(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
投影システムの最終要素と対向表面との間の空間に液体を供給する流体ハンドリングシステムであって、前記空間内の液体のメニスカスの半径方向外側に第1のガス流を供給する第1のガスアウトレットを有する流体ハンドリングシステムと、
二酸化炭素を供給源から前記第1のガスアウトレットに供給する二酸化炭素供給システムと、
前記二酸化炭素供給システムから離れた温度調整された第2のガス流をオブジェクト上に供給する、前記第1のガスアウトレットの半径方向外側の第2のガスアウトレットであって、前記第2のガス流中のガスは、人間の安全に危険を及ぼさず、かつ、二酸化炭素を希釈可能である、第2のアウトレットと、
前記第2のガスアウトレットにおける又はその上流の流れ及び/又は圧力を検出するセンサを備える制御システムであって、前記センサからの信号が、前記第2のガスアウトレットにおける又はその上流の流れ及び/又は圧力が所定の大きさを下回ることを示すとき、前記第1のガス流の供給を停止する制御システムと、を備えるリソグラフィ装置。
前記センサは、前記第2のガスアウトレットにおける又はその上流のガスの特定の圧力又は流量にて切り換わる圧力又は流量スイッチである、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
前記第2のガスアウトレットは、前記第2のガス流を、前記流体ハンドリングシステムによって覆われていない前記流体ハンドリングシステムの下のテーブル上のオブジェクトの領域に供給するように方向付けられている、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
前記制御システムは、(i)前記第1のスイッチからの信号が、前記供給ラインにおけるガスが前記第1の流量又は圧力を上回ることを示すとき、又は(ii)前記第2のスイッチからの信号が、前記供給ラインにおけるガスが前記第2の流量又は圧力を下回ることを示すときに、前記質量流量コントローラをオフに切り替える、請求項6に記載のリソグラフィ装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0027]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、
‐放射ビームB(例えばUV放射またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
‐パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第
1のポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
‐基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って例えば基板Wのテーブルの表面を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続されたサポートテーブル(例えば1つ以上のセンサを支持するセンサテーブルまたは基板テーブルWT)と、
‐パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSを含む。
【0020】
[0028] 照明システムILとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合せ等の様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0021】
[0029] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスMAが真空環境内で保持されているか否か等の他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスMAを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを、例えば、投影システムPSに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えてよい。
【0022】
[0030] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できるあらゆるデバイスを指していると広く解釈されるべきである。なお、放射ビームに付与されたパターンは、例えばそのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しなくてもよいことに留意されたい。一般に、放射ビームに付与されたパターンは、集積回路等のターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応する。
【0023】
[0031] パターニングデバイスMAは、透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラ
マブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは周知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフト等のマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられ、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように各小型ミラーを個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付与する。
【0024】
[0032] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射に、或いは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因に適切な屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学システム、またはそれらの任意の組合せを含むあらゆる種類の投影システムを包含すると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な用語「投影システム」と同義であると考えてよい。
【0025】
[0033] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば透過型マスクを採用しているもの)である。或いは、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば上述したようなタイプのプログラマブルミラーアレイまたは反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0026】
[0034] リソグラフィ装置は、例えば2つ以上の基板テーブル、または、1つ以上の基板テーブルおよび1つ以上のセンサまたは測定テーブルの組み合わせである、2つ(デュアルステージ)以上のテーブル(または、ステージもしくはサポート)を有するタイプのものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械では、多数のテーブルを並行して使うことができ、すなわち予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。リソグラフィ装置は、基板、センサ、および測定テーブルと同様に並行して使うことができる2つ以上のパターニングデバイステーブル(またはステージもしくはサポート)を有しうる。
【0027】
[0035]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。その場合、放射源SOは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また、放射ビームは放射源SOからイルミネータILへ、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合、例えば放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0028】
