特許第6142841号(P6142841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6142841
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】アルコキシシラン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/08 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   C08G77/08
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-95652(P2014-95652)
(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-212338(P2015-212338A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2016年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 直紀
(72)【発明者】
【氏名】久保田 透
(72)【発明者】
【氏名】入学 武
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−513993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解を行って使用されるアルコキシシラン組成物であって、
塩素置換された3級炭素を有する化合物からなるアルコキシシランの加水分解触媒と、下記一般式(I)で示されるアルコキシシラン化合物とを含むアルコキシシラン組成物。
mSi(OR14-m (I)
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、mは0〜3の整数である。)
【請求項2】
前記塩素置換された3級炭素を有する化合物が、下記一般式(II)で示される化合物である請求項1記載のアルコキシシラン組成物。
23CCl (II)
(式中、R2は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、2個のR2は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素原子数3〜20の環を形成してもよい。)
【請求項3】
前記塩素置換された3級炭素を有する化合物が、クロロアルカンである請求項1又は2記載のアルコキシシラン組成物。
【請求項4】
アルコキシシラン化合物に対する塩素置換された3級炭素を有する化合物の含有量が、塩素質量分で1〜10,000ppmである請求項1〜3のいずれか1項記載のアルコキシシラン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加水分解性能を制御可能なアルコキシシラン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコキシシランは、シランカップリング剤やシリコーンゴム架橋剤の他、電子材料用として利用されており、主に加水分解を行って使用される。
特許文献1(特表2009−501123号公報)又は特許文献2(特表2008−508370号公報)に記載のように、特に水溶性に乏しいアルコキシシランの場合には、触媒として酢酸を添加した組成物を調製して加水分解を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−501123号公報
【特許文献2】特表2008−508370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、酢酸を添加したアルコキシシラン組成物は酢酸臭がする一方、他の酸を用いた場合でもその酸により溶液が酸性となるため、保存中に容器の腐食が起こりやすくなり、更に中性時に比べて取り扱い時の安全性に劣る。また、エポキシ等の反応性基を有するアルコキシシランの場合、含まれる酸が加水分解触媒として働くよりも先に反応性基と反応してしまい、加水分解が進行しないことがあるといった問題がある。
従って、本発明は異臭発生や容器の腐食を起こすことなく、反応性基を有していても問題の無い、加水分解性を制御したアルコキシシラン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記目的を達成するために検討を重ねた結果、アルコキシシランの加水分解触媒として、塩素置換された3級炭素を有する化合物を含むアルコキシシラン組成物とすることにより、当初中性であるが、その後に酸性となり加水分解できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
従って、本発明は下記に示すアルコキシシラン組成物を提供する。
〔1〕
加水分解を行って使用されるアルコキシシラン組成物であって、
塩素置換された3級炭素を有する化合物からなるアルコキシシランの加水分解触媒と、下記一般式(I)で示されるアルコキシシラン化合物とを含むアルコキシシラン組成物。
mSi(OR14-m (I)
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、mは0〜3の整数である。)
〔2〕
前記塩素置換された3級炭素を有する化合物が、下記一般式(II)で示される化合物である〔1〕記載のアルコキシシラン組成物。
23CCl (II)
(式中、R2は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、2個のR2は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素原子数3〜20の環を形成してもよい。)
〔3〕
前記塩素置換された3級炭素を有する化合物が、クロロアルカンである〔1〕又は〔2〕記載のアルコキシシラン組成物。
〔4〕
アルコキシシラン化合物に対する塩素置換された3級炭素を有する化合物の含有量が、塩素質量分で1〜10,000ppmである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のアルコキシシラン組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アルコキシシラン化合物と、塩素置換された3級炭素を有する化合物とを含むことにより、当初中性であるアルコキシシラン組成物が、塩素置換された3級炭素を有する化合物から遊離された塩素により、酸性となって加水分解される。また、塩素置換された3級炭素を有する化合物の種類とその添加量を調節することにより、加水分解時間の調節が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のアルコキシシラン化合物は下記一般式(I)で示されるものである。
mSi(OR14-m (I)
(式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜20の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、mは0〜3の整数である。)
【0009】
ここで、上記一般式(I)におけるR及びR1の置換もしくは非置換の1価炭化水素基としては、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5の1価炭化水素基が挙げられ、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が例示され、特に汎用性の点でメチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては具体的には、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等の炭素原子数1〜5のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、炭素原子数2〜10、好ましくは炭素原子数2〜6のアシル基等が挙げられる。
【0010】
