(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、内服により肌の水分含量を増加させ、肌質を改善する効果を有する経口組成物を提供することを目的とする。また本発明は、松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選ばれる少なくとも1種、または、松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、及び杜仲抽出物の3種を含む経口組成物の、肌の水分含量を増加させて肌質を改善するための使用(内服使用);並びに当該経口組成物を被験者に摂取させて、当該被験者の肌の水分含量を増加させて肌質を改善する方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、内服により肌の水分含量を増加させて肌質を改善するための経口組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題の解決を目指して検討を重ねていたところ、松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種、または、松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10および杜仲抽出物を組み合わせて含有する組成物を継続的に内服することにより、肌の水分含量が増加し、それに伴って肌質が改善(潤い、弾力、ふっくら感及びハリの向上:しわやたるみの改善:肌の疲れの回復等)することを見出した。特に3種組み合わせによる効果は、40才以上の中高齢者になるにつれて一層良好に得られる効果であることを確認した。
【0009】
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものであり、下記の態様を包含するものである。
【0010】
I.内服用の肌水分量増加剤
(I-1)松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する、内服用の肌水分量増加剤。
(I-2)松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、および杜仲抽出物を含有する、内服用の肌水分量増加剤。
(I-3)松樹皮抽出物中に含まれるプロシアニジンの投与量に換算して、成人1日あたりのプロシアニジンの投与量が0.01〜30mgとなるように使用されるか、または成人1日あたりの還元型コエンザイムQ10の投与量が0.02〜300mgとなるように使用される、(I-1)または(I-2)に記載する肌水分量増加剤。
(I-4)松樹皮抽出物1重量部に対して、還元型コエンザイムQ10を2〜10重量部、杜仲抽出物を1〜10重量部の割合で含有する(I-2)または(I-3)に記載する肌水分量増加剤。
(I-5)上記肌水分量増加剤が肌水分量増加による肌質改善剤である、(I-1)乃至(I-4)に記載する肌水分量増加剤。
(I-6)中高齢者用の肌水分量増加剤である、(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載する肌水分量増加剤。
【0011】
II.肌水分量増加のための使用
(II-1)松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する経口組成物の、肌水分量増加のための使用。
(II-2)松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、および杜仲抽出物を含有する経口組成物の、肌水分量増加のための使用。
(II-3)上記肌水分量増加のための使用が肌水分量増加による肌質改善のための使用である、(II-1)または(II-2)に記載する使用。
【0012】
なお、当該(II-3)で規定する使用は、「松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する経口組成物の、肌水分量増加による肌質改善のための使用。」または「松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、および杜仲抽出物を含有する経口組成物の、肌水分量増加による肌質改善のための使用」と言い換えることができる。
【0013】
(II-4)上記経口組成物が、松樹皮抽出物中に含まれるプロシアニジンの投与量に換算して、成人1日あたりのプロシアニジンの投与量が0.01〜30mgとなるように使用されるか、または成人1日あたりの還元型コエンザイムQ10の投与量が0.02〜300mgとなるように使用される、(II-1)乃至(II-3)のいずれかに記載する使用。
(II-5)上記経口組成物が、松樹皮抽出物1重量部に対して、還元型コエンザイムQ10を2〜10重量部、杜仲抽出物を1〜10重量部の割合で含有するものである、(II-2)乃至(II-4)のいずれかに記載する使用。
(II-6)中高齢者に対する肌水分量増加または肌水分量増加による肌質改善のための使用である、(II-1)乃至(II-5)のいずれかに記載する使用。
(II-7)ヒトに対する医療行為を含まない(II-1)乃至(II-6)のいずれかに記載する使用。
【0014】
III.肌水分量を増加させる方法
(III-1)松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する経口組成物を被験者に摂取させることを特徴とする、被験者の肌水分量を増加させる方法。
(III-2)松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、および杜仲抽出物を含有する経口組成物を被験者に摂取させることを特徴とする、被験者の肌水分量を増加させる方法。
(III-3)上記肌水分量を増加させる方法が、被験者の肌水分量増加による肌質改善方法である、(III-1)または(III-2)に記載する方法。
【0015】
なお、当該(III -3)で規定する方法は、「松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する経口組成物を被験者に摂取させることを特徴とする、被験者の肌水分量増加による肌質を改善する方法。」または「松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、および杜仲抽出物を含有する経口組成物を被験者に摂取させることを特徴とする、被験者の肌水分量増加による肌質を改善する方法」と言い換えることができる。
【0016】
