特許第6141405号(P6141405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141405
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】堆積チャンバ用のエッジリング
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/50 20060101AFI20170529BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20170529BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20170529BHJP
   H01L 21/26 20060101ALI20170529BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   C23C14/50 E
   C23C16/46
   H01L21/31 D
   H01L21/26 Q
   H01L21/285 S
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-504579(P2015-504579)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-519472(P2015-519472A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013030948
(87)【国際公開番号】WO2013151703
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】61/621,185
(32)【優先日】2012年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴール アシシュ
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニ アナンサ
【審査官】 山田 頼通
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−518255(JP,A)
【文献】 特開2002−134429(JP,A)
【文献】 特開平10−173032(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0050272(US,A1)
【文献】 米国特許第07670436(US,B1)
【文献】 特開2001−308084(JP,A)
【文献】 特開平11−140650(JP,A)
【文献】 特開2011−091410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
C23C 16/00−16/56
H01L 21/26
H01L 21/285
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側周囲端面、第1の表面、および前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有する環状本体と、
前記第2の表面からほぼ直角に延びる第1の隆起部材と、
前記第1の隆起部材に隣接する前記第2の表面から延び、第1のくぼみによって前記第1の隆起部材から分離された第2の隆起部材と、
前記第2の隆起部材に隣接する前記第2の表面から延び、第2のくぼみによって分離された第3の隆起部材であって、前記第2のくぼみが、前記第1の表面の反射率値とは異なる反射率値を有する傾斜表面を含み、前記傾斜表面は、光エネルギーを径方向内向きに向けるように構成される、第3の隆起部材と
を備え
前記傾斜表面が、前記第1の表面の平面に対して15度から25度の角度で配向される、エッジリング。
【請求項2】
前記環状本体が、セラミック材料を含む、請求項1に記載のエッジリング。
【請求項3】
前記傾斜表面が、金属材料によってコーティングされる、請求項2に記載のエッジリング。
【請求項4】
前記金属材料が、銅含有材料である、請求項3に記載のエッジリング。
【請求項5】
前記傾斜表面が、75Raから120Raの平均表面粗さを含む、請求項2に記載のエッジリング。
【請求項6】
