(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(d)無機フィラーの一つが球状溶融シリカであり、前記球状溶融シリカを感光性樹脂組成物中に20質量%〜80質量%含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
まず、好適な実施形態に係る感光性樹脂組成物について説明する。なお、本実施形態における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味する。
【0018】
初めに、本実施形態で用いる(a)成分:エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂について説明する。本発明の(a)成分は、エチレン製不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂であれば、どのようなものでもよいが、例えば、エポキシ樹脂(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)のエステル化物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(a3)を付加した反応物等を用いることができる。
【0019】
これらは、次の二段階の反応によって得ることができる。最初の反応(以下、便宜的に「第一の反応」という。)では、エポキシ樹脂(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)とが反応する。次の反応(以下、便宜的に「第二の反応」という。)では、第一の反応で生成したエステル化物と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物(a3)とが反応する。上記エポキシ樹脂(a1)としては、特に制限はないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及び多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型とエピクロルヒドリンを反応させて得られるものが適しており、BASF社製GY−260、GY−255、XB−2615(商品名)、三菱化学株式会社社製jER828、1007、807(商品名(「jER」は登録商標))等のビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、アミノ基含有、脂環式あるいはポリブタジエン変性等のエポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0020】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール及びアルキルフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類とエピクロルヒドリンを反応させて得られるものが適しており、新日鉄住金化学株式会社製YDCN−701,704、YDPN−638,602(商品名)、ダウ・ケミカル社製DEN−431、439(商品名)、BASF社製EPN−1299(商品名)、DIC株式会社製N−730、770、865、665、673、VH−4150,4240(商品名)、日本化薬株式会社製EOCN−120、BREN等(商品名(「EOCN」は登録商標))が挙げられる。
【0021】
また、その他の構造のエポキシ樹脂としては、例えば、サリチルアルデヒド−フェノール又はクレゾール型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製EPPN502H、FAE2500等(商品名(「EPPN」は登録商標)))、ダウ・ケミカル社製DER−330,337,361(商品名)、株式会社ダイセル製セロキサイド2021(商品名(「セロキサイド」は登録商標))、三菱ガス化学株式会社製TETRAD−X,C(商品名、「TETRAD」は登録商標)、日本曹達株式会社製EPB−13,27(商品名)等も使用することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用され、混合物あるいはブロック共重合物を用いてもよい。
【0022】
上記不飽和モノカルボン酸(a2)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸や、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類又は飽和若しくは不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との半エステル化合物類との反応物が挙げられる。この反応物としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸等と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等とを常法により等モル比で反応させて得られる反応物が挙げられる。これらの不飽和モノカルボン酸は単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、アクリル酸が好ましい。
【0023】
飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸及び無水トリメリット酸が挙げられる。
【0024】
第一の反応では、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸(a2)のカルボキシル基との付加反応により水酸基が生成する。第一の反応における、エポキシ化合物(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)との比率は、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ基1当量に対して、不飽和モノカルボン酸(a2)が0.7〜1.05当量となる比率であることが好ましく、0.8〜1.0当量となる比率であることがより好ましい。
【0025】
第二の反応では、第一の反応で生成した水酸基及びエポキシ樹脂(a1)中に元来ある水酸基が、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物(a3)の酸無水物基と半エステル反応すると推察される。ここでは、第一の反応によって得られる樹脂中の水酸基1当量に対して、0.1〜1.0当量の多塩基酸無水物(a3)を反応させることができる。多塩基酸無水物(a3)の量をこの範囲内で調製することによって、(a)成分の酸価を調整することができる。
【0026】
上述したエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂としては、CCR−1218H、CCR−1159H、CCR−1222H、PCR−1050、TCR−1335H、ZAR−1035、ZAR−2001H、ZFR−1185及びZCR−1569H(以上、日本化薬株式会社製、商品名)、UE−EXP−2810PM、UE−EXP−2827(以上、DIC株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
