特許第6143602号(P6143602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人東京工業大学の特許一覧 ▶ DIC株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143602
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】ベンゾチオフェン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20170529BHJP
   H01L 51/05 20060101ALN20170529BHJP
   H01L 51/30 20060101ALN20170529BHJP
【FI】
   C07D495/04 101
   !H01L29/28 100A
   !H01L29/28 250H
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-164110(P2013-164110)
(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公開番号】特開2015-30727(P2015-30727A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月27日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業(CREST)、ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成、液晶性有機半導体材料の開発、実用化に向けた液晶性有機トランジスタ材料の開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】半那 純一
(72)【発明者】
【氏名】岡村 寿
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 敦久
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−275192(JP,A)
【文献】 特開2008−290963(JP,A)
【文献】 特開2011−256144(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/098372(WO,A1)
【文献】 Tetrahedron Lett.,2011年,52,285−288
【文献】 J. Org. Chem.,2013年,78,7741−7748
【文献】 J. Org. Chem.,1993年,58,5209−5220
【文献】 Angew. Chem. Int. Ed.,2010年,49,4751−4754
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 495/04
H01L 29/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される化合物の製造方法において、
一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)、一般式(4)、または一般式(5)で表される化合物を反応させて、一般式(1)で表される化合物とする、一般式(1)で表される化合物の製造方法。
【化1】
【化2】
【化3】
(但し、各式中、R水素原子を表し、R〜R6は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Mは、金属イオン、アンモニウムイオン、またはテトラアルキルアンモニウムイオンを表し、Xは、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表し、lは0または1であり、m及びnは、Mが金属イオンの場合は1〜4の整数であり、Mがアンモニウムイオン、またはテトラアルキルアンモニウムイオンの場合は共に1である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いてなる薄膜トランジスタ(TFT)が、液晶表示装置や有機EL表示装置などのスイッチング素子として広く用いられている。しかし、これらシリコンを用いたTFTは、製造設備が高価な上、高温下で成膜されるため、耐熱性に乏しいプラスチック基板には展開できない。これを解決するために、シリコン半導体に代えて、有機半導体材料をチャネル半導体層に用いた有機TFTが提案されている。これまでの有機半導体材料は、シリコン半導体に比して電荷移動度が低かったが、近年、特許文献1などに、シリコン半導体と同等の移動度を示す2,7−置換[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン骨格(以下、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンをBTBTと略する)を有する化合物が見出され、その応用展開が図られている。
【0003】
BTBT誘導体の製造方法は、種々の文献、特許公報によって知られている。例えば、特許文献2には、o-クロロベンズアルデヒド誘導体と金属硫化物または金属水硫化物などとの反応により、BTBT誘導体を得る方法が、また、特許文献3には、ベンズアルデヒド誘導体とハロゲン化剤、及び硫黄化合物との反応により、BTBT誘導体を得る方法が記載されている。
【0004】
更に、非特許文献1には、ジアミノスチルベンを原料とし、ジアゾニウム塩を経由して、キサントゲン酸カリウムと反応することにより、BTBT誘導体を得る方法が、また、特許文献4には、2−メタル化ベンゾチオフェン誘導体と2−ハロゲン化アリールスルホン酸との反応物を、酸と作用させた後、塩基と作用することにより、BTBT誘導体を得る方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2や特許文献3の方法は、臭気の強い硫黄原料を使用するため、作業環境の悪化が問題となっている。一方、非特許文献1や特許文献4の方法は、硫黄原料由来の臭気が低いものの、反応が多段階に渡り煩雑なため、工業的には不利である。従って、BTBT誘導体を実用的な方法で得るためには、簡便で、作業環境に優しい製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2012−121393号公報
