特許第6139986号(P6139986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139986
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】エッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   H01L21/302 201A
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-115577(P2013-115577)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-236055(P2014-236055A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】守谷 修司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 篤志
(72)【発明者】
【氏名】園部 淳
(72)【発明者】
【氏名】チョパン クリストファー
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−511088(JP,A)
【文献】 特開平01−194327(JP,A)
【文献】 特開2008−160000(JP,A)
【文献】 特開2011−233570(JP,A)
【文献】 特開2014−060221(JP,A)
【文献】 特開2005−039185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にシリコン部分を有し、前記シリコン部分に隣接して窒化シリコン部分を有する被処理基板において、前記シリコン部分を選択的にエッチングするエッチング方法であって、
チャンバー内に被処理基板を配置し、
前記チャンバー内にFNOガスおよびFガスを、不活性ガスで希釈して供給し、FNOガスおよびFガスを前記被処理基板の表面のシリコン部分と反応させ、前記シリコン部分を前記窒化シリコン部分に対して高選択比でエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】
前記シリコン部分はポリシリコン膜であることを特徴とする請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記FNOガスは、FガスとNOガスとの反応により生成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記FNOガスの濃度は、体積比率で0.5〜3.0%であり、前記Fガスの濃度は、体積比率で0.01〜3.0%であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記FNOガスと前記Fガスの体積比率は、30:1〜1:1の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記不活性ガスは、Nガス、Arガス、およびHeガスから選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記FNOガスおよび前記Fガスとの合計と不活性ガスとの体積比率は、1:150〜1:10の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項の記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記エッチングを行う際に、前記チャンバー内で前記被処理基板を載置する載置台の温度を50〜200℃の範囲とすることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記エッチングを行う際に、前記チャンバー内の圧力を1〜100Torrの範囲とすることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項10】
FNOガスおよびFガスを前記被処理基板の表面のシリコン部分と反応させた後、前記被処理基板を別のチャンバー内で加熱処理して前記被処理基板上の反応生成物を除去することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項11】
コンピュータ上で動作し、エッチング装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項10のいずれかのエッチング方法が行われるように、コンピュータに前記エッチング装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に存在するシリコン部分をエッチングするエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体デバイスの製造過程で、ドライエッチングやウエットエッチングに代わる微細化エッチングが可能な方法として、化学的酸化物除去処理(Chemical Oxide Removal;COR)と呼ばれるノンプラズマドライエッチング技術が注目されている(例えば特許文献1、2)。酸化物として酸化シリコン(SiO)をエッチングする場合には、フッ化水素(HF)ガス単独、またはHFガスとアンモニア(NH)ガスとの混合ガスが用いられている。