【0027】
本実施形態の(a)成分としては、2つ以上の水酸基及びエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物と、を反応させて得られるポリウレタン化合物を用いてもよい。このようなポリウレタン化合物は、例えば、UXE−3011、UXE−3012、UXE−3024(商品名、日本化薬株式会社製)等として商業的に入手可能である。
【0028】
本実施形態で用いる(a)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。樹脂の屈折率は、用いる樹脂の構造により様々であるが、上記で述べた構造のものを用いた場合、1.4〜1.7であり、多くは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の屈折率である1.57付近であり、1.5〜1.6のものを用いた場合に、本発明の効果が最も発揮される。
【0029】
(a)成分の酸価は、20〜180mgKOH/gであることが好ましく、30〜150mgKOH/gであることがより好ましく、40〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。これにより、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性が良好となり、優れた解像度が得られるようになる。
【0030】
ここで、酸価は以下の方法により測定することができる。まず、測定樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/(Wp×I)
なお、式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfはフェノールフタレインの滴定量(mL)を示し、Wpは測定樹脂溶液質量(g)を示し、Iは測定樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
【0031】
また、(a)エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂の重量平均分子量は、塗膜性の観点から、3000〜30000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましく、7000〜15000であることが特に好ましい。
【0032】
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値から求めることができる。
【0033】
次に、本実施形態の(b)光重合開始剤についてであるが、例えば、ベンゾフェノン、N,N´−テトラアルキル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1、4,4´−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヘラーケトン)、4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、9−フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等のクマリン系化合物、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、等のアシルホスフィンオキサイド系化合物、9−フェニルアクリジン、9−アミノアクリジン、9−ペンチルアミノアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、9−モノペンチルアミノアクリジン、1,3−ビス(9−アクリジニル)−2−オキサプロパン、1,3−ビス(9−アクリジニル)−2−チアプロパン、1,5−ビス(9−アクリジニル)−3−チアペンタン等のアクリジン環を有する化合物、(2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン)、(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))等のオキシムエステルを有する化合物を組み合わせて用いることができる。
【0034】
本実施形態の(b)光重合開始剤としては、高感度化と高解像性、及び下地材質によらず開口形状を矩形にするという観点から、分子内にアルキルフェノン構造を有するα−開裂型光重合開始剤やオキシムエステル構造、アシルフォスフィン構造を有する光重合開始剤を含有することが望ましい。そのような光重合開始剤としては、アルキルフェノン構造のものとして、市販品として、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379EGが例に挙げられる。また、分子内にオキシムエステルを有する化合物のIRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02(いずれもBASF社製、商品名(「IRGACURE」は登録商標))、N−1919(株式会社ADEKA製)や構造中にリン元素を含有するIRGACURE 819、LUCIRIN TPO(いずれもBASF社製、商品名(「LUCIRIN」は登録商標))も使用することが可能である。光重合開始剤は、1種だけでなく数種類、また増感剤を組み合わせて使用することが、感度、解像性の要求を満たすために更に望ましい。
【0035】
本実施形態の(c)成分:熱硬化剤としては、代表的なものとして、エポキシ樹脂が挙げられる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び、それらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ−トが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0036】
これらの化合物としては市販のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしてはjER828、jER1001及びjER1002(いずれも三菱化学株式会社製、商品名)等を挙げることができる。ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしてはjER807(三菱化学株式会社製、商品名)、YSLV−80(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしてはEBPS−200(日本化薬株式会社製、商品名)及びエピクロンEXA−1514(DIC株式会社製、商品名(「エピクロン」は登録商標))を挙げることができる。また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしてはYL6121(三菱化学株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしてはYX4000H(三菱化学株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
【0037】
