(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6141884
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ウェハ検査用に拡張された欠陥のサイジング範囲
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20170529BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-556582(P2014-556582)
(86)(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公表番号】特表2015-511401(P2015-511401A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】US2013024387
(87)【国際公開番号】WO2013119467
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】13/369,294
(32)【優先日】2012年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイ ゾンピン
(72)【発明者】
【氏名】ユディトスキー ユーリー
(72)【発明者】
【氏名】ロマノフスキー アナトリー
(72)【発明者】
【氏名】スロボドフ アレクサンダー
【審査官】
小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−264728(JP,A)
【文献】
特表2010−528287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを検査するように構成されたシステムであって、
光を前記ウェハに方向づけするように構成された照明サブシステムと、
ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、前記散乱した光に応じて出力を生成するように構成され、さらに、ブルーミングエリア内の画素群にはアンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、前記画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ過剰電荷が流れるように構成された前記画像センサと、
前記出力を使用して前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の前記欠陥を検出し、画素と、前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素によって生成される前記出力を使用して、前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の前記欠陥のサイズを求めるように構成されたコンピュータサブシステムと
を備える、ウェハを検査するように構成されたシステムであって、
前記ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出し、前記散乱した他の光に応じて追加の出力を生成するように構成された追加の検出器をさらに備え、前記追加の検出器はアンチブルーミング機構を有さない画像センサではなく、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記追加の出力を使用して前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の欠陥の数を求めるように構成されているシステム。
【請求項2】
前記システムがさらに、前記画素から前記一又は複数の隣接画素への前記過剰電荷の前記流れの変動に対して、前記画像センサを校正するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システムが、前記コンピュータサブシステムが前記欠陥の前記サイズを求めるために、前記アンチブルーミング機構を有する画像センサによって生成される出力を使用した場合よりも広い欠陥のサイズ範囲を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる一次元内の画素群のみが含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる二次元内の画素群が含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記画像センサはさらに、二つの次元について実質的に等しいブルーミングを有するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像センサはさらに、前記画像センサの全画素の一部のみにおいて前記アンチブルーミング機構を有さず、これにより前記画素の前記過剰電荷が前記全画素の前記一部内の前記一又は複数の隣接画素にのみ流れることができ、前記全画素の前記一部以外の前記一又は複数の隣接画素には流れることができないように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータサブシステムはさらに、前記画素と前記画素の前記過剰電荷が流れるすべての隣接画素との前記電荷を加算して全電荷を求め、前記全電荷から前記サイズを求めることによって前記欠陥の前記サイズを求めるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記画像センサは、電荷結合素子又はCMOSセンサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
ウェハを検査する方法であって、
光を前記ウェハに方向づけすることと、
ブルーミングエリア内の画素群にはアンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、前記画素から前記画像センサの一又は複数の隣接画素へ過剰電荷が流れる前記画像センサを使用して、ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、前記散乱した光に応じて出力を生成することと、
前記出力を使用して前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の欠陥を検出することと、