前記第2のくぼみおよび前記傾斜表面が、75Raから120Raの平均表面粗さを含む、請求項2に記載のエッジリング。
【請求項7】
前記第2の表面が、前記第1のくぼみと第3の隆起部材の間に75Raから120Raの平均表面粗さを含む、請求項2に記載のエッジリング。
【請求項8】
前記本体が、焼結されたセラミック材料を含み、前記傾斜表面が、銅含有材料を含むコーティングを含む、請求項に記載のエッジリング。
【請求項9】
前記環状本体の前記内側周囲端面上に配設された複数の拡張部材をさらに備える、請求項1に記載のエッジリング。
【請求項10】
内側周囲端面、第1の表面、および前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有する環状本体と、
前記内側周囲端面に隣接する平面の表面を画定する前記第2の表面から延びる第1の隆起部材と、
前記第1の隆起部材の径方向外向きにある前記第2の表面から延び、第1のくぼみによって前記第1の隆起部材から分離された第2の隆起部材と、
前記第2の隆起部材の径方向外向きにある前記第2の表面から延び、第2のくぼみによって分離された第3の隆起部材と、
前記第3の隆起部材の径方向外向きに配設された凹型フランジであって、前記第1の表面の平面に対して平行であり、前記本体の外側周囲表面にほぼ直角である表面を含む、凹型フランジと
を備えるエッジリング。
【請求項11】
前記第2のくぼみが、前記第1の表面の前記平面に対して鋭角に配設されたテーパ状の平面の表面を含む、請求項10に記載のエッジリング。
【請求項12】
テーパ状の表面が、前記第1の表面の反射率値とは異なる反射率値を含む、請求項11に記載のエッジリング。
【請求項13】
前記テーパ状の平面の表面が、75Raから120Raの平均表面粗さを含む、請求項11に記載のエッジリング。
【請求項14】
前記第1のくぼみと前記第3の隆起部材の頂点との間の領域が、75Raから120Raの平均表面粗さを含む、請求項11に記載のエッジリング。
【請求項15】
前記テーパ状の平面の表面が、金属材料でコーティングされる、請求項11に記載のエッジリング。
【請求項16】
内側周囲端面、第1の表面、および前記第1の表面とは反対側の第2の表面を有する環状本体と、
前記第1の表面にほぼ平行である前記内側周囲端面に隣接する平面の表面を画定する前記第2の表面から直角に延びる第1の隆起部材と、
前記第1の隆起部材の径方向外向きにある前記第2の表面から延び、第1のくぼみによって前記第1の隆起部材から分離された第2の隆起部材であって、第1の側部および第2の側部を有する、第2の隆起部材と、
前記第2の隆起部材の径方向外向きにある前記第2の表面から延び、第2のくぼみによって分離された第3の隆起部材であって、前記第2のくぼみが、前記第2の隆起部材の前記第2の側部の表面に対してほぼ垂直である角度を有する平面内に配設されたテーパ状の平面の表面を含む、第3の隆起部材と、
前記第3の隆起部材の径方向外向きに配設された凹型フランジであって、前記本体の外側周囲表面にほぼ直角である表面を含む、凹型フランジとを備える、エッジリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示する実施形態は、半導体処理に関する。より詳細には、本明細書において開示する実施形態は、半導体基板の材料および熱処理のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料プロセスおよび熱プロセスは、基板上で電子デバイスを製作するために半導体製造において一般的なものである。電子デバイス製造プロセスでは、半導体基板は、しばしば、堆積、注入、またはエッチングを含む材料プロセスにかけられ、熱処理が、材料プロセスの前、その間、またはその後に実施され得る。一部の熱プロセスでは、基板は、材料プロセス後にランプなど放射線源を利用して加熱され、この放射線源は、放射エネルギーを基板に向けて送り、事前に堆積された材料を加熱し、アニールしかつ/または基板上で急速加熱処理(RTP)を実施する。しかし熱プロセスは、通常、別個のチャンバ内で実施され、それによって基板を別のチャンバに移すことが必要となる。材料プロセス中、基板は加熱され得る。しかし、基板内に含有された熱エネルギーの多くが、チャンバ構成要素、およびロボットブレードなどの移送装置に対して失われることがあり、それによってデバイス製造プロセスの効率性を低減し、プロセス時間を増大させる。機械の稼働率、つまり機械が基板を処理するために動作する時間は、製造される各々のチップのコストの削減において重要な要因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、より効率的な半導体デバイス製造プロセスおよび装置が引き続き必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