【0003】
ところで、CORは、酸化物をエッチングする技術であるが、最近では、酸化シリコン(SiO)のような酸化物のみならず、ポリシリコン(poly−Si)膜等のシリコン(Si)をエッチングすることも検討されている。ポリシリコン膜は窒化シリコン(SiN)膜等の他の膜と共存した状態で被処理基板である半導体ウエハ(シリコンウエハ)に形成されており、SiN膜等に対して高エッチング選択比でエッチングされる必要があり、このような観点からノンプラズマドライエッチングでシリコン(Si)をエッチングする場合にはHFガス+Fガスが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−39185号公報
【特許文献2】特開2008−160000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、HFガス+Fガスによりシリコン(Si)をエッチングする場合には、エッチングレートが極めて遅く、量産技術への採用が困難である。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、プラズマを用いないドライエッチングにより、高エッチングレートおよび高選択比で被処理基板のシリコン部分をエッチングすることができるエッチング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、表面にシリコン部分を有し、前記シリコン部分に隣接して窒化シリコン部分を有する被処理基板において、前記シリコン部分を選択的にエッチングするエッチング方法であって、チャンバー内に被処理基板を配置し、前記チャンバー内にFNOガスおよびFガスを、不活性ガスで希釈して供給し、FNOガスおよびFガスを前記被処理基板の表面のシリコン部分と反応させ、前記シリコン部分を前記窒化シリコン部分に対して高選択比でエッチングすることを特徴とするエッチング方法を提供する。
【0008】
前記シリコン部分としてはポリシリコン膜を典型的なものとして挙げることができる。
【0009】
本発明者等の鋭意研究の成果により、シリコン化合物のエッチング速度には、エッチング時の条件、すなわち温度、圧力、FNO、F濃度が大きく起因することが判明した。
【0010】
FNOガスは、シリコン化合物のエッチングに深く寄与し、FNO濃度が高いほど、そのエッチング速度が速い傾向にあり、圧力、温度は高いほどそのエッチング速度が速い傾向にある。ただし、この傾向は、エッチング対象物によって異なり、より高い選択比を得るためには、その条件を最適化することが必要となる。
【0011】
前述のように、ポリシリコン膜を窒化シリコンに対して高い選択比でエッチングする場合を考える。本発明のガスを用いると、ポリシリコン膜を高速でエッチングすることができる。窒化シリコンは、ポリシリコン膜に比較するとエッチングされにくいが、高温(>200℃)及び高濃度FNO(分圧>1Torr)の条件下では、急激にエッチングされ易くなる。本発明者等がこれらの点を元に鋭意研究した結果、窒化シリコン部分がエッチングされず、ポリシリコン膜のみが選択的にエッチングされる条件が見つかった。
【0012】
前記FNOガスは、FガスとNOガスとの反応により生成することができる。前記FNOガスの濃度は、体積比率で0.5〜3.0%であり、前記Fガスの濃度は、体積比率で0.01〜3.0%であることが好ましい。また、前記FNOガスと前記Fガスの体積比率は、30:1〜1:1の範囲であることが好ましい。前記不活性ガスは、Nガス、Arガス、およびHeガスから好適に用いることができ、前記FNOガスおよび前記Fガスとの合計と不活性ガスとの体積比率は、1:150〜1:10の範囲であることが好ましい。
【0013】
前記エッチングを行う際に、前記チャンバー内で前記被処理基板を載置する載置台の温度を50〜200℃の範囲とすることが好ましく、また、前記チャンバー内の圧力を1〜100Torrの範囲とすることが好ましい。
【0014】
