特許第6143999号(P6143999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6143999膝関節用低背型患者特異的カッティングブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6143999
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】膝関節用低背型患者特異的カッティングブロック
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20170529BHJP
【FI】
   A61F2/38
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-549835(P2010-549835)
(86)(22)【出願日】2009年3月3日
(65)【公表番号】特表2011-512996(P2011-512996A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】US2009035935
(87)【国際公開番号】WO2009111512
(87)【国際公開日】20090911
【審査請求日】2012年2月29日
【審判番号】不服2015-21493(P2015-21493/J1)
【審判請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/033,419
(32)【優先日】2008年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/089,373
(32)【優先日】2008年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム・サレヒ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・メール
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エルスワース・ナドザディ
(72)【発明者】
【氏名】アーシーシュ・アグニホトリ
【合議体】
【審判長】 長屋 陽二郎
【審判官】 山口 直
【審判官】 平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−510403(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/097853(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.脛骨の近位端の各部分に覆い被さるように構成された複数の骨境界部分であって、前記骨境界部分のそれぞれが前記骨境界部分が覆い被さる前記脛骨の部分に対して概ね凹凸が逆の表面を有し、前記骨境界部分の第一部分が前記脛骨の前方部分に覆い被さり前記骨境界部分の第二部分が前記脛骨の前方部分にほぼ垂直な脛骨のさらなる部分に覆い被さるように前記骨境界部分の第一部分が前記骨境界部分の第二部分に対してほぼ垂直の角度をなしている、複数の骨境界部分と、
b.カッティングスロットが前記骨境界部分から固定した角度および固定した深さで切除工具を誘導するように、前記骨境界部分に対して固定した位置で配向されており且つ患者特異的カッティングブロックの前方側の内側半分に配向されているカッティングスロットと、
を備える膝用の低背型患者特異的脛骨カッティングブロックであって、
前記骨境界部分の第二部分が、離間した骨境界面を備えており、前記骨境界面のそれぞれが、前記脛骨の内側脛骨プラトーおよび外側脛骨プラトーのそれぞれの近位面に対して配向されるように構成された低背型患者特異的脛骨カッティングブロック。
【請求項2】
前記低背型患者特異的脛骨カッティングブロックの中央部分から後方外側に延びるパドルをさらに備え、前記パドルが、前方近位面で前記脛骨と接触するのではなく、後方近位面で前記脛骨と接触するように、前記低背型患者特異的脛骨カッティングブロックの前方に配向された隆起部分を有する、請求項1に記載の低背型患者特異的脛骨カッティングブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、膝関節における骨切除のためのカッティングブロックに関し、より具体的には、患者に特異的な骨および軟骨のために設計され、さらに外科医の選好に合わせて構成されたカッティングブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2008年3月3日出願の特許文献1の利益を主張し、さらに、2008年8月15日出願の特許文献2の利益を主張するものである。各出願の開示の全体を参照により組み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/033,419号