単一のチャンバ内での基板の材料および熱処理のための装置および方法が、開示される。1つの実施形態では、エッジリングが提供される。エッジリングは、内側周囲端面、第1の表面、および第1の表面の反対側の第2の表面を有する環状本体と、第2の表面からほぼ直角に延びる第1の隆起部材と、第1の隆起部材に隣接する第2の表面から延び、第1のくぼみによって第1の隆起部材から分離された第2の隆起部材と、第2の隆起部材に隣接する第2の表面から延び、第2のくぼみによって分離された第3の隆起部材であって、第2のくぼみが、第1の表面の反射値とは異なる反射値を有する傾斜表面を含み、傾斜表面は、光エネルギーを径方向内向きに向けるように構成される、第3の隆起部材とを含む。
別の実施形態では、エッジリングが設けられる。エッジリングは、内側周囲端面、第1の表面、および第1の表面の反対側の第2の表面を有する環状本体と、内側周囲端面に隣接する平面の表面を画定する第2の表面から延びる第1の隆起部材と、第1の隆起部材の径方向外向きに第2の表面から延び、第1のくぼみによって第1の隆起部材から分離された第2の隆起部材と、第2の隆起部材の径方向外向きに第2の表面から延び、第2のくぼみによって分離された第3の隆起部材と、第3の隆起部材の径方向外向きに配設された凹型フランジであって、第1の表面の平面に対して平行であり、本体の外側周囲表面にほぼ直角である表面を含む、凹型フランジとを含む。
別の実施形態では、エッジリングが設けられる。エッジリングは、内側周囲端面、第1の表面、および第1の表面とは反対の第2の表面を有する環状本体と、第1の表面にほぼ平行である内側周囲端面に隣接する平面の表面を画定する第2の表面から直角に延びる第1の隆起部材と、第1の隆起部材の径方向外向きに第2の表面から延び、第1のくぼみによって第1の隆起部材から分離された第2の隆起部材であって、第1の側部および第2の側部を有する第2の隆起部材と、第2の隆起部材の径方向外向きに第2の表面から延び、第2のくぼみによって分離された第3の隆起部材であって、第2のくぼみが、第2の隆起部材の第2の側部の表面にほぼ垂直である角度を有する平面内に配設されたテーパ状の平面の表面を含む、第3の隆起部材と、第3の隆起部材の径方向外向きに配設された凹型フランジであって、本体の外側周囲表面にほぼ直角である表面を含む、凹型フランジとを含む。
【0005】
本発明の上記で引用した特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡潔にまとめられた本発明のより詳細な説明が、添付の図面にその一部が示された実施形態を参照することによって得られ得る。しかし、添付の図面は、本発明の代表的な実施形態を示すにすぎず、したがって、本発明は他の同等に効果的な実施形態を可能にすることができるため、本発明の範囲を限定すると考えるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】1つの実施形態によるチャンバの概略断面図である。
図2図1に示すエッジリングの1つの実施形態の上面図である。
図3図2の断面線3−3に沿ったエッジリングの本体の断面図である。
図4図3に示すエッジリングの本体の一部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
理解を容易にするために、同一の参照番号が、可能な限り、図に共通である同一の要素を示すために使用されている。1つの実施形態において開示する要素は、特有の記述無しに他の実施形態に有益に利用され得ることが企図される。
図1は、1つの実施形態による堆積チャンバ100の概略断面図である。堆積チャンバ100は、その内部容積部106を封入する本体105を画定する上側側壁102、下側側壁103、および蓋部分104を有する。アダプタプレート107が、上側側壁102と下側側壁103の間に配設され得る。ペデスタル108などの基板支持体が、堆積チャンバ100の内部容積部106内に配置される。基板移送ポート109が、基板を内部容積部106内におよびそこから外に移送するために下側側壁103内に形成される。