更に、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしてはST−2004及びST−2007(いずれも新日鉄住金化学株式会社製、商品名)等を挙げることができ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としてはST−5100及びST−5080(いずれも新日鉄住金化学株式会社製、商品名)、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂としては、NC−3000、NC−3000H(いずれも日本化薬株式会社製、商品名)、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ−トとしては、TEPIC−S、TEPIC−VL、TEPIC−PASB26(日産化学工業株式会社製、商品名(「TEPIC」は登録商標))、アラルダイトPT810(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製、商品名(「アラルダイト」は登録商標))等を挙げることができる。また、その他、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂のjER 157S(三菱化学株式会社製、商品名)等、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂のjER YL−931(三菱化学株式会社製、商品名)、アラルダイト163(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製、商品名)等、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂のZX−1063(新日鉄住金化学株式会社製)等、ナフタレン基含有エポキシ樹脂のESN−190、ESN−360(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)、HP−4032、EXA−4750、EXA−4700(DIC株式会社製、商品名)等、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂のHP−7200、HP−7200H(DIC株式会社製、商品名)等、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂のCP−50S、CP−50M(日油株式会社製、商品名)等、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体のPB−3600、PB−4700(株式会社ダイセル製、商品名)等、CTBN(末端カルボキシル化ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)変性エポキシ樹脂のYR−102、YR−450(新日鉄住金化学株式会社、商品名)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
その他の(c)熱硬化剤成分として、例えば、オキセタン化合物、ベンゾオキサジン化合物、オキサゾリン化合物、環状カーボナート化合物、ブロック剤イソシアネート、メラミン誘導体、多官能マレイミド等を用いることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0039】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、特に、トリシクロデカン構造、又はマレイミド構造を含むことが望ましい。熱硬化剤成分としては、エポキシ樹脂と併用して多官能マレイミドを用いることが望ましく、そのような化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも2個以上含有するもので、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド、N,N´−p−フェニレンビスマレイミド、N,N´−m−トルイレンビスマレイミド、N,N´−4,4´−ビフェニレンビスマレイミド、N,N´−4,4´−〔3,3´−ジメチル−ビフェニレン〕ビスマレイミド、N,N´−4,4´−〔3,3´−ジメチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N´−4,4´−〔3,3’−ジエチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N´−4,4´−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N´−4,4´−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N´−3,3´−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N´−4,4´−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−tert−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−s−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕デカン、1,1−ビス〔2−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)−5−tert−ブチルフェニル〕−2−メチルプロパン、4,4´−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4´−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4´−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ジ−s−ブチルベンゼン〕、4,4´−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン〕、4,4´−メチレンビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2−ノニルベンゼン〕、4,4´−(1−メチルエチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4´−(2−エチルヘキシリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4´−(1−メチルヘプチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4´−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−3−メチルベンゼン〕、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔3−メチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3,5−ジメチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−エチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、3,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.0
