(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、例えば平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
【0012】
また、実施形態に係る発光装置及びその製造方法において、「上」、「下」、「左」及び「右」などは、状況に応じて入れ替わるものである。本明細書において、「上」、「下」などは、説明のために参照する図面において構成要素間の相対的な位置を示すものであって、特に断らない限り絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0013】
<第1実施形態>
[発光装置の構成]
第1実施形態に係る発光装置の構成について、
図1〜
図3Bを参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す斜視図である。
図2Aは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す正面図である。
図2Bは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図2Cは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す底面図である。
図2Dは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す右側面図である。
図3Aは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図であり、
図2AのIIIA−IIIA線における断面図である。
図3Bは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図であり、
図2AのIIIB−IIIB線における断面図である。
なお、
図1〜
図3Bの各図には座標軸を示し、便宜的に、Y軸のプラス方向に向かって見た
図2Aを正面図、Z軸のマイナス方向に向かって見た
図2Bを平面図(上面図)、Z軸のプラス方向に向かって見た
図2Cを底面図、X軸のマイナス方向に向かって見た
図2Dを右側面図とする。
【0014】
第1実施形態に係る発光装置100は、発光素子1とパッケージ2とを備えて構成されている。
発光素子1は、パッケージ2の、正面に開口を有する凹部23a内に設けられ、リード電極21,22の内部リード部21a,22aと、それぞれワイヤ4で電気的に接続されている。発光素子1は、凹部23aの底面23bにダイボンド樹脂5を用いて接合されている。更に、凹部23a内には透光性を有する封止樹脂3が設けられ、発光素子1が封止されている。
また、発光素子1が発する光は、透光性を有する封止樹脂3を介して凹部23aの開口から正面方向(Y軸のマイナス方向)に出射される。発光装置100は、例えば、液晶ディスプレイのバックライト用の光源に適するように、厚さ方向(Z軸方向)に扁平に形成されている。
【0015】
発光素子1は、パッケージ2の凹部23aの底面23b(Y軸に垂直な面)に設けられた一方の極性の内部リード部21aにダイボンド樹脂5を用いて接合されている。また、発光素子1の正負のパッド電極(アノード及びカソード)は、それぞれ対応する極性の内部リード部21a,22aとAu,Ag,Cu,Alなどのボンディング用のワイヤ4を用いて電気的に接続されている。
また、発光素子1は、1個のみ搭載されているが、複数搭載することもできる。複数の発光素子は、同じ色又は互いに異なる色を発するものでもよい。
【0016】
なお、本実施形態において、発光装置100はサイドビュー型(側面発光型)であるため、発光素子1の基板11の主面が発光装置100の上面に対して直交するように、発光素子1が実装される。本明細書において発光素子1の構成を説明する際に、便宜的に、発光素子1を平面視するとは、基板11の主面の法線方向から観察することをいうものとする。従って、発光装置100に実装された状態において、発光素子1の平面(上面)は、発光装置100を正面視したときに観察される面のことである。
【0017】
ここで、発光素子1の構成例について、
図4A〜
図4Cを参照して説明する。
図4Aは、第1実施形態に係る発光装置における発光素子の構成を示す模式的平面図である。
図4Bは、第1実施形態に係る発光装置における発光素子の構成を示す模式的断面図であり、
図4AのIVB−IVB線における断面図である。
図4Cは、第1実施形態に係る発光装置における発光素子の平面視での形状を説明するための図である。
【0018】
発光素子1は、LEDなどの半導体発光素子を好適に用いることができる。本実施形態における発光素子1は、平面視で横長の三角形に形成され、基板11と、半導体積層体12と、n側電極13と、p側電極14と、絶縁膜15と、保護膜16とを備えて構成されている。また、本実施形態における発光素子1は、基板11の一方の主面上に、LED(発光ダイオード)構造を有する半導体積層体12を備え、更に半導体積層体12の一方の面側にn側電極13及びp側電極14とを備え、フェイスアップ型の実装に適した構造を有している。
【0019】
発光素子1の平面視形状は三角形であり、
図4Cに示すように、その三角形の3個の頂点をA〜Cとすると、辺ABと辺BCの長さが等しく、頂点Bの内角が90°超の鈍角2等辺三角形である。また、発光素子1は、辺CAを長手方向とし、頂点Bから辺CAに下ろした垂線BGを短手方向とするものである。従って、発光素子1は、凹部23aの底面23bにおいて、辺CAが底面23bの長手方向と平行となり、頂点Bが底面23bの上辺と対向する向きとなるように配置されている。また、発光素子1は、底面23bの上辺と頂点Bとの距離が、底面23bの下辺と辺CAとの距離と略等しくなるように配置されることが好ましい。これによって、底面23bの上辺に対応する上壁部23cと、下辺に対応する下壁部23dとに対する光の照射強度を、適切なバランスにすることができる。
本明細書において、発光素子1の長手方向と凹部23aの底面23bの長手方向とが「平行」又は「略平行」とは、平行からの傾斜角が10°以内である場合を含むものとする。
【0020】
なお、発光素子1の外形形状を鈍角三角形とすることにより、より横長形状とすることができ、薄型の発光装置100の底面23b上に面積の使用効率よく配置することができて好ましい。また、外形形状を2等辺三角形とすることにより、発光装置100の横方向の配光が左右対称となるため好ましい。
また、発光素子1の外形形状は鈍角2等辺三角形に限定されず、頂角が90°以下であってもよく、辺ABと辺BCとが異なる長さであってもよい。更にまた、発光素子1の外形形状は三角形に限定されず、全ての内角が180°未満である凸多角形であってもよい。他の外形形状の例については後記する。
【0021】
基板11は、半導体積層体12をエピタキシャル成長させるために適した基板である。基板11としては、例えば、半導体積層体12をGaN(窒化ガリウム)などの窒化物半導体を用いて形成する場合には、C面、R面、A面の何れかを主面とするサファイアやスピネル(MgAl
2O
4)のような絶縁性基板、また炭化ケイ素(SiC)、ZnS、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、及び窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジム等の酸化物基板が挙げられる。
【0022】
半導体積層体12は、基板11の上面である一方の主面上に、n型半導体層12n及びp型半導体層12pが積層されてなり、n側電極13及びp側電極14間に電流を通電することにより発光するようになっている。半導体積層体12は、n型半導体層12nとp型半導体層12pとの間に活性層12aを備えることが好ましい。
【0023】
半導体積層体12には、p型半導体層12p及び活性層12aが部分的に存在しない領域、すなわちp型半導体層12pの表面から凹んだ段差部12bが形成されている。段差部12bの底面はn型半導体層12nで構成されている。本実施形態では、段差部12bは、発光素子1の外縁部に設けられており、左端部には段差部12bが他部よりも広く設けられている。当該左端部に設けられた段差部12bの底面の一部にn側電極13が設けられ、n型半導体層12nと電気的に接続されている。
【0024】