(III-4)上記経口組成物が、松樹皮抽出物中に含まれるプロシアニジンの投与量に換算して、成人1日あたりのプロシアニジンの投与量が0.01〜30mgとなるように使用されるか、または成人1日あたりの還元型コエンザイムQ10の投与量が0.02〜300mgとなるように使用される、(III-1)乃至(III-3)のいずれかに記載する方法。
(III-5)上記経口組成物が、松樹皮抽出物1重量部に対して、還元型コエンザイムQ10を2〜10重量部、杜仲抽出物を1〜10重量部の割合で含有するものである、(III-2)乃至(III-4)のいずれかに記載する方法。
(III-6)被験者が中高齢者である、(III-1)乃至(III-5)のいずれかに記載する方法。
(III-7)ヒトに対する医療行為を含まない(III-1)乃至(III-6)のいずれかに記載する方法。
【0017】
IV. 経口組成物の製造方法
(IV-1)松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を配合して内服形態の組成物を調製する工程を有する、内服により肌水分量を増加させる経口組成物の製造方法。
(IV-2)松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、および杜仲抽出物を配合して内服形態の組成物を調製する工程を有する、内服により肌水分量を増加させる経口組成物の製造方法。
(IV-3)上記経口組成物が、内服により肌水分量を増加させて肌質を改善する経口組成物である(IV-1)または(IV-2)に記載する製造方法。
(IV-4)松樹皮抽出物1重量部に対して、還元型コエンザイムQ10を2〜10重量部、杜仲抽出物を1〜10重量部の割合で配合する、(IV-2)または(IV-3)に記載する製造方法。
(IV-5)上記経口組成物が、内服により肌水分量を増加させる経口組成物である、(IV-1)乃至(IV-4)のいずれかに記載する製造方法。
【発明の効果】
【0018】
松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する経口組成物、並びに松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10および杜仲抽出物を含有する経口組成物は、これを経口的に継続的に摂取することで、肌の水分量の低下を抑えて水分量を増加させ、肌質を改善することができる。具体的には、上記経口組成物を継続して摂取することで、例えば肌の潤い、弾力、ふっくら感、ハリの向上;シワやタルミの改善;肌の疲れが回復するなどの肌質改善効果を得ることができる。
【0019】
このため、松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する経口組成物、並びに松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10および杜仲抽出物を含有する経口組成物は、肌の水分量の低下を抑えて水分量を増加させて、上記肌質を改善するために有効に利用することができる。特にこの効果(肌水分含量の増加効果、肌水分含量の増加による肌質改善効果)は、肌の水分含量の低下による肌質の衰えが認められる中高齢者に対して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌水分量を対比した結果である。摂取前の肌水分量を100%として、摂取後の肌水分量から変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果の集計した結果を示す。なお、図中、「―●―」は、本発明の経口組成物を摂取した被験群(本発明摂取群)の結果を、「―▲―」は、対照組成物を摂取した被験群(プラセボ摂取群)の結果をそれぞれ示す(以下の
図2〜8において同じ)。
【
図2】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌の潤い感を対比した結果である。摂取前の潤い感を100%として、摂取後の潤い感の変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果を集計した結果を示す。
【
図3】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌の弾力感を対比した結果である。摂取前の弾力感を100%として、摂取後の弾力感の変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果を集計した結果を示す。
【
図4】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌のハリ感を対比した結果である。摂取前のハリ感を100%として、摂取後のハリ感の変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果を集計した結果を示す。
【
図5】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌のタルミ感を対比した結果である。摂取前のタルミ感を100%として、摂取後のタルミ感の変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果を集計した結果を示す。
【
図6】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌のふっくら感を対比した結果である。摂取前のふっくら感を100%として、摂取後のふっくら感の変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果を集計した結果を示す。
【
図7】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌のシワ改善感を対比した結果である。摂取前のシワの実感を100%として、摂取後のシワの実感の変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果を集計した結果を示す。
【
図8】本発明の経口組成物(被験者:n=12)及び対照組成物(被験者:n=12)の摂取前後で、肌の疲労感を対比した結果である。摂取前の肌疲労感を100%として、摂取後の肌疲労感の変化率(%)を求めた結果を示す。図(A):被験者全員12名の結果を集計した結果を示す。図(B):被験者のうち高齢者6名の結果を集計した結果を示す。
【
図9】本発明の還元型コエンザイムQ10含有組成物(被験者:n=6)及び松樹皮抽出物含有組成物(被験者:n=6)の摂取前後で、肌水分量を対比した結果である。摂取前の肌水分量を100%として、摂取後の肌水分量から変化率(%)を求めた結果を示す。なお、図中、「―◆―」は還元型コエンザイムQ10摂取群の結果を、「―■―」は松樹皮抽出物摂取群の結果をそれぞれ示す(以下の