2,6〕デカン、4,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.0
2,6〕デカン、3,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.0
2,6〕デカン、4,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ−〔5.2.1.0
2,6〕デカン、1,8ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタンなどを挙げることができる。これらを単独、あるいは併用して使用することができる。
【0040】
次に本実施形態で用いる(d)成分:無機フィラーについて説明する。本実施形態では、無機フィラーは、少なくとも(d−1)平均粒子径が0.05μm〜1μm、屈折率が1.3〜1.7であるものを用いることが望ましい。無機フィラーは数種類組み合わせて使用してもよく、例えば、溶融球状シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ等、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、その他、タルク、マイカ等の鉱山物由来の無機フィラーが挙げられる。これらは、粉砕機で粉砕され、場合によっては分級を行い、樹脂中に平均粒子径として0.05μm〜1μm、最大粒径5μm以下で分散される。
【0041】
フィラーの平均粒子径が小さく、粒度分布がシャープなものは、吸光度が低く見かけ上の光透過率が高くなるが、一方で、樹脂層の上部と底部で光の強度が変わり、良好なパターン形状が得られないという問題が生じる。本実施形態では、上記フィラー粒径の範囲で、厚さ25μmの乾燥塗膜における波長365nmに対する吸光度が2.0以上、405nmに対する吸光度が1.5以上であり、かつ300nmから800nmにおける吸光度の最小値が0.2以上であるようなフィラーを用いることを特徴とする。
【0042】
無機フィラーの粒径を測定する際には、公知の粒度分布計を用いることが望ましい。例えば、粒子群にレーザー光を照射し、そこから発せられる回折・散乱光の強度分布パターンから計算によって粒度分布を求めるレーザー回折散乱式粒度分布計、動的光散乱法による周波数解析を用いて粒度分布を求めるナノ粒子の粒度分布計等が挙げられる。なお、フィルム化したものは、所定の有機溶剤に溶かしたのち、必要があれば分散剤を添加し、上記粒度分布計等で平均粒子径、最大粒子径を測定する。
【0043】
無機フィラーの充填量は、全質量中の20質量%以上、80質量%以下であり、更に、充填量は、30質量%以上、60質量%以下であることが望ましい。
【0044】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、分子内にアミノ基を少なくとも1つ以上有する(e)成分:有機フィラーを含有し、その有機フィラーの平均粒径が無機フィラー同様に0.05μm以上、1μm以下、最大粒径が2μm以下で組成物中に分散されていることが望ましい。分子内にアミノ基を少なくとも1つ以上有する化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン−フェノール−ホルマリン樹脂、ジシアンジアミド、トリアジン化合物、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類、イミダゾール系、チアゾール系及びトリアゾール系、シランカップリング剤等の添加剤類が挙げられる。市販品としては、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11Z−AZINE、2MA−OK(いずれも四国化成工業株式会社製、商品名)等が入手可能である。これらの化合物は感光性樹脂組成物層と金属との密着性の他、耐PCT性及び電食性等の特性を向上させることができる。これらも所定の粉砕機、分散機、分級機を用いて樹脂組成物中に分散される。その含有量は固形分総量100質量部に対して、0.1から20質量部以下であることが望ましく、更に望ましくは、0.5から15質量部以下であることが望ましい。本有機フィラーは下地配線金属の酸化防止効果を示すが、0.1質量部以下であると効果が見られず、20質量部を超えると解像性の低下、めっき浴の汚染を示す傾向がある。
【0045】
本実施形態において、分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマを含有することが、感度、解像性の点で好ましい。トリシクロデカン構造、又はマレイミド構造を含むことが望ましいが、光重合性モノマとして、特にトリシクロデカン構造を有する化合物を用いることが望ましい。
【0046】
例えば、トリシクロデカン構造を有する光重合性モノマとしては、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート又はトリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレートがある。トリシクロデカンジオールジメタクリレートは、NKエステルDCP(新中村化学工業株式会社製、商品名)として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートは、NKエステルA−DCP(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。なお、本実施形態のトリシクロデカン構造を含む化合物は上記例に限定されるものではない。
【0047】
また、光重合性モノマは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用されるが、特にエチレン性不飽和基を1分子内に3つ以上有する多官能光重合モノマを少なくとも1種類以上含有することが望ましい。中でもエチレン性不飽和基を1分子内に6つ以上有する多官能光重合モノマがリフロー実装時のクラック耐性の向上に有効である。そのような化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとその類似構造体のものがあり、商業的には、KAYARAD DPHA、KAYARAD D−310、KAYARAD D−330、KAYARAD DPCA−20、30、KAYARAD DPCA−60、120(いずれも日本化薬株式会社製、商品名(「KAYARAD」は登録商標))として入手可能である。エチレン性不飽和基を1分子内に3つ以上有する多官能光重合モノマとしては、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート(SR−454、日本化薬株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
【0048】
本実施形態の感光性樹脂組成物に使用可能なその他の光重合性モノマ成分としては、特に制限がなく、以下のようなものを用いることができる。
