(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャリアシートは、シリコンを含む表面を備え、前記層状構造は、前記キャリアシートの前記表面を熱酸化することにより形成された第1の層を備える、請求項1に記載の方法。
前記層状構造は、1つ以上の前記電気的に機能する構成要素を備え、及び/または、1つ以上の前記電気的に機能する構成要素は、前記層状構造の外部に形成され、及び/または、前記電気的に機能する構成要素は、ヒータ、センサ、前記物体ホルダに対し物体を又は前記物体ホルダを支持するための物体テーブルに対し前記物体ホルダを静電的に保持するための電極、のうち1つ以上を備える、請求項1または2に記載の方法。
前記電極は、前記物体ホルダの前記本体内に、または、前記層状構造が前記物体ホルダに接続されるほうとは反対の前記物体ホルダの前記本体の側に、形成される、請求項3に記載の方法。
物体を支持するための1つ以上の突起を前記層状構造上に形成することをさらに備え、前記突起は、前記複合構造から前記キャリアシートを取り除いた後に形成される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
前記接着層は、前記複合構造と前記本体の前記表面との間の選択された領域において前記層状構造を前記本体に対し曲げられるように、前記選択された領域において除去される、請求項8に記載の方法。
前記本体には前記選択された領域の配置に対応する貫通孔が設けられており、前記層状構造が前記選択された領域において前記貫通孔を通じて送給されることが可能であり、それによって、物体とは反対の前記本体の側から前記層状構造への電気接続がなされうる、請求項9に記載の方法。
前記1つ以上の電気的に機能する構成要素は、前記物体ホルダに対し物体を又は前記物体ホルダを支持するための物体テーブルに対し前記物体ホルダを静電的に固定するのに使用される電極を備える、請求項11に記載の物体ホルダ。
前記1つ以上の電気的に機能する構成要素は、ヒータ、センサ、前記物体ホルダに対し前記物体を又は前記物体ホルダを支持するための物体テーブルに対し前記物体ホルダを静電的に保持するための電極、のうち1つ以上を備える、請求項11から14のいずれかに記載の物体ホルダ。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1及び
図6は、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、以下を備える。
【0046】
−放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射、またはEUV放射)を調整するよう構成されている照明システム(イルミネータ)IL。
【0047】
−パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成され、いくつかのパラメタに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成されている第1の位置決め装置PMに接続されている支持構造(例えばマスクテーブル)MT。
【0048】
−基板(例えば、レジストで被覆されたウェーハ)Wを保持するよう構成され、いくつかのパラメタに従って基板を正確に位置決めするよう構成されている第2の位置決め装置PWに接続されている基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT。本書に説明される基板ホルダは、基板テーブルWT上に基板Wを保持するために使用することができる。
【0049】
−パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つ以上のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズ系または反射投影レンズ系)PS。
【0050】
照明システムは、放射の方向や形状の調整、または放射の制御のために、各種の光学素子、例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはその他の形式の光学素子、若しくはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0051】
支持構造MTは、パターニングデバイスを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の設計、あるいはパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否か等その他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。支持構造MTは、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定技術を用いることができる。支持構造MTは例えばフレームまたはテーブルであってよく、固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証してもよい。本明細書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされるものとする。
【0052】
本書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板の目標部分にパターンを形成すべく放射ビームの断面にパターンを付与するために使用され得るいかなるデバイスをも指し示すよう広く解釈されるべきである。例えばパターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを含む場合のように、放射ビームに与えられるパターンは、基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、目標部分に形成される集積回路などのデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0053】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜可能であるというものがある。これらの傾斜ミラーにより、マトリックス状ミラーで反射された放射ビームにパターンが付与されることになる。
【0054】
「照明システム」との用語と同様に、本書で使用される「投影システム」という用語は、使用される露光放射に関して又は液浸液や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影システムをも包含するよう広く解釈されるべきであり、屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはその他の形式の光学素子、若しくはそれらの任意の組み合わせを含む。本書における「投影レンズ」との用語の使用はいかなる場合も、より一般的な用語である「投影システム」と同義とみなされうる。照明システムと同様に、投影システムは、使用される露光放射に関して又は真空の利用などの他の要因に関して適切とされる、各種の光学素子、例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはその他の形式の光学素子、若しくはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。EUV放射には真空を用いることが望ましい。ガスはEUV放射を吸収する可能性があるからである。それ故、真空壁及び真空ポンプを用いて全ビーム経路に真空環境が与えられてもよい。
【0055】
図1に示されるように、本装置は、(例えば透過型マスクを用いる)透過型である。これに代えて、
図6に示されるように、本装置は、(例えば、上述の形式のプログラマブルミラーアレイ、または反射型マスクを用いる)反射型であってもよい。
【0056】
リソグラフィ装置は、デュアルステージとも称される2つ以上のテーブル(またはステージまたは支持部)、例えば、2つ以上の基板テーブル、または1つ以上の基板テーブルと1つ以上のセンサテーブルまたは計測テーブルとの組み合わせ、を備えてもよい。こうした多重ステージ型の装置においてはそれら追加のテーブルが並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に他の1以上のテーブルで準備工程を実行するようにしてもよい。リソグラフィ装置は、基板テーブル、センサテーブル、及び計測テーブルと同様に並列に使用され得る2つ以上のパターニングデバイステーブル(またはステージまたは支持部)を有してもよい。
【0057】
図1及び
図6を参照すると、イルミネータILは、
図1においては放射ソースSOから、
図6においてはソースコレクタ装置SOから、放射ビームを受け取る。例えばソースがエキシマレーザである場合には、ソースとリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、ソースはリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームはソースSOからイルミネータILへとビーム搬送システムBDを介して受け渡される。ビーム搬送システムBDは例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを備える。あるいはソースが例えば水銀ランプである場合には、ソースはリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。ソースSOとイルミネータILとは、またビーム搬送システムBDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称されてもよい。
【0058】
EUV放射を生成する方法は、必ずしもそれに限定されるわけではないものの、EUV範囲にひとつ以上の輝線を有する例えばキセノン、リチウム、又はスズなどの少なくともひとつの元素を有するプラズマ状態に物質を変換することを含む。こうしたひとつの方法(これは多くの場合レーザ生成プラズマ(「LPP」)と称される)においては、所望される輝線を放出する元素を有する物質の滴、流、又はクラスタなどの燃料にレーザビームを照射することによって、プラズマを生成することができる。ソースコレクタ装置SOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザ(
図6に図示せず)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として得られるプラズマは出力放射、例えばEUV放射を放出する。この出力放射は、ソースコレクタ装置内に設けられる放射コレクタを使用して集められる。例えば燃料励起のためのレーザビームを提供するのにCO
2レーザが使用される場合には、レーザとソースコレクタ装置とは別体であってもよい。こうした場合、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するとはみなされず、放射ビームはレーザからビーム搬送システムを介してソースコレクタ装置へと通過していく。ビーム搬送システムは例えば適切な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含む。他の場合、例えば、ソースが通例DPPソースと呼ばれる放電生成プラズマEUV生成部である場合には、ソースはソースコレクタ装置に一体に構成されていてもよい。
