(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6144263
(24)【登録日】2017年5月19日
(45)【発行日】2017年6月7日
(54)【発明の名称】半導体処理のための平面熱ゾーンを伴う熱板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20170529BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20170529BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20170529BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20170529BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20170529BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20170529BHJP
H05B 3/68 20060101ALI20170529BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/302 101G
H01L21/205
C23C16/46
H01L21/02 Z
H01L35/30
H05B3/68
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-531351(P2014-531351)
(86)(22)【出願日】2012年9月17日
(65)【公表番号】特表2015-509280(P2015-509280A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】IB2012054903
(87)【国際公開番号】WO2013042027
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年9月3日
(31)【優先権主張番号】13/238,396
(32)【優先日】2011年9月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャフ・キース・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】コメンダント・キース
(72)【発明者】
【氏名】リッチ・アンソニー
【審査官】
儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−205080(JP,A)
【文献】
特開平01−152655(JP,A)
【文献】
特開2005−101237(JP,A)
【文献】
特開2003−309317(JP,A)
【文献】
特開2003−133402(JP,A)
【文献】
特開平04−087321(JP,A)
【文献】
特開昭61−142743(JP,A)
【文献】
特開昭58−153387(JP,A)
【文献】
特開昭59−139654(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/049620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/46
H01L 21/02
H01L 21/205
H01L 21/3065
H01L 35/30
H05B 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理装置において半導体基板を支えるために使用される基板サポートアセンブリの温度制御ベース板を覆うように構成された、熱板であって、
前記熱板全域に横方向に分布された熱ゾーンであって、各熱ゾーンは、熱電素子として1つ以上のペルチェ素子を含み、前記半導体基板の温度分布を調整するように動作可能である、熱ゾーンと、
前記熱板全域に横方向に分布された導電性の第1及び第2の正電圧ラインを少なくとも含む正電圧ラインと、
前記熱板全域に横方向に分布された導電性の第1及び第2の負電圧ラインを少なくとも含む負電圧ラインと、
前記熱板全域に横方向に分布された導電性の第1及び第2の共通ラインを少なくとも含む共通ラインと、
を備え、
前記熱ゾーンは少なくとも4つの熱ゾーンを含み、
前記4つの熱ゾーンの各々に含まれる前記各ペルチェ素子を第1〜第4のベルチェ素子としたとき、
第1のペルチェ素子が、前記第1の正電圧ラインの一方と前記第1の負電圧ラインの一方と前記第1の共通ラインの一方とに接続され、
第2のペルチェ素子が、前記第1の正電圧ラインの一方と前記第1の負電圧ラインの一方と前記第2の共通ラインの他方とに接続され、
第3のペルチェ素子が、前記第2の正電圧ラインの他方と第2の負電圧ラインの他方と前記第1の共通ラインの一方とに接続され、
第4のペルチェ素子が、前記第2の正電圧ラインの他方と前記第2の負電圧ラインの他方と前記第2の共通ラインの他方とに接続された
熱板。
【請求項2】
請求項1に記載の熱板であって、
前記熱ゾーンは、抵抗ヒータ素子を含まない、熱板。
【請求項3】
請求項1に記載の熱板であって、
(a)前記熱ゾーンの各ゾーンの前記ペルチェ素子は、電気絶縁板の上方部分のなかに位置付けられ、前記正電圧ライン及び前記負電圧ラインは、前記ペルチェ素子の下方に配され、前記電気絶縁板内の鉛直方向のビアによってダイオードに電気的に接続され、前記共通ラインは、前記正電圧ライン及び前記負電圧ラインの下方にあり、前記電気絶縁板内の鉛直方向のビアによって前記熱ゾーンに電気的に接続される、熱板。
【請求項4】
請求項1に記載の熱板であって、
前記熱ゾーンは、
(a)各熱ゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ4つ分以下であるように、又は、
(b)各熱ゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ2つ分以下であるように、又は、
(c)各熱ゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ1つ分以下であるように、又は、