例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマ又はウレタンオリゴマ等が挙げられる。また、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β´−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β´−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びEO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて顔料成分を用いる。例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック、アゾ系の有機顔料等の着色剤又は染料を用いることができる。
更にハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン、ニトロソ化合物等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤などを、感光性樹脂組成物の所望の特性に影響を与えない範囲で含んでいてもよい。
【0050】
また、必要に応じて希釈剤を用いることが望ましい。希釈剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びそのアセテートジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテル類、また、トルエン、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ若しくはソルベントナフサ等の石油系溶剤、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類、アミン、アミド類の例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等や、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン等の溶剤を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
なお、本実施形態に用いる希釈剤の含有量は、感光性樹脂組成物を液状のまま使用する場合には、全質量中の5〜40質量%であることが好ましい。
【0052】
次に、好適な実施形態の感光性フィルムについて説明する。
【0053】
本実施形態に係る感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に形成された上記本実施形態の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えるものである。感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
【0054】
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。上記支持体(重合体フィルム)の厚みは、5〜25μmとすることが好ましく、この厚みが5μm未満では、現像前の支持フィルム10剥離の際に支持フィルム10が破れやすくなる傾向があり、25μmを超えると解像度が低下する傾向がある。なお、上記重合体フィルムは、一つを支持体として、他の一つを保護フィルムとして感光樹脂組成物層の両面に積層して使用してもよい。
【0055】
上記保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとしては、例えば、王子エフテックス株式会社製の製品名「アルファンMA−410」、「E−200C」(「アルファン」は登録商標)、信越フィルム株式会社製等のポリプロピレンフィルム、帝人株式会社製の製品名「PS−25」等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられるが、これらに限られたものではない。上記保護フィルムの厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満では、ラミネートの際に保護フィルムが破れる傾向があり、100μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。なお、保護フィルムは、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。フィッシュアイとは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0056】
上記感光性樹脂組成物層は、本実施形態の感光性樹脂組成物を先に述べたような溶剤に溶解して固形分30〜70質量%程度の溶液(塗布液)とした後に、かかる溶液(塗布液)を支持体上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等を用いた公知の方法で行うことができる。また、上記乾燥は70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。感光性樹脂組成物中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、感光性樹脂組成物の総量に対して3質量%以下とすることが好ましい。上記感光層14の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで3〜100μmであることが好ましく、5〜60μmであることがより好ましく、10〜50μmであることが特に好ましい。この厚みが3μm未満では、工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると感光性樹脂組成物層内部の感度及び解像度が低下する傾向がある。
【0057】
上記感光性フィルムは、更にクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していてもよい。また、得られた感光性フィルムはシート状、又は巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。なお、この際支持体が最も外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性フィルムロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。
【0058】
次に、本実施形態の感光性フィルムを用いたレジストパターンの形成方法について説明する。
【0059】
まず、レジストを形成すべき基板上に、上述した感光性樹脂組成物からなる感光層を形成する。上記感光性フィルムの保護フィルムを感光性樹脂組成物層から剥離させ、露出した面をラミネート等により、基板上に形成された回路パターンを有する導体層を覆うように密着させる。密着性、追従性向上の観点から減圧下で積層する方法も好ましい。なお、感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物のワニスをスクリーン印刷法やロールコータにより塗布する方法等の公知の方法により基板上に塗布することもできる。
