特許第6141882号(P6141882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141882
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】埋め込み可能な生物学的ホルダ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/08 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   A61F2/08
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-555728(P2014-555728)
(86)(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公表番号】特表2015-509032(P2015-509032A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】US2013024235
(87)【国際公開番号】WO2013116574
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】13/365,000
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェームズ・ペリエッロ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・ロドリーグ・ベルーブ・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・マーク・ボーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アルバート・スルサーズ・ジュニア
【審査官】 伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−153710(JP,A)
【文献】 米国特許第06283996(US,B1)
【文献】 特開2005−305162(JP,A)
【文献】 特開2000−210311(JP,A)
【文献】 特開2002−035018(JP,A)
【文献】 特開平11−318959(JP,A)
【文献】 米国特許第06280474(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/08
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォーム部材と、
移植片接続要素の一部分が移植組織片に取り付けるためのループを形成するように、前記プラットフォーム部材に結合された移植片接続要素と、
前記移植片接続要素の前記ループに結合され、生物学的材料を包囲するように構成された包囲部材であって、前記生物学的材料を受け入れるように構成された開口を画定する包囲部材と、
を備え、前記移植片接続要素および前記包囲部材が、使用中に前記移植組織片が前記ループに結合されるとともに前記包囲部材の外側と接触するように、構成された移植組織片懸架デバイス。
【請求項2】
前記移植片接続要素が、縫合糸の連続したループである請求項1に記載の移植組織片懸架デバイス。
【請求項3】
前記ループが、前記包囲部材の開口を通過する請求項1に記載の移植組織片懸架デバイス。
【請求項4】
前記ループが、前記包囲部材の取り付け要素を通過する請求項1に記載の移植組織片懸架デバイス。
【請求項5】
前記包囲部材が、前記生物学的材料を受け入れるように構成された2つの開口を画定する請求項1に記載の移植組織片懸架デバイス。
【請求項6】
前記生物学的材料が、フィブリンクロットである請求項1に記載の移植組織片懸架デバイス。
【請求項7】
前記生物学的材料が、多血小板血漿である請求項1に記載の移植組織片懸架デバイス。
【請求項8】
前記包囲部材に取り付けられた1つまたは複数のフィラメントをさらに備える請求項1に記載の移植組織片懸架デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、埋め込み可能な生物学的ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
断裂して修復不可能な、前十字靱帯(ACL)などの靱帯は、関節鏡検査法で移植組織片によって置き換えられ得る。移植組織片は天然であってよく、身体の別の部分から採取可能である。たとえば、ACL修復の場合、移植組織片は、各端にいわゆる「骨ブロック」を有する膝蓋腱の一部分から、ならびに半腱様筋および薄筋から、採取可能である。あるいは、移植組織片は、合成材料から、または合成材料と天然材料の組み合わせから、形成することができる。ACLを修復するとき、置換用移植組織片は、大腿骨内部の通路に形成された受け口の中に移植組織片の一端を固着し、脛骨に形成された通路に移植片の他端を通過させることによって、埋め込むことができる。
【0003】