【0059】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するよう構成されているアジャスタADを備えてもよい。一般には、イルミネータILの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)を調整することができる。加えてイルミネータILは、インテグレータIN、コンデンサCO、ファセットフィールドミラーデバイス、及び/または瞳ミラーデバイス等その他の各種構成要素を備えてもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために使用されてもよい。ソースSOと同様に、イルミネータILはリソグラフィ装置の一部を構成するとみなされてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置に一体の部分であってもよいし、リソグラフィ装置とは別体であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置はイルミネータILを搭載可能に構成されていてもよい。イルミネータILは取り外し可能とされ、(例えば、リソグラフィ装置の製造業者によって、またはその他の供給業者によって)別々に提供されてもよい。
【0060】
放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイスMAを横切った放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームを基板Wの目標部分Cに合焦する。第2の位置決め装置PWと位置センサPS1(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により、例えば放射ビームBの経路に異なる目標部分Cを位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決め装置PMと他の位置センサ(
図1には明示せず)は、例えばマスクライブラリの機械検索後や走査中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために使用することができる。一般に支持構造MTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を構成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を構成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールにより実現されうる。ステッパでは(スキャナとは異なり)、支持構造MTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。パターニングデバイスMAと基板Wとは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用の目標部分を占拠しているが、アライメントマークは目標部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、パターニングデバイスMAに複数のダイがある場合にはパターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0061】
図示の装置は例えば次のうちの少なくとも1つのモードで使用され得る。
【0062】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回で目標部分Cに投影される間(すなわち単一静的露光の間)、支持構造MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で結像される目標部分Cのサイズを制限することになる。
【0063】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間(すなわち単一動的露光の間)、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期して走査される。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められうる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光での目標部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0064】
3.別のモードにおいては、支持構造MTがプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とし、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、基板テーブルWTが移動または走査される。このモードではパルス放射源が通常用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWTの毎回の移動後、または走査中の連続放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述の形式のプログラマブルミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0065】
上記で記載した使用モードの組み合わせ及び/または変形例、あるいは全く別の使用モードもありうる。
【0066】
図7は、ソースコレクタ装置SO、照明システムIL、及び投影システムPSを含むEUV装置4100をより詳細に示す。ソースコレクタ装置SOは、ソースコレクタ装置SOの囲み構造4220内で真空環境を維持することができるように構築され構成される。EUV放射放出プラズマ4210が放電生成プラズマ源によって形成されうる。EUV放射は、ガスまたは蒸気、例えばXeガス、Li蒸気、またはSn蒸気により生み出されうる。そのガスまたは蒸気の中で、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出する非常に高温のプラズマ4210が生成される。非常に高温のプラズマ4210は、例えば少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生じさせる放電によって生成される。放射の効果的な生成には、Xe、Li、Sn蒸気またはその他の適するガスまたは蒸気の分圧は例えば10Paが必要とされうる。ある実施の形態においては、励起スズ(Sn)のプラズマがEUV放射を生成するために用意される。
【0067】
高温プラズマ4210により放出される放射は、ソースチャンバー4211からコレクタチャンバー4212へと、ソースチャンバー4211の開口の中または背後に配置される任意的なガスバリアまたは汚染物質トラップ4230(汚染物質バリアまたはフォイルトラップと呼ばれることもある)を経て、通過する。汚染物質トラップ4230は、チャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ4230は、ガスバリア、または、ガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本書に示される汚染物質トラップまたは汚染物質バリア4230は、公知のチャネル構造を少なくとも含む。
【0068】
コレクタチャンバー4212は、いわゆるかすめ入射コレクタでありうる放射コレクタCOを含みうる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側4251および下流放射コレクタ側4252を有する。コレクタCOを通過する放射は、グレーティングスペクトルフィルタ4240で反射でき、仮想ソース点IFに集束する。仮想ソース点IFは多くの場合中間フォーカスと称され、ソースコレクタ装置は、中間フォーカスIFが囲み構造4220の開口4221またはその近傍に配置されるように、構成される。仮想ソース点IFは放射放出プラズマ4210の像である。
【0069】
次に、放射は照明システムILを通過する。照明システムILはファセットフィールドミラーデバイス422とファセット瞳ミラーデバイス424とを含んでもよい。それらのミラーデバイスは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム421に所望の角度分布を提供し、かつ、パターニングデバイスMAにおいて所望の放射強度の一様性を提供するよう構成される。支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAにおいて放射ビーム421が反射されると、パターンが付与されたビーム426が形成され、そのパターンが付与されたビーム426は、投影システムPSによって反射性要素428、430を介して、基板テーブルWTによって保持される基板W上に結像される。
【0070】
照明光学ユニットILおよび投影システムPSには、示されているよりも多くの要素が一般には存在しうる。リソグラフィ装置の形式によっては、グレーティングスペクトルフィルタ4240が任意選択として存在してもよい。また、図示されるよりも多くのミラーが存在してもよい。例えば、投影システムPSには、
図7に示されるもの以外に、1個から6個の追加的な反射性要素が存在してもよい。
【0071】
図7に示すように、コレクタ光学部品COは、かすめ入射リフレクタ4253、4254、4255を有する入れ子式コレクタとして示されるが、これはコレクタ(またはコレクタミラー)の単なる一例である。かすめ入射リフレクタ4253、4254、4255は、光軸Oの周りに軸対称に配置され、この型式のコレクタ光学部品COは好ましくは、多くの場合DPPソースと呼ばれる放電生成プラズマ源と組み合わせて使用される。
【0072】
あるいは、ソースコレクタ装置SOは、
図8に示すようなLPP放射システムの一部であってもよい。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、またはリチウム(Li)といった燃料にレーザエネルギーを堆積し、数十eVの電子温度を有する高度にイオン化されたプラズマ4210を生成するように構成される。これらのイオンの脱励起および再結合時に発生されるエネルギー放射がプラズマから放出され、近法線入射コレクタ光学部品COによって集められ、囲み構造4220における開口4221へと集束される。
【0073】
