(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0017】
(第一実施形態)
図1は第一実施形態に係る加工装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、加工装置100は、レーザー加工部(加工手段)10と、該レーザー加工部10から射出される加工用レーザー光を所定位置に集光させるオートフォーカス光学系20と、制御部50とを備えている。
【0018】
レーザー加工部10は、加工対象物Aを載置するステージ1と、加工用レーザー光源2と、ステージ1に載置される加工対象物Aに対向配置される対物レンズ3と、を有する。
ステージ1は、加工対象物Aを載置する載置面1aが上面に設けられている。ステージ1は、制御部50により、その移動が制御されている。本実施形態において、加工対象物Aは、シリコンウエハーを用いた。なお、制御部50は、例えばCPU、ROM、及びRAM等から構成されている。
【0019】
制御部50は、載置面1a上の加工対象物Aと対物レンズ3とを近接或いは離間させる方向(例えば、鉛直方向)に沿ってステージ1を移動させる。また、制御部50は、鉛直方向に直交する方向(例えば紙面貫通方向や、紙面左右方向)に沿ってもステージ1を移動させることができる。
これにより、ステージ1は、載置面1a上の加工対象物Aと対物レンズ3との相対位置を微調整可能とされている。
【0020】
なお、本実施形態では、ステージ1の位置を調整することで加工対象物A及び対物レンズ3の相対位置を調整する場合を例に挙げて説明するが、例えばピエゾ素子等を設けることで対物レンズ3を直接動かし、加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置を変化させるようにしてもよい。
【0021】
加工用レーザー光源2は、加工対象物Aに対し、加工用レーザー光Lを射出するためのものであり、加工用レーザー光Lをパルス発振等するレーザ光源2aから構成される。レーザ光源2aは、加工用レーザー光Lとして赤外光をパルス発振する。
対物レンズ3は、加工用レーザー光Lを載置面1a上の加工対象物Aの所定位置に集光する。
【0022】
オートフォーカス光学系20は、加工対象物Aの表面形状に応じて変化する前記レーザー加工部10(加工用レーザー光源2)から射出される加工用レーザー光Lの集光位置を所定の位置に集光させるためのものである。本実施形態に係る加工装置100は、上記オートフォーカス光学系20を用いることで、加工用レーザー光Lを加工対象物Aの表面或いは表面から内側に所定量だけオフセットした位置に集光させるようにしている。
【0023】
加工用レーザー光Lは、加工対象物Aを透過すると共に加工対象物Aの内部の集光点近傍(オフセット量に対応した位置)にて特に吸収され、これにより、加工対象物Aに改質領域を形成する。すなわち、本実施形態に係る加工装置100は、内部吸収型レーザー加工を行うためのものである。ここで、本実施形態に係る加工装置100により形成される改質領域とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域をいう。具体的に改質領域とは、例えば、溶融処理領域、クラック領域(絶縁破壊領域)、及び屈折率変化領域等があり、これらが混在した領域も含む。
【0024】
溶融処理領域とは、一旦溶融後再固化した領域や、まさに溶融状態の領域や、溶融状態から再固化する状態の領域であり、相変化した領域や結晶構造が変化した領域ということもできる。また、溶融処理領域とは単結晶構造、非晶質構造、多結晶構造において、ある構造が別の構造に変化した領域ということもできる。つまり、例えば、単結晶構造から非晶質構造に変化した領域、単結晶構造から多結晶構造に変化した領域、単結晶構造から非晶質構造及び多結晶構造を含む構造に変化した領域を意味する。加工対象物がシリコン単結晶構造の場合、溶融処理領域は例えば非晶質シリコン構造である。
【0025】
クラック領域とは、加工対象物の内部に加工用レーザー光Lが吸収されることで生じた光学的損傷である。このような光学的損傷により加工対象物の内部に熱ひずみが誘起され、これにより加工対象物の内部に、1つ又は複数のクラックを含むクラック領域が形成される。クラック領域は絶縁破壊領域とも言える。なお、クラック領域は、例えば、加工対象物としてガラスやLiTaO
3からなる圧電材料を用い、集光点における電界強度が1×10
8(W/cm
2)以上で且つパルス幅が1μs以下の条件で加工用レーザー光Lを照射した場合に生じる。
【0026】
屈折率変化領域とは、パルス幅が極めて短い状態で加工対象物Aの内部に加工用レーザー光Lが吸収されると、そのエネルギーが熱エネルギーに転化せず、加工対象物の内部にはイオン価数変化、結晶化又は分極配向等の永続的な構造変化が誘起されることで形成されたものである。なお、屈折率変化領域は、例えば、加工対象物としてガラスを用い、集光点における電界強度が1×10
8(W/cm
2)以上で且つパルス幅が1ns以下の条件で加工用レーザー光Lを照射した場合に生じる。
【0027】
上記オートフォーカス光学系20は、第1共焦点光学系21、第2共焦点光学系22、第3共焦点光学系23、及び第4共焦点光学系24と、ダイクロイックミラー25とを含む。