【特許文献2】特開2010−275192号公報
【特許文献3】特開2008−290963号公報
【特許文献4】特開2011−256144号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】The Journal of Organic Chemistry, Vol.58, 5209頁(1993年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】

上記背景技術を鑑み、本発明の課題は、簡便に一工程の反応で得られ、硫黄原料由来の臭気が低い、BTBT誘導体の実用的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行ったところ、一般式(2)で表されるo−ハロゲン化ベンズアルデヒド誘導体と、一般式(3)、(4)、又は(5)で表されるジチオ化合物を反応する実用的な方法により、一般式(1)で表されるBTBT誘導体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
(但し、各式中、Rは、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルスルファニル基、またはアリール基を表し、R〜R6は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Mは、金属イオン、アンモニウムイオン、またはテトラアルキルアンモニウムイオンを表し、Xは、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表し、lは0または1であり、m及びnは、Mが金属イオンの場合は1〜4の整数であり、Mがアンモニウムイオン、またはテトラアルキルアンモニウムイオンの場合は共に1である。)
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡便に、硫黄由来の臭気を発生しない実用的な方法でBTBT誘導体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の製造方法について説明する。本発明の製造スキームは次の通りである。
【0018】
【化6】
【0019】
本発明の一般式(2)において、Rは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルスルファニル基、アリール基である。
【0020】
炭素原子数1〜20のアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などの直鎖、分岐、脂環式アルキル基が挙げられ、更にこれらの置換基はハロゲン原子で置換されたトリフルオロメチル基などでもよい。
【0021】
また、炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、2,2−ジメチルヘプチルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、1−ヘキシルヘプチルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などの直鎖、分岐、脂環式アルコキシ基が挙げられる。
【0022】
炭素原子数1〜20のアルキルスルファニル基としては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、n−プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、n−ブチルスルファニル基、イソブチルスルファニル基、n−ペンチルスルファニル基、イソペンチルスルファニル基、ネオペンチルスルファニル基、n−ヘキシルスルファニル基、1−メチルペンチルスルファニル基、4−メチル−2−ペンチルスルファニル基、3,3−ジメチルブチルスルファニル基、2−エチルブチルスルファニル基、n−ヘプチルスルファニル基、1−メチルヘキシルスルファニル基、シクロヘキシルメチルスルファニル基、n−オクチルスルファニル基、tert−オクチルスルファニル基、1−メチルヘプチルスルファニル基、2−エチルヘキシルスルファニル基、2−プロピルペンチルスルファニル基、n−ノニルスルファニル基、2,2−ジメチルヘプチルスルファニル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルスルファニル基、3,5,5−トリメチルヘキシルスルファニル基、n−デシルスルファニル基、n−ウンデシルスルファニル基、1−メチルデシルスルファニル基、n−ドデシルスルファニル基、n−トリデシルスルファニル基、1−ヘキシルヘプチルスルファニル基、n−テトラデシルスルファニル基、n−ペンタデシルスルファニル基、n−ヘキサデシルスルファニル基、n−ヘプタデシルスルファニル基、n−オクタデシルスルファニル基、n−エイコシルスルファニル基などの直鎖、分岐、脂環式アルキルスルファニル基が挙げられる。
【0023】
また、アリール基とは、芳香族炭化水素基や複素芳香族基であり、これらの基は置換基としてアルキル基やハロゲン置換基を有しても良い。このような基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、アセナフテニル基、アントラニル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、フルオレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ビフェニル基、p−ターフェニル基、クォーターフェニル基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、ジュリル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−n−デカフェニル基、4−ステアリルフェニル基、9,9‘−ジヘキシルフルオレニル基などのアルキル基を有する芳香族炭化水素基;4−フルオロフェニル基、2,6−フルオロフェニレン基、4−クロロフェニレン基、2,3,4,5,6−パーフルオロフェニレン基など、前記のアリーレン基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲンで置換された芳香族炭化水素基;