多くのリソグラフィ装置において流体、とくに液体が、例えば液浸リソグラフィ装置において、液体供給システムIHを使用して投影システムの最終要素との間に提供されて、より小さいフィーチャの結像が可能となり及び/または装置の有効NAが増加される。本発明のある実施の形態は、こうした液浸装置を参照して後述されるが、非液浸装置にも等しく実施されうる。投影システムの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は少なくとも二つのカテゴリに大きく分類することができる。浴槽型の構成といわゆる局所液浸システムである。浴槽型の構成においては基板の実質的に全体と任意的に基板テーブルの一部とが液槽に浸される。局所液浸システムは、基板の局所域にのみ液体を提供する液体供給システムを使用する。後者のカテゴリにおいては、液体で満たされる空間は平面図にて基板上面よりも小さく、液体で満たされた領域は基板がその領域の下を移動しているとき投影システムに対し実質的に静止状態にある。本発明のある実施の形態が指向する他の構成は、液体が閉じ込められない全濡れ法である。この構成においては基板の上面全体と基板テーブルの全体または一部が液浸液で覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは浅い。液体は、基板上の(例えば薄い)液体フィルムであってもよい。
【0074】
4つの異なる局所液体供給システムが
図2から
図5に示される。
図2から
図5の液体供給デバイスのいずれもが非閉じ込め式のシステムに使用されうる。ただし、シールする特徴部分は、存在しないか、動作させないか、通常ほどは効果的でないか、さもなければ、局所域のみに液体をシールするには有効でない。
【0075】
局所液浸システムに提案される構成の一つは、液体供給システムが液体閉じ込めシステムを用いて投影システムの最終要素と基板との間で基板の局所域のみに液体を提供するというものである(基板は通例、投影システムの最終要素より大きい表面積を有する)。これを構成するために提案された一つの手法がPCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。
図2及び
図3に示されるように、液体が少なくとも1つの入口によって基板上に、好ましくは最終要素に対する基板の移動方向に沿って供給される。液体は、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。つまり、基板が−X方向に要素の下を走査されると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて除去される。
【0076】
図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続される出口によって要素の他方側で除去される構成を概略的に示す。基板Wの上方の矢印は液体流れの方向を示し、基板Wの下方の矢印は基板テーブルの移動方向を示す。
図2では液体が最終要素に対する基板の移動方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が
図3に示され、ここでは各側に4組の入口と出口が、最終要素の周囲に規則的なパターンで設けられる。液体供給および液体回収デバイスにおいて矢印は液体流れの方向を示す。
【0077】
局所液体供給システムをもつ更なる液浸リソグラフィ法が
図4に示されている。液体は、投影システムPSの両側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配設された複数の分離された出口によって除去される。入口及び出口は、中心に穴をもつプレートに設けることができ、そこを通って投影ビームが投影される。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の分離された出口によって除去され、これによって投影システムPSと基板Wとの間に液体の薄膜の流れが生じる。入口と出口のどちらの組合せを使用するかの選択は、基板Wの移動方向に依存する(他方の組合せの入口及び出口は作動させない)。
図4の断面図において矢印は入口での液体流入方向と出口での液体流出方向とを示す。
【0078】
提案されている別の構成は液体閉じ込め部材をもつ液体供給システムを設けることである。液体閉じ込め部材は投影システムの最終要素と基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する。こうした構成を
図5に示す。液体閉じ込め部材は、投影システムに対してXY面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)では多少の相対運動があってよい。液体閉じ込めと基板の表面との間にシールが形成される。ある実施の形態においては、シールは、液体閉じ込め構造と基板の表面との間に形成され、ガスシール等の非接触シールであってもよい。こうしたシステムは米国特許出願公開第2004−0207824号に開示されており、その全体を本書に援用する。
【0079】
図5は、流体ハンドリング構造12を有する局所液体供給システムを概略的に示す図である。流体ハンドリング構造は、投影システムの最終要素と基板テーブルWTまたは基板Wとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する。(以下の説明においては、そうではないと明示していない限り、基板Wの表面との言及は、それに加えてまたはそれに代えて基板テーブルの表面にも言及するものと留意されたい。)流体ハンドリング構造12は、投影システムに対してXY面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)では多少の相対運動があってよい。ある実施の形態においては、シールは、バリア部材と基板Wの表面との間に形成され、流体シール等の非接触シール、望ましくはガスシールであってもよい。
【0080】
流体ハンドリング構造12は、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間11の少なくとも部分的に液体を収容する。基板Wに対する非接触シール16が投影システムの像フィールドの周囲に形成され、基板W表面と投影システムPSの最終要素との間の空間内に液体が閉じ込められてもよい。この空間は少なくとも一部が、投影システムPSの最終要素の下方に配置され当該最終要素を囲む流体ハンドリング構造12により形成される。液体が、投影システム下方かつ流体ハンドリング構造12内部の空間に、液体入口13によって供給される。液体出口13によって液体が除去されてもよい。流体ハンドリング構造12は、投影システムの最終要素の少し上方まで延在していてもよい。液位が最終要素の上まで上昇することで、液体のバッファが提供される。ある実施の形態においては、流体ハンドリング構造12は、上端において内周が投影システムまたはその最終要素の形状に近似し、例えば円形であってもよい。下端において内周が像フィールドの形状に近似し、例えば長方形であってもよい。これらの形状は必須ではない。
【0081】
ある実施の形態においては、液体は、流体ハンドリング構造12の底部と基板Wの表面との間に使用時に形成されるガスシール16によって空間11に収容される。ガスシールは気体例えば空気または合成空気によって形成されるが、ある実施の形態においては、N
2または他の不活性ガスである。ガスシールの気体は、圧力の作用で入口15を介して流体ハンドリング構造12と基板Wとの隙間に提供される。気体は出口14から抜き取られる。気体入口15での過剰圧力、出口14の真空レベル、及び隙間の幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体流れ16が存在するように構成される。流体ハンドリング構造12と基板Wとの間の液体に作用する気体の力が空間11に液体を収容する。入口及び出口は空間11を取り巻く環状溝であってもよい。環状溝は連続していてもよいし不連続であってもよい。気体流れ16は空間11に液体を収容する効果がある。こうしたシステムは米国特許出願公開第2004−0207824号に開示されており、その全体を本書に援用する。
【0082】
図5の例は局所域の構成であり、液体はいかなる時点においても基板Wの上面の局所域に供給されるのみである。単相抽出器または二相抽出器を利用する流体ハンドリングシステムを含むその他の構成も可能であり、それは例えば米国特許出願公開第2006−0038968号に開示されており、その全体を本書に援用する。
【0083】
あり得る別の構成は、気体抵抗原理に基づき動作するものである。このいわゆる気体抵抗原理が説明されているのは、例えば、米国特許出願公開第2008−0212046号、第2009−0279060号、第2009−0279062号であり、それらの全体を本書に援用する。そのシステムにおいては抽出孔が、望ましくは角をもつ形状に配列されている。この角はステップ方向またはスキャン方向に合わせてあってもよい。これにより、ステップ方向またはスキャン方向の所与の速度における流体ハンドリング構造表面の二つの開口間のメニスカスに生じる力が、仮にそれら2つの排出口がスキャン方向に垂直に整列されている場合に比べて、小さくなる。
【0084】
その全体を本書に援用するUS2008−0212046には、主液体回収形状の半径方向外側に位置するガスナイフも開示されている。ガスナイフは、主液体回収形状を通過した液体をすべて捕捉する。こうしたガスナイフは、(その全体を本書に援用するUS2008−0212046に開示されるように)いわゆる気体抵抗原理の構成に存在してもよいし、(その全体を本書に援用する米国特許出願公開第US2009−0262318号に開示されるように)単層抽出器または二層抽出器の構成、またはその他の任意の構成に存在してもよい。
【0085】
その他に多くの液体供給システムの形式があり得る。本発明はいかなる特定の形式の液体供給システムにも液浸リソグラフィにも限定されない。本発明は任意のリソグラフィに等しく適用されうる。EUVリソグラフィ装置においては、ビーム経路は実質的に排気されており、上述の液浸構成は使用されない。
【0086】
図1に示される制御システム500は、リソグラフィ装置の全体的な運転を制御し、とくに、後述する最適化プロセスを実行する。制御システム500は、中央処理装置、揮発性および不揮発性記憶手段、キーボードおよびスクリーンのような1つ以上の入出力デバイス、1つ以上のネットワーク接続、およびリソグラフィ装置の各種部分との1つ以上のインターフェイスを備える、適切にプログラムされた汎用のコンピュータとして具体化されることができる。制御するコンピュータとリソグラフィ装置との一対一の関係は必須でないことは理解されよう。本発明のある実施の形態においては、1つのコンピュータが多数のリソグラフィ装置を制御することができる。本発明のある実施の形態においては、多数のネットワーク化されたコンピュータが1つのリソグラフィ装置を制御するために使用されることができる。また、制御システム500は、リソグラフィ装置が一部を構成するリソセルまたはクラスタ内の1つ以上の関連するプロセス装置および基板ハンドリング装置を制御するよう構成されていてもよい。また、制御システム500は、リソセルまたはクラスタの上位制御システム及び/または工場の全体制御システムに従属するよう構成されることもできる。
【0087】
図9は、本発明のある実施の形態に係る基板ホルダ100を示す。それは基板テーブルWT内の凹部の内部に保持されてもよく、基板Wを支持する。基板ホルダの本体100aは、ある実施の形態においては、実質的に平坦でありかつ基板Wの形および大きさに相当しており、例えば平坦プレートであり例えばディスクである。少なくとも上側に、ある実施の形態においては両側に、基板ホルダは、複数の突起106を有し、これらはバールと通例呼ばれる。ある実施の形態においては、基板ホルダは、基板テーブルと一体の部分でありその下面にバールを有しない。バールは
