特許第6144152号(P6144152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144152
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】支持台
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20170529BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
   G01B5/00 P
   G01B5/00 L
   G01B21/00 L
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-166073(P2013-166073)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-34761(P2015-34761A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】河原井 一晃
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 努
(72)【発明者】
【氏名】福田 満
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−108100(JP,A)
【文献】 特開2010−019770(JP,A)
【文献】 米国特許第03862498(US,A)
【文献】 特開2006−58225(JP,A)
【文献】 特開2008−139122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定機の性能を評価するための基準器を支持する支持台であって、
前記測定機の定盤上に設置されるベース部と、
前記ベース部に一方の端部が連結され、他方の端部で前記基準器を支持する第1の支持部と、
を備え、
前記第1の支持部は、前記ベース部上で起立又は傾倒可能とされていることを特徴とする支持台。
【請求項2】
前記ベース部上で前記第1の支持部を起立させたとき、前記第1の支持部の前記ベース部に対向する面に設けられた球面台座の一方と、前記ベース部の前記第1の支持部に対向する面に設けられた球面台座の他方と、が嵌め合わされ、前記第1の支持部と前記ベース部の間に所定の高さの間隔が形成され、前記第1の支持部が前記ベース部上に略水平に支持されることを特徴とする請求項1に記載の支持台。
【請求項3】
前記第1の支持部を起立させたとき、前記ベース部と前記第1の支持部とが三個の前記球面台座で支持され、三個の前記球面台座は非直線状に位置していることを特徴とする請求項2に記載の支持台。
【請求項4】
前記第1の支持部の一方の端部は、前記ベース部上にヒンジを介して連結され、前記球面台座の一方が他方に嵌め合わされると、前記ヒンジの回転軸は、前記ヒンジの回転軸が通された貫通孔と略非接触状態になることを特徴とする請求項2又は3に記載の支持台。
【請求項5】
前記ベース部上に設けられ、起立させた状態の前記第1の支持部とによって前記基準器を傾斜させた状態で前記基準器のベッセル点を支持する第2の支持部と、
前記第1の支持部と前記第2の支持部とで支持された前記基準器の端部を支持する第3の支持部と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の支持台。
【請求項6】
前記ベース部には、前記支持台の転倒防止部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持台に関し、例えば測定機の性能評価のための基準器を支持する支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元測定機等の測定機は、例えば測定基準器を用いて性能が評価される。このとき、基準器は支持台によって支持されるが、当該支持台としては特許文献1及び2に開示されている支持台が公知である。
【0003】
特許文献1の支持台は、ベース部と、基準器を支持し、ベース部に回転可能に連結された回転体と、回転体を支持し、ベース部に対して移動可能な可動部と、を備えており、回転体と可動部の頂部とが磁気吸着可能な構成とされている。
【0004】