【特許文献2】米国特許仮出願第61/089,373号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記分野に関する問題に鑑みて開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、膝用低背型患者特異的(patient specific)カッティングブロックが、複数の骨境界部分(bone interfacing portion)と、カッティングスロットとを備える。複数の骨境界部分は、骨の端部部分に覆い被さるように構成される。骨境界部分はそれぞれ、その骨境界部分が覆い被さる骨部分に対して概ね凹凸が逆の(negative)表面を有する。骨境界部分は、骨境界部分の第一部分(first)が骨の前方部分に覆い被さり、骨境界部分の第二部分(second)が骨の前方部分にほぼ垂直な骨部分に覆い被さるように、互いに角度をなしてオフセットされている。カッティングスロットは、骨境界部分から固定した角度および固定した深さで切除工具を誘導するように、骨境界部分に対して固定した位置で配向されている。
【0006】
本発明の別の実施形態では、低背型患者特異的カッティングブロックは、大腿骨カッティングブロックである。このブロックは、ある厚みと、ボスを貫通して延びる開口と、を有するボスをさらに備える。この開口は、ある直径を有する。このボスは、ボスを貫通してピンを誘導するように構成されている。ボスの厚みは、開口の直径よりも大きい。
【0007】
さらに別の実施形態では、骨境界部分は、低背型患者特異的カッティングブロックの前方部分では、低背型患者特異的カッティングブロックの概ね中央に配向され、低背型患者特異的カッティングブロックの後方部分では、内側と外側とに配向される。
【0008】
あるいは、低背型患者特異的カッティングブロックは、脛骨カッティングブロックであり、カッティングスロットは、脛骨に対してオフセットされ、内側寄りに配置される。
【0009】
別の実施形態では、患者特異的カッティングブロックの中央部分から後方外側に延びるパドルが含まれる。このパドルは、前方近位面で脛骨と接触するのではなく、後方近位面で脛骨と接触するように、低背型患者特異的カッティングブロックの前方に配向された隆起部分を有する。
【0010】
本発明のさらなる特徴、態様、および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作について、添付の図面を参照しながら以下で詳細に説明する。
【0011】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、以下の説明と併せて本発明の原理を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】大腿骨患者特異的カッティングブロック、および脛骨患者特異的カッティングブロックを用いた膝関節の図である。
図2】本発明の一態様による大腿骨患者特異的カッティングブロックの前方図である。
図3】本発明の一態様による大腿骨患者特異的カッティングブロックの近位後方図である。
図4】本発明の一態様による脛骨患者特異的カッティングブロックの前方図である。
図5】本発明の一態様による脛骨患者特異的カッティングブロックの遠位後方図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
同じ参照番号は同じ要素を示す添付の図面を参照すると、図1は、大腿骨患者特異的カッティングブロック10、および脛骨患者特異的カッティングブロック14を用いた膝関節の図を示す。大腿骨患者特異的カッティングブロック10は、大腿骨12に取り付けられている。脛骨患者特異的カッティングブロック14は、脛骨16に取り付けられている。患者特異的カッティングブロック10および14は、大腿骨12および脛骨16側の骨および軟骨部分と係合して、患者特異的カッティングブロック側の切除面同士が位置合せされるように構成され、したがって、骨髄内または骨髄外ガイドを使用せずに、遠位切除(大腿骨側)、および近位切除(脛骨側)を行うことができる。
【0014】