1つの実施形態では、堆積チャンバ100は、たとえば、チタン、酸化アルミニウム、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、タングステン、または窒化タングステンを基板上に堆積することができる、物理的気相堆積(PVD)チャンバとしても知られているスパッタリングチャンバを備える。適切なPVDチャンバの例は、ALPS(登録商標)PlusおよびSIP ENCORE(登録商標)PVD処理チャンバを含み、いずれもカリフォルニア州、サンタクララのApplied Materials,Incから市販されている。他の製造者から入手可能な処理チャンバもまた、本明細書において説明する実施形態を利用できることが企図される。
【0008】
堆積プロセスでは、プロセスガスが、ガス源110から内部容積部106まで流され得る。内部容積部106の圧力は、内部容積部106と連通する圧送デバイス112によって制御され得る。蓋部分104は、ターゲットなどのスパッタリング源114を支持することができる。スパッタリング源114は、磁石と、スパッタリング源114用の電源とを備える供給源アセンブリ116に結合され得る。コリメータ118が、内部容積部106内の、スパッタリング源114とペデスタル108の間に配置され得る。シールドチューブ120が、コリメータ118および蓋部分104の内部に近接して存在することができる。コリメータ118は、ガスおよび/または材料流束を内部容積部106内に向けるための複数の開孔を含む。コリメータ118は、シールドチューブ120に機械的かつ電気的に結合され得る。1つの実施形態では、コリメータ118は、溶接プロセスなどによってシールドチューブ120に機械的に結合され、それによってコリメータ118はシールドチューブ120と一体的になる。別の実施形態では、コリメータ118は、チャンバ100内で電気的に浮遊状態になることができる。別の実施形態では、コリメータ118は、電力源に結合されてよく、かつ/または堆積チャンバ100の本体105の蓋部分104に電気的に結合されてよい。
【0009】
シールドチューブ120は、その上側表面内に形成された凹部122を有する管状本体121を含むことができる。凹部122は、コリメータ118の下側表面との対合界面をもたらす。シールドチューブ120の管状本体121は、ショルダ領域123を含むことができ、このショルダ領域123は、管状本体121の残りの部分の内径より小さい内径を有する。1つの実施形態では、管状本体121の内側表面は、テーパ状の表面124に沿ってショルダ領域123の内側表面まで径方向内向きに移行する。シールドリング126が、チャンバ内に、シールドチューブ120に隣接して、シールドチューブ120とアダプタプレート107の中間に配設され得る。シールドリング126は、シールドチューブ120のショルダ領域123の反対側およびアダプタプレート107の内部側壁によって形成された凹部128内に少なくとも部分的に配設され得る。貫通孔129もまた、アダプタプレート107内に形成される。貫通孔129は、凹部128と流体連通して、内部容積部106内に増大したガス流をもたらす。
【0010】
1つの態様では、シールドリング126は、シールドチューブ120のショルダ領域123の外径より大きい内径を含む軸方向に突出する環状側壁127を含む。径方向フランジ130が、環状側壁127から延びる。径方向フランジ130は、シールドリング126の環状側壁127の内径表面に対して約90℃を上回る角度で形成され得る。径方向フランジ130は、その下側表面上に形成された突起部132を含む。突起部132は、シールドリング126の環状側壁127の内径表面にほぼ平行である配向で、径方向フランジ130の表面から延びる円形リッジであってもよい。突起部132は、全体的には、ペデスタル108上に配設されたエッジリング136内に形成された凹型フランジ134と対合するように適合される。凹型フランジ134は、エッジリング136内に形成された円形溝であってもよい。突起部132および凹型フランジ134の係合は、シールドリング126をペデスタル108の長手方向軸に対して中央に置く。(リフトピン140上に支持されるように示す)基板138は、ペデスタル108とロボットブレード(図示せず)の間の調整された配置較正によってペデスタル108の長手方向軸に対して中央に置かれる。このようにして、基板138を堆積チャンバ100内で中央に置くことができ、シールドリング126を、処理中、基板138周りに径方向中央に置くことができる。