また、p型半導体層12pの上面の略全面には、p側電極14の下層部として透光性電極141が設けられ、更に透光性電極141の上面の一部にパッド電極142が設けられている。また、平面視でパッド電極142が配置された領域の直下領域及びその近傍領域において、p型半導体層12pと透光性電極141との間に絶縁膜15が設けられている。
また、パッド電極132及びパッド電極142の外部接続部を除き、半導体積層体12、n側電極13及びp側電極14の表面は、保護膜16で被覆されている。
【0025】
半導体積層体12は、液相成長法、HDVPE法やMOCVD法により基板上にZnS、SiC、GaN、GaP、InN、AlN、ZnSe、GaAsP、GaAlAs、InGaN、GaAlN、AlInGaP、AlInGaN等の半導体を積層して形成したものが好適に用いられる。半導体材料としては、混晶度の選択により、紫外光から赤外光までの発光波長を種々選択することができるため、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表される窒化ガリウム系の半導体をより好適に用いることができる。
【0026】
n側電極13は、半導体積層体12の段差部12bの底面において、n型半導体層12nと電気的に接続されるように設けられ、発光素子1に外部からの電流を供給するための負極側の電極である。また、n側電極13は、光反射膜131とパッド電極132とが積層された構造を有している。
下層側の光反射膜131は、半導体積層体12内を伝播してn側電極13下面に入射する光を反射することで、n側電極13による光の吸収を抑制し、外部への光取り出し効率を高めるためのものである。そのため、光反射膜131は、半導体積層体12が発する波長の光に対して、少なくともパッド電極132の下面よりも良好な光反射性を有するものが好ましく、例えば、Al、Ru、Ag、Ti、Ni又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を有するものを挙げることができる。
【0027】
上層側のパッド電極132は、外部の電源と接続するための層である。パッド電極132は、ワイヤボンディングなどによる外部との接続に適するように、例えば、Cu、Au又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を用いることができる。
【0028】
p側電極14は、p型半導体層12pの上面において、p型半導体層12pと電気的に接続されるように設けられ、発光素子1に外部からの電流を供給するための正極側の電極である。また、p側電極14は、透光性電極141とパッド電極142とが積層された構造を有している。
【0029】
下層側の透光性電極141は、p型半導体層12pの上面の略全面を被覆するように設けられている。透光性電極141は、パッド電極142を介して外部から供給される電流をp型半導体層12pの全面に拡散するための電流拡散層として機能するものである。また、半導体積層体12から発した光は、主として透光性電極141を介して外部に取り出される。このため、透光性電極141は、半導体積層体12が発する光の波長に対して良好な透光性を有することが好ましい。
【0030】
透光性電極141は、導電性金属酸化物から形成される。導電性金属酸化物としては、Zn(亜鉛)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Ga(ガリウム)及びTi(チタン)からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物が挙げられる。具体的には、ZnO、AZO(AlドープZnO)、IZO(InドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、In
2O
3、ITO(SnドープIn
2O
3)、IFO(FドープIn
2O
3)、SnO
2、ATO(SbドープSnO
2)、FTO(FドープSnO
2)、CTO(CdドープSnO
2)、TiO
2などの導電性金属酸化物がある。
なかでも、ITOは、可視光(可視領域)において高い透光性を有し、導電率の高い材料であることから、p型半導体層12p上の上面の略全面を覆うのに好適な材料である。
【0031】
上層側のパッド電極142は、透光性電極141の上面の一部に設けられ、外部の電極と接続するための層である。また、パッド電極142は、ワイヤボンディングなどにより外部と接続するための外部接続部142aと、当該外部接続部142aから平面視での外形形状である三角形の中央近傍を経由してn側電極13に向けて延伸して、電流をより効率的に拡散させるための延伸部142bとから構成されている。
【0032】
パッド電極142は、前記したn側電極13のパッド電極132と同様に、ワイヤボンディングなどによる外部との接続に適するように、例えば、Cu、Au又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を用いることができる。
なお、本実施形態において、パッド電極142は、外部接続部142a及び延伸部142bが、ともに同じ材料で構成されている。
【0033】
絶縁膜15は、p型半導体層12p上であって、平面視で、パッド電極142が配置された領域の直下領域及びその近傍領域に、パッド電極142を包含するように設けられている。絶縁膜15は、p型半導体層12pと透光性電極141との間に設けられることにより、パッド電極142の直下領域のp型半導体層12pに流れる電流を抑制し、当該領域での発光を抑制させることができる。そして、パッド電極142に向かって伝播する光量を低減させることでパッド電極142によって吸収される光量を低減し、その結果として、半導体積層体12全体としての発光量を増加させることができる。
【0034】
また、絶縁膜15は、透光性を有し、透光性電極141よりも屈折率が低い材料で構成されることが好ましい。絶縁膜15をp型半導体層12p上に設けることにより、p型半導体層12pと絶縁膜15との界面で、半導体積層体12内を上方に伝播する光をスネルの法則に基づいて全反射させることができる。従って、絶縁膜15を平面視でパッド電極142の直下領域及びその近傍領域に設け、パッド電極142に向かう光を手前で効率的に反射させることにより、パッド電極142による光吸収を低減させることができる。
【0035】
絶縁膜15としては、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3などの酸化物、SiNなどの窒化物、MgFなどのフッ化物を好適に用いることができる。これらの中で、屈折率が低いSiO
2をより好適に用いることができる。
【0036】
保護膜16は、透光性及び絶縁性を有し、基板11の側面及び下面を除き、発光素子1の上面及び側面の略全体を被覆する膜である。また、保護膜16は、パッド電極132の上面に開口部16nを有し、パッド電極142の上面に開口部16pを有している。
保護膜16としては、前記した絶縁膜15と同様の材料を用いることができ、例えば、SiO
2を好適に用いることができる。
【0037】
なお、発光素子1において、n側電極13,p側電極14、段差部12bの配置領域や、パッド電極132,142の形状などは、本実施形態に限定されるものではなく、適宜な形状とすることができる。また、n側電極13についても延伸部を設けるようにしてもよい。
【0038】
図1〜
図3Bに戻って、発光装置100の構成について説明を続ける。
パッケージ2は、リード電極21、22と、樹脂部23とを有して構成されている。パッケージ2は、外形が、発光装置100の厚さ方向であるZ軸方向に扁平に形成された略直方体形状を有しており、液晶ディスプレイのバックライト用の光源などに好適に用いられるサイドビュー型の実装に適している。
【0039】
リード電極21及びリード電極22は、正負の極性に対応した一対の電極である。リード電極21,22は、樹脂部23内に設けられ、発光素子1を搭載するための内部リード部21a,22aと、樹脂部23の底面側から突出し、実装基板と接続するための端子となる外部リード部21b,22bとから構成されている。
リード電極21,22は、板状の金属を用いて形成され、波形板状、凹凸を有する板状であってもよい。その厚みは均一であってもよいし、部分的に厚く又は薄くなってもよい。
【0040】