図10〜21において同じ)。
【
図10】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌の潤い感を対比した結果である。摂取前の潤い感を100%として、摂取後の潤い感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図11】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌の弾力感を対比した結果である。摂取前の弾力感を100%として、摂取後の弾力感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図12】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌のハリ感を対比した結果である。摂取前のハリ感を100%として、摂取後のハリ感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図13】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌のタルミ感を対比した結果である。摂取前のタルミ感を100%として、摂取後のタルミ感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図14】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌のふっくら感を対比した結果である。摂取前のふっくら感を100%として、摂取後のふっくら感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図15】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌のシワ改善感を対比した結果である。摂取前のシワの実感を100%として、摂取後のシワの実感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図16】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌疲労感を対比した結果である。摂取前の肌疲労感を100%として、摂取後の肌疲労感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図17】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌の血色を対比した結果である。摂取前の肌血色を100%として、摂取後の肌血色の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図18】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌のツヤを対比した結果である。摂取前の肌ツヤを100%として、摂取後の肌ツヤの変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図19】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、肌の透明感を対比した結果である。摂取前の肌透明感を100%として、摂取後の肌透明感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図20】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、美白度を対比した結果である。摂取前の美白度を100%として、摂取後の美白度の変化率(%)を求めた結果を示す。
【
図21】還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)について、各組成物の摂取前後で、シミを対比した結果である。摂取前のシミの実感を100%として、摂取後のシミの実感の変化率(%)を求めた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.内服用の肌水分量増加剤
本発明の肌水分量増加剤は、松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有するか、または松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10および杜仲抽出物を含有する、内服形態を有する経口組成物である。以下、本発明の肌水分量増加剤である経口組成物の組成、用途、及び製造方法などを説明する。
【0022】
(1) 松樹皮抽出物
松樹皮抽出物は、松樹皮から抽出される天然の機能性素材であり、プロシアニジンを始め有機酸やその他の生理活性成分を約40種類も含有するものである。ここでプロシアニジンとは、カテキンの重合体で、ほとんどの植物が有している二次代謝産物の1つである。プロシアニジンは重合することによって、その有用生理活性が高くなり、さらに単量体であるカテキンにはない有用生理活性が生じる。
【0023】
松樹皮としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物の樹皮を挙げることができる。好ましくは、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松であるフランス海岸松(Pinus Martima)の樹皮である。
【0024】
松樹皮抽出物は、松樹皮からプロシアニジンを多く含む画分を抽出する方法で調製され、この限りにおいて特に限定されないが、例えば、溶媒抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0025】
溶媒抽出法は、松樹皮を水または有機溶媒で抽出することで実施される。水を用いる場合には、温水または熱水を用いることが好ましい。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましくは、水、熱水、エタノール、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。なお、抽出効率を向上させる点から、抽出液には塩化ナトリウムなどの塩を添加することが好ましい。
【0026】
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体(超臨界流体)を用いて抽出することで実施される。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などを挙げることができるが、好ましくは二酸化炭素である。