【0011】
動作時には、基板138をその上に有するロボットブレード(図示せず)が、基板移送ポート109を貫通して伸張される。ペデスタル108は、下げられて基板138を、ペデスタル108から延びるリフトピン140に移送することができる。ペデスタル108および/またはリフトピン140の上昇および下降は、ペデスタル108に結合されたドライバ142によって制御され得る。基板138は、ペデスタル108の基板受け入れ表面144上に下げられ得る。基板138がペデスタル108の基板受け入れ表面144上に配置された状態で、スパッタ堆積が、基板138上に実施され得る。エッジリング136は、処理中、基板138から電気的に絶縁され得る。したがって、基板受け入れ表面144は、基板138に隣接するエッジリング136の部分の高さより大きい高さを含むことができ、それにより、基板138は、エッジリング136と接触することが防止される。スパッタ堆積中、基板138の温度は、ペデスタル108内に配設された熱制御チャネル146を利用することによって制御され得る。
【0012】
スパッタ堆積後、基板138は、リフトピン140を利用して、ペデスタル108から離間された位置まで上昇され得る。上昇場所は、シールドリング126およびアダプタプレート107に隣接するリフレクタリング148の一方または両方に近接し得る。アダプタプレート107は、リフレクタリング148の下側表面とアダプタプレート107のくぼんだ表面152の中間でアダプタプレート107に結合された1つまたは複数のランプ150を含む。ランプ150は、赤外線(IR)および/または紫外線(UV)スペクトルなどの可視波長または近可視波長の光および/または放射エネルギーをもたらす。ランプ150からのエネルギーは、基板138の裏側(すなわち下側表面)に向かって径方向内向きに集束されて、基板138およびその上に堆積された材料を加熱する。アダプタプレート107のくぼんだ表面152などの、基板138を取り囲むチャンバ構成要素上の反射表面は、エネルギーを基板138の裏側に向かって、かつエネルギーが失われるおよび/または利用されない他のチャンバ構成要素から離れるように集束させる役割を果たす。アダプタプレート107は、冷却源154に結合されて、加熱中、アダプタプレート107の温度を制御することができる。
【0013】
基板138は、数秒間で、約350℃などの摂氏約300度(℃)から約400℃までの第1の温度に加熱され得る。基板138を第1の温度に加熱することにより、リフロープロセスまたはシリサイド化プロセスが可能にされ得る。リフロープロセスは、基板138の凹部内の金属の張り出しを低減するために利用される。シリサイド化プロセスは、金属とケイ素の間の反応を行わせるために利用され得る。
アダプタプレート107内に形成された貫通孔129もまた、処理中、ガス伝導性の増大のために利用され得る。貫通孔129の各々は、約0.40インチ(1.01cm)から約0.55インチ(1.4cm)の直径を含むことができ、アダプタプレート107は、約30から約70個の貫通孔129を含むことができる。処理中、リフレクタリング148と径方向フランジ130の間の間隙内の流れは、貫通孔129を通り抜ける流れと組み合わせて、約400℃において約14.22の組み合わされた伝導値をもたらす。
【0014】
本明細書において説明する加熱方法は、金属堆積プロセスに対して利点を有する。金属が基板表面上に堆積されたとき、表面は反射性を得る。光および/または放射エネルギーの吸収は一般に、金属化された表面上で低減される。金属化された表面の照射は、金属化された表面の反対側の表面、たとえば基板の裏側を加熱するより効果は小さい。ケイ素の改良されたエネルギー吸収により、金属化された表面を加熱することとは対照的に、熱処理プロセスのエネルギー効率性が改良される。
基板を第1の温度に加熱した後、基板138は、ペデスタル108の基板受け入れ表面144上の位置に下げられる。基板138は、ペデスタル108内の熱制御チャネル146を利用して伝導によってすばやく冷却され得る。基板の温度は、数秒から約1分の間に第1の温度から第2の温度まで下降され得る。第2の温度は、約23℃から約30℃など、たとえば約25℃のほぼ室温であってもよい。基板138は、さらなる処理のために、基板移送ポート109を通して堆積チャンバ100から取り出され得る。