大腿骨患者特異的カッティングブロック10は、前方大腿骨部分20、内側大腿骨パドル22、および外側大腿骨パドル24を含む。これらの部分は、大腿骨12の前方面、内側顆、および外側顆部分にそれぞれ覆い被さる。部分20、22、および24は、大腿骨12の端部全体にわたって共形に覆い被さるのではなく、大腿骨12の各部分にだけ覆い被さるので、患者特異的カッティングブロック10は、内外方向および前後方向の両方向ともに低背性を有することができる。
【0015】
ピンホール40および48、ガイドボス42、機能軸インデックス44、ならびに大腿骨カッティングスロット46が、大腿骨患者特異的カッティングブロック10の外面に配向されている。ピンホール40および48は、カッティングブロック10を大腿骨12にピン固定するように配向されている。ガイドボス42は、インプラントのために大腿骨12を備えるのに必要となる他のボックスカットに合わせてピンを固定するように配向されている。
【0016】
ピンホール40および48は、患者特異的カッティングブロック10の前方面に配向されている。ピンホール40および48は、ボスを有する(ピンホール40に関して示す)ことができ、または表面と同一平面であってもよい(ピンホール48に関して示す)。これらのボスは、例えば、骨の縁部から離れたピンを誘導するために使用することができる。患者特異的カッティングブロック10は低背型であるため、ボスのないピンホールでは、ピンが広範囲にわたる角度方向に延びることができるようになる。ボスを貫通する開口の直径よりも厚くボスを延ばすことにより、患者特異的カッティングブロック10を貫通するガイドを加えることによって、ピンが骨に打ち込まれたとき、または埋め込まれたとき誘導されるようにピンを配向することができる。
【0017】
機能軸インデックス44が、大腿骨12の機能軸に沿って配向される。カッティングスロット46が、解剖学的構造に対して配向され、外科医によって画定され、このカッティングスロット46によって、インプラントに対する遠位切除が誘導される。以下で説明するように、患者のMRおよびX線を用いて、機能軸インデックス44を患者特異的カッティングブロック10に位置合せする。
【0018】
MRおよびX線情報に加えて、外科医の選好によって、カッティングスロット46を患者特異的カッティングブロック10に配置する。カッティングスロット46は、(X線データに基づく外科医の選好に従って)機能軸に対して内反位または外反位に配向することができる。屈曲ギャップは、カッティングスロット46の患者特異的カッティングブロック10に対する角度を調整することによって調整することができる。骨切除の深さもやはり、カッティングスロット46の配置によって決定され、顆の遠位点から決定される。
【0019】
ガイドボス42もやはり、MRデータ、X線データ、および外科医の選好に従って患者特異的カッティングブロック10に配置される。ガイドボス42は、後方ボス42を互いに調整することによって、インプラントの回転を設定することができる。ボス42の相対的な配置によって、ピンが大腿骨の遠位切除に対するさらなる切除ガイドを誘導するようにピンを配置することができ、それによってインプラントの骨境界面に必要となるいかなる前方切除および後方切除、ならびに面取り切除も行うことができる。内方/外方への回転は、後方ボスのうちの一方の深さを後方ボスの他方に対して動かすことによって誘導される。インプラントの前後方配置は、後方ボス42を両方とも一緒に前後方向に動かすことによって調整する。
【0020】
脛骨患者特異的カッティングブロック14は、前方大腿骨部分300、内側大腿骨パドル32、および外側大腿骨パドル34を含む。これらの部分は、脛骨16の前方面、内側プラトー、および外側プラトーにそれぞれ覆い被さる。部分30、32、および34は、脛骨16の端部全体にわたって共形に覆い被さるのではなく、脛骨16の各部分にだけ覆い被さるので、患者特異的カッティングブロック14は、内外方向および前後方向の両方向ともに低背性を有することができる。
【0021】
ピンホール50および52、M-Lインデックス54、ならびにカッティングスロット56が、脛骨患者特異的カッティングブロック14の外面に配向されている。ピンホール50および52によって、患者特異的カッティングブロック14を骨に固定することができ、それに加えて、脛骨準備の上で必要であれば、ピンを互いに対して位置合せしさらに配向することができる。
【0022】