内部リード部21a,22aは、樹脂部23の凹部23aの底面23b(Y軸に垂直な面)において、樹脂部23から露出して設けられている。当該凹部23aの底面23bにおいて、内部リード部21aと内部リード部22aとは、互いに電気的に分離されている。発光素子1は、半導体積層体12が内部リード部21aと絶縁された状態で、ダイボンド樹脂を用いて当該内部リード部21aに接合されている。また、発光素子1の一対の電極であるn側電極13及びp側電極14は、ボンディング用のワイヤ4を用いて、それぞれが対応する極性の内部リード部21a,22aと電気的に接続されている。
【0041】
外部リード部21b,22bは、それぞれ対応する極性の内部リード部21a,22aと連続して形成されており、樹脂部23の底面から突出し、樹脂部23の底面に沿って背面側(Y軸のプラス方向)に延伸するように屈曲し、更に一部が樹脂部23の左右の側面に沿って上方(Z軸のプラス方向)に延伸するように屈曲して設けられている。
発光装置100は、底面を実装基板と対向させ、半田などの導電性の接着部材を用いて、外部リード部21b,22bが実装基板の配線パターンと接合されることで実装される。
【0042】
リード電極21,22を構成する材料は特に限定されないが、熱伝導率の比較的大きな材料で形成することが好ましい。このような材料で形成することにより、発光素子1で発生する熱を効率的に、外部リード部21b,22bを介して外部に放熱することができる。リード電極21,22を構成する材料は、例えば、200W/(m・K)程度以上の熱伝導率を有しているもの、比較的大きい機械的強度を有するもの、あるいは打ち抜きプレス加工又はエッチング加工等が容易な材料が好ましい。具体的には、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属又は鉄−ニッケル合金、燐青銅等の合金等が挙げられる。また、内部リード部21a,22aの凹部23aの底面23bに露出した面には、搭載される発光素子1からの光を効率よく取り出すために、良好な光反射性を有するAgなどの反射メッキが施されていることが好ましい。
【0043】
樹脂部23は、内部リード部21a,22aを取り囲むように設けられ、リード電極21,22を支持するためのパッケージ2の母体である。樹脂部23の底面からは、内部リード部21a,22aから連続する外部リード部21b,22bが突出している。外部リード部21b,22bは、屈曲しながら樹脂部23の底面及び側面に沿うように設けられている。
【0044】
樹脂部23は、発光装置100の正面側(Y軸のマイナス方向)に開口する凹部23aを有している。当該凹部23aの底面23b(Y軸のマイナス方向を法線ベクトルとする面)には、内部リード部21a,22aが露出するように設けられ、更に内部リード部21aの樹脂部23から露出した面に発光素子1が搭載されている。
また、樹脂部23の背面には、射出成形法で樹脂部23を形成する際の、金型内へ樹脂材料を注入するゲートの痕であるゲート痕23fが形成されている。
【0045】
樹脂部23は、透光性を有する樹脂に光反射性物質の粒子を含有することで光反射性を付与された材料で形成され、凹部23aにおいて、発光素子1からの光を反射して、正面方向に効率的に出射させるための光反射部材としても機能する。
また、凹部23a内には透光性の封止樹脂3が充填されている。
【0046】
凹部23aは、正面視で、横長の開口部を有している。より具体的には、開口は、正面視で長方形の下辺の中央部が下方に台形状に膨らんだ八角形の形状をしている。また、凹部23aの底面23bは、横長の八角形をした長尺形状を有しており、当該底面23bに内部リード部21a,22aが設けられている。また、凹部23aは、発光装置100の厚さ方向(Z軸方向)に互いに対向して設けられた上壁部23c及び下壁部23dと、発光装置100の幅方向(X軸方向)に互いに対向して設けられた2つの側壁部23eとを持つ内壁で囲まれることによって構成されている。
【0047】
ここで、上壁部23c及び下壁部23dは、側壁部23eと比較して、薄く形成されている。また、凹部23aの底面23bに設けられた内部リード部21a,22aの一部が、一方の薄壁部である下壁部23dの外側面の側まで延び、外部との接続用端子となる外部リード部21b,22bとして当該外側面の側から突出し、更に屈曲して樹脂部23の下面に沿って延伸するように設けられている。
このように、発光装置100は、サイドビュー型の実装に適するようにリード電極21,22が設けられているとともに、サイドビュー型の発光装置100として、より薄型となるように樹脂部23が構成されている。
【0048】
また、上壁部23c、下壁部23d及び側壁部23eは、高さ方向(Z軸方向)又は幅方向(X軸方向)について、発光素子1が搭載された凹部23aの底面23bから開口に向かうほど、凹部23aが広がるように傾斜した内側面を有している。このため、発光素子1の側面(Y軸に平行な面)から発して凹部23aの内側面に向かって伝播する光は、当該傾斜した内側面によって正面方向(−Y軸方向)に向かって反射される。
なお、上壁部23c及び下壁部23dの内側面は、発光装置100がより薄型の構造となるように傾斜を設けずに、凹部23aの底面23bに対して略垂直な面で構成されてもよい。
【0049】
樹脂部23に用いられる樹脂材料としては、発光素子1が発する光の波長に対して良好な透光性を有することが好ましく、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリフタルアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、液晶樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂などが挙げられる。なかでも、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフタルアミド樹脂が耐光性及び耐熱性に優れているため好ましい。ポリアミド樹脂は、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド6C、ポリアミド9Cなどを使用することができる。
また、サイドビュー型の発光装置100では、発光素子1と樹脂部23との間の距離が非常に短いので、光が樹脂部23に高い強度で照射されるため、樹脂材料に耐光性が求められる。そのため、特に、化学構造にベンゼン環を含まないポリアミド樹脂、例えば、ポリアミド6C、ポリアミド9Cは、耐光性、耐熱性が優れているので好ましい。
【0050】
樹脂部23に含有させる光反射性物質としては、前記した樹脂材料との屈折率差が大きく、良好な透光性を有する材料の粒子を用いることが好ましい。
このような光反射性物質としては、屈折率が、例えば1.8以上であって、光を効率的に散乱し高い光取り出し効率を得るためには、2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。樹脂材料との屈折率差は、例えば0.4以上であって、光を効率的に散乱し高い光取り出し効率を得るためには、0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。また、光反射性物質の粒子の平均粒径は、高い効率で光散乱効果を得られるように、0.08μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
【0051】
なお、本明細書において、光反射性物質や波長変換物質などの粒子の平均粒径の値は、電子顕微鏡を用いた観察によるものとする。粒子は一定軸方向の長さについて測定する定方向径を使用し、電子顕微鏡(SEM,TEM)で粒子の大きさを測定する個数基準(個数分布)を用いる。
【0052】
また、光反射性物質として、具体的には、TiO
2(酸化チタン)、ZrO
2(酸化ジルコニウム)、MgO(酸化マグネシウム)、MgCO
3(炭酸マグネシウム)、Mg(OH)
2(水酸化マグネシウム)、CaCO
3(炭酸カルシウム)、Ca(OH)
2(水酸化カルシウム)、CaSiO
3(珪酸カルシウム)、ZnO(酸化亜鉛)、BaTiO
3(チタン酸バリウム)、Al
2O
3(酸化アルミニウム)などの白色顔料の粒子を用いることができる。なかでも、TiO
2は、水分などに対して比較的安定でかつ高屈折率であり、また熱伝導性にも優れるため好ましい。
また、より良好な反射性を得るために、発光素子1が発する光が可視光の場合には、光反射性物質としてTiO
2を用いることが好ましく、紫外光の場合には、光反射性物質としてAl