【0015】
図2は、図1に示されるエッジリング136の1つの実施形態の上面図である。エッジリング136は、環状またはリング形状である本体200を含む。本体200は、酸化アルミニウム(Al23)などのセラミック材料から作製され、焼結プロセスによって形成され得る。本体200は、内径210および外径220を含む。内径210は、(図1に示す)基板138の直径よりわずかに小さく、外径220は、(図1に示す)ペデスタル108の外側寸法より大きいまたはこれに等しい。
【0016】
本体200は、1つまたは複数の拡張部230A、230B、および230Cを含むことができる。拡張部230A〜230Cは、本体200の内径210から径方向内向きに延びる配向特徴部として構成され得る。1つの態様では、拡張部230A〜230Cは、(図1に示す)ペデスタル108上に配設されたくぼみまたは他の構造(図示せず)などの対合する配向特徴部と係合するように構成される。拡張部230A〜230Cは、ペデスタル108に対して特有の配向でエッジリング136の本体200を着座させるように適合される。このため、エッジリング136を、洗浄または取り換えのためにペデスタル108から取り出して、エッジリング136とペデスタル108の間の適正なアライメントを確実にしながらペデスタル108上に設置することが可能になる。拡張部230A〜230Cの各々は、本体200の内側周囲表面240から径方向内向きに延びる円周面235を含む。円周面235は、円周面235の各側の移行表面245によって本体200と界接する。移行表面245は、鋭いコーナ、または斜角の、丸められた、もしくはテーパ状の表面など曲線状(contoured)表面であってもよい。拡張部230A〜230Cの各々はまた、エッジリング136の本体200と同一平面上にある上側表面250を含むこともできる。上側表面250はほぼ平面でよく、円周面235は、上側表面250の平面から約90度で下方向(Z方向)に延びることができる。円周面235は、丸みをおびてよく、移行表面245間に、本体200の内側周囲表面240の半径にほぼ類似する半径を含むことができる。あるいは、円周面235は、移行表面245間で平坦または平面でよい。
【0017】
1つの実施形態では、拡張部230A〜230Cの各々は、本体200に沿って角度を付けて(たとえば約120度で)ほぼ等しく離間される。別の実施形態では、拡張部230Bと230Cの間の角度αなどの拡張部230A〜230Cの少なくとも2つ間の角度は、拡張部230Aと拡張部230Bおよび230Cとの間の角度βなどの隣接拡張部間の角度より小さい。たとえば、角度αは、約90度から約100度でよく、一方で角度βは、約130度から約135度でよい。拡張部230A〜230Cは、エッジリング136が、ペデスタル108に対して特有の配向で着座することを確実にするための指標付け特徴部として利用され得る。
【0018】
図3は、図2の断面線3−3に沿ったエッジリング136の本体200の断面図である。本体200は、第1の表面300(すなわち下側表面)と、第1の表面300の反対側の複数の傾斜表面305および310とを含む。本体200はまた、第1の傾斜表面305および第2の傾斜表面310の頂点の一方または両方によって画定された高さ寸法も含む。平面の表面315は、本体200の内側周囲表面240の上側表面上に画定される。平面の表面315は、(図1に示す)ペデスタル108の基板受け入れ表面144とほぼ平行であってもよい。第1のくぼみ320Aが、平面の表面315と第1の傾斜表面305の間に形成される。第2のくぼみ320Bが、第1の傾斜表面305と第2の傾斜表面310の間に形成される。第1の傾斜表面305および第2の傾斜表面310の少なくとも1つは、1つまたは複数の反射表面を画定することができ、この反射表面は、基板加熱プロセス中、光および/または放射エネルギーを、(図1に示す)基板138の裏側に向かって反射させるために利用され得る。
【0019】