(d)各熱ゾーンが、前記半導体基板上のデバイスダイのサイズ及び前記半導体基板の全体サイズに対応して可変されて、
サイズ決定された、熱板。
【請求項5】
請求項1に記載の熱板であって、
前記熱ゾーンは、
(a)各熱ゾーンが0.1〜1cm2であるように、又は、
(b)各熱ゾーンが1〜3cm2であるように、又は、
(c)各熱ゾーンが3〜15cm2であるように、又は
(d)各熱ゾーンが15〜100cm2であるように、
サイズ決定される、熱板。
【請求項6】
請求項1に記載の熱板であって、
前記熱板は、16〜400の熱ゾーンを含む、熱板。
【請求項7】
請求項2に記載の熱板であって、
前記電気絶縁板は、ポリマ材料、セラミック材料、ガラス繊維複合材、又はそれらの組み合わせの1枚以上の層を含む、熱板。
【請求項8】
請求項1に記載の熱板であって、
前記正電圧ラインの総数は、前記熱ゾーンの総数の半分以下であり、及び/又は前記共通ラインの総数は、前記熱ゾーンの総数の半分以下である、熱板。
【請求項9】
請求項1に記載の熱板であって、
前記熱ゾーンの総面積は、前記熱板の上面の50〜100%である、熱板。
【請求項10】
請求項1に記載の熱板であって、
前記熱ゾーンは、矩形格子、六角形格子、又は有極配列の形に配置され、前記熱ゾーンは、幅が少なくとも1ミリメートルで且つ最大で10ミリメートルである隙間によって互いから隔てられる、熱板。
【請求項11】
基板サポートアセンブリであって、
前記基板サポートアセンブリ上に半導体基板を静電クランプするように構成された少なくとも1つの静電クランプ電極を含む静電チャック(ESC)と、
請求項1に記載の熱板の、前記ESCを支えている上側と、
前記熱板の下側に取り付けられた温度制御ベース板と、
を備える基板サポートアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載の基板サポートアセンブリであって、更に、
前記熱板の上方又は下方に配置される少なくとも1枚の一次ヒータ層を備え、前記一次ヒータ層は、前記熱ゾーンから電気的に絶縁され、前記一次ヒータ層は、前記半導体基板の平均温度制御を提供する少なくとも1つの抵抗ヒータを含み、前記熱ゾーンは、前記半導体基板の処理中に、その半径方向及び方位角方向における温度分布制御を提供する、基板サポートアセンブリ。
【請求項13】
請求項1に記載の熱板を製造するための方法であって、
セラミック粉末と、結合剤と、液体との混合を加圧してシートにすることと、
前記シートを乾燥させることと、
前記シートに穴を開けることによって前記シート内にビアを形成することと、
前記シート上に前記正電圧ライン、前記負電圧ライン、及び前記共通ラインを形成することと、
前記シートを揃えることと、
接着又は焼結によって前記シートを接合して前記熱板を形成することと、
スラリ状の導体粉末によって前記ビアを満たすことと、
各熱ゾーンのなかの(1つ以上の)ペルチェ素子が、ペアをなす正ライン及び負ラインと、1本の共通ラインとに接続され、異なる熱ゾーンのなかのペルチェ素子で同じ共通ラインと同じペアの正ライン及び負ラインとを共有するものが、2つとしてないように、前記熱板上にペルチェ素子及びダイオードを接合することと、
を備える方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記正ライン、及び前記負ライン、及び前記共通ラインは、スラリ状の導電粉末をスクリーン印刷する、事前にカットされた金属箔を押し付ける、又はスラリ状の導電粉末を噴き付けることによって形成される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の熱板を製造するための方法であって、
(a)ガラス繊維複合材板、又は電気絶縁ポリマ膜で覆われた金属板に、金属シートを接合することと、
(b)前記金属シートの表面に、パターン化レジスト膜を施すことであって、前記パターン化レジスト膜内の開口は、正電圧ライン、負電圧ライン、及び/又は共通ラインに対応する一グループの導体ラインの形状及び位置を定める、ことと、
(c)前記パターン化レジスト膜内の開口を通して露出されている部分の前記金属シートを化学的にエッチングすることによって、前記導体ラインのグループを形成することと、
(d)前記パターン化レジスト膜を除去することと、
(e)前記金属シートに電気絶縁ポリマ膜を施すことと、
(f)随意としてステップ(b)〜(e)を1回以上にわたって繰り返すことと、
(g)前記(1枚以上の)金属シート及び前記(1枚以上の)電気絶縁ポリマ膜に穴を開け、前記穴を金属、スラリ状の導体粉末、伝導性接着剤、又は伝導性ポリマの少なくとも1つで満たすことによって、ビアを形成することと、
(h)各熱ゾーンのなかのペルチェ素子が、ペアをなす正電圧ライン及び負電圧ラインと、1本の共通ラインとに接続され、異なる熱ゾーンのなかのペルチェ素子で同じ共通ラインと同じペアの正電圧ライン及び負電圧ラインとを共有するものが、2つとしてないように、1枚以上の電気絶縁ポリマ膜にペルチェ素子及びダイオードを直列かつ各熱ゾーンにおいてペルチェ素子に電流が流れ、他の熱ゾーンのベルチェ素子に電流が回り込まないように接合し、前記膜を組み合わせて熱板を形成することと、
を備える方法。
【請求項16】
請求項11の基板サポートアセンブリを含むプラズマ処理チャンバのなかで半導体基板をプラズマ処理するための方法であって、
(a)半導体基板を前記プラズマ処理チャンバに取り込み、前記半導体基板を前記基板サポートアセンブリ上に位置決めすることと、
(b)微小寸法(CD)均一性に影響を及ぼす処理条件を打ち消す温度分布を決定することと、
(c)前記基板サポートアセンブリを使用して前記半導体基板を加熱し、前記温度分布に適合させることと、
(d)前記熱ゾーンを独立制御式に加熱又は冷却することによって前記温度分布を制御しつつ、プラズマを点火して前記半導体基板を処理することと、
(e)前記半導体基板を前記プラズマ処理チャンバから取り出し、異なる半導体基板でステップ(a)〜(e)を繰り返すことと、
を備える方法。
【請求項17】
請求項12に記載の基板サポートアセンブリであって、