第1〜第4共焦点光学系21,22,23,24(以下、共焦点光学系21〜24と称す場合もある)は、この順に対物レンズ3(加工対象物A)からの光路長が長くなるように設定されている。共焦点光学系21〜24は、それぞれ載置面1a上の加工対象物Aに対して検出光を照射し、該加工対象物Aの表面での反射光を検出する。
ダイクロイックミラー25は、加工用レーザー光源2と対物レンズ3との間における加工用レーザー光Lの光路上に配置されている。ダイクロイックミラー25は、上記共焦点光学系21〜24における検出光を反射させるものの、上記加工用レーザー光Lを透過させる光学特性を有する。
【0028】
第1共焦点光学系21は、コリメートレンズ21aと、凸レンズ21bと、偏光ビームスプリッター21cと、凸レンズ21dと、ピンホール板21eと、光検出部21fと、λ/4板21gと、ダイクロイックミラー21hと、光源21iとを有する。光源21iは、例えばレーザーダイオードから構成され、他の共焦点光学系22、23、24とは異なる波長(色)の検出光を射出する。光検出部21fは、例えばフォトダイオードから構成される。
【0029】
第2共焦点光学系22は、コリメートレンズ22aと、凸レンズ22bと、偏光ビームスプリッター22cと、凸レンズ22dと、ピンホール板22eと、光検出部22fと、λ/4板22gと、ダイクロイックミラー22hと、光源22iとを有する。光源22iは、例えばレーザーダイオードから構成され、他の共焦点光学系21、23、24とは異なる波長(色)の検出光を射出する。光検出部22fは、例えばフォトダイオードから構成される。
【0030】
第3共焦点光学系23は、コリメートレンズ23aと、凸レンズ23bと、偏光ビームスプリッター23cと、凸レンズ23dと、ピンホール板23eと、光検出部23fと、λ/4板23gと、ダイクロイックミラー23hと、光源23iとを有する。光源23iは、例えばレーザーダイオードから構成され、他の共焦点光学系21、22、24とは異なる波長(色)の検出光を射出する。光検出部23fは、例えばフォトダイオードから構成される。
【0031】
第4共焦点光学系24は、コリメートレンズ24aと、凸レンズ24bと、偏光ビームスプリッター24cと、凸レンズ24dと、ピンホール板24eと、光検出部24fと、λ/4板24gと、ダイクロイックミラー24hと、光源24iとを有する。光源24iは、例えばレーザーダイオードから構成され、他の共焦点光学系21、22、23とは異なる波長(色)の検出光を射出する。光検出部24fは、例えばフォトダイオードから構成される。
【0032】
第1共焦点光学系21においては、光源21iから射出された検出光がコリメートレンズ21aにより平行光に変換された後、凸レンズ21b、偏光ビームスプリッター21c、及びλ/4板21gを透過し、ダイクロイックミラー21hを通過する。なお、ダイクロイックミラー21hは、第1共焦点光学系21の検出光のみを透過させ、他の共焦点光学系22〜24の検出光を反射する光学特性を有する。
【0033】
ダイクロイックミラー21hを通過した検出光は、ダイクロイックミラー25で反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0034】
加工対象物Aの表面で反射された検出光(以下、反射検出光と称す場合もある)は、ダイクロイックミラー25で反射され、ダイクロイックミラー21hを透過し、λ/4板21gに入射する。ここで、λ/4板21gを往復することで反射検出光の偏光方向は、90°回転する。そのため、反射検出光は、偏光ビームスプリッター21cにおいて反射し、ピンホール板21eを通って光検出部21fに入射する。光検出部21fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0035】
同様に第2共焦点光学系22においては、光源22iから射出された検出光がコリメートレンズ22aにより平行光に変換された後、凸レンズ22b、偏光ビームスプリッター22c、及びλ/4板22gを透過し、ダイクロイックミラー22hで反射される。なお、ダイクロイックミラー22hは、第2共焦点光学系22の検出光のみを反射させ、他の共焦点光学系23、24の検出光を透過する光学特性を有する。
【0036】
ダイクロイックミラー22hで反射された検出光は、第1共焦点光学系21のダイクロイックミラー21hに入射する。ここで、ダイクロイックミラー21hは、上述のように第1共焦点光学系21の検出光のみを透過させる光学特性を有するので、第2共焦点光学系22の検出光はダイクロイックミラー21hで反射されてダイクロイックミラー25に入射して反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0037】
加工対象物Aの表面で反射された反射検出光は、ダイクロイックミラー25で反射され、第1共焦点光学系21のダイクロイックミラー21h、22hと順に反射されてλ/4板22gに入射する。ここで、λ/4板22gを往復することで反射検出光の偏光方向は、90°回転する。そのため、反射検出光は、偏光ビームスプリッター22cにおいて反射し、ピンホール板22eを通って光検出部22fに入射する。光検出部22fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0038】