[0036] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含んでもよい。一般に、イルミネータILの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといった様々な他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布を持たせることができる。放射源SOと同様に、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成するとみなされても、みなされなくてもよい。例えばイルミネータILは、リソグラフィ装置の一体部分であっても、リソグラフィ装置とは別個の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に取り付けることができるように構成されうる。任意選択的に、イルミネータILは、取り外し可能であって、(例えばリソグラフィ装置の製造業者または別の供給業者によって)別個に設けられてもよい。
【0029】
[0037] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に入射し、パターニングデバイスMAによってパターンが付けられる。パターニングデバイスMAを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点を合わせる。第2のポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは静電容量センサ)を使い、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1のポジショナPMおよび別の位置センサ(
図1には明示しない)を使い、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して、例えばマスクライブラリからの機械的な取り出しの後またはスキャン中に、正確に位置決めすることもできる。通常、サポート構造MTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2と、基板アライメントマークP1、P2を使って位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分Cとターゲット部分Cとの間の空間内に置くこともできる(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0030】
[0038] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0031】
[0039] 1.ステップモードでは、サポート構造MTと基板テーブルWTとを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームBに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それにより別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0032】
[0040] 2.スキャンモードでは、サポート構造MTと基板テーブルWTとを同期的にスキャンする一方で、放射ビームBに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分Cの幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分Cの高さ(スキャン方向)が決まる。
【0033】
[0041] 3.別のモードでは、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードでは、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述のタイプのプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0034】
[0042] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、或いは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0035】
[0043] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といったマイクロスケールまたはさらにはナノスケールのフィーチャを有するコンポーネントの製造における他の用途を有し得ることが理解されるべきである。
【0036】
[0044] 投影システムPSの最終要素と基板との間に液体を供給するための構成は、3つの一般的なカテゴリに分類することができる。これらのカテゴリは、浴式(バス型 bath type)構成、いわゆる局所液浸(localized immersion)システム、およびオールウェット(all-wet)液浸システムである。浴式構成では、基板Wの実質的に全体と、任意選択的に基板テーブルWTの一部とが液体浴内に沈められる。
【0037】
[0045] 局所液浸システムは、液体が基板の局所領域にのみ供給される液体供給システムを使用する。液体によって充填される空間は、平面で見た場合に、基板の上面よりも小さく、液体で充填される容積は、基板Wがその容積の下を移動する間も投影システムPSに対して実質的に静止したままである。
図2乃至
図5は、このようなシステムにおいて使用することができる様々な供給デバイスを示す。液体を局所領域に封止するシール特徴も存在する。これを構成するために提案されている1つの方法は、PCT特許出願公報WO99/49504に開示されている。
【0038】
[0046] オールウェット構成では、液体は閉じ込められていない。基板の上面全体と、基板テーブルの全部または一部とが、液浸液によって覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深度は小さい。液体は、基板上の液体の薄膜といった膜でありうる。液浸液は、投影システムおよび投影システムに面する対向表面(かかる対向表面は基板および/または基板テーブルの表面でありうる)の領域にまたは領域内に供給されうる。
図2乃至
図5の液体供給デバイスのいずれもかかるシステムに用いることができる。しかし、液体を局所領域にのみ封止するシール特徴は、存在しないか、アクティブにされていないか、通常よりも効率がよくないか、あるいは効果的ではなくなっている。
【0039】
[0047]
図2および
図3に示されるように、液体は、少なくとも1つのインレットによって、基板上に、好適には最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給される。液体は、投影システムの下を通り過ぎた後に、少なくとも1つのアウトレットによって除去される。基板が、−X方向において最終要素の下でスキャンされると、液体は、最終要素の+X側で供給され、−X側において回収される。
図2は、液体がインレットを介して供給されて、低圧源に接続されたアウトレットによって最終要素のもう一方の側において回収される構成を概略的に示す。
図2の例示では、液体は、最終要素に対する基板の移動方向に沿って供給されるが、必ずしもそうでなくともよい。最終要素の周りには様々な向きと数のインレットおよびアウトレットが位置決めされてよく、一例が
図3に示され、
図3では、最終要素の周りに定期的なパターンで両側にインレットとアウトレットの4つのセットが設けられている。なお、
図2および
図3では液体の流れの方向を矢印で示している。
【0040】
[0048]
図4に、局所液体供給システムを有する更なる液浸リソグラフィソリューションを示す。液体は、投影システムPSの両側にある2つの溝インレットによって供給され、また、インレットの半径方向外側に配された複数の個別のアウトレットから除去される。インレットは中心に穴の開いたプレートに配置されてよく、投影ビームはこの穴を通って投影される。液体は、投影システムPSの片側にある1つの溝インレットによって供給され、投影システムPSのもう片側にある複数の別個のアウトレットによって除去されて、投影システムPSと基板Wとの間に液体からなる薄膜が流れる。どのインレットとアウトレットからなる組合せを選択するかは、基板Wの移動方向に依存する(インレットとアウトレットからなる他の組合せは、非アクティブ状態にされる)。なお、
図4では液体の流れの方向および基板の方向を矢印で示している。
【0041】
[0049] 投影システムの最終要素と、基板、基板テーブルまたは両方との間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する液体閉じ込め構造を有する液体供給システムを提供する別の構成が提案されている。
図5にこのような構成を示す。
【0042】
[0050]
図5は、投影システムの最終要素と基板テーブルWTまたは基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する液体閉じ込め構造12を有する局所液体供給システムまたは流体ハンドリングシステムを概略的に示す。(なお、以下の文章における基板Wの表面への言及は、特に明記されない限り、基板テーブルの表面に追加でまたはその代わりに言及するものであることに留意されたい。)液体閉じ込め構造12は、XY面において投影システムに対して実質的に静止しているが、Z方向において(光軸の方向において)幾らかの相対運動がありうる。一実施形態では、液体閉じ込め構造12と基板Wの表面との間にシールが形成され、このシールは、ガスシールまたは液体シールといったように非接触シールでありうる(ガスシールを有するこのようなシステムは、欧州特許出願公報第EP−A−1,420,298号に開示されている)。