一般式(I)で示されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジプロポキシシラン、トリプロポキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルジブトキシシラン、トリブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリエチルブトキシシラン、ジフェニルメトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、ジフェニルプロポキシシラン、ジフェニルイソプロポキシシラン、ジフェニルブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピルプロポキシシラン、トリプロピルイソプロポキシシラン、トリプロピルブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、トリブチルプロポキシシラン、トリブチルイソプロポキシシラン、トリブチルブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルプロポキシシラン、トリフェニルイソプロポキシシラン、トリフェニルブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ジビニルジイソプロポキシシラン、ジビニルジブトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニルプロポキシシラン、トリビニルイソプロポキシシラン、トリビニルブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルトリブトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジエトキシシラン、ジアリルジプロポキシシラン、ジアリルジイソプロポキシシラン、ジアリルジブトキシシラン、ジアリルジブトキシシラン、トリアリルメトキシシラン、トリアリルエトキシシラン、トリアリルプロポキシシラン、トリアリルイソプロポキシシラン、トリアリルブトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリイソプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン、デシルトリイソプロポキシシラン、デシルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類が挙げられる。
【0011】
本発明の塩素置換された3級炭素を有する化合物は、下記一般式(II)で示されるものが好ましい。
23CCl (II)
(式中、R2は炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5の置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、2個のR2は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素原子数3〜20、好ましくは炭素原子数3〜10、より好ましくは炭素原子数3〜6の環を形成してもよい。)
【0012】
ここで、上記一般式(II)におけるR2はRやR1と同様な置換基が挙げられ、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロぺニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が例示され、特に汎用性の点で、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、炭素原子数2〜10のアシル基等が挙げられる。
2個のR2が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成する場合の具体例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチル等の脂環、フェニル、ナフチル等の芳香環が挙げられる。
【0013】
一般式(II)で示される塩素置換された3級炭素を有する化合物の具体例としては2−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルブタン、2−クロロ−2,3−ジメチルブタン、2−クロロ−2−メチルペンタン、2−クロロ−2,3−ジメチルペンタン、2−クロロ−2,4−ジメチルペンタン、2−クロロ−2,3,3−トリメチルペンタン、2−クロロ−2,3,4−トリメチルペンタン、2−クロロ−2,3,3,4−テトラメチルペンタン、2−クロロ−2,3,4,4−テトラメチルペンタン、2−クロロ−2,3,3,4,4−ペンタメチルペンタン、3−クロロ−3−メチルペンタン、3−クロロ−2,3−ジメチルペンタン、3−クロロ−2,3,4−トリメチルペンタン、3−クロロ−2,2,3−トリメチルペンタン、3−クロロ−2,2,3,4−テトラメチルペンタン、3−クロロ−2,2,3,4,4−ペンタメチルペンタン、2−クロロ−2−メチルヘキサン、2−クロロ−2,3−ジメチルヘキサン、2−クロロ−2,4−ジメチルヘキサン、2−クロロ−2,5−ジメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,3−トリメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,4−トリメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,5−トリメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,3,4−テトラメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,4,4−テトラメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,5,5−テトラメチルヘキサン、2−クロロ−2,4,5,5−テトラメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,3,4,4−ペンタメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,3,4,5−ペンタメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,4,4,5−ペンタメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,4,5,5−ペンタメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,3,4,4,5−ヘキサメチルヘキサン、2−クロロ−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタメチルヘキサン、3−クロロ−3−メチルヘキサン、3−クロロ−2,3−ジメチルヘキサン、3−クロロ−3,4−ジメチルヘキサン、3−クロロ−3,5−ジメチルヘキサン、3−クロロ−2,2,3−トリメチルヘキサン、3−クロロ−2,3,4−トリメチルヘキサン、3−クロロ−2,3,5−トリメチルヘキサン、3−クロロ−2,2,3,4−テトラメチルヘキサン、3−クロロ−2,3,4,4−テトラメチルヘキサン、3−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルヘキサン、