図4は、図3に示すエッジリング136の本体200の一部分の拡大断面図である。本体200の内側周囲表面240を参照し、径方向外向きに移ると、エッジリング136は、第1の隆起部材405A、第2の隆起部材405B、および第3の隆起部材405Cによって画定された第2の表面400(すなわち上側表面)を含む。上側表面400はまた、第1の隆起部材405Aと第2の隆起部材405Bの間に設けられた第1のくぼみ320Aと、第2の隆起部材405Bと第3の隆起部材405Cの間に設けられた第2のくぼみ320Bとを含む。上側表面400はまた、第4のくぼみ(凹型フランジ134)も含み、この第4のくぼみは、上記で説明したように、ペデスタル108の長手方向軸に対してシールドリング126を中央に置くために利用される、(図1に示す)シールドリング126の突起部132と係合するために利用される。第3の隆起部材405Cは、第2の隆起部材405Bの頂点410Bとほぼ等しい高さであってもよい頂点410Aを含むことができる。頂点410A、410Bは、頂点410Aで示すように平坦でよく、または頂点410Bで示すように丸みをおびてもよい。1つの態様では、凹型フランジ134は、本体200の外側周囲表面408にほぼ直角である表面407を含む。表面407はまた、頂点410Aの平面および/または第1の表面300の平面に対してほぼ平行である平面内に配設され得る。第1の表面300もまた、本体200の内側周囲表面240の径方向内向きに延びるくぼみ415を含むこともできる。
【0020】
上記で説明したように、第1の隆起部材405Aは、スパッタ堆積プロセス中、(想像線で示す)基板138によって重ね合わされる平面の表面315を含む。しかし、上記で説明したようなリフロープロセスまたはシリサイド化プロセスなどの加熱プロセス中、基板138は、(図1に示す)ペデスタル108、およびペデスタル108上に留まるエッジリング136の上方に隆起される。(いずれも図1に示す)アダプタプレート107上に配設されたランプ150からのエネルギーは、基板138の裏側420に向けられる。この加熱プロセス中、ランプ150および/またはアダプタプレート107に対する基板138の位置に応じて、ランプ150からのエネルギーの一部分が、基板138の裏側420に向かって径方向内向きに間接的に集束される。アダプタプレート107の(図1に示す)くぼんだ表面152などのチャンバ構成要素上の反射表面、およびエッジリング136の1つまたは複数の反射表面は、エネルギーを基板138の裏側420に向かって集束する。
【0021】
本体200は、セラミック材料から作製され、通常は、約0.75から約0.83の放射率を含む。第2の表面400は、したがって、ランプ150からの一次エネルギー430Aを基板138の裏側420に反射させるために利用される本体200より反射性の高いコーティング425を含む。コーティング425は、金属材料の酸化物および窒化物を含む、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、およびそれらの合金またはそれらの派生物などの反射性金属材料であってもよい。1つの実施形態では、コーティング425は、スパッタリング源114(図1)と同じ材料を含む。コーティング425は、第1の隆起部材405Aから第3の隆起部材の頂点410までの一部分上、またはその任意の部分上に配設され得る。コーティング425の反射値は、加熱プロセス中、温度上昇によってさらに高められ得る。1つの態様では、コーティング425の反射値は、入射角度および/または加熱プロセスの温度に応じて、約70パーセント(%)から約90%である。
【0022】
1つの実施形態では、コーティング425は、堆積チャンバ100(図1)内でエッジリング136を利用する前に、平面の表面315、頂点410A、および/または表面407がむき出しになるように(すなわちコーティング405で覆われないように)エッジリング136の選択された部分上に配設される。金属材料は、第2の表面400上、またはその一部分上に、PVDまたは化学気相堆積(CVD)などの従来の堆積方法によって堆積されてコーティング425を形成することができる。第2の表面400は、ブランケットコーティングされてよく、平面の表面315および/または凹型フランジ134など他の構成要素と界接する部分は、エッジリング136の使用前に遮蔽または洗浄され得る。第1の傾斜表面305および第2の傾斜表面310の部分は、コーティング425の密着性を増大させるために粗面化され得る。たとえば、第1の傾斜表面305および第2の傾斜表面310、またはその一部分は、ビードブラスト法または他のプロセスによって粗面化されて、コーティング425の堆積前に、約120Raの約75Raの平均または中間値の表面粗さを含むことができる。
