特許第6146017号(P6146017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146017
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】携帯端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   H04M1/00 R
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-10401(P2013-10401)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-143544(P2014-143544A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100078189
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆男
(72)【発明者】
【氏名】中村 正永
(72)【発明者】
【氏名】梅津 薫
(72)【発明者】
【氏名】井上 英也
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−135009(JP,A)
【文献】 特開2007−221615(JP,A)
【文献】 特開2007−274427(JP,A)
【文献】 特開2009−232073(JP,A)
【文献】 特開2010−81319(JP,A)
【文献】 特開2012−156804(JP,A)
【文献】 特開2012−169999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に所定画面が表示され使用者が前記所定画面を注視して使用する第1の機能少なくとも実現する携帯端末装置において、
前記携帯端末装置が所定領域を連続的に所定距離以上移動しているか否かを判定する連続移動判定と、
前記携帯端末装置が前記所定領域を連続的に所定距離以上移動したと前記連続移動判定が判定した場合に、前記第1の機能の使用を抑制する使用抑制と、
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
前記携帯端末装置の位置を検出する位置検出と、
前記所定領域に関する情報を少なくとも含む地図情報を記憶する地図情報記憶をさらに備え、
前記連続移動判定は、前記位置検出が検出した前記携帯端末装置の位置が前記地図情報に基づいて設定される前記所定領域の内側を連続的に所定距離以上移動しているか否かを判定する携帯端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末装置において、
GPS情報および/または加速度検出部の出力信号に基づいて、前記携帯端末装置の移動速度を検出する速度検出をさらに備え、
前記使用抑制は、前記移動速度が所定速度以上のとき、前記携帯端末装置の音声通話機能の使用を抑制する携帯端末装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記携帯端末装置の位置から所定距離の範囲内に存在する人数を推定する人数推定をさらに備え、
前記使用抑制は、前記人数推定により推定された人数が所定人数以上のとき、前記携帯端末装置の音声通話機能の使用を抑制する携帯端末装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
前記人数推定は、近距離無線通信を用いて前記所定距離の範囲内に存在する通信端末数を数え、前記通信端末数に基づいて前記所定距離の範囲内に存在する人の数を推定する携帯端末装置。
【請求項6】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
前記地図情報は、前記所定領域内の時間帯ごとの平均人口密度をさらに記憶し、
前記人数推定は、前記位置検出により検出された前記携帯端末装置の位置が前記地図情報記憶に記憶された前記所定領域内に存在するとき、当該範囲の時間帯ごとの平均人口密度に基づいて前記携帯端末装置から所定距離の範囲内に存在する人数を推定する携帯端末装置。
【請求項7】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
撮像画像またはサーモグラフィ画像を生成する画像生成をさらに備え、
前記人数推定は、前記画像生成が生成した撮像画像またはサーモグラフィ画像に含まれる人の全体または一部の像数を数え、前記像数に基づいて前記携帯端末装置から所定距離の範囲内に存在する人数を推定する携帯端末装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の携帯端末装置において、
被写体像を撮像して撮像画像を出力する撮像と、
前記連続移動判定は、前記撮像が異なる複数の時刻に出力した前記撮像画像に基づいて、前記携帯端末装置が前記所定領域を連続的に所定距離以上移動していると判定する携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の携帯端末装置であって、
前記所定領域は公的空間の領域を含む携帯端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が歩行しているときまたは使用者がエンジンを搭載した車両を運転しているときの振動を検出して、操作を抑制する携帯電話端末装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−53988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば使用者の自宅など、使用者が私的な空間を移動している場合は、他人と衝突する危険性が低い。特許文献1では、私的な空間と公共空間との区別を行わずに操作の抑制を行う。不特定多数の他人に迷惑をかけるおそれがある公共空間での使用だけでなく、私的な空間での携帯端末装置の使用までも抑制されてしまうのは、携帯端末装置の利便性を損ねる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による携帯端末装置は、表示部に所定画面が表示され使用者が所定画面を注視して使用する第1の機能少なくとも実現する携帯端末装置において、携帯端末装置が所定領域を連続的に所定距離以上移動しているか否かを判定する連続移動判定と、携帯端末装置が所定領域を連続的に所定距離以上移動したと連続移動判定が判定した場合に、第1の機能の使用を抑制する使用抑制と、を備える