【0043】
[0051] 液体閉じ込め構造12は、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間11内に液体を少なくとも部分的に含む。基板Wへの非接触シール16は、投影システムPSのイメージフィールドの周りに形成され、それにより、液体は基板Wの表面と投影システムPSの最終要素との間の空間内に閉じ込められる。空間11は、投影装置PSの最終要素の下に位置決めされ且つ最終要素を囲む液体閉じ込め構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体は投影システムPSの下でかつ液体閉じ込め構造12内の空間に、液体インレット13によって入れられる。液体は、液体アウトレット13によって除去されうる。液体閉じ込め構造12は、投影システムの最終要素の少し上に延在しうる。液面は、投影システムの最終要素より上に上昇し、それにより液体のバッファが設けられる。一実施形態では、液体閉じ込め構造12は、上端において、投影システムまたはその最終要素の形状にぴったりと合い、また例えば丸い形状でありうる内周部を有する。底部では、必ずしもそうでなくてもよいが、内周部が、イメージフィールドの形状(例えば矩形)にぴったりと合う。
【0044】
[0052] 液体は、使用時に、障壁部材12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込まれうる。ガスシールはガスによって形成される。ガスシール内のガスは、インレット15を介して、障壁部材12と基板Wとの間のギャップに圧力下で供給される。ガスはアウトレット14を介して抽出される。ガスインレット15にかかる超過圧、アウトレット14上の真空レベル、およびギャップの形状は、液体を閉じ込める高速のガス流16が内側にあるように配置される。障壁部材12と基板Wとの間の液体にかかるガスの力が、液体を空間11内に封じ込める。インレット/アウトレットは、空間11を囲む環状溝でありうる。環状溝は、連続的であっても非連続的であってもよい。ガス流16は、液体を空間11内に封じ込めるのに効果的である。このようなシステムは、参照することにより本明細書にその全体を組み込むものとする米国特許出願公報第2004−0207824号に開示される。一実施形態では、液体閉じ込め構造12はガスシールを有さない。
【0045】
[0053] 本発明の実施形態は、例えば米国特許出願公開第2006−0158627号、第2006−0038968号、第2008−0212046号、第2009−0279060号、第2009−0279062号、第2004−0207824号、および第2010−0313974号、並びに2010年10月18日に出願された米国特許出願第61/394,184号に開示されたものを含む任意の流体ハンドリング構造に適用されうる。これらの文書のそれぞれの内容は参照することによりその全体を本明細書に組み込むものとする。
【0046】
[0054]
図2乃至
図5を参照して上述したような局所領域流体ハンドリングシステムは、空間11内への泡混入の問題を抱えうる。図に示すように、メニスカス320が、例えば流体ハンドリングシステム12と流体ハンドリングシステム12の下の表面との間に延在する。同様に、メニスカス400も、例えば流体ハンドリングシステム12と投影システムPSの表面との間に延在する。
図5に示されるメニスカス320は、空間11の縁を画成する。メニスカス320が、例えば空間11から漏れた液滴である小滴と表面において衝突すると、気泡が空間11内に含まれうる。空間11内への泡混入は、(例えば投影ビームが液浸液を通過する際に泡が投影ビームに干渉すると)気泡によって結像誤差につながるので、有害である。小滴は、通常、少なくとも3つの状況、即ち、(a)液体ハンドリングデバイスが基板Wの縁を越えて位置し、且つ液体ハンドリングデバイスと基板Wとの間に相対運動がある場合、(b)液体ハンドリングデバイスが、液体閉じ込め構造に面している対向表面の高さにおける段差変化部上に位置し、且つ液体ハンドリングデバイスと対向表面との間に相対運動がある場合、および/または、(c)液体ハンドリングデバイスと対向表面との間の高すぎる相対速度に起因し、例えば対向表面の臨界スキャン速度を超えることによって、液体ハンドリングデバイスに対して例えばメニスカスが不安定になる場合、のうちの1つにおいて、表面上に残される。
【0047】
[0055] 非常に小さい気泡は、空間11の露光領域に到達する前に液浸液中に溶解しうる。通常、二酸化炭素(CO
2)は、空気の泡よりも早く溶解する。したがって、特定寸法の二酸化炭素の泡は、同じサイズの気泡よりも早く消失する。CO
2の泡は、窒素より55倍大きい溶解度と、窒素の0.86倍の拡散率を有し、同じサイズの窒素の泡が溶解するのにかかる時間よりも37倍短い時間で溶解する。
【0048】
[0056] 参照することによりその全体を本明細書に組み込む米国特許出願公報第2011−0134401号には、20℃および1atmの全圧で5×10
−3mol/kgより大きい液浸液中での溶解度を有するガスを、空間11に隣接する領域に供給することが記載されている。かかる公報はさらに、20℃および1atmの全圧で3×10
−5cm
2s
−1より大きい液浸液中での拡散率を有するガスを、空間11に隣接する領域に供給することが記載されている。かかる公報はさらに、20℃および1atmの全圧で液浸液中の拡散率と溶解度の積が空気のそれよりも大きいガスを、空間11に隣接する領域に供給することが記載されている。
【0049】
[0057] ガスの泡が、液浸液において高い拡散率、溶解度、または拡散率および溶解度の積を有するガスである場合、そのガスは液浸液中にずっと速く溶解する。したがって、周囲空気の雰囲気ではなく、CO
2をメニスカス320、400の半径方向外側に供給することによって、結像誤差の数を少なくし、それにより高いスループット(例えば液体ハンドリングシステム12に対する基板Wの速度が速くなる)と低い欠陥度が可能となる。
【0050】
[0058] 2010年10月18日に出願された米国特許出願第61/394,184号には、例えば二酸化炭素であるガスを空間11に隣接する領域に(例えば容積にまたはある領域に向かって)供給するように構成されたガス供給デバイスを提供することが記載されている。具体的には、ガスは、対向表面と液体ハンドリングデバイス12との間に延在するメニスカス320に隣接する領域にあるように供給される。
【0051】
[0059] 少なくとも周囲雰囲気よりも高い濃度の二酸化炭素は、人間の安全に危険を及ぼす。したがって、リソグラフィ装置の周りの雰囲気における二酸化炭素の割合が人間の安全に危険を及ぼす濃度にまで上がらないことを確実にすることを支援する安全システムが設けられるべきである。実際に、80%より大きい二酸化炭素濃度を有するガスは、通常、雰囲気に放出されてはならない。スクラバ(scrubber)を用いて、ガスから二酸化炭素を取り出してその濃度を下げてもよい。代替のまたは追加のシステムでは、ガス中の二酸化炭素は再利用できる。
【0052】
[0060] 接続部が開いてしまうまたは破損してしまうことにより、さらにはバルブの故障、または抽出ポンプといった別のコンポーネントの破損により、二酸化炭素が漏れる可能性がある。これらの原因により、危険な二酸化炭素漏れと、それに続く例えばリソグラフィ装置の周りの周囲雰囲気における危険なレベルへの蓄積につながりうる。
【0053】
[0061] 安全システムは、二酸化炭素を検出するためのセンサまたはスニファ(sniffer)を使用しないことが望ましい。これは、そのようなシステムでは、二酸化炭素はそのシステムから既に逃げ出て漏れているであろうからである。さらに、センサは二酸化炭素に敏感に反応する必要があるので、人の呼気によっても始動してしまうことがあり、これは明らかに望ましくない。本発明の一実施形態では、生じた途端に二酸化炭素の漏れが検出されるか、または、対処されなければ上昇してしまいうる二酸化炭素の濃度を下げるために用いられるシステムが故障すると、二酸化炭素の供給が停止される。
【0054】
[0062] 液浸リソグラフィ装置では、二酸化炭素は、通常、大気圧でまたは大気圧付近で供給され、ガス環境内へと放出される。本発明の一実施形態は、そのようなシステムを取り扱う。
【0055】
[0063] 本発明の実施形態であるシステムは、四つの部分に分けられる。これらは、
図6に示すような供給システム100、