3−クロロ−2,2,3,4,4−ペンタメチルヘキサン、3−クロロ−2,2,3,4,5−ペンタメチルヘキサン、3−クロロ−2,3,4,4,5−ペンタメチルヘキサン、3−クロロ−2,3,4,5,5−ペンタメチルヘキサン、3−クロロ−2,2,3,4,4,5−ヘキサメチルヘキサン、3−クロロ−2,2,3,4,4,5,5−ヘプタメチルヘキサン、2−クロロ−2−メチルヘプタン、2−クロロ−2,3−ジメチルヘプタン、2−クロロ−2,4−ジメチルヘプタン、2−クロロ−2,5−ジメチルヘプタン、2−クロロ−2,6−ジメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,3−トリメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4−トリメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,5−トリメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,6−トリメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,3,4−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,3,5−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,3,6−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,4−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,6−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,4,4,5−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,4,4,6−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,4,5,5−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,4,5,6−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,4,6,6−テトラメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,3,4,4−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,3,4,5−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,3,4,6−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,4,5−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,4,6−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,5,5−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,5,6−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,4,5,5,6−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2,4,5,6,6−ペンタメチルヘプタン、3−クロロ−3−メチルヘプタン、3−クロロ−2,3−ジメチルヘプタン、3−クロロ−3,4−ジメチルヘプタン、3−クロロ−3,5−ジメチルヘプタン、3−クロロ−3,6−ジメチルヘプタン、3−クロロ−2,2,3−トリメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4−トリメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,5−トリメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,6−トリメチルヘプタン、3−クロロ−2,2,3,4−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−2,2,3,5−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−2,2,3,6−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4,4−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4,6−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−3,4,4,5−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−3,4,4,6−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−3,4,5,5−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−3,4,5,6−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−3,4,6,6−テトラメチルヘプタン、3−クロロ−2,2,3,4,4−ペンタメチルヘプタン、3−クロロ−2,2,3,4,5−ペンタメチルヘプタン、3−クロロ−2,2,3,4,6−ペンタメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4,4,5−ペンタメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4,4,6−ペンタメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4,5,5−ペンタメチルヘプタン、3−クロロ−2,3,4,5,6−ペンタメチルヘプタン、4−クロロ−4−メチルヘプタン、4−クロロ−2,4−ジメチルヘプタン、4−クロロ−3,4−ジメチルヘプタン、4−クロロ−2,2,4−トリメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,4−トリメチルヘプタン、4−クロロ−2,4,5−トリメチルヘプタン、4−クロロ−2,4,6−トリメチルヘプタン、4−クロロ−3,3,4−トリメチルヘプタン、4−クロロ−3,4,5−トリメチルヘプタン、4−クロロ−2,2,3,4−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,2,4,5−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,2,4,6−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,3,4−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,4,6−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,4,5,5−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,4,5,6−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−3,3,4,5−テトラメチルヘプタン、4−クロロ−2,2,3,3,4−ペンタメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,3,4,5−ペンタメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,3,4,6−ペンタメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,4,5,5−ペンタメチルヘプタン、4−クロロ−2,2,3,4,6−ペンタメチルヘプタン、4−クロロ−2,2,4,5,5−ペンタメチルヘプタン、4−クロロ−2,3,4,5,6−ペンタメチルヘプタン、2−クロロ−2−メチルオクタン、2−クロロ−2,3−ジメチルオクタン、2−クロロ−2,4−ジメチルオクタン、2−クロロ−2,5−ジメチルオクタン、2−クロロ−2,6−ジメチルオクタン、2−クロロ−2,7−ジメチルオクタン、2−クロロ−2,3,3−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,3,4−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,3,5−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,3,6−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,3,7−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,4,4−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,4,5−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,4,6−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,4,7−