図9において縮尺通りには示されていない。ある実用的な実施の形態においては、数百または数千を超えるバールが基板ホルダ直径例えば200mm、300mm、または450mmにわたり分布して存在することができる。バールの先端の面積は小さく例えば1mm
2未満であり、そのため基板ホルダ100の一方側のすべてのバールの合計面積は基板ホルダの総表面積の約10%の面積未満である。支持体上のこのようなバール配列によって、基板、基板ホルダ、または基板テーブルの表面にあるかもしれないパーティクルはすべてバール間に落ち、その結果基板または基板ホルダを変形させないことがほぼ確実である。バール配列は、パターンを形成してもよく、それは規則的であることができ、または望まれる場合には、基板および基板テーブル上に適切な力分布をもたらすよう異なることができる。バールは平面図でいかなる形状を有することもできるが、通例は平面図で円形である。バールは高さ方向に同一の形および寸法を有することもできるが、通例は先細になっている。突起は、約1μmから約5mm、望ましくは約5μmから約250μmの距離を基板ホルダ100の本体100aの表面の残部から突き出すことができる。基板ホルダ100の本体100aの厚さは、約1mmから約50mmの範囲にあり、望ましくは約5mmから約20mmの範囲にあり、典型的には10mmであることができる。
【0088】
本発明のある実施の形態においては、基板ホルダ100は、剛体材料で形成されている。望ましくは、材料は、高い熱伝導率または低い熱膨張係数を有する。適当な材料は、SiC(シリコンカーバイド)、SiSiC(シリコン浸潤シリコンカーバイド)、Si
3N
4(シリコンナイトライト)、石英、及び/または、ゼロデュア(商標)ガラスセラミックのようなその他各種のセラミックおよびガラスセラミックを含む。基板ホルダ100は、突き出すバールを残すようこうした関連材料の固体ディスクから選択的に材料を除去することによって製造されることができる。材料除去のための適当な技術は、放電加工(EDM)、エッチング、機械加工、及び/またはレーザアブレーションを含む。これら技術のいくつかは、数ミクロンオーダの粗さ値Raを例えば有する粗面をもたらす。これら除去技術で実現可能な最小の粗さは、材料特性とバール製造プロセスに由来しうる。例えば、SiSiCのような二相材料の場合、実現可能な最小の粗さは、二相材料の粒径により定められる。また、基板ホルダは、マスクを通じてバールを成長させることによって製造されることもできる。バールは基部と同じ材料を有し、物理蒸着プロセスまたはスパッタリングにより成長させることができる。
【0089】
こうした残存粗さにより生じるのは、基板の表面上に1つ以上の薄膜構成要素のような1つ以上の電気的構成要素を形成する困難さと、そうした構成要素の信頼性欠如である。これらの問題が起こりうるのは、粗さが、電子的構成要素を形成するために基板ホルダ上に被覆し又は成長させる薄層における隙間およびクラックの原因となるからである。薄膜構成要素は、約2nmから約100μmの範囲にある層厚を有してもよく、化学蒸着、物理蒸着(例えばスパッタリング)、ディップコーティング、スピンコーティング、及び/またはスプレーコーティングを含むプロセスによって形成されてもよい。ある実施の形態においては、基板ホルダ上に形成される構成要素は、薄膜積層物(すなわち複数の薄膜層を含む)を備える。こうした構成要素は以下に説明される。
【0090】
リソグラフィ装置のための基板ホルダがその表面上に設けられた平坦化層を有する構成が提供されてもよい。平坦化層は薄膜積層物の形成のための平滑な表面を提供する。こうした構成はUS2012−0212725A1に開示されており、その全体を本書に援用する。
【0091】
基板テーブル上に形成される電子的構成要素は、例えば、電極、抵抗ヒータ、及び/又は、(非限定的に列挙すると)歪みセンサ、磁気センサ、圧力センサ、容量センサ、又は温度センサなどのセンサを含むことができる。ヒータ及びセンサは、例えば電気的システム又は回路に含まれる場合には、基板ホルダ又は基板内の望ましくない温度変化及び応力を低減するか又は望ましい温度変化及び応力を誘起するように、基板ホルダ及び/又は基板の温度を局所的に制御し及び/又は監視するために使用されることができる。望ましくは、ヒータ及びセンサは、相互に同一の領域上、周囲、及び上方に配置される。基板の局所的な膨張又は収縮によるオーバーレイ誤差などの結像誤差を低減し又は除去するために基板の温度及び/又は応力を制御することが望まれる。例えば、液浸リソグラフィ装置においては、基板上の残留液浸液(例えば水)の蒸発は局所的冷却の原因となり液体が載る表面に熱負荷を与え、その結果基板を収縮させうる。逆に、露光中に投影ビームによって基板に届くエネルギーは相当の加熱の原因となり基板に熱負荷を与え、それ故に基板を膨張させうる。
【0092】
ある実施の形態においては、形成される構成要素は、静電クランプ用の電極である。
【0093】
ある実施の形態においては、1つ以上の局所ヒータ101が、基板Wの温度を制御すべく基板ホルダ100及び基板Wに所望の熱量を与えるようコントローラ103によって制御される。1つ以上の温度センサ102が、基板ホルダ100及び/または基板Wの温度を監視するコントローラ104に接続されている。ある実施の形態においては、基板Wと基板ホルダ100との間に及び/または基板ホルダ100と基板テーブルWTとの間に静電クランプ力を与えるために電位差が電極間に生成される。ある実施の形態においては、局所ヒータ101がそれら電極として使用され、コントローラ103が電位差を印加するよう構成されている。他の実施の形態においては、別個の電位差源が設けられ、別個の電極が設けられてもよい。ある実施の形態においては、電極100は電気絶縁層間に封入されている。ある実施の形態においては、10ボルトから5000ボルト程度の電位差が電極100間に生成される。基板の温度を局所的に制御するよう1つ以上のヒータ及び温度センサを使用する構成は、米国公開公報第2011−0222033号に記述されており、その全体を本書に援用する。そこに記述された構成は、本書に説明する抵抗ヒータ及び温度センサを利用するよう変更されることができる。
【0094】
電気デバイスが基板ホルダ100の上面上にあってもよい。電気接続の少なくとも一部が基板サポート100の本体を通っていてもよく、それは米国公開公報第2012−0274920号に記述されており、その全体を本書に援用する。
【0095】
図9を参照する上記説明においては、基板テーブルWTに装着された基板ホルダ100を含むある実施の形態に言及がなされている。しかし、上記説明は、基板ホルダ100の代わりにパターニングデバイスホルダ100が設けられ、基板テーブルWTの代わりにパターニングデバイス用の支持構造MAが設けられる等価な実施の形態にも等しく適用可能である。さらに、上記説明は、リソグラフィ装置における使用のための物体を支持するための任意の物体ホルダにも等しく適用可能である。
【0096】
本説明の導入部において説明したように、絶縁層が基板ホルダと基板との間にまたはパターニングデバイスとパターニングデバイスホルダとの間に静電クランプ中の電気的破壊を防ぐために設けられうる。絶縁層内の欠陥は、より高い動作電圧を必要とすることによって、クランプ力の空間的変動をもたらすことによって、または、耐久性を低減することによって、静電クランプの性能を低下させうる。基板ホルダ100及び基板上に形成されるヒータ間またはセンサ間の距離の変動は、基板の温度制御の精度を低下させうる。
図10から
図24は、これら問題の1つ以上に対処するための方法及び装置を示す。
【0097】
図10から
図16は、物体ホルダ100(例えば基板ホルダまたはパターニングデバイスホルダ)を製造する方法を示す。この方法は、1つ以上の層を備える層状構造を、保持される物体(例えば基板W)に対し物体ホルダ100上に正確に位置決めすることを容易にする。それに代えて又はそれとともに、開示される方法は、欠陥を低レベルとする層状構造を形成することを容易にする。
【0098】
図10は、本製造プロセスでの使用のためのキャリアシート20を示す。ある実施の形態においては、キャリアシートは、シリコンウェーハを備える。
【0099】
図11は、層状構造の第1の層22をキャリアシート20上に形成した後のキャリアシート20を示す。第1の層22は、層状構造の唯一の層でありうる。あるいは、1つ以上の更なる層が第1の層22上に設けられてもよい(例えば
図17を参照)。キャリアシート20と層状構造(例えば、第1の層22および任意選択として1つ以上の更なる層)の組み合わせが、「複合構造」と称されてもよい。ある実施の形態においては、第1の層22は、キャリアシート20を酸化することによって形成される。酸化プロセスは、高温例えば摂氏1000度で行われてもよい。ある実施の形態においては、キャリアシート20はシリコンウェーハを備え、第1の層22は熱SiO
2を備える。熱SiO
2は、シリコンウェーハの熱酸化によって生成された酸化シリコンであり、例えば成膜プロセスによるものではない。ある実施の形態においては、熱SiO
2の厚さは、約0.5ミクロンから約2ミクロンの間である。
【0100】
図12は、複数のくぼみ25を形成した後の
図11の複合構造を示す。くぼみ25はそれぞれくぼみ25の最深部を定める基部27を有する。くぼみ25はキャリアシート20へと層状構造(この場合第1の層22)を貫通している。くぼみ25がキャリアシート20へと貫通する深さは、完成した基板ホルダまたはパターニングデバイスホルダにおいて突起106が第1の層22を越えて突き出す量を定める(例えば
図15及び
図16を参照)。ある実施の形態においては、突起106は物体ホルダの本体100aから一体的に延出する(本体100a上に成長し又は成膜されるのではない)。
【0101】
ある実施の形態においては、くぼみ25は、次の工程、すなわち、反応性イオンエッチング、マスクを使用する反応性イオンエッチング、ハードマスクを使用する反応性イオンエッチング、深掘り反応性イオンエッチング、(第1の層22の一部として、又は第1の層22に付着されるかもしれない1つ以上の更なる層の一部として、設けられうる)1つ以上の感光層の露光、のうち1つ以上を使用して形成される。
【0102】
図13は、
図12に示すくぼみを用いた複合構造への本体100aの取り付けを示す。接着層32が本体100aを複合構造に取り付けるために設けられている。ある実施の形態においては、接着層32は、エポキシ、アクリレート、またはベンゾシクロブテン系重合体のうち1つ以上を備える。ある実施の形態においては、接着層32は、接合される表面の一方または両方に、施し、吹きつけ、またはローラ塗りされることによって塗布される。図示される実施の形態においては、接着層32は、くぼみ25とくぼみ25の間の複合構造の表面にのみ塗布される。代替的な実施の形態においては、接着層32は、本体100aのうち突起106間の領域に、または、本体100aと複合構造の両方に、塗布される。接着層32が塗布される表面は、良好な接着を保証するために塗布前に表面処理がなされてもよい。取り付けは、本体100aに対し、及び/または、設けられている場合には本体100aの突起106に対し、複合構造を押し付け又は一緒に保持することによって実現されてもよい。接着層32を硬化させるために室温より高く昇温されてもよい。例えば、接着層32がベンゾシクロブテン系重合体(BCB)を備える場合、摂氏250度より高く昇温されてもよい。摂氏150度を超えるとBCBは非常に液状となり、摂氏250度を超えると架橋する。架橋後に複合構造は本体100aに固定される。結合は、任意選択として、空気の気泡の捕捉を回避し又は低減するため真空環境で行われる。