【0027】
松樹皮抽出物の調製は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などを行うことで行うこともできる。
【0028】
松樹皮抽出物は、必要に応じて濃縮および/または凍結乾燥などを行うことにより得られる濃縮液、粘稠物質または固体として使用することができる。
【0029】
斯くして調製される松樹皮抽出物は、プロシアニジンを35重量%以上含有していることが好ましい。より好ましくはプロシアニジンを60重量%以上含有する松樹皮抽出物である。
【0030】
なお、かかる松樹皮抽出物は商業的に入手することができ、例えば、東洋新薬株式会社などから販売されている市販品を使用することができる。
【0031】
本発明の経口組成物中の松樹皮抽出物の含有量は、制限されないが、固形物換算で3重量%以上含むことが好ましい。好ましくは3〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
【0032】
(2) 還元型コエンザイムQ10
コエンザイムQ10には、酸化型と還元型の2種類の形態がある。そのうち、本発明では還元型コエンザイムQ10が好適に使用される。
【0033】
還元型コエンザイムQ10は商業的に入手することができ、例えば株式会社カネカから販売されている市販品を使用することができる。
【0034】
本発明の経口組成物中の還元型コエンザイムQ10の含有量は、制限されないが、固形物換算で5重量%以上含むことが好ましい。好ましくは5〜30重量%、より好ましくは8〜25重量%である。
【0035】
本発明の経口組成物は、前述する松樹皮抽出物に加えて、当該還元型コエンザイムQ10を含むものであってもよい。この場合、より高い効果を発揮するために、経口組成物に含まれる松樹皮抽出物1重量部(固形物換算)に対して、還元型コエンザイムQ10を2〜10重量部の割合で配合することが好ましい。より好ましくは2〜8重量部、特に好ましくは3〜6重量部である。
【0036】
これを松樹皮抽出物中に含まれているプロシアニジン1重量部に対する割合に換算すると、還元型コエンザイムQ10の配合割合は、プロシアニジン1重量部に対して2.5〜20重量部、より好ましくは2.5〜16重量部、特に好ましくは3.5〜10重量部である。
【0037】
(3) 杜仲抽出物
杜仲抽出物は、トチュウ(Eucommia ulmoides)の抽出物であり、その部位は特に限定されないが、収量が多く得られる点から葉を用いることが好ましい。
【0038】
杜仲抽出物の抽出法は特に限定されないが、例えば、溶媒抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0039】
溶媒抽出法は、杜仲を水または有機溶媒で抽出することで実施される。水を用いる場合には、温水または熱水を用いることが好ましい。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましくは、水、熱水、エタノール、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0040】
杜仲抽出物の調製に使用する杜仲葉は、栽培により生産されたものであっても天然より採取されたものであってもよい。例えば、当年葉で落葉前の生葉を用い、採取時期は4月から10月、好ましくは5月から8月、より好ましくは6月から8月までの生葉を用いることができる。水抽出に使用する杜仲葉は、収穫後乾燥前の杜仲生葉であってもよく、または杜仲生葉を加工することにより調製される杜仲葉を使用することもできる。本発明で用いる杜仲抽出物は、好ましくは、杜仲生葉を蒸熱する工程;杜仲葉を揉捻する工程;杜仲葉を水により抽出する工程;および、当該抽出液を濃縮する工程を含む製造方法により調製される。すなわち、本発明に用いられる杜仲葉は、杜仲生葉を蒸熱する工程、および杜仲葉を揉捻する工程を含む方法により調製される杜仲茶葉であってもよい。
【0041】
ここで杜仲生葉の蒸熱工程は、市販されている蒸し機またはオートクレーブなどを用いて、当該技術分野で通常行われている方法により実施することができる。例えば、ネットコンベア上に杜仲生葉を広げ、ボイラーから供給される無圧蒸気を充満させた処理室を通過させることにより、杜仲生葉を蒸熱処理することができる。蒸熱温度は、特に限定はされないが、例えば杜仲葉の大きさに応じて90〜120℃の範囲で適宜選択されうる。また蒸熱時間も、10〜240秒間の範囲で適宜選択されうる。また、使用する蒸気量は、例えば200〜70L/分の範囲で適宜選択されうる。蒸し葉の処理量は、生葉の水分率に応じて、特に限定はされないが、例えば3〜10kg/分の範囲で適宜選択されうる。この蒸熱工程は、杜仲葉を褐色に変色させる酵素が失活することにより杜仲生葉の成分が保たれやすくなる;および、杜仲葉が柔らかくなることで、その後の揉捻工程の実施が容易になる、などの効果をもたらす。
【0042】
また揉捻工程は、例えば市販されている揉捻機、粗揉機または中揉機を用いて行うことができる。例えば市販の揉捻機としては、株式会社寺田製作所製、揉捻機60Kg型などを用いることができる。本工程により、余分な水分を取り除きつつ杜仲葉中の水分が均一に整えられ、さらに杜仲特有の成分が抽出しやすくなる。本工程は、必要に応じて加熱下で行うこともできるが、好ましくは加熱せずに行われる。また本工程に要する時間は、特に限定はされないが、例えば10〜80分間の範囲で適宜選択されうる。揉捻葉の処理量は、特に限定はされないが、例えば水分率に応じて25〜40kgの範囲で適宜選択されうる。本工程を経て得られる杜仲葉の水分量は、例えば乾量基準で25〜40%である。
【0043】
杜仲葉の調製方法は、揉捻工程の後に杜仲葉を焙煎する工程を含んでいてもよい。杜仲葉を焙煎する工程は、特に限定はされないが、例えば市販されている焙煎機を用いて行うことができる。本工程における焙煎方法は、特には限定されないが、例えば、有限会社横山製作所製、熱風式回転乾燥火入機などにより行われうる。また本工程に要する時間は、特に限定はされないが、30〜50分間の範囲で適宜選択されうる。また本工程の焙煎温度は、特に限定はされないが、例えば100〜140℃の範囲で適宜選択されうる。本工程を経て得られる杜仲葉の水分量は、例えば乾量基準で8%以下である。
【0044】
杜仲抽出物を得る工程において、杜仲葉1kgに対して、例えば5〜50kgから適宜選択される量の水が用いることができる。杜仲葉の水抽出は、例えば85〜105℃、好ましくは90〜95℃の熱水による抽出であってもよく、または、杜仲葉粉砕物を含む水に、より低温(例えば、25〜50℃、好ましくは30〜45℃)で超音波を照射することにより行うこともできる。