次いで、必要に応じて上述した感光性フィルムから保護フィルムを除去する除去工程を行い、マスクパターンを通して、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、照射部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる露光工程を行う。
【0060】
更に、感光層上に支持体が存在している場合にはその支持体を除去した後、ウエット現像又はドライ現像で光硬化されていない部分(未露光部)を除去して現像することにより、レジストパターンを形成することができる。
上記ウエット現像の場合、現像液としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の安全かつ安定であり操作性が良好なものが、感光性樹脂組成物の種類に対応して用いられる。また、現像方法としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法が適宜採用される。
【0061】
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムの水酸化物である水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、アルカリ金属、アンモニウム等の炭酸塩又は重炭酸塩である炭酸アルカリ又は重炭酸アルカリ、アルカリ金属のリン酸塩であるリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等、アルカリ金属のピロリン酸塩であるピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。
【0062】
また、このようなアルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液が好ましく、そのpHは9〜11の範囲とすることが好ましい。また、このようなアルカリ性水溶液の温度は感光層14の現像性に合わせて調節され、20〜50℃とすることが好ましい。更に、上記アルカリ性水溶液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
【0063】
上記水系現像液としては、水及びアルカリ性水溶液若しくは一種以上の有機溶剤とからなるものが用いられる。ここでアルカリ性水溶液の塩基としては、上述したもの以外に、例えば、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンが挙げられる。このような水系現像液のpHは、現像処理が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12であることが好ましく、pH9〜10であることがより好ましい。
【0064】
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが用いられる。このような有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、このような有機溶剤の温度は、現像性にあわせて調節することができる。このような有機溶剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトンが挙げられる。更に、上記アルカリ性水溶液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
【0065】
本実施形態のレジストパターンの形成方法においては、必要に応じて、上述した2種類以上の現像方法を併用して用いてもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0066】
次に、本実施形態の感光性フィルムを用いた本発明の感光性永久レジストの好適な実施形態について説明する。
上記現像工程終了後、はんだ耐熱性及び耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05〜10J/cm
2程度の照射量で照射を行うことができる。また、レジストパターンを加熱する場合は、130〜200℃程度の範囲で15〜90分程行われることが好ましい。
【0067】
紫外線照射及び加熱は、両方を行ってもよい。この場合、両方を同時に行ってもよく、いずれか一方を実施した後に他方を実施してもよい。紫外線照射と加熱とを同時に行う場合は、はんだ耐熱性及び耐薬品性をより良好に付与する観点から、60〜150℃に加熱することが好ましい。
【0068】
このようにして形成された感光性永久レジストは、基板にはんだ付けを施した後の配線の保護膜を兼ね、ソルダーレジストの諸特性を有しプリント配線板用、半導体パッケージ基板用、フレキシブル配線板用のソルダーレジストとして用いることが可能である。
上記ソルダーレジストは、例えば、基板に対し、めっきやエッチングを施す場合に、めっきレジストやエッチングレジストとして用いられる他、そのまま基板上に残されて、配線等を保護するための保護膜(感光性永久レジスト)として用いられる。
【0069】
また、上述の露光工程において、前記導体層の所定部分が未露光となるパターンを有するマスク又は描画データを用いて露光を行った場合、これを現像することにより、未露光部分が除去され、基板上に形成された導体層の一部が露出した、開口パターンを有するレジストが得られる。その後、上述の感光性永久レジストを形成するのに必要な処理を行うことが好ましい。
【0070】
本実施形態の感光性永久レジストを備えた基板は、その後、半導体素子などの実装(例えば、ワイヤーボンディング、C4はんだ接続)がなされ、そして、パソコン等の電子機器へ装着される。
【0071】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0072】
[半導体パッケージ]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、半導体パッケージ用プリント配線板の永久レジスト膜の形成に好適に用いることができる。すなわち、本発明は、上述の感光性樹脂組成物の硬化物からなる永久レジスト層を有する半導体パッケージを提供する。
図1は、半導体パッケージの一実施形態を示す模式断面図である。半導体パッケージ10は、半導体チップ搭載用基板50と、半導体チップ搭載用基板50に搭載された半導体チップ120とを備える。半導体チップ搭載用基板50と半導体チップ120とは、ダイボンドフィルム又はダイボンドペーストからなる接着剤117で接着されている。半導体チップ搭載用基板50は、絶縁基板100を備え、絶縁基板100の一方面上には、ワイヤボンディング用配線端子110と、配線端子110の一部が露出する開口部が形成された永久レジスト層90が設けられ、反対側の面上には、永久レジスト層90とはんだ接続用接続端子111とが設けられている。永久レジスト層90は、上記本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる層である。はんだ接続用接続端子111は、プリント配線板との電気的な接続を行うために、はんだボール114を搭載している。半導体チップ120とワイヤボンディング用配線端子110とは、金ワイヤ115を用いて電気的に接続されている。半導体チップ120は、半導体用封止樹脂116によって封止されている。なお、本実施形態の感光性樹脂組成物は、フリップチップタイプの半導体パッケージにも適用することができる。