同様に第3共焦点光学系23においては、光源23iから射出された検出光がコリメートレンズ23aにより平行光に変換された後、凸レンズ23b、偏光ビームスプリッター23c、及びλ/4板23gを透過し、ダイクロイックミラー23hで反射される。なお、ダイクロイックミラー23hは、第3共焦点光学系23の検出光のみを反射させ、第4共焦点光学系24の検出光を透過する光学特性を有する。
【0039】
ダイクロイックミラー23hで反射された検出光は、第2共焦点光学系22のダイクロイックミラー22hに入射する。ここで、ダイクロイックミラー22hは、上述のように第2共焦点光学系22の検出光のみを反射させる光学特性を有するので、第3共焦点光学系23の検出光はダイクロイックミラー22hを透過して第1共焦点光学系21のダイクロイックミラー21hに入射する。ダイクロイックミラー21hは、上述のように第1共焦点光学系21の検出光のみを透過させる光学特性を有するので、第3共焦点光学系23の検出光はダイクロイックミラー21hで反射されてダイクロイックミラー25に入射して反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0040】
加工対象物Aの表面で反射された反射検出光は、ダイクロイックミラー25、21hに順に反射された後、ダイクロイックミラー22hを透過した後、ダイクロイックミラー23hで反射されてλ/4板23gに入射する。ここで、λ/4板23gを往復することで反射検出光の偏光方向は、90°回転する。そのため、反射検出光は、偏光ビームスプリッター23cにおいて反射し、ピンホール板23eを通って光検出部23fに入射する。光検出部23fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0041】
同様に第4共焦点光学系24においては、光源24iから射出された検出光がコリメートレンズ24aにより平行光に変換された後、凸レンズ24b、偏光ビームスプリッター24c、及びλ/4板24gを透過し、ダイクロイックミラー24hで反射される。
【0042】
ダイクロイックミラー24hで反射された検出光は、第3共焦点光学系23のダイクロイックミラー23hに入射する。ここで、ダイクロイックミラー23hは、上述のように第3共焦点光学系23の検出光のみを反射させる光学特性を有するので、第4共焦点光学系24の検出光はダイクロイックミラー23hを透過して第2共焦点光学系22のダイクロイックミラー22hに入射する。ダイクロイックミラー22hは、上述のように第2共焦点光学系21の検出光のみを反射させる光学特性を有するので、第4共焦点光学系24の検出光はダイクロイックミラー22hを透過して第1共焦点光学系21のダイクロイックミラー21hに入射する。ダイクロイックミラー21hは、上述のように第1共焦点光学系21の検出光のみを透過させる光学特性を有するので、第4共焦点光学系24の検出光はダイクロイックミラー21hで反射されてダイクロイックミラー25に入射して反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0043】
加工対象物Aの表面で反射された反射検出光は、ダイクロイックミラー25、21hに順に反射された後、ダイクロイックミラー22h、23hを透過した後、ダイクロイックミラー24hで反射されてλ/4板24gに入射する。ここで、λ/4板24gを往復することで反射検出光の偏光方向は、90°回転する。そのため、反射検出光は、偏光ビームスプリッター24cにおいて反射し、ピンホール板24eを通って光検出部24fに入射する。光検出部24fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0044】
このように本実施形態においては、各共焦点光学系21〜24の各々が、互いに波長の異なるレーザー光(検出光)を射出する光源21i〜24iを備えることで、波長の違いを利用して各共焦点光学系21〜24の検出光をダイクロイックミラー21h〜24hで分離し、各検出光を確実に受光することが可能となっている。
【0045】
ここで、上記共焦点光学系21〜24の各光検出部21f〜24fの受光信号と対物レンズ3のオフセット量との関係について説明する。
図2は共焦点光学系21〜24の各光検出部21f〜24fにおける受光信号の受光強度(規格値)と対物レンズ3のオフセット量との関係を示すグラフである。以下、対物レンズ3の焦点位置における加工対象物Aの表面からのオフセット量について、対物レンズ3のオフセット量と称す場合もある。
【0046】
なお、縦軸は受光強度(規格値)を示し、横軸は対物レンズ3の焦点位置における加工対象物Aの表面からのオフセット量(単位:μm)を示すものである。ここで、対物レンズ3の焦点位置における加工対象物Aの表面からのオフセット量とは、対物レンズ3を透過した加工用レーザー光Lが焦点を結ぶ位置(表面からの深さ)である。例えば、オフセット量が0(ゼロ)とは、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lが加工対象物Aの表面に集光されることを意味し、オフセット量が+(プラス)とは、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lが加工対象物Aの内側に集光されることを意味し、オフセット量が−(マイナス)とは、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lが加工対象物Aの外側で集光することを意味する。