脛骨カッティングスロット56は、脛骨16の前方面に対して内側に寄せられる(すなわち、脛骨カッティングスロット56は、患者特異的カッティングブロック14の前方側の内側半に配向される)。外側パドル34は、脛骨隆起の前方付近に延び、外側プラトーの方に後方外側に延ばすことができる。これらの特徴によって、このガイドをMIS手技で使用することが可能となり、この手技では、脛骨の前方面内側半から脛骨を切除することによって外側間隙が最小限に抑えられ、軟部組織の問題がさらに生じ得る脛骨への内側からのアプローチが最小限に抑えられる。したがって、内側に寄せ、回転させたカッティングスロット56は、MIS手技でも間隙が得られ、アクセス可能となるように配向される。
【0023】
次に、図2および3を参照すると、図2は、本発明の一態様による大腿骨患者特異的カッティングブロックの前方図である。図3は、本発明の一態様による大腿骨患者特異的カッティングブロックの近位後方図である。上述の特徴に加えて、患者特異的カッティングブロック10はまた、上顆インデックス68を含むことができる。上顆インデックス68は、上述の機能軸インデックスの目的と同様に、ホールを回転させ、ホールを前後方向に配置する際の視覚的な「良好感(feel good)」を得るものとして使用することができる。
【0024】
図3に、骨境界面80、82、84、および86を示す。前方骨境界部分80は、軟骨および骨の前方面の一部分に覆い被さる。内側骨境界部分82、外側骨境界部分84、および顆間骨境界部分86は、顆の内側、外側、および顆間窩部分にそれぞれ覆い被さる。骨境界部分80、82、および84は、大腿骨の前方遠位面に位置合せされ、顆間骨境界部分86によって、このブロックを内外方向に配向する。比較的小さい表面部分を用いることによって、患者特異的カッティングブロック10の形状を低背化することができる。さらに、より小さい部分を使用することによって、骨表面に骨刀を用いる回数が減少する結果となるため、より良好な嵌合が得られる(骨刀の使用によって、患者特異的カッティングブロックの骨との嵌合に不良が生じ得る)。パドル22および24もやはり、後方を比較的薄くすることができる。このため、患者特異的カッティングブロックの形状がさらに小型になる。
【0025】
カッティングスロット46は、患者特異的カッティングブロックの骨境界部分を貫通して形成しても、または、表面から陥凹させてもよい。カッティングスロットの厚さは、切除工具がカッティングスロット46中を進む際に、切除工具の向きを誘導する一助となる。前述のように、カッティングスロット46の患者特異的カッティングブロック10に対する(具体的には骨境界部分に対する)相対的な角度によって、屈曲ギャップが配向され、一方、カッティングスロット46の患者特異的カッティングブロック10に対する平行移動によって、切除深さが設定される。
【0026】
次に、図4および5を参照すると、図4は、本発明の一態様による脛骨患者特異的カッティングブロックの前方図である。図5は、本発明の一態様による脛骨患者特異的カッティングブロックの遠位後方図である。上述の特徴に加えて、脛骨患者特異的カッティングブロックはまた、後方面取り部96、および平坦近位面100を含むことができる。後方面取り部96によって、膝周りの軟部組織を必要以上に伸延させずに、脛骨患者特異的カッティングブロックを後方に配置することが可能となる。他の特徴と同様に、この特徴も、インプラントの全体形状の一助となっている。
【0027】
平坦近位面100は、大腿骨患者特異的カッティングブロック側の遠位大腿骨切除面と整合させることができる。この特徴によって、脛骨患者特異的カッティングブロックを脛骨に固定した際に、手術中の屈曲/伸展試験を行うことが可能となる。
【0028】
骨境界面90、92、および94を、図5に示す。前方骨境界部分90は、軟骨および骨の前方面の一部分に覆い被さる。内側骨境界部分92、および外側骨境界部分94は、脛骨の内側部分、および外側部分にそれぞれ覆い被さる。骨境界部分92および94は、脛骨プラトーの近位面に位置合せされ(したがって、患者特異的カッティングブロックは近位側に配向される)、一方、前方骨境界部分90は、このブロックを内外方向に、かつ前後方向に配向する。比較的小さい表面部分を用いることによって、患者特異的カッティングブロックの形状を低背化することができる。さらに、より小さい部分を使用することによって、骨表面に骨刀を用いる回数が減少する結果となるため、より良好な嵌合が得られる(骨刀の使用によって、患者特異的カッティングブロックの骨との嵌合に不良が生じ得る)。パドル32および34もやはり、後方を比較的薄くすることができ、脛骨プラトー面から前方に高くして、配置不良を回避することができる。このため、患者特異的カッティングブロックの形状がさらに小型になる。
【0029】