特許文献2の支持台は、ベース部と、基準器を支持し、ベース部に回転可能に連結された回転体と、回転体に一端が連結された位置決め部材と、を備えており、位置決め部材の他端をベース部に形成された溝部に嵌め込むことで、回転体の角度が規定される構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−58225号公報
【特許文献2】特開2008−139122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の支持台は、可動部を伏せる(倒す)ことができず、運搬する際や未使用時に収納する際の嵩が大きい。
特許文献2の支持台は、運搬する際に位置決め部材が安定せず、安定した状態で運搬することが難しい。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、運搬し易く、また、未使用時には収納場所を取らない支持台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る支持台は、測定機の性能を評価するための基準器を支持する支持台であって、前記測定機の定盤上に設置されるベース部と、前記ベース部に一方の端部が連結され、他方の端部で前記基準器を支持する第1の支持部と、を備え、前記第1の支持部は、前記ベース部上で起立又は傾倒可能とされている。
【0009】
上述の支持台において、前記ベース部上で前記第1の支持部を起立させたとき、前記第1の支持部の前記ベース部に対向する面に設けられた球面台座の一方と、前記ベース部の前記第1の支持部に対向する面に設けられた球面台座の他方と、が嵌め合わされ、前記第1の支持部と前記ベース部の間に所定の高さの間隔が形成され、前記第1の支持部が前記ベース部上に略水平に支持されることが好ましい。
【0010】
上述の支持台において、前記第1の支持部を起立させたとき、前記ベース部と前記第1の支持部とが三個の前記球面台座で支持されることが好ましい。
【0011】
上述の支持台において、前記第1の支持部の一方の端部は、前記ベース部上にヒンジを介して連結され、前記球面台座の一方が他方に嵌め合わされると、前記ヒンジの回転軸は、前記ヒンジの回転軸が通された貫通孔と略非接触状態になることが好ましい。
【0012】
上述の支持台において、前記ベース部上に設けられ、起立させた状態の前記第1の支持部とによって前記基準器を傾斜させた状態で前記基準器のベッセル点を支持する第2の支持部と、前記第1の支持部と前記第2の支持部とで支持された前記基準器の端部を支持する第3の支持部と、を備えることが好ましい。
【0013】
上述の支持台において、前記ベース部には、前記支持台の転倒防止部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運搬し易く、また、未使用時には収納場所を取らない支持台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態の支持台が基準器を支持している様子を概略的に示す斜視図である。
図2】実施の形態の支持台が基準器を支持している様子を概略的に示す正面図である。
図3】実施の形態の支持台における第1の支持部を伏せた状態を概略的に示す斜視図である。
図4】実施の形態の支持台における第1の支持部を伏せた状態を概略的に示す正面図である。
図5】第1の支持部がベース部上に立ち上げられた状態での、第1の支持部の下端部の構成を概略的に示す斜視図である。
図6】一方の側板を省略して第1の支持部の下端部の構成を拡大して示す透視図である。
図7】第1の支持部が伏せられた状態での、第1の支持部の下端部の構成を概略的に示す斜視図である。
図8】ヒンジの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0017】
本実施の形態の支持台の基本的な構成を説明する。本実施の形態の支持台は、例えば三次元測定機等の測定機の性能を評価するための基準器を支持するために用いることができる。
【0018】
図1は、本実施の形態の支持台1が基準器2を支持している様子を概略的に示す斜視図である。図2は、本実施の形態の支持台1が基準器2を支持している様子を概略的に示す正面図である。図3は、本実施の形態の支持台1における第1の支持部4を伏せた状態を概略的に示す斜視図である。図4は、本実施の形態の支持台1における第1の支持部4を伏せた状態を概略的に示す正面図である。
【0019】
本実施の形態の支持台1は、図1及び図2に示すように、ベース部3と、第1の支持部4と、第2の支持部5と、第3の支持部6と、を備えており、第1の支持部4、第2の支持部5及び第3の支持部6を用いて基準器2を支持する。