2O
3を用いることが好ましい。
【0053】
また、当該樹脂材料は、十分な光反射性が得られ、かつ、パッケージの形状を形成する際の成形性が損なわれない範囲で、光反射性物質が含有されている。そのためには、樹脂部23に含有される光反射性物質の含有率は、10質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。10質量%以上とすることにより、樹脂の反射率を上げることができ、樹脂部23からの光抜けを少なくし、発光装置100の光取り出し効率を向上することができる。60質量%以下とすることにより、樹脂の流動性をよくし、成形性を上げることができる。特に、サイドビュー型の発光装置100の場合は、側壁が薄いため、樹脂の流動性が高いことが求められる。光取り出し効率を向上すること、及び成形性を向上することなどのために、樹脂部23に含有される光反射性物質の含有率は、20質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。
【0054】
封止樹脂3は、透光性を有する樹脂材料を主成分とし、樹脂部23の凹部23aを充填するように設けられ、凹部23aの底面23bに搭載される発光素子1を封止する部材である。また、封止樹脂3は、発光素子1が発する光を異なる波長の光に変換する波長変換物質(蛍光体)を含有するようにしてもよい。例えば、発光素子1が青色光を発し、波長変換物質が青色光の一部を黄色光に変換するように構成することで、これらの光が混色した白色光を発光装置100から出射させることができる。
なお、封止樹脂3に含有させる波長変換物質は複数種類でもよく、波長変換物質に代えて、又は加えて、光拡散性物質を含有させてもよい。
【0055】
封止樹脂3としては、発光素子1が発する光の波長及び前記した波長変換物質が発する光の波長に対して良好な透光性を有し、封止部材として耐候性、耐光性及び耐熱性の良好な材料が好ましい。このような材料としては、前記した樹脂部23と同様の樹脂材料やガラスなどを用いることができる。封止樹脂3の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、アダマンタン樹脂などが挙げられる。特に、耐熱性、耐光性に優れているため、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が好ましい。
【0056】
また、波長変換物質(蛍光体)としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、緑〜黄色に発光するセリウムで賦活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑色に発光するセリウムで賦活されたLAG(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑〜赤色に発光するユーロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、青〜赤色に発光するユーロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、緑色に発光する(Si,Al)
6(O,N)
8:Euで表されるβサイアロン蛍光体、SrGa
2S
4:Euで表される硫化物系蛍光体、赤色に発光するCaAlSiN
3:Euで表されるCASN系又は(Sr,Ca)AlSiN
3:Euで表されるSCASN系蛍光体などの窒化物系蛍光体、赤色に発光するKSF(K
2SiF
6:Mn)系蛍光体、赤色に発光する硫化物系蛍光体などが挙げられる。
【0057】
また、封止樹脂3に含有させる光拡散性物質としては、具体的には、SiO
2、TiO
2、ZrO
2、MgO、MgCO
3、Mg(OH)
2、CaCO
3、Ca(OH)
2、CaSiO
3、ZnO、BaTiO
3、Al
2O
3などの白色顔料の粒子を用いることができる。なかでも、TiO
2は、水分などに対して比較的安定でかつ高屈折率であり、また熱伝導性にも優れるため好ましい。
また、より良好な光散乱性を得るために、発光素子1が発する光が可視光の場合には、光拡散性物質としてTiO
2を用いることが好ましく、紫外光の場合には、光拡散性物質としてAl
2O
3を用いることが好ましい。
【0058】
封止樹脂3に含有される光拡散性物質の粒子の平均粒径は、0.001μm以上10μm以下であることが好ましく、これによって高い効率の光散乱性を得ることができる。特に、封止樹脂3における光拡散性物質の粒子の平均粒径は、0.001μm〜0.05μmがより好ましい。これによって、高い光散乱効果、つまり、レイリー散乱効果が得られ、発光装置100としての光取り出し効率をより高くすることができる。
また、平均粒径が、好ましくは0.001μm〜0.05μmの光拡散性物質の粒子と、前記した波長変換物質、特に、CASN系、SCASN系のような窒化物系蛍光体、KSF系のようなフッ化物系蛍光体、硫化物系蛍光体とを合わせて用いることにより、光取り出し効率を向上することができる。また、光取り出し効率が向上する分、波長変換物質の使用量を低減することで波長変換物質の発熱による温度上昇が抑制できるため、蛍光体の劣化が低減され、発光装置100の信頼性を向上することができる。
特に、発光素子1が多角形ダイスであり、波長変換物質として硫化物系、フッ化物系又は窒化物系の蛍光体を有し、平均粒径が0.001μm〜10μmの光拡散性物質を含む発光装置100は、封止樹脂3や蛍光体の劣化を低減させたり、光取り出し効率を向上させたりすることができる。
【0059】
ワイヤ4は、発光素子1のn側電極13のパッド電極132及びp側電極14のパッド電極142と、対応する極性の内部リード部21a,22aとを電気的に接続するものである。Au,Cu,Al,Ag又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる。
【0060】
ダイボンド樹脂5は、発光素子1を凹部23aの底面23bに設けられた内部リード部21aに接着するための接着部材である。
ダイボンド樹脂5としては、発光素子1が発する光や熱によって変色や劣化が起き難い樹脂材料が好ましく、更に、良好な透光性を有し、封止樹脂3の屈折率と同等以下が好ましい。ダイボンド樹脂5の屈折率を封止樹脂3の屈折率と同等以下にすることで、発光素子1からダイボンド樹脂5を介して出射される光が、ダイボンド樹脂5と封止樹脂3との界面で全反射されずに、効率的に外部に取り出すことができる。このような樹脂材料としては、シロキサン骨格を有するシリコーン系のダイボンド樹脂が好ましい。シリコーン系のダイボンド樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、シリコーン変性樹脂が挙げられる。
【0061】
[発光装置の動作]
次に、発光装置100の動作について、
図2A〜
図5を参照して説明する。
図5は、実装基板に実装された第1実施形態に係る発光装置において、発光素子の側面からの光取り出しを説明するための正面図である。
図5において、発光素子1の細部構造及びワイヤ4については、記載を省略している。
なお、説明の便宜上、発光素子1は青色光を発光し、封止樹脂3には青色光を吸収して黄色光を発光する波長変換物質が含有されているものとして説明する。
【0062】
発光装置100は、外部リード部21b,22bを介して外部電源に接続されると、更に内部リード部21a,22a及びワイヤ4を介して発光素子1に電流が供給され、発光素子1が青色光を発する。発光素子1が発した青色光は、封止樹脂3を伝播する際に、一部が波長変換物質によって黄色光に変換される。そして、これらの光は、凹部23a内に設けられている発光素子1、ダイボンド樹脂5、内部リード部21a,22a、樹脂部23及び封止樹脂3の各部材の界面で一部が反射され、一部が吸収されながら、青色光と黄色光とが混色した白色光として、パッケージ2の凹部23aの開口面から出射される。
【0063】
より詳細には、発光素子1の側面から出射して封止樹脂3内を縦方向(Z軸方向)又は横方向(X軸方向)に伝播する光は、上壁部23c、下壁部23d又は側壁部23eに照射される。これらの光のうちの一部は正面方向(−Y軸方向)に反射される。また、発光素子1内を凹部23aの底面23bに向かって伝播する光は、基板11とダイボンド樹脂5との界面や、凹部23aの底面23bで反射されることで、一部は発光素子1内に戻され、一部はダイボンド樹脂5内を横方向に伝播して封止樹脂3を介して外部に取り出される。