【0047】
図2に示されるように、第1共焦点光学系21は、加工対象物Aに対する対物レンズ3のオフセット量が−25μmの場合に、光検出部21fによる受光強度(受光信号)が最大となるように各光学部材(ピンホール板21e、凸レンズ21b、21d等)が配置されている。従って、光検出部21fにおける受光信号が最大となった場合、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lは加工対象物Aの表面から25μm離間した位置に集光されている。
【0048】
また、
図2に示されるように、第2共焦点光学系22は、加工対象物Aに対する対物レンズ3のオフセット量が+25μmの場合に、光検出部22fによる受光強度(受光信号)が最大となるように各光学部材(ピンホール板22e、凸レンズ22b、22d等)が配置されている。従って、光検出部22fにおける受光信号が最大となった場合、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lは加工対象物Aの表面から内側に25μmだけ入り込んだ位置(オフセットした位置)に集光されている。
【0049】
また、
図2に示されるように、第3共焦点光学系23は、加工対象物Aに対する対物レンズ3のオフセット量が+75μmの場合に、光検出部23fによる受光強度(受光信号)が最大となるように各光学部材(ピンホール板23e、凸レンズ23b、23d等)が配置されている。従って、光検出部23fにおける受光信号が最大となった場合、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lは加工対象物Aの表面から内側に75μmだけ入り込んだ位置(オフセットした位置)に集光されている。
【0050】
また、
図2に示されるように、第4共焦点光学系24は、加工対象物Aに対する対物レンズ3のオフセット量が+125μmの場合に、光検出部24fによる受光強度(受光信号)が最大となるように各光学部材(ピンホール板24e、凸レンズ24b、24d等)が配置されている。従って、光検出部24fにおける受光信号が最大となった場合、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lは加工対象物Aの表面から内側に125μmだけ入り込んだ位置(オフセットした位置)に集光されている。
【0051】
各光検出部21f〜24fは、それぞれ制御部50に電気的に接続されている。制御部50は、各光検出部21f〜24fから送信された検出信号(
図2参照)について差分を取る演算処理を行い、差分信号を作成する。
【0052】
図3は、制御部50により作成される差分信号の一例を示す図である。なお、
図3において、縦軸は受光強度の差分を示し、横軸は
図2と同様に対物レンズ3の焦点位置における加工対象物Aの表面からのオフセット量(単位:μm)を示している。
図3における第1の差分S1は、
図2における第1共焦点光学系21及び第2共焦点光学系22における受光信号の受光強度の差分を示すものである。
図3における第2の差分S2は、
図2における第2共焦点光学系22及び第3共焦点光学系23における受光信号の受光強度の差分を示すものである。
図3における第3の差分S3は、
図2における第3共焦点光学系23及び第4共焦点光学系24における受光信号の受光強度の差分を示すものである。
【0053】
制御部50は、
図3に示した第1の差分S1、第2の差分S2、及び第3の差分S3に基づいて、対物レンズ3のオフセット量を制御する。
第1の差分S1は、
図3に示されるように、受光強度の差分値が0(ゼロ)の場合、対物レンズ3のオフセット量が0(ゼロ)μmとなる。第2の差分S2は、
図3に示されるように、受光強度の差分値が0(ゼロ)の場合、対物レンズ3のオフセット量が50μmとなる。第3の差分S3は、
図3に示されるように、受光強度の差分値が0(ゼロ)の場合、対物レンズ3のオフセット量が100μmとなる。
【0054】
このような構成に基づき、加工装置100は、複数(3つ)のオフセット量(本実施形態では、0μm、50μm、100μm)を選択可能とされている。具体的に、制御部50は、選択されたオフセット量に加工用レーザー光Lを集光(フォーカス)させるように加工対象物A及び対物レンズ3の相対位置を調整する。すなわち、制御部50は、本発明の特許請求の範囲に記載されている調整手段に相当するものである。
【0055】
例えば、加工装置100は、オフセット量として0(ゼロ)μmが選択された場合、制御部50が第1の差分S1の値を0(ゼロ)とするように、ステージ1の位置を調整することで加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置を調整する。これにより、加工装置100は、対物レンズ3のオフセット量を0(ゼロ)に設定した状態でレーザー加工を行うことができる。よって、加工装置100は、対物レンズ3を介して加工対象物Aの表面に加工用レーザー光Lを集光させることができる。