前記一次ヒータ層は、2つ以上のヒータを含む、基板サポートアセンブリ。
【請求項18】
請求項1に記載の熱板であって、
前記熱板は、静電クランプ層を支えるように構成される、熱板。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体技術の世代が下るにつれて、基板直径の増大及びトランジスタサイズの縮小が進む傾向があり、その結果、基板処理では更に高い精度及び再現性が必要になる。シリコン基板などの半導体基板材料は、真空チャンバの使用を含む技術によって処理される。これらの技術は、電子ビーム蒸着などの非プラズマ応用はもちろん、スパッタリング蒸着、プラズマ強化式化学的気相蒸着(PECVD)、レジスト剥離、及びプラズマエッチングなどのプラズマ応用も含む。
【0002】
今日入手可能なプラズマ処理システムは、精度及び再現性の向上に対するニーズの高まりに見舞われている半導体製造ツールの1つである。プラズマ処理システムを評価する基準は、1つには、均一性の向上であり、これには、半導体基板表面に対する処理結果の均一性はもちろん、名目上同じ入力パラメータで処理される一連の基板の処理結果の均一性も含まれる。基板上における均一性の絶え間ない向上が望まれている。なかでも特に、均一性、一貫性、及び自己診断を向上されたプラズマチャンバが求められている。
【発明の概要】
【0003】
半導体処理装置において半導体基板を支えるために使用される基板サポートアセンブリの温度制御ベース板を覆うように構成された熱板であって、該熱板は、電気絶縁板と、少なくとも第1、第2、第3、及び第4の平面熱ゾーンを含む平面熱ゾーンであって、各平面熱ゾーンは、熱電素子として1つ以上のペルチェダイオードを含み、平面熱ゾーンは、電気絶縁板全域に横方向に分布され、基板上における空間温度分布を調整するように動作可能である、平面熱ゾーンと、電気絶縁板全域に横方向に分布された第1及び第2の導電性正電圧ラインを含む正電圧ラインと、電気絶縁板全域に横方向に分布された第1及び第2の導電性負電圧ラインを含む負電圧ラインと、電気絶縁板全域に横方向に分布された第1及び第2の導電性共通ラインを含む共通ラインと、電気絶縁板全域に横方向に分布された第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のダイオードと、を含む。
【0004】
第1のダイオードのアノードは、第1の正電圧ラインに接続され、第1のダイオードのカソードは、第1の平面熱ゾーンに接続される。第2のダイオードのアノードは、第1の平面熱ゾーンに接続され、第2のダイオードのカソードは、第1の負電圧ラインに接続される。第3のダイオードのアノードは、第1の正電圧ラインに接続され、第3のダイオードのカソードは、第2の平面熱ゾーンに接続される。第4のダイオードのアノードは、第2の平面熱ゾーンに接続され、第4のダイオードのカソードは、第1の負電圧ラインに接続される。第5のダイオードのアノードは、第2の正電圧ラインに接続され、第5のダイオードのカソードは、第3の平面熱ゾーンに接続される。第6のダイオードのアノードは、第3の平面熱ゾーンに接続され、第6のダイオードのカソードは、第2の負電圧ラインに接続される。第7のダイオードのアノードは、第2の正電圧ラインに接続され、第7のダイオードのカソードは、第4の平面熱ゾーンに接続される。第8のダイオードのアノードは、第4の平面熱ゾーンに接続され、第8のダイオードのカソードは、第2の負電圧ラインに接続される。第1の共通ラインは、第1及び第3の平面熱ゾーンの両方に接続される。第2の共通ラインは、第2及び第4の平面熱ゾーンの両方に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書で説明される熱板を伴う基板サポートアセンブリを含むことができる代表的なプラズマ処理チャンバの概略図である。
【0006】
【
図2】基板サポートアセンブリに組み込み可能な熱板における、ペルチェ素子への正ライン、負ライン、及び共通ラインの電気的接続を示した図である。
【0007】
【
図3】第1の実施形態にしたがった、熱板を組み込まれた基板サポートアセンブリの概略図である。
【0008】
【
図4】第2の実施形態にしたがった、熱板を組み込まれた基板サポートアセンブリの概略図である。
【0009】
【
図5】第3の実施形態にしたがった、熱板を組み込まれた基板サポートアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
所望の微小寸法(クリティカルデメンジョン:CD)の均一性を基板上に実現するために半導体処理装置において基板温度を半径方向に及び方位角方向に制御することが、ますます求められている。温度の僅かなばらつきでさえ、半導体製造プロセスにおけるCDに、とりわけCDが100nm未満に迫るにつれて、許容しがたい影響を与えかねない。
【0011】
基板サポートアセンブリは、処理中における、基板を支える、基板温度を調整する、及び無線周波数電力を供給するなどの多岐にわたる機能用に構成されてよい。基板サポートアセンブリは、処理中に基板サポートアセンブリに基板を静電クランプするのに有用な静電チャック(ESC)を含むことができる。ESCは、可調整式のESC(T−ESC)であってよい。T−ESCは、参照によって本明細書に組み込まれる同一出願人による米国特許第6,847,014号及び第6,921,724号に記載されている。基板サポートアセンブリは、上方の基板ホルダと、下方の流体冷却ヒートシンク(以下、冷却板と呼ばれる)と、半径方向における段階的な温度制御を実現するための複数の同心状の平面ヒータゾーンとを含んでいてよい。ヒータは、基板サポートアセンブリのサポート表面を、冷却板温度よりも約0〜80℃高い温度に維持することができる。複数の平面ヒータゾーン内のヒータ電力を変化させることによって、基板サポート温度分布を変化させることができる。更に、平均の基板サポート温度は、冷却板温度よりも0〜80℃高い動作範囲内で段階的に変化させることができる。半導体技術の進歩に伴うCDの減少とともに、方位角方向における温度の僅かなばらつきが、ますます大きな課題になる。
【0012】