【0064】
また、上壁部23c、下壁部23d及び側壁部23eに照射された光の一部は、当該上壁部23c、下壁部23d又は側壁部23eに吸収される。特に、薄型のパッケージ2では、発光素子1の側面と、上壁部23c及び下壁部23dとの間の距離を大きく取れないため、上壁部23c及び下壁部23dに対する照射強度が高くなる。そして、照射強度に応じて吸収される光量も多くなるため、特に上壁部23c及び下壁部23dが劣化し易くなる。
【0065】
また、発光装置100は、板状の基体201aの表面に配線パターン201bが設けられた実装基板201に実装される。このとき、半田などの接合部材209を用いて、パッケージ2の下面側に設けられた外部リード部21b,22bと配線パターン201bとが接合される。このため、下壁部23dに比べて、上壁部23cに大きな内部応力が生じるため、光照射による樹脂材料の劣化によって上壁部23cにクラックが発生し易くなる。
【0066】
正面視での配置を示した
図5において、発光素子1は、三角形の外形形状の長手方向である辺1c(辺CA)が、凹部23aの底面23bの長手方向と平行となるように配置されており、辺1a(辺AB)及び辺1b(辺BC)が凹部23aの底面23bの上辺と非平行に対向し、辺1c(辺CA)が凹部23aの底面23bの下辺と平行に対向している。
【0067】
底面23bの上辺と非平行となるように設けられた発光素子1の辺1a,1bに対応する側面から上壁部23cの内側面に対して照射される光の照射強度は、底面23bの下辺と平行となるように設けられた発光素子1の辺1cに対応する側面から下壁部23dの内側面に対して照射される光の照射強度よりも、傾斜している分だけ低くすることができる。
【0068】
また、辺1a,1bに対応する側面から上壁部23cの内側面に対して照射される光は、当該内側面で辺1a,1bに対応する側面に対して斜め方向に反射される成分が多くなるため、発光素子1の側面と上壁部23cの内側面との間で反射を繰り返す割合が低減され、外部により出され易くすることができる。
【0069】
更にまた、発光素子1の側面と上壁部23cの内側面との距離が大きくなるほど、その間の封止樹脂3を伝播する際に、波長変換物質、光拡散性物質などによって、光が波長変換や発散されるため、上壁部23cに対して照射される光の照射強度が更に低減される。
【0070】
このように、上壁部23cに照射される光の照射強度が低減されるため、樹脂材料の劣化が抑制され、クラックの発生を防止することができる。その結果、発光装置100を長寿命化することができる。また、長寿命化に代えて、又は加えて、発光装置100を高出力化することもできる。
【0071】
また、相対的にクラックの発生し難い下壁部23dについては、発光素子1の外形形状の底面23bの下辺に対向する辺1cを、当該下辺と平行となるように発光素子1を配置することにより、外形形状が正方形である発光素子を主面に垂直な軸回りに45°回転下向きで配置する場合に比べて、配置に必要な面積当たりの発光素子の面積の割合を大きくすることができる。
【0072】
すなわち、このような発光素子1の外形形状及び凹部23aへの配置は、パッケージ2の実装領域における発光素子1の、面積の観点での実装効率を向上させることができる。このため、パッケージ2が従来と同じ小型又は薄型でありながら、発光装置100を高出力化することができる。また、発光装置100の高出力化に代えて、又は加えて、発光装置100を従来よりも小型化又は薄型化することができる。
【0073】
[発光装置の製造方法]
次に、発光装置100の製造方法について、
図6A〜
図8Cを参照して説明する。
図6Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図6Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子配置工程の詳細を示すフローチャートである。
図7Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子準備工程において、ウエハを仮想的に区画する境界線を示す模式的平面図である。
図7Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子準備工程において、ウエハ上に発光素子が形成された状態を示す模式的平面図である。
図8Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子配置工程において、サブ工程である発光素子接合工程を示す模式的断面図である。
図8Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子配置工程において、サブ工程である配線工程を示す模式的断面図である。
図8Cは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子配置工程において、サブ工程である封止工程を示す模式的断面図である。
【0074】
(発光装置の製造方法)
第1実施形態に係る発光装置100の製造方法は、発光素子準備工程S101と、パッケージ準備工程S102と、発光素子配置工程S103とが含まれる。
【0075】
発光素子準備工程S101は、
図4A〜
図4Cに示したような構成の、個片化された発光素子1を準備する工程である。
以下に、ウエハレベルプロセスで発光素子1を製造する工程例について説明するが、これに限定されるものではない。なお、ウエハレベルプロセスで発光素子1を製造するに際しては、例えば
図7Aに示すように、個々の発光素子1を区画する仮想線である境界線BDを定め、複数の同形状の発光素子1が形成される。
【0076】
(半導体積層体形成工程)
具体的には、まず、サファイアなどの基板11上に、MOCVD法などにより、前記した半導体材料を用いて、n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12pを順次積層した半導体積層体12を形成する。その後、p型半導体層12pにp型化アニール処理をする。
【0077】
(n型半導体層露出工程)
半導体積層体12が形成されると、半導体積層体12の表面の一部の領域について、上面側からp型半導体層12p及び活性層12aの全部、並びにn型半導体層12nの一部をエッチングにより除去してn型半導体層12nが底面に露出した段差部12bを形成する。
【0078】
(絶縁膜形成工程)
次に、p型半導体層12pの上面において、p側のパッド電極142が設けられる領域及びその近傍に、スパッタリング法などにより、SiO
2などの絶縁材料を用いて絶縁膜15を形成する。
【0079】
(透光性電極形成工程)
その後、p型半導体層12pの上面の略全面を覆うように、スパッタリング法などにより、ITOなどの透光性導電材料を用いて透光性電極141を形成する。
(p側パッド電極形成工程)
更に、透光性電極141の上面の一部に、スパッタリング法などにより、Cu、Auなどの金属材料を用いてパッド電極142を形成することで、p側電極14を形成する。
【0080】
(n側パッド電極形成工程)
また、段差部12bにおいて、スパッタリング法などにより、Alなどの光反射性の良好な金属材料を用いて光反射膜131を形成し、更に光反射膜131の上面に、スパッタリング法などにより、Cu、Auなどの金属材料を用いてパッド電極132を形成することで、n側電極13を形成する。
なお、n側電極13とp側電極14とは、何れを先に形成してもよく、一部のサブ工程、例えば、パッド電極132とパッド電極142とを同じ工程で形成するようにしてもよい。
【0081】
(保護膜形成工程)
次に、パッド電極132及びパッド電極142の上面の外部と接続するための領域に開口部16n,16pを有するように、スパッタリング法などにより、SiO
2などの透光性の絶縁材料を用いて、ウエハ全体を被覆する保護膜16を形成する。
【0082】
なお、n側電極13及びp側電極14の各層、絶縁膜15、保護膜16は、フォトリソグラフィ法により適宜な形状のマスクを形成し、当該マスクを利用したエッチング法やリフトオフ法によりパターニングすることができる。
以上のサブ工程を行うことにより、
図7Bに示したように、ウエハ状態の発光素子1を形成することができる。
【0083】
(個片化工程)