【0020】
基準器2としては、一般的な基準器を用いることができ、例えば長手方向に連続する凹凸部が形成された金属製又はセラミック製のブロック部材である。
【0021】
ベース部3は、略平面に形成された上面及び下面を有する板状部材である。これらの上面と下面とは、略平行に配置されている。但し、ベース部3は、水平面上(例えば、三次元測定機の定盤上)に載置したとき、上面及び下面が略水平に配置される形状であれば、特に限定されない。
【0022】
第1の支持部4は、ベース部3上に立ち上げられる支柱である。第1の支持部4の長手方向の一端部は、ヒンジ7を介してベース部3と連結されており、第1の支持部4がベース部3上に立ち上げられた状態(起立させた状態)から一端部で折り曲げられてベース部3上に伏せられた状態(ベース部3に対して倒された状態、傾倒状態)にすることができる。この第1の支持部4をベース部3上で起立状態にしたとき、第1の支持部4の他端部で基準器2を所定の高さで支持可能となっている。
【0023】
第2の支持部5は、第1の支持部4に対して所定の間隔を開けて当該ベース部3上に立ち上げられる支柱である。第2の支持部5の一端部は、ベース部3に固定されている。この第2の支持部5の他端部で、所定の角度で傾斜させた状態の基準器2を支持可能となっている。第2の支持部5における基準器2の支持高さは、第1の支持部4における基準器2の支持高さに対して低い。
【0024】
第3の支持部6は、第2の支持部5に対して所定の間隔を開けて当該ベース部3上に立ち上げられるストッパー部材である。第3の支持部6の一端部は、ベース部3に固定されている。この第3の支持部6の他端部は、基準器2を所定の角度で傾斜させた状態で、当該基準器2を支持する。傾斜した基準器2は第3の支持部6によって低位側に滑り落ちないような状態で支持される。
【0025】
このような支持台1は、図3及び図4に示すように、第1の支持部4をヒンジ7を介して一端部で折り曲げてベース部3上に伏せる(倒した状態にする)ことができる。そのため、支持台1は、運搬時の嵩を小さくすることができ、運搬が容易である。また、未使用時に収納しておく際に、大きな収納スペースを必要としない。
【0026】
次に、本実施の形態の支持台1の具体的な構成を説明する。本実施の形態のベース部3は、上下方向から見て略長方形状に形成されており、当該ベース部3の長手方向に沿って第1の支持部4、第2の支持部5及び第3の支持部6がこの順で配置されている。そして、基準器2を所定の傾斜角度で支持できるように、第1の支持部4、第2の支持部5、第3の支持部6の順で高さが低くなっている。
【0027】
第1の支持部4は、ベース部3における長手方向の一方の側に配置されており、一対の側板4aと、下板4bと、補強板4cと、載置棒4dと、ハンドル4eと、固定機構4fと、を備えている。側板4aは、長方形状の板状とされ、向かい合う広い面がベース部3の長手方向に対して略平行に配置されている。そして、側板4aは、ベース部3の短手方向に所定の間隔を開けて広い面が向かい合うように配置されている。当該所定の間隔は、基準器2の幅寸法より大きく設定されている。
【0028】
下板4bは、向かい合う側板4aの下端部(長手方向の一端部)を連結する。下板4bは、略平面からなる2面で形成されている。これらの2面は略平行に配置されている。この下板4bは、ヒンジ7によってベース部3に回転可能に連結されており、第1の支持部4が立ち上げられると、球面台座8を介してベース部3上に、下板4bの2面がベース部3の平面(上面、下面)と略平行な状態で載置され、ボルト4g(但し、第1の支持部4の下板4bをベース部3に連結できればボルトでなくてもよい。)でベース部3に所定の間隔を開けて設置される。なお、第1の支持部4の下端部の詳細は後述する。
【0029】
補強板4cは、向かい合う側板4aの所定の高さ位置を連結し、向かい合う側板4aの間隔を保持する。載置棒4dは、例えば断面が略円形の棒状部材であって、中心軸が下板4bの2面と略平行に配置されている。そして、載置棒4dは、向かい合う側板4aの間に配置され、載置棒4dの一方の端部は、向かい合う側板4aのうち、一方の側板4aの上端部に連結されている。載置棒4dの他方の端部は、他方の側板4aの上端部に連結されている。但し、載置棒4dの断面形状は、略円形に限らず、多角形状でもよい。
【0030】