温度の制御は、幾つかの理由で容易な作業ではない。第1に、熱源やヒートシンクの場所、及び媒質の動きや材料、形状などの多くの要因が、熱伝達に影響を及ぼす可能性がある。第2に、熱伝達は、動的なプロセスである。問題にされているシステムが熱平衡状態にない限り、熱伝達が発生し、時間とともに温度分布及び熱伝達が変化することになる。第3に、プラズマ処理中に確実に常在するプラズマなどの非平衡現象は、実際上のプラズマ処理装置の熱伝達挙動の理論的予測を、たとえ不可能ではないにしても非常に困難にする。
【0013】
プラズマ処理装置における基板温度分布は、プラズマ密度分布、RF電力分布、並びにチャックのなかの各種の加熱素子及び冷却素子の詳細な構造などの多くの要因によって影響されるので、基板温度分布は、多くの場合、均一ではなく、少数の加熱素子又は冷却素子によって制御することが困難である。この欠陥は、基板全域にわたる処理速度の非均一性及び基板上におけるデバイスダイの微小寸法の非均一性につながる。
【0014】
温度制御の複雑性を踏まえると、独立制御可能な複数の平面熱ゾーンを基板サポートアセンブリに組み込んで、装置が所望の空間的及び時間的な温度分布を能動的に作成及して維持すること並びにCDの均一性に影響を及ぼすその他の有害要因を打ち消すことを可能にすることが、有利だと考えられる。
【0015】
半導体処理装置における基板サポートアセンブリのための、複数の独立制御可能な平面ヒータゾーンを伴う加熱板が、共同所有の米国特許公開第2011/0092072号及び第2011/0143462号に開示されており、これらの開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。この加熱板は、大きさを可変し得る多重レイアウト式の平面ヒータゾーンと、該平面ヒータゾーンに電力を提供するための導体ラインとを含む。平面ヒータゾーンの電力を調整することによって、処理中における温度分布を半径方向及び方位角方向の両方に形作ることができる。
【0016】
本明細書で開示されるのは、半導体処理装置における基板サポートアセンブリのための熱板であって、該熱板は、複数の独立制御可能な平面熱ゾーンを有し、各ゾーンは、例えば1つのペルチェ素子、又は直列に接続された複数のペルチェ素子を含む1つのモジュールなどの、少なくとも1つの熱電素子を含み、電流の方向に応じて加熱又は冷却される上方板及び下方板に結合される。好ましくは、平面熱ゾーンは、抵抗ヒータ素子を有していない。なお、平均温度制御のために、1つ以上の抵抗ヒータ素子を伴う一次ヒータが基板サポートアセンブリに組み込まれてもよいことがわかる。
【0017】
平面熱ゾーンは、例えば、矩形格子、六角形格子、有極配列、同心円、又は任意の望ましいパターンなどの、既定のパターンに配置されることが好ましい。各平面熱ゾーンは、任意の適切なサイズであってよく、1つ以上の熱電素子を有していてよい。平面熱ゾーンが通電されたときは、そのなかの全ての熱電素子が通電され、平面熱ゾーンが通電されていないときは、そのなかの全ての熱電素子が通電されていない。平面熱ゾーンにおけるペルチェ素子を使用した加熱及び冷却の両方の能力を可能にしつつ、電気的接続の数を最少に抑えるために、負ライン、正ライン、及び共通ラインは、各正電圧ラインがそれぞれ異なるグループの平面熱ゾーンに接続され、対応する負電圧ラインが正電圧ラインが接続されているものと同じグループの平面熱ゾーンに接続され、各共通ラインがそれぞれ異なるグループの平面熱ゾーンに接続され、同じペアの正電圧ライン及び負電圧ラインと同じ共通ラインとに接続される平面熱ゾーンが2つとしてないように、配置される。したがって、平面熱ゾーンは、この特定の平面熱ゾーンが接続されている正電圧ライン又はそれに対応する負電圧ライン及び共通ラインにDC電流を流れさせることによって作動させることができる。
【0018】
熱電素子の電力は、好ましくは20W未満であり、更に好ましくは5〜10Wである。一実施形態では、各平面熱ゾーンは、半導体基板上に製造されているデバイスダイ4つ分以下、若しくは半導体基板上に製造されているデバイスダイ2つ分以下、若しくは半導体基板上に製造されているデバイスダイ1つ分以下である、又は基板上のデバイスダイに対応するように、面積にして16〜100cm
2、若しくは1〜15cm
2 、若しくは2〜3cm
2 、若しくは0.1〜1cm
2 である。熱電素子の厚さは、1ミリメートルから1センチメートルまでであってよい。
【0019】
熱板は、16〜400個のような、任意の適切な数の平面熱ゾーンを含むことができる。平面熱ゾーンどうしの間、並びに/又は平面熱ゾーンと正電圧ライン、負電圧ライン、及び共通ラインとの間にスペースを確保にするために、平面熱ゾーンの総面積は、基板サポートアセンブリの上面の面積の90%以下であってよく、例えば、上記面積の50〜90%であってよい。その他の実施形態では、平面熱ゾーンは、上記面積の95%又は98%をも占めていてよい。平面熱ゾーンは、上記面積の100%であってもよい。正電圧ライン、又は負電圧ライン、又は共通ライン(導体ラインとして総称される)は、平面熱ゾーンどうしの間の1〜10mmの隙間に配置されてよい、又は電気絶縁層によって平面熱ゾーンの面から隔てられた別々の面内に配置されてよい。大電流を運ぶため及びジュール加熱を減らすためには、導体ラインは、スペースが許す限り広く作成されることが好ましい。導体ラインが平面熱ゾーンと同じ面内にある一実施形態では、導体ラインの幅は、0.3mmから2mmまでの間であることが好ましい。導体ラインが平面熱ゾーンと異なる面上にある別の実施形態では、導体ラインの幅は、0.3〜2nmの幅、又は平面熱ゾーンの幅と同程度まで大きくてよく、例えば、300mmのチャックに対し、1〜2インチ(約25.4〜50.8mm)の幅であってよい。好ましくは、導体ラインの材料は、Cu、Al、W、Inconel(登録商標)、又はMoなどの、低抵抗性の材料である。
【0020】
熱電素子は、同様なサイズの加熱素子よりも優れた利点を提供する。例えば、(例えば幅が2cm未満の)小型抵抗ヒータの配列の場合は、隣り合う平面熱ゾーン間における熱クロストークが深刻になる恐れがあり、これは、熱板の、高い空間周波数を伴う温度分布を形成する及び/又は広い可調整温度範囲を提供する能力に制限を課す。熱電素子などのペルチェ素子は、従来の抵抗ヒータ素子と異なり、加熱及び冷却の両方が可能であるゆえに、熱クロストークを打ち消すことができる。熱電素子としてのペルチェ素子の使用は、こうして、更なる柔軟性、より広い可調整温度範囲、及び高い空間周波数を伴う温度分布を生成する能力を提供することができる。