フィブリンクロットなどの生物学的材料は、治癒を促進するために、たとえばカニューレを介して靱帯または他の軟部組織の損傷部位に挿入されてもよく、たとえば縫合によって移植組織片に直接取り付けられてもよい。損傷部位への生物学的材料の適用は、治癒を促進する助けとなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、移植組織片懸架デバイスは、プラットフォーム部材と、移植片接続要素の一部分が移植組織片に取り付けるためのループを形成するように、プラットフォーム部材に結合された移植片接続要素と、移植片接続要素のループに結合され、生物学的材料を包囲するように構成された包囲部材と、を含む。包囲部材は、生物学的材料を受け入れるように構成された開口を画定する。移植片接続要素および包囲部材は、使用中に移植組織片がループに結合されるとともに包囲部材と接触するように構成される。
【0005】
この態様の実装形態は、次の特徴のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0006】
たとえば、移植片接続要素は縫合糸の連続したループであってよい。ループは、包囲部材の開口を通過してよい。ループは、包囲部材の取り付け要素を通過してよい。包囲部材は、生物学的材料を受け入れるように構成された2つの開口を画定してよい。生物学的材料はフィブリンクロットであってもよい。生物学的材料は多血小板血漿であってもよい。移植組織片懸架デバイスは、包囲部材に取り付けられた1つまたは複数のフィラメントをさらに含んでよい。
【0007】
別の態様によれば、移植組織片を固着する方法は、移植片接続要素に結合されたプラットフォーム部材を用意するステップであって、移植片接続要素は包囲部材に結合されるとともに移植組織片に取り付けるためのループを形成し、包囲部材は生物学的材料を包囲するように構成される、ステップと、包囲部材内の開口を通して生物学的材料を挿入するステップと、移植組織片が包囲部材と接触するように移植片接続要素に移植組織片を取り付けるステップと、骨内に骨孔(bone tunnel)を形成するステップと、少なくとも移植組織片の一部分が骨孔の中にあるようにプラットフォーム部材を骨の表面上に位置決めするステップと、を含む。
【0008】
この態様の実装形態は、次の特徴のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0009】
たとえば、移植片接続要素に移植組織片を取り付けるステップは、包囲部材が移植組織片の2つの部分の間に位置決めされるように、移植組織片を移植片接続要素のループに通してループ化するステップを含んでよい。移植片接続要素に移植組織片を取り付けるステップは、移植片接続要素を移植組織片の骨ブロック内の開口に通してループ化するステップを含んでよい。骨孔は、第1の開口と、第2の開口と、を含んでよい。プラットフォーム部材を骨の表面上に位置決めするステップは、プラットフォーム部材を、第1の開口を通して骨孔に、および骨孔に挿入するステップと、プラットフォーム部材を、孔を通って第2の開口の外へ移動させるステップと、移植片接続要素に取り付けられた移植組織片の第1の部分が孔の中にあり、かつ移植組織片の第2の部分が第1の開口から延出するように、移植片接続要素が骨孔の中に延びて入る状態で、第2の開口の上にプラットフォーム部材を位置決めするステップと、を含んでよい。
【0010】
さらに別の態様によれば、生物学的材料を受け入れるための骨格(scaffold)は、生物学的材料を含浸させた中央部分であって、織布パターンに配置されたフィラメントを備える中央部分と、中央部分の縁部に取り付けられた案内部分であって、1つまたは複数のフィラメントを備える案内部分と、を含む。骨格は、軟部組織内の断裂部に挿入されるように構成される。
【0011】
この態様の実装形態は、次の特徴のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0012】
たとえば、軟部組織内の断裂部は半月断裂部であってよい。案内部分は、中央部分の第1の縁部に取り付けられた第1の案内部分と、中央部分の第2の縁部に取り付けられた第2の案内部分と、を含んでよく、第2の縁部は第1の縁部と対向してよい。案内部分は、中央部分の織布パターンから延出する1つまたは複数のフィラメントを含んでよい。
【0013】
さらなる態様によれば、軟部組織断裂部を修復する方法は、中央部分と案内部分とを備える骨格を用意するステップであって、中央部分は織布パターンに配置されたフィラメントを備える、ステップと、骨格の中央部分に生物学的材料を含浸させるステップと、骨格の縁部を軟部組織断裂部に挿入するステップと、案内部分を操作することによって、軟部組織断裂部の中の骨格の中央部分を最終的な位置に挿入するステップと、を含む。
【0014】
この態様の実装形態は、次の特徴のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0015】
たとえば、軟部組織は半月であってよい。骨格の中央部分に生物学的材料を含浸させるステップは、フィブリンクロットまたは多血小板血漿のうちの少なくとも1つを中央部分の周囲に形成するステップを含む。骨格の中央部分に生物学的材料を含浸させるステップは、中央部分をフィブリンクロットまたは多血小板血漿のうちの少なくとも1つに押し込むステップを含んでよい。
【0016】