次に、ウエハを境界線BDに沿って切断することで、発光素子1を個片化する。
また、発光素子1の外形形状を三角形とすることにより、1枚のウエハ上に複数の発光素子1を形成する際に稠密に区画することができ、ダイシングソーを用いたダイシング法やスクライブ法を用いて、ウエハを直線状の切断加工のみで個片化できる。
また、ウエハを切断する前に、基板11の裏面を研磨して薄肉化するようにしてもよい。これにより、容易にウエハを切断することができる。
【0084】
なお、外形形状が台形の場合も、三角形の場合と同様に、ウエハを稠密に区画するとともに、直線状の切断のみで個片化することができる。また、五角形や六角形の場合は、面積の使用効率よく区画すると、直線状の切断加工のみでは個片化できない場合がある。この場合は、折れ線状に切断可能なレーザダイシング法を用いて個片化することができる。
レーザダイシング法は、基板11の内部に集光されるようにレーザ光(好ましくは、フェムト秒のパルスレーザ光)を照射して、焦点の近傍の基板11を変質させることで切断溝を形成する手法である。レーザ光を境界線BDに沿って基板11に照射することで、基板11の内部に折れ線状の切断溝を形成することができる。その後、基板11に、例えばローラなど用いて応力を印加することで、境界線BDに沿って形成された切断溝を起点としてウエハを個片化することができる。
なお、レーザダイシング法を用いてウエハを非矩形の形状に切断する手法は、例えば、特開2006−135309号公報に詳しいので、更なる説明は省略する。
【0085】
パッケージ準備工程S102は、
図1〜
図3Bに示した発光装置100の内のパッケージ2を準備する工程である。この工程で準備されるパッケージ2は、発光素子1が実装されず、封止樹脂3が設けられていない状態のものである。
パッケージ準備工程S102において、パッケージ2を準備するために、例えば、トランスファー成形法や射出成形法、圧縮成形法、押出成形法などの金型を用いた成形方法で製造するようにしてもよいし、市販のパッケージを入手するようにしてもよい。
なお、発光素子準備工程S101とパッケージ準備工程S102とは、何れを先に行ってもよく、並行して行うようにしてもよい。
【0086】
パッケージ2の製造方法の例について説明する。パッケージ2は、板金を打ち抜き加工して形成したリードフレーム(リード電極21,22)を、樹脂部23の形状の空洞を有する上下の金型で挟み込み、金型の一部に設けられたゲート穴から樹脂材料を注入し、注入した樹脂材料を硬化又は固化させた後に金型から取り出すことで製造することができる。また、複数のパッケージ2がリードフレームで連結された状態で製造する場合は、リードフレームを切断することでパッケージ2を個片化する。
金型を用いたパッケージの製造方法は、例えば、特開2008−72074号公報に詳しいので、更なる説明は省略する。
【0087】
発光素子配置工程S103は、パッケージ準備工程S102で準備されたパッケージ2の凹部23aに、発光素子準備工程S101で準備された発光素子1を実装する工程である。より詳細には、発光素子配置工程S103は、サブ工程として、発光素子接合工程S201と、配線工程S202と、封止工程S203とを含んで構成される。
【0088】
まず、発光素子接合工程S201において、パッケージ2の凹部23aの底面23bである内部リード部21aの上面に、ダイボンド樹脂5(好ましくは、シリコーン系のダイボンド樹脂)を用いて発光素子1を接合する。このとき、ディスペンサやピン転写などを用いて、内部リード部21aの上面の接合部位に適量のダイボンド樹脂5を供給する。そして、発光素子1を、n側電極13及びp側電極14が設けられた面を上方に向けて、コレットなど用いて、ダイボンド樹脂5が配置された前記した接合部位に搬送し、発光素子1の長手方向である外形形状の三角形の底辺が凹部23aの底面23bの長手方向と平行となり、かつ、当該三角形の底辺と対向する頂点が底面23bの上辺と対向する向きで基板11側の面と内部リード部21aの上面とを接合させる。
【0089】
次に、配線工程S202において、発光素子1のn側電極13及びp側電極14が、それぞれ対応する極性のリード電極21,22の内部リード部21a,22aと電気的に接続されるように、ワイヤ4を配線する。ワイヤ4は、ワイヤボンディング装置を用いて配線することができる。
【0090】
次に、封止工程S203において、パッケージ2の凹部23aに、ポッティング法などにより液状の封止樹脂3を充填し、その後に封止樹脂3を硬化させることで発光素子1を封止する。封止樹脂3は、透光性を有する樹脂に、蛍光体(波長変換物質)の粒子や光拡散性物質の粒子を含有するようにしてもよい。
以上説明した手順により、発光装置100を製造することができる。
【0091】
<変形例>
次に、第1実施形態に係る発光装置100に搭載される発光素子1の変形例について、
図9A〜
図9Jを参照して説明する。
図9Aは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Bは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Cは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Dは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Eは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Fは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Gは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Hは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Iは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
図9Jは、第1実施形態に係る発光装置に用いられる発光素子の他の例を示す模式的平面図である。
【0092】
なお、
図9A〜
図9Jにおいて、変形例に係る各発光素子1A〜1Jは、平面視における外形とn側電極13及びp側電極14としてパッド電極の外部と接続するための領域のみを示し、他の詳細な構成は記載を省略している。また、これらの各図において、平面視における外形形状である多角形の頂点を適宜に、A〜Fなどで示し、外形形状の長手方向の中心をOで示す。また、発光素子1A〜1Jは、それぞれの図面に一点鎖線で示すように、横方向が長手方向であり、縦方向が短手方向となるように示している。従って、発光素子1A〜1Jは、何れも横方向が、パッケージ2の凹部23aの底面23bの長手方向と平行となるように、当該底面23b上に配置される。
【0093】
発光素子1A〜1Dは、外形形状が三角形の他の例である。発光素子1E〜1Gは、外形形状が台形の例である。発光素子1Hは、外形形状が六角形の例である。発光素子1I,1Jは、外形形状が五角形の例である。また、発光素子1E〜1Jは、何れも凸多角形である。更に、発光素子1A〜1Jの外形形状は、何れも横方向の長さが縦方向の長さより長い横長の長尺形状を有している。
【0094】
発光素子1Aは、外形形状が正三角形である。発光素子1Aは、一つの辺CAを長手方向とし、頂点Bから辺CAに降ろした垂線BGの方向を短手方向とするものである。
発光素子1Aのように外形形状が正三角形の場合も含めて、外形形状である三角形の3辺の内の最短ではない辺を底辺とし、当該底辺が横方向と平行で、かつ当該底辺が下向きとなるようにして用いることができる。これによって、外形形状が三角形の発光素子1Aを横長形状の発光素子として用いることができる。次に説明する発光素子1B〜1Dも同様である。
【0095】
発光素子1Bは、外形形状が、辺ABと辺CAの長さが等しく、頂点Aにおける内角が90°未満である鋭角2等辺三角形である。発光素子1Bは、一方の長辺である辺CAを長手方向とし、頂点Bから辺CAに降ろした垂線BGを短手方向とするものである。
【0096】
発光素子1Cは、外形形状が、頂点Cにおける内角が直角であり、辺CAが辺BCよりも長い直角三角形である。発光素子1Cは、直角の内角を挟む2辺の長い方の辺CAを長手方向とし、辺BCを短手方向とするものである。なお、辺BCと辺ACの長さが等しい直角2等辺三角形であってもよい。
【0097】