画素と、前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素によって生成される前記出力を使用して、前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の前記欠陥のサイズを求めることと、
前記ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出して、アンチブルーミング機構を有さない画像センサではない追加の検出器を使用して、前記散乱した他の光に応じて追加の出力を生成することと、
前記追加の出力を使用して前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の欠陥の数を求めることと
を含む方法。
【請求項11】
前記画素から前記一又は複数の隣接画素への前記過剰電荷の前記流れの変動に対し、前記画像センサを校正することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記欠陥の前記サイズは、前記方法において、前記方法が前記欠陥の前記サイズを求めるために前記アンチブルーミング機構を有する画像センサによって生成される出力を使用した場合よりも広い範囲で判断される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる一次元内の画素群のみが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる二次元内の画素群が含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記画像センサは二つの次元について実質的に等しいブルーミングを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記画像センサは、前記画像センサの前記全画素の一部のみにおいて前記アンチブルーミング機構を有さず、これにより前記画素の前記過剰電荷が前記全画素の前記一部内の前記一又は複数の隣接画素にのみ流れることができ、前記全画素の前記一部以外の前記一又は複数の隣接画素には流れることができない、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記欠陥の前記サイズを求めることは、前記画素の前記電荷と、前記画素の前記過剰電荷が流れるすべての隣接画素を加算して全電荷を求め、前記全電荷から前記サイズを求めることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記画像センサは、電荷結合素子又はCMOSセンサである、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
ウェハ上の欠陥のサイズを判断するための、コンピュータによって実行される方法であって、
検査システムに含まれる画像センサの出力を取得するステップであって、前記出力は、光を前記ウェハに方向付けし、ウェハの欠陥から散乱した光を検出することによって生成され、前記画像センサはブルーミングエリア内の画素群にはアンチブルーミング機構を有さず、これにより、前記画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、過剰電荷が前記画素から前記画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れるように構成されている、取得するステップと、
前記出力を使用して前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の前記欠陥を検出し、画素と前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素とによって生成される前記出力を使用して前記ウェハ上の前記欠陥のサイズを求めるためにコンピュータシステムを使用するステップと、
前記ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出し、前記散乱した他の光に応じて前記追加の出力を生成するために、前記検査システムに含まれる、アンチブルーミング機構を有さない画像センサではない追加の検出器、を使用することによって、生成された追加の出力を取得するステップと、
前記追加の出力を使用して前記ウェハ上の前記ブルーミングエリア内の前記欠陥の数を求めるために前記コンピュータシステムを使用するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記画素から前記一又は複数の隣接画素への前記過剰電荷の前記流れの変動に対して、前記画像センサを校正するために前記コンピュータシステムを使用することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記欠陥の前記サイズを判断するために前記コンピュータシステムを使用するステップは、前記画素と前記画素の前記過剰電荷が流れるすべての隣接画素との前記電荷を加算して全電荷を判断し、前記全電荷から前記サイズを求めることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してウェハ検査用に拡張された欠陥のサイジング範囲に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の説明及び実施例は、この項に含まれるために従来技術である、とは認められない。
【0003】
ウェハ及び他の基板の検査には概して、欠陥の検出及び欠陥のサイズを判断することが含まれる。ある検査システムは、ウェハの欠陥から散乱する光を検出することによって欠陥を検出するように構成される。一般には、欠陥のサイズは、ウェハの欠陥から散乱した光の量から判断することができる。例えば、光の散乱は通常、欠陥のサイズの6乗に比例する。したがって、光の散乱は欠陥のサイズによって著しく変わる。この結果、どのような検査システムを用いてもかなり幅広い測定範囲にわたって欠陥のサイズを正確に判断することは難しい。しかしながら、かなり幅広い測定範囲にわたって欠陥のサイズを判断することは、いくつかの明らかな理由において有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2004−0081607号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0051784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上述した一又は複数の不利点を有さない欠陥のサイズを判断する方法及びシステムを開発することは有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