図7に示すように二酸化炭素が供給される容積600(流体ハンドリング構造12の周りの容積)の周りの安全システム、および
図8に示す抽出システム700である。4番目の部分は、安全システムとの使用に設計された中央安全コントローラ500である。一実施形態では、安全コントローラ500は、任意の他のシステム制御、例えば任意の基板テーブルまたは投影システムPSの制御、とは独立している。
【0056】
[0064] 次に、
図6を参照して二酸化炭素供給システム100を説明する。二酸化炭素供給システム100では、安全コントローラ500は、二酸化炭素供給システム100の供給ライン110におけるガス圧が高過ぎるまたは低過ぎることが検出されると、二酸化炭素の供給を止める。
【0057】
[0065] 供給ライン110におけるガス圧が高過ぎる場合、漏れを検出することが困難となりうる。さらに、圧力が高過ぎる場合、これは、以下に説明するように、圧力レギュレータ130の故障、命令された後でのバルブの閉鎖不能、またはLOTO(ロック・アウト・タグ・アウト)バルブ120の故障も示すことができる。
【0058】
[0066] 安全コントローラ500は、供給ライン110における圧力が低過ぎると測定された場合、二酸化炭素の流れを停止するように構成される。圧力が低過ぎることは、漏れがあることを示す。
【0059】
[0067] 二酸化炭素源105がシステム100にガスを供給する。ガスは、手動式LOTOバルブ120まで、例えば硬質ダクトを用いてダクトを通される。LOTOバルブ120の下流には圧力レギュレータ130(場合により圧力ゲージを有する)がある。圧力レギュレータ130は、二酸化炭素の圧力を、あらゆる可能な供給圧について実質的に一定の値にするように機能する。
【0060】
[0068] 安全上の理由から、二酸化炭素供給システム100は、2つのバルブ140、170を有する。両バルブ140、170は、二酸化炭素が供給されるデバイス(例えば上述した実施形態におけるように流体ハンドリングシステム12)への供給ライン110に沿って二酸化炭素を供給するために開かれる。一実施形態では、バルブ140、170は、信号が失われるまたは電源供給がなくなった場合に二酸化炭素の供給が止まるように通常は閉じている(ノーマルクローズ)弁である。一実施形態では、バルブ140、170は、例えば通常は閉じている(ノーマルクローズ)ソレノイドによって作動される。バルブ140、170は、安全コントローラ500の制御下で開閉される。
【0061】
[0069] 第1のスイッチ150が、第1のバルブ140の下流で供給ライン110内にある。第1のスイッチ150は、流量または圧力スイッチである。つまり、第1のスイッチは、供給ライン110におけるガスの特定の(例えば所定の)流量または圧力にて出力を切り替える。一実施形態では、第1のスイッチは、少なくとも2つのスイッチ151、152から構成される。これは、スイッチ151、152のうちの一方が故障した場合にスイッチ151、152のうちの他方が、関連信号を安全コントローラ500に依然として提供できるようにするビルドイン冗長性である。
【0062】
[0070] 第1のスイッチ150からの信号が、供給ライン110におけるガスの流量および圧力が高過ぎる(例えば所定の流量または圧力を上回る)ことを示す場合、安全コントローラ500は、(以下に説明するように)二酸化炭素の供給を止める。第1のスイッチ150は、事実上、圧力ゲージを有する圧力レギュレータ130が正しく動作しているのかを確認する。圧力が高過ぎる場合、供給ライン110における漏れが検出されない場合もある。
【0063】
[0071] 第2の圧力または流量スイッチ160が、供給ライン110内に設けられる。第2のスイッチ160が、供給ライン110における流量または圧力が特定の値(例えば所定の値)を下回ることを示す信号を安全コントローラ500に供給すると、二酸化炭素供給システム100によるガスの供給が停止される。圧力ゲージを有する圧力レギュレータ130の下流の供給ライン110において低圧力が検出された場合、これは、供給システムにおける漏れを示す。第2のスイッチ160も、第1のスイッチ150と同様に2つのスイッチを含みうる。
【0064】
[0072] 第2のバルブ170の下流に、流れ制限部175がある。流れ制限部175の目的は、流れ制限部175の下流で大きい漏れが生じた場合にガス流を減少または最小限にすることである。弾性接続部178の上流にあるコンポーネントをシステムの残りに接続するように弾性結合部178が設けられうる。弾性結合部178は、互いに対して移動しうる装置の2つの部品間に二酸化炭素を供給することを可能にする。弾性結合部178は、供給ライン110内の他の場所に設けられてもよい。
【0065】
[0073] 様々なコンポーネント、例えば熱交換器180および圧力センサ190(その信号は、安全コントローラ500ではなくリソグラフィ装置の制御システムによって使用される)、が供給ライン110内に設けられうる。更なるスイッチ200、230も設けられて供給ライン110における圧力または流量が特定の(例えば所定の)流量または圧力を下回っているかどうかが示される。この指示は、漏れの存在を示しうる。このような指示を受信すると、安全コントローラ500は、供給システム100を止める。流量または圧力スイッチ200が圧力センサ210および関連付けられた質量流量コントローラ220の上流に設けられる。圧力センサ210は、圧力センサまたは圧力スイッチでありうる。流量または圧力スイッチ230は、質量流量コントローラ220の下流にかつ流体ハンドリングシステム12の上流に設けられる。
【0066】
[0074] スイッチ200、230は、バルブ170が正しく動作していることを確認して、第2のスイッチ160の下流で供給ライン110からガスの漏れがあるかどうかを判定する。スイッチ200は、質量流量コントローラ220の上流の供給ラインからガスの漏れがあるかどうかを判定する。スイッチ230は、質量流量コントローラ220の下流の漏れを確認する。スイッチ200、230は、スイッチ160と同様に動作し、第1のスイッチ150と同様にそれぞれ201、202と231、232を含むことによってビルドイン冗長性を有する。
【0067】
[0075] 通常動作では、質量流量コントローラ220は、リソグラフィ装置のコントローラの制御下で、圧力センサ210からの信号に基づいて動作する。しかし、安全コントローラ500は、二酸化炭素の漏れまたは他の障害が検出されると質量流量コントローラ220を止める(即ち、質量流量をゼロにする)ように構成されている。これは、二酸化炭素源105と質量流量コントローラ220との間の供給ライン110における圧力の上昇をもたらしうる。このような圧力の上昇に対処し、圧力のレベルを下げるために、二酸化炭素源105と質量流量コントローラ220との間(一実施形態ではバルブ170と質量流量コントローラ220との間)に分岐ラインバルブ240を有する分岐ラインが設けられる。安全コントローラ500の制御下で、供給ライン110における圧力は、質量流量コントローラ220を停止した後に、分岐ラインバルブ240を開くことにより下げることができる。そのガスは、雰囲気中へと出されるか、または、以下の
図8を参照して説明するように抽出システムへと供給されうる。分岐ラインバルブ240は、一実施形態では、安全上の理由から、通常は開いている(ノーマルオープン)弁である。一実施形態では、分岐ラインバルブ240は、ノーマルクローズソレノイドによって作動される。
【0068】
[0076] 圧力センサではなく圧力スイッチを用いることによって、システムをロバストにすることができる。システムのロバスト性は、2つのバルブ140、170を設けることによって高められうる。センサではなく、絶対圧力を測定する圧力スイッチを使用することにより、安全コントローラ500にアナログ入力ではなくデジタル入力を供給することになる。これにより、全体としてのロバスト性という観点からデバイスの安全性を向上させる。
【0069】
[0077] 分岐ラインバルブ240を用いて供給ライン110から二酸化炭素を除去することにより、安全コントローラ500が二酸化炭素の供給を再開できるように、第1のスイッチ150によって測定される圧力が十分に低いように、圧力降下がもたらされる。
【0070】
[0078] 圧力制御または流れ制御のいずれかが用いられうる。圧力システムでは、流量ではなく圧力が調整される。
【0071】
[0079] 二酸化炭素供給システム100の動作を以下により詳細に説明する。
【0072】
[0080] まず、分岐ラインにおけるバルブ240が閉じていることを確保する。特定の時間の遅延、例えば3秒が、バルブ140を開くことと第2の圧力スイッチ160からの結果をチェックすることとの間に作られて、バルブ140が開いたことを確認する。バルブ140が開いたことが確認されると、第2のバルブ170が開かれる。第2のバルブ170が開かれた後、圧力スイッチ200で圧力がチェックされて、バルブ170が正しく開いたか判定し、漏れがないか判定する。第2のバルブ170が開いたという確認後、質量流量コントローラ220がその設定点にセットされうる。更なる遅延、例えば5秒後、圧力スイッチ230は、漏れがないかどうかをチェックする。スイッチ160、200、230は、装置の作動中にガス漏れがないか常にまたは定期的にチェックする。