【0103】
本体100aは、複合構造内のくぼみ25が本体100aからの突起106と係合するように取り付けられる。この係合は、くぼみ25が突起106と空間的に相補するように構成することによって可能となる。ある実施の形態においては、くぼみ25は、それぞれが複数の突起106のうち1つ以上を受け入れるよう位置決めされかつ成形されている。ある実施の形態においては、複数の突起106のすべてが対応するくぼみ25に受け入れられる。突起106の端面28がくぼみ25内でキャリアシート20と接触する(例えばくぼみ25の基部27に触れる)。ある実施の形態においては、くぼみの基部27はすべて同じ高さに(例えば同一平面内に)設けられる。ある実施の形態においては、突起106の端面28は、キャリアシート20の材料に直に触れる。代替的な実施の形態においては、保護層がそれぞれの端面28上に設けられる。こうした実施の形態においては、それぞれの端面28は保護層を介してキャリアシート20と接触する。ある実施の形態においては、保護層は、キャリアシート20を除去するエッチングプロセス用の停止点として機能する。したがって保護層はエッチングプロセス中の突起106の除去または損傷を防止しうる。保護層は、キャリアシート20の除去後の別の工程、例えば、保護層に特異的であるが本体100aまたは突起106を傷つけないエッチを使用して、除去されてもよい。突起の端面28をキャリアシートに直接に(または、厚さが正確に制御された薄層及び/または層を介して間接的に)接触させることは、突起106の端面28(従って使用時に突起106に搭載される任意の物体)と第1の層22の上面との距離の正確な制御を容易にする。
【0104】
代替的な実施の形態においては、突起106は、くぼみ25の深さより短くなっている。この構成の結果、本体100aとキャリアシート20との隙間が結合後に非常に小さい。小さい隙間を実現することは、本体100aが非導電性であり及び/または平滑な表面を有する場合に望まれるかもしれない。
【0105】
図14は、接着層32を介して複合構造に取り付けられた本体100aを示す。
【0106】
図15は、
図14の構成における複合構造からキャリアシート20を除去することによって形成された物体ホルダ100を示す。キャリアシート20の除去によって、本体100aに取り付けられた(図示の例では第1の層22からなる)層状構造が残され、突起106が層状構造を越えて突き出しており、よって物体(例えば基板W)を支持するよう利用可能である。
【0107】
ある実施の形態においては、キャリアシート20は、背面研削または研磨、及び/またはウエットまたはドライエッチングによって除去される。例えば、背面研削または研磨は、除去プロセスの大半のために行われ、最後の約100ミクロンがドライエッチングにより除去されてもよい。第1の層22は、そのエッチ用の停止層として機能する(すなわち、エッチはキャリアシート20の材料を除去するが第1の層22には効果がまったくないか最小である)。この手法は例えばキャリアシート20がシリコンウェーハを備える場合に適する。
【0108】
代替的な実施の形態においては、第1の層22は、有機膜例えばポリイミドを備える。キャリアシート20の除去は、有機膜のレーザ露光によって実現され、これにより有機膜は分解される。分解によりガスが生成されキャリアシートが複合構造から取り除かれる。こうした実施の形態のキャリアシート20は例えばガラスを備えてもよい。この手法は、第1の層が酸化シリコンを備えキャリアシートがエッチングにより除去される実施の形態に比べていくつか欠点がある。1つの欠点は、キャリアシート上に追加の層を形成するための最高のプロセス温度が有機膜の存在によって制限されることである。ほとんどの有機膜は高温で損傷される。典型的に、有機膜の存在は処理の最高温度を摂氏約300から400度までに制限する。第1の層が酸化シリコンである場合には、最高プロセス温度は、形成される追加の層の性質によって制限されるにすぎない。
【0109】
US2007−0210313A1は、アモルファスシリコン層に形成された有機層を通じてアモルファスシリコン層にレーザを照射し有機層を除去することによって形成された多結晶シリコン層を含む薄膜トランジスタを製造する方法を開示しており、その全体を本書に援用する。US2011−0227086は、あるレーザ除去プロセスを使用する別の製造方法を開示しており、その全体を本書に援用する。
【0110】
図16は、物体(例えば基板WまたはパターニングデバイスMA)を支持する
図15の物体ホルダ100を示す。物体と第1の層22の外面45との間隔35は、くぼみ25がキャリアシート20へと延びていた深さによって定められる。ある実施の形態においては、深さは約10ミクロンである。深さを卓越した正確さ及び均一性をもって制御することができるので、間隔35の精確な制御と高い平行度の実現が保証される。キャリアシート20がシリコンウェーハを備える場合、例えば、エッチングは典型的にウェーハ上で5%未満の深さ偏差を実現することができる。
【0111】
基板ホルダ100の本体100aと異なるキャリアシート20上に第1の層22を形成することは、第1の層22の正確な形成を容易にする。例えば、第1の層22の厚さは、本体100aに同様の層を直接成膜することによって典型的に実現可能であるものに比べて、より高度に精密に及び/またはより高度に均一に(例えば、キャリアシート20とより平行に、従って取り付け後の本体100aとより平行に)制御することができる。例えば、突起106の存在は本体100aへの正確な直接の成膜を妨げうる。第1の層22がキャリアシート20の酸化により形成される場合、成膜ベースの代替手段に対する酸化物成長の優位性によって、改善された正確さが実現されうる。本説明の導入部で述べたように、例えば、成膜技術は、ピンホール欠陥などの成膜層内の欠陥、応力およびクラックをもたらす傾向がある。酸化により形成された層はこうした欠陥が低水準でありうる。
【0112】
第1の層22がシリコンウェーハの熱酸化により形成された熱SiO
2である場合、例えば、成膜により形成された酸化シリコン層に対し様々な改善が見られる。ピンホール欠陥が熱SiO
2層において減少し又は回避される。酸素含有量が熱SiO
2層においてより均一である。例えば深さによる酸素含有量の変動が小さくなる。熱SiO
2層における酸素含有量はふつう、成膜層における酸素含有量より少ない。様々な酸化状態の範囲をもつ代わりに、熱SiO
2層における酸化状態は、唯一の種類の酸化物および飽和結合の存在(SiO
2)を反映して、顕著に一定である。熱SiO
2層においては密度がより高くより均一である結果、内部応力は低く、クラックは低減され、高強度である。また、強度は熱SiO
2層においてより均一な傾向にある。よって熱SiO
2層は一般に、より強く、機械的により信頼でき、より高度の耐久性及び/またはより長い寿命をもたらす。電圧破壊強度は熱SiO
2層において成膜層に対し顕著に増加される。上記の特性のうち1つ以上を検出することは、所与の層が熱SiO
2層であるか、または(成膜のような)別のプロセスにより形成された酸化シリコン層であるかを検出するために容易に使用されうる。例えば、層の強度を試験し及び/または層の強度を既知の熱SiO
2層または既知の成膜酸化シリコン層の強度と比較する装置が使用されてもよい。例えば、層の上下に電位差を印加し(例えば層の抵抗率を測定することによって)電気的破壊を監視する装置が、電圧破壊強度を決定するために使用されてもよい。
【0113】
熱SiO
2層の電圧破壊強度は成膜酸化シリコン層より顕著に高い。典型的に、熱SiO
2層は1000V/ミクロンを超える電圧破壊強度を有し、これは成膜酸化シリコン層よりかなり高い。この高い電圧破壊強度は、静電クランプ用の非常に薄い絶縁層を形成することを可能とし、従って、必要な動作電圧が約1kVに減少する。酸化シリコンを成膜することにより形成された絶縁層については動作電圧が典型的に約3kVである必要がある。したがって、静電クランプを備える物体ホルダにおいて例えば、層状構造が電気絶縁層として機能するよう構成される熱SiO
2層を備える実施の形態が提供される。
【0114】
図10から
図16を参照して説明した実施の形態においては、層状構造は、本体100aへの接続前にキャリアシート20上に単一の層22のみを備える。これが適当でありうるのは例えば、層22が静電クランプ用の絶縁層として使用され層と本体100aとの間に静電クランプの電極が設けられる必要がない場合である(例えば、本体100aそれ自身の内部に電極が設けられるからである)。こうした実施の形態の一例においては、単一の層22は熱SiO
2層から形成され、これは上述のように、絶縁層としてとくに有効である。他の実施の形態においては、層状構造は、1つ以上の更なる層の積層物を備え、これらは本体100aへの複合構造の取付前にキャリアシート20上に形成されてもよい。
図17は、こうした実施の形態の1つを示し、積層物は、第1の更なる層34、第2の更なる層35、および第3の更なる層36を備える。1つ以上の更なる層の積層物の形成後に、
図12から
図16を参照して説明した方法の工程に従って複合構造が処理されてもよい。複数のくぼみ25が例えば、キャリアシート20へと積層物34−36及び第1の層22を貫通して(すなわち層状構造の全体を貫通して)形成されていてもよい。そして、複合構造は接着層32を介して本体100aに取り付けられ、キャリアシート20が突起106及び第1の層22を露出するよう除去される。その後、物体(例えば基板WまたはパターニングデバイスMA)が突起106に装着されることができる(
図18参照)。
【0115】
ある実施の形態においては、層状構造は、1つ以上の電気的に機能する構成要素を(例えば積層物34−36内に)備える。例えば、層状構造は、ヒータ、センサ、または静電クランプ用の電極を備えてもよい。センサは、例えば基板Wの温度を制御するために1つ以上の抵抗ヒータとともに使用される温度センサであってもよい。
【0116】
キャリアシート20上に電気的に機能する構成要素を形成することは、基板ホルダ100の本体100aに構成要素を取り付ける前に構成要素を試験することを可能にする。基板ホルダ100の本体100aに構成要素を移した後の期待はずれの性能による歩留まり低下はこれにより低減されうる。
【0117】