ハンドル4eは、第1の支持部4を立ち上げたり、伏せたりするとき、使用者が持つ操作部である。ハンドル4eは、側板4aの上部(長手方向の他端部)から当該側板4aを挟んで基準器2に対して逆側に突出している。これにより、使用者は、このハンドル4eを把持して、第1の支持部4を簡単に立ち上げたり、伏せたりすることができる。
【0031】
固定機構4fは、載置棒4dに載置された基準器2をベース部3の短手方向から固定する。固定機構4fは、側板4aの上端部においてベース部3の短手方向に貫通するボルト孔に捻じ込まれたボルト4hを備えている。ボルト4hは、一方の側板4aにのみ取り付けられており、他方の側板4aには、一方の側板4a(ボルト4hが取り付けられている側板4a)と対向する面にストッパー4iが設けられている。そして、ボルト4hは、使用者が摘まんで当該ボルト4hを捻るボルト頭が側板4aを挟んで基準器2に対して逆側に配置されるように、当該側板4aのボルト孔に捻じ込まれている。つまり、基準器2の側面は、ボルト4hとストッパー4iとで挟み込まれ、基準器2の幅方向の位置決めが行われるようになっている。
【0032】
第2の支持部5は、第1の支持部4と第3の支持部6との間に配置されている。第2の支持部5の基本的な構成は、第1の支持部4と略等しいため、第2の支持部5の詳細な説明は省略する。
【0033】
第2の支持部5は、向かい合うように配置された側板5aと、向かい合う側板5aの下端部を連結する下板5bと、向かい合う側板5aを連結して当該向かい合う側板5aの間隔を保持する補強板5cと、基準器2が載置される載置棒5dと、基準器2をベース部3の短手方向からボルト5fとストッパー5gとで挟み込むことで当該基準器2を固定する固定機構5eと、を備えている。そして、第2の支持部5の下板5bは、ボルト等の連結部材によってベース部3に連結されている。これにより、第2の支持部5は、ベース部3上に立設されている。
【0034】
第3の支持部6は、ベース部3の長手方向における他方の側に配置されている。第3の支持部6は、固定片6aと、載置片6bと、を備えている。固定片6aは、ブロック状の部材であって、ボルト等の連結部材によってベース部3に連結されている。この固定片6aは、第1の支持部4及び第2の支持部5に支持された基準器2の端面2aと略平行な平行面を備えている。
【0035】
載置片6bは、固定片6aの平行面に設けられている。載置片6bは、先端が球面形状に形成されており、基準器2の端面2aを略点支持する。
【0036】
次に、第1の支持部4の下端部の構成を具体的に説明する。図5は、第1の支持部4がベース部3上に立ち上げられた状態での、第1の支持部4の下端部の構成を概略的に示す斜視図である。図6は、一方の側板4aを省略して第1の支持部4の下端部の構成を拡大して示す透視図である。図7は、第1の支持部4が伏せられた状態での、第1の支持部4の下端部の構成を概略的に示す斜視図である。図8は、ヒンジ7の構成を示す断面図である。
【0037】
先ず、第1の支持部4の回転機構について説明する。第1の支持部4の下板4bにおける第2の支持部5側の端部は、図5乃至図7に示すように、ヒンジ7によってベース部3に回転可能に連結されている。ヒンジ7は、冶具7aと、回転軸7bと、を備えている。
【0038】
冶具7aは、第1の支持部4を立ち上げた状態にあるときの下板4bにおける第2の支持部5側の端部をベース部3の短手方向から挟み込むように、ベース部3に設けられている。回転軸7bは、図8に示すように、冶具7aから第1の支持部4の下板4b側に突出するように、冶具7aの貫通孔7a1に通されている。そして、回転軸7bの先端部は、第1の支持部4の下板4bにおける第2の支持部5側の端部に形成された穴に嵌め込まれている。これにより、第1の支持部4は、図2の矢印方向に回転可能であり、図5に示す立ち上げられた状態から図7に示す伏せられた状態に、また、図7に示す伏せられた状態から図5に示す立ち上げられた状態にすることができる。つまり、第1の支持部4は、第1の支持部4を立ち上げた状態にあるときの下板4bの第2の支持部5側の端部において、ベース部3の短手方向に沿った軸回りに回転可能であり、第2の支持部5側に倒したりベース部3上に立ち上げたりできるようになっている。また、第2の支持部材5は、伏せた状態にある第1の支持部4とぶつからない位置に設置されているため、第1の支持部4と第2の支持部5との間の空間を利用して、第1の支持部4を当該空間内に伏せることができる。
【0039】