【0021】
図1は、一実施形態にしたがった、プラズマリアクタ100を示している。プラズマリアクタ100は、通常、処理のためにそのなかでプラズマ103を点火及び維持することができるプロセスチャンバ102を含む。チャンバ102の内部には、通常、上方電極104が配され、該電極は、整合回路網(不図示)を通じて第1のRF電力供給部106に結合されてよい。第1のRF電力供給部106は、通常、上方電極104にRFエネルギを供給するように構成される。上方電極104内には、例えばエッチャントガスなどのプロセスガスを上方電極104と基板110との間の活性化領域へ導入するための吸気口108が提供される。プロセスガスは、ガス注入器、ガス分配板(例えばシャワーヘッド)、1つ以上のガスリング、及び/又はその他の適切な構成などの、様々なタイプのガス供給構成によって導入されてもよい。例示の実施形態では、プロセスチャンバ102は、実質的に円筒形状であるように構成され、チャンバ壁は、実質的に垂直であるように構成される。しかしながら、プロセスチャンバ、及びチャンバ壁を含むその内部部品には、様々な構成が使用されてよいことが理解されるべきである。
【0022】
基板110は、チャンバ102に導入されて、基板サポート112の上に配されてよく、該サポートは、基板を支える働きをし、随意として、好ましい実施形態では下方電極を含む。基板サポート112は、熱伝達システム118の上方部分を構成している。熱伝達部材114は、熱伝達システム118の下方部分を構成している。好ましくは、基板サポートは、熱伝達部材114に対して優れた熱接触状態にある。基板サポート112を熱伝達部材114に接合するために、シリコーン接着剤などの接着剤の層を使用することができる。基板サポート112は、はんだ付け又は溶接などのその他の接合技術を使用して熱伝達部材114に取り付けることもできる。熱伝達部材114と基板サポート112とを含む熱伝達システム118は、以下で更に詳しく説明される。
【0023】
基板110は、処理される加工対象物を表しており、例えば、半導体ウエハなどであってよい。半導体ウエハに加えて、基板は、加工してフラットパネルディスプレイに仕上げられるガラスパネルを含むことができる。基板110は、処理中に取り除かれる(エッチングされる)1枚以上の層を含むことができる、或いは、処理は、基板上に1枚以上の層を形成することを含むことができる。
【0024】
チャンバ102の壁と熱伝達システム118との間には、排気口130が配されることが好ましい。排気口130は、処理中に形成されるガスを排出させるように構成され、通常は、プロセスチャンバ102の外側に位置するターボ分子ポンプ(不図示)に結合される。大半の実施形態では、ターボ分子ポンプは、プロセスチャンバ102の内部を適切な圧力に維持するように構成される。排気口は、チャンバ壁と基板サポートとの間に配されるものとして示されているが、排気口の実際の配置は、プラズマ処理システムの具体的設計にしたがって可変であってよい。例えば、ガスは、プロセスチャンバの壁に組み込まれた排気口から排出されてもよい。また、プラズマ103を基板110の上方に閉じ込めるために、上方電極104と基板サポート112との間のプロセスチャンバ102内部にプラズマ閉じ込めリングアセンブリが配されてよい。例えば、共同所有の米国特許第5,534,751号、第5,569,356号、及び第5,998,932号を参照せよ。これらの特許は、その内容全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0025】
プラズマ103を発生させるために、通常は、吸気口108を通してプロセスチャンバ102にプロセスガスが供給される。続いて、RF電力供給部の一方又は両方が加圧されたときに、RF電極の一方又は両方を通じてプロセスチャンバの内部に電場が誘導結合される又は容量結合される。
【0026】
プラズマリアクタ100が詳細に説明されているが、熱伝達システム自体は、いかなる特定のタイプの基板処理装置にも限定されず、非限定的な例としてドライエッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、磁気強化式反応性イオンエッチング(MERIE)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)などのエッチングプロセスに適応されたものを含む、既知の任意の基板処理システムでの使用に適応されてよい。プラズマ処理リアクタは、参照によって開示内容を本明細書に組み込まれる共同所有の米国特許第6,090,304号に記載された二重周波数プラズマエッチングリアクタなどの平行平板型エッチングリアクタを含むことができる。更に、熱伝達システムは、化学的気相蒸着(CVD)、プラズマ強化式化学的気相蒸着(PECVD)、及びスパッタリングなどの物理的気相蒸着(PVD)に適応されたものを含む、幾つかの蒸着プロセスの任意で使用されてよい。熱伝達システムは、イオン注入装置で使用されてよい。
【0027】
なおも更に、熱伝達システムは、プラズマへのエネルギが、直流プラズマ源、又は容量結合平行電極板、又はECRマイクロ波プラズマ源、又はヘリコン、ヘリカル共振器、RFアンテナ(平面状若しくは非平面状)などの誘導結合RF源の、いずれを通じて送られるかにかかわらず、上記のリアクタはもちろん、その他の適切なプラズマ処理リアクタの任意において実用化されてよいと考えられる。適切なプラズマ発生機器が、共同所有の米国特許第4,340,462号(平行板)、米国特許第5,200,232(ECR)、及び米国特許第4,948,458号(誘導結合)に開示されており、これらの特許は、その内容全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0028】
