特許第6141799号(P6141799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6141799アルジミン類及びアルジミンを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141799
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】アルジミン類及びアルジミンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 251/08 20060101AFI20170529BHJP
   C07C 249/02 20060101ALI20170529BHJP
   C07D 295/125 20060101ALI20170529BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20170529BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20170529BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   C07C251/08CSP
   C07C249/02
   C07D295/125
   C08G18/28
   C09D175/04
   C09J175/04
【請求項の数】25
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2014-121813(P2014-121813)
(22)【出願日】2014年6月12日
(62)【分割の表示】特願2010-516495(P2010-516495)の分割
【原出願日】2008年7月16日
(65)【公開番号】特開2014-221770(P2014-221770A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2014年7月14日
(31)【優先権主張番号】07112503.3
(32)【優先日】2007年7月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・ブルクハルト
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5563451(JP,B2)
【文献】 特表2009−536238(JP,A)
【文献】 特開平06−263808(JP,A)
【文献】 特開平06−043580(JP,A)
【文献】 特表2005−514503(JP,A)
【文献】 特表2009−510029(JP,A)
【文献】 Brown, Eric C. et al.,Modular syntheses of multidentate ligands with variable N-donors: applications to tri- and tetracopper(I) complexes,Dalton Transactions,2007年,(28),3035-3042
【文献】 Wenner, Wilhelm,Raney nickel as hydrogenation catalyst in acid solutions. Preparation of amino alcohols from Mannich bases,Journal of Organic Chemistry ,1950年,15,301-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
C08G
C09D
C09J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)のアルジミン:
【化1】
[式中、
Aは、ポリオキシアルキレンジアミ又はポリオキシアルキレントリアミのアミンの残基であり;
nは、2または3であり、
mは、0または1であり、
但し、m+nは3〜4であるものとし;
及びRは、それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭素水素基であり;
は、水素原子、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
及びRは、
それぞれ独立して、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、もしくはベンジル、
または、
及びRが窒素原子と共に一緒になって形成された、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭素水素基で任意に置換されたモルホリン
のいずれかであり、
Xは、OまたはN−シクロヘキシルである]。
【請求項2】
下記の式(I)のアルジミン:
【化2】
[式中、
Aは、ポリオキシアルキレントリアミンのアミンの残基であり;
nは、3であり、
及びRは、それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭素水素基であり;
は、水素原子、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり;
及びRは、
それぞれ独立して、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、もしくはベンジル、
または、
及びRが窒素原子と共に一緒になって形成された、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭素水素基で任意に置換されたモルホリン
のいずれかである]。
【請求項3】
n=3である、請求項1に記載の式(I)のアルジミン。
【請求項4】
及びRがそれぞれメチル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン。
【請求項5】
が水素原子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミンをプロトン化またはアルキル化することにより得られる、下記の式(IX)のアルジミン:
【化3】
[式中、
10は、水素原子、または1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールアルキル基であり;
は、OまたはN−シクロヘキシルである]。
【請求項7】
下記の式(IV)のアルデヒドALDと、下記の式(III)のアミンとが縮合反応する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミンの調製方法:
【化4】
【化5】
[式中、
は、OまたはN−シクロヘキシルである]。
【請求項8】
式(IV)のアルデヒドは、下記の式(V)のアルデヒドY1と、下記の式(VI)のアルデヒドY2と、下記の式(VII)の二級アミンCとが、水の脱離を伴いながら反応することにより得られる、請求項7に記載の方法:
【化6】
【化7】
【化8】
【請求項9】
使用される式(V)のアルデヒドY1がイソブチルアルデヒドであり、使用される式(VI)のアルデヒドY2がホルムアルデヒドであり、かつ使用される式(VII)のアミンCがジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、N−tert−ブチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、及び2,6−ジメチルモルホリンからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式中m=1である、請求項1に記載の少なくとも1種の式(I)のアルジミンと、式(I)のアルジミンのHX基との付加反応に寄与し得る、イソシアネート、イソチオシアネート、シクロカーボネート、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アクリロイル、メタクリロイル、1−エチニルカルボニル、1−プロピニルカルボニル、マレイミド、シトラコンイミド、ビニル、イソプロペニル、及びアリル基からなる群から選択される少なくとも1個の反応性基を含有する少なくとも1種の化合物Dとの反応より得られるアルジミノ含有化合物AV。
【請求項11】
化合物Dの前記反応性基が、イソシアネート、エポキシド、アクリロイル、マレイミド、ビニル、イソプロペニル、及びアリル基からなる群から選択される、請求項10に記載のアルジミノ含有化合物AV。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のアルジミノ含有化合物AVをプロトン化またはアルキル化することにより得られるアルジミノ含有化合物AV。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルジミンまたは請求項10〜12のいずれか一項に記載のアルジミノ含有化合物AVを少なくとも1種と、少なくとも1種のポリイソシアネートとを含む、硬化性組成物。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルジミンまたは請求項10〜12のいずれか一項に記載のアルジミノ含有化合物AVを少なくとも1種と、少なくとも1種のポリイソシアネートとを含む硬化性組成物。
【請求項15】
前記組成物が一成分系湿分硬化性組成物であり、前記ポリイソシアネートが脂肪族イソシアネート基を有するポリイソシアネートP1である、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
前記脂肪族イソシアネート基を有するポリイソシアネートP1が、脂肪族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUP1であって、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも一種のポリイソシアネートとの反応より得られる、請求項15に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
前記脂肪族イソシアネート基を有するポリイソシアネートP1が、脂肪族ジイソシアネートモノマーまたはそのオリゴマーの形態のポリウレタンポリマーPI1である、請求項15に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
成分K1及び成分K2からなる二成分系組成物であって、前記ポリイソシアネートがポリイソシアネートP2である、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項19】
前記ポリイソシアネートP2が、ジイソシアネートモノマー、ジイソシアネートモノマーのオリゴマー、またはジイソシアネートモノマーの誘導体の形態のポリイソシアネートPI2である、請求項18に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
前記ポリイソシアネートP2が、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応より得られるポリウレタンポリマーPUPである、請求項18に記載の硬化性組成物。
【請求項21】
請求項14〜20のいずれ一項に記載の硬化性組成物と、水分との反応より得られる、硬化性組成物。
【請求項22】
接着剤、シーラント、埋め込み組成物、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤としての、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルジミンの使用、或いは請求項10〜12のいずれか一項に記載のアルジミノ含有化合物AVの使用。
【請求項23】
一成分系または二成分系の接着剤、シーラント、埋め込み組成物、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤としての、請求項13〜20のいずれか一項に記載の硬化性組成物の使用。
【請求項24】
請求項23に記載の使用方法により得られる物品。
【請求項25】
下記のいずれかである、請求項24に記載の物品:
建築構造体、または、
工業用物品もしくは一般消費用物品、または、
輸送手段、または、
輸送手段の装填可能なコンポーネント、または、
家具、繊維または包装産業における物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルジミン類の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
アルジミン類は、一級アミン類及びアルデヒド類から生成される縮合生成物であり、以前から公知の物質群を構成する。水と接触した場合、アルジミン類は対応するアミンとアルデヒドとに加水分解される。この特性により、アルジミン類はアミンまたはアルデヒドの保護された形態として用いることができる。例えば、アルジミン類はポリウレタン化学において用いられ、イソシアネート基を含有する一成分系または二成分系の、いわゆる「ブロックアミン(blocked amines)」または「潜在的硬化剤(latent hardners)として知られる、湿分によって活性化される架橋剤として作用する。
【0003】
イソシアネート基を有する系中での潜在的硬化剤としてのアルジミン類の使用における利点は、とりわけ、望ましくない気泡の形成を避けることができ、なぜなら、イソシアネートと水分との直接の反応とは異なり、ブロックアミンによる硬化反応は二酸化炭素(CO2)の発生を伴って起こらないからであり、かつより速い硬化速度及び/またはより長いオープンタイムを達成することが可能だからである。しかしながら、イソシアネート基を有する組成物中での、アルジミン類の潜在的硬化剤としての使用もまた問題を生じる。一成分系組成物の場合、アルジミンの存在により貯蔵安定性が著しく低下する。アルジミンを調製するのに用いられ、かつ硬化反応において再度遊離するアルデヒド類によって、その組成物は極めて強い臭気をさらに有し得ることとなり、多くの適応において容認し難い。
【0004】
国際公開第2004/013088号(特許文献1)には、一級ポリアミン類及び無臭のアルデヒド類から調製される、無臭のポリアルジミン類について記載されている。国際公開第2007/036571号(特許文献2)には、無臭アルデヒド類から得ることが可能な、少なくとも1個のヒドロキシ基、メルカプト基、または二級アミノ基を含む無臭アルジミン類について記載されている。これらの無臭のアルデヒド類は、ポリマー組成物、特にポリウレタン組成物であり、望まれない強力な可塑化作用を有し得る。さらには、アルデヒドの比較的大きい分子量により、潜在的架橋剤として比較的多くの量のアルジミンを用いる必要性が生じ、その結果、使用するのに高価なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/013088号
【特許文献2】国際公開第2007/036571号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Houben-Weyl、“Methoden der organischen Chemie” [Methods of Organic Chemistry]、第XI/2巻、第73ページ以降
【非特許文献2】P.Y. Johnsonら、J. Org. Chem.、40巻、19号、1975年、2710-2720ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、硬化性組成物、特に、イソシアネート基を含有する一成分系または二成分系組成物中において、潜在的硬化剤として用いることが可能な新規アルジミン類を提供することである。
【0008】
驚くべきことに、下記の〈1〉項に記載のアルジミン類がこの目的を達成し、かつ有利な特性を有することを見出した。これらは、一般的には、ほとんど臭気を有しないアルデヒドを含有する室温で液体形態の化合物であり、かつ一級アミン類及び三級アミノ基を有する立体的に込み合った脂肪族アルデヒドから単純な工程を経て容易に得られる塩基性物質から調製可能である。そのアルジミン類は良好な熱安定性を備えている。それらの三級アミンは驚くほど低い塩基性度を有しており、ある条件下では、化学反応系において触媒作用を示す。
【0009】
これらのアルジミン類は、例えば、アミン類と反応性を有する基、例えば、エポキシ基、無水物基、及び特にイソシアネートを含有する硬化性組成物の潜在的硬化剤として適切である。特にポリレタン組成物において、それらはとても良好な適合性、及び低い可塑化作用を示す。
【0010】
本発明は、さらには、第一に、下記の〈11〉項に記載のアルジミン類、及び第二に、アルジミン類の反応生成物である、下記の〈15〉及び〈20〉項に記載のアルジミノ含有化合物を提供する。
【0011】
本発明は、さらには、下記の〈22〉及び〈23〉項に記載のアルジミン類及び/またはアルジミノ含有化合物を含む硬化性組成物を提供する。
【0012】
最後に、下記の〈12〉項に記載のアルジミン類の調製方法、下記の〈30〉項に記載の硬化性組成物、下記の〈31〉及び〈32〉項に記載の使用、及び下記の〈33〉項に記載の物品もまた、本発明のさらなる主題を構成する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、下記の立項の主題である。本発明のとりわけ好適な実施形態は、下記の属項の主題である。
〈1〉下記の式(I)のアルジミン:
【化1】
[式中、
Aは、
n個の一級脂肪族アミノ基及びm個のHX基が除去されたアミノ基、
または、
と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態で含まれる、(n+2)価の炭化水素基
のいずれかであり;
nは、1、2、3、または4であり、好ましくは1または2であり、
mは、0、1、2、3、または4であり、
但し、m+nは2、3、4、または5であるものとし;
及びRは、
それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭素水素基、
または、
及びRが一緒になって形成された、4〜12個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する任意に置換された炭素環の一部である、二価の炭化水素基
のいずれかであり;
は、水素原子またはアルキル基またはアリールアルキル基またはアルコキシカルボニル基であり、特に1〜12個の炭素原子を有し;
及びRは、
それぞれ独立して、1〜20個の炭素原子を有し、水酸基を含まず、かつ任意選択でエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態でヘテロ原子を含有する、一価の脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族基、
または、
及びRが一緒になって形成された、3〜20個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の環原子を有する任意に置換された複素環の一部である、二価の脂肪族基であって、該複素環は水酸基及び窒素原子もまた含まず、任意に、エーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態でヘテロ原子をさらに含む、二価の脂肪族基
のいずれかであり、
XはO、S、N−R、またはN−Rであり、
ここで、Rは、
1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意選択で少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、または、
式(II):
【化2】
の置換基
のいずれかであり、
ここで、
pは、0または1〜10,000の整数であり、
Bは、(p+1)価の炭化水素基であり、任意選択で、エーテル酸素原子、三級アミン窒素原子、ヒドロキシ基、二級アミノ基、またはメルカプト基を含み;及び
とAとが一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、任意選択で、少なくとも1個のヘテロ原子、特に、エーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態で含む、(n+2)価の炭化水素基である]。
〈2〉m=1、2、3、または4である、上記〈1〉項記載の式(I)のアルジミン。
〈3〉下記の式(Ia)のアルジミンである、上記〈2〉項記載の式(I)のアルジミン:
【化3】
[式中、
は活性水素または一級アミノ基を有さず、かつ
2〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態でヘテロ原子を含む、二価の炭化水素基、
または、
と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、三価の炭化水素基
のいずれかであり;
はO、S、N−R、またはN−Rであり、
ここで、Rは、
1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意選択で少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、
または、
下記の式(IIa)の置換基:
【化4】
のいずれかであり、
ここで、
は、2〜12個の炭素原子を有し、かつ任意にエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子を有する二価の炭化水素基であり;
とAとが一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特に、エーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態で含む、三価の炭化水素基である]。
〈4〉m=0である、上記〈1〉項記載の式(I)のアルジミン。
〈5〉下記の式(Ib)のアルジミンである、上記〈4〉項記載の式(I)のアルジミン:
【化5】
[式中、
tは2または3、好ましくは2であり;
はt個の一級アミノ基が除去された、t個の一級アミノ基を有するポリアミン基であり、かつ活性水素を含まない]。
〈6〉R及びRがそれぞれメチル基である、上記〈1〜5〉項のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン。
〈7〉Rが水素原子である、上記〈1〉〜〈6〉項のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン。
〈8〉R及びRは下記のいずれかである、上記〈1〉〜〈7〉項のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン:
それぞれ独立して、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、またはベンジルであるか、
または、
及びRが窒素原子と一緒になって環を形成し、特に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンまたはN−アルキルピペラジン環であり、任意に置換された環。
〈9〉Aは、N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−エチル−1,2−エタンジアミン、N−シクロヘキシル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、N−ブチル−1,3−プロパンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、4−アミノメチルピペリジン、3−(4−アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、脂肪ジアミン類(例えば、N−ココアルキル−1,3−プロパンジアミン、N−オレイル−1,3−プロパンジアミン、N−ソヤアルキル−1,3−プロパンジアミン、及びN−タロウアルキル−1,3−プロパンジアミン)、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、4−(2−アミノエチル)−2−ヒドロキシエチルベンゼン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミン基である、上記〈1〉〜〈8〉項のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン。
〈10〉Aは、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD)、1,3−ペンタンジアミン(DAMP)、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2−、1,3−、及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン、及び2または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン類、ならびにそれらアミン類の混合物からなる群から選択されるアミン基である、上記〈1〉〜〈8〉項のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミン。
〈11〉上記〈1〉〜〈10〉項のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミンをプロトン化またはアルキル化することにより得られる、下記の式(IX)のアルジミン:
【化6】
[式中、
10は、水素原子、または1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールアルキル基であり;
は、O、S、N−R11、またはN−Rであり;
11は、
1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、
または、
式(IX’)の置換基:
【化7】
のいずれかである]。
〈12〉下記の式(IV)のアルデヒドALDと、下記の式(III)のアミンとが縮合反応する、上記〈1〉〜〈10〉項のいずれか一項に記載の式(I)のアルジミンの調製方法:
【化8】
【化9】
[式中、
は、O、S、N−R6a、またはN−Rであり、
ここで、R6aは、
1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意選択で少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、
または、
下記の式(III’)の置換基:
【化10】
のいずれかである]。
〈13〉式(IV)のアルデヒドは、下記の式(V)のアルデヒドY1と、下記の式(VI)のアルデヒドY2と、下記の式(VII)の二級アミンCとが、水の脱離を伴いながら反応することにより得られる、上記〈12〉項記載の方法:
【化11】
【化12】
【化13】
〈14〉使用される式(V)のアルデヒドY1がイソブチルアルデヒドであり、使用される式(VI)のアルデヒドY2がホルムアルデヒドであり、かつ使用される式(VII)のアミンCがジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、N−tert−ブチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、及び2,6−ジメチルモルホリンからなる群から選択される、上記〈13〉項記載の式(IV)のアルデヒドALDの調製方法。
〈15〉式中m=1である、上記〈1〉〜〈10〉項のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式(I)のアルジミン、特には少なくとも1種の式(Ia)のアルジミンと、式(I)のアルジミンのHX基との付加反応に寄与し得る少なくとも1個の反応性基を含有する少なくとも1種の化合物Dとの反応より得られるアルジミノ含有化合物AV。
〈16〉化合物Dの反応性基が、イソシアネート、イソチオシアネート、シクロカーボネート、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アクリロイル、メタクリロイル、1−エチニルカルボニル、1−プロピニルカルボニル、マレイミド、シトラコンイミド、ビニル、イソプロペニル、及びアリル基からなる群から選択される、上記〈15〉項記載のアルジミノ含有化合物AV。
〈17〉下記の式(X)のアルジミノ含有化合物AV1である、上記〈15または16〉項記載のアルジミノ含有化合物AV:
【化14】
[式中、
uは、0、1、2、3、4、または5であり、
vは、1、2、3、4、5、または6であり、
但し、(u+v)は、2、3、4、5、または6であるものとし;
Qは、全てのイソシアネート基が除去された、(u+v)個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート基である]。
〈18〉(u+v)個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応より得られる、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである、上記〈17〉項記載のアルジミノ含有化合物AV。
〈19〉(u+v)個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが、ジイソシアネートモノマー、ジイソシアネートモノマーのオリゴマー、またはジイソシアネートモノマーの誘導体の形態のポリイソシアネートPIであり、特に、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の混合物(TDI)、ならびに4,4’−、2,4’−、及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の混合物(MDI)のオリゴマーまたは誘導体である、上記〈17〉項記載のアルジミノ含有化合物AV。