下記の様々な実施形態の説明は、いずれにおいても添付の請求の範囲の主題を限定するものと解釈すべきでない。
【0007】
一実施形態は、基板を検査するように構成されたシステムに関する。本システムは、ウェハに光を方向づけするように構成された照明サブシステムを含む。本システムは、ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、散乱した光に応じて出力を生成するように構成された画像センサも含む。画像センサは、アンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、過剰電荷がその画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れるように構成される。加えて、本システムは、出力を使用してウェハ上の欠陥を検出し、ある画素と、その画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素とによって生成される出力を使用してウェハ上の欠陥のサイズを求めるように構成されたコンピュータサブシステムを含む。本システムはさらに、本明細書に記載される任意の一又は複数の実施形態にしたがって構成されうる。
【0008】
別の実施形態は、ウェハを検査する方法に関する。本方法は、光をウェハに方向づけすることを含む。本方法は、ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、画像センサを使用して散乱した光に応じて出力を生成することも含む。画像センサは、アンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、過剰電荷がその画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れる。加えて、本方法は、出力を使用してウェハ上の欠陥を検出することを含む。本方法はさらに、ある画素と、その画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素とによって生成される出力を使用してウェハ上の欠陥のサイズを求めることを含む。
【0009】
さらなる実施形態は、ウェハ上の欠陥のサイズを判断するためのコンピュータによって実行される方法に関する。本方法は、検査システムに含まれる画像センサの出力を取得することを含む。出力は、光をウェハに方向付けし、ウェハの欠陥から散乱した光を検出することによって生成される。画像センサは、アンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、過剰電荷がその画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れるように構成される。本方法はまた、出力を使用してウェハ上の欠陥を検出し、ある画素と、過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素とによって生成される出力を使用してウェハ上の欠陥のサイズを求めるために、コンピュータシステムを使用することを含む。
【0010】
上述した方法の各実施形態の各ステップはさらに、本明細書に記載されるように実施されうる。加えて、上述した方法の各実施形態は、本明細書に記載される任意の他の一又は複数の方法の任意の他の一又は複数のステップを含むことができる。さらに、上述した方法の各実施形態は、本明細書に記載される任意のシステムによって実施されうる。
【0011】
本発明のさらなる利点は、好ましい実施形態の下記の詳細の説明により、添付の図面の参照を通して当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ウェハを検査するように構成されたシステムの一実施形態の側面図を示す概略図である。
【
図2】ウェハ上の欠陥の検出中に、アンチブルーミング機構を有する画像センサの画素によって検出された電荷の一例の平面図を示す概略図である。
【
図3】ウェハ上の欠陥の検出中に、アンチブルーミング機構を有さない画像センサの画素によって検出された電荷の一例の平面図を示す概略図である。
【
図4】ウェハ上の欠陥の検出中に、画像センサの異なる画素によって検出された電荷と、画像センサの中央画素によって収集された散乱した光の関数として、異なる画素の組み合わせを示すグラフである。
【
図5】ウェハ上の欠陥の検出中に、アンチブルーミング機構を有さない画像センサの画素によって検出された電荷の一例の平面図を示す概略図である。
【0013】
本発明は、様々な改良及び代替形態を受け入れることができるが、本発明の特定の実施形態は例示を目的として図面に示され、本明細書において詳細に説明される。図面は原寸に比例しない場合がある。しかしながら、言うまでもなく、本明細書についての図面及び詳細説明は本発明を開示された特定の形態に限定するものではなく、むしろ、添付の請求の範囲に定義されるように、本発明の精神及び範囲内に含まれるすべての改良物、同等物、及び代替物を網羅するものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで図面を参照する。図面は原寸に比例しない場合があることに留意されたい。具体的には、図面のうちのいくつかの要素の寸法はその要素の性質を強調するために大幅に拡大されている。また図面は同一の寸法で描かれたものではないことに留意されたい。2つ以上の図面に示される同様の構成でありうる要素は、同じ参照番号を使用して提示されている。
【0015】
一般に、本明細書に記載される実施形態は、画像センサ(例:電荷結合素子(CCD)又はCMOSセンサ)のブルーミングキャリブレーションを使用して検査システムの欠陥サイジング範囲を拡張する方法及びシステムに関する。このように、本明細書に記載される実施形態は、画像センサを使用する欠陥検査のサイジング範囲を広げるのに使用されうる。ある実施形態は、ウェハを検査するように構成されたシステムに関する。このため、本システムは、検査システム又は欠陥検査システムとも呼ぶことができる。システムの一構成がさらに本明細書において説明及び示されるが、本システムは、市販の任意の検査システム、又は本明細書に記載されるように構成された一又は複数の画像センサを含むように改良が施された開発中の検査システムを含むことができる。上記検査システムの実施例には、カリフォルニア州ミルピタスのケーエルエー・テンコール社から市販されている次世代Surfscanツールが含まれる。本明細書においては実施形態をウェハ上の欠陥に関して説明したが、この実施形態は、本明細書に記載されるような一又は複数の画像センサを含み、任意の基板上に形成される任意の機構のサイズを求めるように構成された一又は複数の画像センサを含むすべてのシステムのサイジング範囲を拡張するために使用できる。