【0045】
斯くして調製される杜仲抽出物は、必要に応じて濃縮および/または凍結乾燥などを行うことにより得られる濃縮液、粘稠物質または固体として使用することができる。
【0046】
本発明の経口組成物は、より高い効果を発揮するために、前述する松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10に加えて、当該杜仲抽出物を含有するものであってもよい。この場合、杜仲抽出物は、松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10を含む経口組成物に含まれる松樹皮抽出物1重量部(固形物換算)に対して、固形物換算で1〜10重量部の割合で配合されることが好ましい。より好ましくは1〜7重量部、特に好ましくは2〜4重量部である。
【0047】
これを松樹皮抽出物中に含まれているプロシアニジン1重量部に対する割合に換算すると、杜仲抽出物の配合割合は、松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10を含む経口組成物に含まれるプロシアニジン1重量部に対して1.2〜20重量部、より好ましくは1.2〜14重量部、特に好ましくは2.5〜7重量部である。
【0048】
(4) その他の成分
本発明の経口組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記の成分に加えて、さらに必要に応じて、他の成分を含有することができる。例えば、ビタミンB
2類及びビタミンB
6類を含有するビタミン剤(特許文献1)、カゼイン加水分解物及びセラミドを含む組成物(特許文献2)などの肌の水分量の低下抑制若しくは増加作用が知られている成分を挙げることができる。
【0049】
また、他の成分は、本発明の経口組成物の適用用途および形態に応じて、適宜設定することができる。例えば、経口医薬品として用いる場合は、例えば、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、滑沢剤、湿潤剤、懸濁剤、着色料、香料、および栄養成分などの成分を目的に応じて配合することができる。
【0050】
(5) 内服用の肌水分量増加剤
本発明の経口組成物は、上記の各成分を当業者が通常用いる方法によって混合し、各種の経口投与若しくは経口摂取される形態(内服形態)にすることで、肌水分量増加剤として調製することができる。
【0051】
当該肌水分量増加剤は、医薬組成物または医薬部外品組成物として調製することができる。かかる医薬組成物は、種々の剤形、例えば、経口投与形態として、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル)、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤等とすることができる。かかる医薬組成物は、一般に用いられる各種成分を含むことができ、例えば、1種もしくはそれ以上の薬学的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等を挙げることができる。また当該肌水分量増加剤は、持続性または徐放性剤形であってもよい。
【0052】
かかる肌水分量増加剤の投与量は、被験者(患者)の体型、性別、年齢、肌の状態等により、適宜選択することができる。制限はされないが、松樹皮抽出物を含む経口組成物の場合、一般に松樹皮抽出物中に含まれるプロシアニジンの投与量に換算して0.01〜30mg/日/成人、好ましくは1〜20mg/日/成人の用量で使用されうる。また還元型コエンザイムQ10を含む経口組成物の場合、還元型コエンザイムQ10の投与量に換算して0.02〜300mg/日/成人、好ましくは2〜200mg/日/成人の用量で使用されうる。また杜仲抽出物を含む経口組成物の場合、杜仲抽出物の投与量に換算(固形物換算)して0.01〜300mg/日/成人、好ましくは1〜200mg/日/成人の用量で使用されうる。これらの成分を複数含有する経口組成物の場合は、上記各成分の投与量を参考にして、適宜設定することができる。当該肌水分量増加剤の投与は、1日当たり単回投与または複数回投与であってもよい。
【0053】
なお、投与は、連続的にまたは間欠的に継続して行うことが好ましい。具体的には、少なくとも15日以上、好ましくは30日以上継続的に投与することが望ましい。
【0054】
本発明の肌水分量増加剤は、肌水分量が低下している被験者(ヒト)や肌水分量の低下によって肌質が衰えているか衰えが始まっている被験者に対して好適に用いられる。かかる被験者としては、制限はされないが、男性及び女性の別を問わず、20歳以上の者を挙げることができる。特に松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10及び杜仲抽出物を含む経口組成物は、中高齢者に対して高い効果を発揮するため、中高齢者に対して好適に用いることができる。なお、本発明において「中高齢者」とは40才以上、好ましくは45才以上の年齢層のヒトをいい、「高齢者」とは60才以上、好ましくは65才以上の年齢層のヒトをいう。
【0055】
なお、本発明の肌水分量増加剤は、飲食物に対して、肌水分量増加機能または肌水分量増加による肌質の改善機能を付与するために、食品添加物として、飲食物に添加して用いることもできる。斯くして、継続的に摂取することで肌水分量を増加させ、または肌水分量増加させて肌質を改善することができる機能性飲食物を製造することができる。
【0056】
当該機能性飲食品の例としては、肌水分量増加させて肌質を改善する効果を有する機能性食品(特定保健用食品が含まれる)、健康食品、一般食品(清涼飲料水、ジュース、菓子、加工食品等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)等が含まれる。また当該機能性飲食品には、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル)、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤などの経口投与製剤形態を有するサプリメント等が含まれる。
【0057】
なお、本発明の肌水分量増加剤を添加配合した飲食品の推奨摂取量は、上記医薬組成物や医薬部外品組成物の投与量に準じて決定することができる。また当該飲食品は、1日あたり単回摂取してもよいし、また複数回摂取してもよい。
【0058】