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,5,5−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,5,6−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,5,7−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,6,6−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,6,7−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,7,7−トリメチルオクタン、2−クロロ−2,3,3,4−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,3,5−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,3,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,3,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,4,4−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,4,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,4,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,5,5−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,5,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,5,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,6,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,6,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,3,7,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,4,5−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,4,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,4,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,5,5−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,5,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,5,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,6,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,6,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,4,7,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,5,5,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,5,5,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,5,6,6−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,5,6,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,5,7,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,6,6,7−テトラメチルオクタン、2−クロロ−2,6,7,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3−メチルオクタン、3−クロロ−2,3−ジメチルオクタン、3−クロロ−3,4−ジメチルオクタン、3−クロロ−3,5−ジメチルオクタン、3−クロロ−3,6−ジメチルオクタン、3−クロロ−3,7−ジメチルオクタン、3−クロロ−2,2,3−トリメチルオクタン、3−クロロ−2,3,4−トリメチルオクタン、3−クロロ−2,3,5−トリメチルオクタン、3−クロロ−2,3,6−トリメチルオクタン、3−クロロ−2,3,7−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,4,4−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,4,5−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,4,6−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,4,7−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,5,5−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,5,6−トリメチルオクタン
、3−クロロ−3,5,7−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,6,6−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,6,7−トリメチルオクタン、3−クロロ−3,7,7−トリメチルオクタン、3−クロロ−2,2,3,4−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,2,3,5−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,2,3,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,2,3,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,4,4−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,4,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,4,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,5,5−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,5,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,5,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,6,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,6,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−2,3,7,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,4,5−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,4,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,4,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,5,5−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,5,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,5,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