また、FNOガスおよびFガスを前記被処理基板の表面のシリコン部分と反応させた後、前記被処理基板を別のチャンバー内で加熱処理して前記被処理基板上の反応生成物を除去することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、コンピュータ上で動作し、エッチング装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、上記エッチング方法が行われるように、コンピュータに前記エッチング装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、チャンバー内にFNOガスおよびFガスを、不活性ガスで希釈して供給し、FNOガスおよびFガスを被処理基板の表面のシリコン部分と反応させる。これにより、被処理基板表面のシリコン部分を高エッチングレートで、かつ被処理基板の他の部分に対して高選択比でエッチングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るエッチング方法を実施するために用いられるエッチング装置を搭載した処理システムを示す概略構成図である。
図2図1の処理システムに搭載されたPHT処理装置を示す断面図である。
図3図1の処理システムに搭載されたエッチング装置の一例の概略構成を示す断面図である。
図4】エッチング装置の他の例の概略構成を示す断面図である。
図5】エッチング装置のさらに他の例の概略構成を示す断面図である。
図6】反応ガスのFNO/F比とpoly−Si/SiN選択比との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<本発明の実施形態に用いる処理システム>
図1は、本発明の実施形態に係るエッチング方法を実施するために用いられるエッチング装置を搭載した処理システムを示す概略構成図である。この処理システム1は、半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)Wを搬入出する搬入出部2と、搬入出部2に隣接させて設けられた2つのロードロック室(L/L)3と、各ロードロック室3にそれぞれ隣接して設けられた、ウエハWに対してPHT(Post Heat Treatment)処理を行なうPHT処理装置(PHT)4と、各PHT処理装置4にそれぞれ隣接して設けられた、ウエハWに対してノンプラズマエッチングを行なうエッチング装置5とを備えている。ロードロック室3、PHT処理装置4およびエッチング装置5は、この順に一直線上に並べて設けられている。
【0020】
搬入出部2は、ウエハWを搬送する第1ウエハ搬送機構11が内部に設けられた搬送室(L/M)12を有している。第1ウエハ搬送機構11は、ウエハWを略水平に保持する2つの搬送アーム11a,11bを有している。搬送室12の長手方向の側部には、載置台13が設けられており、この載置台13には、ウエハWを複数枚並べて収容可能なキャリアCが例えば3つ接続できるようになっている。また、搬送室12に隣接して、ウエハWを回転させて偏心量を光学的に求めて位置合わせを行なうオリエンタ14が設置されている。
【0021】
搬入出部2において、ウエハWは、搬送アーム11a,11bによって保持され、第1ウエハ搬送機構11の駆動により略水平面内で直進移動、また昇降させられることにより、所望の位置に搬送させられる。そして、載置台13上のキャリアC、オリエンタ14、ロードロック室3に対してそれぞれ搬送アーム11a,11bが進退することにより、搬入出させられるようになっている。
【0022】
各ロードロック室3は、搬送室12との間にそれぞれゲートバルブ16が介在された状態で、搬送室12にそれぞれ連結されている。各ロードロック室3内には、ウエハWを搬送する第2ウエハ搬送機構17が設けられている。また、ロードロック室3は、所定の真空度まで真空引き可能に構成されている。
【0023】
第2ウエハ搬送機構17は、多関節アーム構造を有しており、ウエハWを略水平に保持するピックを有している。この第2ウエハ搬送機構17においては、多関節アームを縮めた状態でピックがロードロック室3内に位置し、多関節アームを伸ばすことにより、ピックがPHT処理装置4に到達し、さらに伸ばすことによりエッチング装置5に到達することが可能となっており、ウエハWをロードロック室3、PHT処理装置4、およびエッチング装置5間でのウエハWを搬送することが可能となっている。
【0024】
PHT処理装置4は、図2に示すように、真空引き可能なチャンバー20と、その中でウエハWを載置する載置台23を有し、載置台23にはヒーター24が埋設されており、このヒーター24によりエッチング処理が施された後のウエハWを加熱してエッチング処理により生成した反応生成物を気化(昇華)させるPHT処理を行なう。チャンバー20のロードロック室3側には、ロードロック室3との間でウエハを搬送する搬入出口20aが設けられており、この搬入出口20aはゲートバルブ22によって開閉可能となっている。また、チャンバー20のエッチング装置5側にはエッチング装置5との間でウエハWを搬送する搬入出口20bが設けられており、この搬入出口20bはゲートバルブ54により開閉可能となっている。さらに、チャンバー20に例えば窒素ガス(N)などの不活性ガスを供給するガス供給路25を備えたガス供給機構26、およびチャンバー20内を排気する排気路27を備えた排気機構28が備えられている。ガス供給路25は、窒素ガス供給源30に接続されている。そして、ガス供給路25には、流路の開閉動作および窒素ガスの供給流量の調節が可能な流量調整弁31が介設されている。排気機構28の排気路27には、開閉弁32および真空ポンプ33が設けられている。