【0023】
別の実施形態では、コーティングは、基板138上のスパッタ堆積プロセス中、(図1に示す)スパッタリング源114によって堆積される。この実施形態では、平面の表面315は、スパッタ堆積中、基板138によって遮蔽される。凹型フランジ134の表面407は、凹型フランジ134が通常、スパッタリング源114および堆積材料からの見通しから外れているため、堆積を受けない。さらに、表面407は、スパッタ堆積中、シールドリング126によって遮蔽され得る。上記で説明したように、第1の傾斜表面305および第2の傾斜表面310の一部分は、コーティング425の密着性を増大させるために粗面化され得る。
【0024】
1つの態様では、第1の傾斜表面305および第2の傾斜表面310は、一次エネルギー430Aをランプ150から受け入れ、基板138の裏側420のさまざまな部分上に集束される、向き直された二次エネルギー430Bをもたらすための特有の角度を含む。たとえば、第2の隆起部材405Bは、第1の傾斜表面305を含む第1の側部435Aおよび第2の側部435Bを含むことができる。1つの態様では、第1の側部435Aと第2の側部435Bの間の角度440は、約35度から約30度、またはそれより小さくなり得る。1つの態様では、第2の側部435Bと垂直部(すなわち第1の表面300の平面に対してほぼ直角である)との間の角度445は、約15度から約10度、またはそれ以下である。同様に、第2の傾斜表面310は、第1の表面300の平面に対して鋭角に配設されたテーパ状の平面の表面438を含むことができる。1つの実施形態では、テーパ状の平面の表面438の平面は、約15度から約25度の、第1の表面300の平面に対する角度450で設けられる。1つの態様では、第2の側部435Bの表面は、テーパ状の平面の表面438の平面に対してほぼ垂直になることができ、約80度から約90度の角度を含む。上記で説明した装置は、本発明の特有の実施形態に関連して説明されているが、本発明の一部の態様は、熱および/または基板上堆積の均一性の考慮事項に基づいて最適化され得る。たとえば、角度440、445および450は、一次エネルギー430Aの入射角度に基づいて一次エネルギー430Aをランプ150から受け入れ、また、熱プロセス中、基板138の知られている位置に対する上側表面400の形状寸法に基づいて、反射された二次エネルギー430Bを所望の入射角度に向けるように最適化されてよい。第2の隆起部材405Bの高さおよび/または角度配向はまた、膜厚さの均一性に基づいて最適化されてもよい。
【0025】
したがって、堆積チャンバは、基板の第1の側部に材料を堆積し、基板の第1の側部の反対側の基板の第2の側部に照射するために設けられる。そのような堆積チャンバは、材料堆積プロセスおよび熱プロセスの両方を、基板をチャンバから取り出すことなく基板上で実施することができる二重機能チャンバになることができ、それによって、基板を堆積チャンバから周囲の熱処理チャンバに運ぶのに必要とされる時間を解消する。堆積チャンバは、堆積チャンバの周囲領域に配置されたエネルギーアセンブリ(たとえばランプ)を有し、1つまたは複数の反射表面(たとえばアダプタプレートおよびエッジリング)を有する1つまたは複数のチャンバ構成要素は、光および/または放射エネルギーを基板の裏側に向かって集束させる。特に、コーティングが、エッジリングの一部分上に配設されて、1つまたは複数の反射表面の1つをもたらす。コーティングは、コーティングプロセスによってその場以外(ex−situ)で、または堆積チャンバ内のスパッタ堆積プロセス中にその場(in−situ)で加えられた金属材料を含むことができる。本発明の実施形態は、コーティングの反射性を増大させ、光および/または放射エネルギーを、エネルギーが容易に吸収され得る基板の裏側に反射させるために、光および/または放射エネルギーをコーティングに衝突させることを可能にすることによる熱プロセスの温度上昇を利用する。さらに、エッジリングの形状寸法は、反射されたエネルギーの入射角度を改良し、その結果反射されたエネルギーの制御、したがって基板の温度制御を容易にする。
【0026】
前述は、本発明の実施形態を対象とするものであるが、本発明の他のおよびさらなる実施形態が、本発明の基本的範囲を逸脱することなく考案されてよい。
図1
図2
図3
図4