ある実施の形態においては、積層物の第1の更なる層34は、金属伝導経路例えば配線を備える。よって第1の更なる層34は、連続的なスラブ状の(例えば平面的な)層でなくてもよい。線は、フォトリソグラフィおよびエッチングに続く金属成膜によって、または、金属成膜またはリフトオフに続くフォトリソグラフィによって、形成されてもよい。金属線は望ましくは20μmより太い幅をもつ。金属線の最大の幅は、それらの機能および利用可能なスペースにより定まるが、数十ミリメートルでありうる。金属線を形成する他の方法も使用可能である。ヒータ及び/またはセンサの場合、太い金属線(例えば約1500μm)が加熱素子として使用され、細い金属線(例えば約100μm)がセンサ素子として使用されることができる。静電クランプの電極については、互いにおよそ500μm隔てられ二分された連続金属層(ただし突起106の端面28から絶縁されている)が、静電クランプの正負の素子を形成するよう成膜されてもよい。金属線は望ましくは約20nmより大きい層厚を有し、望ましくは約40nmより大きい層厚を有する。金属線は望ましくは約1μm以下、望ましくは約500nm未満、望ましくは約200nm未満の層厚を有する。第1の層22は、電気絶縁層として機能してもよい。
【0118】
ヒータ及び/またはセンサの作成のために、パターニングされた金属線は、多数の金属層例えばチタン(Ti)および白金(Pt)、Ti−Ptから成っていてもよい。ある実施の形態においては、線は、1つ以上の薄膜層に存在するおよそ250nmの厚さの白金の接着を改善するために10nmの重畳した厚さをもつ1つ以上のチタン層を有する。各金属線は変動する幅を有しうる。金属例えばTi/Ptのパターニングは、1つ以上のフォトレジスト成膜工程、金属膜の成膜のためのPVD、およびリフトオフプロセス(これにより例えばフォトレジストが存在する領域からフォトレジストが除去され、フォトレジストの除去によってフォトレジスト上に存在する金属もすべてリフトオフされ除去される)の組み合わせを使用して実現されてもよい。ヒータ単独については、太いクロム(Cr)線(〜1500μm)がCr膜の成膜(PVD)によって成膜されてもよい。ヒータのパターンは、フォトリソグラフィマスクを使用する選択的クロムエッチングによって形成されてもよい。静電クランプの金属電極は、アルミニウム、クロム、またはその他の任意の導電材料から成っていてもよい。金属電極はPVDまたはスパッタリングによって形成されてもよい。これら金属の任意の適当な組み合わせの合金が使用されてもよい。
【0119】
第1の層22は、電気絶縁層として機能するよう構成され、例えば第1の更なる層34における成膜金属線を上方から絶縁してもよい。それに代えて又はそれとともに、第1の層22は、金属線をパーティクルの堆積、剥離、および酸化から保護するよう構成されていてもよい。第2の更なる層35は、第1の更なる層34を本体100aから絶縁するために設けられていてもよい。ヒータまたはセンサについては、第2の更なる層35は、BCB(ダウケミカル)及び/またはNN120(デュポン)のスプレーコーティングにより成膜され、またはSiOx、またはスプレーされた層とSiOxの組み合わせであってもよい。第3の更なる層36はスペーサ層として機能してもよい。
【0120】
ある実施の形態においては、第2の更なる層35は、CVDを使用して成膜されたSiOx層を備える。第2の更なる層35の厚さは、例えば約0.5ミクロンから約10ミクロンの間であってもよい。ある実施の形態においては、第3の更なる層36はポリイミドを備える。第3の更なる層36は、約5から50ミクロンの間の厚さであってもよい。この実施の形態においては、くぼみ25は次のように層34−36を貫通してキャリアシート20へと形成される。第3の更なる(ポリイミド)層36がハードマスクを使用する反応性イオンエッチングによりパターニングされる。代替的な実施の形態においては、感光性ポリイミドが使用されそれによりパターニングされる。続いて、層36下方の第2の更なる(SiOx)層35および第1の層22が、任意選択として反応性イオンエッチングにより、エッチングされる。典型的に、第1の更なる層34は電気的に機能する構成要素を定めるので連続層ではなく、くぼみ25が形成されるべき場所に存在しない。最後の工程においては、くぼみ25が深掘り反応性イオンエッチングを使用して(シリコンウェーハでありうる)キャリアシート20へと延長される。こうしたプロセス後の状態が
図17に示されている。
【0121】
ある実施の形態においては、接着層32が選択された領域で除去されており、その上に形成される第1の層22および任意の更なる層34−36が当該選択された領域で本体100aに対し曲げられてもよい。
【0122】
図19は、例示的な実施の形態に係る突起106の端面28を見下ろす物体ホルダ100の上面図である。
図20は、X−X線に沿う側断面図である。導体線46および接触パッド42を備える例示的な回路パターンが更なる層34に形成されており、
図19に破線で示されている。図示される具体例においては、導体線46が第1の層22に覆われ、接触パッド42は露出されている(第1の層22に覆われていない)。接着層32は、矢印39で指し示されるように本構成の右側でA点より上側にて、第1の層22および更なる層34−36の下方の選択された領域から除去されている。接着層の除去は、第1の層22および更なる層が当該選択された領域において曲がることを可能にする。貫通孔38が本体100aに設けられており、それを通じて第1の層22および更なる層が物体ホルダ100の物体側(
図19に示される側であり、たいてい物体ホルダ100の上側と呼ばれる)から反対側(または下側)へと送給されることが可能である。図示される具体例においては、図の右側でX−X線より上方の、図中で44と表す長さに相当する第1の層22および更なる層の部分が貫通孔38へと送給されることができる。この構成は、露出された接触パッド42に物体ホルダ100の下側から電気接続を容易につなぐことを可能にする。物体ホルダ100の下側から接続することが便利でありうるのは、多くの状況で空間及び/または上方からのアクセスが制限されているからである(例えば、物体ホルダが基板ホルダの場合)。柔軟な層の使用は、例えば物体ホルダ(例えば基板ホルダ)における穴を通じて剛性接触パッドに直接接触させるのに比べて、信頼性を向上する。そうした接触パッドは典型的に、信頼性を実現するには脆すぎる。また、柔軟層に接触させることは一般に、剛体接触パッドに接触させることより容易であるから、より容易に接触を実現することができる。接触を実現するのがより容易であることは、多数の接点が作られるべき状況で、とりわけ重要である。多数の接点が作られるべき例示的な状況は、それら接点が計測または駆動電子機器に関連する場合である。
【0123】
ある実施の形態においては、柔軟層は薄型の柔軟基板例えばポリイミド柔軟箔のように振る舞いうる。これは標準的な種々の方法で接続されることができる。例えば、柔軟基板は、補強板及び/または作られる接点に、(1)はんだ、(2)クランピングコネクタ(例えばジフ(zif)コネクタ)、(3)ワイヤボンド、及び/または、(4)導電性接着剤を使用して、接続されてもよい。
【0124】
上述の例においては、キャリアシート20上の第1の層22を物体ホルダ(例えば基板ホルダ)100の本体100aに接続するプロセスが、本体100aから一体的に延出する突起106を有する物体ホルダの本体100aとの関連で行われる。代替的な実施の形態においては、当該プロセスは、そうした突起を備えない物体ホルダとの関連で行われる。例示的なプロセスが
図21から
図23に示される。
【0125】
図21は、一体的な突起を備えない物体ホルダ(例えば基板ホルダまたはパターニングデバイスホルダ)本体48への複合構造20、22の接続を示す。本体48は、例えばAlNを備えてもよい。図示される例においては、本体48は、上面で実質的に平坦である。複合構造は、上下両側に第1の層22をもつキャリアシート20を備える。この例においては、第1の層22は、キャリアシート20の酸化によって形成されている(例えば、キャリアシートがシリコンウェーハである場合、熱SiO
2を形成する)。キャリアシート20の上側に形成される第1の層22はこの具体的な実施の形態においては使用されないが、キャリアシート20の両側を酸化することは一方側だけをそうするよりも容易でありうる。他の実施の形態においては、キャリアシート20の下側のみが酸化される。本体48は上面に接着層32を備える。この例においては、本体48は、本体48にベークされた電極層50をさらに備える。電極層50は、物体ホルダに対し物体を固定するための静電クランプにおける使用のための電極を備える。
図22は、接着層32を介して接続された複合構造20、22および本体48を示す。
図23は、接着層32上に第1の層22を残すようキャリアシート20(および上側の第1の層22)を取り除き、それから第1の層22の上に突起52を形成することによって形成された物体ホルダを示す。突起52は、例えば物体ホルダ上で物体を支持するよう構成されていてもよい。ある実施の形態においては、突起52は、SiCを備える。
【0126】
図24は、
図21から
図23のプロセスをホルダの上下両側に繰り返し用いて物体ホルダ本体48の上下両側に第1の層22が形成された更なる実施の形態を示す。2つのキャリアシート20が、1つは本体48の上面に第1の層22を取り付けるために、1つは底面に第1の層22を取り付けるために、使用される。この例においては、2つの電極層50、54が設けられている。電極層50は、物体Wを物体ホルダに静電的に固定するよう構成され、電極層54は、物体ホルダを、物体テーブルとも呼ばれる物体ホルダ用の支持構造に静電的に固定するよう構成されている。物体テーブルは例えば、基板ホルダを支持するための基板テーブルWTであってもよい。物体テーブルは例えば、パターニングデバイスホルダを支持するための支持構造MTであってもよい。
【0127】
上記に説明したいずれの方法においても、物体ホルダ上に層状構造を形成する工程は、多数の層状構造を形成するよう必要に応じて繰り返されてもよい。例えば、多数の異なる層状構造の組み合わせによって形成される、断面において種々の高さの突起を備える物体ホルダが提供されてもよい。種々の高さの突起は例えば、(平面図で)尾根部のような様々なフィーチャを形成し、または、スペーサとして機能してもよい。種々の層状構造が種々の使用法を有しうる種々の電気的に機能する構成要素(例えば電気回路)を備えてもよい。ある実施の形態においては、最も高い突起が物体ホルダ上に物体(例えば基板)を支持するバールとして使用されてもよい。
【0128】
本書の導入部で説明したように、基板またはパターニングデバイス等の物体を保持するための突起(バール)に電気接続された接地層を設けることが知られている。公知の構成ではこれが比較的厚いCrN層を成膜することによって行われている。そして成膜層が接地層を形成するようパターニングされる。パターンは、突起の遠位端を接続する一連の配線を備えてもよい。このようなパターンは、「マンハッタン」パターンと呼ばれることもある。CrNの粗さが突起への物体の付着を避けるために増加されてもよい。これは例えばイオンビームフィギュアリング・ウエットエッチングプロセスを用いて実現されうる。
【0129】