【0025】
エッチング装置5は、図3に示すように、密閉構造のチャンバー40を備えており、チャンバー40の内部には、ウエハWを略水平にした状態で載置させる載置台42が設けられている。また、エッチング装置5には、チャンバー40内に、FNOガス、Fガス、Nガスを供給するガス供給機構43、チャンバー40内を排気する排気機構44が設けられている。
【0026】
チャンバー40は、チャンバー本体51と蓋部52とによって構成されている。チャンバー本体51は、略円筒形状の側壁部51aと底部51bとを有し、上部は開口となっており、この開口が蓋部52で閉止される。側壁部51aと蓋部52とは、シール部材(図示せず)により封止されて、チャンバー40内の気密性が確保される。
【0027】
側壁部51aには、PHT処理装置4のチャンバー20に対してウエハWを搬入出する搬入出口53が設けられており、この搬入出口53はゲートバルブ54により開閉可能となっている。
【0028】
蓋部52は、外側を構成する蓋部材55と、蓋部材55の内側に嵌め込まれ、載置台42に臨むように設けられたシャワーヘッド56とを有している。シャワーヘッド56は円筒状をなす側壁57aと上部壁57bとを有する本体57と、本体57の底部に設けられたシャワープレート58とを有している。本体57とシャワープレート58との間には空間59が形成されている。
【0029】
蓋部材55および本体57の上部壁57bには空間59まで貫通してガス導入路61が形成されており、このガス導入路61にはガス供給機構43のガス供給配管71が接続されている。
【0030】
シャワープレート58には複数のガス吐出孔62が形成されており、ガス供給配管71およびガス導入路61を経て空間59に導入されたガスがガス吐出孔62からチャンバー40内の空間に吐出される。
【0031】
載置台42は、平面視略円形をなしており、チャンバー40の底部51bに固定されている。載置台42の内部には、載置台42の温度を調節する温度調節器65が設けられている。温度調節器65は、例えば温度調節用媒体(例えば水など)が循環する管路を備えており、このような管路内を流れる温度調節用媒体と熱交換が行なわれることにより、載置台42の温度が調節され、載置台42上のウエハWの温度制御がなされる。
【0032】
ガス供給機構43は、Fガス供給源75、FNOガス供給源76、およびNガス供給源77を有しており、これらにはそれぞれFガス供給配管72、FNOガス供給配管73、Nガス供給配管74が接続されている。Fガス供給配管72、FNOガス供給配管73、Nガス供給配管74は、上記ガス供給配管71に接続されている。Fガス供給配管72、FNOガス供給配管73、Nガス供給配管74には流路の開閉動作および流量制御を行う流量制御器79が設けられている。流量制御器79は例えば開閉弁およびマスフローコントローラにより構成されている。
【0033】
そして、Fガス供給源75およびFNOガス供給源76からFガスおよびFNOガスが所定の流量で供給され、ガス供給配管71内で混合ガスとなり、この混合ガスがNガスとともにガス供給配管71を経てシャワーヘッド56内に供給され、シャワーヘッド56からチャンバー40内へ吐出される。
【0034】
上記ガスのうちFNOガスおよびFガスが反応ガスであり、不活性ガスであるNガスは希釈ガスである。そして、チャンバー40内に、反応ガスとしてFNOガスおよびFガスを所定流量で、希釈ガスであるNガスで希釈された状態で導入して、チャンバー40内を所定圧力に維持しつつ、ウエハW上のSi部分、例えばpoly−Si膜をエッチングする。FNOガスは、FガスとNOガスとの反応により生成することができる。
【0035】
希釈ガスとして用いる不活性ガスとしては、Nガス以外にArガス、Heガスを好適に用いることができる。また、Nガス、Arガス、Heガスは単独で用いてもよいし、これらの2種以上を用いてもよい。他の希ガスを用いてもよい。
【0036】
なお、Fガス供給源75として通常用いられるボンベは、Fガスが極めて活性が高いため、不活性ガス、典型的にはNガスでF:N=1:4の体積比で希釈されている。
【0037】
排気機構44は、チャンバー40の底部51bに形成された排気口81に繋がる排気配管82を有しており、さらに、排気配管82に設けられた、チャンバー40内の圧力を制御するための自動圧力制御弁(APC)83およびチャンバー40内を排気するための真空ポンプ84を有している。
【0038】
チャンバー40の側壁からチャンバー40内に、チャンバー40内の圧力を計測するための圧力計としての2つのキャパシタンスマノメータ86a,86bが設けられている。キャパシタンスマノメータ86aは高圧力用、キャパシタンスマノメータ86bは低圧力用となっている。