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、私的な空間における携帯端末装置の利便性を損なうことなく、公共空間における携帯端末装置の危険な利用を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施の形態による携帯端末装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態による携帯端末装置の制御部により実行される使用抑制処理の概要を示す図である。
図3】連続移動判定部の構成例を示すブロック図である。
図4】連続移動判定部の処理の一例を示すフローチャートである。
図5】連続移動判定部の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】人数推定部の構成例を示すブロック図である。
図7】速度検出部の構成例を示すブロック図である。
図8】使用抑制処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態による携帯端末装置のブロック構成図である。図1に例示する携帯端末装置100は、例えば携帯電話、スマートフォンなどの携帯可能な情報端末である。携帯端末装置100は、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、送受信部104と、呼び出し部105と、表示部106と、連続移動判定部110と、人数推定部120と、速度検出部130とを備える。
【0009】
携帯端末装置100は、例えばメール機能、ウェブブラウザ機能などのように、機能使用時に表示部106に表示された画面を使用者が注視する必要がある機能(以降、第1機能と称する)を少なくとも一つ有する。また、携帯端末装置100は、例えば音声通話機能(テレビ電話を除く)などのように、機能使用時に表示部106に表示された画面を使用者が注視する必要がない機能(以降、第2機能と称する)を少なくとも一つ有する。制御部101は、不図示のCPU、RAM、ROMなどを有し、ROMに記憶されたプログラムを実行して携帯端末装置100全体を制御することにより、これらの機能を実現する。なお、テレビ電話機能は、音声通話機能であっても、表示部106に表示された画面を使用者が注視するため第1機能に属する。
【0010】
記憶部102は、フラッシュメモリなどで構成され、通話相手の電話番号および名前などが記録される電話帳、送信相手のメールアドレスおよび名前などが記録されるアドレス帳、表示部106に文字を表示させるための文字データなどが記憶されている。
【0011】
操作部103は、複数の各種操作キーを有し、電話送信、電話受信、メール送信、メール受信、その他各種機能を実行させるためのキー操作を行うためのものである。
【0012】
送受信部104は、アンテナ(不図示)を介して受信した通信信号(通話信号)を復調して、復調して得られた多重化されたデジタル信号から携帯端末装置100宛のデジタル信号を抽出してアナログ信号に変換して受話器(不図示)に供給する。また、送受信部104は、送話器(不図示)からの音声信号をデジタル信号に変換して、このデジタル信号を多重化して搬送波を変調して送信する。また、送受信部104は、通信信号がメール信号である場合は、所定のメール信号処理により、メール信号の送信およびメール信号の受信を行う。呼び出し部105は、着信時の呼び出しを、音声で知らせたり、振動で知らせたり、あるいは光で知らせたりするためのものである。
【0013】
表示部106は、例えば液晶モニタで構成され、携帯端末装置100が各種機能を実施する際に各種画面を表示する。例えば、メール機能を実施するときは、送信メール編集画面、受信メール表示画面などが表示部106に表示され、使用者により注視される。また、ウェブブラウザ機能を実施するときは、ウェブページ閲覧画面などが表示部106に表示され、使用者により注視される。
【0014】
連続移動判定部110は、携帯端末装置100が公共空間(パブリックスペース)を連続的に移動した距離Lが所定距離Lth以上か否かを判定し、その判定結果を制御部101へ出力する。ここで公共空間とは、公的に整備された空間だけでなく、一般に開放されている公共性の高い空間を含む。例えば、公共の広場、駅、病院、ショッピングモール、道路等が公共空間に含まれる。一方で、使用者の自宅などの私的な空間は、公的空間に含まれない。所定距離Lthは、例えば60mである。連続移動判定部110の詳細については、後述する。
【0015】
人数推定部120は、携帯端末装置100が存在する位置から所定距離(例えば、60m)の範囲内に存在する人の数を推定する。人数推定部120は、推定した人数に関する情報を、制御部101へ出力する。人数推定部120の詳細については、後述する。
速度検出部130は、携帯端末装置100の移動速度を検出し、その移動速度を制御部101へ出力する。速度検出部130の詳細については、後述する。
【0016】
制御部101は、連続移動判定部110の判定結果、人数推定部120が推定した人数、速度検出部130が検出した移動速度に基づいて、第1機能および第2機能の使用を許可または抑制する使用抑制処理を実行する。
【0017】
図2を用いて制御部101により実行される使用抑制処理について説明する。図2に示される機能抑制テーブル140は、連続移動判定部110と人数推定部120と速度検出部130からの入力に対する第1機能および第2機能の抑制を示す。
【0018】
<ケース1>
図2に示すケース1は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m未満であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h未満であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人未満の状態である。携帯端末装置100の連続移動距離が60m未満か否かは、連続移動判定部110の判定結果に基づいて判断される。携帯端末装置100の移動速度は、速度検出部130が検出した移動速度に基づいて判断される。携帯端末装置100の周囲にいる人数は、人数推定部120が推定した人数に基づいて判断される。ケース1の場合には、携帯端末装置100は、第1機能も第2機能も抑制しない。
【0019】
<ケース2>
ケース2は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m未満であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h未満であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人以上の状態である。ケース2の場合にも、携帯端末装置100は、第1機能も第2機能も抑制しない。
【0020】
<ケース3>