【0073】
[0081] 例えば装置の動作停止もしくはそれに類似すること、または安全コントローラ500による漏れもしくは他の非常事態の検出によって、二酸化炭素供給が停止されるべき場合、特定の順序のイベントが行われることが望ましい。まず、質量流量コントローラ220が停止されるかまたは1分あたりゼロリットルの質量流量に設定される。ある時間の遅延後、バルブ170が閉じられる。同時にまたは少し遅れて、分岐ラインにおけるバルブ240が開かれて、質量流量コントローラ220が閉じられバルブ170が閉じられた間の時間にシステム内に高まった二酸化炭素を放出する。さらに時間が経過した後、スイッチ200からの安全コントローラ500への入力がチェックされて、圧力が降下したかどうかを見る。ガス圧が降下すると、バルブ140が閉じられ、バルブ170が開かれる。特定の時間の遅延、例えば3秒後、バルブ140が正しく閉じられたかどうかを見るためにスイッチ160の出力が判定される。バルブ140が正しく閉じられたことが判定されると、スイッチ160および/または200によって示される圧力が、圧力が下がったことを示す場合、バルブ170、ならびに分岐ラインバルブ240が閉じられる。
【0074】
[0082] 圧力スイッチ150および220は、以下に説明するような態様で、システムが通常圧力範囲内で動作するかどうかを検出する。一実施形態では、通常動作時、二酸化炭素圧力は、圧力スイッチ150および160では、約4.2barg(バーゲージ、例えば周囲圧または気圧より上のバールでの圧力)となる。特定の流れと周囲圧では、システムは4.2−2.6=1.6barである圧力スイッチ150および200間の最大圧力降下に対して作動しなければならないようにシステムは設計される。通常動作時、最小二酸化炭素圧は、圧力スイッチ200において約2.6bargとなる。圧力が2.4bergを下回る場合、システム内には漏れが存在しうる。圧力スイッチ150における圧力が、5.0bargを上回る場合、圧力スイッチ200によって漏れが検出されないという危険がある。
【0075】
[0083] 一実施形態では、二酸化炭素供給システム100によって供給される二酸化炭素は、
図5に詳細に示されるように、流体ハンドリングシステム12に供給される。
図7に示されるように、二酸化炭素は、流体ハンドリング構造12と、対向表面、例えば基板テーブルWT1上の基板との間に延在するメニスカス320の半径方向外側に流体ハンドリング構造12内の開口305を介して供給される。開口305から出て半径方向外側に移動する二酸化炭素の多くは、抽出システム700に接続された1つ以上のコレクタ(または回収)開口310から抽出される。
図8に、例示的な抽出システム700を示す。
【0076】
[0084] 開口305から出る二酸化炭素の一部がコレクタ開口310を介して抽出されない可能性がある。この例としては、投影システムPS下で基板テーブルWT1が別のテーブルに交換されるテーブル取替え時がある。取替え時、交換するテーブル間で対向表面にギャップがありうる。ギャップがあることによって、開口350を通じて供給された二酸化炭素の全てをコレクタ開口310により回収することが困難となりうる。
【0077】
[0085] 未回収の二酸化炭素があっても、二酸化炭素が供給される容積600内に大きいガス流がある場合には許容される。一実施形態では、少なくとも1つのガスアウトレット350が、開口305の半径方向外側に設けられている。開口305を介して二酸化炭素が容積600内に供給される。ガス流は、基板テーブルの上面上への温度調整されたガス流であることが好都合でありうる。一実施形態では、ガス流中のガスはクリーンおよび/またはドライである。ガスアウトレット350からのガス流は、基板テーブルWT1の上面の一部、または、図示するようにここでは投影システムの下にはない、基板テーブWT1の上面上のオブジェクトへと流れる。ガスは、投影システムPSの下にない基板テーブルWT1の上面の温度を調整するために用いられうる。
【0078】
[0086] ガスアウトレット350から出るガスの高い流量が続く限り、開口305から出る二酸化炭素を、それが危険とならない十分な程度にまで希釈する。センサ360が、ガスアウトレット350においてまたはその上流に設けられる。センサ360は、ガスの絶対圧または流量を測定するセンサか、または、特定(例えば所定)の流量または圧力にて切り替わる圧力または流量スイッチでありうる。センサ360からの出力信号は、安全コントローラ500に供給される。安全コントローラ500が(センサ360からの信号に基づいて)ガスアウトレット350から出るガスの流量が不十分であると決定すると、二酸化炭素供給システム100による二酸化炭素の供給は上述したように停止される。
【0079】
[0087] 圧力または流量センサまたはスイッチ370が設けられて、コレクタ開口310の下流の流量または圧力を測定しうる。センサ370から安全コントローラ500に供給される信号が、コレクタ開口310の下流の流れおよび/または圧力が特定(例えば所定)の範囲外であることを示す場合、二酸化炭素供給システム100からの二酸化炭素の供給が安全コントローラ500によって停止されうる。
【0080】
[0088] 追加のまたは代替の安全特徴は、二酸化炭素が供給される容積600の周りに壁375a、b、cを設けることである。容積600にアクセスするためには、少なくとも1つの壁375a、b、cが移動される。一実施形態では、少なくとも可動壁はガスカーテンといった流体カーテンである。1つの壁375a、b、cの別の壁375a、b、cに対する動きを検出可能な1つ以上のセンサ380が設けられる。容積600は、壁375a、b、cによって境界付けられる。センサ380は、壁375a、b、cのうちの少なくとも2つの移動、および/または、誤配置とそれによる閉鎖、を検出するように位置決めされる。したがって、センサ380は、容積へのアクセスの試み、および/または、容積の誤閉鎖を、検出するように構成される。センサ380は、安全コントローラ500に信号を供給する。安全コントローラ500への入力が、容積600へのアクセスが試みられたこと、または、容積600の誤閉鎖を示す場合、二酸化炭素供給システム100は、動作している場合は自動的に停止することができる。スイッチ380によって与えられるインターロックは、追加の安全特徴を提供する。これは、容積600の底部にある二酸化炭素の濃度が、抽出システムが故障している場合、および/または、ガスアウトレット350からのガス流が不十分である場合、かなり高いことがあるからである。
【0081】
[0089]
図8は、本発明の一実施形態による抽出システム700を示す。抽出システム700は、
図6の、流体供給構造12のコレクタ開口310および/または分岐ラインバルブ240の出口に接続されている。
【0082】
[0090] エクストラクタ702、又は排気源が設けられうる。エクストラクタ702は、ガスをリサイクルおよび/またはスクラブする機構を含んでもよい。エクストラクタ702は、リソグラフィツールが置かれうる建物の工場設備または研究室の一部でありうる。
【0083】
[0091] 液体とガスの混合物が、収集開口310から抽出されうる。ガスおよび液体は、まず、分離チャンバ710において分離される。分離チャンバ710は、米国特許出願公報第2005−0282405号および第2006−0082746号に開示されたように構築および構成されてよい。これらの公報は、参照することによりその全体を本明細書に組み込むものである。一実施形態では、収集チャンバ710の底部にドレイン715が設けられて、収集された液体が排水される。この液体は、廃棄されるか、リサイクルされるか、再利用されうる。
【0084】
[0092] ガスは、分離チャンバ710から1つ以上のポンプ720a、720bへと供給される。一実施形態では、十分な容量を有するために2つのポンプが設けられている。一実施形態では、ポンプは、液体(例えば水)リングポンプにおけるように水封される。このようなポンプ720a、bは、高い流量を達成するために推奨される。ポンプは、金属羽根車(インペラ)および金属筐体からなり、実質的に金属と金属の接触がなく、それにより磨耗がほとんどないように液体(例えば水)によってシールされている。ポンプは、少ない磨耗で高い性能を達成する(インペラブレードの先端を越えるガスの逆流がほとんどないかまたは全くない)。これにより、ガスに沿ってポンプ720a、bから液体が出る。プライミング液体(呼び液体)が、ポンプ720a、720bにおいて、二酸化炭素に接触している。したがって、任意の余剰の液体は開放システムを介して排出できない。二酸化炭素はこのような開放システムを介しても漏れうるからである。このために、余剰の液体は、ポンプ720a、bから出るガスとともに、第1の容器730内へと迂回される。第1の容器730内では、ポンプ702a、bからの出力が、液体とガスとに分離される。液体は、ドレイン732を介して、ポンプ720a、bに戻されてリサイクルできる。このためにバルブが設けられうる。オーバフローアウトレット738よりも下に液面736を維持するために、2つのレベルディテクタ735が用いられうる。