【0039】
エッチング装置5を構成するチャンバー40、載置台42等の各種構成部品の材質としては、Alが用いられている。チャンバー40を構成するAl材は無垢のものであってもよいし、内面(チャンバー本体51の内面、シャワーヘッド56の下面など)に陽極酸化処理を施したものであってもよい。一方、載置台42を構成するAlの表面は耐摩耗性が要求されるので、陽極酸化処理を行って表面に耐摩耗性の高い酸化被膜(Al)を形成することが好ましい。
【0040】
図1に示すように、処理システム1は制御部90を有している。制御部90は、処理システム1の各構成部を制御するマイクロプロセッサ(コンピュータ)を備えたプロセスコントローラ91を有している。プロセスコントローラ91には、オペレータが処理システム1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、処理システム1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有するユーザーインターフェース92が接続されている。また、プロセスコントローラ91には、処理システム1で実行される各種処理、例えばエッチング装置5における処理ガスの供給やチャンバー40内の排気などをプロセスコントローラ91の制御にて実現するための制御プログラムや処理条件に応じて処理システム1の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムである処理レシピや、各種データベース等が格納された記憶部93が接続されている。レシピは記憶部93の中の適宜の記憶媒体に記憶されている。そして、必要に応じて、任意のレシピを記憶部から呼び出してプロセスコントローラ91に実行させることで、プロセスコントローラ91の制御下で、処理システム1での所望の処理が行われる。
【0041】
<エッチング方法>
次に、このような処理システム1を用いた本実施形態のエッチング方法について説明する。
【0042】
ウエハWとして、表面にエッチング対象であるSi部分であるpoly−Si膜を有し、それと隣接してハードマスク膜としてのSiN膜、電極としてのTiN膜等が形成されたものを準備し、そのようなウエハWをキャリアC内に収納して処理システム1に搬送する。処理システム1においては、大気側のゲートバルブ16を開いた状態で搬入出部2のキャリアCから第1ウエハ搬送機構11の搬送アーム11a、11bのいずれかによりウエハWを1枚ロードロック室3に搬送し、ロードロック室3内の第2ウエハ搬送機構17のピックに受け渡す。
【0043】
その後、大気側のゲートバルブ16を閉じてロードロック室3内を真空排気し、次いでゲートバルブ22および54を開いて、ピックをエッチング装置5まで伸ばして載置台42にウエハWを載置する。
【0044】
その後、ピックをロードロック室3に戻し、ゲートバルブ54を閉じ、チャンバー40内を密閉状態する。この状態で、温度調節器65によって載置台42上のウエハWの温度を所定の目標値に調節し、ガス供給機構43のFガス供給源75、FNOガス供給源76、およびNガス供給源77から、Fガス、FNOガス、Nガスを供給する。FガスとFNOガスとはガス供給配管71内で混合されて混合ガスとなり、この混合ガスは、希釈ガスとしての不活性ガスであるNガスとともにシャワーヘッド56の空間59内に導入され、ガス吐出孔62からチャンバー40内の空間に吐出される。
【0045】
エッチングガスであるFNOガスおよびFガスの混合ガスによりウエハWのSi部分、例えばpoly−Si膜がエッチングされる。
【0046】
FNOおよびF混合ガスは、Siに対する反応性が極めて高く、低濃度でも極めて高いエッチングレートでSiをエッチングすることができる。例えば、膜厚が150nmのpoly−Si膜のエッチングに際し、HFガスとFガスの混合ガスでは40分程度かかっていたものが、FNOとFの混合ガスでは2分程度でエッチングすることができ、従来の20倍程度のエッチングレートを得ることができる。
【0047】
また、FNOとFの混合ガスは、SiNやTiN等、poly−Si膜に隣接して用いられる膜に対するエッチングレートは低く、これらの膜に対して極めて高いエッチング選択比でpoly−Siをエッチングすることができる。例えば、SiN膜に対して100〜無限大という極めて高いエッチング選択比を得ることができる。
【0048】
FNOガスの濃度は体積比率で0.5〜3.0%が好ましい。また、Fガスの濃度は、体積比率で0.01〜3.0%が好ましい。FNOガスとFガスの体積比率としては、FNO:F=30:1〜1:1の範囲を用いることができる。また、エッチングガス(FNO+F)と希釈ガスである不活性ガスとの体積比率は、エッチング対象の大きさにもよるが、1:150〜1:10の範囲が好ましい。
【0049】
エッチングの際のウエハWの載置台42の温度は、50〜200℃の範囲が好ましく、また、チャンバー40内の圧力は、1〜100Torr(133.3〜13330Pa)の範囲が好ましい。