1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。その他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】大腿骨内部に埋め込まれた移植片取り付けデバイスの斜視図である。
図1B】大腿骨内部の移植片取り付けデバイスの代替埋め込みの斜視図である。
図2】移植片取り付けデバイスの斜視図である。
図3A】移植組織片に結合された移植片取り付けデバイスの斜視図である。
図3B】移植組織片に結合された移植片取り付けデバイスの斜視図である。
図4】代替移植組織片に結合された代替移植片取り付けデバイスの斜視図である。
図5】半月断裂部の中に埋め込まれた縫合糸骨格の上面図である。
図6】縫合糸骨格の側面図である。
図7A】半月断裂部の中に埋め込まれた縫合糸骨格の斜視図である。
図7B】半月断裂部の中に埋め込まれた縫合糸骨格の別の上面図である。
図7C】7C−7C線に沿った図7Bの縫合糸骨格の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書は、生物学的材料たとえばフィブリンクロットを保持し、その生物学的材料が靱帯または他の軟部組織と接触するように靱帯または他の軟部組織の修復部位の内部に位置決めできる、埋め込み可能な包囲部材および埋め込み可能な骨格の例について説明する。
【0019】
図1Aを参照すると、移植片取り付けデバイス10が、たとえば前十字靱帯(ACL)修復および再建術中に埋め込まれ、大腿骨14の大腿骨孔12aの中に位置決めされる。場合によっては、移植片取り付けデバイス10は、より短い大腿骨孔12b(図1B)の中に位置決めされてよい。移植片取り付けデバイス10は、プラットフォーム部材16と、移植片接続要素18と、包囲部材20と、を含み、移植組織片22、たとえば半腱様筋および薄筋移植片に結合することができる。大腿骨孔12a、12bは移植片22の一端を受け入れることができ、脛骨26の内部にある脛骨孔24は他端を受け入れることができる。
【0020】
図2も参照すると、移植片取り付けデバイス10の包囲部材20は全体的に袋状の構造であり、この構造は、ウルトラブレイドスーチャー5号などの縫合糸材料の編み組みメッシュまたは織物メッシュ、コラーゲンなどの天然材料、またはそれらの組み合わせから作製されてよい。包囲部材20は、包囲部材20の対向する部分上に位置決めされた2つの開口28a、28bを有する。開口28a、28bは、以下でさらに説明するように、包囲部材20が生物学的材料30を受け入れ保持することを可能にすることができる。あるいは、包囲部材は、単一の開口を有してもよく、3つ以上の開口を有してもよく、開口を有さなくてもよい。複数のフィラメント、糸、縫合糸などは、包囲部材20の一部分に取り付けられて、たとえば包囲部材20を移植片取り付けデバイス10の他の部分または移植組織片22に結合する助けとなる。場合によっては、包囲部材20は、連続した帯状の縫合糸材料とすることができる。あるいは、包囲部材20は、生物学的材料30を含浸させるように構成された骨格状構造とすることができる。
【0021】
移植片取り付けデバイス10の移植片接続要素18は、以下でさらに説明するように、移植組織片22(図1A図1B)を移植片取り付けデバイス10に結合する。図2に示すように、移植片接続要素18は、包囲部材20をプラットフォーム部材16に結合するように包囲部材20の開口28a、28bおよびプラットフォーム部材16の開口32を通してループが形成された、ウルトラブレイドスーチャー5号などの縫合糸またはポリエステルなどの他の材料の連続したループとすることができる。代替として、またはそれに加えて、移植片接続要素18は、種々のフィラメントおよび他の取り付け要素(図示せず)を介して包囲部材20およびプラットフォーム部材16に結合することができる。
【0022】
移植片取り付けデバイス10のプラットフォーム部材16は、大腿骨14(図1A図1B)の皮質表面上に位置決めすることができ、大腿骨孔12a、12bの中に移植片取り付けデバイス10および移植組織片22を固着する助けとなる。種々の縫合糸は、プラットフォーム部材16の1つまたは複数の開口32を通してループ化され、外科医が、必要に応じて、プラットフォーム部材16を大腿骨孔12a、12bから引き出し、大腿骨14の皮質表面上にプラットフォーム部材16を位置決めすることができる。
【0023】
移植片取り付けデバイス10は、種々のフィラメント、糸、縫合糸などに加えて、特定の金属合金およびポリマーなどの任意の生体適合性材料または生体適合性材料の組み合わせから形成された構成要素を含むことができる。移植片取り付けデバイス10の構成要素は、PEEK(登録商標)またはアセタールなどの非吸収性材料を含むことができる。代替として、またはそれに加えて、移植片取り付けデバイス10の構成要素は、PLLAなどの生体吸収性材料を含むことができる。
【0024】