【0056】
また、加工装置100は、オフセット量として50μmが選択された場合、制御部50が第2の差分S2の値を0(ゼロ)とするように、ステージ1の位置を調整することで加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置を調整する。これにより、制御部50は、対物レンズ3のオフセット量を50μmに設定した状態でレーザー加工を行うことができる。よって、加工装置100は、対物レンズ3を介して加工対象物Aの表面から内側に50μmだけオフセットした位置に加工用レーザー光Lを集光させることができる。
【0057】
また、加工装置100は、オフセット量として100μmが選択された場合、制御部50が第3の差分S3の値を0(ゼロ)とするように、ステージ1の位置を調整することで加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置を調整する。これにより、制御部50は、対物レンズ3のオフセット量を100μmに設定した状態でレーザー加工を行うことができる。よって、加工装置100は、対物レンズ3を介して加工対象物Aの表面から内側に100μmだけオフセットした位置に加工用レーザー光Lを集光させることができる。
【0058】
このように本実施形態に係る加工装置100によれば、制御部50がオートフォーカス光学系20から送信される信号、具体的には複数の共焦点光学系21〜24(光検出部21f〜24f)における反射検出光の受光結果の差分データに基づいて加工用レーザー光Lの集光位置におけるオフセット量を複数選択することができる。
また、加工装置100は、上記選択されたオフセット量に対応させるように加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置をオートフォーカスすることができる。
【0059】
次に、加工装置100を用いて加工対象物Aを切断する場合について説明する。
はじめに、ステージ1に加工対象物Aとしての例えば厚さ300μmの半導体ウエハが載置される。この加工対象物Aは、平面視した状態で略円形を有している。
【0060】
続いて、加工装置100は、ユーザーにより選択されたオフセット量に対応させるように加工対象物Aに対する対物レンズ3の位置を調整する。具体的に加工装置100は、対物レンズ3を介した加工用レーザー光Lが加工対象物Aの切断予定ラインの開始位置に重なるようにステージ1を駆動し、載置面1a上の加工対象物Aと対物レンズ3との位置合わせを行う。
【0061】
例えば、ユーザーがオフセット量50μmを選択した場合、制御部50は、オートフォーカス光学系20のうち、第1共焦点光学系21及び第2共焦点光学系22を駆動させる。これにより、第1共焦点光学系21及び第2共焦点光学系22の各光検出部21f、22fは、加工対象物Aによる各反射検出光をピンホール板21e、22eを介して受光する。光検出部21f、22fは、受光結果を制御部50にそれぞれ送信する。
【0062】
制御部50は、第1共焦点光学系21及び第2共焦点光学系22の各光検出部21f、22fの検出信号(
図2参照)を取得し、これら検出信号の差分データ(
図3参照)を演算処理によって算出する。そして、
図3に示した第2の差分S2の値が0(ゼロ)とするように、ステージ1の位置を調整することで加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置を調整する。
以上により、切断予定ラインの開始位置において、対物レンズ3と加工対象物Aとの位置合わせが終了する。
【0063】
続いて、制御部50は、加工用レーザー光源2を駆動させる。加工用レーザー光源2は、加工用レーザー光Lを対物レンズ3に向けて照射する。加工用レーザー光Lは、ダイクロイックミラー25を透過して対物レンズ3に入射し、該対物レンズ3により加工対象物Aの所定位置に集光される。具体的に、加工用レーザー光Lは、選択されたオフセット量に対応し、加工対象物Aの表面から内側に50μmだけ入り込んだ位置に集光される。加工用レーザー光Lは、加工対象物Aの集光位置に上述したような改質領域を形成する。
【0064】
制御部50は、加工用レーザー光Lを加工対象物Aに照射した状態のまま、ステージ1を移動させることで加工用レーザー光Lを加工対象物Aに対して相対移動させることができる。これにより、加工対象物Aには、ステージ1の移動方向に沿って設定された切断予定ラインに沿って改質領域が形成されることとなる。
【0065】
制御部50は、加工用レーザー光Lが切断予定ラインの全域を通過させるまでステージ1を移動させる。以上により、加工装置100は、加工用レーザー光Lによるレーザー加工を終了させる。
【0066】
続いて、加工対象物Aの分断工程について説明する。
図4は分断装置を用いて加工対象物Aを分断する工程を示す図である。
図4(a)に示されるように、分断装置30は、押圧部31と、保持部32とを有する。押圧部31は、加工対象物Aよりも大きな略円形状を有し、テープ33に貼りつけられた加工対象物Aを支持する。なお、テープ33は加工対象物Aと同心状の円形を有している。保持部32は、押圧部31の周囲を囲むように配置されており、円形状のテープ33を周方向の全域に亘って保持する。