【0073】
図2は、フリップチップタイプの半導体パッケージ基板を示す模式断面図である。フリップチップタイプの半導体パッケージ基板20は、半導体チップ搭載用基板50と、半導体チップ搭載用基板50に搭載された半導体チップ120とを備える。半導体チップ搭載用基板50と半導体チップ120とは、アンダーフィル剤118で充填されている。半導体チップ搭載用基板50は、絶縁基板100bと、絶縁基板100aと、永久レジスト層90とがこの順で積層された構成を有する。永久レジスト層90は、上記本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物からなる層である。絶縁基板100bは、絶縁基板100a側の表面にパターン化された銅配線80を有し、絶縁基板100aは、永久レジスト層90側の表面にパターン化された銅配線80を有する。絶縁基板100b上の銅配線80と、絶縁基板100a上の銅配線80の少なくとも一部とは、絶縁基板100a及び絶縁基板100bを貫通するように形成されたはんだ接続用接続端子111により電気的に接続されている。また、永久レジスト層90は、絶縁基板100a上の銅配線80を覆うように形成されているが、はんだ接続用接続端子111に対応する銅配線80上には、銅配線80が露出するように開口部112が形成されている。絶縁基板100a上の銅配線80は、半導体チップ120の半導体チップ搭載用基板50に対向する面に形成された銅配線80と、上記開口部112に設けられたはんだボール114を介して電気的に接続されている。
永久レジストを備えた基板は、その後、パソコン等の電子機器へ装着される。
【実施例】
【0074】
(実施例1〜5及び比較例1〜4)
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
まず、実施例1〜5及び比較例1〜4について、それぞれ表1に示す各成分を同表に示す配合量(質量部)で混合することにより、感光性樹脂組成物を得た。
【0076】
(a)成分:エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂
EXP−2810:酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(DIC株式会社製、商品名)
ZAR−1753:酸変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、サンプル名)
UXE−3024:ウレタン変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名)
重量平均分子量は約5000〜10000で、酸価は何れも約70mgKOH/gであった。なお、GPCにおける測定条件は以下のとおりである。
<GPC測定条件>
機種:株式会社日立製作所製、商品名:L6000
検出:株式会社日立製作所製、RI−モニター、商品名:L3300RI
カラム:日立化成株式会社製、Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400M(商品名、カラム仕様:直径10.7mm×300mm(「Gelpack」は登録商標))
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度: NV(不揮発分)40質量%の樹脂溶液を120mg採取、5mLのTHFに溶解
注入量:200μL
圧力:49Kgf/cm
2
流量:2.05mL/分
【0077】
(b)成分:光重合開始剤
I907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名「IRGACURE 907」)
DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、商品名「カヤキュアーDETX−S」(「カヤキュアー」は登録商標))
【0078】
(c)成分:熱硬化剤
NC−3000H:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂である(日本化薬株式会社製、商品名)
YSLV−80:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)
【0079】
(d)成分:無機フィラー
硫酸バリウムA:平均粒子径が184nm、最大粒子径が0.58μm以下の硫酸バリウム(日本ソルベイ株式会社製、商品名「ASA」)
シリカA:ゾルゲルナノシリカでありシランカップリング剤として、メタクリルシランである3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでカップリング処理したサンプル2−N(平均粒子径が50nm、最大粒子径が1μm以下、屈折率が1.45、アドマテックス社製、サンプル名)
シリカB:球状溶融シリカであるSCスラリー(平均粒子径が300nm、最大粒子径が5μm以下、屈折率が1.45、株式会社アドマテックス製、サンプル名)を用いた。
シリカC:高純度溶融石英フィラーFLB−1「シリカ」(株式会社龍森製、商品名)を使用し、平均粒子径520nm、屈折率1.45、最大粒子径15.2μmであった。
分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA−EX150」又は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT3000」(いずれも日機装株式会社製、商品名(「ナノトラック」及び「マイクロトラック」は登録商標))を用いて測定した。
【0080】
なお、(e)成分として用いた、メラミン、ジシアンジアミドについても(d−1)無機フィラーと同様の方法で粉砕、分散し、最大粒径が2.0μm以下となっていることを確認して用いた。その他成分は以下のものを用いた。エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマとして、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製、商品名)、ブタジエン系エラストマであるエポリードPB3600(株式会社ダイセル製、商品名(「エポリード」は登録商標))、重合禁止剤アンテージ500(川口化学工業株式会社製、商品名)、顔料HCP−PM−5385(東洋インキ株式会社製、商品名)。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
次いで、この感光性樹脂組成物溶液を支持層である厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、それを、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、25μmであった。
【0084】
続いて、感光性樹脂組成物層の支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF−15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性フィルムを得た。
【0085】
[感度、解像性の評価]