【0085】
[0093] ガスは、排気アウトレット739を介して第1の容器730を出る。排気アウトレット739は、オーバフローアウトレット738よりも上に設けられている。したがって、第1の容器730から排気アウトレット739を通じて出る液体は実質的にない。
【0086】
[0094] 収集開口310とポンプ720a、bとの間では、漏れの危険は低い。これは、システムは負圧下にあるからである。エクストラクタ702では、排気システム700から受け取ったガス流は、負圧にある。しかし、工場建物内に置かれた機械でありうる排気システム700と、工場建物の工場設備の一部でありうるエクストラクタ702とを接続する必要がある。エクストラクタ702は、工場コンプレックス内にある多くの様々な機械にその機能を提供しなくてはならない場合がある。排気システム700およびエクストラクタ702内の2つの負圧状態は同じでなくてもよく、互いに異なってよい。一実施形態では、ポンプ720a、b間、例えば抽出コネクタ701およびエクストラクタ702では、回収された二酸化炭素を含むガス流は真空下にない。ガス流はさらに、二酸化炭素の流れの可変性(通常動作時、供給のオンオフが切り替えられうる)により可変である。ガス流は可変であるため、
図6を参照して上述したような、1つ以上の閉鎖型圧力スイッチソリューションを設計することが困難である。
【0087】
[0095] エクストラクタ702への接続は、局所周囲雰囲気を介してであってもよい。例えばエクストラクタへの流入は、チェックバルブ760の下流の抽出コネクタ710からの流出よりも高い。抽出コネクタ701とエクストラクタ702との間の接続部は、局所(例えば周囲)雰囲気への開口を有しうる。一実施形態では、コネクタ701は、物理的に接触することなくエクストラクタ702に流体接続するように構成される。一実施形態では、エクストラクタは、エクストラクタ702のインレット開口の周りに、それに接触することなく配置される。したがって、エクストラクタへの正味ガス流入は、常に、エクストラクタ702からのガス流出よりも大きい。このようにすると、排気システム700とエクストラクタ702との間での移動時に、周囲環境内へと二酸化炭素ガスが漏れる危険が減少される。
【0088】
[0096] チェックバルブ760は、排気アウトレット739の下流に設けられている。チェックバルブ760は、抽出接続部701の上流である。チェックバルブ760は、チェックバルブ760の上流のガスが、特定(例えば所定)のレベルを上回ると開く。これは、チェックバルブ760の上流のガス圧が、チェックバルブ760が開く前に上昇しなければならないことを意味する。これにより、センサ200と同様でありうる圧力センサ750を、漏れを検出するようにチェックバルブ760の上流に位置決めすることができる。センサ750によって検出された圧力が、特定の大きさを下回る場合、このことは、漏れを示し、信号が安全コントローラ500に供給される。圧力センサ750は、圧力スイッチであっても、または、
図8に示すように、また、例えば
図6においてスイッチ200を参照して上述したように、実際には2つの圧力スイッチであってもよい。チェックバルブ760の開き圧力は、例えば500Pag(パスカルゲージ)でありうる。
【0089】
[0097] 圧力センサ770(例えば圧力スイッチ)が、チェックバルブ760の下流に設けられうる。圧力センサ770は、安全コントローラ500と信号を通信する状態でありうる。圧力センサ770は、エクストラクタ702が動作しているか否かを検出する。圧力センサ770が、圧力が特定(例えば所定)の値を上回ることを検出すると、二酸化炭素供給システム100による二酸化炭素の供給は安全コントローラ500によって停止される。センサ770は、圧力スイッチであっても圧力センサであってよい。センサ770が圧力スイッチである場合、
図6を参照して上述したスイッチ150と同様に動作しうる。
【0090】
[0098] 動作時、二酸化炭素供給システム100の起動と、漏れの存在を検出するセンサ750の使用との間には、ある特定の時間の遅延、例えば10秒がありうる。これは、第1の容器730の下流で圧力が上昇するまでに少し時間がかかりうるからである。
【0091】
[0099] 第1の容器730内の液面736が、(一実施形態ではそうであるように)オーバフローアウトレット738を下回る場合、二酸化炭素は、オーバフローアウトレット738から流出しうる。この状況を緩和するために、第2の容器800がオーバフローアウトレット738の下流に設けられうる。第2の容器800は、(センサ820によって決定されるレベル810に)常に少なくとも部分的に液体で満たされているように設計される。センサ820は、以下に記載すること以外は第1の容器730のレベルディテクタ738について記載されたように機能するレベルディテクタであってよい。液面810が上部センサ820に到達すると初めて液体は第2の容器800から排出される。このためにポンプ830が設けられている。
【0092】
[00100] 下部センサ820またはポンプ830用のコントローラが故障したという状況を緩和するために、チェックバルブ840がポンプ830の下流に設けられている。チェックバルブ840は、特定の大きさを超えた上流圧力にてのみ開く。特定の大きさは、ポンプ830で駆動されたガス流だけでは達成できないように選択される(例えば、特定の大きさは、ガスを排出するときにポンプ830によって生成される圧力に加えられたチェックバルブ760の開き圧力よりも高い)。したがって、第2の容器800内の液面810が完全に下に落ちても、ドレイン815を介してシステムを出ることはない。
【0093】
[00101]
図9に、抽出システム700の別の実施形態を示す。本実施形態における特徴は、
図8に示し、かつ
図8を参照して説明した特徴と同様に機能し、同じ特徴には、特に明示されない限り同じ参照番号を付している。図示する配置では、1つのポンプのみが示されることを除き、ポンプ721はポンプ720と同様に機能する。例えば
図8の配置における2つのポンプ720a、720bといったように、直列または並列にされる任意の数のポンプを用いることができる。
【0094】
[00102]
図9の実施形態は、第1の容器730のエクストラクタ702への接続が直接であるという点で、
図8の実施形態とは異なる。接続は、局所周囲雰囲気を介していない。したがって、第1の容器730は、排気アウトレット739を介して流体ラインによってエクストラクタ702に接続されている。排気部への接続が直接であるので、二酸化炭素の漏れの危険を少なくするためのチェックバルブが不要である。センサ200、750、770と同様の圧力センサ755が流体ラインに設けられ、例えば流体ラインにおける漏れを検出する。センサ755が特定の大きさを下回る圧力を検出すると、これは、漏れを示すものであり、センサ755が接続されている安全コントローラ500に信号が供給される。圧力センサ755は、1つの圧力スイッチであっても、実際には、
図8に示し、かつ例えば
図6におけるスイッチ200を参照して上述したように冗長性目的から2つの圧力スイッチであってもよい。排気アウトレット739とエクストラクタ702との間の流体ラインは連続的であるので、1つの圧力センサ755か、またはセンサのセットがある。(これは
図8に示すように2つの750、770と比べられる)。
【0095】
[00103]
図8に示す実施形態における抽出流路における開放接続は、可変の流れ条件下で二酸化炭素の濃度が高い排気ガスの効果的な抽出を可能にするものである。これは開放接続部701への流れラインは過圧状態にあり、開放接続部は周囲圧状態にあり、エクストラクタ702を通る流量が負圧状態を生成するからである。開放接続部からエクストラクタへの一定流量は、容器730からの開口内への最大流量を超えるので、容器から開放接続部に流入する流体は全てエクストラクタによって抽出される。この配置は、大きい流れおよび圧力作業範囲を有することによって、ロバストである。しかし、複雑な設計を有する。
【0096】
[00104]