手術中、外科医は、移植組織片22の取り付けの前に、生物学的材料30を、開口28a、28bを介して包囲部材20に挿入する。生物学的材料30は、フィブリンクロットであってもよく、靱帯または組織の修復を促進する他の任意の材料であってもよい。たとえば、生物学的材料30には、限定するものではないが、多血小板血漿(PRP)、ヒアルロン酸(HA)、成長因子(たとえば、PDGF、FGF、BMP、GDF−5、およびTGF−βスーパーファミリーの他のメンバー)、自家組織片、および薬理的物質(たとえば抗炎症薬および/または鎮痛剤)などの、任意の生体適合性材料または生体適合性材料の組み合わせを含めることができる。代替として、またはそれに加えて、生物学的材料30は、包囲部材20の表面の周囲に生物学的材料30が形成されるように、包囲部材20の表面に押し込むことができる。包囲部材20は、製造中に移植片取り付けデバイス10にあらかじめ取り付けることができる。あるいは、包囲部材20は、包囲部材20への生物学的材料30の挿入の前またはその後に、移植片取り付けデバイス10に結合することができる。場合によっては、外科医は、たとえば縫合糸を使用して開口28a、28bを閉鎖し、生物学的材料30が包囲部材20から出ることを防止することができる。
【0025】
生物学的材料30は、ACL再建などの手術後の治癒を促進する助けとなる。たとえば、フィブリンクロット、すなわち患者の血液から一般的に調製されたペースト状材料は、治癒を促進する種々の成長因子および化学物質を放出することによって、移植片束間ならびに移植片束と骨の間での治癒を高めることができる。
【0026】
図3Aおよび図3Bを参照すると、包囲部材20への生物学的材料30の挿入の後で、外科医は、移植片22を移植片接続要素18に通過させ、2つに折って、たとえば4重折りにした束を作製することによって、半腱様筋移植片と薄筋移植片または半腱様筋移植片の2つの半体を備えることができる移植組織片22を移植片取り付けデバイス10に取り付けることができる。取り付けプロセス中に、包囲部材20の内部に含まれる生物学的材料30が、折り重ねられた移植組織片22の内面と接触するように、移植組織片22を包囲部材20の上で折ることができる。場合によっては、包囲部材20は、折り重ねられた移植組織片22の外面に近接して位置決めされてよい。
【0027】
図4を参照すると、場合によっては、骨ブロック36を有する移植組織片34は、移植片取り付けデバイス38に取り付けることができる。骨ブロック36は、一般に、最適な治癒を促進するように、大腿骨孔12a、12bとぴったり合致する形状および大きさにされる。移植組織片34、たとえば膝蓋腱移植片は、移植片接続要素40を骨ブロック36内の開口42に通してループ化することによって、移植片取り付けデバイス38に取り付けることができる。このプロセス中に、移植片取り付けデバイス38はまた、包囲部材46の取り付け部分44に通してループ化することができる。生物学的材料30は、上記で説明したように、包囲部材46に挿入することができる。移植片取り付けデバイス38への移植組織片34および包囲部材46の取り付けの後で、包囲部材46は、一般に、骨ブロック36の下で移植組織片34の靱帯部分に近接して位置決めされる。
【0028】
移植片取り付けデバイス10、38およびそれぞれ取り付けられた移植組織片22、34を埋め込む前に、大腿骨孔12a、12bは、大腿骨14の顆間窩から大腿骨14の皮質表面に向かって穿孔することができる。脛骨孔24は、脛骨26の前側領域から顆間窩に向かって穿孔することができる。
【0029】
埋め込み中に、移植片取り付けデバイス10、38および取り付けられた移植組織片22、34はそれぞれ、プラットフォーム部材16の1つまたは複数の開口32に通してループ化可能な先導縫合糸(図示せず)を使用して、大腿骨孔12a、12bの中に位置決めすることができる。たとえば、先導縫合糸を顆間窩近くの開口から大腿骨孔12a、12bに通過させ、この縫合糸を使用して、移植片取り付けデバイス10、38を大腿骨孔12a、12bから大腿骨14の皮質表面近くの開口の方へ引き出す。プラットフォーム部材16が皮質表面近くの開口を通って大腿骨孔12a、12bを出た後で、先導縫合糸を使用してプラットフォーム部材16を反転させて位置決めし、部材16が大腿骨14の皮質表面に平らに置かれ、少なくとも移植組織片22、34の一部分が大腿骨孔12a、12bの中に位置決めされるようにする。取り付けられた移植組織片22、34の遠位端は、顆間窩近くの開口から延出することができる。
【0030】
ACL再建手術などの後で靱帯損傷部位における治癒を促進することに加えて、生物学的材料30は、たとえば半月組織修復において、軟部組織損傷部位における治癒を高める助けとなる。半月断裂修復術では、フィブリンクロットまたはPRPは、たとえば、半月断裂部に挿入されて、特に半月の赤−白領域および白−白領域などの血管分布の少ない半月領域において、治癒を促進することができる。
【0031】
図5および図6を参照すると、縫合糸骨格50は、生物学的材料30を保持するように設計され、半月54内の断裂部52に挿入され、治癒を促進することができる。縫合糸骨格50は、中央部分56と、中央部分56の境界領域すなわち縁部領域に近接して取り付けられた1つまたは複数の案内部分58、60と、を含む。
【0032】
