10mMの重炭酸アンモニウム、5%
溶離剤B:水中の10mMの重炭酸アンモニウム
直線状勾配:t=0分、2%のA、t=3.5分、98%のA、t=6分、98%のA
検出:DAD(220〜320nm)
検出:MSD(ESI pos/neg)質量範囲:100〜800
【0306】
以下の例は、医薬製剤に関する:
例A:注射バイアル
100gの式Iで表される活性化合物および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解させた溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥させ、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性化合物を含む。
【0307】
例B:座剤
20gの式Iで表される活性化合物の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性化合物を含む。
【0308】
例C:溶液
940mlの2回蒸留水中の1gの式Iで表される活性化合物、9.38gのNaH
2PO
4・2H
2O、28.48gのNa
2HPO
4・12H
2Oおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、溶液を調製する。pHを6.8に調整し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0309】
例D:軟膏
500mgの式Iで表される活性化合物を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0310】
例E:錠剤
1kgの式Iで表される活性化合物、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性化合物を含むようにする。
【0311】
例F:糖衣錠
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0312】
例G:カプセル
2kgの式Iで表される活性化合物を、硬質ゼラチンカプセル中に、慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性化合物を含むようにする。
【0313】
例H:アンプル
1kgの式Iで表される活性化合物を60lの2回蒸留水に溶解させた溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥させ、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性化合物を含む。