発光素子1Dは、外形形状が発光素子1Cの外形形状と合同な直角三角であるが、斜辺ABを長手方向とし、頂点Cから辺ABへ下ろした垂線CGを短手方向とするものである。
【0098】
発光素子1Eは、外形形状が、辺BCを上底、辺DAを下底とし、脚ABと脚CDの長さが等しい等脚台形である。発光素子1Eは、下底DAを長手方向とし、上底BC上の点Hから下底DAに降ろした垂線HGを短手方向とするものである。
また、外形形状が台形の場合、台形の下底を長手方向と平行とすることに限定されず、台形の4辺の内で、最長の辺又はその対辺を長手方向とすることで、横長の発光素子として用いることができる。次に説明する発光素子1F,1Gは、台形の脚を長手方向とする例である。
【0099】
発光素子1Fは、外形形状が、辺ABと辺CDとが互いに平行で、頂点A及び頂点Dにおける内角が直角である台形である。発光素子1Fは、辺DAを長手方向とし、辺CDを短手方向とするものである。
なお、頂点A及び頂点Dは直角でなくともよいが、直角とすることで、配置領域である底面23bの面積の使用効率よく発光素子1Fを配置することができる。
【0100】
発光素子1Gは、外形形状が発光素子1Fと同じ台形であるが、辺BCを長手方向とし、頂点Dから辺BCに降ろした垂線DGを短手方向とするものである。
【0101】
発光素子1Hは、外形形状が六角形であり、一対の対辺である辺CDと辺FAとが平行で、辺CDが辺FAよりも短く、頂点A及び頂点Fにおける内角が直角である。言い換えれば、発光素子1Hの外形形状は、横長の矩形形状から、上方の2つの角を面取りした形状の六角形である。発光素子1Hは、辺FAを長手方向とし、辺DC上の点Hから辺FAに降ろした垂線HGを短手方向とするものである。
なお、頂点A及び頂点Fは直角でなくともよいが、直角とすることで、配置領域の面積の使用効率よく発光素子1Hを配置することができる。
【0102】
発光素子1Iは、外形形状が、正五角形の一つの辺EAを下向きに、かつ、横方向と平行となるように配置し、更に全体を横方向に引き延ばした形状の横長の五角形を有している。発光素子1Iは、辺EAと平行な対角線BDを長手方向とし、頂点Cから辺EAに下ろした垂線CGを短手方向とするものである。
【0103】
発光素子1Jは、外形形状が五角形であり、一つの辺EAが他の辺よりも長く、辺EAと対向する2つの辺である辺BC及び辺CDの長さが等しく、頂点A及び頂点Eにおける内角が直角である。発光素子1Jは、辺EAを長手方向とし、頂点Cから辺EAに下ろした垂線CGを短手方向とするものである。言い換えれば、発光素子1Jは、発光素子1Iの外形形状について、頂点A及び頂点Eにおける内角を直角となるように変形した形状である。頂点A及び頂点Eを直角とすることで、配置領域の面積の使用効率よく発光素子1Jを配置することができる。
【0104】
なお、発光素子1A〜1Jの外形形状の対称性は特に限定されるものではないが、発光素子1A,1E,1H,1I,1Jのように、底面23bに配置されたときに左右対称であることが好ましい。このような発光素子1A,1E,1H,1I,1Jを搭載することで、発光装置100の横方向の配光特性を左右対称とすることができる。
【0105】
また、発光素子1A〜1Jの一対のパッド電極の一方を当該発光素子1A〜1Jの外形形状の長手方向の一端近傍に設け、他方を当該長手方向の他端近傍に設けることが好ましい。これによって、発光素子1A〜1Jと内部リード部21a,22aとの間、及び/又は発光素子1A〜1J同士を接続するワイヤ4を短くでき、また、発光素子1A〜1Jからの出射光をワイヤ4が広く遮ることがないように配線することができる。これらにより、ワイヤ4による光吸収を低減できるため、効率よく、発光素子1A〜1J及び波長変換物質からの光を外部へ出射できるようになる。その結果、、これらの発光素子1A〜1Jを搭載した発光装置の出力、光取り出し効率を向上することができる。
なお、一対のパッド電極は、例えば発光素子1Eのように、外形形状の長手方向に平行な直線上に設けることに限らず、例えば発光素子1Aのように、縦方向に位置がずれるように配置してもよい。また、縦方向に位置をずらして配置する場合においても、外形形状の辺の近傍に設けることが好ましい。
【0106】
[発光素子の外形形状の条件]
ここで、
図4C及び
図9A〜
図9Jに示した多角形の外形形状を有する発光素子1〜1Jの平面視での外形形状及び底面23bへの配置の向きの条件について、発光素子1及び発光素子1Eを例として、
図10A及び
図10Bを参照して更に詳細に説明する。
図10Aは、第1実施形態に係る発光装置において、外形形状が三角形の発光素子の配置を説明するための模式的正面図である。
図10Bは、第1実施形態の変形例に係る発光装置において、外形形状が台形の発光素子の配置を説明するための模式的正面図である。
また、
図10A及び
図10Bにおいて、発光素子1,1Eの外形形状の頂点をA〜Dで示し、凹部23aの底面23bの形状を、横長の矩形に単純化して示し、当該矩形の頂点をP〜Sで示す。従って、底面23bの上辺QR及び底面23bの下辺SPは、底面23bの長手方向と平行である。
【0107】
前記した第1実施形態及びその変形例における発光素子1〜1Jは、何れもが、外形形状の長手方向が底面23bの長手方向と平行となるように配置される。従って、発光素子1〜1Jの外形形状の長手方向と、上辺QR及び下辺SPとは平行となる。
また、発光素子1〜1Jの外形形状を示す外形線において、上辺QRと平行に対向する外形線の部分を第1の部分W1とし、下辺SPと平行に対向する外形線の部分を第2の部分W2とする。言い換えれば、第1の部分W1とは上辺QRと近接する外形線の部分であり、第2の部分W2とは下辺SPと近接する外形線の部分である。
【0108】
外形形状が三角形である発光素子1は、辺AB及び辺BCの何れもが、上辺QRと非平行に対向する。そのため、上辺QRと近接する部分は頂点Bのみである。従って、この場合は、頂点Bが第1の部分W1である。
また、三角形の底辺CAは、下辺SPと平行に対向する。このため、下辺SPと近接する部分は底辺CAである。従って、この場合は、底辺CAが第2の部分W2である。
【0109】
外形形状が台形である発光素子1Eは、台形の上底BCが上辺QRと平行に対向し、脚AB及び脚CDが上辺QRと非平行に対向する。このため、上辺QRと近接する部分は、上底BCである。従って、この場合は、上底BCが第1の部分W1である。
また、台形の下底DAが下辺SPと平行に対向する。このため、下辺SPと近接する部分は下底DAである。従って、この場合は、下底DAが第2の部分W2である。
【0110】
また、発光素子1H(
図9H参照)のように、外形線において、底面23bの長手方向と垂直な辺は、上辺QR及び下辺SPの何れとも対向しない部分として取り扱う。従って、発光素子1Hについては、上辺QRと平行に対向する辺CDが第1の部分W1であり、下辺SPと平行に対向する辺FAが第2の部分W2である。
【0111】
なお、下辺SPと対向する外形線が、発光素子1〜1Jなどを底面23bに配置する際に下辺SPと僅かに平行から外れた場合や、下辺SPと対向する外形線の部分に、180°に近い内角の頂点を有する場合は、下辺SPに対する傾斜角が最も小さい辺が、下辺と最も近接する辺である。そこで、このような場合は、下辺SPに対向する辺の内で、下辺SPに対する傾斜角が最も小さい辺を第2の部分W2とする。
【0112】
他の発光素子1A〜1D,1F〜1Jについても、発光素子1,1Eについての説明と同様にして、第1の部分W1と第2の部分W2とを定めることができる。
前記した発光素子1〜1Jの何れについても、第1の部分W1の長さが、第2の部分W2の長さよりも短くなるように、底面23bに発光素子1〜1Jが配置される。このため、発光素子1〜1Jの何れもの場合も、発光素子1〜1Jの側面から出射する光による上壁部23cに対する照射強度が、下壁部23dに対する照射強度よりも低減される。そして、上壁部23cの光照射による劣化が抑制されて、クラックの発生が防止される。その結果、発光素子1〜1Jを搭載した発光装置100の寿命を長くすることができる。また、長寿命化に代えて、又は加えて、発光装置100を高出力化することもできる。
【0113】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る発光装置について、
図11を参照して説明する。