縫合糸骨格50の中央部分56は生物学的材料30を含浸させるように構成され、したがって、生物学的材料30は、手術中に軟部組織損傷部位に容易に送達および固着することができる。たとえば、中央部分56は、一緒に織られてメッシュ面を形成する、水平方向を向いた複数の縫合糸62と横断方向を向いた複数の縫合糸64とを含むことができる。中央部分56の水平方向縫合糸62および横断方向縫合糸64は、結果として生成されるメッシュが、その面から生物学的材料を少なくとも一部は押し出すのに十分に疎であるが、押し出された生物学的材料を所定の位置に保持するのに十分に密であるように、配置することができる。いくつかの実装形態では、縫合糸62、64は、押し出された生物学的材料を所定の位置に保持する助けとなる、ざらざらした手触り(rough surface texture)または他の表面特性を有することができる。使用に際して、外科医は、生物学的材料30、たとえばフィブリンクロットを中央部分56のメッシュ面に押し込むことによって、中央部分56に生物学的材料30を含浸させることができる。中央部分56の水平方向縫合糸62および横断方向縫合糸64は、生物学的材料30を中央部分56内に保持させ、構造的完全性の増加を生物学的材料30に与えて、材料30の扱いおよび送達の助けとなる。代替として、またはそれに加えて、生物学的材料30は、たとえばトロンビンによるフィブリノーゲンの凝固によって、中央部分56の周囲に化学的に形成することができる。
【0033】
図6に示すように、縫合糸骨格50の1つまたは複数の案内部分58、60は、中央部分56の縁部領域に取り付けられ、中央部分56および含浸させられた生物学的材料30を断裂部52(図5)の中の所望の場所に位置決めする助けとなる。たとえば、案内部分58、60は、中央部分56の織物メッシュ面の対向する端から延出する1つまたは複数の水平方向縫合糸62を含むことができる。代替として、またはそれに加えて、案内部分58、60は、中央部分56の織物メッシュ面の対向する端から延出する1つまたは複数の横断方向縫合糸64を含むことができる。場合によっては、案内部分58、60は、中央部分56の1つまたは複数の縁部領域に個別に取り付けられる吸収性構造または非吸収性構造とすることができる。
【0034】
半月断裂修復術中に、図7Aから図7Cに示すように、外科医は、縫合糸骨格50および含浸させた生物学的材料30を断裂部52に埋め込むことができる。たとえば、外科医は、縫合糸骨格50および生物学的材料30が断裂部52の中に適切な深さで全体的に位置決めされるまで、縫合糸骨格50の前縁66(図7C)を断裂部52の中へと案内することができる。次いで、外科医は、生物学的材料30の所望の位置決めが得られるまで案内部分58、60を引っ張る、押す、および他の方法で操作することによって、中央部分56および含浸させた生物学的材料30を断裂部52の中の最終的な所望の位置に移動させることができる。生物学的材料30の所望の位置決めが得られた後、案内部分58、60は、たとえば切断によって除去されてもよく、所定の位置に残されてもよい。場合によっては、縫合糸骨格50全体を除去し、生物学的材料30のみを半月断裂部52の中の所定の位置に残してもよい。半月断裂部52への生物学的材料30の埋め込みは、他の半月断裂修復術および用具と共に使用して、修復部位において治癒を高めることができる。
【0035】
本明細書は多数の特定の実装形態の詳細を含むが、これらは、任意の実装形態または特許請求され得るものの範囲に関する限定として解釈されるべきではなく、特定の実装形態の特定の実装に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書で別個の実装形態に関して説明する特定の特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実施することもできる。反対に、単一の実装形態に関して説明する種々の特徴は、複数の実装形態において個別にまたは任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は、特定のコンビネーションで作用すると上記で説明され、最初はそのようなものとして特許請求されることすらあるが、特許請求されるコンビネーションからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、コンビネーションから削除することができ、特許請求されるコンビネーションは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形形態に向けられてもよい。このようにして、主題の特定の実装形態について説明してきた。他の実装形態は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10 移植片取り付けデバイス
12a 大腿骨孔
12b 大腿骨孔
14 大腿骨
16 プラットフォーム部材
18 移植片接続要素
20 包囲部材
22 移植組織片、移植片
24 脛骨孔
26 脛骨
28a 開口
28b 開口
30 生物学的材料
32 開口
34 移植組織片
36 骨ブロック
38 移植片取り付けデバイス
40 移植片接続要素
42 開口
44 取り付け部分
46 包囲部材
50 縫合糸骨格
52 半月断裂部、断裂部
54 半月
56 中央部分
58 案内部分
60 案内部分
62 水平方向縫合糸
64 横断方向縫合糸
66 前縁
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C