図2は、熱配列の概略であり、ここでは、ペルチェ素子P1、P2、P3、P4への接続を示すために、4つの熱ゾーンT1、T2、T3、T4のみが示されており、導体ラインY1及びY2は、共通ラインを表し、導体ラインX1
+及びX2
+は、正電圧ラインを示している。ラインX1
−及びX2
−は、負電圧ラインを示している。ラインX1
+、X2
+、X1
−、X2
−に正電圧又は負電圧を供給し、共通ラインY1及びY2をオンにすることによって、P1、P2、P3、P4の上面を加熱又は冷却することが可能である。例えば、X1
+を通じて正電圧を供給し、ラインY1をオンにすることによって、P1をアクティブにし、P1の上のゾーンT1を加熱することができる。或いは、X1
+をオフにし、X1
−をオンにして、P1の上のゾーンT1を冷却することができる。熱電素子の熱配列は、n×n格子(例えば4×4、5×5、6×6、7×7、8×8、9×9、10×10など)、n×m格子(例えば4×5、6×9、12×15など)、又は同じ若しくは異なる形状の及び同じ若しくは異なる断面積の熱ゾーンを伴うその他の構成であってよい。
【0029】
図3は、熱板123を有する加熱板の一実施形態を含む基板サポートアセンブリ120を示している。熱板123は、ポリマ材料、又は無機材料、又は酸化シリコン、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウムなどのセラミック、又はその他の適切な材料で作成された、1枚以上の層で形成することができる。基板サポートアセンブリ120は、更に、DC電圧を印加することによってアセンブリ120の露出上面に基板を静電クランプするために熱板123に組み込まれた又は取り付けられた少なくとも1つのESC(静電クランプ)電極124(例えば単極又は双極)を含む誘電体層を含み、熱板123の下面には、冷却剤を流すための流路126を内包した冷却板105が取り付けられる。冷却板は、例えば−20℃から+80℃までの一定温度に維持することができる。基板サポートアセンブリ120は、また、熱板123に組み込まれた熱ゾーンT1、T2、T3、T4も含み、各ゾーンは、共通ライン107、正電圧ライン128、及び負電圧ライン109に接続された、1つの熱電ペルチェ素子、又は複数の熱電ペルチェ素子(P1、P2、P3、P4)からなる1つのモジュールを含む。ライン128、109と、ペルチェ素子P1、P2、P3、P4との間には、ダイオード121が提供される。静電クランプ電極124は、クランプ電圧供給ライン111に接続される。
【0030】
図3に示されるように、各平面熱ゾーンT1、T2、T3、T4は、正電圧ライン128、負電圧ライン109、及び共通ライン107に接続される。同じペアのライン128/109及び107を共有する平面熱ゾーンT1、T2などは、2つとしてない。適切な電気スイッチ構成によって、正電圧ライン128又は負電圧ライン109のいずれかと、共通ライン107の1本とを電力供給部(不図示)に接続し、それによって、このペアをなすラインに接続された平面熱ゾーンのみを通電することが可能である。各平面熱ゾーンの時間平均加熱電力は、時間領域多重化によって個々に調整することができる。各平面熱ゾーンT1、T2、T3、T4と、正電圧ライン又は負電圧ラインとの間に接続されたダイオード121は、平面熱ゾーンから、アクティブでない電圧ラインへ電流を流れさせない。ダイオード121は、熱板内又は任意の適切な場所に物理的に位置付けることができる。正電圧ライン又は負電圧ラインをアクティブにすることによって、平面熱ゾーンの上面の加熱又は冷却を、ペルチェ素子の反対側が冷却板105によって冷却又は加熱されている間に達成することができる。
【0031】
共通ライン107、正電圧ライン128、及び負電圧ライン109を含む電気部品は、熱板128のなかの、電気絶縁材料によって互いから隔てられた様々な面内に、任意の適切な順序で配置することができる。これらの面どうしの電気的接続は、適切に配置された鉛直方向のビアによってなすことができる。好ましくは、平面熱ゾーンT1、T2などは、基板サポートアセンブリの上面の最も近くに配置される。バスライン125が、ライン128、109をペルチェ素子P1〜P4に接続する。
【0032】
図4に示されるように、基板サポートアセンブリ120は、1つ以上の更なるヒータ122(以下、一次ヒータと称される)含むことができる。好ましくは、一次ヒータ122は、個別に制御される高電力ヒータである。各一次ヒータの電力は、100〜10,000Wであり、好ましくは500〜2,000Wである。この電力は、一次ヒータ供給/戻りライン113によって送られてよい。
図4には、2つの一次ヒータのみが示されているが、一次ヒータは、例えば矩形格子、同心環状ゾーン、放射状ゾーン、又は環状ゾーンと放射状ゾーンとの組み合わせなどの空間配列の形で配置された3つ又は4つ以上の抵抗ヒータを含んでいてよい。一次ヒータ122は、平均温度を変化させるために、半径方向における温度分布を調整するために、又は基板上における段階的な温度制御のために使用されてよい。一次ヒータ122は、
図4に示されるように、熱板123の平面熱ゾーン101の下方に位置付けられてよい一方で、
図5に示されるように、熱板123の上方に位置付けられてもよい。
【0033】
図3〜5に示されるような熱板123は、セラミック粉末と、結合剤と、液体との混合を加圧してグリーンシートにすることと、それらのシートを乾燥させることと、それらのグリーンシートに穴を開けることによってシート内にビアを形成することと、スラリ状の導電粉末(例えばW、WC、ドープSiC、若しくはMoSi
2)をスクリーン印刷する、事前にカットされた金属箔を押し付ける、スラリ状の導電粉末を噴き付ける、又はその他の任意の適切な技術によってグリーンシート上に導体ラインを形成することと、シートを揃えることと、接着又は焼結によってシートを貼り合わせて熱板を形成することと、スラリ状の導体粉末によってビアを満たすことと、ペルチェ素子が導体ライン107、128、109に接続され、異なる平面熱ゾーンのなかのペルチェ素子で同じペアのライン128/109及びライン107を共有するものが2つとしてないように、熱板上にペルチェ素子P1、P2、P3、P4及びダイオード121を接合することと、を含む代表的な方法によって作成することができる。各シートは、厚さが約0.3mmであってよい。