【0016】
本システムは、光をウェハに方向づけするように構成された照明サブシステムを含む。照明サブシステムは、
図1に示す光源10等の光源を含みうる。光源は、レーザー等の任意の適切な光源を含みうる。これにより、欠陥を検査する一つの方法は、検査中の物体にレーザービームを照射することを含みうる。
図1に示すように、光源は光をウェハ12に方向づけするように構成されうる。しかしながら、照明サブシステムは、光源10から光をウェハ12に方向づけするように構成された鏡、偏光子、ビームスプリッタ、レンズ等の一又は複数の光学素子(図示せず)も含むことができる。
図1に示すように、照明サブシステムは、斜めの入射角において光をウェハに方向づけするように構成することができる。しかしながら、照明サブシステムは、任意の適切な一又は複数の入射角において光をウェハに方向づけするように構成することができる。
【0017】
本システムは、ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、散乱した光に応じて出力を生成するように構成された画像センサも含む。これにより、検査システムは欠陥により散乱する光を検出するために画像センサを使用することができる。例えば、
図1に示すように、ウェハの欠陥から散乱した光はレンズ14によって収集され、このレンズによって画像センサ16に方向づけされうる。レンズは任意の適切な屈折性光学素子を含みうる。しかしながら、レンズは一又は複数の屈折性光学素子、及び/又は一又は複数の反射型光学素子も含むことができる。本システムは、ウェハの欠陥から散乱した光の経路に位置決めされるフィルタ、偏光素子等の他の任意の適切な光学素子(図示せず)も含むことができる。レンズ及び/又はシステムは、任意の適切な角度(極角及び方位角)においてウェハの欠陥から散乱した光を収集するように構成されうる。画像センサによって生成される出力は、画像信号又はデータ等の任意の適切な出力を含みうる。ある実施形態では、画像センサはCCD、又はCMOSセンサである。
【0018】
画像センサは、アンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、過剰電荷がその画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れるように構成される。このように、本明細書に記載される実施形態は、アンチブルーミング画像センサを使用する、欠陥を検査する他の方法と異なる。
図2は、欠陥を検出する中央画素を有するアンチブルーミング画像センサの画素を示している。
図2に示す数は、各画素によって検出されるカウントである。
図2は、画像センサの中央画素が欠陥を検出する一方で、他の画素がノイズ光のみを受ける様子を示している。
【0019】
12ビットの画像センサにおいては例えば、画素は0〜約4095カウントの範囲の光を検出することができる。これは、散乱光の量が欠陥のサイズの6乗に比例するため、欠陥のサイズの範囲が実質的に限定されることに対応するものである。最大範囲を超えるサイズの欠陥の場合、全容量を超える過剰電荷は、アンチブルーミング機構によって流出する。アンチブルーミング機構を有さない画像センサの場合、画素内の電荷が全容量を超えると、電荷は隣接画素に流れる。
【0020】
ある実施形態では、一又は複数の隣接画素には、画像センサ全体にわたって一次元内の画素群のみが含まれる。例えば、画像センサは、電荷が簡単に垂直方向に移ることができるが、ポテンシャル障壁を築いて水平方向の画素の流れを低減することができるように設計可能である。したがって、過剰電荷は垂直方向に最も近い隣接画素に優先的に流れる。上記のような一実施例では、
図3において、中央画素Cが欠陥を検出すると、散乱光はその画素の全容量の4095ADCカウントまでその画素を充電し、その後過剰電荷は画素Cから流出し、垂直方向の隣接画素B及びDに流れる様子が示される。また画素B及びDも全容量に達すると、過剰電荷は画素Cから画素A及びEに(それぞれ画素B及びDを介して)流れ出す。したがって、
図3は、中央画素のみが過剰に光を受けた時の垂直方向のブルーミングを示すものである。
【0021】
これにより、
図4に示すように、
図3に示す中央画素Cによって収集される散乱光は最大任意の単位1まで増加し、画素が飽和状態に達したためその後安定する。その時点で、
図3に示す画素B及びDによって収集される散乱光は、
図4に示すように最大任意の単位3まで増加し、画素が飽和状態に達したためその後安定する。その時点で、
図3に示す画素A及びEによって収集された散乱光は
図4に示すように増加し、最終的にこれらの画素が飽和状態に達した場合に安定する。加えて、
図4に示すように、過剰電荷が流出入するすべての画素(A+B+C+D+E)を組み合わせた全電荷は、画素間を電荷が流れるにつれて増加する。
【0022】
追加の実施形態では、前述の一又は複数の隣接画素には、画像センサ内の二次元の画素群を含む。例えば、カスタム画像センサは、水平及び垂直の両方向にほぼ同じポテンシャル障壁を有するように設計し、これにより
図5に示すように、ブルーミング電荷が水平及び垂直方向の隣接画素の両方に流れることができるようにすることができる。ある実施形態では、画像センサは二次元において実質的に等しいブルーミングを有するように構成される。例えば、
図5に示す画像センサは、両方向に実質的に等しいブルーミングを有するように設計されたカスタム画像センサの一例である。
【0023】