【0067】
図4(b)に示されるように、分断装置30は、押圧部31を上方に移動させるとともに、保持部32がテープ33を径方向の外側に向かって引っ張る。これにより、テープ33に貼りつけられた加工対象物Aには中心部から放射状に等方的に引張力が付与されることとなる。加工対象物Aは、上記加工装置100による加工用レーザー光Lが照射されることで切断予定ラインA1に対応する内面に改質領域が形成されている。加工対象物Aは、引張力が付与されることで改質領域が破断され、
図4(c)に示されるように、複数のチップ部材A2に個片化される。
以上により、加工対象物Aを分断(個片化)する工程が終了する。
【0068】
なお、上記説明では、ユーザーがオフセット量50μmを選択した場合を例に挙げたが、オフセット量100μmを選択した場合であっても同様に加工装置100による加工工程、及び分断装置30による分断工程を行うことでより厚みがある加工対象物Aを良好に分断して複数のチップ部材を個片化することができる。
【0069】
また、ユーザーがオフセット量0μmを選択した場合であるが、加工装置100は加工対象物Aの表面に沿って加工用レーザー光Lを照射することで、加工対象物Aの表面に溝や模様を形成することができる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、選択されたオフセット量に対応する位置に加工用レーザー光Lを集光させるように加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置を調整する、所謂オートフォーカス機能を備えた加工装置100が提供される。また、加工用レーザー光Lの集光位置におけるオフセット量(対物レンズ3のオフセット量)が複数選択可能とされるため、光学系を変更することなく、任意のオフセットに応じた加工を行うことができる汎用性に優れた加工装置100を提供できる。
【0071】
また、加工装置100は、4つの共焦点光学系21〜24の各光検出部21f〜24fによる検出結果の差分を利用することでオフセット量を3つ選択することができる。なお、加工装置100において、オフセット量を複数選択可能とするためには少なくとも共焦点光学系を3つ以上備えていればよい。
【0072】
なお、上記実施形態の説明においては、制御部50が、第1の差分S1、第2の差分S2、及び第3の差分S3の値がいずれも0(ゼロ)となるように対物レンズ3の位置を調整することで対物レンズ3のオフセット量を0、50、100μmのいずれかに設定する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、上記第1の差分S1、第2の差分S2、及び第3の差分S3の値が−0.4となるように対物レンズ3の位置を調整するようにすれば、対物レンズ3のオフセット量として10、60、110μmを選択することができる。すなわち、第1の差分S1、第2の差分S2、及び第3の差分S3の各々について、異なる差分値を設定することで様々なオフセットが選択可能である。具体的に第1の差分S1においては、値が−1.0以上0以下となる範囲で設定することで対物レンズ
【0073】
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態に係る加工装置の構成について説明する。
本実施形態と上記実施形態との違いは、オートフォーカス光学系であり、それ以外のレーザー加工部10の構成は共通である。したがって、以下の説明では、上記実施形態と同一の部材及び共通の構成については同じ符号を付し、その構成の説明については省略若しくは簡略化するものとする。
【0074】
図5は第二実施形態に係る加工装置の概略構成を示す図である。
図5に示されるように、本実施形態に係る加工装置200は、レーザー加工部10と、該レーザー加工部10から射出される加工用レーザー光を所定位置に集光させるオートフォーカス光学系120と、制御部50とを備えている。
【0075】
本実施形態に係るオートフォーカス光学系120は、第1共焦点光学系121、第2共焦点光学系122、第3共焦点光学系123、及び第4共焦点光学系124と、ダイクロイックミラー25、26と、ミラー27とを含む。
第1〜第4共焦点光学系121,122,123,124(以下、共焦点光学系121〜124と称す場合もある)は、この順に対物レンズ3(加工対象物A)からの光路長が長くなるように設定されている。
ダイクロイックミラー26は、上記共焦点光学系121〜124とダイクロイックミラー25との間における検出光の光路上に配置されている。ダイクロイックミラー26は、上記第1、第2共焦点光学系121、122における検出光を透過させるものの、上記第3、第4共焦点光学系123、124における検出光を反射させる光学特性を有する。
ミラー27は、上記ダイクロイックミラー26と上記第3、第4共焦点光学系123、124との間における検出光の光路上に配置されている。ミラー27は、上記第3、第4共焦点光学系123、124における検出光を反射させる光学特性を有する。
【0076】