本発明の肌水分量増加剤を継続的に内服することにより、肌水分含量の低下が抑えられて肌水分含量が増加する結果、肌質を改善することができる。かかる肌質の改善は、肌水分含量が増加によるものであり、例えば、肌の潤い感、弾力性、ハリ感、及びふっくら感の付与・増加、シワやタルミの改善、肌の疲れの改善などを挙げることができる。
【0059】
なお、本発明において肌の水分含量(水分量)は、皮膚表面(角質)の水分量を意味し、市販の皮膚水分測定機器で測定評価することができる。本発明では、実験例1では、コルネオメータ(Corneometer[登録商標] CM825:Courage and Khazaka Electronic Co.,)を、また実験例2では皮表角層水分量測定装置(SKICON-200、IBS株式会社製)を使用して測定したが、これらに限定されることなく、任意の測定機器を用いることができる。
【0060】
II.肌水分量増加のための使用
III.肌水分量を増加させる方法
前述するように、松樹皮抽出物及び還元型コエンザイムQ10から選択される少なくとも1種を含有する内服形態を有する経口組成物、並びに松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10および杜仲抽出物を含有する内服形態を有する経口組成物は、その作用から、内服により、被験者の肌の水分含量を増加させるために用いられる。より好ましくは、被験者の肌の水分含量を増加させて、肌質を改善させるために用いられる。
【0061】
ここで肌質の改善は、前述するように、肌水分含量が増加によるものであり、例えば、肌の潤い感、弾力性、ハリ感、及びふっくら感の付与・増加、シワやタルミの改善、肌の疲れの改善などを挙げることができる。
【0062】
ここで用いられる経口組成物は上記Iの欄で前述した通りであり、上記の記載がここでも援用される。
【0063】
かかる経口組成物の被験者に対する投与量(摂取量)は、被験者(患者)の体型、年齢、性別、肌の状態等により、適宜選択することができる。制限はされないが、一般に、松樹皮抽出物を含む経口組成物の場合、松樹皮抽出物中に含まれるプロシアニジンの投与量(摂取量)に換算して0.01〜30mg/日/成人、好ましくは1〜20mg
/日/成人の用量で使用されうる。また還元型コエンザイムQ10を含む経口組成物の場合、還元型コエンザイムQ10の投与量(摂取量)に換算して0.02〜300mg/日/成人、好ましくは2〜200mg/日/成人の用量で使用されうる。また杜仲抽出物を含む経口組成物の場合、杜仲抽出物の投与量(摂取量)に換算(固形物換算)して0.01〜300mg/日/成人、好ましくは1〜200mg/日/成人の用量で使用されうる。これらの成分を複数含有する経口組成物の場合は、上記各成分の投与量を参考にして、適宜設定することができる。当該経口組成物の投与(摂取)は、1日当たり単回投与(摂取)または複数回投与(摂取)であってもよい。
【0064】
なお、投与(摂取)は、連続的にまたは間欠的に継続して行うことが好ましい。具体的には、少なくとも15日以上、好ましくは30日以上継続的に投与(摂取)することが望ましい。
【0065】
本発明の経口組成物は、前述するように、肌水分量が低下している被験者(ヒト)や肌水分量の低下によって肌質が衰えているか衰えが始まっている被験者に対して好適に用いられる。かかる被験者としては、制限はされないが、男性及び女性の別を問わず、20歳以上の者を挙げることができる。特に松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10及び杜仲抽出物を含む経口組成物については、好ましくは中高齢者を挙げることができる。「中高齢者」及び「高齢者」の定義は、前述する通りである。
【実施例】
【0066】
以下、実験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」を意味するものとする。
【0067】
実験例1 肌水分量の測定と肌質改善効果の評価
(1)被験組成物の調製
(a)松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、杜仲抽出物含有組成物(本発明品1)
還元型コエンザイムQ10 60部、松樹皮抽出物20部、杜仲葉水抽出物(特開2006-137715号公報の実施例1の方法に従って調製)40部を植物油157部に溶解し、これにグリセリン脂肪酸エステル13部、及びミツロウ10部を加え、これをカプセル内容物とした。調製した内容物が1個あたり300mgになるように、ソフトカプセル製剤の製法に関する定法に従ってゼラチン皮膜内に封入し、1個あたり475mgの経口組成物(ソフトカプセル)を調製した。
(b)対照組成物(プラセボ試験用)
結晶セルロース213.12mg、粉末還元麦芽糖70.89mg、ショ糖脂肪酸エステル16.8mg、微粒酸化ケイ素0.97mg、及びグリセリン酸脂肪酸エステル15mgを混合して、定法の粉末直接打錠法を用いて錠剤(1錠あたり316.78mg)を調製した。
【0068】
(2)被験者
(a)松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10、杜仲抽出物含有組成物摂取群(本発明品1摂取群)
20才〜30才の男女6名と60才以上の男女6名の合計12名
(b)対照組成物摂取群(プラセボ摂取群)
20才〜30才の男女6名と60才以上の男女6名の合計12名。
【0069】
なお、被験者の選定は下記の基準に従って行った。
[選定要件]
・治療を要する精神的な疾患がなく健康な者
・皮膚疾患のない者
・美容関連の施術をしていない者
・コエンザイムQ10酸化率(血中酸化率)が2.5以上である者
・血清総酸化能(STAS)が1,100以下の者
・血中過酸化脂質が2.8以上の者
[除外要件]
・化粧品、医薬品、特定の食品に刺激やアレルギーのある者
・試験に影響を与える疾患を有する者
・妊産婦、授乳中の者、及び妊娠可能性がある者
・抗凝固剤、強心剤、コエンザイムQ10を含む医薬品、狭心症の薬、副腎皮質ホルモン剤を服用中の者
・その他、臨床研究参加に不適当だと判断する者
【0070】
(3)試験方法
本発明品1摂取群(n=12)及びプラセボ摂取群(n=12)ともに、摂取前にあらかじめ肌水分量を測定しておき、本発明品1摂取群(n=12)には、本発明品1を1日1粒、プラセボ摂取群(n=12)には、対照組成物を1日2錠、それぞれ摂取してもらい、4週間後に再び肌水分量を測定した。なお、肌水分量は、コルネオメータ(Corneometer[登録商標] CM825:Courage and Khazaka Electronic Co.,)を用いて測定した。
【0071】