〈20〉上記〈15〉〜〈19〉項のいずれか一項に記載のアルジミノ含有化合物AVをプロトン化またはアルキル化することにより得られるアルジミノ含有化合物AV。
〈21〉下記の式(XII)のアルジミノ含有化合物AV2である、上記〈20〉項記載のアルジミノ含有化合物AV:
【化15】
[式中、
uは、0、1、2、3、4、または5であり、
vは、1、2、3、4、5、または6であり、
但し、(u+v)は、2、3、4、5、または6であるものとし;
Qは、全てのイソシアネート基が除去された、(u+v)個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート基であり;
は活性水素または一級アミノ基を有しておらず、かつ
2〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、二価の炭化水素基、
または、
12と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、三価の炭化水素基
のいずれかであり;
は、O、S、N−R11、またはN−R12であり、
ここで、R12は、Aと一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、三価の炭化水素基である]。
〈22〉上記〈1〉〜〈11〉項のいずれか一項に記載のアルジミンまたは上記〈15〉〜〈21〉項のいずれか一項に記載のアルジミノ含有化合物AVを少なくとも1種と、少なくとも1種のポリイソシアネートとを含む硬化性組成物。
〈23〉上記〈1〉〜〈10〉項のいずれか一項に記載のアルジミンまたは上記〈15〉〜〈19〉項のいずれか一項に記載のアルジミノ含有化合物AVを少なくとも1種と、少なくとも1種のポリイソシアネートとを含む硬化性組成物。
〈24〉前記組成物が一成分系湿分硬化性組成物であり、前記ポリイソシアネートが脂肪族イソシアネート基を有するポリイソシアネートP1である、上記〈23〉項記載の硬化性組成物。
〈25〉脂肪族イソシアネート基を有するポリイソシアネートP1が脂肪族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUP1であって、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも一種のポリイソシアネート、特に脂肪族イソシアネート基を有するジイソシアネートモノマーとの反応より得られる、上記〈24〉項記載の硬化性組成物。
〈26〉脂肪族イソシアネート基を有するポリイソシアネートP1が脂肪族ジイソシアネートモノマーまたはそのオリゴマーの形態のポリウレタンポリマーPI1であって、特に、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)または1―イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)のオリゴマーである、上記〈24〉項記載の硬化性組成物。
〈27〉成分K1及び成分K2からなる二成分系組成物であって、ポリイソシアネートがポリイソシアネートP2である、上記〈23〉項記載の硬化性組成物。
〈28〉ポリイソシアネートP2がジイソシアネートモノマー、ジイソシアネートモノマーのオリゴマー、またはジイソシアネートモノマーの誘導体の形態のポリイソシアネートPI2であり、特に、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1−イソシアナト−3,5,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の混合物(TDI)、ならびに4,4’−、2,4’−、及び2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の混合物(MDI)のオリゴマーまたは誘導体であり、好ましくは室温で液体形態である、MDIまたはMDIとMDI類縁体(MDIポリマーまたはPMDI)との混合物である、上記〈27〉項記載の硬化性組成物。
〈29〉ポリイソシアネートP2が、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のポリイソシアネート、特にジイソシアネートモノマーとの反応より得られるポリウレタンポリマーPUPである、上記〈27〉項記載の硬化性組成物。
〈30〉上記〈22〉〜〈29のいずれ一項に記載の硬化性組成物と、水分、特に空気中の湿気の形態の水分との反応より得られる硬化性組成物。
〈31〉接着剤、シーラント、埋め込み組成物、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤としての、上記〈1〉〜〈11〉項のいずれか一項に記載のアルジミンの使用、或いは上記〈15〉〜〈21〉項のいずれか一項に記載のアルジミノ含有化合物AVの使用。
〈32〉一成分系または二成分系の接着剤、シーラント、埋め込み組成物、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤としての、上記〈22〉〜〈29〉項のいずれか一項に記載の硬化性組成物の使用。
〈33〉上記〈32〉項記載の使用方法により得られる物品。
〈34〉下記のいずれかである、上記〈33〉項記載の物品:
建築構造体、特に建設もしくは土木における建築構造体、または、
工業用物品もしくは一般消費用物品、特に、窓、家庭用物品、または、
輸送手段、特に水上用または陸上用車両、好ましくは自動車、バス、トラック、列車または船舶、または、
輸送手段の装填可能なコンポーネント、または、
家具、繊維または包装産業における物品。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、式(I):
【化1】
のアルジミン類を提供する。
[式中、
Aは、
n個の一級脂肪族アミノ基及びm個のHX基が除去されたアミノ基、または、
R7と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態で含まれる、(n+2)価の炭化水素基
のいずれかであり;
nは、1、2、3、または4であり、好ましくは1または2であり、
mは、0、1、2、3、または4であり、
但し、m+nは2、3、4、または5という条件とし;
R1及びR2は、
それぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭素水素基、または、
R1及びR2が一緒になって形成された、4〜12個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する任意に置換された炭素環の一部である、二価の炭化水素基
のいずれかであり;
R3は、水素原子またはアルキル基またはアリールアルキル基またはアルコキシカルボニル基であり、特に1〜12個の炭素原子を有し;
R4及びR5は、
それぞれ独立して、1〜20個の炭素原子を有し、水酸基を含まず、かつ任意選択でエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態でヘテロ原子を含有する、一価の脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族(arylaliphatic)基、または、
R4及びR5が一緒になって形成された、3〜20個の炭素原子を有し、5〜8個、好ましくは6個の環原子を有する任意に置換された複素環の一部である、二価の脂肪族基であって、該複素環は水酸基及び窒素原子もまた含まず、任意に、エーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態でヘテロ原子をさらに含む、二価の脂肪族基
のいずれかであり、
XはO、S、N-R6、またはN-R7であり、
ここで、R6は、
1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意選択で少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、または、
式(II):
【化2】
の置換基
のいずれかであり、
ここで、
pは0または1〜10,000の整数であり、
Bは、(p+1)価の炭化水素基であり、任意選択で、エーテル酸素原子、三級アミン窒素原子、ヒドロキシ基、二級アミノ基、またはメルカプト基を含み;及び
R7とAとが一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、任意選択で、少なくとも1個のヘテロ原子、特に、エーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態で含む、(n+2)価の炭化水素基である。]
【0015】
本明細書の式中の破線は、各場合に、置換基と関連する分子の残基との間の結合を表す。
【0016】
本明細書において、用語「一級アミノ基」は、有機基と結合するNH2基の形態のアミノ基を示す。用語「二級アミノ基」は、窒素原子が2つの有機基と結合するアミノ基を示し、これら2つの有機基は環の一部として互いに結合していてもよい。用語「三級アミノ基」は、窒素原子が3つの有機基と結合するアミノ基を示し、これら有機基のうちの2つは環の一部として互いに結合していてもよい(=三級アミン窒素原子)。
【0017】
「脂肪族」とは、窒素原子が脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族基に排他的に結合しているアミンまたはアミノ基を意味する。
【0018】
本明細書において、用語「活性水素」は、ヒドロキシ基、メルカプト基、または二級アミノ基の水素原子を示す。
【0019】
好ましくは、式(I)中のR1及びR2は、それぞれメチル基である。
【0020】
好ましくは、式(I)中のR3は、水素原子である。
【0021】
好ましくは、R4及びR5は、三級アミン窒素原子を含有しない。
【0022】
式(I)のアルジミン類の一実施形態では、指数mは、1、2、3、または4であり、好ましくは1である。したがって、このようなアルジミンは少なくとも1個の活性水素を有している。
【0023】
少なくとも1個の活性水素を有する、特に好ましい式(I)のアルジミン類は、式(Ia):
【化3】
のアルジミン類である。
[式中、
A1は活性水素または一級アミノ基を有さず、かつ
2〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態でヘテロ原子を含む、二価の炭化水素基、または、 R9と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、三価の炭化水素基のいずれかであり;
X1はO、S、N-R8、またはN-R9であり、
ここで、R8は、
1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意選択で少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、または、
式(IIa):
【化4】
の置換基
のいずれかであり、
ここで、
B1は、2〜12個の炭素原子を有し、かつ任意にエーテル酸素原子または三級アミン窒素原子を有する二価の炭化水素基であり;
R9とA1とが一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特に、エーテル酸素原子または三級アミン窒素原子の形態で含む、三価の炭化水素基であり、かつ
R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ上記定義のとおりである。]
【0024】
式(I)のアルジミン類のさらなる実施形態では、指数mは、0であり、指数nは、2、3、または4である。このようなアルジミンは、ポリアルジミンである。本明細書において、ポリアルジミン、ポリアミン、またはポリイソシアネートなどの、「ポリ」で始まる物質名は、形式上、一分子あたり物質の名称に存在する官能基を2つ以上含有する物質を示す。
【0025】
特に好ましい、m=0である式(I)のアルジミン類は、式(Ib):
【化5】
のアルジミンである。
[式中、
tは2または3、好ましくは2であり;
A2はt個の一級アミノ基が除去された、t個の一級アミノ基を有するポリアミン基であり、かつ活性水素を含有せず;
R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ上記定義したとおりである。]
【0026】
式(Ib)のアルジミン類は活性水素を有しない。
【0027】
式(I)のアルジミン類は、少なくとも1種の式(III):
【化6】
のアミンBと、少なくとも1種の式(IV):
【化7】
の立体的に込み合った脂肪族アルデヒドALDとの反応により得られる。
[式中、
Xaは、O、S、N-R6a、またはN-R7であり、
ここで、R6aは、1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意選択で少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、または、
式(III’):
【化8】
の置換基
のいずれかであり、
m、n、A、B、R1、R2、R3、R4、R5、及びpはそれぞれ上記定義のとおりである。]
【0028】
式(III)のアミンBと式(IV)のアルデヒドALDとの間の反応は、水分子の脱離を伴う縮合反応によりもたらされる。このような縮合反応は非常によく知られており、例えば、Houben-Weyl、“Methoden der organischen Chemie” [Methods of Organic Chemistry]、第XI/2巻、第73ページ以降(非特許文献1)に記載されている。本明細書において、ア
ルデヒドALDは、アミンBの一級アミノ基に対して化学量論量または化学量論過剰量で用いられる。一般的には、そのような縮合反応は溶媒の存在下、反応で生成した水を共沸除去することによって行われる。しかしながら、式(I)のアルジミン類を調製するためには、溶媒を用いることなく調製する方法が好ましく、真空を適用することで、縮合反応で生成した水を反応混合物から直接除去することが好ましい。溶媒を用いずに調製することにより、調製が完了した後に溶媒を留去する必要性が生じず、結果的に調製方法が簡略化される。さらには、これによって、このアルジミンには、厄介な臭気を生じさせ得る溶媒残渣が含まれない。
【0029】
適したアミン類Bは、1個または複数の一級アミノ基に加えて、ヒドロキシ基、メルカプト基、または二級アミノ基の形態の活性水素を含有する、少なくとも1個の反応性基を有する化合物である。活性水素を含有する1個より多い反応性基を有するアミン類Bの例としては、
- 1個より多い二級アミノ基及び1個以上の一級アミノ基を含有する脂肪族アミン類〔例えば、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン、及び直鎖ポリエチレンアミン類のより高次な類縁体、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、複数の一級アミノ基を有する一級ジアミンまたはポリアミン類の、複数のシアノエチル化またはシアノブチル化と続く水素化による生成物(例えば、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノ-1-エチルプロピ
ル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン)、及び様々な重合度のポリエチレンイミン類(500〜1,000,000g/molの範囲の分子量)、例えば、純粋な形態または水溶液としてBASF社からLupasol(登録商標)の商品名で入手可能なものであり、これらポリエチレンイミン類は、一級及び二級アミノ基のみならず三級アミノ基も有する〕;
- 1個より多いヒドロキシ基及び1個以上の一級アミノ基を含有するヒドロキシアミン類、特にポリアルコキシ化された三価もしくはより高次な多価アルコール類、またはポリアルコキシ化されたポリアミン類、ならびにアミノ糖(例えば、グルコサミンまたはガラクトサミン)の誘導体;
- ヒドロキシアミン類(例えば、N-ヒドロキシエチル-1,2-エタンジアミン、N-ヒドロキシプロピル-1,2-エタンジアミン、N-ヒドロキシエチル-1,3-プロパンジアミン、N3-ヒドロキシエチル-1,3-ペンタンジアミン)のシアノエチル化またはシアノブチル化と続く水素化による、少なくとも1個のヒドロキシ基及び少なくとも1個の二級アミノ基を含有するヒドロキシポリアミン類;
が挙げられる。
【0030】
適したアミン類Bは、さらには、2個または複数の脂肪族のアミノ基を有するポリアミン類である。3個より多い一級脂肪族アミノ基を有するアミン類Bの例としては、例えばアリルアミン及びメタクリラートから生成される、一級アミノ基を含有するポリビニルアミン類またはコポリマーが挙げられる。
【0031】
とりわけ適当なアミン類Bは、第一に、式(IIIa):
【化9】
のアミン類B1である。
[式中、
X1aは、O、S、N-R8aまたはN-R9であり、
ここで、R8aは、1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意選択で少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、または、
式(IIIa’):
【化10】
の置換基
のいずれかであり、
A1、B1及びR9はそれぞれ上記定義のとおりである。]
【0032】
アミン類B1は、式(Ia)のアルジミン類を調製するのに特に適当である。
【0033】
アミン類B1の例としては、
- 1個または2個の一級脂肪族アミノ基及び1個の二級アミノ基を有する化合物〔例えば、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン;一級モノ-及びジアミン類のシアノエチル化またはシアノブチル化と続く水素化によるジアミン及びトリアミン類〔例えば、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、及び脂肪族ジアミン類(例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン、またはN-(C16-22アルキル)-1,3-プロパンジアミン)、例えば、Akzo Nobel社から商品名Duomeen(登録商標)として入手可能なものである〕;脂肪族一級ジアミンまたはトリアミンと、アクリロニトリル、マレイン酸またはフマル酸のジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル及びメタクリル酸エステル、アクリルアミド類もしくはメタクリルアミド類、及びイタコン酸ジエステルとを、1:1のモル比で反応させた、マイケル付加による生成物;
- 脂肪族ヒドロキシアミン類〔例えば、2-アミノエタノール、2-メチルアミノエタノール(=2-アミノ-1-プロパノール)、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール;グリコール類、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びより高次なオリゴマーならびにそれらグリコール類のポリマーの、一級アミノ基を含有する誘導体〔例えば、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン(=2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エタノール)、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル))〕;ポリアルコキシ化された三価または高級多価アルコール類の、1個のヒドロキシ基及び1個の一級アミノ基を含有する誘導体;グリコール類のモノシアノエチル化と続く水素化による生成物、例えば、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン;
- 脂肪族メルカプトアミン類、例えば、2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、12-アミノ-1-ドデカンチオール、及びアミノチオ糖類、例えば、2-アミノ-2-デオキシ-6-チオグルコース;
が挙げられる。
【0034】
好適なアミンB1は、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、及び脂肪ジアミン類(例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン);脂肪族一級ジアミンと、マレイン酸及びフマル酸のジエステル類、アクリル酸及びメタクリル酸のエステル類、アクリルアミド及びメタクリルアミド類との、好ましくはマレイン酸ジエステル類、特に、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジプロピルマレート及びジブチルマレートとの、さらにはアクリルエステル類、特にはメチルアクリレートとの、1:1モル比で反応させたマイケル型付加反応による生成物;脂肪族のヒドロキシアミンまたはメルカプトアミン類であって、一級アミノ基がヒドロキシ基またはメルカプト基から、少なくとも5個の原子の鎖、または環によって隔てられたもの、特に、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びそれらのより高次の類縁体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、及びそのより高級オリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンである。
【0035】
特に好適なアミン類B1は、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、脂肪ジアミン類(例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン)、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンからなる群から選択されるアミン類である。
【0036】
特に適したアミン類Bは、式(IIIb):
【化11】
の二級アミン類であり、式中、A2及びtはそれぞれ上記定義のとおりである。
【0037】
アミンB2は、式(Ib)のアルジミン類を調製するのにとりわけ適している。
【0038】
アミンB2の例として、
- 脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族ジアミン類、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、及びメチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,2-、1,3-、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン及びこれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、及び1,3-及び1,4-キシレンジアミン;
- エーテル基を含む脂肪ジアミン類、例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、及びこれらジアミン類のより高次なオリゴマー類、ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン類及び例えば、350〜5,200の範囲の分子量を有するその他のポリテトラヒドロフランジアミン類、及びポリオキシアルキレンジアミン類。一般的に後者は、ポリオキシアルキレンジオール類のアミノ化より得られる生成物であり、例えば、商品名Jeffamine(登録商標)(Huntsman Chemicals社製)、商品名Polyetheramine(BASF社製)、または商品名PC Amine(登録商標)(Nitroil社製)として入手可能である。とりわけ適したポリオキシアルキレンジアミン類は、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)D-4000、Jeffamine(登録商標)XTJ-511、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003、Jeffamine(登録商標)XTJ-568、Jeffamine(登録商標)XTJ-569、Jeffamine(登録商標)XTJ-523、Jeffamine(登録商標)XTJ-536、Jeffamine(登録商標)XTJ-542、Jeffamine(登録商標)XTJ-559;Polyetheramine D 230、Polyetheramine D 400、及びPolyetheramine D 2000;PC Amine(登録商標)DA 250、PC Amine(登録商標)DA 400、PC Amine(登録商標)DA 650、及びPC Amine(登録商標)DA 2000である;
- 脂肪トリアミン類、例えば、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(アミノメチル)シクロヘキサン;
- ポリオキシアルキレントリアミン類、一般的に、それらはポリオキシアルキレントリオール類のアミノ化より得られる生成物であり、例えば、商標名Jeffamine(登録商標)(Huntsman Chemicals社製)、商品名Polyetheramine(BASF社製)、または商品名PC Amine(登録商標)(Nitroil社製)として入手可能であり、例えば、Jeffamine(登録商標)T-403、Jeffamine(登録商標)T-5000;Polyetheramine T403、Polyetheramine T5000;及びPC Amine(登録商標)TA 403、PC Amine(登録商標)TA 5000;
が挙げられる。
【0039】
好適なアミンB2は、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-、1,3-、及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、及び2または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン類、特に、Huntsman社から商標名Jeffamine(登録商標)として入手可能なD-230、D-400、D-2000、T-403、及びT-5000型、BASF社またはNitroil社から入手可能な類縁体化合物、並びに上記のポリアミン類の混合物からなる群より選択されるポリアミン類である。とりわけ好適なアミンB2は上記のジアミン類である。
【0040】
式(I)のアルジミンを調製するためには、少なくとも1種の、式(IV):
【化12】
の立体的に込み合った脂肪族アルデヒドALDがさらに用いられ、式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ上記定義のとおりである。
【0041】
R1及びR2は、好ましくはそれぞれメチル基であり、R3は、好ましくは水素原子である。
【0042】
R4及びR5は、好ましくはそれぞれ独立して、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、またはベンジルであるか、或いは窒素原子と一緒になって環を形成し、特に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンまたはN-アルキルピペラジン環であり、環は任意に置換されてもよい。R4及びR5は、さらに好ましくは、三級アミン窒素を有していない。
【0043】
式(IV)のアルデヒドALDは、特には、本技術分野において既知であるように、マンニッヒ反応またはマンニッヒ反応に類似したα-アミノアルキル化による生成物として得ることができ、それ故にそれらはマンニッヒ塩基として知られる。式(V):
【化13】
のアルデヒドY1、式(VI):
【化14】
のアルデヒドY2、及び式(VII):
【化15】
の二級脂肪族アミンC
[式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ上記定義のとおりである]
は、水の脱離によりアルデヒドALDに変換される。
【0044】
この反応は、式(V)、(VI)及び(VII)の遊離試薬Y1、Y2、及びCを用いて行われるか、或いはそれら試薬が部分的または完全に誘導化された形態で用いてもよい。例えば、アルデヒドY1は、エノラートとして、エノールエーテル、特にシリルエノールエーテルとして、またはエナミンとして用いることができる。アルデヒドY2は、例えば、オリゴマーの形態として(ホルムアルデヒドの場合、特に1,3,5-トリオオキサン、またはパラホルムアルデヒドとして)、または水和物、ヘミアセタール、アセタール、N,O-アセタール、アミナール、またはヘミアミナールとして用いることができる。最後に、二級脂肪族アミンCは、例えば、塩として、特にアミン塩酸塩またはアミン硫酸塩として、或いはシリルアミンとして用いることができる。試薬の一部を遊離形態として、一部を誘導化された形態として用いることができ、或いは誘導化された形態からのみ行うこともできる。試薬を誘導化された形態で用いる場合、アルデヒドALDは、ある条件下では、同じように誘導化された形態、例えば、塩として得られ;この場合、適切な後処理によって式(IV)の遊離形態に変換することが可能である。場合によっては、そのような変換反応において、ルイス酸または触媒などの補助剤をさらに用いることが望ましい。