第1共焦点光学系121は、光源部130と、凸レンズ121bと、ハーフミラー121cと、ピンホールレンズ121dと、ピンホール板121eと、光検出部121fと、偏光ビームスプリッター131とを含む。光源部130は、例えばレーザーダイオードから構成された光源130aと、コリメートレンズ130bと、λ/2板130cと、偏光ビームスプリッター130dとを含む。
【0077】
第2共焦点光学系122は、光源部130と、ミラー132と、凸レンズ122bと、ハーフミラー122cと、ピンホールレンズ122dと、ピンホール板122eと、光検出部122fと、ミラー133と、偏光ビームスプリッター131とを含む。すなわち、第2共焦点光学系122は、第1共焦点光学系121との間で、光源部130及び偏光ビームスプリッター131を共通化している。
【0078】
第3共焦点光学系123は、光源部134と、凸レンズ123bと、ハーフミラー123cと、ピンホールレンズ123dと、ピンホール板123eと、光検出部123fと、偏光ビームスプリッター135とを含む。光源部134は、例えばレーザーダイオードから構成された光源134aと、コリメートレンズ134bと、λ/2板134cと、偏光ビームスプリッター134dとを含む。なお、光源134aは、第1、第2共焦点光学系121、122の光源部130の光源130aと異なる波長(色)の光を射出する。
【0079】
第4共焦点光学系124は、光源部134と、ミラー136と、凸レンズ124bと、ハーフミラー124cと、ピンホールレンズ124dと、ピンホール板124eと、光検出部124fと、ミラー137と、偏光ビームスプリッター135とを含む。すなわち、第4共焦点光学系124は、第3共焦点光学系123との間で、光源部134及び偏光ビームスプリッター135を共通化している。
【0080】
光源部130の光源130aから射出された検出光(レーザー光)がコリメートレンズ130bにより平行光に変換された後、λ/2板130cを透過する。検出光は、直線偏光のレーザー光であるため、λ/2板130cを適宜回転させることで偏光成分に基づいて分離された分割光となる。具体的に検出光は、λ/2板130cを透過することでP偏光L
PとS偏光L
Sとに分離される。ここで、P偏光L
Pとは、光の振動方向が入射面に平行な偏光成分を有する偏光である。S偏光L
Sとは、光の振動方向が入射面に垂直な偏光成分を有する偏光である。
【0081】
P偏光L
P及びS偏光L
Sを含む検出光は、偏光ビームスプリッター130dに入射する。偏光ビームスプリッター130dは、P偏光L
Pを透過させ、S偏光L
Sを反射させる特性を有する。これにより、検出光は、偏光ビームスプリッター130dを介して入射した検出光をP偏光L
P及びS偏光L
Sに分割し、P偏光L
Pが第1共焦点光学系121の凸レンズ121bに入射し、S偏光L
Sが第2共焦点光学系122の凸レンズ122bに入射する。
【0082】
また、光源部134の光源134aから射出された検出光(レーザー光)がコリメートレンズ134bにより平行光に変換された後、λ/2板134cを透過する。検出光は、直線偏光のレーザー光であるため、λ/2板134cを適宜回転させることで偏光成分に基づいて分離された分割光となる。具体的に検出光は、λ/2板134cを透過することでP偏光L
PとS偏光L
Sとに分離される。
【0083】
第1共焦点光学系121においては、P偏光L
Pが凸レンズ121b、ハーフミラー121cを透過し、偏光ビームスプリッター131、ダイクロイックミラー26を通過する。なお、偏光ビームスプリッター131は、第1共焦点光学系121の検出光(P偏光L
P)のみを透過させ、第2共焦点光学系122の検出光(S偏光L
S)を反射する光学特性を有する。
【0084】
ダイクロイックミラー26を通過した検出光(P偏光L
P)は、ダイクロイックミラー25で反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0085】
加工対象物Aの表面で反射された検出光(以下、反射検出光と称す場合もある)は、ダイクロイックミラー25で反射され、ダイクロイックミラー26、偏光ビームスプリッター131を透過し、ハーフミラー121cで反射される。反射検出光(P偏光L
P)は、ピンホール板121eを通って光検出部121fに入射する。光検出部121fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0086】
同様に第2共焦点光学系122においては、S偏光L
Sがミラー132で反射された後、凸レンズ122b、ハーフミラー122cを透過し、ミラー133、及び偏光ビームスプリッター131でそれぞれ反射され、ダイクロイックミラー26を透過する。
【0087】
ダイクロイックミラー26を透過した検出光(S偏光L
S)は、ダイクロイックミラー25で反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0088】
加工対象物Aの表面で反射された検出光(反射検出光)は、ダイクロイックミラー25で反射され、ダイクロイックミラー26を透過し、偏光ビームスプリッター131を透過し、ハーフミラー122cで反射される。反射検出光(S偏光L