図25は、この形式の例示的な構成を示す。物体ホルダが用意される。物体ホルダはその基面65から突き出す複数の突起52を備え、各突起52は、基面65上の近位端と、遠位端66と、を有する。遠位端66は、基面65から最も遠い端である。物体ホルダによって突起52に対し支持される物体(例えば基板またはパターニングデバイス)を静電的に固定する電極50が設けられている。物体は突起52の遠位端66に接触して保持される。それに代えて又はそれとともに、物体ホルダを支持するよう適応された物体テーブル(例えば、基板テーブル、またはパターニングデバイス用支持構造)に物体ホルダを静電的に固定する電極が設けられていてもよい。物体テーブルは突起52の遠位端66に接触して保持される。2つ以上の突起52(任意選択としてすべての突起)をグランドまたは共通電位に電気的に接続する接地層60が設けられている。突起52下方で本体48上に誘電体層62が設けられていてもよい。
図25の構成においては、接地層60は、突起52の遠位端66上および誘電体層62上に設けられている。上述のように、接地層60は、遠位端66を接続するよう、例えば「マンハッタン」配線パターンに、パターニングされていてもよい。
【0130】
図25の構成においては、突起52の遠位端を覆う接地層60は、物体ホルダにより支持される物体または物体ホルダを支持している物体テーブルに使用時に直に接触する。したがって接地層60は、物体ホルダを使用する物体の「循環」(すなわち、反復的な物体操作の手順)を原因とする摩耗に抵抗性をもたなければならない。また、接地層60は、突起52の遠位端66に直接作用するその他のプロセスを原因とする摩耗にも抵抗性を有するべきでありうる。例えば、アブレーション及び/または化学物質を使用する清掃運転が遠位端66に作用しうる。また、接地層60は、遠位端66への物体または物体テーブルの付着を防止するための粗化処理に耐えるべきでありうる。例えば、イオンビームフィギュアリング・ウエットエッチングプロセスが使用される場合、接地層60はこのプロセスに耐えられる必要がある。これらの要求は、接地層60に使用可能な材料の範囲を制限する。これにより材料が次善のものとなりうる。また、接地層60は、粗化処理に適合するように、及び/または、平坦度の調整を可能とするように(例えば、遠位端66がすべて同一平面にあるよう突起52を調整するために)、十分に厚さをもつ必要がありうる。厚さが大きいほど、剥離(接地層の分離)の可能性が高くなり、及び/または接地層の製造が複雑となりうる。
【0131】
ある実施の形態においては、接地層60によってグランドまたは共通電位に接続される複数の突起52のうち少なくとも1つと誘電体層62との間にある部分67を接地層60が備えるように接地層60を形成することによって、上記の問題の1つ以上に対処する。こうした構成の例が
図26および
図27に示される。このようにして、電気接続が上ではなく下から突起52になされる。この又は任意の実施の形態においては、突起52は、好ましくは、突起52の高さの上に等しい電位を維持するように、高い電気伝導率を有する材料例えば金属材料から形成される。このようにして、接地層60と突起52の下部との電気接続が突起52の遠位端66を接地するのにも有効である。したがって、突起の遠位端66上に接地層60を設けることはもはや何ら必要ではない。接地層60が遠位端66に存在しなければ、
図25のような構成に必要とされるのと同じレベルの耐摩耗性はもはや不要である。さらに、物体または物体テーブルはもはや接地層60の材料と直接接触しないから、物体または物体テーブルの付着防止のための接地層60の粗化をもはや実行する必要がない。そのため、粗化処理に耐えられるとの要求によって材料の選択が制約されることはもはやない。例えば、材料がイオンビームフィギュアリング・ウエットエッチングプロセスに耐える必要はもはやない。さらに、こうした粗化プロセスを接地層60に実行する必要はもはやない。したがって接地層60の製造が簡単になる。接地層60が粗化処理に適合する必要はないし、突起の高さを調整することにより平坦度を調整するために接地層の厚さが使用されることもないので、厚さの大きい接地層はもはや必要ない。よって接地層60を薄くすることができるので、接地層60が剥離する可能性が小さくなる。剥離の可能性が減ることにより、信頼性及び/または製造歩留まりが向上されうる。
【0132】
図26は、誘電体層62および突起52の上に成膜された接地層60に代えて接地層60が誘電体層62の上にあるが突起52の下にある層として形成されたことを除いて、
図25の構成と同一である例示的な実施の形態を示す。こうした構造は、例えば、突起52の前に接地層60を形成することによって製造されてもよい。それから突起52が接地層60の上に形成される。したがって接地層60は、接地層60の部分67が(基面65に垂直に見て)誘電体層62と複数の突起52のうち少なくとも1つ(任意選択としてすべて)との間にあるように形成される。誘電体層62と突起52との間にある接地層60の部分67は、接地層60と突起52との間に良好な電気接続を与えることができる。
【0133】
図27は、代替的な実施の形態を示す。この実施の形態は、「保護層」64とも呼ばれる追加の層64が接地層60の上に形成されることを除いて、
図26を参照して上述した実施の形態と同様である。ある実施の形態においては、保護層64は誘電体である。この実施の形態においては、保護層64は、突起52の下方に部分的に延在する。他の実施の形態においては、保護層64は、一部の突起52の下方に(部分的にまたは完全に)延在するだけでもよいし、または、どの突起52の下方にも延在しなくてもよい。こうした実施の形態においては、保護層64は、保護層64が下方に延在しない1つ以上の突起52の側方境界で終了してもよい。ある実施の形態においては、導電性材料68が、1つ以上の突起52の真下で保護層64内の開口に、接地層60と突起52との電気接続を与えるために設けられる。ある実施の形態においては、
図27の構造は、第1工程で接地層60を形成することによって製造される。第2工程では保護層64が形成され、これは突起52が想定される場所に開口をもつ。それから導電性材料68が第3工程で開口に形成される。最後に、突起52が第4工程で開口68における導電性材料の上に形成される。ある実施の形態においては、導電性材料は接地層60と同じ材料で形成される。
【0134】
ある実施の形態においては、接地層60は、1ミクロン未満の、好ましくは0.5ミクロン未満の、好ましくは0.3ミクロン未満の、好ましくは0.2ミクロン未満の厚さで設けられる。
【0135】
図26および
図27を参照して述べた実施の形態においては、接地層60が本体に直に隣接する誘電体層62上に形成されるものと説明されている。しかし、他の構成も可能である。接地層60は、例えば誘電体ではない構造上に形成されてもよい。それに代えて又はそれとともに、多層構造が本体48と接地層60との間に設けられてもよい。例えば、
図9から
図24を参照して説明した層状構造のいずれかが、本体48と接地層60との間に設けられてもよい。
図9から
図24を参照して説明した層状構造を設ける1つ以上の方法のいずれかが、本体48上に層状構造を設けるために使用されてもよい。
【0136】
図26および
図27を参照して述べた実施の形態においては、接地層60の形成後に突起52が形成された。しかし、これは必須ではない。他の実施の形態においては、突起は接地層60の形成前に形成される。例えば、突起52は凹部をエッチングすることによって形成されてもよい。例えば、突起52は、本体48の材料に凹部をエッチングすることによって形成されてもよい。したがって突起52は、本体48と一体でもよいし、一体でなくてもよい。
【0137】
接地層60および突起52用の例示的な材料が以下に説明される。
【0138】
ある実施の形態においては、接地層60は、CrまたはCrNで形成される。接地層の厚さは、好ましくは0.1ミクロンから1ミクロンの間であってもよい。ある実施の形態においては、接地層は、SiO
2層(「誘電体層」の例である)に接着される。
【0139】
ある実施の形態においては、突起52の遠位端66は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、SiC、またはCrN、またはこれら材料の任意の組み合わせで形成される(または被覆される)。ある実施の形態においては、突起は、(接地面の平面に垂直な方向に)約10ミクロンの高さを有する。
【0140】
接地層60は、(開口または隙間を有しない)連続層であってもよいし、または、(例えばいわゆる「マンハッタン」パターンと同様に)パターニングされていてもよい。接地層60は、接地層の実質的にすべての部分が同一平面にあるように設けられてもよいし、または、接地層60は、接地層60の異なる部分が異なる平面に設けられるように設けられてもよい。
【0141】
上述のいずれかの特徴は他のいずれかの特徴とともに使用可能であり、本願に含まれる明示的に説明されたそれらの組み合わせのみではないものと理解されたい。
【0142】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、ここに説明したリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなど、マイクロスケールの、またはナノスケールのフィーチャを有するコンポーネントの製造におけるその他の用途も有しうるものと理解されたい。当業者であればこうした代替の用途の文脈において、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語の使用はそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像するツール)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理ツールにも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを生成するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は多数の処理済みの層を既に含む基板をも意味しうる。
【0143】
また、本明細書における「放射」及び「ビーム」なる用語は、(例えば365nm、248nm、193nm、157nm、126nm、13.5nm、または6.5nmの波長を有する)紫外(UV)放射および極紫外(EUV)放射を含むあらゆる電磁放射を包含する。
【0144】
「レンズ」なる用語は文脈が許す限り、屈折光学部品および反射光学部品を含む各種の光学部品のいずれかまたは任意の組合せを指し示してもよい。
【0145】
本発明の具体的な実施の形態が上述されたが、本発明は少なくとも装置を運転する方法の形式で、説明したもの以外に実施されてもよい。例えば、本発明の実施形態は少なくとも装置を運転する方法の形式で、上記に開示した装置を運転する方法を記述する機械で読み取り可能な命令の1つ以上のシーケンスを含む1つ以上のコンピュータプログラムの形式をとってもよいし、そのコンピュータプログラムを記録したデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光ディスク)であってもよい。機械で読み取り可能な命令は2以上のコンピュータプログラムにより実現されてもよい。それら2以上のコンピュータプログラムは1つ以上の異なるメモリ及び/またはデータ記録媒体に記録されていてもよい。
【0146】