,6,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,6,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,4,7,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,5,5,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,5,5,7−テトラメルオクタン、3−クロロ−3,5,6,6−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,5,6,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,5,7,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,6,6,7−テトラメチルオクタン、3−クロロ−3,6,7,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4−メチルオクタン、4−クロロ−2,4−ジメチルオクタン、4−クロロ−3,4−ジメチルオクタン、4−クロロ−4,5−ジメチルオクタン、4−クロロ−4,6−ジメチルオクタン、4−クロロ−4,7−ジメチルオクタン、4−クロロ−2,2,4−トリメチルオクタン、4−クロロ−2,3,4−トリメチルオクタン、4−クロロ−2,4,5−トリメチルオクタン、4−クロロ−2,4,6−トリメチルオクタン、4−クロロ−2,4,7−トリメチルオクタン、4−クロロ−3,3,4−トリメチルオクタン、4−クロロ−3,4,5−トリメチルオクタン、4−クロロ−3,4,6−トリメチルオクタン、4−クロロ−3,4,7−トリメチルオクタン、4−クロロ−4,5,5−トリメチルオクタン、4−クロロ−4,5,6−トリメチルオクタン、4−クロロ−4,5,7−トリメチルオクタン、4−クロロ−4,6,6−トリメチルオクタン、4−クロロ−4,6,7−トリメチルオクタン、4−クロロ−4,7,7−トリメチルオクタン、4−クロロ−2,2,3,4−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,2,4,5−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,2,4,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,2,4,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,3,3,4−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,3,4,5−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,3,4,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,3,4,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,4,5,5−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,4,5,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,4,5,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,4,6,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,4,6,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−2,4,7,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,3,4,5−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,3,4,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,3,4,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,4,5,5−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,4,5,6−テトラメルオクタン、4−クロロ−3,4,5,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,4,6,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,4,6,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−3,4,7,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4,5,5,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4,5,5,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4,5,6,6−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4,5,6,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4,5,7,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4,6,6,7−テトラメチルオクタン、4−クロロ−4,6,7,7−テトラメチルオクタン、1−クロロ−1−メチルシクロペンタン、1−クロロ−1,2−ジメチルシクロペンタン、1−クロロ−1,3−ジメチルシクロペンタン、1−クロロ−1,2,2−トリメチルシクロペンタン、1−クロロ−1,2,3−トリメチルシクロペンタン、1−クロロ−1,2,4−トリメチルシクロペンタン、1−クロロ−1,2,5−トリメチルシクロペンタン、1−クロロ−1,3,3−トリメチルシクロペンタン、1−クロロ−1,3,4−トリメチルシクロペンタン、1−クロロ−1−メチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,2−ジメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,4−ジメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,2,2−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,2,3−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,2,5−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,2,6−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,3,4−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1−クロロ−1,4,4−トリメチルシクロヘキサン、2−クロロ−2−フェニルプロパン、1−クロロ−1,1−ジフェニルエタン、トリチルクロリド、3−クロロ−3,3−ジメチルブテン、3−クロロ−3,3−ジメチルブチン、1−クロロアダマンタン、1−クロロ−3,5−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。アルコキシシラン化合物に対する塩素置換された3級炭素を有する化合物の添加量は、経済的な観点から塩素質量分で1〜10,000ppm、より好ましくは1〜5,000ppm、更に好ましくは1〜1,000ppmである。
【0014】
当該アルコキシシラン組成物の加水分解を行う場合に好ましい水の量は、アルコキシシラン組成物の質量に対して実用的な観点から、1,000倍以下、より好ましくは500倍以下、更に好ましくは200倍以下である。
【0015】