別の実施形態では、画像センサは、画像センサの全画素の一部のみにおいてアンチブルーミング機構を有さず、これにより画素の過剰電荷が全画素のこの一部内の一又は複数の隣接画素にのみ流れることができ、全画素のこの一部以外の一又は複数の隣接画素には流れることができないように構成される。例えば、画像センサは(各画素がアンチブルーミングである通常のアンチブルーミング画像センサと比較して)、複数画素からなる正方形又は長方形のブロックの境界線に沿ってのみ、アンチブルーミングを有することができる。これにより、ブルーミングはブロック内(アンチブルーミング能力の及ぶ範囲内)に制限され、画素数で表されるブロックサイズは、拡張されたダイナミックレンジと、そうでない場合に同じフレーム内のブロックからのブルーミングの原因となり得る欠陥以外の欠陥をより多く検出する能力との間のトレードオフとして選択することができる。例えば、2000×1000画素の画像センサを、各ブロックが200×200画素を有するように50ブロックに分割することができる。200×200画素ブロックの境界線に沿った画素のみがアンチブルーミング機構を有し、他の画素がアンチブルーミング機構を有さないように設計される。この実施例では、ブルーミングキャリブレーションにより、ダイナミックレンジが約200×200倍拡張され、ブロックの各境界線に沿ったアンチブルーミングによってブルーミングが各ブロックに制限される。
【0024】
ある実施形態では、システムは画素から一又は複数の隣接画素への過剰電荷の流れの変動に対して画像センサを校正(キャリブレーション)するように構成される。例えば、ブルーミングは完全ではなく、いくつかの電荷が失われる可能性があり、電荷の(電圧への)変換も画素の全深さまで完全に線形とはならないため、実際には、ADCカウントにおいて直接検出される全電荷は
図4に示すように完全に直線とならない。したがって、非直線性を校正してADCカウントに基づく全電荷をより正確に知ることが可能である。すべてのブルーミング画素の電荷のキャリブレーションにより、欠陥のサイズの測定範囲が、画像センサの画素数に至るまでのブルーミング画素数の倍数で拡張される。本明細書にさらに記載されるコンピュータサブシステムは、上述したキャリブレーションを実施するためにシステムによって使用されうる。
【0025】
システムはさらに、出力を使用してウェハ上の欠陥を検出し、画素と、その画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素によって生成される出力を使用して、ウェハ上の欠陥のサイズを判断するように構成されるコンピュータサブシステムを含む。例えば、
図1に示すように、システムは、画像センサ16の出力を使用して、ウェハ上の欠陥を検出するように構成されるコンピュータサブシステム18を含みうる。コンピュータサブシステムは、パソコンシステム、画像コンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットアプライアンス、インターネットアプライアンス、又は他のデバイスを含む様々な形態を取ることができる。一般に、「コンピュータサブシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する一又は複数のプロセッサを有するすべてのデバイスを包含するように広く定義されるものである。コンピュータサブシステムには、並列プロセッサ等の当技術分野において周知のすべての適切なプロセッサも含まれうる。加えて、コンピュータサブシステムは、高速処理能力を有するコンピュータプラットフォーム、及び独立型、又はネットワークツールのいずれかであるソフトウェアを含みうる。
【0026】
コンピュータサブシステムは、出力、及び任意の適切な欠陥検出法及び/又はアルゴリズムを使用して、ウェハ上の欠陥を検出するように構成されうる。欠陥のサイズは、欠陥によって散乱する光の量に基づいて測定されうる。本明細書に記載されるコンピュータサブシステムは、他の検査システムのコンピュータサブシステムとは異なるやり方で欠陥のサイズを判断する。例えば、コンピュータサブシステムは、画像センサのブルーミングエリア全体の全電荷に基づいて欠陥のサイズを判断する。例えば、ある実施形態では、コンピュータサブシステムは、画素の電荷、及び画素の過剰電荷が流れるすべての隣接画素を加算して全電荷を判断し、全電荷からサイズを判断することによって、欠陥のサイズを判断するように構成される。上述した
図3に示す実施例では、画素Cは欠陥の全散乱光の一部に相当する4095ADCカウントにおいて飽和状態に達するが、画素A、B、C、D、及びEの全電荷、14355が全散乱光の測定値である。したがって、画素Cによって検出された4095ADCカウントのみに基づいて欠陥のサイズを判断する他のコンピュータサブシステムとは違い、本明細書に記載されるコンピュータサブシステムは、14355である画素A、B、C、D、及びEの全電荷に基づいて欠陥のサイズを判断する。本明細書に記載されるコンピュータサブシステムは、コンピュータサブシステムが上述したようにブルーミングを校正するように構成される点においても、他の検査システムのコンピュータサブシステムと異なる場合がある。
【0027】
ある実施形態では、システムは、コンピュータサブシステムが欠陥のサイズを判断するためにアンチブルーミング機構を有する画像センサによって生成される出力を使用した場合よりも広い欠陥のサイズの範囲を有する。例えば、本明細書に記載されるように、実施形態ではブルーミングキャリブレーションを使用して欠陥検査のサイジング範囲を拡張することができる。加えて、水平及び垂直の両方向に実質的に等しいブルーミングを有するカスタム画像センサを使用して、サイジング範囲をさらに大幅に(例えば1万倍)、113画素直径の円形ブルーミングを有するように拡張することができる。さらに、本明細書に記載される実施形態は、欠陥のみでなく、総光量の測定範囲が画素から画素への空間分解能よりも重要であるすべての機構を検出する他の応用形態にも使用可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムは、(例えば、画像センサが検出する散乱光のほんの一部を検出するためにビームスプリッタ(図示せず)を使用することにより、画像センサとは異なる角度から、又は画像センサと同じ角度から)ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出し、他の散乱光に応じて追加の出力を生成するように構成される追加の検出器を含む。追加の検出器は、アンチブルーミング機構を有さない画像センサではない。コンピュータサブシステムは、追加の出力を使用してウェハ上の欠陥を検出し、複数の欠陥が画素、及びその画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素によって生成される出力に対応するか否かを判断するように構成される。例えば、