また、摂取前と摂取後に、肌質に関する下記の項目の美容アンケートに回答してもらった。
<肌質に関するアンケート項目>
1.肌の潤い感
2.肌の弾力感
3.肌のハリ感
4.肌のタルミ感
5.肌のふっくら感
6.肌のシワの実感
7.肌の疲労感
各項目について、5段階評価をしてもらい、各被験者の評点の合計を摂取前と摂取後で対比し、被験組成物摂取による効果を評価した。
【0072】
(4)試験結果
(4-1)肌水分量
本発明品1摂取群(―●―)及びプラセボ摂取群(―▲―)について、各組成物の摂取前後で肌の水分量を対比した結果を
図1に示す。
図1は、摂取前の肌の水分量を100%として、摂取後の水分含量をその変化率(%)で示す。
図1(A)は、各摂取群全員(各群n=12)の結果を集計した結果を示し、
図1(B)は、各摂取群のうち60才以上の高齢者(各群n=6)の結果を集計した結果を示す。
【0073】
図1からわかるように、プラセボ摂取群は、摂取の前後で肌の水分量に殆ど変化が認められなかったのに対して、本発明品1摂取群は、本発明品1を4週間摂取することにより有意に肌水分量が増加することが確認された(
図1(A))。特に、その効果は、若年者(30才以下)よりも高齢者(60才以上)に顕著に認められた(
図1(B))。
【0074】
(4-2)肌質の改善
本発明品1摂取群(―●―)及びプラセボ摂取群(―▲―)について、各組成物の摂取前後で肌質(1.潤い感、2.弾力感、3.ハリ感、4.タルミ感、5.ふっくら感、6.シワ感、7.疲労感)に関するアンケート回答を集計した結果を
図2〜8に示す。図は、摂取前の回答の集計を100%として、摂取後の回答の集計結果をその変化率(%)で示す。具体的には、1.潤い感、2.弾力感、3.ハリ感、及び5.ふっくら感に関する結果を示す
図2、3、4及び6において、変化率(%)とは、摂取前の状態に対する摂取後の状態の上昇度(改善度)を示し、4.タルミ感、6.シワ感、及び7.疲労感に関する結果を示す
図5、7、4及び8において、変化率(%)とは、摂取前の状態に対する摂取後の状態の低下度(改善度)を示す。各図の(A)は、各摂取群全員(各群n=12)の結果を集計した結果を示し、(B)は、各摂取群のうち60才以上の高齢者(各群n=6)の結果を集計した結果を示す。
【0075】
図2〜8からわかるように、プラセボ摂取群は、摂取の前後で肌質に殆ど変化が認められなかったのに対して、本発明品1摂取群は、本発明品1を4週間摂取することにより有意に肌質が改善することが確認された(
図2〜8(A))。また、その効果は、若年者(30才以下)よりも高齢者(60才以上)に顕著に高く認められた(
図2〜8(B))。
【0076】
これらの結果から、還元型コエンザイムQ10、松樹皮抽出物、及び杜仲葉抽出物を含む本発明品1の経口組成物は、これを内服することにより肌の水分量を増加させることができ、肌水分量増加によって肌質を改善することができることが確認された。また、この効果は、肌水分量が低下している中高年層の人により強く表れることが確認された。
【0077】
実験例2 肌水分量の測定と肌質改善効果の評価
(1)被験組成物の調製
(a)還元型コエンザイムQ10含有組成物(本発明品2) 還元型コエンザイムQ10 60部を植物油217部に溶解し、これにグリセリン脂肪酸エステル13部、及びミツロウ10部を加え、これをカプセル内容物とした。調製した内容物が1個あたり300mgになるように、ソフトカプセル製剤の製法に関する定法に従ってゼラチン皮膜内に封入し、1個あたり475mgの経口組成物(ソフトカプセル)を調製した。
【0078】
(b)松樹皮抽出物含有組成物(本発明品3)
松樹皮抽出物20.0mg、結晶セルロース127.1mg、粉末還元麦芽糖42.3mg、ショ糖脂肪酸エステル10.0mg、及び微粒酸化ケイ素0.6mgを混合して、定法の粉末直接打錠法を用いて錠剤(1錠あたり200.0mg)を調製した。
【0079】
(2)被験者
(a)還元型コエンザイムQ10摂取群(本発明品2摂取群)
20才〜40才の男女6名(平均年齢34.5才)
(b)松樹皮抽出物摂取群(本発明品3摂取群)
20才〜40才の男女6名(平均年齢33.5才)
【0080】
(3)試験方法
還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)及び松樹皮抽出物摂取群(n=6)ともに、摂取前にあらかじめ肌水分量を測定しておき、還元型コエンザイムQ10摂取群(n=6)には還元型コエンザイムQ10含有組成物を1日1粒、松樹皮抽出物摂取群(n=6)には松樹皮抽出物含有組成物を1日1錠、それぞれ摂取してもらい、4週間後に再び肌水分量を測定した。なお、肌水分量は、皮表角層水分量測定装置(SKICON-200、IBS株式会社製)を用いて測定した。
【0081】
また、摂取前と摂取後に、肌質に関する下記の項目の美容アンケートに回答してもらった。
<肌質に関するアンケート項目>
1.肌の潤い感
2.肌の弾力感
3.肌のハリ感
4.肌のタルミ感
5.肌のふっくら感
6.肌のシワの実感
7.肌の疲労感
8.肌の血色
9.肌のツヤ
10.肌の透明感
11.美白
12.シミの実感
各項目について、5段階評価をしてもらい、各被験者の評点の合計を摂取前と摂取後で対比し、被験組成物摂取による効果を評価した。
【0082】
(4)試験結果
(4-1)肌水分量
還元型コエンザイムQ10摂取群(―◆―)及び松樹皮抽出物摂取群(―■―)について、各組成物の摂取前後で肌の水分含量を対比した結果を
図9に示す。
図9は、摂取前の肌の水分量を100%として、摂取後の水分量をその変化率(%)で示す。
図9からわかるように、両摂取群は、各組成物を4週間摂取することにより有意に肌水分量が増加することが確認された。
【0083】
(4-2)肌質の改善
還元型コエンザイムQ10摂取群(―◆―)及び松樹皮抽出物摂取群(―■―)について、各組成物の摂取前後で肌質(1.潤い感、2.弾力感、3.ハリ感、4.タルミ感、5.ふっくら感、6.シワの実感、7.疲労感、8.血色、9.ツヤ、10.透明感、11.美白、12.シミの実感)に関するアンケート回答を集計した結果を
図10〜21に示す。図は、摂取前の回答の集計を100%として、摂取後の回答の集計結果をその変化率(%)で示す。具体的には、1.潤い感、2.弾力感、3.ハリ感、5.ふっくら感、8.肌の血色、9.肌のツヤ、10.肌の透明感、11.美白に関する結果を示す
図10、11、12、14、17、18、19及び20において、変化率(%)とは、摂取前の状態に対する摂取後の状態の上昇度(改善度)を示し、4.タルミ感、6.シワ感、7.疲労感及び12.シミ感に関する結果を示す
図13、15、16及び21において、変化率(%)とは、摂取前の状態に対する摂取後の状態の低下度(改善度)を示す。