当該アルコキシシラン組成物を得るための方法は任意であるが、例えばアルコキシシラン化合物中に塩素置換された3級炭素を有する化合物を添加する方法や、塩素置換された3級炭素を有する化合物にアルコキシシラン化合物を添加する方法、塩素置換された3級炭素を有する化合物を含むクロロシランをアルコールと反応させる方法、オレフィンを含むクロロシランをアルコールと反応させる方法等が挙げられる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例によってアルコキシシラン中に含まれる化合物の種類と含有量によりアルコキシシランの加水分解時間を調節することができること、加水分解された後に初めて酸性となることを示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、アルコキシシランは均一な水溶液として使用されることが多いため、溶液が二層系から均一になった時点までにかかった時間を加水分解時間とした。
【0017】
[実施例1]
ポリテトラフルオロエチレン製撹拌子を備えた蓋付き50mlガラス瓶にビニルトリエトキシシラン10gと水20gを仕込み、添加化合物として、2−クロロ−2−メチルプロパン2.6mg(塩素質量分で100ppm)を添加して室温下でスターラーにて撹拌した。当初二層に分かれていた溶液が均一になるまでの時間は3時間であった。また、ビニルトリエトキシシランに2−クロロ−2−メチルプロパンを添加した時点ではpHは7を示したが、均一になった時点ではpHは4であった。
【0018】
[実施例2]
2−クロロ−2−メチルプロパンの添加量を5.2mg(塩素質量分で200ppm)に変更した以外は実施例1と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は2時間であった。
【0019】
[実施例3]
2−クロロ−2−メチルプロパンの添加量を1.3mg(塩素質量分で50ppm)に変更した以外は実施例1と同様にスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は5時間であった。
【0020】
[実施例4]
添加する化合物を2−クロロ−2−メチルブタン3.0mg(塩素質量分で100ppm)に変更した以外は実施例1と同様にスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は3時間であった。
【0021】
[実施例5]
アルコキシシランに含まれる塩素化合物の構造中に芳香族を持つものでも適用できることを示すために、添加する化合物をトリチルクロリド8.0mg(塩素質量分で100ppm)に変更した以外は実施例1と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は2時間であった。
【0022】
[比較例1]
塩素置換された3級炭素を有する化合物を添加していない以外は実施例1と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。この系では6時間経過しても溶液が均一になることはなかった。
【0023】
[比較例2]
添加する化合物を濃塩酸2.9mg(塩素質量分で100ppm)に変更した以外は実施例1と同様にスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は2時間であった。ビニルトリエトキシシランに濃塩酸を添加した時点でpHは3であり、加水分解開始前からアルコキシシラン自身が酸性を示していた。
【0024】
[実施例6]
ポリテトラフルオロエチレン製撹拌子を備えた蓋付き100mlガラス瓶にビニルトリエトキシシラン2gと水98gを仕込み、添加化合物として、2−クロロ−2−メチルプロパン5.2mg(塩素質量分で1,000ppm)を添加して室温下でスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は30分であった。また、ビニルトリエトキシシランに2−クロロ−2−メチルプロパンを添加した時点ではpHは7を示したが、均一になった時点ではpHは4であった。
【0025】
[比較例3]
塩素置換された3級炭素を有する化合物を添加していない以外は実施例6と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。この系では6時間経過しても溶液が均一になることはなかった。
【0026】
[実施例7]
他のアルキルアルコキシシランにも適用できることを示すため、実施例7、8及び比較例4を実施した。
ポリテトラフルオロエチレン製撹拌子を備えた蓋付き50mlガラス瓶にヘキシルトリメトキシシラン10gと水20gを仕込み、添加化合物として、2−クロロ−2−メチルプロパン13.0mg(塩素質量分で500ppm)を添加して室温下でスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は2時間であった。
【0027】
[実施例8]
添加する化合物を2−クロロ−2−メチルブタン15.0mg(塩素質量分で500ppm)に変更した以外は実施例7と同様にスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は2時間であった。
【0028】
[比較例4]
塩素置換された3級炭素を有する化合物を添加していない以外は実施例7と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。この系では6時間経過しても溶液が均一になることはなかった。
【0029】
[実施例9]
アリールアルコキシシランにも適用できることを示すため、実施例9及び比較例5を実施した。
ポリテトラフルオロエチレン製撹拌子を備えた蓋付き50mlガラス瓶にフェニルトリメトキシシラン1gと水10gを仕込み、添加化合物として、2−クロロ−2−メチルプロパン2.6mg(塩素質量分で1,000ppm)を添加して室温下でスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は30分であった。
【0030】
[比較例5]
塩素置換された3級炭素を有する化合物を添加していない以外は実施例9と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。この系では6時間経過しても溶液が均一になることはなかった。
【0031】
[実施例10]
アルコキシシラン中に含まれる塩素化合物が不飽和脂肪族系でも適用できることを示すために実施例10、11及び比較例6を実施した。ポリテトラフルオロエチレン製撹拌子を備えた蓋付き50mlガラス瓶にメチルトリメトキシシラン10gと水20gを仕込み、添加化合物として、2−クロロ−2−メチルプロパン2.6mg(塩素質量分で100ppm)を添加して室温下でスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は20分であった。
【0032】
[実施例11]
添加する化合物を3−クロロ−3−メチルブチン2.9mg(塩素質量分で1,000ppm)に変更した以外は実施例10と同様にスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は3時間であった。
【0033】
[比較例6]
塩素置換された3級炭素を有する化合物を添加していない以外は実施例10と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。この系では6時間経過しても溶液が均一になることはなかった。
【0034】
[実施例12]
アルコキシシランの構造中に反応性基を有していても適用できることを示すために実施例12及び比較例7、8を実施した。
ポリテトラフルオロエチレン製撹拌子を備えた蓋付き50mlガラス瓶に3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン10gと水20gを仕込み、添加化合物として、2−クロロ−2−メチルプロパン2.6mg(塩素質量分で100ppm)を添加して室温下でスターラーにて撹拌した。溶液が均一になるまでの時間は2時間であった。
【0035】
[比較例7]
塩素置換された3級炭素を有する化合物を添加していない以外は実施例12と同様に室温下でスターラーにて撹拌した。この系では6時間経過しても溶液が均一になることはなかった。
【0036】
[比較例8]
添加する化合物を濃塩酸2.9mg(塩素質量分で100ppm)に変更した以外は実施例12と同様にスターラーにて撹拌した。この系では6時間経過しても溶液が均一になることはなかった。これは、エポキシ基と反応し、濃塩酸が消費されたためである。