図1に示すように、システムはウェハの欠陥から散乱した他の光を検出するように構成される追加の検出器20を含みうる。例えば、追加の検出器20と画像センサ16は、ウェハの欠陥から異なる角度で散乱した光を別々に検出するように構成される。したがって、画像センサ16及び追加の検出器20は同じ散乱光を検出しない。追加の検出器は、アンチブルーミング機構を有さない画像センサではないすべての検出器を含みうる。例えば、追加の検出器は、アンチブルーミング機構、マルチアノード光電子増倍管(PMT)等を有するCCDであってもよい。
【0029】
図1に示すように、システムは、ウェハの欠陥から散乱した他の光を収集し、散乱した他の光を追加の検出器20へ方向づけするように構成されるレンズ22を含みうる。レンズは任意の適切な屈折性光学素子を含みうる。しかしながら、レンズは一又は複数の屈折性光学素子、及び/又は一又は複数の反射型光学素子も含むことができる。システムは、ウェハの欠陥から散乱した他の光の経路に位置決めされるフィルタ、偏光素子等の任意の他の適切な光学素子(図示せず)も含むことができる。レンズ及び/又はシステムは、任意の適切な角度(極角、及び方位角)においてウェハの欠陥から散乱した他の光を収集するように構成されうる。追加の検出器によって生成される出力には、画像信号又はデータ等の任意の適切な出力を含むことができる。コンピュータサブシステムは、追加の検出器、及び任意の適切な欠陥検出法及び/又はアルゴリズムによって生成される出力を使用して、ウェハ上の欠陥を検出するように構成されうる。
【0030】
追加の検出器は、本明細書に記載される画像センサのブルーミング画素のエリア内の欠陥の数を判断するために、通常のアンチブルーミングを有する伝送路として使用することができる。例えば、一つのブルーミング画像センサからの情報だけに基づくと、複数の欠陥は単一のブルーミングエリア全体内では相互に識別しづらい場合がある。しかしながら、多くの応用形態においてはこれは許容範囲でありうる。システムはしかしながら、(例:画像センサ16及び追加の検出器20によって定義される)多数の伝送路を有しうる。したがって、伝送路の一つは単一のブルーミングエリア全体内の欠陥の数を判断するのに使用されうる。コンピュータサブシステムは、任意の適切な方法で上記機能を実施するように構成されうる。
【0031】
別の実施形態は、ウェハを検査する方法に関する。本方法は、光をウェハに方向づけすることを含み、これは本明細書にさらに記載されるように実施することができる。本方法は、ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、散乱した光に応じて画像センサを使用して出力を生成することも含み、これは本明細書に記載されるように実施することができる。画像センサはアンチブルーミング機構を持たないため、画像センサの画素の容量が十分いっぱいになると、過剰電荷はその画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れる。画像センサはさらに本明細書に記載されるように構成されうる。加えて、本方法は、出力を使用してウェハ上の欠陥を検出することを含み、これは本明細書にさらに記載されるように実施されうる。本方法はさらに、画素と、その画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素によって生成される出力を使用してウェハ上の欠陥のサイズを判断することを含み、これは本明細書にさらに記載されるように実施される。
【0032】
ある実施形態では、本方法は、画素から一又は複数の隣接画素への過剰電荷の流れの変動に対して画像センサを校正することを含み、これは本明細書にさらに記載されるように実施される。別の実施形態では、欠陥のサイズは本方法において、本方法が欠陥のサイズを判断するためにアンチブルーミング機構を有する画像センサによって生成された出力を使用した場合よりも広い範囲で判断される。追加の実施形態においては、一又は複数の隣接画素には、画像センサ全体にわたって一次元内の画素群のみが含まれる。さらなる実施形態では、一又は複数の隣接画素には、画像センサ全体にわたって二次元内の画素群が含まれる。別の実施形態では、画像センサは二つの次元において実質的に等しいブルーミングを有する。いくつかの実施形態では、画像センサは、画像センサの全画素の一部のみにおいてアンチブルーミング機構を有さず、これにより画素の過剰電荷が全画素のこの一部内の一又は複数の隣接画素にのみ流れることができ、全画素のこの一部以外の一又は複数の隣接画素には流れることができない。上記画像センサの実施形態はさらに本明細書に記載されるように構成することができる。
【0033】
ある実施形態では、欠陥のサイズの判断には、画素と、その画素の過剰電荷が流れるすべての隣接画素の電荷を加算して全電荷を判断し、全電荷からサイズを判断することが含まれ、これは本明細書に記載されるように実施されうる。別の実施形態では、本方法は、ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出し、追加の検出器を使用して散乱した他の光に応じて追加の出力を生成することを含み、これは本明細書に記載されるように実施されうる。追加の検出器はアンチブルーミング機構を有さない画像センサではない。追加の検出器はさらに本明細書に記載されるように構成されうる。本方法は、追加の出力を使用してウェハ上の欠陥を検出し、複数の欠陥が、画素とその画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素とによって生成される出力に対応するか否かを判断することも含み、これは本明細書に記載されるように実施されうる。別の実施形態では、画像センサはCCD、又はCMOSセンサである。
【0034】
追加の実施形態は、ウェハ上の欠陥のサイズを判断する、コンピュータによって実行される方法に関する。本方法は、検査システムに含まれる画像センサの出力を取得することを含む。出力は、光をウェハに方向づけし、ウェハの欠陥から散乱した光を検出することによって生成され、これは本明細書に記載されるように実施されうる。出力の取得には、検査システムを使用して、例えばウェハを光でスキャンし、ウェハの欠陥から散乱した光を検出することにより、出力を取得することが含まれうる。このように、出力の取得には、ウェハの検査を実施することを含むことができる。検査システムは、本明細書に記載されるように構成されうる。あるいは、出力の取得には、出力を生成するのに使用される検査システムから出力を取得することが含まれうる。例えば、本方法は、検査システムが出力を保存した記憶媒体から出力を取得することを含むことができる。記憶媒体は、検査システムの記憶媒体、ファブデータベース、又は当技術分野において周知の他のなんらかの適切な記憶媒体を含むことができる。このように、出力の取得にはウェハの検査を含まない場合がある。