【0045】
さらには、上記反応は、3種全ての試薬が互いに同時に反応可能なワンポット反応として実施してもよく、または段階的方法を選択してもよく、この場合、第一に、2種の試薬を互いに反応させ、続いて得られた中間体と第3の試薬とを反応させ、中間体は単離されてもされなくてもよい。この種の適当な中間体は、特にイミニウム塩であり、これらは、遊離または誘導化された形態のアルデヒドY2と、二級脂肪族アミンCとの反応より得られ、遊離または誘導化された形態のアルデヒドY1と反応することにより、式(IV)のアルデヒドALDの対応する塩が得られる。そのような段階的方法は、より温和な反応条件化で実施可能であり、それ故により高い生成物収量が得られるといった有利な点を有し得る。
【0046】
さらには、この反応は、溶媒、特に、水またはアルコール類などの極性溶媒を用いて実施することができるが、溶媒を用いることなく反応を行ってもよい。
【0047】
好適な実施形態では、反応を、すべてが遊離形態である試薬を用いてワンポット反応として実施し、アルデヒドALDは反応終了後、蒸留によって精製する。好ましくは、有機溶媒を用いないことである。
【0048】
式(V)の適当なアルデヒドY1の例として、以下のアルデヒド類が挙げられる:イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロンアルデヒド、シクロペンタンカルボキサルデヒド、シクロヘキサンカルボキサルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド、及びジフェニルアセトアルデヒド。好ましくはイソブチルアルデヒドである。
【0049】
式(VI)の適当なアルデヒドY2の例として、以下のアルデヒド類が挙げられる:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、及び置換されたベンズアルデヒド、ならびにグリオキシル酸エステル、特にエチルグリオキシラート。好ましくはホルムアルデヒドである。
【0050】
式(VII)の適当なアミンCの例として、以下の二級脂肪族アミンが挙げられる:ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルブチルアミン、N-エチルブチルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-エチルシクロヘキシル、ジ-2-メトキシエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、N-メチルベンジルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、モルホリン、2,6-ジメチルモルホリン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、N-メチルピペラジン、またはN-エチルピペラジン。
【0051】
好適なアミンCは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、及び2,6-ジメチルモルホリンである。
【0052】
アルデヒドALDは、式(V)のアルデヒドY1としてイソブチルアルデヒドと、式(VI)のアルデヒドY2としてホルムアルデヒドと、及び式(VII)のアミンCとして、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、及び2,6-ジメチルモルホリンからなる群から選択されるアミン類の1種との反応によって調製されることが好ましい。
【0053】
好適なアルデヒドALDは、2,2-ジメチル-3-ジメチルアミノプロパナール、2,2-ジメチル-3-ジエチルアミノプロパナール、2,2-ジメチル-3-ジブチルアミノプロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ピロリジノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ピペリジノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-(2,6-ジメチル)モルホリノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルメチルアミノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルイソプロピルアミノ)プロパナール、及び2,2-ジメチル-3-(N-シクロヘキシルメチルアミノ)プロパナールである。好適なアルデヒドALDは三級アミン窒素を有しておらず、かつ比較的低い塩基性を有している。
【0054】
式(IV)のアルデヒドALDは、一連の特異的特性を有している。例えば、これらアルデヒドは、アルデヒド基のα位の炭素原子に水素原子を含有せず、それ故に、二級アミンが脱離してアルケンを生成することは不可能であることから良好な熱的安定性を有している。それらは、空気中の酸素による酸化に対して驚くほど良好な安定性もまた有している。
さらには、3位の中心三級アミン窒素原子による、それらの塩基性度は、類似の構造の脂肪族アミン類の予測されるものよりも驚くほど著しく低く;測定したアルデヒドALDの共役酸のpKaは、このアルデヒドALDを調製するために用いられる二級アミンCの共役酸の値よりも約2ユニット低い。これら驚くべき特性は、P.Y. Johnsonら(J. Org. Chem.、40巻、19号、1975年、2710-2720ページ(非特許文献2))によってβ-アミノアルデヒド類のNMR及びUV分光学研究に基づいて仮説されるように、アミン及びアルデヒド基の間の分子間1,4相互作用(窒素原子の自由電子対とカルボニルのπまたはπ*軌道との間の軌道の重なり)と関係があると考えられる。
【0055】
最後に、アルデヒドALDは、比較的低分子量であっても、アミンのような臭気が存在しても若干存在する程度である。この低い臭気度の特性は、アルデヒド類の場合には驚くべきことであり、これは第一に、上述した分子内1,4相互作用に起因するものであると考えられ、第二に、第三級炭素原子上のアルデヒド基の立体障害によるものであると考えられる。
【0056】
式(I)のアルジミン類は、上述したとおり、アミンB及びアルデヒドALDから直接調製することができる。
【0057】
置換基XとしてN-R6の置換基を有する式(I)のアルジミン類は、任意選択で、上記記載の方法とは若干異なる経路で調製することができる。この合成経路は、第一の工程において、式(IV)のアルデヒドALDと、アミンB2として上記記載したように、二置換または三置換の、好ましくは二置換の脂肪族一級アミンとを反応させて中間体を得る工程を含み、その中間体は、1または2個のアルジミノ基とともに、1または2個の一級アミノ基、好ましくは1個の一級アミノ基もまた含有する。この中間体は、続く第二の工程において、一級アミノ基をモノアルキル化させることにより、式(I)のアルジミンへと変換する。アルキル化に用いられる化合物は、特に、1個の活性化された二重結合を有する、一級アミンと共にマイケル型付加反応に参加し得る化合物であり、そのような化合物は、以後「マイケル受容体」として称することとする。
【0058】
アルデヒドALDは、先にアルデヒドALDと式(III)のアミンBとの反応について述べたように、アミンB2と反応して、水の脱離を伴う縮合反応により一級アミノ基を有する中間体を得る。しかしながら、アルデヒドALDとアミンB2との間の化学量論は、1モルのアルデヒドALDが、1モルの、2個の一級アミノ基を含むアミンB2に対して用いられるか、或いは、2モルのアルデヒドALDが、1モルの、3個の一級アミノ基を含むアミンB2に対して用いられるように選択される。用いられるアミンB2は、好ましくは、アミノ基に対して非対称である。溶媒を含まない調製方法が好ましく、縮合反応で生成した水は、減圧によって反応混合物から除去される。
【0059】
1個の一級アミノ基を有する中間体は、マイケル受容体と反応させ、例えば、中間体を化学量論のまたはわずかに化学量論過剰のマイケル受容体と混合し、この混合物を、20〜110℃の温度にて、中間体が完全に式(I)のアルジミンに変換されるまで加熱する。この反応は、好ましくは、溶媒を用いずに行う。
【0060】
この調製において好適なアミンB2は、一級アミノ基が少なくとも5個の原子を有する鎖、または環によって隔てられているジアミン類であり、特に、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、及びそれらの混合物、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,3-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-及び1,4-キシリレンジアミン、及びエーテル基を含む脂肪族ジアミン類、並びに上述したポリオキシアルキレンジアミン類である。
【0061】
適当なマイケル受容体の例としては、マレイン酸ジエステル類またはフマル酸ジエステル類(例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル);シトラコン酸ジエステル類(例えば、シトラコン酸ジメチル);アクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート);イタコン酸ジエステル類(例えば、イタコン酸ジメチル);桂皮酸エステル類(桂皮酸メチル);ビニルホスホン酸ジエステル類(例えば、ビニルホスホン酸ジメチル);ビニルスルホン酸エステル(特に、アリールビニルスルホネート);ビニルスルホン類;ビニルニトリル類(例えば、アクリロニトリル、2-ペンテンニトリル、またはフマロニトリル);1-ニトロエチレン類(例えば、β-ニトロスチレン);及びKnoevenagel縮合生成物(例えば、マロン酸ジエステル、及びアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはベンズアルデヒド)から生成される生成物)が挙げられる。好ましくは、マレイン酸ジエステル類、アクリル酸ジエステル類、ホスホン酸ジエステル類、及びビニルニトリル類である。
【0062】
少なくとも1個のHX基を有する、式(I)のアルジミン類のこれら実施形態は、指数m=1である場合の例として、式(VIII):
【化16】
で示されるように、環状の形態を有する平衡状態で存在し得る。これらの環状形態は、アミノアルジミンの場合では環状アミナール類(例えば、イミダゾリジンまたはテトラヒドロピリミジン)であり、ヒドロキシアルジミンの場合では環状アミノアセタール類(例えば、オキサゾリジンまたはテトラヒドロオキサジン)であり、メルカプトアルジミンの場合は、環状チオアミナール類(例えば、チアゾリジンまたはテトラヒドロチアジン)である。
【0063】
式(VIII)において、n、A、R1、R2、R3、R4、R5及びXはそれぞれ上記定義のとおりである。
【0064】
驚くべきことに、HX基を含む式(I)のほとんどのアルジミン類は、環化が生じる傾向にない。特にアミノアルジミン類については、IR及びNMR分光法の手段によって、これらの化合物が開いた鎖の形態(すなわち、アルジミン形態)で存在するほうが有利であり、環状形態(すなわち、アミナール形態)では存在しないかまたは痕跡量でしか存在しないことが示される。一級アミノ基がヒドロキシ基またはメルカプト基から少なくとも5個の鎖、または環によって隔てられているヒドロキシ−及びメルカプトアミン類は、ほとんど環化を起こさない。
【0065】
式(I)のアルジミン類は、これまで報告されていない新規化合物であり、驚くべき特性を備えている。これらは、α位の炭素原子上に水素原子を有しない立体的に込み合ったアルジミノ基を含有していることから、エナミノ基に互変異性化されない。それ故に、これらアルジミノ基は、湿分を含まない条件下において、アミノ基と反応性を有する化合物に対してわずかな反応性を示す程度の、特に良好に保護(「ブロック」)された一級アミノ基である。さらには、式(I)のアルジミン類は、ある条件下の化学反応系において触媒作用が示される三級アミノ基を有しているが、三級アミノ基に由来する、式(I)のアルジミン類の塩基性度は極めて低い。さらに、式(I)のアルジミン類は、親アルデヒドALDが比較的低分子量であったとしても、ごく弱いアミン臭を有している程度である。
【0066】
アルジミノ基のα位の炭素原子が水素原子を含有せず、その結果、二級アミンの脱離によるアルケンの生成が起こり得ないことから、式(I)のアルジミン類は良好な熱的安定性を有している。
【0067】
式(I)のアルジミン類は、適切な条件下において貯蔵安定性である。湿分の進入により、上記アルジミンのアルジミノ基が中間体を経て形式上アミノ基に加水分解され、このアルジミンの調製のために用いられる、既に上述したように低臭または無臭である、対応する式(IV)のアルデヒドALDが遊離する。この加水分解反応は可逆的であり、かつ化学平衡は実質的にアルジミン側にあることから、アミンに対する反応性を有する化合物の不存在下では、アルジミノ基の一部分のみが部分的又は完全に加水分解されると推測される。驚くべきことに、三級アミノ基が存在するにも関らず、アルジミノ基の加水分解は酸により触媒作用を受けることができる。
【0068】
式(I)のアルジミン類は、容易に入手可能な出発物質から比較的単純な手法により調製することができる。式(III)の非粘性のアミンBがそれらの調製に用いられた場合、対応する式(I)の化合物の一部は同様に非粘性の化合物である。
【0069】
式(I)のアルジミン類は、極めて幅広く用いられている。これらは、例えば、式(IV)のアルデヒドALDまたは式(III)のアミンBの源としての役割を果たす場合に用いることができる。さらに具体的には、上記アルジミン類は、アルデヒド-及び/またはアミン-反応系の、保護されたアミンまたは保護されたアルデヒドとしての役割を果たすことができ、必要に応じて選択的に脱保護することができる。さらに具体的には、一級アミンとの反応性を有する化合物が存在する系において使用される。この脱保護は加水分解により、例えば、水または湿分、特には空気中の湿気と接触することにより達成される。驚くべきことに、アルジミノ基の加水分解は、三級アミノ基が存在するにも関らず、分子内に三級アミノ基を有しないアルジミンと同様に、酸による触媒作用を受けることができる。
【0070】
その一方で、0より大きい指数mを有する式(I)のアルジミンは、これらアルジミンのさらに官能化された反応生成物の形成において用いられる。例えば、0より大きい指数mを有する式(I)のアルジミンは、HX基と反応し得る化合物と、特に付加反応により反応することができる。付加反応に寄与するこの種の適切な化合物は、反応性基、例えば、イソシアネート基、エポキシド基、無水物基、或いはいくらか活性化された二重または三重結合〔例えば、(メタ)アクリレート基、アクリルアミド基、1-エチニルカルボニル基、1-プロピニルカルボニル基、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニル基、イソプロペニル基、またはアリル基〕を包含する。そのような付加反応より得られるアルジミノ基を含有する反応生成物は、必要に応じて、式(IV)のアルデヒド及び一級アミノ基を有する化合物へと加水分解され、次いでさらなる反応、例えば、架橋反応、酸により触媒作用を受けることができる加水分解反応に利用される。
【0071】
さらには、0より大きい指数mを有する式(I)のアルジミンは、アルジミノ含有化合物を調製するために用いることが可能であり、この化合物は、例えば、潜在的硬化剤として、または反応組成物、特にはイソシアネート基を含有する組成物のコモノマーとして適当である。
【0072】
また、式(I)のアルジミン類は、化学反応系の触媒として用いることも可能であり、例えば、イソシアネート基を含有する硬化性組成物中で、とりわけ組成物の硬化時間を短縮させるために用いることができる。
【0073】
最後に、式(I)のアルジミン類は、三級アミノ基の一部または全部をアンモニウム基にプロトン化することにより、或いは該三級アミノ基の一部または全部を四級アンモニウム基にアルキル化することにより、カチオン性化合物の源として用いることができる。式(I)のアルジミン類をプロトン化またはアルキル化することにより、式(IX):
【化17】
のアルジミン類が得られ、
式中、
R10は、水素原子、または1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールアルキル基であり;
X2は、O、S、N-R11、またはN-R7であり、
ここで、R11は、
1〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する一価の炭化水素基、または、
式(IX’):
【化18】
の置換基
のいずれかであり、
m、n、p、A、B、R1、R2、R3、R4、R5、及びR7はそれぞれ上記定義のとおりである。
【0074】
式(IX)のアルジミン類は、さらには、上記式(III)のアミンBの1種及び式(IV)のアルデヒドALDより得られるが、前記アルデヒドALDの三級アミンの一部または全部は、アミンBと反応する前に、プロトン化またはアルキル化される。
【0075】
式(I)のアルジミン類またはアルデヒドALDをプロトン化させるためには、あらゆる所望のブレンステッド酸を用いてもよく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、カルボン酸(例えば、酢酸または安息香酸)、及びスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸)を使用することができる。式(I)のアルジミン類またはアルデヒドALDをアルキル化させるために、既知のアルキル化剤、特に、メチル化剤、例えば、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、亜リン酸ジメチル、ジアゾメタン、フルオリド硫酸メチル、またはトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートを用いることができる。
【0076】
式(IX)のカチオン性アルジミンがアルジミンの正電荷と電荷的にバランスを保つためのアニオンもまた含有することは、当業者であれば明らかである。
【0077】
式(I)または式(IX)のアルジミン類は、イソシアネートまたはエポキシ樹脂に基づく組成物の構成物質として特に適しており、特に、例えば、接着剤、シーラント、埋め込み組成物(potting composition)、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤などの適用に適している。そのような組成物は、好ましくは、少なくとも1種の酸、特には有機カルボン酸またはスルホン酸、或いはそれら酸によって加水分解される化合物を含んでおり、上記酸は、驚くべきことに、三級アミノ基が存在するにも関らず、アルジミノ基の加水分解の触媒として作用する。
【0078】
さらに具体的には、式(I)のアルジミン類または式(IX)のアルジミン類は、例えば、接着剤、シーラント、埋め込み組成物、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤など、イソシアネート基を含む一成分系または二成分系組成物の硬化剤または硬化剤の前駆体として適している。
【0079】
既に上記で述べたように、式(I)のアルジミンは、エナミノ基へと互変異性化されず、かつ特に十分に保護された(「ブロックされた」)一級アミノ基である、立体的に込み合ったアルジミノ基を含有している。イソシアネート基を有する化合物とともに、式(I)のアルジミン類は、湿分の不存在下において、貯蔵安定性に優れた、すなわち、実質的に一定の粘性を有する混合物を形成することができる。より特に貯蔵安定性に優れた混合物は、遊離の脂肪族イソシアネート基を有する化合物を含む混合物、及び/またはブロックされた芳香族イソシアネート基を有する化合物を含有する混合物であり、ここで、ブロックされたとは、例えば、フェノール基でブロックされることを示す。
【0080】
イソシネート基が芳香族基に結合される芳香族イソシアネートまたは芳香族イソシアネート基とは対照的に、イソシアネート基またはイソシアネートは、イソシアネート基が脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族基に結合されるとき「脂肪族」と称する。
【0081】
イソシアネート基を有する化合物及び式(I)のアルジミン類からなる組成物は、水と接触することによりアルジミノ基が加水分解され、ウレア基を有する化合物が得られる。
イソシアネート基は、形式的にはアルジミノ基の加水分解によって遊離した一級アミノ基と反応し、アルデヒドALDを遊離する。アルジミノ基に対して過剰に存在するイソシアネート基は湿気と直接反応して、同様にウレア基を生成する。イソシアネート基とアルジミノ基との間の化学量論が適切に選択される場合、その組成物は上記反応によって硬化し、この過程を架橋ともいう。イソシアネート基と加水分解性アルジミノ基との反応は、必ずしも遊離のアミノ基を経て起こる必要はない。もちろん、加水分解反応の中間体との反応も可能である。例えば、加水分解されるアルジミノ基がヘミアミナールの形態でイソシアネート基と直接反応することも考えられる。驚くべくことに、アルジミノ基の酸触媒加水分解は、三級アミノ基の存在下でも低減されない。
【0082】
式(I)のアルジミノ類の三級アミノ基は、イソシアネート基の反応において触媒効果を発揮することができ、それ故に架橋が促進される。この促進作用は、さらには、三級アミノ基がアルジミンのアルデヒド部位に局在している事実により促進される。しかしながら、三級アミノ基の塩基性度が比較的低いことは有利であり、これは、三級アミンが強塩基性であると、イソシアネート基の直接反応、特に水との直接反応が過度に促進されてしまい、硬化に悪影響を及ぼし得ることからである。アルジミノ基の加水分解により、三級アミノ基を含む式(IV)のアルデヒドALDが遊離する。それらの大きさが比較的小さいことから、アルデヒドALDは硬化性組成物中において極めて良好な可動性を示し、それによって、さらなるイソシアネート基に触媒効果をさらに増大させる可能性がある。硬化が完了すると、遊離したアルデヒドALDは硬化した組成物中に残存する。これらアルデヒドALDは、上記組成物中で優れた親和性を示し、放出される傾向はなく、かつ若干の可塑化効果を示すのみであり、これは多くの場合、有利である。
【0083】
また、式(I)のアルジミン類は水とともに貯蔵することも可能ではあるが、但し、アルジミン類がイソシアネート基と別々に貯蔵されることを前提条件とする。水-アルジミン混合物がイソシアネート基と接触した場合にのみ、加水分解され反応が完了する。これは、式(I)のアルジミン類とイソシアネート基との間の反応が、アルジミン類が水とともに貯蔵されるときでさえ、対応する一級アミンの反応と比較しても著しく遅いからである。
【0084】
同じように、熱の影響を受けて硬化する組成物中に、式(I)または式(IX)のアルジミン類を用いることも可能であり、例えば、熱に不安定なブロックイソシアネート基を有する化合物を用いることも可能である。さらには、反応性のウォームメルトまたはホットメルトの接着剤を含む組成物中に、式(I)または式(IX)のアルジミン類を用いることもまた可能である。そのような接着剤は、溶融性化合物、特にイソシアネート基を有する化合物を含み、これら化合物は室温で固体であり、加熱されたかまたは熱い状態で適用される。
【0085】
本発明は、さらにはアルジミノ含有化合物AVを提供し、前記アルジミノ含有化合物は、m=1である、少なくとも1種の式(I)のアルジミン、特には少なくとも1種の式(Ia)のアルジミンと、HX基との付加反応に寄与し得る、少なくとも1個の反応性基、好ましくは少なくとも2個の反応性基を有する、少なくとも1種の化合物Dとの反応より得られる付加生成物である。式(I)のアルジミンのHX基は、化合物Dの1個または複数の反応性基との付加反応で反応し、アルジミノ含有化合物AVが得られる。
【0086】
化合物Dが少なくとも2個の反応性基を含有し、かつ上記反応が化学量論的に進行するとき、すなわち、式(I)のアルジミンの活性水素1当量に対して、1当量の化合物Dの反応性基であり、それらの反応性基をすべて反応させたときに得られるアルジミノ含有化合物AVはポリアルジミンである。このようにして、ポリアルジミン類は、それらを調製するために、対応する一級ポリアミン類を用いる必要もなく容易に得ることができる。化合物D及び式(I)のアルジミンの構造、官能基、及び分子量によって、それらポリアルジミン類は非常に異なる特性を有し得るので、ある特定の適用条件に合致するように調整することが可能である。これらポリアルジミン類は、イソシアネート基を有する組成物の潜在的硬化剤としてとりわけ適している。
【0087】
式(I)のアルジミン類と化合物Dとの化学量論的反応によって、1個または複数のアルジミノ基に加えて、多重反応(poly reaction)の影響を受けやすい1個または複数の他の反応性基を有するアルジミノ含有化合物AVもまた調製可能であり、この化合物は、ヘテロ官能性化合物AVとして知られる。この場合、少なくとも2個の反応性基を含有する化合物Dの反応性基1当量に対して、1当量未満の式(I)のアルジミンの活性水素が用いられる。
化合物D自体は、ホモ官能性(homofunctional)またはヘテロ官能性(heterofunctional)であってもよい。そのようなヘテロ官能性化合物AVは、例えば、反応性ポリマー組成物のコモノマーとして潜在的硬化剤として;或いは、ヘテロ官能性化合物AVが、少なくとも1個のアルジミノ基のほかに、分子と結合するために加水分解性アルジミノ基と反応し得る少なくとも1個の反応性基を有する場合には、反応性ポリマー組成物自体としても用いることができる。これは、特にイソシアネート基をさらに有するアルジミノ含有化合物AVの場合に当てはまる。
【0088】
適した化合物Dは、付加反応に寄与し得る少なくとも1個、好ましくは1個を超える下記の反応性基を含有する物質であり、前記反応性基は、イソシアネート、イソチオシアネート、シクロカーボネート、エポキシド、エピスルフィド、アジリジン、アクリロイル、メタクリロイル、1-エチニルカルボニル、1-プロピニルカルボニル、マレイミド、シトラコンイミド、ビニル、イソプロペニル、及びアリル基からなる群から選択される。また、化合物Dは上述した反応性基以外の反応性基を有することも可能である。好ましくは、イソシアネート、エポキシド、アクリロイル、マレイミド、ビニル、イソプロペニル、及びアリル基である。とりわけ好ましくは、イソシアネート基である。
【0089】
適当な化合物Dの例として、
- 二官能性または多官能性の、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、及び芳香族ポリイソシアネートモノマー及び/またはオリゴマー。例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2,24-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシン及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート及びこれら異性体のあらゆる所望の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチ
ル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、1,3,5-トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、α,α,α’,α’,α’’,α’’-ヘキサメチル-1,3,5-メシチレントリイソシアネート、二量体及び三量体の脂肪酸イソシアネート類、例えば、3,6-ビス(9-イソシアナトノニル)-4
,5-ジ(1-ヘプテニル)シクロヘキサン(ジメリルイソシアネート)、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びこれら異性体のあらゆる所望の混合物(TDI)、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれら異性体のあらゆる所望の混合物
(MDI)、MDI及びMDI同族体の混合物(ポリマーMDIまたはPMDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホス
フェート;ウレトジオン、イソシアネート、またはイミノオキサジアジンジオン基を含む、上記イソシアネート類のオリゴマー類;エステル、ウレア、ウレタン、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、またはオキサジアジントリオン基を含有する、改質された二官能性または多官能性のイソシアネート類;ならびにイソシアネート含有ポリウレタンポリマー類、すなわち2個または複数のヒドロキシ基を有する物質(「ポリオール類」として知られる)(例えば、二官能性または多官能性アルコール類、グリコール類、またはアミノアルコール類、ポリヒドロキシ官能性ポリエーテル類、ポリエステル類、ポリアクリレート類、ポリカーボネート類、またはポリ炭化水素類、特にポリエーテル類)とポリイソシアネート類との、1個を超えるイソシアネート基を有する反応生成物;