厚さ12μmの銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(E−679、日立化成株式会社製、商品名)の銅表面を砥粒ブラシで研磨し、水洗後、乾燥した。このプリント配線板用基板上にプレス式真空ラミネータ(MVLP−500、株式会社名機製作所製、商品名(「MVLP」は登録商標))を用いて、プレス熱板温度70℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaの条件の下、前記感光性フィルムの保護フィルムを剥離して積層し、評価用積層体を得た。
【0086】
その後、室温で1時間以上放置した後、得られた評価用積層体の支持体上に、41段ステップタブレット(日立化成株式会社製)を密着させ、超高圧水銀ランプを光源としたダイレクトイメージング露光装置DXP−3512(株式会社オーク製作所製)を用いて露光を行った。
【0087】
露光後から室温で30分間放置した後、支持体のポリエチレンテレフタレートを除去し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で未露光部の感光性樹脂組成物を60秒間スプレー現像した。現像後、41段ステップタブレットの光沢残存ステップ段数が10.0となる露光エネルギー量を感光性樹脂組成物層の感度(単位;mJ/cm
2)とした。この感度で露光したパターンを用いて、感光性樹脂組成物層の評価を行った。
【0088】
感度の評価はステップ段数が10.0となる露光エネルギー量で、200mJ/cm
2以下を「3」とし、200mJ/cm
2から300mJ/cm
2を「2」、300mJ/cm
2より大きい場合を「1」とした。結果を表2に示した。なお、露光エネルギー量が小さいほど、高感度で露光に要する時間が短くなり、特にダイレクトイメージング露光におけるスループットがよくなる。
【0089】
また、解像性の評価は、ステップ段数が10.0となる露光エネルギー量で露光、スプレー現像し、現像処理後に光学顕微鏡を用いてレジストパターンを観察したとき、剥がれ及びよれがなく残ったライン幅(単位:μm)のうち最も小さい幅を測定することにより評価した。ライン・アンド・スペースとして残ったライン幅(μm)の数値が小さいほど良好な値である。解像度(μm)として求めた。結果を表2に示した。
【0090】
[レジスト形状の評価]
上記で得られた永久レジストパターンの断面を観察し、その形状を以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
「3」:ストレートからテーパ形状であるもの
「1」:オーバーハング、アンダーカットの発生が認められるもの
【0091】
[反射率の測定]
感光性エレメントを基材MCL−E679上に形成し、分光測色計CM−512m3(MINOLTA製)を用いて表面の反射率を測定した。反射率が50以上のものを「3」、50より小さいものを「1」として判定した。
【0092】
[感光層の吸光度の測定]
感光性エレメントから保護フィルムを剥がし、これを株式会社日立製作所製228A型WビームUV分光光度計の測定側に置き、レファレンス側に支持フィルムを置いた。そして、吸光度モードにより700〜300nmの範囲を連続測定して吸収スペクトルを得た。得られた吸収スペクトルから365nm、405nmにおける吸光度と、300〜800nmにおける吸光度の最小値の値を読み取った。波長365nmに対する吸光度が2.0以上、405nmにおける対する吸光度が1.5以上であり、かつ300nmから800nmにおける吸光度の最小値が0.2以上であるものを「3」、上記条件を満たさないものを「1」として評価した。結果を表2に示した。
【0093】
[CTEの評価]
上記感光性積層体の全面を露光して、現像、紫外線照射、加熱処理まで行うことで、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)上に、感光性樹脂組成物の硬化物を形成し、次いで、カッターナイフで、幅3mm、長さ30mmに切り出した後、硬化物上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、熱膨張係数評価用永久レジストを得た。
TMA(熱機械分析)装置SS6000(セイコー・インスツル株式会社製)を用いて、引張りモードでの熱膨張係数の測定を行った。引張り荷重は2gf、スパン(チャック間距離)は15mm、昇温速度は10℃/分である。まず、サンプルを装置に装着し、室温(25℃)から160℃まで加熱し、15分間放置した。その後、−60℃まで冷却し、−60℃から250℃まで昇温速度10℃/分の条件で測定を行った。25℃から200℃までの範囲で見られる変曲点をTgとした。
CTEはTg以下の温度で得られる曲線の接線の傾きを用いた。実施例1で得られたCTEの値を基準値として、この基準値より30%未満大きいものを「3」とし、30%以上50%未満大きいものを「2」、50%以上大きいものを「1」とした。結果を表2に示した。
【0094】
[HAST耐性の評価]
コア材に厚さ12μmの銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(MCL−E−679FG、日立化成株式会社製、商品名(「MCL」は登録商標))、セミアディブ配線形成用ビルドアップ材(AS−ZII、日立化成株式会社製、商品名)を用いて、ライン/スペースが8μm/8μmのくし型電極を作製し、これを評価基板とした。
【0095】
この評価基板におけるくし型電極上に、上記「解像性の評価」と同様にしてレジストの硬化物からなるソルダーレジストを形成し(くし型電極部分にソルダーレジストが残るように露光し現像、紫外線照射、加熱処理を行い形成)、その後、130℃、85%RH、6V条件下に200時間晒した。その後、抵抗値の測定とマイグレーションの発生の程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、抵抗値が1.0×10
10Ω以上が保持されており、ソルダーレジスト膜にマイグレーションが発生しなかったものは「3」とし、抵抗値が1.0×10
10Ω以上が保持されていたが、僅かにマイグレーションが発生したものは「2」、抵抗値が1.0×10
10Ω未満となり、マイグレーションが大きく発生したものは「1」とした。結果を表2に示した。
【0096】
[クラック耐性の評価]
上記「評価基板の作製」と同様にソルダーレジストを形成した評価用積層体基板を、−65℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の昇温速度で昇温し、次いで、150℃の大気中に15分間晒した後、180℃/分の降温速度で降温する熱サイクルを1000回繰り返した。このような環境下に晒した後、評価用積層体基板の永久レジスト膜のクラック及び剥離程度を100倍の金属顕微鏡により観察し、次の基準で評価した。すなわち、2mm角の開口部の10箇所を確認して永久レジスト膜のクラック及び剥離を全く観察できなかったものは「3」とし、10箇所中2箇所以下でクラック及び剥離が観察されたものを「2」、10箇所中3箇所以上でクラック及び剥離が観察されたものを「1」とした。結果を表2に示した。
【0097】
上記したように、本実施形態の感光性樹脂組成物は、ダイレクトイメージング露光において、解像性に優れ、その硬化物からなる永久レジストは、低CTE、高Tg、HAST耐性、クラック耐性に優れることが確認された。