【0035】
画像センサは、アンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、過剰電荷がその画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れるように構成される。本方法は、出力を使用してウェハ上の欠陥を検出し、画素と、その画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素によって生成される出力を使用してウェハ上の欠陥のサイズを判断するためにコンピュータシステムを使用することも含み、これは本明細書に記載されるように実施されうる。コンピュータシステムはさらに、コンピュータサブシステムに対して本明細書に記載されるように構成することができる。
【0036】
ある実施形態では、本方法は、画素から一又は複数の隣接画素への過剰電荷の流れの変動に対して画像センサを校正するためにコンピュータシステムを使用することを含み、これは本明細書に記載されるように実施されうる。別の実施形態では、欠陥のサイズを判断するためにコンピュータシステムを使用することは、画素とその画素の過剰電荷が流れるすべての隣接画素との電荷を加算して全電荷を判断し、全電荷からサイズを判断することを含み、これは本明細書にさらに記載されるように実施されうる。追加の実施形態では、本方法は検査システムに含まれる追加の検出器を使用することによって生成される追加の出力を取得しウェハから散乱した他の光を検出して、散乱した他の光に応じて追加の出力を生成することを含み、これは本明細書に記載されるように実施されうる。追加の検出器は、アンチブルーミング機構を有さない画像センサではない。追加の検出器はさらに、本明細書に記載されるように構成されうる。本方法は、追加の出力を使用してウェハ上の欠陥を検出し、複数の欠陥が、画素とその画素の過剰電荷が流れるその画素のすべての隣接画素とによって生成された出力に対応するか否かを判断するためにコンピュータシステムを使用することも含み、これは本明細書に記載されるように実施されうる。
【0037】
上述した方法の各実施形態は、本明細書に記載される任意の他の一又は複数の方法の任意の他の一又は複数のステップを含みうる。さらに、上述した本方法の各実施形態を、本明細書に記載される任意のシステムによって実施することができる。
【0038】
本明細書に記載されるすべての方法は、本方法の実施形態の一又は複数のステップの結果を記憶媒体に保存することを含むことができる。この結果には本明細書に記載されるすべての結果を含むことができ、当技術分野において周知の任意のやり方で保存することができる。記憶媒体は、当技術分野において周知の任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。結果が保存された後で、この結果は記憶媒体においてアクセスし、本明細書に記載される任意の方法又はシステムの実施形態によって使用し、ユーザに表示するためにフォーマットし、別のソフトウェアモジュール、方法、又はシステム等によって使用することができる。さらに、この結果を「永久的に」、「半永久的に」、一時的に、又はなんらかの期間、保存することができる。例えば、記憶媒体はランダムアクセスメモリ(RAM)であってよく、この結果は必ずしも無期限に記憶媒体に残らなくてもよい。
【0039】
本明細書に記載される実施形態とは対照的に、アンチブルーミング画像センサを使用してアンチブルーミング構造を介して流出した全電荷を測定し、欠陥のサイズを判断するのに使用することができる。しかしながら、上記の構成には余分な電気回路が必要であり、同じ画像センサのフレーム内の複数の欠陥を識別することができない。
【0040】
本発明の様々な態様のさらなる改良及び代替実施形態は、この説明を読むことにより当業者に明らかとなるであろう。例えば、ウェハ検査用に欠陥のサイジング範囲が拡張される様々な実施形態が提供されている。したがって、この説明は例示のみであり、本発明を実施する標準的な方法を当業者に教示する目的のためと解釈されるべきである。言うまでもなく、本明細書で説明し図示した本発明の形態は、現在好ましい実施形態として理解されるべきである。要素及び材料は本明細書で図示し説明したものと置換えすることができ、パーツおよびプロセスを逆にすることができ、本発明の特定の機構を個別に用いることができ、すべては本発明のこの説明の利点を享受した後で当業者に明らかとなるであろう。後述の請求の範囲に記載される本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される要素を変更することができる。
<補遺>
(1)ウェハを検査するように構成されたシステムであって、
光を前記ウェハに方向づけするように構成された照明サブシステムと、
ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、前記散乱した光に応じて出力を生成するように構成され、さらに、アンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、前記画素から画像センサの一又は複数の隣接画素へ過剰電荷が流れるように構成された前記画像センサと、
前記出力を使用して前記ウェハ上の前記欠陥を検出し、画素と、前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素によって生成される前記出力を使用して、前記ウェハ上の前記欠陥のサイズを求めるように構成されたコンピュータサブシステムと
を備える、ウェハを検査するように構成されたシステム。
(2)前記システムがさらに、前記画素から前記一又は複数の隣接画素への前記過剰電荷の前記流れの変動に対して、前記画像センサを校正するように構成されている、(1)に記載のシステム。
(3)前記システムが、前記コンピュータサブシステムが前記欠陥の前記サイズを求めるために、前記アンチブルーミング機構を有さない画像センサによって生成される出力を使用した場合よりも広い欠陥のサイズ範囲を有する、(1)に記載のシステム。
(4)前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる一次元内の画素群のみが含まれる、(1)に記載のシステム。
(5)前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる二次元内の画素群が含まれる、(1)に記載のシステム。