ここで、図3及び図4に示すように、第1の支持部4を伏せた状態にした際に第1の支持部4を支持する第4の支持部9がベース部3に設けられていることが好ましい。第4の支持部9は、例えば樹脂製等の弾性部材である。これにより、第1の支持部4を伏せた状態にする際の衝撃を和らげることができる。
【0040】
次に、第1の支持部4の支持構造について説明する。第1の支持部4は、図5乃至図7に示すように、球面台座8を介してベース部3上に載置される。球面台座8は、一般的な球面台座と略等しい構成とされており、凸状球面座8aと、凹状球面座8bと、を備えている。そして、複数(本実施形態では3個)の凸状球面座8a及び凹状球面座8bのいずれか一方は、第1の支持部4における下板4bの下面(第1の支持部4を立ち上げたときにベース部3に対向する位置)に設けられている。複数の他方側の凸状球面座8a又は凹状球面座8bは、第1の支持部4が立ち上げられると、当該一方側の凸状球面座8a又は凹状球面座8bと嵌め合わされるように、ベース部3の上面(立ち上げられた第1の支持部4の下板4bの下面に対向する位置)に設けられている。これにより、第1の支持部4がベース部3上に立ち上げられると、図6に示すように、対応する凸状球面座8aと凹状球面座8bとが嵌め合わされ、第1の支持部4における下板4bの下面とベース部3の上面との間に所定の間隔Hが形成され、ベース部3が水平面上に載置されると、下板4bの上面及び下面が略水平に配置される。
【0041】
このとき、間隔Hは、人の指の高さ以上(例えば、10mm以上)であることが好ましい。これにより、第1の支持部4を立ち上げたり、支持台1を運搬したりする際に、人の指が第1の支持部4における下板4bの下面とベース部3の上面との間に挟まれることを抑制することができる。
【0042】
また、図6に示すように、第1の支持部4が立ち上げられた状態で上下方向から見て、球面台座8が非直線状に並ぶように(三角形を描くように)、つまり、球面台座8の中心が三角形の略頂点に配置されていることが好ましい。これにより、球面台座8を介して第1の支持部4の下板4bをベース部3上に安定した状態で支持することができる。そのため、第1の支持部4における下板4bの下面の水平度が高く、しかも第1の支持部4を立ち上げた際の位置決めの再現性が高い。よって、位置決めの再現性が良い状態で基準器2を支持することができる。
【0043】
ここで、球面台座8の中心を結んで形成される三角形の一辺の長さは可能な限り長く設定されていることが好ましい。これにより、球面台座8は、第1の支持部4の下板4bをより安定して支持することができる。本実施の形態における球面台座8の中心を結んで形成される三角形は、図6に示すように、第1の支持部4が立ち上げられた状態で上下方向から見て、第1の支持部4の下板4bの中心を通り、且つベース部3の長手方向に延びる線L1を中心とした線対称である。
【0044】
詳細には、第1の球面台座8の中心は、第1の支持部4が立ち上げられた状態で、第1の支持部4の下板4bにおける第2の支持部5側の端部であって、且つ線L1上に配置されている。そして、第2の球面台座8の中心及び第3の球面台座8の中心は、第1の支持部4が立ち上げられた状態で、第1の支持部4の下板4bにおける第2の支持部5に対して逆側の端部であって、且つ線L1を挟んで当該線L1から略等しい位置に配置されている。但し、球面台座8の中心を結んで形成される三角形の形状は、上述の限りでない。
【0045】
次に、第1の支持部4の固定構造について説明する。第1の支持部4は、ボルト4gによってベース部3に連結されるようになっている。詳細には、第1の支持部4の下板4bには、貫通孔が形成されており、当該貫通孔にボルト4gが通されている。そして、第1の支持部4が立ち上げられた状態で、当該ボルト4gの先端部は、ベース部3に形成されたボルト穴に当接し、ボルト4gを捻じ込むことで、第1の支持部4は、立ち上げられた状態でベース部3に固定されるようになっている。
【0046】
ここで、第1の支持部4が立ち上げられた状態で上下方向から見て、球面台座8の中心を結んで形成される三角形内であって、且つ線L1上に複数のボルト4gが配置されていることが好ましい。これにより、第1の支持部4をより安定した状態でベース部3に固定することができる。
【0047】
次に、本実施の形態の支持台1の使用方法を説明する。先ず、第1の支持部4が伏せられた状態で例えば三次元測定機の定盤上に運搬し、その後、ベース部3上に第1の支持部4を立ち上げて、凸状球面座8aと凹状球面座8bとを嵌め合わせ、ボルト4gをベース部3のボルト穴に捻じ込んで、第1の支持部4をベース部3に固定する。