図11は、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的正面図である。
なお、
図11において、外部リード部及び封止樹脂は記載を省略している。
【0114】
第2実施形態に係る発光装置100Aは、パッケージ2の凹部23aの底面23bに、複数個(本例では2個)の発光素子1を長手方向に1列に配列するように設けられている。各発光素子1は、第1実施形態に係る発光装置100における発光素子1と同様の形状を有するとともに、横長の三角形の長手方向である底辺が、パッケージ2の凹部23aの底面23bの長手方向と平行となり、かつ、当該三角形の底辺と対向する頂点が底面23bの上辺と対向するように配置されている。このため、発光素子1を高さ方向(
図11において縦方向)に挟む上壁部23c及び下壁部23dの内側面の内で、実装後に内部応力が生じてクラックが発生し易い上壁部23cに対して、当該発光素子1から出射される光の照射強度が低減され、上壁部23cの劣化を抑制することができる。
また、横方向に隣接する発光素子1同士は、正面視で、外形形状である三角形の角と角とが対向するとともに、側面同士が非平行に対向するように構成することで、一方の発光素子1から出射された光が他方の発光素子1の側面から入射する光量が低減され、発光装置100Aからの光の取り出し効率が向上する。
【0115】
また、2個の発光素子1は、ワイヤ4を用いて内部リード部21a,22aと電気的に直列に接続されている。このとき、発光素子1の両極のパッド電極が、長手方向の各端部の近傍に設けられていることが好ましい。これによって、発光素子1同士、及び発光素子1と内部リード部21a,22aとを接続するワイヤ4を短くすることができるとともに、ワイヤ4が発光素子1の光取り出し方向(凹部23aの開口面の方向)を覆う範囲を少なくすることができる。このため、ワイヤ4によって光取り出しが邪魔される光量が低減され、発光装置100Aからの光の取り出し効率が向上する。
複数の発光素子1は、直列接続に限定されず、並列接続や他の接続方法であってもよい。
【0116】
なお、発光装置100Aは、複数個の発光素子1をパッケージ2の凹部23aに配置すること以外は、第1実施形態に係る発光装置100と同様にして製造することができるため、製造方法についての詳細な説明は省略する。
【0117】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る発光装置について、
図12を参照して説明する。
図12は、第3実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的正面図である。
なお、
図12において、外部リード部及び封止樹脂は記載を省略している。
【0118】
第3実施形態に係る発光装置100Bは、パッケージ2の凹部23aの底面23bに、複数個(本例では12個)の発光素子1を、長手方向の1列につき4個ずつ、短手方向に3列に配列するように設けられている。また、発光素子1は、長手方向の1列ごとに、すなわち4個ごとに、ワイヤ4を用いて内部リード部21a,22aと電気的に直列に接続されている。
【0119】
各発光素子1は、第1実施形態に係る発光装置100における発光素子1と同様の形状を有するとともに、横長の三角形の長手方向が、パッケージ2の凹部23aの底面23bの長手方向と平行となり、かつ、当該三角形の底辺と対向する頂点が底面23bの上辺と対向するように配置されている。このため、発光素子1を高さ方向(
図12において縦方向)に挟む上壁部23c及び下壁部23dの内側面の内で、実装後に内部応力が生じてクラックが発生し易い上壁部23cに対して、当該発光素子1から出射される光の照射強度が低減され、上壁部23cの劣化を抑制することができる。
【0120】
また、3列に配列された発光素子1は、列ごとに発光素子1の横方向の配置位置がずれるように、すなわち千鳥状に配列することが好ましい。千鳥状に配置することにより、縦方向に隣接する発光素子1同士で正面視での外形線が対向する幅を小さくすることができる。これによって、縦方向に隣接する一方の発光素子1から出射された光が他方の発光素子1の側面から入射する光量が低減され、発光装置100Bからの光の取り出し効率が向上する。
【0121】
また、横方向に隣接する発光素子1同士は、第2実施形態に係る発光装置100Aの場合と同様であるから、発光素子1間での光の再入射が低減され、発光装置100Bからの光の取り出し効率が向上する。
【0122】
また、第2実施形態に係る発光装置100Aにおける発光素子1と同様に、発光素子1の両極のパッド電極が、長手方向の各端部の近傍に設けられていることが好ましい。
また、複数の発光素子1は、列ごとの直列接続に限定されず、全ての発光素子1を直列に接続しても、全ての発光素子1を並列に接続しても、更に他の接続方法にしてもよい。
【0123】
なお、発光装置100Bは、複数個の発光素子1を複数列にパッケージ2の凹部23aに配置すること以外は、第1実施形態に係る発光装置100と同様にして製造することができるため、製造方法についての詳細な説明は省略する。
【0124】
また、第2実施形態に係る発光装置100A及び第3実施形態に係る発光装置100Bにおいて、発光素子1に代えて、
図9A〜
図9Jに示したような、他の外形形状を有する発光素子1A〜1Jを用いることもできる。
【0125】
<応用例>
[照明装置の構成]
次に、各実施形態に係る発光装置の応用例として、これらの発光装置を用いた照明装置について、
図13を参照して説明する。
図13は、第1実施形態に係る発光装置を用いた照明装置の構成を示す模式的断面図である。
なお、応用例として、第1実施形態に係る発光装置100を用いる場合について説明するが、発光装置100に代えて、他の実施形態に係る発光装置100A、100Bやこれらの変形例に係る発光装置を用いることもできる。
【0126】
本応用例に係る照明装置200は、液晶表示装置などのバックライトに適した面発光型の光源装置である。照明装置200は、発光装置100が実装された実装基板201と、板状の導光部材202と、発光装置100及び導光部材202の下面側に設けられた光反射シート203と、導光部材202の光取り出し面である上面側に積層して設けられた光拡散シート204及びプリズムシート205,206と、を備え、照明光の出射方向である上面に開口を有するフレーム207内に収容されている。また、実装基板201の配線パターンは、リード線208を介して外部の電源と接続され、発光装置100の外部リード部21b,22bは、それぞれ実装基板201の対応する極性の配線パターンと、半田などの導電性の接合部材209を用いて電気的に接合されている。
【0127】
導光部材202は、透光性を有する樹脂などで形成され、光入射端面(右側面)側からその対向面(左側面)に向かって厚さが減少するテーパ断面形状を有している。導光部材202の光入射端面は発光装置100の光出射面である凹部23aの開口面と密着するように配置され、光入射端面の高さと、発光装置100の高さとが略一致するように設けられている。発光装置100から出射された光は、光入射端面から導光部材202に入射され、導光部材202の内部を伝播しながら反射や拡散を繰り返しながら、導光部材202の上面側から出射される。
【0128】
また、光反射シート203は、例えば、表面にAgやAlなどの反射膜が形成された樹脂などで形成され、発光装置100や導光部材202からの漏れ光をこれらの部材に戻して、光の利用効率を高める機能を有する。光拡散シート204は、導光部材202の上面側から出射された光の強度分布を均等にする機能を有する。プリズムシート205,206は、表面に微小な三角プリズムが多数形成された透光性の樹脂などで形成され、下面からの入射光をシート面の法線方向に屈折させて集光する機能を有する。プリズムシート205とプリズムシート206とは、光を屈折させる方向が互いに直交するように配置される。フレーム207は、Alやステンレス鋼などの板材を折り曲げ加工して箱状に形成したものである。
【0129】
発光装置100は、前記したように、パッケージ2の樹脂材料が発光素子1からの光によって劣化し難いように構成されているため、高効率で長寿命である。従って、この発光装置100を用いた照明装置200も、高効率で長寿命な面発光型の光源とすることができる。
【0130】
以上、本発明に係る発光装置について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。