(6)前記画像センサはさらに、二つの次元について実質的に等しいブルーミングを有するように構成されている、(1)に記載のシステム。
(7)前記画像センサはさらに、前記画像センサの全画素の一部のみにおいて前記アンチブルーミング機構を有さず、これにより前記画素の前記過剰電荷が前記全画素の前記一部内の前記一又は複数の隣接画素にのみ流れることができ、前記全画素の前記一部以外の前記一又は複数の隣接画素には流れることができないように構成されている、(1)に記載のシステム。
(8)
前記コンピュータサブシステムはさらに、前記画素と前記画素の前記過剰電荷が流れるすべての隣接画素との前記電荷を加算して全電荷を求め、前記全電荷から前記サイズを求めることによって前記欠陥の前記サイズを求めるように構成されている、(1)に記載のシステム。
(9)前記ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出し、前記散乱した他の光に応じて追加の出力を生成するように構成された追加の検出器をさらに備え、前記追加の検出器はアンチブルーミング機構を有さない画像センサではなく、前記コンピュータサブシステムはさらに、前記追加の出力を使用して前記ウェハ上の欠陥を検出し、複数の欠陥が、前記画素と前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素とによって生成される出力に対応するか否かを判断するように構成されている、(1)に記載のシステム。
(10)前記画像センサは、電荷結合素子又はCMOSセンサである、(1)に記載のシステム。
(11)ウェハを検査する方法であって、
光を前記ウェハに方向づけすることと、
アンチブルーミング機構を有さず、これにより画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、前記画素から前記画像センサの一又は複数の隣接画素へ過剰電荷が流れる前記画像センサを使用して、ウェハの欠陥から散乱した光を検出し、前記散乱した光に応じて出力を生成することと、
前記出力を使用して前記ウェハ上の欠陥を検出することと、
画素と、前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素によって生成される前記出力を使用して、前記ウェハ上の前記欠陥のサイズを求めることと
を含む方法。
(12)前記画素から前記一又は複数の隣接画素への前記過剰電荷の前記流れの変動に対し、前記画像センサを校正することをさらに含む、(11)に記載の方法。
(13)前記欠陥の前記サイズは、前記方法において、前記方法が前記欠陥の前記サイズを求めるために前記アンチブルーミング機構を有する画像センサによって生成される出力を使用した場合よりも広い範囲で判断される、(11)に記載の方法。
(14)前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる一次元内の画素群のみが含まれる(11)に記載の方法。
(15)前記一又は複数の隣接画素には、前記画像センサにわたる二次元内の画素群が含まれる、(11)に記載の方法。
(16)前記画像センサは二つの次元について実質的に等しいブルーミングを有する、(11)に記載の方法。
(17)前記画像センサは、前記画像センサの前記全画素の一部のみにおいて前記アンチブルーミング機構を有さず、これにより前記画素の前記過剰電荷が前記全画素の前記一部内の前記一又は複数の隣接画素にのみ流れることができ、前記全画素の前記一部以外の前記一又は複数の隣接画素には流れることができない、(11)に記載の方法。
(18)前記欠陥の前記サイズを求めることは、前記画素の前記電荷と、前記画素の前記過剰電荷が流れるすべての隣接画素を加算して全電荷を求め、前記全電荷から前記サイズを求めることを含む、(11)に記載の方法。
(19)前記ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出して、アンチブルーミング機構を有さない画像センサではない追加の検出器を使用して、前記散乱した他の光に応じて追加の出力を生成することをさらに含み、前記追加の出力を使用して前記ウェハ上の欠陥を検出し、複数の欠陥が、前記画素と前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素とによって生成された前記出力に対応するか否かを判断することをさらに含む、(11)に記載の方法。
(20)前記画像センサは、電荷結合素子又はCMOSセンサである、(11)に記載の方法。
(21)ウェハ上の欠陥のサイズを判断するための、コンピュータによって実行される方法であって、
検査システムに含まれる画像センサの出力を取得するステップであって、前記出力は、光を前記ウェハに方向付けし、ウェハの欠陥から散乱した光を検出することによって生成され、前記画像センサはアンチブルーミング機構を有さず、これにより、前記画像センサの画素の容量が十分にいっぱいになると、過剰電荷が前記画素から前記画像センサの一又は複数の隣接画素へ流れるように構成されている、取得するステップと、
前記出力を使用して前記ウェハ上の前記欠陥を検出し、画素と前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素とによって生成される前記出力を使用して前記ウェハ上の前記欠陥のサイズを求めるためにコンピュータシステムを使用するステップと
を含む方法。
(22)前記画素から前記一又は複数の隣接画素への前記過剰電荷の前記流れの変動に対して、前記画像センサを校正するために前記コンピュータシステムを使用することをさらに含む、(21)に記載の方法。
(23)前記欠陥の前記サイズを判断するために前記コンピュータシステムを使用するステップは、前記画素と前記画素の前記過剰電荷が流れるすべての隣接画素との前記電荷を加算して全電荷を判断し、前記全電荷から前記サイズを求めることを含む、(21)に記載の方法。
(24)前記ウェハの欠陥から散乱した他の光を検出し、前記散乱した他の光に応じて前記追加の出力を生成するために、前記検査システムに含まれる、アンチブルーミング機構を有さない画像センサではない追加の検出器、を使用することによって、生成された追加の出力を取得するステップ、をさらに含み、前記追加の出力を使用して前記ウェハ上の前記欠陥を検出し、複数の欠陥が、前記画素と前記画素の前記過剰電荷が流れる前記画素のすべての隣接画素とによって生成される前記出力に対応するか否かを判断するために前記コンピュータシステムを使用することをさらに含む、(21)に記載の方法。