カッティングスロット56は、患者特異的カッティングブロックの骨境界部分を貫通して形成しても、または、表面から陥凹させてもよい。カッティングスロット56を表面から陥凹させる場合、ブロックが骨に当たるのを最小限に抑えることができ、ここでもやはり、患者特異的カッティングブロックの骨に対する嵌合が増す。カッティングスロットの厚さは、切除工具がカッティングスロット56中を進む際に、切除工具の向きを誘導する一助となる。前述のように、カッティングスロット56の患者特異的カッティングブロック10に対する(具体的には骨境界部分に対する)相対的な角度によって、屈曲ギャップが配向され、一方、カッティングスロット56の患者特異的カッティングブロック10に対する平行移動によって、切除深さが設定される。
【0030】
MRデータおよびX線データは、周知の手段によって取得することができる。一例として、以下のプロトコルを使用することができる。異なる患者に対して、異なるMRプロトコルを実施してもよい。スキャン時間を最小限に抑えるために、高速スピンエコー撮像法を、いかなるプロトコルにも使用することができ、本質的に、プロトン密度(PD)強調画像を得る。あるプロトコルでは、スポイリング型グラディエントエコー法を、低繰返し時間(TR)および低エコー時間(TE)、ならびにフリップ角30度で使用し、脂肪抑制法と組み合わせることができる。第二のプロトコルおよび第三のプロトコルでは、高TRおよび低TEを、脂肪抑制法と組み合わせて使用することができる。第二のプロトコルと第三のプロトコルとの唯一の違いは、第二のプロトコルが第三のプロトコルよりも低いTEを有し、すなわちより多くのT1特性、より少ないPD特性が得られるという点である。T1緩和時間を増大させると、MR画像内の異なる組織間の画像コントラストを増大させる一助とすることができる。
【0031】
大腿骨および脛骨の骨モデルをMR画像から抽出することができ、適切な解剖学的基準ランドマークを識別することができる。脚全体のX線を用いて、機能軸の配置を決定することができる。次いで、大腿骨および脛骨カッティングブロックを計算機援用設計(CAD)モデリングによって設計することができ、それらのブロックが、一方側で骨モデルと共形となって適正に収まり、患者に特異的な適切な切除深さおよび角度のカッティングスロットを有するように設計することができる。カッティングブロックは、EOSint Pシステムを用いて、医療グレードNylon 12から作成することができる。これらのブロックの表面幾何形状は、患者のMRデータセットに基づくため、ブロックの嵌合および機能性を確保するために、鮮明なデータ(骨および軟骨と、軟部組織とが適切に区別されているもの)を使用しなければならない。
【0032】
前述を考慮すると、本発明のいくつかの利点が実現され、達成されることが理解されよう。
【0033】
上記実施形態は、本発明の原理を最も良く説明するために選択し記述したものであり、その実際的な応用によって、当業者が本発明を様々な実施形態で最良の形で利用することができ、特異的な用途に適した様々な改変形態が企図される。
【0034】
本明細書で説明し、例示した構成および方法には、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変を行うことができるので、上述の説明に含まれる、または添付の図面に示す全ての事項は、限定ではなく、例示を目的とするものと解釈すべきであるということが意図されている。したがって、本発明の幅および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるものではなく、本明細書に添付の特許請求の範囲、およびそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきものである。
【符号の説明】
【0035】
10 大腿骨患者特異的カッティングブロック
12 大腿骨
14 脛骨患者特異的カッティングブロック
16 脛骨
20 前方大腿骨部分
22 内側大腿骨パドル
24 外側大腿骨パドル
300 前方大腿骨部分
32 内側大腿骨パドル
34 外側大腿骨パドル
40、48 ピンホール
42 ガイドボス
44 機能軸インデックス
46 大腿骨カッティングスロット
50、52 ピンホール
54 M-Lインデックス
56 脛骨カッティングスロット
68 上顆インデックス
80 前方骨境界部分
82 内側骨境界部分
84 外側骨境界部分
86 顆間骨境界部分
90 前方骨境界部分
92 内側骨境界部分
94 外側骨境界部分
96 後方面取り部分
100 平坦近位面
図1
図2
図3
図4
図5