- 二官能性または多官能性のエポキシド類(ポリエポキシド類)。例えば、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、多価の脂肪族及び脂環式アルコール(例えば、1,4-ブタンジオール、ポリプロピレングリコール、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロシクロヘキシル)プロパンなど)のポリグリシジルエーテル類;多価フェノール(例えば、レゾルシノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン)のポリグリシジルエーテル類、酸性条件下において得られる、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合化合物(例えば、フェノールノボラック類及びクレゾールノボラック類)、ならびに、これらアルコール類及びフェノール類、またはポリカルボン酸類(例えば、二量体脂肪酸)、或いはそれらの混合物によって伸長されたポリグリシジルエーテル類;多塩基カルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸など)のポリグリシジルエステル類;アミン、アミド、及び複素環窒素塩基のN-グリシジル誘導体(例えば、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N,O-トリグリシジル-4-アミノフェノール、N,N,N’,N’-テトラグリシジルビス(4-アミノフェニル)メタン、トリグリシジルシアヌレート、及びトリグリシジルイソシアヌレート);
- アクリロイル、メタクリロイル、またはアクリルアミド基を含有する、二官能性または多官能性化合物(例えば、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)シアヌレートトリ(メタ)アクリレート、N,N’,N’’-トリス(メタ)アクリロイルペルヒドロトリアジン);脂肪族ポリエーテル、ポリエステル、ノボラック、フェノール、脂肪族または脂環式アルコール、グリコール及びポリ
エステルグリコール、ならびに上述した化合物のモノ及びポリアルコキシル化された誘導体の二官能性または多官能性のアクリレート類及びメタクリレート類(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート);二官能性または多官能性の、アクリロイルまたはメタクリロイル官能性の、ポリブタジエン類、ポリイソプレン類、またはそれらのブロックコポリマー;二官能性または多官能基性エポキシド(例えば、上述したエポキシド類)と、アクリル酸及びメタクリル酸と付加体;二官能性または多官能性のポリウレタン(メタ)アクリレート類;二官能性または多官能性のアクリルアミド類(例えば、N,N’-メチレンビスアクリルアミド);
- 1-エチニルカルボニル基または1-プロピニルカルボニル基を含有する二官能性または多官能性化合物;
- マレイミド基またはシトラコンイミド基を含有する、二官能性または多官能性の化合物(例えば、脂肪族、脂環式、または芳香族の、ジ-またはポリアミン類及び無水マレイン酸または無水シトラコン酸の、ビス-及びポリ-キスマレイミド類(kismaleimides)〔例えば、α,ω-二量体脂肪酸ビス(マレイミド)、4,4’-ジフェニルメタンビス(マレイミド)、1,3-キシリレンビス(シトラコンイミド)〕;アミノ末端を有するブタジエン/アクリ
ロニトリルコポリマー〔例えば、Noveon社からHycar(登録商標)ATBNの商品名で得られる)及び無水マレイン酸または無水シトラコン酸の、ビス-及びポリキスマレイミド類〕;ジ-またはポリイソシアネートと、N-ヒドロキシエチルマレイミドとの、二官能性または多官能性の付加体;二官能性または多官能性のアルコールと、6-マレイミドヘキサン酸とのエステル類;
- ビニル基及び/またはイソプロペニル基を含有する、二官能性または多官能性化合物〔例えば、1,3-及び1,4-ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ビニルクロトネート、ジアリリデンペンタエリスリトールアセタール、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、及び1,3,5-トリイソプロペニルベンゼン、3-(2-ビニルオキシエトキシ)スチレン、ジビニルジメチルシラン、トリビニルメチルシラン、トリビニルメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、トリビニルペンタメチルトリシロキサン、4-ビニルオキシブトキシトリビニルシラン、トリス(4-ビニルオキシブトキ)シビニルシラン〕;二官能性または多官能性の、ビニル及びイソプロペニルエーテル類〔例えば、ジビニルエーテル、イソプロペニルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、オクタデカンジオールジビニルエーテル、二量体脂肪酸ジオールジビニルエーテル、及びジビニルブチラール〕;ジカルボン酸のジビニルエステル類(例えば、ジビニルアジペート);
- アリル基を含有する二官能性または多官能性化合物(例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート);アルコール類及びグリコール類ならびにこれらのモノ-及びポリアルコキシ化された誘導体の、二官能性または多官能性アリルエーテル類〔例えば、1,4-ビス(アリルオキシ)ブタン、1,6-ビス(アリルオキシ)ヘキサン、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、3,3’-ジアリルビスフェノールAジアリルエーテル、3,3’-ジアリルビスフェノールA、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリルトリアリルエーテル、ト
リメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル〕;カルボン酸類の二官能性または多官能性アリルエステル類及びアミド類〔例えば、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート及びジアリルテレフタレート、ジアリルオキサレート、ジアリルセバケート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート〕;二官能性のアリルカーボネート類〔例えば、ジアリルカーボネート、ジ-及びトリ-エチレングリコールビス(アリルカーボネート)〕;ジ-及びポリイソシアネートと、グリシドール、アリルアルコール、またはアリルグリコールとの、二官能性または多官能性付加体〔例えば、1,6-ヘキサメチレンビス(アリルカルバメート)〕;
- 二官能性または多官能性の、ヘテロ官能性化合物、すなわち、上述した少なくとも2個の反応性基を含有する化合物であり、例えば、4-アリルオキシフェニルイソシアネート、1-アルケニルイソシアネート類(例えば、ビニルイソシアネート、プロペニルイソシアネート、及びイソプロペニルイソシアネート)、2-イソシアナトエチルメタクリレート、1,2-ジメチル-3-イソシアナトプロピルアクリレート、p-イソシアナトスチレン、m-及びp-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート(m-及びp-TMI)、m-及びp-エテニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、イソプロペニル-α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、グリシジルアリルエーテル、グリシドキシトリビ
ニルシラン、トリグリシドキシビニルシラン、N-(トリビニルシリルオキシメチル)マレイミド;ジ-及びポリイソシアネートと、グリシドール、アリルアルコール、アリルグリコール、N-ヒドロキシエチルマレイミド、ヒドロキシ官能性アクリレート及びメタクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリレート)とのヘテロ官能性付加体;ジ-及びポリイソシアネートのモノ-及びポリカルボジイミドと、アクリル酸またはメタクリル酸とのヘテロ官能性付加体;二官能性または多官能性のエポキシドと、アクリル酸またはメタクリル酸、ビニルアリルエーテル、エチレングリコールビニルアリルエーテル、ビニルアリルフタレート、エチレングリコール-2-アリルフェニルビニルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、ビニルアクリレート、2-ビニルオキシエチル(メタ)アクリレートとのヘテロ官能性付加体;
が挙げられる。
【0090】
特に適した化合物Dは、二官能性または多官能性の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族イソシアネート類、例えば、上述したポリイソシアネートモノマー及びオリゴマーであり、ならびにポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であり、前記反応生成物は1個を越えるイソシアネート基を有しており、特に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカルボネートポリオール、ポリ炭化水素ポリオール、及びこれらポリオール類の混合物である。
【0091】
化合物Dの反応性基及び活性水素を含有する式(I)のアルジミンの基次第で、アルジミノ含有化合物AVを得る付加反応は、求核的に、またはフリーラジカルによって起こり得る。簡単にするために、本明細書において用語「付加反応」は、例えば、エポキシドと求核剤によって起こる開環置換反応も含み、なぜなら、別の分子として求核剤を遊離しないそのような置換反応の結果は、付加反応と等価だからである。活性水素を有するアルジミンの反応性基が化合物Dの求電子反応性基を攻撃することによって求核剤として作用する場合、例えば、アミノ基またはヒドロキシル基がイソシアネート基を攻撃する場合は、この付加反応は求核的に進行する。フリーラジカル付加反応の一例として、アクリレート基へのメルカプト基の反応が挙げられ、フリーラジカル開始剤がこの種の付加反応には通常必要とされる。
【0092】
アルジミノ含有化合物AVを得るための式(I)のアルジミンと化合物Dとの間の反応は、それぞれの反応に関与する反応性基の間の反応に通常用いられる公知の条件下で行われ、例えば、20〜100℃で行われる。この反応は、溶媒を用いて、または好ましくは溶媒の不存在下で行われる。適切な場合には、補助剤、例えば、触媒、開始剤、または安定化剤などを用いることができる。アミノアルジミンの場合には、イソシアネートとの反応は、室温で行い、かつ触媒を用いることなく行うことが好ましく、ヒドロキシ-、メルカプト-、及びウレアアルジミンの場合には、40〜100℃で、イソシアネートとアルコールとの間のウレタン化反応に用いられる触媒、例えば、有機錫化合物、ビスマス錯体、三級アミン化合物、またはそのような触媒の組み合わせを用いて行うことが好ましい。
【0093】
上記記載の方法で得られるアルジミノ含有化合物AVは、式(I)のアルジミン類と同様、実質的にまたは完全に無臭である。それらは、適切な条件下において、特に湿分の不存在下では貯蔵安定性を示す。アルジミノ基に加えて多重反応に利用可能なさらなる反応性基を含むヘテロ官能性アルジミノ含有化合物AVは、例えば、熱またはUV照射などの、これらの反応性基の反応を誘発する因子から遠ざけられている場合は、貯蔵安定性を示す。
【0094】
湿分の侵入により、アルジミノ含有化合物AVのアルジミノ基が中間体を経て形式上アミノ基に加水分解され、このアルジミンの調製のために用いられ、かつ実質的にまたは完全に無臭である対応する式(IV)のアルデヒドALDが遊離する。この加水分解反応は可逆であり、化学平衡は実質的にアルジミン側にあるので、アミンに対する反応性の基の不存在下では、アルジミノ基のわずかにいくらかだけしか部分的又は完全に加水分解を受ないことが予測される。アミンに対して反応性を有する基、特にイソシアネート基を含むヘテロ官能性アルジミノ含有化合物AVの特別な場合には、加水分解されるアルジミノ基は一方で、例えばさらにイソシアネート基と反応して、ウレア基を与える。この場合には、ヘテロ官能性アルジミノ含有化合物AVの架橋であり、これはさらなる物質の関与なしに硬化性ポリマー組成物を直接得ることもできる。アミンに対して反応性を有する基と加水分解性アルジミノ基との反応は、必ずしもアミノ基を経て起こる必要はない。もちろん、加水分解反応の中間体との反応も可能である。例えば、ヘミアミナールの形態の加水分解中のアルジミノ基が、アミンに対して反応性の基と直接反応することが考えられる。
【0095】
アルジミノ含有化合物AVは、例えば、カチオン性アルジミノ含有化合物の原料として用いることができ、これは、三級アミノ基の一部または全部をプロトン化することによりアンモニウム基を与えるか、或いは三級アミノ基の一部または全部をアルキル化することにより四級アンモニウム基が与えられる。
【0096】
アルジミノ含有化合物AVの好適な実施形態は、式(X):
【化19】
のアルジミノ含有化合物AV1であり、式中、
uは、0、1、2、3、4、または5であり、
vは、1、2、3、4、5、または6であり、
但し、(u+v)は、2、3、4、5、または6であるものとし;
Qは、全てのイソシアネート基が除去された、(u+v)個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート基であり;
A1、X1、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ上記定義したとおりである。
【0097】
式(X)のアルジミノ含有化合物AV1は、少なくとも1種の、式(XI):
【化20】
のポリイソシアネートと、少なくとも1種の、上述した式(Ia):
【化21】
の、活性水素を1個のみ有するアルジミンとの反応により得ることができる。式(XI)において、Q、u、及びvはそれぞれ上記定義したとおりである。
【0098】
1つの実施形態において、適当な式(XI)のポリイソシアネートは、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである。
【0099】
本願明細書において、用語「ポリマー」は、第一に、化学的に均質な高分子の集合体であるが、重合度、分子質量、及び鎖長に関しては異なっており、かつ多重反応(重合、重付加、重縮合)によって調製されたものを包含する。第二に、この用語は、多重反応からの高分子に係る集合体の誘導体、すなわち、例えば、既存の高分子上の官能基の付加反応または置換反応によって得られ、かつ化学的に均質または不均質であってもよい化合物をも包含する。さらにこの用語は、プレポリマーとして知られる物質、すなわち、反応性のオリゴマー状予備付加体であってその官能基が高分子の構成に関与するものも包含する。
【0100】
用語「ポリウレタンポリマー」は、ジイソシアネートの重付加法として知られる手法によって調製されるすべてのポリマーを包含する。この用語は、実質的に、或いは完全にウレタン基を含まないポリマーを包含する。ポリウレタンポリマー類の例として、ポリエーテルポリウレタン類、ポリエステルポリウレタン類、ポリエーテルポリウレア類、ポリウレア類、ポリエステルポリウレア類、ポリイソシアヌラート類、及びポリカルボジイミド類が挙げられる。
【0101】
イソシアネート基を有する適切なポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって得られる。
【0102】
ポリウレタンポリマーPUPの調製に用いることができるポリオール類には、例えば、以下のポリオール類またはそれらの混合物がある:
- ポリエーテルポリオール類、ポリオキシアルキレンポリオールまたはオリゴエーテロール(oligoetherols)とも呼ばれ、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-または2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物の重合生成物であり、任意選択で、開始剤を用いて重合されてもよく、開始剤分子は、例えば、水、アンモニア、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘプタンジオール類、オクタンジオール類、ノナンジオール類、デカンジオール類、ウンデカンジオール類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及び上記の化合物の混合物である。例えば、ダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて調製された、低い不飽和度〔ASTM D-2849-69に準拠して測定され、ポリオール1g当たりの不飽和のミリ当量で記録される(meq/g)〕を有するポリオキシアルキレンポリオール、或いは、例えば、NaOH、KOH、CsOH、またはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン触媒を用いて調製される、より高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールのいずれかを用いることができる。
【0103】
特に適したポリエーテルポリオール類は、ポリオキシアルキレンジオール及びトリオールであり、とりわけポリオキシアルキレンジオールである。特に適しているポリオキシアルキレンジオール及びトリオール類は、ポリオキシエチレンジオール及びトリオール、並びにポリオキシプロピレンジオール及びトリオールである。
【0104】
特に適しているポリオキシプロピレンジオール及びポリオキシプロピレントリオールは、0.02meq/g未満の不飽和度を有し、かつ1,000〜30,000g/molの範囲の分子量を有するものであり、400〜8,000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールもまた適当である。本明細書中において、「分子量」または「モル質量」とは、平均分子量Mnを意味するものとして常に理解される。特に適しているのは、0.02meq/g未満の不飽和度を有し、かつ1,000〜12,000g/molの範囲、特に1,000〜8,000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオールである。このようなポリエーテルポリオール類は、例えばBayer社よりAcclaim(登録商標)の商標名で販売されている。
【0105】
同様に、いわゆる「EOでエンドキャップされた」(エチレンオキシドでエンドキャップされた)ポリオキシプロピレンジオール及びトリオールが特に適している。後者は、例えば純粋なポリオキシプロピレンポリオールを、ポリプロポキシル化反応の終了後にエチレンオキシドとアルコキシル化することにより得られ、結果的には一級ヒドロキシル基を有する、特定のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
- スチレン-アクリロニトリル-またはアクリロニトリル-メチルメタクリレート-グラフト化ポリエーテルポリオール類。
- ポリエステルポリオール類、オリゴエステロール(oligoesterols)として知られる。
これらは既知の方法により調製され、とりわけ、ヒドロキシカルボン酸類の重縮合、或いは、脂肪族及び/または芳香族ポリカルボン酸類と二価または多価アルコール類との重縮合により調製される。
【0106】
特に適したポリエステルポリオール類は、二価または三価アルコール、特に二価のアルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、二量体脂肪酸ジオール(二量体ジオール)、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、または前述のアルコール類の混合物)と、有機ジカルボン酸またはトリカルボン酸、或いはそれらの無水物またはエステル類(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタラート、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸、及びトリメリト酸無水物、または前述の酸類などの混合物)、ラクトン(例えば、ε-カプロラクトン)から生成されるポリエステルポリオール類、及び前述の二価または三価のアルコール類などの開始剤とから調製されるポリエステルポリオール類である。
【0107】
特に適しているポリエステルポリオール類は、ポリエステルジオールである。
- ポリカーボネートポリオール。例えば、上記アルコール(ポリエステルポリオールを合成するのに使用されたもの)と、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネートなど)、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネートなど)、またはホスゲンとの反応で得られる。
【0108】
特に適している物質は、ポリカーボネートジオールである。
- ブロックコポリマー。少なくとも2個の水酸基を有し、上記タイプのポリエーテル、ポリエステル、及び/またはポリカーボネート構造を有する少なくとも2つの異なるブロックを有する。
- ポリアクリラートポリオール及びポリメタクリラートポリオール。
- ポリヒドロキシ官能性脂肪及びオイル類(例えば、天然脂肪及び油、特にヒマシ油);または「オレオケミカルポリオール」と呼ばれ、天然脂肪及びオイルの化学的変性によって得られるポリオール類(例えば、不飽和オイルのエポキシ化、及びその後のカルボン酸またはアルコールを用いた開環によって得られるエポキシポリエステルまたはエポキシポリエーテル、或いは不飽和オイルのヒドロホルミル化及び水素化によって得られるポリオール);または、アルコール分解もしくはオゾン分解などの分解工程と、そうして得られた分解生成物またはその誘導体の例えばエステル交換または二量化による化学結合反応によって、天然脂肪及びオイルから得られるポリオール類。天然脂肪及びオイルの好適な分解生成物は、特に、脂肪酸及び脂肪アルコール及び脂肪酸エステル、特にそのメチルエステル(FAME)(これは、例えば、ヒドロホルミル化及び水素化によって誘導体化されてヒドロキシ脂肪酸エステルを生成することができる)である。
- ポリハイドロカーボンポリオール類、オリゴハイドロカーボノール(oligohydrocarbonol)とも呼ばれ、例えば、ポリヒドロキシ官能性のポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン;ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、またはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー(例えば、Kraton Polymers社によって製造されているもの);特にアニオン重合から調製することができるジエン、特に1,3-ブタジエンのポリヒドロキシ官能性ポリマー;1,3-ブタジエンなどのジエン、またはジエン混合物と、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、イソブチレンおよびイソプレンなどのビニルモノマーのポリヒドロキシ官能性コポリマーであって、例えば、カルボキシル末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Noveon社よりHycar(登録商標)CTBNという商品名で市販されている)と、エポキシドまたはアミノアルコールから製造することができるポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、ならびにさらに、ジエンの水素化ポリヒドロキシ官能性ポリマーまたはコポリマーがある。
【0109】
これら上記のポリオール類は、好ましくは250〜30,000g/mol、特に1,000〜30,000g/molの平均分子量を有し、好ましくは1.6〜3の範囲で平均OH官能価を有する。
【0110】
これら上記のポリオール類に加えて、低分子量の二価または多価のアルコール類、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘプタンジオール類、オクタンジオール類、ノナンジオール類、デカンジオール類、ウンデカンジオール類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量体の脂肪アルコール類(例えば、二量体脂肪酸ジオール)、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、上記の二価または多価アルコール類の低分子アルコキシ化合物、及び上記アルコール類の混合物をさらに、ポリウレタンポリマーPUPの調製の際に少量用いてもよい。
【0111】
ポリウレタンポリマーPUPを調製するのに使用されるポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、または芳香族ポリイソシアネート、特に、例えば以下に示すジイソシアネートとすることができる。
- 脂肪族ジイソシアネートモノマー。例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート及びその異性体のあらゆる所望の混合物、1-メチル-2,4-及び-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン及びその異性体のあらゆる所望の混合物(HTDIまたはH6TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIまたはH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシア
ナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン。
- 芳香族ジイソシアネートモノマー。例えば、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びその異性体のあらゆる所望の混合物(TDI)、4,4’-、2,4’-、及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びその異性体のあらゆる所望の混合物(MDI)、1,3-及び1,4-
フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)。
- 前述の脂肪族または芳香族ジイソシアネートモノマーのオリゴマー及びポリマー。
- 前述のポリイソシアネート類のあらゆる所望の混合物。
【0112】
好ましくは、特にMDI、TDI、HDI、及びIPDIのジイソシアネートモノマーである。
【0113】
ポリウレタンポリマーPUPは、ポリイソシアネート及びポリオールから直接既知の方法で調製されるか、或いは、鎖延長反応としても知られる、段階的付加反応によって調製される。
【0114】
好適な実施形態では、ポリウレタンポリマーPUPは、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールとの反応から調製され、そこでイソシアネート基はヒドロキシ基に対して化学量論的過剰に存在する。有利には、イソシアネート基とヒドロキシ基との比は1.3〜5、特に1.5〜3である。
【0115】
この反応は、使用するポリオール及びポリイソシアネート、ならびに生成するポリウレタンポリマーが液体の形態で存在する温度で行われることが好ましい。
【0116】
ポリウレタンポリマーPUPは、好ましくは500g/mol以上の分子量、特に、1,000〜50,000g/molの分子量、好ましくは、2,000〜30,000g/molの分子量を有する。
【0117】
さらには、ポリウレタンPUPは1.8〜3の範囲の平均官能基数を有することが好ましい。
【0118】
さらなる実施形態では、式(Ia)のアルジミンとの反応に適した式(XI)のポリイソシアネートは、ジイソシアネートモノマー、ジイソシアネートモノマーのオリゴマー、またはジイソシアネートモノマーの誘導体の形態のポリイソシアネートPIであり、ここで、適したジイソシアネートは、ポリウレタンポリマーPUPの調製において適切であると上記特定したジイソシアネート単量体と同じである。
【0119】
適したポリイソシアネートPIは、具体的には、ジイソシアネートモノマー、特に、HDI、IPDI、TDI、及びMDIのオリゴマーまたは誘導体である。市販されている種類は、特に、HDIビウレット〔例えば、Desmodur(登録商標)N 100及びN 3200(Bayer社製)、Tolonate(登録商標)HDB及びHDB-LV(Rhodia社製)、及びDuranate(登録商標)24A-100(旭化成製)〕;HDIイソシアヌラート〔例えば、Desmodur(登録商標)N 3300、N 3600、及びN 3790 BA(すべてBayer社製)、Tolonate(登録商標)HDT、HDT-LV、及びHDT-LV2(Rhodia社製)、Duranate(登録商標)TPA-100及びTHA-100(旭化成製)、並びにCoronate(登録商標)HX(日本ポリウレタン工業製)〕;HDIウレトジオン〔例えば、Desmodur(登録商標)N 3400(Bayer社製)〕;HDIイミノオキサジアジンジオン〔例えば、Desmodur(登録商標)XP 2410(Bayer社製)〕;HDIアロファネート〔例えば、Desmodur(登録商標)VP LS 2102(Bayer社製)〕;IPDIイソシアヌレート〔例えば、Desmodur(登録商標)Z 4470(Bayer社製)のような溶液として、またはVestanat(登録商標)T1890/100(Degussa社製)のような固体形態として〕;TDIオリゴマー〔例えば、Desmodur(登録商標)IL(Bayer社製)〕;TDI/HDI由来の混合イソシアヌレート〔例えば、Desmodur(登録商標)HL(Bayer社製)〕である。さらにとりわけ適したポリイソシアネートは、室温において液体形態であるMDI(「変性MDI」として知られている)であり、これは、MDIと、MDI誘導体、例えば、MDIカルボジイミドまたはMDIウレトンイミンまたはMDIウレタン〔例えば、Desmodur(登録商標)CD、Desmodur(登録商標)PF、Desmodur(登録商標)PC(以上、Bayer社製)などの商標名として知られる〕の混合物、並びにMDI及びMDI類縁体(ポリマーMDIまたはPMDI)の混合物〔例えば、Desmodur(登録商標)VL、VL50、VL R10、VL R20、及びDesmodur(登録商標)VKS 20F(以上、Bayer社製)、Isonate(登録商標)M 309、Voranate(登録商標)M 229、Voranate(登録商標)M 580(以上、Dow社製)、またはLupranat(登録商標)M 10 R(BASF社製)の商標名で入手可能〕である。