【0024】
置換基を有しても良い複素芳香族基としては、ピリジニル基、ピロール基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ジベンゾオキサゾリル基、ジベンゾチエニル基;2−メチルチエニル基、2−ブチルチエニル基、2−ヘキシルチエニル基などのアルキル基を有する複素芳香族基などが挙げられる。
また、一般式(2)において、lは0又は1である。
【0025】
(本発明に使用できる化合物)
このような一般式(2)の化合物としては、例えば、o−クロロベンズアルデヒド、o−ブロモアルデヒド、o−ヨードベンズアルデヒド、2,3−ジクロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,5−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、2−クロロ−3−フルオロベンズアルデヒド、2−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒド、2−クロロ−5−フルオロベンズアルデヒド、2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒド、2−クロロ−3−ブロモベンズアルデヒド、2−クロロ−4−ブロモベンズアルデヒド、2−クロロ−5−ブロモベンズアルデヒド、2−クロロ−6−ブロモベンズアルデヒド、2−クロロ−3−ヨードベンズアルデヒド、2−クロロ−4−ヨードベンズアルデヒド、2−クロロ−5−ヨードベンズアルデヒド、2−クロロ−6−ヨードベンズアルデヒド、2,3−ジブロモベンズアルデヒド、2,4−ジブロモベンズアルデヒド、2,5−ジブロモベンズアルデヒド、2,6−ジブロモベンズアルデヒド、2−ブロモ−3−フルオロベンズアルデヒド、2−ブロモ−4−フルオロベンズアルデヒド、2−ブロモ−5−フルオロベンズアルデヒド、2−ブロモ−6−フルオロベンズアルデヒド、2−ブロモ−3−クロロベンズアルデヒド、2−ブロモ−4−クロロベンズアルデヒド、2−ブロモ−5−クロロベンズアルデヒド、2−ブロモ−6−クロロベンズアルデヒド、2−ブロモ−3−ヨードベンズアルデヒド、2−ブロモ−4−ヨードベンズアルデヒド、2−ブロモ−5−ヨードベンズアルデヒド、2−ブロモ−6−ヨードベンズアルデヒドなどのハロゲン原子を持つ化合物;
【0026】
2−クロロ−4−メチルベンズアルデヒド、2−クロロ−4−エチルベンズアルデヒド、2−クロロ−4−プロピルベンズアルデヒド、2−クロロ−5−メチルベンズアルデヒド、2−クロロ−5−エチルベンズアルデヒド、2−クロロ−5−プロピルベンズアルデヒド、2−クロロ−5−ブチルベンズアルデヒド、2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、2−クロロ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒドなどのハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基を有する化合物;
3−クロロビフェニル−4−アルデヒド、2−クロロ−5−(3−ピリジニル)ベンズアルデヒド、2−クロロ−5−(4−ピリジニル)ベンズアルデヒド;或いは、3−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトエ酸をJournal of Organic Chemistry,第31号,3683頁などの方法で反応して得られる3−クロロ−2−ナフタレンアルデヒドなどのアリール基を持つ化合物;
2−クロロ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−クロロ−5−メトキシベンズアルデヒド、2−クロロ−5−エトキシベンズアルデヒド、2−クロロ−5−ブトキシベンズアルデヒドなどの水酸基又はアルコキシ置換基を持つ化合物;
更に、2−クロロ−5−シアノベンズアルデヒド、2−クロロ−4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2−クロロ−5−ニトロベンズアルデヒド、2−クロロ−5−メチルスルファニルベンズアルデヒドなどが挙げられる。
【0027】
本発明の製造方法は、上記の一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)、(4)、又は(5)で表される化合物を反応することを特徴とするが、一般式(3)の化合物としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、ジメチルジチオカルバミン酸カルシウム、ジメチルジチオカルバミン酸チタニウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸錫、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジメチルジチオカルバミン酸銀、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸カリウム、ジエチルジチオカルバミン酸カルシウム、ジエチルジチオカルバミン酸チタニウム、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸錫、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジイソプロピルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジイソプロピルジチオカルバミン酸カリウム、ジイソプロピルジチオカルバミン酸カルシウム、ジイソプロピルジチオカルバミン酸チタニウム、ジイソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジイソプロピルジチオカルバミン酸錫、ジイソプロピルジチオカルバミン酸銅、ジイソプロピルジチオカルバミン酸鉄、ジイソプロピルジチオカルバミン酸銀、ジイソプロピルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸カリウム、ジブチルジチオカルバミン酸カルシウム、ジブチルジチオカルバミン酸チタニウム、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸錫、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸鉄、ジブチルジチオカルバミン酸銀、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジベンジルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジベンジルジチオカルバミン酸カリウム、ジベンジルジチオカルバミン酸カルシウム、ジベンジルジチオカルバミン酸チタニウム、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸錫、ジベンジルジチオカルバミン酸銅、ジベンジルジチオカルバミン酸鉄、ジベンジルジチオカルバミン酸銀、ジベンジルジチオカルバミン酸ニッケル、などのジチオカルバミン酸の金属塩類;
【0028】
ジメチルジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジメチルジチオカルバミン酸テトラメチルアンモニウム塩、ジメチルジチオカルバミン酸テトラエチルアンモニウム塩、ジメチルジチオカルバミン酸テトラブチルアンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸テトラメチルアンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸テトラブチルアンモニウム塩、ジイソプロピルジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジイソプロピルジチオカルバミン酸テトラメチルアンモニウム塩、ジイソプロピルジチオカルバミン酸テトラエチルアンモニウム塩、ジイソプロピルジチオカルバミン酸テトラブチルアンモニウム塩、ジブチルジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジブチルジチオカルバミン酸テトラメチルアンモニウム塩、ジブチルジチオカルバミン酸テトラエチルアンモニウム塩、ジブチルジチオカルバミン酸テトラブチルアンモニウム塩、ジベンジルジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジベンジルジチオカルバミン酸テトラメチルアンモニウム塩、ジベンジルジチオカルバミン酸テトラエチルアンモニウム塩、ジベンジルジチオカルバミン酸テトライソプロピルアンモニウム塩、ジベンジルジチオカルバミン酸テトラブチルアンモニウム塩などのジチオカルバミン酸の有機塩;
更に、N,N−ジメチルチオカルバモイル−N,N−ジメチルチオヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルチオカルバモイル−N,N−ジエチルチオヒドロキシルアミン、N,N−ジイソプロピルチオカルバモイル−N,N−ジイソプロピルチオヒドロキシルアミン、N,N−ジブチルチオカルバモイル−N,N−ジブチルチオヒドロキシルアミンなども使用することができる。
【0029】
本発明では、一般式(2)で表されるアルデヒド類を上記ジチオカルバミン酸類と反応させてもよいが、第一段階としてジチオカルバミン酸類を反応系内で発生させ、第2段階として同一反応系内に一般式(2)で表されるアルデヒド類を添加反応させてもよい。例えば、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを用いる場合、第一段階として、ジエチルアミンと二硫化炭素を反応させることによりN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムとし、更に第2段階として、同一反応系内に一般式(2)で表されるアルデヒド類を添加反応させてもよい。
【0030】
一般式(4)の化合物としては、例えば、エチルキサントゲン酸ナトリウム、エチルキサントゲン酸カリウム、プロピルキサントゲン酸ナトリウム、プロピルキサントゲン酸カリウム、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸カリウム、ブチルキサントゲン酸ナトリウム、ブチルキサントゲン酸カリウム、アミルキサントゲン酸ナトリウム、アミルキサントゲン酸カリウム、ヘキシルキサントゲン酸ナトリウム、ヘキシルキサントゲン酸カリウムなどのキサントゲン酸の金属塩;
ジエチルキサントゲン酸ジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲン酸ジスルフィド、ジプロピルキサントゲン酸ジスルフィド、ジブチルキサントゲン酸ジスルフィド、ジアミルキサントゲン酸ジスルフィド、ジヘキシルキサントゲン酸ジスルフィドなどのキサントゲン酸ジスルフィド類などが挙げられる。
【0031】
本発明では、一般式(2)で表されるアルデヒド類を上記キサントゲン酸類と反応させてもよいが、第一段階としてキサントゲン酸類を反応系内で発生させて、第2段階として同一反応系内に一般式(2)で表されるアルデヒド類を添加反応させてもよい。例えば、エチルキサントゲン酸ナトリウムを用いる場合、第一段階として、エチルアルコキシドと二硫化炭素を反応させることによりエチルキサントゲン酸ナトリウムとし、更に第2段階として、同一反応系内に一般式(2)で表されるアルデヒド類を添加反応させてもよい。