【0048】
このとき、第1の支持部4における下板4bを構成する2面は、略水平(三次元測定機の定盤に対して平行)に配置される。そして、第1の支持部4及び第2の支持部5は、略上下方向にベース部3から立ち上がる。また、第1の支持部4の載置棒4dの中心軸と第2の支持部5の載置棒5dの中心軸とは、ベース部3の長手方向から見て略水平に配置され、且つ上下方向から見て略平行に配置される。
【0049】
ここで、図8に示すように、凸状球面座8aと凹状球面座8bとを嵌め合わせた際に、ヒンジ7の回転軸7bは冶具7aの貫通孔7a1と略非接触状態であることが好ましい。これにより、第1の支持部4の荷重の略全ては球面台座8に作用するので、第1の支持部4を精度良く略上下方向にベース部3から立ち上げることができる。
【0050】
次に、第1の支持部4の載置棒4d及び第2の支持部5の載置棒5dに基準器2の下面を載置すると共に、第3の支持部6の載置片6bに基準器2の端面2aを載置する。そして、第1の支持部4のボルト4h及び第2の支持部5のボルト5fによって基準器2をベース部3の短手方向から固定する。
【0051】
このとき、第1の支持部4の載置棒4d及び第2の支持部5の載置棒5dは、基準器2をベッセル点で支持することが好ましい。これにより、基準器2の撓みを最小限に抑制することができる。
【0052】
その後、三次元測定機のプローブで基準器2の三次元形状を測定することで、三次元測定機の性能が評価される。
【0053】
三次元測定機の性能評価が終了すると、第1の支持部4のボルト4h及び第2の支持部5のボルト5fを緩めて基準器2を撤去する。次に、ボルト4gをベース部3のボルト穴から緩めて抜き、第1の支持部4をヒンジ7で折り曲げてベース部3の領域内に伏せて三次元測定機から撤去する。
【0054】
ここで、支持台1は、転倒防止部10を備えていることが好ましい。転倒防止部10はベース部3の短手方向の両端部に設けられており、それぞれ冶具10aと、アーム部10bと、を備えている。冶具10aは、ベース部3の短手方向で向かい合うように、ベース部3に設けられている。アーム部10bは、冶具10aに形成された貫通孔に挿入されており、ベース部3の短手方向に移動可能である。これにより、アーム部10bをベース部3から突出するように押し出して支持台1を使用すると、使用時の転倒を防止することができる。一方、支持台1を運搬する際にはアーム部10bを引き込むと、支持台1を小型化することができ、運搬が容易であると共に、収納性にも優れる。
【0055】
また、支持部1は、握り部11を備えていることが好ましい。握り部11は、ベース部3の長手方向における両側に設けられている。これにより、使用者は、支持台1を運搬する際に、握り部11を持って容易に運搬することができる。
【0056】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態の支持台1は、第1の支持部4と、第2の支持部5と、第3の支持部6と、を備えているが、支持部の個数は特に限定されない。例えば、第1の支持部4だけでもよく、その場合、基準器2の下面に凹部を形成し、当該凹部に第1の支持部4の載置棒4dを嵌合することで、基準器2を所定の角度で支持するとよい。要するに、支持部として少なくとも第1の支持部4を備えていればよい。
【0057】
また、上述の実施の形態の支持台1は、第1の支持部4のみをヒンジ7によって回転可能な構成としたが、第2の支持部5もヒンジによって回転可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 支持台
2 基準器、2a 端面
3 ベース部
4 第1の支持部、4a 側板、4b 下板、4c 補強板、4d 載置棒、4e ハンドル、4f 固定機構、4g ボルト、4h ボルト、4i ストッパー
5 第2の支持部、5a 側板、5b 下板、5c 補強板、5d 載置棒、5e 固定機構、5f ボルト、5g ストッパー
6 第3の支持部、6a 固定片、6b 載置片
7 ヒンジ、7a 冶具、7a1 貫通孔、7b 回転軸
8 球面台座、8a 凸状球面座、8b 凹状球面座
9 支持部
10 転倒防止部、10a 冶具、10b アーム部
11 握り部
H 間隔
図1
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図8