【0120】
好適なポリイソシアネートPIは、HDI及び/またはIPDIのオリゴマーであり、特に、イソシアヌレート類である。
【0121】
上記のオリゴマーポリイソシアネートPIは、一般的には異なるオリゴマー化度及び/または化学構造を有する物質の混合物である。これらは、好ましくは、2.1〜4.0の平均NCO官能度を有しており、特に、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ウレトジオン、ウレタン、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、またはオキサジアジントリオン基を含有する。これらのオリゴマー類は、ジイソシアネートモノマーを低含量有していることが好ましい。
【0122】
同様に、式(Ia)のアルジミンとの反応に適した式(XI)のポリイソシアネートは、少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUP及び少なくとも1種のポリイソシアネートPIを含む混合物であってもよい。
【0123】
式(X)のアルジミノ含有化合物AV1を調製するためには、少なくとも1種の式(XI)のポリイソシアネートを少なくとも1種の式(Ia)のアルジミンと反応させる。この目的に適当なものは、上記記載の式(Ia)のアルジミン類であるか、或いは上記詳細に説明したとおり、それらの好適な実施形態である。
【0124】
式(X)のアルジミノ含有化合物AV1を与えるための式(XI)のポリイソシアネートと式(Ia)のアルジミンとの反応は、上述したとおり、それぞれの反応に関与する反応性基の間の反応に典型的に用いられる条件下で実施される。
【0125】
この付加反応が化学量論的に、すなわち式(XI)のポリイソシアネートのイソシアネート基1モル当量あたり、式(Ia)のアルジミンの活性水素1モル当量の割合で実施され、その結果、その反応性基が完全に反応するとき、得られる付加生成物は、指数uが0である式(X)のアルジミノ含有化合物AV1である。そのような化合物AV1はポリアルジミンである。
【0126】
その一方で、この付加反応が過小化学量論的(substoichiometrically)に、すなわち式(XI)のポリイソシアネートのイソシアネート基1モル当量あたり、式(Ia)のアルジミンの活性水素1モル当量未満の割合で実施され、その結果、イソシアネート基の一部のみが反応する場合は、得られる付加生成物は、ヘテロ官能性の化合物、すなわち1個または複数のアルジミノ基の他に、少なくとも1個のイソシアネート基もまた有する式(X)のアルジミノ含有化合物AV1である。この場合、式(X)の指数uは0より大きい。
【0127】
イソシアネート基を有する式(X)のアルジミノ含有化合物AV1、すなわち式(X)中の指数uが0より大きい化合物は、貯蔵安定性のため、単独で脂肪族イソシアネート基を有する式(XI)のポリイソシアネートから手順で調製されることが好ましい。
【0128】
式(X)のアルジミノ含有化合物AV1は、適当な条件下、特に湿分の不在下で貯蔵安定性を示す。
【0129】
ポリウレタンポリマーPUPと式(Ia)のアルジミンとの過小化学量論的な反応において、HX基はポリウレタンポリマーPUPに典型的に存在するジイソシアネートモノマーと好適に反応する。これによって、ポリウレタンポリマーPUP中のジイソシアネート単量体の含量は大幅に減少する。
【0130】
アルジミノ含有化合物AVのさらなる好適な実施形態は、式(XII):
【化22】
のアルジミノ含有化合物AV2であり、式中、
A3は活性水素または一級アミノ基を有しておらず、かつ
2〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、二価の炭化水素基、または、
R12と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、三価の炭化水素基
のいずれかであり;
X3は、O、S、N-R11、またはN-R12であり、
ここで、R12は、A3と一緒になって、3〜20個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1個のヘテロ原子、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態でヘテロ原子を含む、三価の炭化水素基であり;
Q、u、v、R1、R2、R3、R4、R5、R10、及びR11はそれぞれ上記定義のとおりである。
【0131】
1つの実施形態では、式(XII)のアルジミノ含有化合物AV2は、式(X)のアルジミノ含有化合物AV1をプロトン化またはアルキル化することにより得ることができる。プロトン化またはアルキル化のためには、上述した式(IX)のアルジミン類の調製において用いられる同様のブレンステッド酸またはアルキル化剤を用いることができる。
【0132】
さらなる実施形態では、式(XII)のアルジミノ含有化合物AV2は、m=1及びn=1である式(IX)のアルジミンを、上記特定した式(XI)のポリイソシアネートと反応させることにより得ることができる。
【0133】
さらには、本発明はポリウレタン組成物とも称する、硬化性組成物もまた提供し、前記組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の式(I)もしくは式(IX)のアルジミンまたは少なくとも1種のアルジミノ含有化合物AVとを含んでいる。
【0134】
本明細書において、用語「ポリイソシアネート」とは、ジイソシアネートモノマー、ポリイソシアネートオリゴマー、またはイソシアネート基を含有し、比較的大きい分子量を有するポリマーであるか問わず、2個または複数のイソシアネート基を有する化合物を包含する。
【0135】
適当な式(I)のアルジミン類は、上記詳細に説明したとおりの式(I)のアルジミン、またはそれらの好適な実施形態であり、特に式(Ia)のアルジミンまたは式(Ib)のアルジミンである。適当な式(IX)のアルジミン類は、上記記載のとおりである。適当なアルジミノ含有化合物AVは、上記詳細に説明したとおりのアルジミノ含有化合物AV、またはそれらの好適な実施形態であり、特に、式(X)のアルジミノ含有化合物AV1である。とりわけ適当なアルジミノ含有化合物AV1は指数uが0である化合物、すなわちポリアルジミンである。
【0136】
式(I)のとりわけ適当なアルジミン類は、さらには、比較的低い塩基性度を有するアルデヒドALDから得られるアルジミンである。これらは同様に比較的低い塩基性度を有するアミンC、例えば、特にはモルホリン及びN-アルキルベンジルアミン由来の生成物である。比較的低い塩基性度を有するアルデヒドALDは、特に、2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-(2,6-ジメチル)モルホリノ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルメチルアミノ)プロパナール、及び2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルイソプロピルアミノ)プロパナールである。
【0137】
好ましくは、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の式(I)のアルジミンまたは少なくとも1種のアルジミノ含有化合物AVのいずれかとを含む硬化性組成物である。
【0138】
1つの実施形態では、硬化性組成物は1つの成分を有する。
【0139】
本明細書において、「一成分系」組成物は、組成物のすべての構成成分が同じ容器中に混合されて保存され、室温で長期にわたって保存安定性、すなわち、貯蔵によって、それらの性能及び使用特性が、例えあったとしても、わずかに変化するに過ぎない特性を備え、かつ適用後、湿気及び/または熱の作用によって硬化する硬化性組成物を示す。
【0140】
一成分系硬化性組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートを含む。それらのイソシアネート基は、遊離のイソシアネート基またはブロックされたイソシアネート基のいずれか、或いは混合された形態の組成物として存在し得る。
【0141】
本明細書において、「ブロックイソシアネート基」とは、室温において適当な硬化剤と一緒に存在しても貯蔵安定性に優れ、これら硬化剤とは熱及び/または湿分の作用下でのみ反応が開始される程度にまで反応性が低減されたイソシアネート基を意味し、これは、上述した遊離のイソシアネート基と既知のブロック化剤(例えば、フェノール、ケトオキシム、ピラゾール、またはマロン酸ジエステル)との反応によるものであり、ブロッキング剤はその種類によって放出されるか、或いは放出されない。
【0142】
一成分系硬化性組成物は、湿気硬化性であっても、熱硬化性であってもよい。
【0143】
本明細書において、「熱硬化性組成物」とは、ブロックイソシアネート基を含む組成物を意味すると理解され、そこで、イソシアネート基は、適切な温度に加熱する過程において、典型的には120〜200℃の範囲、特別な場合には80℃からの温度でさえ、架橋し、それ故に適当な硬化剤によって硬化されるように活性化される。この工程は焼成ともいわれ、典型的には組成物の適用後に達成される。
【0144】
一成分系湿気硬化性組成物中のポリイソシアネートのイソシアネート基は、遊離イソシアネート基として、特には、遊離の脂肪族イソシアネート基として存在することが好ましい。
【0145】
一成分系硬化性組成物では、アルジミノ基とイソシアネート基との比は、イソシアネート基1当量に対して、特に0.1〜1.1、好ましくは0.3〜0.9、より好ましくは0.4〜0.8当量のアルジミノ基であり、イソシアネート基は遊離の形態或いはブロックされた形態で存在してもよい。
【0146】
好適な一成分系硬化性組成物は、脂肪族イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートP1と、少なくとも1種の式(I)のアルジミンまたは少なくとも1種のアルジミノ含有化合物AVのいずれか一方とを含む一成分系硬化性組成物である。
【0147】
適したポリイソシアネートP1は、第一に、脂肪族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUP1である。ポリウレタンポリマーPUP1は、ポリウレタンポリマーPUPで記載したとおり、ポリオール及びポリイソシアネートからこの方法で得ることができる。適したポリオール類は既に記載のとおりであり、適したポリイソシアネート類は、既に述べた脂肪族ポリイソシアネート類であり、好ましくは、脂肪族ジイソシアネートモノマー、特にIPDI、HDI、TMDI、及びHMDIである。
【0148】
適したポリイソシアネートP1は、第二に、既に記載のとおり、脂肪族ジイソシアネートモノマーまたはそのオリゴマーの形態であり、特にはHDIまたはIPDIのオリゴマーである。
【0149】
さらに適したポリイソシアネートP1は、少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUP1及び少なくとも1種のポリイソシアネートPI1を含む混合物である。
【0150】
一成分系湿気硬化性組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートP1に加えて、少なくとも1種の式(I)のアルジミンまたは少なくとも1種のアルジミノ含有化合物AVのいずれかをさらに含んでいる。好適な式(I)のアルジミン類は、式(Ib)のアルジミンであり、好適なアルジミノ含有化合物AVは、式(X)のアルジミノ含有化合物AV1である。式(X)のアルジミノ含有化合物AV1は、組成物中でin situで生成することも可能であり、適切な化学量論量の式(Ia)のアルジミンを、少なくとも1種のポリイソシアネートP1を含む組成物に添加し、アルジミノ含有化合物AV1は上述した方法で生成する。これにより、ポリイソシアネートP1の一部が式(XI)のポリイソシアネートとしてアルジミノ含有化合物AV1中に組み込まれる。
【0151】
場合によって、一成分系湿気硬化性組成物は、さらなる構成成分を含んでもよく、特にはポリウレタン組成物中に典型的に用いられる補助剤及び添加剤であり、例えば、以下の成分が挙げられる:
- 可塑剤。例として、カルボン酸エステル類〔例えば、フタラート類(例えば、ジオクチルフタラート、ジイソノニルフタラート、またはジイソデシルフタラート)、アジパート類(例えば、ジオクチルアジパート)、アゼラート類及びセバカート類〕、有機リン酸エステル類及び有機スルホン酸エステル類、またはポリブテン類;
- 非反応性熱可塑性ポリマー。例として、不飽和モノマーのホモポリマーまたはコポリマーであり、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル、及びアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択され、特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、及びアタクティックポリ-α-オレフィン類(APAOs);
- 溶媒;
- 無機及び有機フィラー。例として、粉砕または沈降の炭酸カルシウム(任意に、脂肪酸、特にステアレートで被覆されているもの)、バライト(barite)(BaSO4、重晶石とも知られている)、微粉砕石英、焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ(特に、熱分解工程からの高分散シリカ)、カーボンブラック(特に、工業的に生産されたカーボンブラック;これ以降、「カーボンブラック」と称する)、PVC粉末、または中空ビーズ;
- 線維。例えば、ポリエチレン;
- 顔料。例えば、二酸化チタンまたは酸化鉄;
- アルジミノ基の加水分解を促進する触媒。特に酸であり、例えば、有機カルボン酸類(例えば、安息香酸、サリチル酸、または2-ニトロ安息香酸)、有機カルボン酸無水物類(例えば、無水フタル酸、または無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロメチルフタル酸)、有機カルボン酸のシリルエステル類、有機スルホン酸類(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、または4-ドデシルベンゼンスルホン酸)、スルホン酸エステル類、その他の有機または無機酸類、或いは上述した酸及び酸エステルの混合物。
- イソシアネート基の反応を促進する触媒。例として、有機錫化合物(例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジアセチルアセトネート、及びジオクチル錫ジラウレート)、ビスマス化合物〔例えば、ビスマストリオクトエート及びビスマストリス(ネオデカノエート)〕、及び三級アミンを含む化合物(例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン);
- レオロジー改質剤。例として、増粘剤またはチキソ性付与剤(例えば、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、またはヒュームドシリカ);。
- 反応性希釈剤および架橋剤。例として、ジイソシアネートモノマー、例えば、MDI、PMDI、TDI、HDI、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-または1,4-ジイソシアネート、IDPI、ペルヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-及び1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、及びそれらポリイソシアネ
ートのオリゴマー及び誘導体、特に、イソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、ビウレット、アロファネート、またはイミノオキサジアジンジオンの形態、ポリイソシアネート単量体と短鎖のポリオールとの付加体、ならびにアジピン酸ジヒドラジド及びその他のジヒドラジド、ならびにブロックされた芳香族イソシアネート基を有するポリイソシアネート類〔例えば、Desmocap(登録商標)製品11、12、及びXP 2540(以上、Bayer社製)及びTrixene(登録商標)製品BI 7641、BI 7642、BI 7770、BI 7771、BI 7772、BI 7774、及びBI 7779(以上、Baxenden社製)〕;
- ブロックアミン類。例えば、ケチミン類、オキサゾリジン類、エナミン類、またはその他のアルジミン類の形態として;
- 乾燥剤。例として、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、高反応性ジイソシアネート類(例えば、p-トシルイソシアネート)、オルトギ酸エステル類、アルコキシシラン類(例えば、ビニルトリメトキシシラン)、ケイ素基のα位に官能基を有する有機アルコキシシラン類;
- 接着促進剤。特に、有機アルコキシシラン類(「シラン類」)。例えば、エポキシシラン類、ビニルシラン類、(メタ)アクリルシラン類、イソシアナトシラン類、カルバメートシラン類、アルキルシラン類、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン類、及びアルジミノシラン類、ならびにこれらシラン類のオリゴマー形態;
- 熱、光、及びUV放射に対する安定剤;
- 難燃剤;
- 界面活性剤。例として、湿潤剤、平滑剤、液化剤、または脱泡剤;
- 殺生物剤。例えば、殺藻剤、殺真菌剤、または真菌増殖阻害剤。
【0152】
そのような追加的な成分を用いる場合、それらが本組成物の貯蔵安定性に悪影響を及ぼさないことを確実にすることが好都合である。これは、上記構成成分が、貯蔵時に、アルジミンの加水分解またはイソシアネート基の架橋などの架橋をもたらす反応を、どのような顕著な程度でも引き起こしてはならないこと意味する。より具体的には、上記構成成分の全ては、存在するのであれば、多くても微量の水しか含まないべきであることを意味する。特定の構成成分を、組成物中に混合する前に、当該添加剤の化学的または物理的な乾燥を実施することが賢明であろう。
【0153】
一成分系湿気硬化性組成物は、少なくとも1種の触媒を含むことが好ましい。この触媒は、特に、上述した酸類(例えば、安息香酸またはサリチル酸)、または上述した金属化合物の1種、または上述した三級アミン類の1種である。異なる触媒または異なる種類の触媒を用いることも有利となり得る。
【0154】
一成分系湿気硬化性組成物は、湿気の不存在下で製造され、かつ貯蔵される。前記組成物は貯蔵安定性を有しており、すなわち、該組成物を、例えば数ヶ月の期間、適当なパックまたはアレンジメント(例えば、ドラム、バケット(bucket)、パウチ、カートリッジ、または瓶)中でその適用特性またはその硬化後の特性をその作業に関連する程度には変えることなく、湿気の不存在下で貯蔵できる。組成物のコンシステンシーに応じて、粘度の測定によって貯蔵安定性を測定することが通例である。
【0155】
式(I)のアルジミン及び/またはアルジミノ含有化合物AVのアルジミノ基は、湿気と接触することで加水分解される特性を有している。これにより形式上遊離した一級アミノ基は、同時に、組成物中に存在するイソシアネート基と反応してウレア基を生成し、対応する式(IV)のアルデヒドALDが遊離する。アルジミノ基に対して過剰に存在するイソシアネート基は、湿気と直接反応して、同様にウレア基を生成する。存在するどのブロックイソシアネート基も、一般的にはブロック化剤を放出して反応し、同様にウレア基を生成し、この反応は熱に曝しただけでも起こり得る。上記反応によって、組成物は固体材料へと硬化し;この過程を架橋ともいう。このイソシアネート基と加水分解性アルジミンとの反応は、遊離のアミノ基を経て起こる必要は必ずしもない。もちろん、加水分解反応の中間体との反応も可能である。例えば、加水分解されるアルジミノ基がヘミアミナールの形態でイソシアネート基と直接反応することも考えられる。
【0156】
硬化反応に必要な水は、空気中から来てもよく(大気中の湿気)、或いは、例えばスプレーすることによって、本組成物を含水成分と接触させてもよく、或いは含水成分を適用時に組成物に添加してもよい。
【0157】
一成分系湿気硬化性組成物は、通常、気泡が形成されることなく硬化する。硬化速度は、存在し得る1種または複数の触媒の種類及び量により、硬化工程の温度により、また、大気中の湿度または添加した水の量により、影響を受け得る。
【0158】
さらなる実施形態では、硬化性組成物は2種の成分を有しており、少なくとも1種のポリイソシアネートP2と、少なくとも1種の式(I)のアルジミンまたは少なくとも1種のアルジミノ含有化合物AVのいずれかとを含む。
【0159】
本明細書中において、「二成分系」組成物は、組成物の成分が、2種の別々の成分として存在する硬化性組成物であって、それら成分は別々の容器に貯蔵され、かつそれぞれが貯蔵安定性を有する組成物を意味すると理解される。ここで2種の成分は、成分K1及び成分K2である。組成物を適用する直前または適用中に、2種の成分は互いに混合され、次いで混合された組成物は硬化し、ある状況下では、この硬化は、湿気及び/または熱の作用がする場合にのみ進行または完了する。
【0160】
式(I)のアルジミンまたはアルジミノ含有化合物AVは、成分K1の一構成要素、または成分K2の一構成要素、或いはK1及びK2両成分の構成要素であってよい。
【0161】
二成分系ポリウレタン組成物の成分K1は、ポリイソシアネートとして少なくとも1種のポリイソシアネートP2を含有する。
【0162】
適したポリイソシアネートP2は、ジイソシアネートモノマーの形態、またはジイソシアネートモノマーのオリゴマーの形態、またはジイソシアネートモノマーの誘導体の形態の、ポリイソシアネートPI2である。適当なPI2は上述したポリイソシアネートPIであり、好ましくは、IPDI、HDI、及びTDIオリゴマーの工業用形態であり、特に、PMDI及び室温において液体形態であるMDIである。
【0163】
さらなる適したポリイソシアネートP2は、上記記載のポリウレタンポリマーPUPである。
【0164】
適したポリイソシアネートP2はまた、ポリウレタンポリマーPUP及びポリイソシアネートPI2の混合物でもあり、特に、少なくとも1種のMDI由来のポリウレタンポリマーPUPと、少なくとも1種のMDIモノマー及び/またはポリマーとの混合物である。
【0165】
ポリイソシアネートP2に加えて、成分K1は、少なくとも1種の式(I)のアルジミン、または少なくとも1種のアルジミノ含有化合物AVを含んでもよい。この場合、ポリイソシアネートP2は、好ましくは脂肪族イソシアネート基を有する。しかしながら、成分K1は、式(I)のアルジミン及びアルジミノ含有化合物AVのいずれも含まないことが好ましい。
【0166】
二成分系ポリウレタン組成物の成分K2は、イソシアネート基と反応性を有する少なくとも1種の構成要素を含んでおり、特に、水、ポリアミン類、ポリオール類、アミノアルコール類、ポリチオール類、またはブロックアミン類からなる群から選択される。好ましくは、成分K2は、少なくとも1種の式(I)のアルジミンの形態、または少なくとも1種のアルジミノ含有化合物AVの形態の、少なくとも1種のブロックアミンを含む。本目的に適した化合物は、上記詳細に記載した式(I)のアルジミンまたはそれらの好適な実施形態で、特に、指数の和m+nが2または3の式(I)のアルジミン類、ならびにイソシアネート基を含有せず、かつ2または3のイソシアネート基との反応に寄与する官能基を有する、アルジミノ含有化合物AVである。とりわけ好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のアルジミン類、及び指数u=0及びv=2または3を有する、式(X)のアルジミノ含有化合物AV1である。
【0167】
成分K2中の適当なポリアミン類は、式(IIIb)のアミン類として既に説明した一級脂肪族ポリアミン類;二級脂肪族ポリアミン類、例えば、N,N’-ジブチルエチレンジアミン;N,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、1-(1-メチルエチルアミノ)-3-(1-メチルエチルアミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ
ン〔Jefflink(登録商標)、Huntsman社製〕、N4-シクロヘキシル-2-メチル-N2-(2-メチルプロピル)-2,4-ペンタンジアミン、N,N’-ジアルキル-1,3-キシリレンジアミン、ビス(4-(N-アルキルアミノ)シクロヘキシル)メタン、N-アルキルポリエーテルアミン類、例え
ば、Jeffamine(登録商標)製品SD-231、SD-401、SD-404、及びSD-2001(以上、Hunstman社製)、例として述べた一級脂肪族ポリアミンと、マイケル受容体とのマイケル付加反応由来の生成物(例えば、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、桂皮酸エステル、イタコン酸ジエステル、ビニルホスホン酸ジエステル、アリールビニルスルホネート、ビニルスルホン、ビニルニトリル、1-ニトロエチレン、またはKnoevenagel縮合生成物(例えば、マロン酸ジエステルと、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはベンズアルデヒドとから生成される縮合生成物));一級及び二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン類(例えば、N-ブチル-1,6-ヘキサンジアミン);一級及び/または二級芳香族ポリアミン(例えば、m-及びp-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,5-ジメチルチオ-2,4-及び-2,6-トルイレンジアミン(Albemarle社よりEthacure(登録商標)として入手可能
)、3,5-ジエチル-2,4-及び-2,6-トルイレンジアミン(DETDA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M-DEA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-2,2’-ジ
クロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M-CDEA)、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M-MIPA)、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,
4’-ジアミノジフェニルメタン(M-DIPA)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミド、5,5’-メチレンジアントラ
ニル酸、ジメチル(5,5’-メチレンジアントラニレート)、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシ
ドビス(4-アミノベンゾエート)(Air Products社よりVersalink(登録商標)として入手可能)、1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタン、N,N’-ジアルキル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジアルキル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2-メチルプロピル(4-クロロ
-3,5-ジアミノベンゾエート)、及びtert-ブチル(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート);及び3個を超えるアミノ基を有するポリアミン類である。
【0168】
成分K2中の適当なポリオール類は、既に上述したポリウレタンポリマーPUPを調製するのに適当なポリオールと同一のポリオール類、及びポリウレタンポリマーPUPの調製においてさらなる使用に適当である、上述した低分子量の、二価または多価のアルコール類である。
【0169】