【0084】
図10〜21からわかるように、プラセボ摂取群は、摂取の前後で肌質に殆ど変化が認められなかったのに対して、還元型コエンザイムQ10摂取群及び松樹皮抽出物摂取群は、各組成物を4週間摂取することにより有意に肌質が改善することが確認された。
【0085】
これらの結果から、還元型コエンザイムQ10及び松樹皮抽出物から選ばれる少なくとも1種を含む本発明品2および3の経口組成物は、これを内服することにより肌の水分量を増加させることができ、肌水分量増加によって肌質を改善することができることが確認された。
【0086】
処方例1〜4
下記に記載する処方例1〜4に従って、還元型コエンザイムQ10と松樹皮抽出液と杜仲葉水抽出物を組み合わせて含有する本発明の経口組成物を調製した。いずれも実施例と同様に、肌水分量増加効果及び肌質改善効果を有していた。
【0087】
(処方例1:カプセル剤)
1.還元型コエンザイムQ10 30部
2.松樹皮抽出物 10部
3.杜仲葉水抽出物 20部
4.結晶セルロース 38部
5.グリセリン脂肪酸エステル 2部
成分1〜5を混合し、硬カプセルに200mg充填してカプセル剤を得た。
【0088】
(処方例2:錠剤)
1.還元型コエンザイムQ10 6部
2.松樹皮抽出物 1部
3.杜仲葉水抽出物 1部
4.カルボキシメチルセルロースカルシウム 50部
5.コーンスターチ 40部
6.タルク 2部
成分1〜6を均一に混合して打錠し、1錠あたり250mgの錠剤を得た。
【0089】
(処方例3:錠菓)
1.還元型コエンザイムQ10 2.0部
2.松樹皮抽出物 0.2部
3.杜仲葉水抽出物 2.0部
4.乳糖 53.0部
5.還元麦芽糖水飴 40.0部
6.ショ糖脂肪酸エステル 2.7部
7.香料 0.1部
成分1〜5を混合して、10%の水を結合剤として加え流動層造粒し、成形した顆粒に成分6及び7を加えて混合し、打錠して1錠あたり500mgの錠菓を得た。
【0090】
(処方例4:飲料)
1.還元型コエンザイムQ10 1.0部
2.松樹皮抽出物 0.1部
3.杜仲葉水抽出物 1.0部
4.ショ糖 10.0部
5.クエン酸 1.0部
6.香料 0.5部
7.精製水 86.4部
成分7に成分1〜6を加えて攪拌溶解し、加熱殺菌してガラス瓶に充填し、1本あたり20mLの飲料を得た。
【0091】
処方例5〜8
下記に記載する処方例5〜8に従って、還元型コエンザイムQ10を含有する本発明の経口組成物を調製した。いずれも肌水分量増加効果及び肌質改善効果を有している。
【0092】
(処方例5:カプセル剤)
1.還元型コエンザイムQ10 30部
2.結晶セルロース 68部
3.グリセリン脂肪酸エステル 2部
成分1〜3を混合し、硬カプセルに200mg充填してカプセル剤を得た。
【0093】
(処方例6:錠剤)
1.還元型コエンザイムQ10 6部
2.カルボキシメチルセルロースカルシウム 51部
3.コーンスターチ 41部
4.タルク 2部
成分1〜4を均一に混合して打錠し、1錠あたり250mgの錠剤を得た。
【0094】
(処方例7:錠菓)
1.還元型コエンザイムQ10 2.0部
2.乳糖 53.0部
3.還元麦芽糖水飴 42.2部
4.ショ糖脂肪酸エステル 2.7部
5.香料 0.1部
成分1〜3を混合して、10%の水を結合剤として加え流動層造粒し、成形した顆粒に成分4及び5を加えて混合し、打錠して1錠あたり500mgの錠菓を得た。
【0095】
(処方例8:飲料)
1.還元型コエンザイムQ10 1.0部
2.ショ糖 10.0部
3.クエン酸 1.0部
4.香料 0.5部
5.精製水 87.5部
成分5に成分1〜4を加えて攪拌溶解し、加熱殺菌してガラス瓶に充填し、1本あたり20mLの飲料を得た。
【0096】
処方例9〜12
下記に記載する処方例9〜12に従って、松樹皮抽出液を含有する本発明の経口組成物を調製した。いずれも肌水分量増加効果及び肌質改善効果を有している。
【0097】
(処方例9:カプセル剤)
1.松樹皮抽出物 10部
2.結晶セルロース 88部
3.グリセリン脂肪酸エステル 2部
成分1〜3を混合し、硬カプセルに200mg充填してカプセル剤を得た。
【0098】
(処方例10:錠剤)
1.松樹皮抽出物 1部
2.カルボキシメチルセルロースカルシウム 54部
3.コーンスターチ 43部
4.タルク 2部
成分1〜4を均一に混合して打錠し、1錠あたり250mgの錠剤を得た。
【0099】
(処方例11:錠菓)
1.松樹皮抽出物 0.2部
2.乳糖 55.0部
3.還元麦芽糖水飴 42.0部
4.ショ糖脂肪酸エステル 2.7部
5.香料 0.1部
成分1〜3を混合して、10%の水を結合剤として加え流動層造粒し、成形した顆粒に成分4及び5を加えて混合し、打錠して1錠あたり500mgの錠菓を得た。
【0100】
(処方例12:飲料)
1.松樹皮抽出物 0.1部
2.ショ糖 10.0部
3.クエン酸 1.0部
4.香料 0.5部
5.精製水 88.4部
成分5に成分1〜4を加えて攪拌溶解し、加熱殺菌してガラス瓶に充填し、1本あたり20mLの飲料を得た。
【0101】
処方例13〜16
下記に記載する処方例13〜16に従って、還元型コエンザイムQ10と松樹皮抽出液を含有する本発明の経口組成物を調製した。いずれも肌水分量増加効果及び肌質改善効果を有している。
【0102】
(処方例13:カプセル剤)
1.還元型コエンザイムQ10 30部
2.松樹皮抽出物 10部
3.結晶セルロース 58部
4.グリセリン脂肪酸エステル 2部
成分1〜4を混合し、硬カプセルに200mg充填してカプセル剤を得た。
【0103】
(処方例14:錠剤)
1.還元型コエンザイムQ10 6部
2.松樹皮抽出物 1部
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 51部
4.コーンスターチ 40部
5.タルク 2部
成分1〜5を均一に混合して打錠し、1錠あたり250mgの錠剤を得た。
【0104】
(処方例15:錠菓)
1.還元型コエンザイムQ10 2.0部
2.松樹皮抽出物 0.2部
3.乳糖 54.0部
4.還元麦芽糖水飴 41.0部
5.ショ糖脂肪酸エステル 2.7部
6.香料 0.1部
成分1〜4を混合して、10%の水を結合剤として加え流動層造粒し、成形した顆粒に成分5及び6を加えて混合し、打錠して1錠あたり500mgの錠菓を得た。
【0105】
(処方例16:飲料)
1.還元型コエンザイムQ10 1.0部
2.松樹皮抽出物 0.1部
3.ショ糖 10.0部
4.クエン酸 1.0部
5.香料 0.5部
6.精製水 87.4部
成分6に成分1〜5を加えて攪拌溶解し、加熱殺菌してガラス瓶に充填し、1本あたり20mLの飲料を得た。