【0034】
図3〜5に示されるような熱板123は、(a)ガラス繊維複合材板、又は電気絶縁ポリマ膜(例えばポリイミド)で覆われた金属板に、(Al、Inconel(登録商標)、又はCu箔などの)金属シートを接合する(例えば熱プレスする、接着剤で接着するなど)ことと、(b)金属シートの表面にパターン化レジスト膜を施すことであって、パターン化レジスト膜内の開口は、一グループの共通ラインの形状及び位置を定める、ことと、(c)パターン化レジスト膜内の開口を通して露出されている部分の金属シートを化学的にエッチングすることによって、上記電力ラインのグループを形成することと、(d)(適切な溶媒への溶解又はドライ剥離によって、)レジスト膜を除去することと、(e)金属シートに電気絶縁ポリマ膜を施すことと、(f)随意としてステップ(b)〜(e)を1回以上にわたって繰り返すことと、(g)(1枚以上の)金属シート及び(1枚以上の)電気絶縁ポリマ膜に穴を開け、それらの穴をスラリ状の導体粉末で又はめっき金属によって満たすことによって、ビアを形成することと、(h)各平面熱ゾーンのなかのペルチェ素子が、ペアをなす正電圧ライン及び負電圧ラインと1本の共通ラインとに接続され、異なる平面熱ゾーンのなかのペルチェ素子で同じペアの正電圧ライン及び負電圧ラインと共通ラインとを共有するものが、2つとしてないように、別の電気絶縁ポリマの露出表面上に、ペルチェ素子及びダイオードを接合し、随意として一グループの正電圧ライン及び負電圧ラインを形成し、シートを貼り合わせることと、を含む別の方法によっても作成することができる。
【0035】
平面熱ゾーンT1、T2、T3、T4を通電するときは、平面熱ゾーンの(1つ以上の)ペルチェ素子に、熱ゾーンの加熱又は冷却を引き起こすために所望の方向にDC電流が流される。したがって、DC電流の方向を選択することによって、平面熱ゾーンは、基板サポートアセンブリに支えられている半導体基板のなかで垂直方向に位置が揃っている部分を局所的に加熱又は冷却することができる。
【0036】
基板サポートアセンブリの製造に使用するのに適した適切な絶縁材料及び導電材料の例が、参照によって本明細書に開示内容を組み込まれる同一出願人による米国特許第6,483,690号に開示されている。
【0037】
加熱板、加熱板を製造する方法、及び加熱板を含む基板サポートアセンブリが、それらの特定の実施形態を参照にして詳細に説明されてきたが、当業者ならば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正がなされうること、並びに均等物が採用されうることが明らかである。
例えば、本発明は、以下の適用例としても実施可能である。
[適用例1]半導体処理装置において半導体基板を支えるために使用される基板サポートアセンブリの温度制御ベース板を覆うように構成された、熱板であって、
電気絶縁板と、
少なくとも第1、第2、第3、及び第4の平面熱ゾーンを含む平面熱ゾーンであって、各平面熱ゾーンは、熱電素子として1つ以上のペルチェダイオードを含み、前記平面熱ゾーンは、前記電気絶縁板全域に横方向に分布され、前記基板上における空間温度分布を調整するように動作可能である、平面熱ゾーンと、
前記電気絶縁板全域に横方向に分布された第1及び第2の導電性正電圧ラインを含む正電圧ラインと、
前記電気絶縁板全域に横方向に分布された第1及び第2の導電性負電圧ラインを含む負電圧ラインと、
前記電気絶縁板全域に横方向に分布された第1及び第2の導電性共通ラインを含む共通ラインと、
前記電気絶縁板全域に横方向に分布された第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のダイオードと、
を備え、前記第1のダイオードのアノードは、前記第1の正電圧ラインに接続され、前記第1のダイオードのカソードは、前記第1の平面熱ゾーンに接続され、
前記第2のダイオードのアノードは、前記第1の平面熱ゾーンに接続され、前記第2のダイオードのカソードは、前記第1の負電圧ラインに接続され、
前記第3のダイオードのアノードは、前記第1の正電圧ラインに接続され、前記第3のダイオードのカソードは、前記第2の平面熱ゾーンに接続され、
前記第4のダイオードのアノードは、前記第2の平面熱ゾーンに接続され、前記第4のダイオードのカソードは、前記第1の負電圧ラインに接続され、
前記第5のダイオードのアノードは、前記第2の正電圧ラインに接続され、前記第5のダイオードのカソードは、第3の平面熱ゾーンに接続され、
前記第6のダイオードのアノードは、前記第3の平面熱ゾーンに接続され、前記第6のダイオードのカソードは、前記第2の負電圧ラインに接続され、
前記第7のダイオードのアノードは、前記第2の正電圧ラインに接続され、前記第7のダイオードのカソードは、前記第4の平面熱ゾーンに接続され、
前記第8のダイオードのアノードは、前記第4の平面熱ゾーンに接続され、前記第8のダイオードのカソードは、前記第2の負電圧ラインに接続され、
前記第1の共通ラインは、前記第1及び第3の平面熱ゾーンの両方に接続され、
前記第2の共通ラインは、前記第2及び第4の平面熱ゾーンの両方に接続される、熱板。
[適用例2]適用例1に記載の熱板であって、
前記平面熱ゾーンは、抵抗ヒータ素子を含まない、熱板。
[適用例3]適用例1に記載の熱板であって、
(a)前記平面熱ゾーンの各ゾーンの前記ペルチェ素子は、前記電気絶縁板の上方部分のなかに位置付けられ、前記正電圧ライン及び前記負電圧ラインは、前記ペルチェ素子の下方に配され、前記電気絶縁板内の鉛直方向のビアによって前記ダイオードに電気的に接続され、前記共通ラインは、前記正電圧ライン及び前記負電圧ラインの下方にあり、前記電気絶縁板内の鉛直方向のビアによって前記平面熱ゾーンに電気的に接続される、熱板。
[適用例4]適用例1に記載の熱板であって、
前記平面熱ゾーンは、
(a)各平面熱ゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ4つ分以下であるように、又は、
(b)各平面熱ゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ2つ分以下であるように、又は、