成分K2中の適当なアミノアルコール類は、少なくとも1個の一級または二級アミノ基を有し、かつ少なくとも1個のヒドロキシ基を有する化合物であり、例えば、式(I)のアルジミン類を調製するのに適したアミンB1として既に上述した脂肪族ヒドロキシアミン類、及びさらには、例えば、ジエタノールアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(ブチルアミノ)エタノール、及び2-(シクロヘキシルアミノ)エタノールが挙げられる。
【0170】
成分K2中の適当なポリチオール類は、例えば、Thiokol(登録商標)の商品名で知られる、液体のメルカプト末端ポリマー、例えば、LP-3、LP-33、LP-980、LP-23、LP-55、LP-56、LP-12、LP-31、LP-32及びLP-2(Morton Thiokol;例えば、米国SPI Supplies社または日本のToray Fine Chemicals社より入手可能)、及びチオカルボン酸のポリエステル類、例えば、ペンタエリトリトールテトラメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート、グリコールプロパンジメルカプトアセテート、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)及びグリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)である。
【0171】
式(I)のアルジミン及びアルジミノ含有化合物AVの他に、成分K2の構成要素としてさらなるブロックアミン、特に、ケチミン類、オキサゾリジン類、エナミン類、及びその他のアルジミン類を用いることも可能である。そのような他のアルジミン類は、上述した式(IV)のアルデヒドALD以外のアルデヒド類、例えば、イソブチルアルデヒド、またはカルボン酸(例えば、特に、ラウリン酸)と3-ヒドロキシピバルアルデヒドとのエステル化生成物より得ることができる。ケチミン類は、例えば、上述した式(III)のアミンBとケトン類との反応より得ることができる。適したオキサゾリジン類は、特にポリオキサゾリジン類であり、例えば、OZハードナー(OZ hardner)(Bayer社製)である。適したエナミン類は、例えば、複数の二級アミノ基を有するアミンと、カルボニル基のα位の炭素原子に少なくとも1個の水素原子を有する、脂肪族または脂環式のアルデヒドまたはケトンとの反応より得ることができる。
【0172】
成分K2は、任意に水を含んでおり、特に、アルジミノ及びその他のブロックアミノ基、またはそれらの一部を加水分解するのに必要な量の水が含まれる。
【0173】
成分K2は、好ましくは、少なくとも1種の、有機金属化合物の形態及び/または三級アミンの形態、及び/または酸の形態、特に、有機カルボン酸または有機スルホン酸の形態の触媒をさらに含む。
【0174】
二成分系ポリウレタン組成物は、さらなる構成要素を任意に含む。成分K1の場合、これら構成要素は、特には一成分系湿気硬化性組成物において述べた補助剤及び添加剤である。成分K2の場合、上記要素に加えて、短期間でも遊離のイソシアネート基とともに貯蔵可能な、さらなる補助剤及び添加剤もまた可能である。具体的には、これらの要素は、
亜鉛、マンガン、鉄、クロム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、鉛、カドミウム、水銀、アンチモン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、またはカリウムの化合物〔例えば、酢酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸亜鉛(II)、ラウリン酸亜鉛(II)、オレイン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)、亜鉛(II)アセチルアセトナート、サリチル酸亜鉛(II)、2-エチルヘキサン酸マンガン(II)、2-エチルヘキサン酸鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、2-エチルヘキサン酸クロム(III)、ナフテン酸コバルト(II)、2-エチルヘキサン酸コバルト(II)、2-エチルヘキサン酸銅(II)、ナフテン酸ニッケル(II)、ネオデカン酸フェニル水銀、酢酸鉛(II)、2-エチルヘキサン酸鉛(II)、ネオデカン酸鉛(II)、鉛(II)アセチルアセトナート、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、アルミニウム(III)アセチルアセトナート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセとアセテート)、ジブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシチタンビス(アセチルアセトナート)、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム〕;三級アミン化合物〔例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン及びそれより高次な類縁体、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメ
チルジプロピレントリアミン及びそれより高次な類縁体、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、ビス(ジメチルア
ミノ)メタン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N-ジメチル-2-フェニルエチルアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ココモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチル-N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、またはビス(2
-ジメチルアミノエチル)エーテル〕;芳香族窒素化合物(例えば、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール、または1,2-ジメチルイミダゾール);アミジン類及びグアニジン類(例えば、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン);活性水素を含有する三級アミン化合物〔例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルジイソプロパノールアミン、ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イソプロパノールアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルウレア、フェノール類のマンニッヒ塩基〔例えば、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、または2,4,6-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノメチル)フェノール、イミダゾール類〔例えば、N-ヒドロキシプロピルイミダゾール、N-(3-アミノプロピル)イミダゾール〕、及びそれら化合物のアルコキシ化及びポリアルコキシ化生成物(例えば、ジメチルアミノエトキシエタノール);有機アンモニウム化合物(例えば、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム)またはアルコキシ化された三級アミン;一般的に「遅延作用触媒(”delayed action” catalyst)」と呼ばれる、既知の金属またはアミン触媒を改質させたもの、例えば、三級アミン類及びカルボン酸類またはフェノール類の反応生成
物(例えば、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンまたはDBUと、ギ酸または酢酸との反応生成物);ならびに、上述した化合物、特に金属化合物及び三級アミン類の組み合わせ;などの触媒である。
【0175】
2種の成分K1及びK2はそれぞれ別々に調製し、成分K1については湿気の不存在下で調製する。2種の成分K1及びK2は、互いに分離された状態で貯蔵安定であり、すなわち、適当なパックまたはアレンジメント(例えば、ドラム缶、パウチ、バケツ、カートリッジ、瓶)の中で、適用する数ヶ月から1年間以上前から、その適用特性をその関連する程度には変えることなく貯蔵することができる。
【0176】
二成分系ポリウレタン組成物を使用するためには、2種の成分K1及びK2を互いに混合させる。イソシアネート基と反応性を有する要素が成分K1のイソシアネート基と適切な割合であるように混合比率が選択されるように注意する必要がある。より具体的には、比率は、イソシアネート基1当量に対して、存在するヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、保護されたアミノ基の合計が、0.1〜1.1、好ましくは0.5〜0.95、より具体的には0.6〜0.9当量であり、オキサゾリノ基の形態の保護されたアミノ基は2倍にカウントする。硬化する際に、過剰なイソシアネート基は、水分、特に大気中の湿気と反応する。
【0177】
2種の成分は、適切な方法、例えば静的ミキサーを用いて混合される。混合は、連続的にまたはバッチ式で実施することができる。混合された組成物は、続いて基材へと適用され、任意に適切な補助手段によって適用される。その際、適用前に混合する成分中の構成要素が過度に予反応することにより硬化性組成物の性能に悪影響(例えば、基材への接着形成が遅延または不十分になることなど)を及ぼし得ることから、成分の混合と適用との間の時間が長すぎないように注意しなければならない。混合される組成物を適用すべきである最大期間は、「可使時間(pot life)」と呼ばれる。
【0178】
成分K1及びK2を混合した後に、硬化は開始される。アルジミノ基は、水と接触すると直ちに既に記載したとおりイソシアネート基と反応を開始する。その水は、成分K2の成分であったために、または成分K1とK2とを混合する前もしくは混合中に組成物に添加されたことから、混合された組成物中に既に存在していたか、或いは、空気中の湿気の形態で、混合された組成物内に拡散する。後者の場合には、アルジミノ基は、組成物内に空気中の湿気が浸透するのと並行して、外側から内側に向かってイソシアネート基と反応する。既に説明したように、イソシアネート基と、加水分解性アルジミノ基との反応は、必ずしも遊離のアミノ基を経由して起こる必要ではなく、加水分解反応の中間体を経由して起こることも可能である。同様に、組成物中に存在し得るさらなるブロックアミンの反応性基は遊離する。加えて、成分K1及びK2を混合した後、組成物中に存在するヒドロキシ基、メルカプト基、及びアミノ基はイソシアネート基と反応する。過剰のイソシアネート基は、とりわけ水と直接反応する。これらの反応により、混合された組成物は、架橋し、最終的に硬化して固体材料が得られる。
【0179】
上述した硬化性組成物の硬化は、一般には、高速硬化でも気泡を形成することなく進行する。硬化速度は、存在し得る1種または複数の触媒の種類及び量により、硬化の過程における支配的な温度、ならびに空気中の湿気または添加された水の量により影響を受けることがある。
【0180】
既に上述した如く、式(I)のアルジミン類またはアルジミノ含有化合物AVの三級アミノ基は、イソシアネート基の反応に対して触媒効果を有してもよく、それによって硬化が促進される。これに関しては、それらの塩基性度が比較的低いことが有利であり、これは、強塩基性の三級アミンがアルジミノ基の酸触媒加水分解を阻害し、かつ/またはイソシアネート基と、特に水との直接反応を過度に促進させ、硬化を阻害し得るからである。イソシアネート基、特に、アルジミノ基の減少後に残存するイソシアネート基と、存在する水との反応における三級アミノ基の促進作用は、三級アミノ基がアルジミンのアルデヒド部分に局在するといった事実によりさらに促進される。アルジミノ基の加水分解により、アルジミノ基を含有する式(IV)のアルデヒドALDが遊離する。それらの大きさが比較的小さいことから、アルデヒドALDは硬化される組成物中で極めて良好な可動性を示し、それ故に、さらなるイソシアネート基に触媒効果を増大させる可能性がある。遊離したアルデヒドALDは、実質的には硬化された組成物中に残存し、そこで優れた親和性を示し、遊離してしまう傾向はなく、若干の可塑化効果を示すのみであり、これは多くの場合、有利である。上記組成物のさらなる利点は、上述したアルジミン類及び硬化時に遊離するアルデヒドALDが比較的弱い臭気を有していることである。結果的に、本組成物は、硬化前、硬化している間、及び硬化後においてごく弱い臭気を有している。
【0181】
水、特に空気中の湿気の形態の水との反応によって、組成物は架橋され、最終的に硬化されることで固体物質が得られる。
【0182】
上記硬化性組成物の好適な適用は、一成分系または二成分系の接着剤、シーラント、埋め込み組成物、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤としてである。幾つかの適用については以下に簡潔に述べるが、それら組成物のその他の使用について限定されるものではない。
【0183】
1つの好適な実施形態では、上記硬化性組成物のうちの1種は、弾性接着剤またはシーラントとして使用される。この適用において、ポリイソシアネートの、好ましくはイソシアネート基を有するポリウレタンポリマー形態のポリイソシアネートの含有量は、全組成物に対して、特に10〜80質量%の範囲、好ましくは15〜70質量%の範囲である。
【0184】
さらに、弾性接着剤またはシーラントとして適用される硬化性組成物は、有利に少なくとも1種のフィラーを含んでおり、これにより、未硬化の組成物のレオロジー特性、及び硬化された組成物の機械特性及び表面特性に影響を与える。適当なフィラーは、既に述べた無機及び有機フィラーである。好ましくは、カーボンブラック、炭酸カルシウム、焼成カオリン、高分散シリカ、PVC粉末、及び難燃性フィラー(例えば、水和物または水酸化物、特に、水酸化アルミニウム)である。フィラーの含有量は、全組成物に対して、特に10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲である。異なるフィラーの混合物を使用することも有利となり得る。
【0185】
さらに、弾性接着剤またはシーラントとして適用される硬化性組成物は、有利には既に上述した少なくとも1種の触媒を含んでおり、これによってアルジミノ基の加水分解またはイソシアネート基の反応が促進される。特に適当な触媒は、有機酸と有機金属化合物もしくは金属錯体との混合物、有機酸と三級アミノ基を含む化合物との混合物、または有機酸、有機金属化合物もしくは金属錯体と、三級アミノ基を含む化合物との混合物である。
触媒の典型的な含有量は、全組成物に対して一般的に0.005〜2質量%であり、当業者であればどの触媒をどれくらい用いることが適当であるか明らかである。
【0186】
接着組成物またはシーラントは、一成分系または二成分系組成物の形態で存在してもよく、それぞれの組成物は既に述べた方法によって調製され、かつ適用される。一成分系接着促進剤またはシーラントは、好ましくは少なくとも1種のポリウレタンポリマーPUP1を含んでいる。
【0187】
一成分系または二成分系弾性接着剤の好適な適用用途は、例えば、建築または土木、及び工業用物品または一般消費用物品(特に、窓、家庭用物品、または輸送手段、例えば水上用または陸上用車両、好ましくは自動車、バス、トラック、列車または船舶)の製造または修理における構成材の接着、ならびに家具、繊維または包装産業における物品の接着;工業生産または修理において、或いは建築または土木における接合部、継ぎ目、または空洞のシーリング(封止)である。
【0188】
一成分系または二成分系弾性シーラントの好適な適用用途は、例えば、建築構造物、よりとくには顕著駆または土木における接合部のシーリング、建築構造物の一部分(例えば、窓または床)のシーリング、工業用物品(例えば、家庭用物品または輸送手段、特には水上用または陸上用車両)またはその一部分のシーリングである。
【0189】
さらなる好適な実施形態では、上記硬化性組成物の1種は、弾性コーティング材として使用される。この適用では、ポリイソシアネート含有量は、全組成物に対して、特に10〜80質量%、好ましくは15〜70質量%の範囲である。
【0190】
さらに、弾性コーティング材として適用される硬化性組成物は、有利には少なくとも1種のフィラーを含んでおり、前記フィラーは、未硬化の組成物レオロジー特性、及び硬化された組成物の機械的特性及び表面特性に影響を与える。適当なフィラーは、既に述べた無機または有機フィラーである。好ましくは、炭酸カルシウム類、バライト、及び微粉砕石英、ならびに難燃性フィラー(例えば、水和物または水酸化物であり、特には、水酸化アルミニウム)である。フィラーの含有量は、全組成物に対して、特に10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲である。異なるフィラーの混合物を使用することも有利となり得る。
【0191】
さらには、弾性コーティング材として適用される硬化性組成物は、有利には少なくとも1種の触媒を含んでいる。適当な触媒は、弾性接着剤及びシーラントの適当な構成成分として記載した同量の同じ触媒である。
【0192】
さらには、弾性コーティング材して適用される硬化性組成物は、有利には少なくとも既に上述した以外の補助剤及び添加剤を含んでおり、特には、顔料、平滑剤、脱泡剤、及び安定剤からなる群から選択される。
【0193】
弾性接着剤は、一成分系または二成分系の組成物の形態で存在してもよく、それぞれの形態は既に述べた方法によって製造され、かつ適用される。
【0194】
その組成物は、有利には良好な平滑化特性(leveling property)を備えた流体コンシステンシーを有している。それ故に、その組成物は、大部分が平滑である表面に対するセルフレベリングコーティングとして、例えば、フロアカバリングとして容易に適用することができる。
【0195】
完成したフロアカバリングは、複数の異なる層構造を有することが多い。1つの典型的な構造は、例えば、プライマーと呼ばれる構造から始まる。このプライマーの機能は、弾性ポリウレタンコーティングのために基材を下処理することである。これに続いて、例えば、記載した組成物を弾性層として適用する。この適用は、基材の性質及び所望の膜厚に応じて、1回または複数回の操作で行うことが可能である。一般的には、0.5〜3mm、より特に0.5〜2mmの厚さの層が1層あたり適用される。最後に、シールを適用することができ、このシールは、薄い層、例えば、数マイクロメートルから数十分の一ミリメートルまでの範囲の厚さで、フロアカバリングの表面品質にさらなる影響を及ぼす。このシーラントは、透明であっても着色されていてもよい。
【0196】
二成分系コーティングの場合には、2種の成分K1及びK2は、適用する前に適切な手法によって互いに混合され、混合された組成物は可使時間内に適用する。
【0197】
硬化性組成物は、弾性コーティング剤の形態で、典型的には、コーティングする基材上に注ぐことで適用され、液体状態で、例えばコーティングナイフまたは歯状こてを用いて、均一に広げられる。さらに、スパイクローラー(spiked roller)を使用して、材料を水平にし、脱泡することができる。しかしながら、機械的適用、例えばスプレー塗布の形態もまた可能である。
【0198】
本組成物が典型的に適用される適当な基材は、例えば、コンクリート、セメント、アスファルト、鋼鉄、木材、セラミック、またはプラスチックであり、その基材は、洗浄、ブラシがけ、またはサンドブラストによって前処理されていてもよく、かつ/或いはプライマーを有していてもよい。有用なプライマーの例として、接着促進溶液が含まれる。
【0199】
上記弾性コーティング剤は、有利には建物または建築構造体の室内または屋外に使用され、例えば、事務所、産業会館、体育館または冷蔵庫の室内、或いはバルコニー、テラス、陸橋、駐車場のフロア、またはスポーツグラウンド及びプレイグラウンドの屋外のフロアカバリングとして使用される。
【0200】
さらなる実施形態では、上記硬化性組成物の1種は、塗料、コーティング材料、またはプライマーとして使用される。この適用において、ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートPI1またはポリイソシアネートPI2のいずれかであることが好ましい。
【0201】
本明細書において、「プライマー」とは、下塗り剤として好適であり、非反応性の揮発性物質及び任意に固体添加剤に加えて、少なくとも1種のポリマー及び/または反応性基を有する少なくとも1種の物質を含有し、基材上に塗布すると硬化して、典型的には少なくとも5μmの層厚さの容易に接着する固体の膜を与えることが可能であり、例えば溶媒または水などの非反応性の揮発性物質の蒸発または化学反応のいずれかによって、或いはこれらの要因の組合せによって硬化し、後に塗布される層、例えば接着剤または密封剤に対する良好な接着性を確立する組成物を意味するものと理解される。
【0202】
塗料、コーティング材またはプライマーとしての適用において、一成分系組成物であることが好ましく、貯蔵安定性の理由から、好ましくは脂肪族イソシアネート基を有するポリイソシアネート類のみを含有する組成物である。
【0203】
さらには、塗料、コーティング材またはプライマーとして適用される硬化性組成物は、有利には既に上述した補助剤及び添加剤の中から少なくとも1種含み、特には少なくとも1種の溶媒を含んでいる。適当な溶媒は、例えば、ケトン類〔例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン及びメシチルオキシド、ならびに環状ケトン類(例えば、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン)〕;エステル類(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、tert-ブチルアセテート、ギ酸エステル類、プロピオン酸エステル類、またはマロン酸エステル類);エーテル類(例えば、ケトンエーテル類、エステルエーテル類、及びジアルキルエーテル類、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtertブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びエチレングリコールジエチルエーテル);脂肪族及び芳香族炭化水素類〔例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、及び鉱油留分(例えば、ナフサ、ホワイト・スピリット(white spirit)、石油エーテル、またはベンジン)〕;ハロゲン化された炭化水素類(例えば、塩化メチレン);及びN-アルキル化ラクタム類(例えば、N-メチルピロリドン、N-シクロヘキシルピロリドン、またはN-ドデシルピロリドン)である。これら溶媒の含有量は、全組成物に対して、特に10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%の範囲である。
【0204】
さらには、塗料、コーティング材またはプライマーとして適用される硬化性組成物は、さらなる構成要素を含んでもよく、特に、トリイソシアネート類〔例えば、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタン及びトリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェート〕;アミノシラン類〔例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルジメトキシメチルシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、[3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン(=4,7,10-トリアザデシルトリメトキシシラン)、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、7-アミノ-4-オキサヘプチルジメトキシメチルシラン、N-(メチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン;トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオンウレア(=トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート)及びメトキシ基がエトキシ基またはイソプロポキシ基で置換された関連類縁体;メルカプトシラン類(例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランまたは3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン)、エポキシシラン類(例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン);ウレイドアルキルシラン類、及びアミノ-及び/またはメルカプトシランと、エポキシドまたはエポキシシラン(例えば、3-グリシジルオキシプロピルシラン)との付加体;チタネート類、好ましくは、酸素−チタン結合を介してチタン原子に結合される少なくとも1個の置換基を有するチタネート類であり、前記置換基は、特に、アルコキシ基、スルホネート基、カルボキシレート基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルピロホスフェート基、またはアセチルアセトネート基であり、複数の置換基はすべて同一でも異なってもよい。適当なチタネート類の例としては、Kenrich Petrochemicals社の製品でKen-React(登録商標)KR TTS、KR 7、KR 9S、KR 12、KR 26S、KR 33DS、KR 38S、KR 39DS、KR44、KR 134S、KR 138S、KR 158FS、KR212、KR 238S、KR 262ES、KR 138D、KR 158D、KR238T、KR 238M、KR238A、KR238J、KR262A、LICA 38J、KR 55、LICA 01、LICA 09、LICA 12、LICA 38、LICA 44、LICA 97、LICA 99、KR OPPR、及びKR OPP2、ならびにDuPont社の製品でTyzor(登録商標)ET、TPT、NPT、BTM、AA、AA-75、AA-95、AA-105、TE、ETAM、及びOGTの商標名で入手可能である。
【0205】
上記の塗料、コーティング材またはプライマーは、有利には既に上述したシラン類またはチアネート類の形態の接着促進剤を少なくとも1種含んでいる。
【0206】
上記の塗料、コーティング材またはプライマーは、有利には既に上述した触媒を少なくとも1種含んでいる。
【0207】
上記の塗料、コーティング材またはプライマーは、典型的にはブラシ、フェルト、布、スポンジまたは噴霧器を用いて基材に適用される。この適用は、手作業または機械的に行ってもよく、特にロボットを用いて行ってもよい。
【0208】
上記の塗料、コーティング材またはプライマーは、水と反応性を有するさらなる化合物、例えば、チタネート基またはシラン基を含有する化合物も同様に水と反応する過程で、既に記載のとおり、水、特には空気中の湿気の形態の水と接触することで反応する。さらには、コーティングの適用が完了すると、その中に存在するあらゆる揮発性溶媒は蒸発し始める。結果として、良好な接着性を有する固体薄膜が基材上に形成される。その層の厚さは、有利には約5〜100μm、特には10〜50μmである。
【0209】
プライマーは、有利には接着剤、シーラント、またはコーティング、例えば床仕上げ剤の形態のポリマー組成物、特には、イソシアネート基及び/またはシラン基を有するポリウレタンに基づいたポリマー組成物のタイコート(tiecoat)として用いられる。
【0210】
本発明のさらなる態様は、基材S1を基材S2に接着接合するための方法に関し、本方法は、
i) 上記の硬化性組成物を基材S1に適用する工程と、
ii) 組成物のオープンタイム内に、適用された前記組成物を基材S2に接触させる工程とを含み、或いは、
i') 上記の組成物を基材S1及び基材S2に適用する工程と、
ii') 組成物のオープンタイム内に、適用された組成物を相互に接触させる工程と
を含み、前記基材S2は、基材S1と同じ材料からなり、または基材S1と異なる材料からなる。
【0211】
本発明のさらあんる態様は、シールするための方法に関する。本方法は、
i'') 上記の硬化性組成物を基材S1と基材S2との間に適用し、組成物が基材S1及び基材S2と接触するようにする工程
を含み、前記基材S2は、基材S1と同じ材料からなり、または基材S1と異なる材料からなる。
【0212】
シーラントは、典型的には接合部内に注入される。
【0213】
本発明のさらなる態様は、基材S1をコートするための方法に関する。この方法は、
i''') 組成物のオープンタイム内に、上記の硬化性組成物を適用する工程
を含む。
【0214】