図9に示す実施形態におけるように、システム設計は、抽出流体ラインにおける開放接続部を取り外し、圧力および流れレジームの作業範囲を選択することにより、単純化することができる。適切な作業範囲は、ある流量と低圧を有する。例えば排気アウトレット739とエクストラクタ702との間の流体ラインは、負圧、即ち、真空状態にありうる。容器730からの流量が可変であるので、負圧は可変である。流体ラインは、エクストラクタ702を通る流量が、容器730から流体ラインへの最大流量より高いので、負圧状態にある。二酸化炭素は安全に抽出されうる。
【0097】
[00105] 特定の圧力および流れレジーム下では、エクストラクタ702への流体ラインにおけるコンポーネント(例えばセンサ)は、不十分な感度を有するか、または、エクストラクタのように、流体ラインに印加される可変負圧に耐えられるように十分にロバストではない。これは、コンポーネントは(容器730と開放接続部701との間の)可変過圧状態か、または、(開放接続部701とエクストラクタ702との間の)一定負圧状態を経験する
図8に示される配置と比較される。このような圧力および流れレジームでは、可変の負圧状態と比べて、エクストラクタ702といったコンポーネントは、より長い寿命を有することが予測され、また、センサ755といった他のコンポーネントは、可変の負圧および例えばコンポーネントよりもその感度範囲内にある可能性が高い。したがって、抽出流れラインにおける圧力および流れは依然として可変であるが、可変性が抽出システムおよびそのコンポーネントの動作に影響を及ぼさないように流れレジームは選択される。したがって、抽出流体ラインの設計は、十分な寿命、制度、および設計の単純さを確実にする運転圧力および流量に適しているように選択されうる。
【0098】
[00106] 本発明の第1の態様では、抽出システムが提供され、この抽出システムは、特定の大きさを超える上流圧力にて開くように構成されたチェックバルブへ導管に沿ってガスを送出するポンプと、ポンプとチェックバルブとの間のガス圧を示す信号を生成する圧力センサと、圧力センサからの信号がポンプとチェックバルブとの間のガス圧が特定の大きさを下回ることを示す場合に、停止信号を生成するように構成されたコントローラと、を備える。
【0099】
[00107] 圧力センサは、ポンプとチェックバルブとの間のガスの特定の圧力にて切り替わる圧力スイッチでありうる。抽出システムは、チェックバルブの下流に負圧源を備えうる。抽出システムは、チェックバルブの下流に、チェックバルブの下流のガス圧を示す信号を生成する更なる圧力センサを備えうる。コントローラは、更なる圧力センサからの信号が、チェックバルブの下流のガス圧が特定の大きさを上回ることを示す場合に、停止信号を生成するように構成されうる。抽出システムは、チェックバルブの下流にコネクタを備えてよく、このコネクタは、ガス流を受け取るよう導管を外部の負圧源に接続するように構成される。
【0100】
[00108] 本発明の第2の態様では、リソグラフィ装置用の抽出システムが提供され、このシステムは、ガス流用の導管と、特定の大きさを超える上流圧力にて開くように構成された、導管内のチェックバルブと、ガス流を導管に沿ってチェックバルブに送出するように構成されたポンプと、チェックバルブの下流のコネクタであって、導管を外部負圧源に流体接続して導管からガス流を受け取るように構成され、周囲雰囲気に流体接続された外部負圧源との接続を形成するように構成されたコネクタとを備える。
【0101】
[00109] コネクタは、周囲雰囲気への開口を備えうる。コネクタは、物理的に接触することなく負圧源に流体接続するように構成されうる。負圧源は、例えば工場のガスエクストラクタでありうる。
【0102】
[00110] 本発明の第3の態様では、第1または第2の態様による排出システムと、ガス供給源と、を備えるリソグラフィ装置が提供され、コントローラからの停止信号が、ガス供給源および/またはポンプを停止する。
【0103】
[00111] 本発明の第4の態様では、ポンプシステムが提供され、このポンプシステムは、ガスを送出するように適応された液体潤滑ポンプと、ポンプからガスおよび液体を受け取る第1の容器であって、ガスを供給する排気アウトレットを備え、かつ液体を供給する、該排気アウトレットより下のオーバフローアウトレットを備える第1の容器と、オーバフローアウトレットと流体連結している第2の容器であって、ドレインアウトレットを備える第2の容器と、ドレインアウトレットの下流のポンプと、ポンプの下流にあり、特定の大きさを超える上流圧力にて開くように構成されたチェックバルブと、を備える。
【0104】
[00112] ポンプシステムは、第2の容器内の液面を検出するレベルセンサと、レベルセンサからの信号に基づいてポンプを制御して、容器内の液面を特定の範囲内に維持するように構成されたコントローラとを備えうる。
【0105】
[00113] 本発明の第5の態様では、リソグラフィ装置が提供され、このリソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と対向表面との間に空間に液体を供給する流体ハンドリングシステムであって、該空間内の液体のメニスカスの半径方向外側にガス流を供給する第1のガスアウトレットを有する流体ハンドリングシステムと、温度調整されたガス流をオブジェクト上に供給する、第1のガスアウトレットの半径方向外側の第2のガスアウトレットと、第2のガスアウトレットにおけるまたはその上流の流れおよび/または圧力を検出するセンサを備える制御システムであって、当該センサからの信号が第2のガスアウトレットにおけるまたはその上流の流れおよび/または圧力が特定の大きさを下回ることを示す場合に、液体のメニスカスの半径方向外側のガス流の供給を停止するように構成される制御システムと、を備える。
【0106】
[00114] センサは、第2のガスアウトレットにおけるまたはその上流の特定の圧力または流量にて切り替わる圧力または流量スイッチでありうる。流体ハンドリングシステムは、第1のガスアウトレットの半径方向外側にコレクタ開口を備えうる。リソグラフィ装置は、コレクタ開口の下流にセンサを備えてよく、この場合、制御システムは、センサからの信号がコレクタ開口の下流の流れおよび/または圧力が特定の範囲外であることを示す場合に、液体のメニスカスの半径方向外側のガス流を停止するように構成される。センサはスイッチでありうる。リソグラフィ装置は、流体ハンドリング構造の下で移動するように構成された少なくとも2つのテーブルを備えうる。第2のガスアウトレットは、温度調整されたガスの流れを、流体ハンドリング構造の下のテーブル上であるが、流体ハンドリング構造によって覆われていないオブジェクトの領域上に供給するように向けられうる。
【0107】
[00115] 本発明の第6の態様では、リソグラフィ装置があり、このリソグラフィ装置は、二酸化炭素源から二酸化炭素が供給される容積と、容積へのアクセスが試みられたことおよび/または容積の誤閉鎖を検出するセンサを備える制御システムであって、当該センサからの信号が容積へのアクセスが試みられたことおよび/または容積の誤閉鎖を示す場合に、容積への二酸化炭素の供給を停止するように構成されている制御システムと、を備える。
【0108】
[00116] 容積は壁によって境界付けられうる。センサは、壁の離れる動作を検出するように位置決めされうる。
【0109】
[00117] 本発明の第7の態様では、供給源からデバイスに二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給システムがあり、この供給システムは、供給源からデバイスへの二酸化炭素の流れのための供給ラインと、供給ラインにおけるバルブであって、ガスが供給ラインに沿って流れることができる開位置と、供給ラインに沿ったガス流が遮断される閉位置とを有するバルブと、制御システムであって、供給ラインにおけるガスの第1の流量または圧力にて切り替わる供給ラインにおける第1のスイッチ、および供給ラインにおけるガスの第2の流量または圧力にて切り替わる供給ラインにおける第2のスイッチを備え、(i)第1のスイッチからの信号が供給ラインにおけるガスが第1の流量または圧力を上回ることを示す場合、または、(ii)第2のスイッチからの信号が供給ラインにおけるガスが第2の流量または圧力を下回ることを示す場合、バルブを開位置から閉位置に移動させるように構成されている制御システムと、を備える。
【0110】