【0032】
また、一般式(5)の化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトライソプロピルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのテトラアルキルチウラムジスルフィド類が挙げられる。
なお、上記の一般式(1)で表される化合物として、具体的に、次の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
【化7】
【0034】
(本発明の合成条件)
これら一般式(3)、(4)、又は(5)の化合物の使用量は、一般式(2)の化合物に対し、通常1〜30モルであり、好ましくは1〜15モル、より好ましくは、1.2〜6モルである。
【0035】
これらの化合物は、単独でも混合しても使用することができ、混合した場合の使用量は、(3)〜(5)の化合物の合計モル数が、一般式(2)の化合物に対して上記記載の範囲に収まることが好ましい。
反応温度は、当該反応が進行する温度であれば特に限定されず、室温〜300℃の範囲であるが、80〜250℃であることが好ましい。80℃未満であると反応が遅いため実用的でなく、250℃を超えると生成物が分解することがある。
【0036】
反応溶媒は、使用しなくても構わないが、撹拌効率と反応均一性から使用した方が好ましい。反応溶媒は公知慣用のものが使用できるが、これらを例示すると、ジクロロメタン、クロロホルム、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパンなどのハロゲン系溶媒;
トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、n−ブチルベンゼン、n−アミルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ブロモナフタレンなどの芳香族系溶媒;
アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;
【0037】
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、テトラメチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶媒;
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒;
【0038】
N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジノンなどのアミド系溶媒;
ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルホキシド系溶媒などが挙げられる。
【0039】
以上の溶媒の中でも、沸点80℃以上の溶媒が好ましく、特に、反応収率の点から、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒などの極性溶媒や、芳香族系溶媒が好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により、更に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
(臭気の確認)
反応中および後処理中の臭いを嗅ぎ、以下の判断基準で評価した。
(1)硫黄臭が全く無い、(2)弱い硫黄臭がある、(3)硫黄臭がある、(4)強い硫黄臭がある
【0042】
(実施例1)
500mLの四つ口フラスコにo−クロロベンズアルデヒド14.0g(0.1モル)、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム3水和物49.0g(0.217モル)、N−メチル−2−ピロリドン210mLを加え、撹拌しながら180℃まで4時間かけて昇温した。更に同温で15時間撹拌後、室温に冷却し、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液500mLに注いだ。得られた混合溶液をクロロホルム300mLで抽出し、クロロホルム相を蒸留水、1mol/L塩酸、飽和食塩水の順に洗浄した。クロロホルムを留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに附し、シクロヘキサン溶離液で精製、溶剤留去することにより、BTBTの淡黄色結晶5.2g(収率43.3%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):7.85−7.95ppm(m,4H)、7.39−7.50ppm(m,4H)
表1に反応中の臭気および後処理中の臭気の評価結果を示した。
【0043】
(実施例2)
実施例1において、N,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム3水和物49.0gに代え、o−エチルキサントゲン酸カリウム35g(0.219モル)を用いた以外、実施例1と同様の操作を行い、BTBTの淡黄色結晶4.0g(収率33.3%)を得た。表1に反応中の臭気および後処理中の臭気の評価結果を示した。
【0044】
(比較例1)
特許文献2に記載の方法に従って、収率24%でBTBTを得た。表1に反応中の臭気および後処理中の臭気の評価結果を示した。
【0045】
(比較例2)
特許文献3に記載の方法に従って、収率39%でBTBTを得た。表1に反応中の臭気および後処理中の臭気の評価結果を示した。
【0046】
【表1】
【0047】
以上のように、本発明によれば、実用的な方法で簡便に好収率で、且つ、作業環境に優しい方法で[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の製造方法により得られるベンゾチオフェン誘導体は、例えば有機半導体の材料として用いることができる。