(c)各平面熱ゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ1つ分以下であるように、又は、
(d)各平面熱ゾーンが、前記半導体基板上のデバイスダイのサイズ及び前記半導体基板の全体サイズに対応して可変されて、
サイズ決定された、熱板。
[適用例5]適用例1に記載の熱板であって、
前記平面熱ゾーンは、
(a)各平面熱ゾーンが0.1〜1cm2であるように、又は、
(b)各平面熱ゾーンが2〜3cm2であるように、又は、
(c)各平面熱ゾーンが1〜15cm2であるように、又は
(d)各平面熱ゾーンが16〜100cm2であるように、
サイズ決定される、熱板。
[適用例6]適用例1に記載の熱板であって、
前記熱板は、16〜400の平面熱ゾーンを含む、熱板。
[適用例7]適用例1に記載の熱板であって、
前記電気絶縁板は、ポリマ材料、セラミック材料、ガラス繊維複合材、又はそれらの組み合わせの1枚以上の層を含む、熱板。
[適用例8]適用例1に記載の熱板であって、
前記正電圧ラインの総数は、前記平面熱ゾーンの総数の半分以下であり、及び/又は前記共通ラインの総数は、前記平面熱ゾーンの総数の半分以下である、熱板。
[適用例9]適用例1に記載の熱板であって、
前記平面熱ゾーンの総面積は、前記熱板の上面の50〜100%である、熱板。
[適用例10]適用例1に記載の熱板であって、
前記平面熱ゾーンは、矩形格子、六角形格子、又は有極配列の形に配置され、前記平面熱ゾーンは、幅が少なくとも1ミリメートルで且つ最大で10ミリメートルである隙間によって互いから隔てられる、熱板。
[適用例11]基板サポートアセンブリであって、
前記基板サポートアセンブリ上に半導体基板を静電クランプするように構成された少なくとも1つの静電クランプ電極を含む静電チャック(ESC)と、
適用例1に記載の熱板の、前記ESCを支えている上側と、
前記熱板の下側に取り付けられた温度制御ベース板と、
を備える基板サポートアセンブリ。
[適用例12]適用例11に記載の基板サポートアセンブリであって、更に、
前記熱板の上方又は下方に配置される少なくとも1枚の一次ヒータ層を備え、前記一次ヒータ層は、前記平面熱ゾーンから電気的に絶縁され、前記一次ヒータ層は、前記半導体基板の平均温度制御を提供する少なくとも1つの抵抗ヒータを含み、前記平面熱ゾーンは、前記半導体基板の処理中に、その半径方向及び方位角方向における温度分布制御を提供する、基板サポートアセンブリ。
[適用例13]適用例1に記載の熱板を製造するための方法であって、
セラミック粉末と、結合剤と、液体との混合を加圧してシートにすることと、
前記シートを乾燥させることと、
前記シートに穴を開けることによって前記シート内にビアを形成することと、
前記シート上に前記正電圧ライン、前記負電圧ライン、及び前記共通ラインを形成することと、
前記シートを揃えることと、
接着又は焼結によって前記シートを接合して前記熱板を形成することと、
スラリ状の導体粉末によって前記ビアを満たすことと、
各平面熱ゾーンのなかの(1つ以上の)ペルチェ素子が、ペアをなす正ライン及び負ラインと、1本の共通ラインとに接続され、異なる平面熱ゾーンのなかのペルチェ素子で同じ共通ラインと同じペアの正ライン及び負ラインとを共有するものが、2つとしてないように、前記熱板上にペルチェ素子及びダイオードを接合することと、
を備える方法。
[適用例14]適用例13に記載の方法であって、
前記正ライン、及び前記負ライン、及び前記共通ラインは、スラリ状の導電粉末をスクリーン印刷する、事前にカットされた金属箔を押し付ける、又はスラリ状の導電粉末を噴き付けることによって形成される、方法。
[適用例15]適用例1に記載の熱板を製造するための方法であって、
(a)ガラス繊維複合材板、又は電気絶縁ポリマ膜で覆われた金属板に、金属シートを接合することと、
(b)前記金属シートの表面に、パターン化レジスト膜を施すことであって、前記パターン化レジスト膜内の開口は、正電圧ライン、負電圧ライン、及び/又は共通ラインに対応する一グループの電力ラインの形状及び位置を定める、ことと、
(c)前記パターン化レジスト膜内の開口を通して露出されている部分の前記金属シートを化学的にエッチングすることによって、前記導体ラインのグループを形成することと、
(d)前記レジスト膜を除去することと、
(e)前記金属シートに電気絶縁ポリマ膜を施すことと、
(f)随意としてステップ(b)〜(e)を1回以上にわたって繰り返すことと、
(g)前記(1枚以上の)金属シート及び前記(1枚以上の)電気絶縁ポリマ膜に穴を開け、前記穴を金属、スラリ状の導体粉末、伝導性接着剤、又は伝導性ポリマの少なくとも1つで満たすことによって、ビアを形成することと、
(h)各平面熱ゾーンのなかのペルチェ素子が、ペアをなす正電圧ライン及び負電圧ラインと、1本の共通ラインとに接続され、異なる平面熱ゾーンのなかのペルチェ素子で同じ共通ラインと同じペアの正電圧ライン及び負電圧ラインとを共有するものが、2つとしてないように、1枚以上の電気絶縁ポリマ膜にペルチェ素子及びダイオードを接合し、前記膜を組み合わせて熱板を形成することと、
を備える方法。
[適用例16]適用例11の基板サポートアセンブリを含むプラズマ処理チャンバのなかで半導体基板をプラズマ処理するための方法であって、
(a)半導体基板を前記処理チャンバに取り込み、前記半導体基板を前記基板サポートアセンブリ上に位置決めすることと、
(b)微小寸法(CD)均一性に影響を及ぼす処理条件を打ち消す温度分布を決定することと、
(c)前記基板サポートアセンブリを使用して前記半導体基板を加熱し、前記温度分布に適合させることと、
(d)前記平面熱ゾーンを独立制御式に加熱又は冷却することによって前記温度分布を制御しつつ、プラズマを点火して前記半導体基板を処理することと、
(e)前記半導体基板を前記処理チャンバから取り出し、異なる半導体基板でステップ(a)〜(e)を繰り返すことと、
を備える方法。
[適用例17]適用例12に記載の基板サポートアセンブリであって、
前記一次ヒータ層は、2つ以上のヒータを含む、基板サポートアセンブリ。
[適用例18]適用例1に記載の熱板であって、
前記熱板は、静電クランプ層を支えるように構成される、熱板。