S)は、ピンホール板122eを通って光検出部122fに入射する。光検出部122fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0089】
同様に第3共焦点光学系123においては、P偏光L
Pが凸レンズ123b、ハーフミラー123cを透過し、偏光ビームスプリッター135を通過する。なお、偏光ビームスプリッター135は、第3共焦点光学系123の検出光(P偏光L
P)のみを透過させ、第4共焦点光学系124の検出光(S偏光L
S)を反射する光学特性を有する。
【0090】
偏光ビームスプリッター135を通過した検出光(P偏光L
P)は、ミラー27、ダイクロイックミラー26、ダイクロイックミラー25でそれぞれ反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0091】
加工対象物Aの表面で反射された検出光(反射検出光)は、ダイクロイックミラー25で反射され、ダイクロイックミラー26、ミラー27で反射され、偏光ビームスプリッター135を透過し、ハーフミラー123cで反射される。反射検出光(S偏光L
S)は、ピンホール板123eを通って光検出部123fに入射する。光検出部123fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0092】
同様に第4共焦点光学系124においては、S偏光L
Sがミラー136で反射された後、凸レンズ124b、ハーフミラー124cを透過し、ミラー137、偏光ビームスプリッター135、ミラー27、及びダイクロイックミラー26でそれぞれ反射される。
【0093】
ダイクロイックミラー26で反射された検出光(S偏光L
S)は、ダイクロイックミラー25で反射される。ダイクロイックミラー25で反射された検出光は、対物レンズ3を介して載置面1a上の加工対象物Aの表面に照射される。
【0094】
加工対象物Aの表面で反射された検出光(反射検出光)は、ダイクロイックミラー25、ダイクロイックミラー26、ミラー27、偏光ビームスプリッター135、ミラー137、ハーフミラー124cで反射される。反射検出光(S偏光L
S)は、ピンホール板124eを通って光検出部124fに入射する。光検出部124fは、受光量に応じた強度の受光信号を出力する。
【0095】
このように本実施形態においては、オートフォーカス光学系120を構成する第1、第2共焦点光学系121、122及び第3、第4共焦点光学系123、124の各々が、互いに光源部130、134を共通化している。これにより、加工装置200の部品点数を少なくし、コスト低減を実現している。
【0096】
また、加工装置200は、各光源部130、134は、光源130a、134aから射出した検出光を偏光成分に基づいてP偏光L
P及びS偏光L
Sに分離することで各検出光を確実に受光することが可能となっている。
【0097】
本実施形態においても、各光検出部121f〜124fは、それぞれ制御部50に電気的に接続されている。制御部50は、上記実施形態と同様、各光検出部121f〜124fから送信された検出信号(
図2参照)について差分を取る演算処理を行い、差分信号を作成する。
【0098】
そのため、本実施形態に係る加工装置200においても、複数(3つ)のオフセット量(本実施形態では、0μm、50μm、100μm)が選択可能となっている。制御部50は、選択されたオフセット量に加工用レーザー光Lを集光(フォーカス)させるように加工対象物A及び対物レンズ3の相対位置を調整する。
【0099】
以上のように、本実施形態においても、制御部50がオートフォーカス光学系120から送信される信号、具体的には複数の共焦点光学系121〜124(光検出部121f〜124f)における反射検出光の受光結果の差分データに基づいて加工用レーザー光Lの集光位置におけるオフセット量を複数選択することができる。
また、加工装置200は、上記選択されたオフセット量に対応させるように加工対象物Aに対する対物レンズ3の相対位置をオートフォーカスすることができる。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態は、半導体ウエハからなる加工対象物Aに溶融処理領域を含む改質領域を形成したが、ガラスや圧電材料等、他の材料からなる加工対象物の内部に、クラック領域や屈折率変化領域等、他の改質領域を形成してもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、オートフォーカス光学系20,120がそれぞれ共焦点光学系を4つ備えることで3つのオフセット量を選択可能な構成としたが、共焦点光学系を5つ以上備えることでオフセット量を4つ以上選択な構成を採用してもよい。
また、オートフォーカス光学系20,120の構成を組み合わせるようにしても良い。すなわち、複数の共焦点光学系のいずれかの光源を共通化し、偏光成分で分離することで検出光を検出し、他の光源について波長で分離することで検出光を検出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、オートフォーカス光学系20,120の光軸を加工用レーザー光Lの光軸と同軸にして出射する場合を例に挙げたが、非同軸にして出射する構成をさいようしてもよい。