[00118] バルブは、ノーマルクローズ弁であってよい。第1のスイッチ、第2のスイッチ、または両方は、特定の圧力にて切り替わりうる。供給システムは、供給ラインにおいて質量流量コントローラを備えうる。制御システムは、(i)第1のスイッチからの信号が、供給ラインにおけるガスが第1の流量または圧力を上回ることを示す場合、または、(ii)第2のスイッチからの信号が、供給ラインにおけるガスが第2の流量または圧力を下回ることを示す場合、質量流量コントローラをオフに切り替えるように構成されうる。供給システムは、質量流量コントローラの下流または上流の供給ラインにおいて、供給ラインにおけるガスの特定の流量または圧力にて切り替わる更なる第2のスイッチを備え、この場合、制御システムは、更なる第2のスイッチからの信号が供給ラインにおけるガスが特定の流量または圧力を下回ることを示す場合、バルブを閉位置に移動させる、および/または、質量流量コントローラをオフに切り替えるように構成されている。供給システムは、バルブの下流で、かつ質量流量コントローラの上流の供給ラインから外れている分岐ラインを備えてよく、制御システムは、バルブと質量流量コントローラとの間の供給ラインにおける圧力を下げるようにバルブを閉位置に移動させて後、分岐ラインにおける分岐ラインバルブを開くように構成されている。供給システムは、供給ラインにおけるガスの第1の流量または圧力にて切り替わる更なる第1のスイッチを供給ラインにおいて備えうる。
【0111】
[00119] 本発明の第8の態様では、リソグラフィ装置と二酸化炭素供給システムがあり、このリソグラフィ装置は、本発明の第3、5または6の態様によるリソグラフィ装置であり、二酸化炭素供給システムは、本発明の第7の態様による二酸化炭素供給システムである。
【0112】
[00120] リソグラフィ装置および二酸化炭素供給システムは、本発明の第1または2の態様による抽出システム、および/または、本発明の第4の態様によるポンプシステムを備える。
【0113】
[00121] 本発明の第9の態様では、リソグラフィ装置があり、このリソグラフィ装置は、供給源からデバイスに二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給システムと、次の事項のうち1つ以上の事項が生じると二酸化炭素供給システムを停止するように構成された制御システムと、を備える。(i)圧力センサが、抽出システム内のポンプとチェックバルブとの間のガス圧が特定の大きさを下回ることを示す信号を生成すること、(ii)センサが、温度調整されたガス流を供給するガスアウトレットにおけるまたはその上流の流量および/または圧力が特定の大きさを下回ることを示す信号を生成すること、(iii)スイッチからの信号が、二酸化炭素供給システムの供給ラインにおけるガスが第1の流量または圧力を上回るか、または、第2の流量または圧力を下回ることを示すこと、および/または(iv)センサからの信号が、二酸化炭素供給システムから二酸化炭素が供給される容積へのアクセスが試みられたことを示すこと。
【0114】
[00122] 本発明の第10の態様では、抽出システムがあり、この抽出システムは、ガス流用の導管と、導管内のチェックバルブと、ガス流を導管に沿ってチェックバルブに送出するポンプと、ポンプとチェックバルブとの間の導管におけるガス圧が特定の大きさを下回ることを示す信号を生成する圧力センサと、少なくとも圧力センサに信号的に接続され、圧力センサによって生成された信号を受信すると停止信号を生成するように構成されるコントローラと、を備える。
【0115】
[00123] 抽出システムは、特定の大きさを超える上流圧力にて開くようチェックバルブを備えうる。
【0116】
[00124] 二酸化炭素の供給を制御する第11番目の方法では、二酸化炭素の供給は、次の事項のうち1つ以上の事項が生じると止められる。(i)圧力センサが、抽出システム内のポンプとチェックバルブとの間のガス圧が特定の大きさを下回ることを示す信号を生成すること、(ii)センサが、温度調整されたガス流を供給するガスアウトレットにおけるまたはその上流における流量および/または圧力が特定の大きさを下回ることを示す信号を生成すること、(iii)スイッチからの信号が、二酸化炭素供給システムの供給ラインにおけるガスが第1の流量または圧力を上回るか、または、第2の流量または圧力を下回ることを示すこと、および/または(iv)センサからの信号が、二酸化炭素供給システムから二酸化炭素が供給される容積へのアクセスが試みられたことを示すこと。
【0117】
[00125] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のインスペクション方法および装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者には当然のことであるがそのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0118】
[00126] 本明細書において使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば436nm、405nm、365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長またはおよそこれらの値の波長を有する)含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。「レンズ」という用語は、文脈によって、屈折および反射型光学コンポーネントを含む様々な種類の光学コンポーネントのいずれか1つまたは組み合わせを指しうる。
【0119】
[00127] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明の実施形態は、上に開示された方法を記述する1つまたは複数の機械可読命令のシーケンスを含むコンピュータプログラム、または、かかるコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形態を取りうる。さらに、機械可読命令は、2つ以上のコンピュータプログラムに具現化されうる。この2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ以上の様々なメモリおよび/またはデータ記憶媒体に記憶されうる。
【0120】
[00128] 本明細書に記載されるコントローラはいずれも、1つまたは複数のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内に配置された1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって読み出された場合に、単独でまたは組み合わされて動作可能である。コントローラは、単独でまたは組み合わされて、信号を受信、処理、および送信するための任意の適切な構成を有する。1つまたは複数のプロセッサは、コントローラのうちの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば各コントローラは、上述した方法のための機械可読命令を含むコンピュータプログラムを実行するための1つまたは複数のプロセッサを備えうる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するためのデータ記憶媒体、および/または、このような媒体を受け取るハードウェアを備えうる。したがって、コントローラは、1つまたは複数のコンピュータプログラムの機械可読命令に応じて動作しうる。
【0121】
[00129] 本発明の1つまたは複数の実施形態は、液浸液が浴式で、または基板の局所的な表面領域上のみに、または非閉じ込め状態で与えられるかに関わらず、任意の液浸リソグラフィ装置、特に、排他的にではないが、上述したようなタイプらに適用されうる。非閉じ込め構成では、液浸液は、基板および/または基板テーブルの表面上を流れうるので、基板テーブルおよび/または基板の覆われていない表面全体が実質的に濡れる。そのような非閉じ込め液浸システムでは、液体供給システムは、液浸液を閉じ込めないか、または、一部の液浸液を閉じ込めうるが実質的に完全には液浸液を閉じ込めない。
【0122】
[00130] 本明細書において考案されるような液体供給システムは、広義に解釈されるべきである。特定の実施形態では、液体供給システムは、投影システムと、基板および/または基板テーブルとの間の空間に液体を供給する機構、または構造組合せでありうる。液体供給システムは、1つ以上の構造体、1つ以上の液体開口を含む1つ以上の流体開口、1つ以上のガス開口、または、2相流のための1つ以上の開口の組み合わせを備えうる。開口は、それぞれ、液浸空間へのインレット(または流体ハンドリング構造からのアウトレット)、または、液浸空間からのアウトレット(または流体ハンドリング構造へのインレット)でありうる。一実施形態では、空間の表面は、基板および/または基板テーブルの一部でありうる、または、空間の表面は、基板および/または基板テーブルの表面を完全に覆いうる、または、空間は、基板および/または基板テーブルを包みうる。液体供給システムは、任意選択的に、液体の位置、量、質、形状、流量、または任意の他の特徴を制御する一つ以上の要素をさらに含みうる。
【0123】
[00131] 上記説明は、限定ではなく例示的あることを意図している。したがって、当業者であれば、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく本発明に変更を行いうることは明らかであろう。