【0050】
なお、FNOおよびFはいずれも沸点が低く、通常の処理条件においては安定的に気体として存在する。
【0051】
以上のようなエッチングにおいて、SiF等が反応生成物として生成し、このような反応生成物がウエハWの表面に付着した状態となる。
【0052】
このため、エッチング装置5によるエッチング処理が終了した後、ウエハWをPHT処理装置4に搬送し、ウエハWを加熱して、ウエハW表面の反応生成物を加熱除去する。具体的には、エッチング装置5でのエッチングが終了した後、ゲートバルブ22、54を開き、第2ウエハ搬送機構17のピックにより載置台42上の処理後のウエハWをPHT処理装置4のチャンバー20内の載置台23上に載置する。そして、ピックをロードロック室3に退避させ、ゲートバルブ22、54を閉じ、チャンバー20内にNガスを導入しつつ、ヒーター24により載置台23上のウエハWを加熱する。これにより、上記エッチング処理によって生じた反応生成物が加熱されて気化し、除去される。
【0053】
このように、PHT処理装置4により加熱処理が終了した後、ゲートバルブ22を開き、第2ウエハ搬送機構17のピックにより載置台23上の加熱処理後のウエハWをロードロック室3に退避させ、第1ウエハ搬送機構11の搬送アーム11a、11bのいずれかによりキャリアCに戻す。これにより、一枚のウエハの処理が完了する。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、エッチング装置5によるウエハW上のSi部分、例えばpoly−Si膜をFNOおよびFを混合したエッチングガスと、Nガスのような不活性ガスからなる希釈ガスとによりエッチングする。これにより、極めて高エッチングレートで、かつ、SiN膜やTiN膜等の隣接した膜に対して高エッチング選択比でSi部分をエッチングすることができる。
【0055】
なお、ガス供給機構43としては、FガスとFNOガスの比率が決まっている場合等には、図4に示すように、Fガス供給源75、FNOガス供給源76に代えて、FガスとFNOの混合ガスを供給する混合ガス供給源87を設けてもよい。また、混合ガス供給源87とFガス供給源75とを併用することもできる。なお、図4では、混合ガス供給源87はガス供給配管71に直接接続されている。
【0056】
さらに、図5に示すように、ガス供給機構43として、FNOガス供給源76の代わりにNOガス供給源88を設けることもできる。この場合には、FガスとNOガスとがガス供給配管71内で混合されて反応し、FをFNOの化学量論組成よりも過剰にすることにより、FNOガスとFガスの混合ガスが形成される。そして、FNOガスとFガスが、Nガスとともにガス供給配管71を経てシャワーヘッド56内に供給され、シャワーヘッド56からチャンバー40内へ吐出される。なお、89は、NOガス供給配管である。
【0057】
<実験例>
次に、実験例について説明する。
本実験例においては、SiO上に、厚さ200nmのpoly−Si膜と、厚さ300nmのSiN膜を形成した複数のサンプルについて、図3に示した構成を有するエッチング装置を用い、ガス供給機構から、FNO/F比を変化させて、Fガス、FNOガス、Nガスを供給し、載置台の温度を50〜200℃、チャンバー内の圧力を1〜100Torr(133.3〜13330Pa)の範囲でエッチングした。図6にこの際のFNOガスとFガスの体積比率とpoly−Si膜のSiN膜に対する選択比との関係を示す。なお、エッチング量は各膜の4点にて測定したこの条件でのSiNのエッチングレートは非常に小さく測定に誤差を含むため、0.1nm/minとし、ポリシリコンとの選択比を計算した。
【0058】
図6に示すように、エッチングガスとしてFNOおよびFの混合ガスを用いることにより、poly−Si膜をSiN膜に対して極めて高いエッチング選択比でエッチングできることが確認された。
【0059】
<本発明の他の適用>
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態の装置は一例に過ぎず、種々の構成の装置により本発明のエッチング方法を実施することができる。また、被処理基板として半導体ウエハを用いた場合について示したが、半導体ウエハに限らず、LCD(液晶ディスプレイ)用基板に代表されるFPD(フラットパネルディスプレイ)基板や、セラミックス基板等の他の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1;処理システム
2;搬入出部
3;ロードロック室
4;PHT処理装置
5;エッチング装置
11;第1ウエハ搬送機構
17;第2ウエハ搬送機構
40;チャンバー
42;載置台
43;ガス供給機構
44;排気機構
90;制御部
W;半導体ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6