本明細書に記載のコントローラは各々がまたは組み合わされて、リソグラフィ装置の少なくとも1つの構成要素内部に配置された1つ以上のコンピュータプロセッサによって1つ以上のコンピュータプログラムが読み取られたときに動作可能であってもよい。コントローラは各々がまたは組み合わされて、信号を受信し処理し送信するのに適切ないかなる構成を有してもよい。1つ以上のプロセッサは少なくとも1つのコントローラと通信するよう構成されている。例えば、各コントローラが上述の装置を運転する方法のための機械読み取り可能命令を含むコンピュータプログラムを実行するための1つ以上のプロセッサを含んでもよい。コントローラはコンピュータプログラムを記録する記録媒体及び/またはそのような媒体を受けるハードウェアを含んでもよい。そうして、コントローラは1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り可能命令に従って動作してもよい。
【0147】
本発明は、300mm、450mm、またはその他任意の大きさの直径をもつ基板に適用されうる。
【0148】
本発明の1つ以上の実施形態はいかなる液浸リソグラフィ装置に適用されてもよい。特に、上述の形式のものを含むがこれらに限られない。液浸液が浴槽形式で提供されてもよいし、基板の局所表面領域のみに提供されてもよいし、基板及び/または基板テーブル上で非閉じ込め型であってもよい。非閉じ込め型の構成においては、液浸液が基板及び/または基板テーブルの表面の上を流れることで、基板テーブル及び/または基板の覆われていない実質的に全ての表面が濡れ状態であってもよい。非閉じ込め液浸システムにおいては、液体供給システムは液浸液を閉じ込めなくてもよいし、液浸液の一部が閉じ込められるが完全には閉じ込めないようにしてもよい。
【0149】
本明細書に述べた液体供給システムは広く解釈されるべきである。いくつかの実施の形態においては液体供給システムは投影システムと基板及び/または基板テーブルとの間の空間に液体を提供する機構、または構造体の組合せであってもよい。液体供給システムは、空間に液体を提供する、1つ以上の構造体、1つ以上の液体入口、1つ以上の気体入口、1つ以上の気体出口、及び/または1つ以上の液体出口の組み合わせを備えてもよい。ある実施の形態においては、空間の表面は基板及び/または基板テーブルの一部であってもよく、空間の表面は基板及び/または基板テーブルの表面を完全に覆ってもよいし、空間が基板及び/または基板テーブルを包含してもよい。液体供給システムは、液体の位置、量、性質、形状、流速、またはその他の性状を制御するための1つ以上の要素をさらに含んでもよい。
【0150】
上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、後述の特許請求の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。
実施形態をいくつか挙げる。
1.リソグラフィ装置における使用のための物体ホルダを製造する方法であって、前記物体ホルダは、1つ以上の電気的に機能する構成要素を備え、前記方法は、
前記物体ホルダの本体と異なるキャリアシートと、1つ又は複数の層を備え前記キャリアシート上に形成された層状構造と、を備える複合構造を使用することと、
前記層状構造が前記キャリアシートと前記本体の表面との間にあるように前記本体の前記表面に前記複合構造を接続することと、
前記本体に接続された前記層状構造を残して前記複合構造から前記キャリアシートを取り除くことと、を備える方法。
2.前記キャリアシートは、シリコンを含む表面を備え、前記層状構造は、前記キャリアシートの前記表面を熱酸化することにより形成された第1の層を備える、実施形態1に記載の方法。
3.前記層状構造は、1つ以上の前記電気的に機能する構成要素を備える、実施形態1または2に記載の方法。
4.1つ以上の前記電気的に機能する構成要素は、前記層状構造の外部に形成される、実施形態1から3のいずれかに記載の方法。
5.前記電気的に機能する構成要素は、ヒータ、センサ、前記物体ホルダに対し物体を又は前記物体ホルダを支持するための物体テーブルに対し前記物体ホルダを静電的に保持するための電極、のうち1つ以上を備える、実施形態1から4のいずれかに記載の方法。
6.前記電極は、前記物体ホルダの前記本体内に、または、前記層状構造が前記物体ホルダに接続されるほうとは反対の前記物体ホルダの前記本体の側に、形成される、実施形態5に記載の方法。
7.物体を支持するための1つ以上の突起を前記層状構造上に形成することをさらに備え、前記突起は、前記複合構造から前記キャリアシートを取り除いた後に形成される、実施形態1から6のいずれかに記載の方法。
8.物体を支持するための前記本体の表面から複数の突起が突き出しており、前記方法は、
前記本体の前記表面に前記複合構造を接続する前に、前記キャリアシートへと前記層状構造を貫通する複数のくぼみを形成することをさらに備え、前記複数のくぼみは、前記複合構造が前記本体上に置かれるとき前記複数の突起が前記複数のくぼみと係合するよう前記複数の突起と空間的に相補する、実施形態1から7のいずれかに記載の方法。
9.前記突起の端面が前記くぼみ内で前記キャリアシートに接触する、実施形態8に記載の方法。
10.前記複合構造は、前記複合構造と前記本体の前記表面との間に形成された接着層を介して前記本体の前記表面に接続される、実施形態1から9のいずれかに記載の方法。
11.前記接着層は、前記複合構造と前記本体の前記表面との間の選択された領域において前記層状構造を前記本体に対し曲げられるように、前記選択された領域において除去される、実施形態10に記載の方法。
12.前記本体には前記選択された領域の配置に対応する貫通孔が設けられており、前記層状構造が前記選択された領域において前記貫通孔を通じて送給されることが可能であり、それによって、物体とは反対の前記本体の側から前記層状構造への電気接続がなされうる、実施形態11に記載の方法。
13.物体は基板であり前記物体ホルダは基板ホルダであり、または、物体はパターニングデバイスであり前記物体ホルダはパターニングデバイスホルダである、実施形態1から12のいずれかに記載の方法。
14.リソグラフィ装置における使用のための物体を支持するための物体ホルダであって、
本体と、
1つ以上の電気的に機能する構成要素と、
前記本体の表面上に形成された接着層と、
1つ又は複数の層を備え前記本体に前記接着層を介して接続された層状構造と、を備え、前記層状構造は、基板のシリコン表面の熱酸化により形成されたSiO2層を備える物体ホルダ。
15.前記1つ以上の電気的に機能する構成要素は、前記物体ホルダに対し物体を又は前記物体ホルダを支持するための物体テーブルに対し前記物体ホルダを静電的に固定するのに使用される電極を備える、実施形態14に記載の物体ホルダ。
16.前記SiO2層は、静電的に固定される要素間の電気絶縁層として機能するよう配置されている、実施形態15に記載の物体ホルダ。
17.物体を支持するための複数の突起をさらに備え、前記複数の突起は前記SiO2層上に設けられている、実施形態14から16のいずれかに記載の物体ホルダ。
18.前記本体は、前記物体を支持するための前記本体の表面から突き出す複数の突起を備える、実施形態14から16のいずれかに記載の物体ホルダ。
19.前記1つ以上の電気的に機能する構成要素は、ヒータ、センサ、前記物体ホルダに対し前記物体を又は前記物体ホルダを支持するための物体テーブルに対し前記物体ホルダを静電的に保持するための電極、のうち1つ以上を備える、実施形態14から18のいずれかに記載の物体ホルダ。
20.リソグラフィ装置のための物体ホルダであって、
前記物体ホルダの基面から突き出しており、各々が前記基面に近位端を有しかつ前記基面から最遠の遠位端を有する複数の突起と、
前記物体ホルダにより支持される物体が前記突起の前記遠位端との接触を保持するよう前記物体を前記突起に対し静電的に固定するように適応され、または、前記物体ホルダを支持するよう適応された物体テーブルが前記突起の前記遠位端との接触を保持するよう前記物体ホルダを前記物体テーブルに静電的に固定するように適応された電極と、
グランドまたは共通電位に前記突起のうち二以上を電気的に接続するよう適応された接地層と、
誘電体層と、を備え、
前記接地層は、前記誘電体層と前記接地層によりグランドまたは前記共通電位に接続された前記複数の突起の少なくとも1つとの間にある部分を備える物体ホルダ。
21.前記接地層は、前記接地層によりグランドまたは共通電位に接続された前記突起のうち少なくとも1つの突起の遠位端のいかなる部分も覆わないよう配設されている、実施形態20に記載の物体ホルダ。
22.前記物体ホルダは、保護層をさらに備え、前記接地層は、前記誘電体層と前記保護層との間に設けられ、
電気接続が、前記接地層によりグランドまたは前記共通電位に接続された前記突起の各々と前記接地層との間に前記保護層を通じて提供される、実施形態20または21に記載の物体ホルダ。
23.前記接地層は、CrまたはCrNを備える、実施形態20から22のいずれかに記載の物体ホルダ。
24.前記接地層は、1ミクロン未満の厚さを有する、実施形態20から23のいずれかに記載の物体ホルダ。
25.前記物体は基板であり前記物体ホルダは基板ホルダであり、または、前記物体はパターニングデバイスであり前記物体ホルダはパターニングデバイスホルダである、実施形態14から24のいずれかに記載の物体ホルダ。
26.実施形態14から25のいずれかに記載の物体ホルダによりパターニングデバイスを保持するためのパターニングデバイスホルダと、
前記パターニングデバイスによりパターンが付与されたビームを基板に投影するよう配設された投影システムと、を備えるリソグラフィ装置。
27.パターニングデバイスによりパターンが付与されたビームを基板に投影するよう配設された投影システムと、
実施形態14から25のいずれかに記載の物体ホルダにより前記基板を保持するよう配設された基板ホルダと、を備えるリソグラフィ装置。
28.リソグラフィ装置のための物体ホルダを製造する方法であって、
基面から突き出しており、各々が前記基面に近位端を有しかつ前記基面から最遠の遠位端を有する複数の突起を形成することと、
前記物体ホルダにより支持される物体が前記突起の前記遠位端との接触を保持するよう前記物体を前記突起に対し静電的に固定するように適応され、または、前記物体ホルダを支持するよう適応された物体テーブルが前記突起の前記遠位端との接触を保持するよう前記物体ホルダを前記物体テーブルに静電的に固定するように適応された電極を形成することと、
グランドまたは共通電位に前記突起のうち二以上を電気的に接続するよう適応された接地層を形成することと、
誘電体層を形成することと、を備え、
前記接地層は、前記誘電体層と前記接地層によりグランドまたは前記共通電位に接続された前記複数の突起の少なくとも1つとの間にある部分を備えるよう形成される方法。
29.前記接地層は、前記複数の突起の前に形成される、実施形態28に記載の方法。
30.リソグラフィ装置を使用するデバイス製造方法であって、
パターニングデバイスホルダにパターニングデバイスを保持し基板ホルダに基板を保持しつつ、パターニングデバイスによりパターンが付与されたビームを基板に投影することを備え、前記基板ホルダまたは前記パターニングデバイスホルダは、実施形態14から25のいずれかに記載の物体ホルダである方法。