これら3つの方法において、適当な基材S1及び/またはS2は、例えば、無機基質〔例えば、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、石こう、及び天然石(例えば、花こう岩または大理石など)〕;金属または合金(例えば、アルミニウム、鋼、非鉄金属、メッキ金属);有機基質〔例えば、革、線維、紙、木材、樹脂結合された木質材料、樹脂-繊維複合材料、プラスチック(例えば、塩化ポリビニル;硬質及び軟質のPVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(sheet molding composites;シート成形複合材料)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、PMMA、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、特に、表面プラズマ、コロナまたはフレーム処理されたポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)及びエチレン/プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)〕;被膜基材(例えば、粉末塗装された金属または合金);ならびに塗料及びコーティング材料、特に、自動車用コーティング材料;が挙げられる。
【0215】
必要に応じて、組成物を適用する前に、基材を前処理することができる。この種の前処理には、特に物理的及び/または化学的クリーニング法、例えば、グラインディング、サンドブラスト、ブラッシングなど、或いは洗剤または溶媒による処理、或いは接着促進剤、接着促進溶液またはプライマー剤の適用が含まれる。
【0216】
二成分系組成物の場合には、2種の成分K1及びK2は、適用の直前に互いに混合される。
【0217】
熱硬化性組成物の場合には、適用された組成物を、続いて適切な温度まで加熱することにより、接着接合、シールまたはコーティングに焼き付ける。
【0218】
硬化性組成物は、幅広い温度範囲内で適用することができる。例えば、組成物を、弾性接着剤またはシーラントの適用にありがちな室温で適用してもよい。しかしながら、組成物をより低い温度またはより高い温度で適用することも可能である。後者は、溶融接着剤(例えば、ウォームメルト接着剤またはホットメルト接着剤)中に典型的に存在するように、組成物が高い粘性または溶融可能な組成物を含んでいるときにとりわけ有利である。
ウォームメルト接着剤の適用温度は、40〜80度の範囲であり、ホットメルト接着剤の場合には、85〜200℃の範囲の温度である。
【0219】
記載した接着接合、シーリングまたはコーティングのための方法、或いは、一成分系または二成分系の接着剤、シーラント、埋め込み組成物、コーティング、床仕上げ剤、塗料、コーティング材、プライマーまたはフォーム剤として記載した組成物の1種の使用により、物品がもたらされる。
【0220】
この物品は、特に建築構造体、特に建築または土木における建築構造体、或いは工業用または一般消費用物品、特に窓、家庭用物品、或いは輸送手段、特に水上用または陸上用車両、好ましくは自動車、バス、トラック、列車または船舶、或いは輸送手段の装填可能なコンポーネント、或いは家具、繊維または包装産業における物品である。
【実施例】
【0221】
1.試験方法の説明
【0222】
粘度は、温度調節したPhysica UM コーンプレート粘度計(コーン直径:20mm、コーン角度:1°、コーンの先端からプレートまでの距離:0.05mm、せん断速度:10〜1000s-1)で測定した。
【0223】
アミン含有量、すなわち、調製した化合物中の、遊離のアミノ基及びブロックアミノ基(アルジミノ基)の全含有量は、滴定(氷酢酸中0.1N HClO4を用い、クリスタルバイオレットに対して)によって測定し、常にmmol N/gで記す。
【0224】
マンニッヒ塩基の共役酸のpKaは、水50ml中、約1mmolのマンニッヒ塩基の電位差滴定法による半中和点(half-neutralization potential)を用いて近似的に求め、水50mlを用いることができない場合、0.1N塩酸とともに水/イソプロパノール(1/1)50mlを用いて行い、水/イソプロパノール中で測定した値は基準物質を用いて純水中の期待値に換算した。
【0225】
赤外スペクトルは、Perkin-Elmer社製のFT-IR 1600装置を用いて測定し、固体物質はダイレクトビームでKBr錠剤法により、液体及びオイルは、ZnSe結晶を有する水平ATR測定ユニットにより、不希釈フィルム(必要に応じて、物質をCH2Cl2に溶解させたり、溶媒を留去させたりする)として適用した。吸収バンドは波数(cm-1)(測定範囲:4000-650 cm-1)で記し、追記shはショルダーとして現れたバンドを示し、追記brはブロードバンドを示す。
【0226】
1H-NMRスペクトルは、Bruker DPX-300の分光計で300.13 MHzにて測定した;化学シフトδは、テトラメチルシラン(TMS)に対するppmで記し、カップリング定数JはHzで記す。
真のカップリングパターン(true coupling patterns)と擬カップリングパターン(pseudo coupling patterns)との区別はしていない。
【0227】
2.アルデヒド類の調製
【0228】
2,2-ジメチル-3-(N-ピロリジノ)プロパナール
100mlの無水エタノール中に溶解させた51.0g(0.72mol)のピロリジンを、窒素雰囲気下の丸底フラスコに最初に導入した。氷冷下撹拌しながら、40.6g(0.40mol)の96%硫酸を滴下漏斗を用いてゆっくりと滴下し、この添加の工程において生成する懸濁液の温度が50℃を超えないようにした。続いて、23.8g(0.79mol)のパラホルムアルデヒド及び54.5g(0.76mol)のイソブチルアルデヒドを添加し、反応混合物を120℃の油浴中で2時間加熱還流しながら撹拌した。透明な反応混合物を室温に冷却し、500mlの10%亜硫酸ナトリウム水溶液中に加え、10N NaOHを用いて塩基性にした。有機層を分液漏斗で分離し、水層をそれぞれ50mlの酢酸エチルを用いて2回抽出し、抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。有機層を併合し、減圧下で分画した。収量79.2g(理論値の71%)、アミンのような臭気のある、アミン含量6.34mmol N/g、20℃で3mPa.sの粘度を有する無色透明の液体を得た。
【0229】
他の調製法:
59.8g(0.72mol)の36%ホルムアルデヒド水溶液及び53.8g(0.75mol)のイソブチルアルデヒドを、窒素雰囲気下の丸底フラスコに最初に導入した。氷冷下撹拌しながら、51.0g(0.72mol)のピロリジンを滴下漏斗にてゆっくりと滴下し、この添加の工程において反応混合物の温度が20℃を超えないようにした。添加終了後、混合物を室温にて1時間撹拌した。生成した混濁した無色の反応混合物を、100℃の油浴中で18時間加熱還流しながら撹拌し、室温に冷却し、分液漏斗で層を分離した。有機層を、さらなる処理を施すことなく、減圧下で分画した。その生成物を、頂部温度80℃及び圧力17mbarで蒸留した。収量95.9%(理論値の86%)、アミン含量6.34mmol N/gの、無色透明の液体を得た。
pKa≒9.2。
IR: 2962, 2928sh, 2873, 2782, 2692 (CHO), 1724 (C=O), 1460, 1400, 1362, 1351, 1327, 1293, 1238, 1202, 1141, 1114, 1059, 1036, 1002, 965, 916, 906, 874, 774。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 9.56 (s, 1H, CHO), 2.63 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 2.49 (m, 4H, NCH2CH2cycl.), 1.71 (m, 4H, NCH2CH2cycl.), 1.08 (s, 6H, CH2C(CH3)2)。
【0230】
2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナール
83.1g(1.00mol)の36%ホルムアルデヒド水溶液及び75.0g(1.04mol)のイソブチルアルデヒドを、窒素雰囲気下の丸底フラスコに最初に導入した。氷冷下攪拌しながら、87.1g(1.00mol)のモルホリンを滴下漏斗にてゆっくりと滴下し、この添加の工程において反応混合物の温度が20℃を超えないようにした。添加終了後、混合物を室温にて1時間攪拌した。生成した無色透明の反応生成物を、100℃の油浴中で18時間加熱還流しながら攪拌し、室温に冷却し、分液漏斗で層を分離した。有機層を、さらなる処理を施すことなく、減圧下で分画した。その生成物を、97℃の頂部温度及び14mbarの圧力で蒸留した。収量145.5g(理論値の85%)、アミン含量5.72mmol N/g及び20℃で11mPa.sの粘度を有する、ほぼ無臭の無色透明の液体を得た。
pKa≒6.3。
IR: 2958, 2981, 2850, 2803, 2695 (CHO), 1979, 1722 (C=O), 1455, 1402, 1374, 1361, 1319, 1280, 1268, 1206, 1137, 1115, 1070, 1035, 1015, 951, 906, 864, 801, 774。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 9.55 (s, 1H, CHO), 3.63 (d, J = 9.4, 4H, OCH2cycl.), 2.47 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 2.44 (m, 4H, NCH2cycl.), 1.08 (s, 6H, CH2C(CH3)2)。
【0231】
2,2-ジメチル-3-(N-(2,6-ジメチル)モルホリノ)プロパナール
2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールの調製と同様の条件で、41.7g(0.50mol)の36%ホルムアルデヒド水溶液を、37.9g(0.53mol)のイソブチルアルデヒド及び57.6g(0.50molの2,6-ジメチルモルホリン(BASF社;異性体混合物)と反応させ、後処理を行った。その生成物を、104℃の頂部温度及び20mbarの圧力で蒸留した。収量80.8g(理論値の81%)、4.99mmol N/gのアミン含量を有し、若干アミンのような臭気を有する無色透明の液体を得た。
pKa≒5.9。
IR: 2970, 2933, 2868, 2799, 2771sh, 2727, 2700sh (CHO), 2627, 1724 (C=O), 1456, 1403, 1373, 1362sh, 1320, 1281, 1240, 1216sh, 1178, 1144, 1077, 1042, 1003, 967, 946, 916, 887sh, 879, 860, 837, 799, 773。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 9.55 (s, 1H, CHO), 3.59 (ddq, J = 10.0/6.3/2.3, 2H, OCH2CH3), 2.57 (qd, J = 10.5/2.1, 2×1H of CH(CH3)-CH2N), 2.44 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 1.86 (dd, J = 11.4/10.0, 2×1H of CH(CH3)-CH2N), 1.11 (d, J = 6.3, 6H, OCHCH3), 1.06 (s, 6H, NCH2C(CH3)2)。
【0232】
2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルメチルアミノ)プロパナール
2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールの調製と同様の条件で、39.2g(0.47mol)の36%ホルムアルデヒド水溶液を、35.6g(0.49mol)のイソブチルアルデヒド及び57.0g(0.47mol)のN-ベンジルメチルアミンと反応させ、後処理を行った。その生成物を、74℃の頂部温度及び4×10-2mbarの圧力にて蒸留した。収量80.6g(理論値の83%)、4.83mmol N/gのアミン含量を有する、ほぼ無臭の無色透明の液体を得た。
pKa≒7.2。
IR: 3084, 3060, 3026, 2962, 2928, 2870, 2840, 2784, 2700 (CHO), 1950, 1876, 1808, 1722 (C=O), 1654, 1602, 1584, 1542, 1494, 1452, 1420, 1398, 1362, 1316, 1290, 1256, 1172, 1118, 1074, 1038, 1024, 1002, 976, 948, 916, 910, 880, 856, 826, 774, 738, 698, 670。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 9.52 (s, 1H, CHO), 7.33-7.20 (m, 5H, Ph-H), 3.51 (s, 2H, Ph-CH2-N), 2.59 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 2.16 (s, 3H, NCH3), 1.07 (s, 6H, NCH2C(CH3)2)。
【0233】
2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルイソプロピルアミノ)プロパナール
2,2,-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールの調製と同様の条件で、28.0g(0.34mol)の36%ホルムアルデヒド水溶液を、25.4g(0.35mol)のイソブチルアルデヒド及び50.0g(0.34mol)のN-ベンジルイソプロピルアミンと反応させ、後処理を行った。その生成物を、100℃の頂部温度及び4×10-2mbarの圧力にて蒸留した。収量48.6g(理論値の62%)、4.28mmol N/gのアミン含量を有する、淡黄色透明であり、ほぼ無臭の液体を得た。
pKa≒6.6。
IR: 3084, 3060, 3026, 2962, 2929, 2869, 2823sh, 2806, 2699 (CHO), 1948, 1869, 1722 (C=O), 1602, 1584, 1540, 1494, 1460, 1452, 1398, 1385, 1362, 1320, 1252, 1234, 1207, 1164, 1118, 1093, 1074, 1056, 1027, 1003, 965, 906, 877, 826, 772, 730, 697, 668。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 9.39 (s, 1H, CHO), 7.32-7.17 (m, 5H, Ph-H), 3.53 (s, 2H, Ph-CH2-N), 2.73 (sept., J = 6.6, 1H, NCH(CH3)2), 2.59 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 1.00 (s, 6H, NCH2C(CH3)2), 2.73 (d, J = 6.6, 6H, NCH(CH3)2)。
【0234】
2,2-ジメチル-3-(N-シクロヘキシルメチルアミノ)プロパナール
2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールの調製と同様の条件で、36.8g(0.44mol)の36%ホルムアルデヒド水溶液を、33.4g(0.46mol)のイソブチルアルデヒド及び50.0g(0.44mol)のN-シクロヘキシルメチルアミンと反応させ、後処理を行った。その生成物を、69℃の頂部温度及び4×10-2mbarの圧力にて蒸留した。収量65.8g(理論値の76%)、4.94mmol N/gのアミン含量を有する、アミン臭の無色透明の液体を得た。
pKa≒8.4。
IR: 2925, 2851, 2796, 2685 (CHO), 1723 (C=O), 1464, 1450, 1422, 1396, 1376, 1381, 1344, 1319sh, 1262, 1200, 1177, 1143, 1110, 1072, 1057sh, 1045, 1025, 1004, 987, 960, 916, 890, 878, 859, 836, 784, 772。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 9.55 (s, 1H, CHO), 2.55 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 2.22 (m, 1H, NCHcycl.), 2.20 (s, 3H, NCH3), 1.74 (m, 4 Cy-H), 1.60 (m, 1 Cy-H), 1.28-1.08 (m, 5 Cy-H), 1.06 (s, 6H, CH2C(CH3)2)。
【0235】
N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルピロリジニウムヨージド
窒素雰囲気下で、1.18g(7.5mmol)の2,2-ジメチル-3-(N-ピロリジノ)プロパナール及び1.06g(7.5mmol)のヨウ化メチルを薬瓶に秤量した後密封し、よく振って混合した。混合物は直ちに懸濁した状態となり;数分後、白色の沈殿物が容器の底に沈降し始めた。薬瓶を室温にて放置した。90分後、全内容物は真っ白な結晶で充満された状態となった。
IR (KBr法): 3042, 3002, 2982, 2958, 2890, 2874, 2838, 2734, 1754, 1720 (C=O), 1682, 1478, 1466, 1450, 1436, 1424, 1400, 1382, 1364, 1344, 1310, 1276, 1234, 1182, 1166, 1150, 1108, 1058, 1032, 1000, 974, 944, 916, 878, 820, 768, 732。
1H NMR (D2O, 300°K): δ 9.65 (s, 1H, CHO), 3.81 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 3.69及び3.53 (2×m, 2×2H, NCH2CH2cycl.), 2.93 (s, 3H, NCH3), 2.22 (m, 4H, NCH2CH2cycl.), 1.34 (s, 6H, CH2C(CH3)2)。
【0236】
N-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルモルホリニウムヨージド
窒素雰囲気下、1.03g(5.9mmol)の2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナール及び0.83g(5.9mmol)のヨウ化メチルを薬瓶に秤量した後密封し、よく振って混合した。化合物は10秒以内に懸濁した状態となり、数分後、白色の沈殿物が容器の底に沈降し始めた。
薬瓶を室温にて1時間放置した後、次いで60℃に加熱した。2時間後、全内容物は真っ白な結晶で満たされた。
IR (KBr法): 3018, 2976, 2958, 2872, 2812, 2724, 1768sh, 1722 (C=O), 1685, 1476, 1462, 1420, 1400, 1384, 1370, 1312, 1280, 1248, 1220, 1176, 1144, 1120, 1082, 1066, 1039, 1016, 988, 952, 914, 900, 884, 868, 812, 772。
1H NMR (D2O, 300°K): δ 9.64 (s, 1H, CHO), 4.06 (m, 4H, OCH2cycl.), 3.87 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 3.72 (m, 4H, NCH2cycl.), 3.21 (s, 3H, NCH3), 1.37 (s, 6H, CH2C(CH3)2)。
【0237】
3.アルジミン類の調製
【0238】
実施例1:アルジミンA-1
23.3gの1,6-ヘキサメチレンジアミン(70%水溶液;アミン含量:12.16mmol N/g)を、窒素雰囲気下の丸底フラスコに最初に導入した。激しく撹拌しながら、47.0gの2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールを滴下漏斗を用いて添加した。続いて、揮発性成分を減圧下で留去した(10mbar、80℃)。収量57.2g、アミン含量10.10mmol N/g及び20℃で45mPa.sの粘度を有する、無色透明のオイルを得た。
IR: 2961, 2926, 2872, 2858, 2804sh, 2779, 1665 (C=N), 1459, 1446sh, 1392, 1360, 1338, 1292, 1239, 1199, 1191, 1139, 1116, 1060, 1032, 1001, 964, 937, 905, 875, 727。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.55 (t, J = 1.2, 2H, CH=N), 3.34 (txd, J = 1.2/7.1, 4H, CH=N-CH2), 2.49 (m, 12H, cycl.CH2CH2NCH2C(CH3)), 1.71 (m, 8H, cycl.CH2CH2NCH2C(CH3)), 1.56 (m, 4H, CH=N-CH2CH2), 1.29 (m, 4H, CH=N-CH2CH2CH2), 1.07 (s, 12H, CH2C(CH3)2)。
【0239】
実施例2:アルジミンA-2
実施例1で記載したのと同様の条件下で、31.8gの1,6-ヘキサメチレンジアミン(70%水溶液;アミン含量:12.16mmol N/g)を、71.0gの2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールと反応させた。収量86.3g、9.19mmol N/gのアミン含量及び20℃で145mPa.sの粘度を有する、無色透明のオイルを得た。
IR: 2954, 2926, 2849, 2805, 2762sh, 2687, 1980, 1665 (C=N), 1454, 1395, 1375, 1358, 1332, 1317, 1282, 1267, 1204, 1135, 1117, 1070, 1036, 1012, 944, 933, 882, 864, 802, 776sh, 728。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.53 (t, J = 1.2, 2H, CH=N), 3.64 (d, J = 9.3, 8H, OCH2cycl.), 3.34 (m, 4H, CH=N-CH2), 2.46 (m, 8H, NCH2cycl.), 2.34 (s, 4H, NCH2C(CH3)2), 1.57 (m, 4H, CH=N-CH2CH2), 1.28 (m, 4H, CH=N-CH2CH2CH2), 1.06 (s, 12H, CH2C(CH3)2)。
【0240】
実施例3:ジアルジミンA-3
実施例1で記載したのと同様の条件下で、13.4gのポリエーテルジアミン(約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン;Jeffamine(登録商標)D-230、Huntsman社製;アミン含量:8.29mmol N/g)を、20.0gの2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールと反応させた。収量31.4g、7.14mmol N/gのアミン含量及び20℃で170mPa.sの粘度を有する、無色透明のオイルを得た。
IR: 2961, 2926, 2887, 2850, 2803, 2763sh, 2690, 1980, 1663 (C=N), 1454, 1373, 1316, 1282, 1268, 1204, 1135sh, 1114, 1070, 1036, 1012, 1001sh, 946sh, 929, 897, 882, 864, 802, 775, 665。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.57 (s, 2H, CH=N), 3.64 (m, 8H, OCH2cycl.), 3.6-3.1 (m, approx. 12H, OCH2CH(CH3)), 2.46 (m, 8H, NCH2cycl.), 2.34 (s, 4H, NCH2C(CH3)2), 1.18-0.97 (m, approx. 24H, OCH2CH(CH3)及びCH2C(CH3)2)。
【0241】
実施例4:アルジミンA-4
実施例1で記載したのと同様の条件下で、14.55gの1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン〔イソホロンジアミンまたはIPDA;Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社製;アミン含量:11.67mmol N/g〕を、30.00gの2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールと反応させた。収量40.9g、8.29mmol N/gのアミン含量及び20℃で6.8Pa.sの粘度を有する、無色透明のオイルを得た。
IR: 2952, 2914, 2908, 2894, 2849, 2805, 2764sh, 1980, 1663 (C=N), 1454, 1396sh, 1377, 1361, 1352sh, 1332, 1317, 1282, 1267, 1204, 1136, 1116, 1070, 1051, 1036, 1012, 968, 928, 881, 864, 802。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.61及び7.60 (2×s, 比率:約3/1, 1H, CH=N [異性体]), 7.49 (2×s, 比率:約3/1, 1H, CH=N [異性体]), 3.64 (m, 8H, OCH2cycl.), 3.30 (m, 1H, CH=N-CHcycl.), 3.12 and 3.01 (2×d, J = 11.1, 2H, CH=N-CH2Ccycl.), 2.47 (m, 8H, NCH2cycl.), 2.34 (s, 4H, NCH2C(CH3)2), 1.53-0.85 (m, 27H, CH2cycl.及びCH3)。
【0242】
実施例5:アルジミンA-5
実施例1で記載したのと同様の条件下で、6.25gの1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン〔イソホロンジアミンまたはIPDA;Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社製;アミン含量:11.67mmol N/g〕を、15.00gの2,2-ジメチル-3-(N-(2,6-ジメチル)モルホリノ)プロパナールと反応させた。収量19.7g、7.33mmol N/gのアミン含量及び20℃で10.5Pa.sの粘度を有する、無色透明のオイルを得た。
IR: 2968, 2952, 2930, 2907, 2862, 2808, 2769sh, 2731, 2624, 1727, 1664 (C=N), 1456, 1396sh, 1374, 1363, 1320, 1280, 1248, 1230, 1216, 1178, 1144, 1082, 1040, 1000, 968, 939, 916, 878, 864, 838, 803, 774。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.61及び7.48 (2×m, 2×1H, CH=N), 3.62 (m, 4H, OCHCH3), 3.31 (s, 約0.5 H, CH=N-CH2Ccycl. [異性体]), 3.28 (m, 1H, CH=N-CHcycl.), 3.11及び3.01 (2×d, J = 11.1, 約1.5H, CH=N-CH2Ccycl. [異性体]), 2.62 (d, J = 10.0, 4H of NCH2cycl.), 2.32及び2.31 (2×s, 4H, NCH2C(CH3)2), 1.89及び1.81 (2×d, J = 10.0, NCH2cycl.の4H), 1.6-0.8 (m, 39H, CH2cycl.及び全てのCH3)。
【0243】
実施例6:アルジミンA-6
実施例1で記載したのと同様の条件下で、6.07gの1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン〔イソホロンジアミンまたはIPDA;Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社製;アミン含量:11.67mmol N/g〕を、15.00gの2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルメチルアミノ)プロパナールと反応させた。収量19.7g、7.24mmol N/gのアミン含量及び20℃で2.8Pa.sの粘度を有する、無色透明のオイルを得た。
IR: 3084, 3060, 3026, 2948, 2916, 2864, 2838, 2806, 2782, 2708, 1944, 1871, 1807, 1726, 1664 (C=N), 1602, 1585, 1541, 1494, 1452, 1418, 1386, 1377, 1362, 1322, 1260, 1249sh, 1203sh, 1188, 1168, 1120, 1074, 1036, 1026, 1000, 974, 939sh, 904, 890, 858, 824, 736, 696, 670。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.63及び7.50 (2×s,約3/1の比, 1H, CH=N [異性体]), 7.49 (m, 1H, CH=N), 7.34-7.18 (m, 10 Ph-H), 3.52及び3.51 (2×s, 2×2H, PhCH2N), 3.30 (s, 約0.5H, CH=N-CH2Ccycl. [異性体]), 3.27 (m, 1H, CH=N-CHcycl.), 3.10及び2.99 (2×d, J = 11.1, 約1.5H, CH=N-CH2Ccycl. [異性体]), 2.47及び2.46 (2×s, 2×2H, NCH2C(CH3)2), 2.17及び2.16 (2×s, 2×2H, NCH3), 1.6-0.8 (m, 27H, CH2cycl.及び全てのC-CH3)。
【0244】
実施例7:アルジミンA-7
実施例1で記載したのと同様の条件下で、5.34gの1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン〔イソホロンジアミンまたはIPDA;Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社製;アミン含量11.67mmol N/g〕を、15.00gの2,2-ジメチル-3-(N-ベンジルイソプロピルアミノ)プロパナールと反応させた。収量19.2g、6.56mmol N/gのアミン含量及び20℃で150Pa.sの粘度を有する、淡黄色透明のハチミツ様物質を得た。
IR: 3082, 3060, 3024, 2958, 2922, 2864, 2816, 2710, 1944, 1872, 1805, 1662 (C=N), 1602, 1585, 1494, 1460, 1452sh, 1386, 1362, 1320, 1299, 1240, 1205sh, 1164, 1116, 1092, 1074, 1054, 1026, 998, 966, 940, 890, 845, 826, 774, 728, 696。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.56及び7.53 (2×s, 約3/1の比率, 1H, CH=N [異性体]), 7.41 (m, 1H, CH=N), 7.34-7.14 (m, 10 Ph-H), 3.59及び3.57 (2×s, 2×2H, PhCH2N), 3.18 (m, 1H, CH=N-CHcycl.), 2.98及び2.89 (2×d, J = 11.0, 2H, CH=N-CH2Ccycl.), 2.77 (m, 2H, NCH(CH3)2), 2.44 (s, 4H, NCH2C(CH3)2), 1.6-0.8 (m, 39H, CH2cycl.及び全てのCH3)。
【0245】
実施例8:アルジミンA-8
実施例1で記載したのと同様の条件下で、6.31gの1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミンまたはIPDA;Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社製;アミン含量11.67mmol N/g)を、15.00gの2,2-ジメチル-3-(N-シクロヘキシルメチルアミノ)プロパナールと反応させた。収量19.6g、7.38mmol N/gのアミン含量及び20℃で28Pa.sの粘度を有する、無色透明のハチミツ様物質を得た。
IR: 2924, 2850, 2807, 1726, 1664 (C=N), 1462sh, 1450, 1378, 1362, 1345sh, 1315sh, 1260, 1200, 1176, 1140, 1116, 1103sh, 1071sh, 1044, 1026, 1001sh, 986, 971sh, 940sh, 917, 890, 860, 836, 785。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.64及び7.62 (2×s, 約3/1の比率, 1H, CH=N [異性体]), 7.50 (m, 1H, CH=N), 3.33 (s, 約0.5H, CH=N-CH2Ccycl.) [異性体]), 3.28 (m, 1H, CH=N-CHcycl.), 3.13及び3.01 (2×d, J = 11.1, 約1.5H, CH=N-CH2Ccycl. [異性体]), 2.40 (s, 4H, NCH2C(CH3)2), 2.23 (m, 8H, N(CH3)CHcycl.), 1.74 (m, 8 Cy-H), 1.59 (m, 2 Cy-H), 1.4-0.9 (m, 37H, Cy-H及び全てのC-CH3)。
【0246】
実施例9:アルジミンA-9
実施例1で記載したのと同様の条件下で、9.05gの2-(2-アミノエトキシ)エタノール〔DGA;Diglycolamine(登録商標)剤、Huntsman社製;アミン含量9.39mmol N/g〕を、15.00gの2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールと反応させた。収量22.5g、7.61mmol N/gのアミン含量及び20℃で130mPa.sの粘度を有する無色透明のオイルを得た。
IR: 3415br (OH), 2953, 2919, 2887, 2850, 2805, 1665 (C=N), 1454, 1397, 1376, 1358, 1335, 1318, 1282, 1268, 1228br, 1206, 1115, 1068, 1036, 1012, 949, 927, 883, 863, 802。
1H NMR (CDCl3, 300°K): δ 7.63 (t, J = 1.3, 1H, CH=N), 3.75-3.55 (m, 12H, OCH2cycl.及びHOCH2CH2OCH2CH2N=CH), 2.47 (m, 4H, NCH2cycl.), 2.43 (br s, 1H, OH), 2.36 (s, 2H, NCH2C(CH3)2), 1.07 (S, 6H, CH2C(CH3)2)。
【0247】
実施例10:アルジミンA-10
実施例1で記載したのと同様の条件下で、17.38gのN-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン(BASF社製;アミン含量12.84mmol N/g)を、20.00gの2,2-ジメチル-3-(N-モルホリノ)プロパナールと反応させた。収量35.3g、9.56mmol N/gのアミン含量及び20℃で52mPa.sの粘度を有する無色透明のオイルを得た。
IR: 3304br (NH), 2952sh, 2924, 2849, 2808, 2687, 1726, 1664 (C=N), 1450, 1396, 1376sh, 1360, 1349sh, 1332, 1317, 1282, 1267, 1204, 1134, 1116, 1070, 1036, 1012, 932br, 886, 864, 846, 802, 735br。
【0248】
実施例11:アルジミンA-11
球状フラスコ中、窒素雰囲気下で、2.15g(7.1mmol)のN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)-N-メチルピロリジニウムヨージドを約2mlの水中に溶解させ、その溶液を、0.58g(3.5mmol)の1,6-ヘキサメチレンジアミン(70%水溶液;アミン含量12.16mmol N/g)とともに撹拌しながら混合した。続いて、得られた無色透明の溶液を油浴中で加熱し、揮発性成分を減圧下で留去した(10mbar、80℃)。これにより、淡黄色透明のガラス様生成物を得た。
【0249】
他の調製法:
窒素雰囲気下で、1.00gのアルジミンA-1を秤量し、0.73g(5.1mmol)のヨウ化メチルとともに薬瓶に秤量した後密封し、よく振って混合した。直ちに混合物はわずかに懸濁した状態となり;数分後、淡黄色オイルの形態の沈殿物が容器の底に沈殿し始めた。薬瓶を室温にて1時間放置した後、次いで60℃に加熱した。2時間後、全内容物は淡黄色のガラス状オイルに凝固した。
IR: 2962, 2928, 2852, 2834sh, 2780sh, 1724 (C=O), 1664 (C=N), 1460, 1386, 1366, 1342, 1306, 1262, 1222, 1168, 1142, 1114, 1098, 1042, 1002, 970, 942, 928, 904, 890, 824, 789, 730。
1H NMR (D2O, 300°K): δ 7.88 (s, 2H, CH=N), 3.68及び3.51 (2×m, 8H及び4H, cycl.CH2CH2N(CH3)CH2C(CH3)2), 3.48 (t, J = 7.0, 4H, CH=N-CH2), 2.97 (s, 6H, NCH3), 2.20 (br m, 8H, cycl.CH2CH2N), 1.59 (m, 4H, CH=N-CH2CH2), 1.31 (m, 16H, CH=N-CH2CH2CH2及びCH2C(CH3)2)。
【0250】
比較例12:アルジミンA-12
50.9g(0.18mol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを、窒素雰囲気下の丸底フラスコに最初に導入した。激しく撹拌しながら、10.0g(0.17molのN)の1,6-ヘキサメチレンジアミン(BASF社;アミン含量17.04mmol N/g)を加熱した滴下漏斗を用いてゆっくりと滴下した。この滴下の工程において、混合物は加熱されて、次第に懸濁状態になった。その後、揮発性成分を減圧下で留去した(10mbar、80℃)。収量57.7g、2.94mmol N/gのアミン含量を有する、淡黄色透明のオイルを得た。
【0251】
比較例13:アルジミンA-13
実施例12で記載したのと同様の条件下で、74.3g(0.26mol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを、30.0g(0.25molのN)のポリエーテルジアミン〔約240g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン;Jeffamine(登録商標)D-230、Huntsman社製;アミン含量8.29mmol N/g〕と反応させた。収量99.5g、2.50mmol N/gのアミン含量を有する、淡黄色透明のオイルを得た。
【0252】
比較例14:アルジミンA-14
実施例12で記載したのと同様の条件下で、55.0g(0.19mol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを、15.6g(0.18molのN)の1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン〔イソホロンジアミンまたはIPDA;Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社製;アミン含量11.67mmol〕と反応させた。収量67.1g、2.73mmol N/gのアミン含量を有する、無色透明のオイルを得た。
【0253】
4.化合物AV1の調製
【0254】
実施例15:アルジミンA-15
第一の段階として、80℃で、590gのAcclaim(登録商標)4200Nポリオール(ポリプロピレンオキシドジオール、OH数28.5mg KOH/g;Bayer社製)、1180gのCaradol(登録商標)MD34-02ポリオール(ポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシドトリオール、OH数35.0mg KOH/g;Shell社製)、及び230gのイソホロンジイソシアネート〔IPDI;Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa社製〕を、既知の方法で、2.1質量%の遊離イソシアネート基を有し(滴定法で測定)、かつ20℃で22Pa.sの粘度を有するNCO末端のポリウレタンポリマーへと変換した。
【0255】
室温にて、実施例9のアルジミンA-9(1.31g、5.0mmol)を、10.00gの上記ポリウレタンポリマー(NCOの5.0ミリ当量)を添加し、混合物を遠心ミキサー〔SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.〕を用いて念入りに混合し、次いで60℃に加熱した。24時間後、FT-IRスペクトルにおけてNCOバンド(2265cm-1)は消失した。これにより、0.44mmol N/gのアミン含量及び20℃で110Pa.sの粘度を有する、均質で透明な、無臭の液体を得た。
IR: 3340br (NH), 2967, 2929, 2893sh, 2864, 1720 (C=O), 1666 (C=N), 1529, 1454, 1372, 1344, 1299, 1282, 1239, 1094, 1013, 925, 908sh, 865, 835, 775, 660。
【0256】
5.硬化性組成物の調製
【0257】
実施例16〜20及び比較例21
ねじふた付きのポリプロピレンビーカー中で、その調製については以下に記載があるポリウレタンポリマー1を、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.;2500rpmで1分間)によってアルジミン及び触媒と混合して均一材料を得、こうして得た材料を気密に密封した内部コート付アルミニウム管内に直ちに移した。使用したアルジミン及び触媒の種類を、実施例それぞれについて表1に質量部で列挙した。
【0258】
ポリウレタンポリマー1を以下のように調製した:
【0259】
Acclaim(登録商標)4200 N ポリオール(ポリプロピレンオキサイドジオール、OH数28.5mgKOH/g;Bayer社製)590g、Caradol(登録商標)MD34-02 ポリオール(ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドトリオール、OH数35.0mgKOH/g;Shell社製)1180g及びイソホロンジイソシアネート(IPDI;Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa社製)230gを、公知の方法により80℃でNCO末端ポリウレタンポリマーに転換し、このポリマーは、滴定法で求めた遊離イソシアネート基の含量が2.1質量%、20℃の粘度が22Pa.sであった。
【0260】
イソシアネート基とブロックアミノ基の比はすべての実施例で1.0/0.7であった。
【0261】
【表1】
【0262】
こうして得た組成物の貯蔵安定性、スキン層形成時間、及び硬化後の機械的特性を試験した。
【0263】
高温条件下での貯蔵中の粘度変化により、貯蔵安定性を求めた。この目的のために、閉じた管中の組成物をオーブン中で60℃で貯蔵し、第1番目に貯蔵4時間後、第2番目に貯蔵7日後に20℃の粘度を測定した。第1番目に対する第2番目の粘度の増加%から貯蔵安定性を計算する。
【0264】
スキン層形成時間(「非粘着時間」)を測定するために、4時間にわたり60℃で貯蔵しておいた組成物の小部分を層厚約2mmでカードボードに施用し、LDPEピペットを使用して組成物の表面を軽く叩いた場合に、標準的な気候条件下(23±1℃、相対湿度50±5%)でピペット上に組成物が全く残らなくなるまでに要する時間を求めた。
【0265】
機械的特性を求めるために、組成物の大部分を使用して、組成物を平面状のPTFE金型内に注ぎ、標準的な気候条件下で7日間にわたり硬化させることによって厚さ約3mmのフィルムを製造した。透明で非粘着性の弾性ポリウレタンフィルムを得、このフィルムには泡が全く存在しなかった。長さ75mm、エレメントの中心長さ30mm及びエレメントの中心幅4mmのダンベルをフィルムからパンチアウトし、DIN EN 53504により、引張り強度、破断伸び及び弾性率(伸び0.5〜5%で)(引張り速度:200mm/分)を試験した。
【0266】
これらの試験の結果を表2に列挙する。
【0267】
【表2】
【0268】
実施例22〜27
弾性1Kシーラント(例えば、膨張シーラント用)
それぞれの実施例について、表3による特定の成分を、事前の乾燥なしで指定の質量部において、水分を除いた真空ミキサー中で処理することによって塊のない均一なペーストを得、このペーストを、気密に密封した内部コート付アルミニウムカートリッジ内に直ちに移した。
【0269】
ポリウレタンポリマー1を実施例16に記載したのと同様に調製した。
【0270】
尿素増粘剤を以下のように調製した:
【0271】
最初に、フタール酸ジイソデシル(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF)3000g及び4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer)480gを真空ミキサーに装入し、穏やかに加熱した。次いで、激しく撹拌しながら、モノブチルアミン270gをゆっくりと滴下した。さらに1時間冷却しながら、形成されたこのペーストを真空下で撹拌した。
【0272】
実施例すべてにおいて、イソシアネート基とブロックアミノ基(オキサゾリジノ基は2倍で計算する)の和の比は1.0/0.67である。
【0273】
【表3】
【0274】
こうして得たシーラントのスキン層形成時間、総硬化速度、粘着性、シミ及び硬化後の機械的特性を試験した。
【0275】
実施例16に記載したのと同様にスキン層形成時間を求めた。
【0276】
壁に固定され、標準的な気候条件下に7日間放置され、次いで中間で垂直に切断された1枚のカードボードに対して、長さ約50mm、中間の厚さ30mmの水平で固定せずに懸垂させた水平コーンとしての円形チップ(オリフィス10mm)からカートリッジガンを用いてシーラントを施用することによって総硬化速度を求め、定規を用いて硬化層の厚さを測定した。
【0277】
1日または3日にわたり貯蔵したショアA試験用供試体に指で親指を押し付けることによって粘着性を求めたが、その粘着性は、手を持ち上げた場合に試験用供試体が親指と接着状態でなくなるまでの時間として全く定性的に評価した(高/中間/低/ゼロ)。
【0278】
試料が施用されて未だ新鮮な状態にある1枚の紙にショアA試験用供試体を適用してから1週間後に形成されたグリースのリングの大きさ(大/中間/小/なし)を基準にしてシミを評価した。
【0279】
硬化後の機械的特性を求めるために、ショアA硬度、引張り強度、破断伸び及び100%伸び応力を測定した。14日にわたり標準的な気候条件下で硬化させた試験用供試体についてDIN 53505によりショアA硬度を測定した。さらなる機械的特性を試験するために、調製後2時間のシーラントを、プレスを用いて加圧して厚さ約2mmのフィルムにし、そのフィルムを14日にわたり標準的な気候条件下で硬化させ、DIN EN 53504により、引張り強度、破断伸び及び100%伸び応力を測定した(引張り速度:200mm/分)。
【0280】
試験の結果を表4に示す。
【0281】
【表4】
【0282】
実施例28及び比較例29〜31
弾性1K接着剤(例えば、建造物、アセンブリー用)
それぞれの実施例について、指定の質量部における表5による特定の成分を、事前の乾燥なしで、水分を除いた真空ミキサー中で処理することによって塊のない均一なペーストを得、このペーストを、気密に密封された内部コート付アルミニウムカートリッジ内に直ちに移した。
【0283】
ポリウレタンポリマー1及び尿素増粘剤を、それぞれ実施例16及び実施例22に記載したのと同様に調製した。
【0284】
実施例すべてにおいて、イソシアネート基とブロックアミノ基(オキサゾリジノ基は2倍で計算する)の和の比は1.0/0.52である。
【0285】
【表5】
【0286】
実施例22に記載したのと同様に、こうして得た接着剤のスキン層形成時間、総硬化速度、シミ及び硬化後の機械的特性を試験したが、但し、100%伸び応力引張りの代わりに弾性率(伸び0.5〜5%)を報告する。試験の結果を表6に示す。
【0287】
【表6】
【0288】
実施例32〜37及び比較例38〜40
2K埋め込み組成物
それぞれの実施例について、表7による成分K2の特定の成分を、事前乾燥なしで指定の質量部で秤量し、ねじふた付きのポリプロピレンビーカーに入れ、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.;3000rpmで2分間)を用いて混合して均一なクリームを得た。
【0289】
【表7】
【0290】
これに対して、成分K1として表7に指定されたPMDIの質量部を添加し、混合した(3000rpmで30秒)。成分K1のイソシアネート基と成分K2の反応性基(ヒドロキシ及びアルジミノ基)の和の比は常に1.1である。
【0291】
こうして得た二成分ポリウレタン埋め込み組成物の硬化速度、機械的特性及び泡形成を試験した。
【0292】
【表8】
【0293】
第1番目に、実施例16に記載されたスキン層形成時間と同じ方法で測定された非粘着性時間を測定することによって硬化速度の指標を得た。第2番目に、DIN 53505によるショアD硬度を定期的に測定することによってさらなる硬化過程を監視した。
【0294】
7日間にわたり標準的な気候条件下で硬化した厚さ約2mmの流し込みフィルムについて、DIN EN 53504による引張り強度、破断伸び及び弾性率(伸び0.5〜3%で)を測定した(引張り速度:10mm/分)。
【0295】
標準的な気候条件下で層厚2mmのフィルムを硬化させる過程で生じた泡の量によって泡形成を定性的に評価した。
【0296】
これらの結果を表8に示す。
【0297】
実施例41〜43
半構造的2K接着剤
それぞれの実施例について、表9による成分K2の特定の成分を、事前乾燥なしで指定の質量部で秤量し、ねじふた付きのポリプロピレンビーカーに入れ、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.;3000rpmで2分間)を用いて混合して均一なクリームを得た。これに対して、成分K1として表9に指定されたPMDIの質量部を添加し、混合した(3000rpmで30秒)。
【0298】
【表9】
【0299】
成分K1のイソシアネート基と成分K2の反応性基(ヒドロキシ及びアルジミノ基)の和の比は常に1.1である。
【0300】
こうして得た二成分ポリウレタン接着剤の硬化速度、機械的特性及び泡形成を実施例32に記載したのと同様に試験した。試験の結果を表10に示す。
【0301】
【表10】
【0302】
実施例44〜45及び比較例46
弾性1Kコーティング(例えば、床仕上げ剤用)
それぞれの実施例について、表11によるコーティング材料の特定の成分を、事前乾燥なしで指定の質量部で秤量し、ねじふた付きのポリプロピレンビーカーに入れ、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.;2500rpmで1分間)を用いて混合し、この混合物を気密に密封された内部コート付アルミニウム管内に直ちに移した。アルジミノ基とイソシアネート基の特定の比(アルジミノ/NCO比)を表11に報告する。
【0303】
ポリウレタンポリマー2を以下のように調製した:
【0304】
ポリオキシプロピレンジオール(Desmophen(登録商標)1111 BD、Bayer社製;OH数111.4mgKOH/g)1060g、ポリオキシプロピレンジオール(Desmophen(登録商標)2061 BD、Bayer社製;OH数56.1mgKOH/g)650g、イソホロンジイソシアネート(Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa社製)770g及びジブチルスズジラウレート0.25gを80℃で反応させて、遊離イソシアネート基の含量が6.8質量%であるNCO末端ポリウレタンポリマーを得た。
【0305】
【表11】
【0306】
こうして得た一成分ポリウレタンコーティング材料の貯蔵安定性、スキン層形成時間、機械的特性、泡形成及び臭気形成を試験した。
【0307】
高温での貯蔵前後のコーティング材料の粘度を比較することによって貯蔵安定性を求めた。この目的のために、コーティング材料を40℃でオーブン内で閉じた管中で貯蔵し、その粘度をまず最初に調製後2時間、2番目に貯蔵期間24日後に測定した。
【0308】
スキン層形成時間を実施例16に記載したのと同様に測定した。同様に、機械的特性も実施例16に記載したのと同様に測定したが、但し、標準的な気候条件下でショア試験用供試体の硬化速度は、28日であったが、フィルムの硬化速度は、21日であった。
【0309】
硬化フィルム上から10cmの距離で鼻で嗅ぐことによって臭気形成を定性的に評価した。
【0310】
これらの試験の結果を表12に列挙する。
【0311】
【表12】
【0312】
実施例47
弾性2Kコーティング(例えば、床仕上げ剤用)
成分K1を調製するために、64質量部(PW)のポリウレタンポリマー2、32PWのIPDIトリマー45質量%キシレン溶液(Vestanat(登録商標)T1890/100、Degussa社製;17.3質量%のNCOを含む)、1PWの酸触媒(サリチル酸の5質量%アジピン酸ジオクチル溶液)、0.5PWのアミン触媒(2,2'-ジモルホリノジエチルエーテル、DABCO(登録商標) DMDEE Catalyst、Air Products社製)、1PWのスズ触媒(ジブチルスズジラウレートの10質量%フタール酸ジイソデシル溶液及び1.5PWの脱泡剤(BYK-088、BYK-Chemie/ALTANA)を事前乾燥なしにポリプロピレンカートリッジ中に秤量し、遠心ミキサー(SpeedMixer(商標)DAC 150、FlackTek Inc.;2500rpmで30秒間)を用いて混合した。これに対して、成分K2として19.5PWのアルジミンA-5を添加し、これを混合した(2500rpmで30秒)。成分K1のイソシアネート基と成分K2の反応性基(ヒドロキシ及びアルジミノ基)の和の比は1.1である。
【0313】
実施例44に記載したのと同様に、ポリウレタンポリマー2を調製した。
【0314】
こうして得た二成分ポリウレタンコーティング材料の非粘着性時間、硬化後の機械的特性ならびに泡形成及び臭気形成を試験した。
【0315】
実施例16のスキン層形成時間と同じ方法で非粘着性時間を測定した。同様に、機械的特性も実施例16に記載したのと同様に測定したが、但し、標準的な気候条件下でショア試験用供試体の硬化時間は、28日であったが、フィルムの硬化時間は、14日であった。泡形成及び臭気形成を実施例44に記載したのと同様に測定した。
【0316】
これらの結果を表13に示す。
【0317】
【表13】
【0318】
実施例48
1K塗料(コーティング材料またはプライマーとして適切な)
その調製について以下に記載されている1.00gのポリウレタンポリマー3、0.29gのアルジミンA-4、0.10gの3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びスパチュラ一匙のサリチル酸の混合物を、固体含量50質量%まで酢酸エチルで希釈した。
【0319】
ポリウレタンポリマー3を以下のように調製した:
【0320】
1.00gのポリオキシプロピレンジオール(Desmophen(登録商標)1112 BD、Bayer社製;OH数112mgKOH/g)、4.06gのIPDIトリマー(Vestanat(登録商標)T1890/100、Degussa社製)及び5.06gの酢酸エチルを、滴定法で求めた遊離イソシアネート基の含有量が5.7質量%であるポリウレタンポリマーに公知の方法により60℃で転換した。
【0321】
予めヘプタンで清浄化し、標準的な気候条件下に放置しておいたガラスプレート(フロートガラス;Rocholl、ドイツSchonbrunn社製)に得られた溶液の小部分をブラシを用いて薄層になるように施用した。30分後に、良好な接着性と完全に乾燥した表面を備えた非粘着性で輝きのある透明フィルムが形成された。3日後に、フィルムは、鉛筆硬度が6H〜7H(Wolff-Wilborn引っ掻き硬度、ISO15184により測定)であった。フィルムのガラスへの接着性は優れていた(硬度9Hの鉛筆で引っ掻いても裂け目は全くなかった)。
【0322】
上記の方法で溶液のさらなる部分を別のガラスプレートに施用し、標準的な気候条件下に放置した。30分後に、一成分ポリウレタン接着剤(Sika Schweiz AG社から入手できるSikaTack(登録商標)Ultrafast)を三角ビーズの形態で施用済みのフィルムに施用し、そのガラスプレートを7日間にわたり標準的な気候条件下に貯蔵した。その過程で接着剤は硬化した。次いで、カッターを用いて基材のわずかに上までビーズを切開し、切開端を手で保持し、次いで基材から注意してゆっくりと引張るまたは引き離し、ビーズのもう一方の端の方向に引き剥がすことによって接着ビーズの基材に対する接着性を試験した。この過程で、ビーズが千切れそうな恐れがある場合には、引張り方向と直角にカッターでビーズを切開して正常にもどした。ビーズの接着性は優れたものであった;破断は100%接着剤内部で起こっていた(「凝集破壊」)。
【0323】
残りの未施用溶液は、粘度の大幅な増加なしで遮光容器中に数週間にわたり貯蔵可能であった。