ケース3は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m未満であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h以上であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人未満の状態である。ケース3の場合にも、携帯端末装置100は、第1機能も第2機能も抑制しない。
【0021】
<ケース4>
ケース4は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m未満であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h以上であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人以上の状態である。ケース4の場合にも、携帯端末装置100は、第1機能も第2機能も抑制しない。
【0022】
<ケース5>
ケース5は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m以上であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h未満であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人未満の状態である。ケース5の場合には、携帯端末装置100は、第1機能を抑制して、第2機能を抑制しない。すなわち、携帯端末装置100の使用者が周囲に他者がほとんどいない場所を歩行などによりゆっくり移動している場合は、制御部101は、機能使用中の使用者が周囲を観察できるように第1機能を抑制して、使用者による周囲の観察を阻害しない第2機能については抑制しない。
【0023】
<ケース6>
ケース6は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m以上であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h未満であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人以上の状態である。ケース6の場合には、携帯端末装置100は、第1機能も第2機能も抑制する。すなわち、制御部101は、携帯端末装置100の使用者が歩行などによりゆっくり移動している場合であっても使用者の周囲に他者が多い場合は、使用者が他者に衝突することを予防するため第1機能だけでなく第2機能も抑制する。
【0024】
<ケース7>
ケース7は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m以上であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h以上であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人未満の状態である。ケース7の場合には、携帯端末装置100は、第1機能も第2機能も抑制する。すなわち、制御部101は、携帯端末装置100の使用者が走ったり、車両(自転車などの軽車両を含む)に乗ったりしている場合は、使用者が片手運転をしていたり、出会いがしらに他者と衝突したりすることを予防するため第1機能と第2機能の両方を抑制する。
【0025】
<ケース8>
ケース8は、携帯端末装置100の連続移動距離が60m以上であって、携帯端末装置100の移動速度が8km/h以上であって、携帯端末装置100の周囲にいる人数が3人以上の状態である。ケース8の場合には、携帯端末装置100は、ケース7と同様に第1機能も第2機能も抑制する。
【0026】
(連続移動判定部110)
図3(a)および(b)は、連続移動判定部110の構成例110aおよび110bを示す図である。携帯端末装置100は、連続移動判定部110aおよび110bのいずれかを少なくとも一つ備える。
【0027】
図3(a)に例示するように、連続移動判定部110aは、GPS受信部111と、地図情報記憶部112と、第2制御部113aとを備える。GPS受信部111は、GPS衛星からのGPS情報を受信して、そのGPS情報を第2制御部113aに出力する。第2制御部113aは、GPS情報に基づいて、携帯端末装置100の位置(緯度、経度)を算出する。
【0028】
地図情報記憶部112は、不揮発性の記録媒体であり、地図情報を記憶する。地図情報記憶部112に記憶される地図情報には、例えばノード情報、リンク情報、施設情報などが含まれる。ノード情報は、例えば道路上の所定の場所(例えば、交差点)を表すノードに関する情報であって、各ノードの識別番号、各ノードの座標(緯度、経度)などの情報を含む。リンク情報は、例えば道路を表すリンクに関する情報であって、例えば各リンクの識別番号、両端のノードの識別番号、各リンクが表す道路の幅に関する情報(例えば、幅員)を含む。施設情報には、例えば公的空間であるか否かを表す情報、施設の種類を表す情報、施設の形状を表す情報、施設の位置、時間帯ごとの施設の平均人口密度を表す情報などが含まれる。
【0029】
第2制御部113aは、不図示のCPU、RAM、ROMなどを有する。不図示のRAMには、GPS情報に基づいて算出された携帯端末装置100の位置(緯度、経度)を二つ記憶するリングバッファが設けられている。連続移動判定部110aにおいて、第2制御部113aが実行する処理については詳細を後述する。
【0030】
図3(b)は、連続移動判定部110bのブロック構成図である。連続移動判定部110bは、第2制御部113bと、撮像部114と、パターン画像記憶部115とを備える。撮像部114は、例えば携帯端末装置100に備わるカメラであって、被写体を撮像して撮像画像を出力する。パターン画像記憶部115には、パターン認識に用いられる人間の手の画像のパターン画像と、車両のステアリングホイールの画像のパターン画像とが記憶されている。第2制御部113bは、これらのパターン画像を用いて、撮像部114が出力した撮像画像からステアリングホイールを握る手の画像を検出する。そして、撮像部114から定期的に出力された撮像画像からステアリングホイールを握る手の画像が所定時間以上連続して検出されたとき、第2制御部113bは、携帯端末装置100の使用者が高速に移動する車両を運転していると判断して、携帯端末装置100が公共空間を連続的に所定距離Lth以上移動したことを表す信号を制御部に出力する。
【0031】
図4および図5は、図3(a)の連続移動判定部110aにおいて、第2制御部113が実行する処理に関するフローチャートである。図4および図5に示される処理は、図4のステップS210からその処理を開始する。図4の処理を開始した時点では、携帯端末装置100が公共空間を連続的に移動した距離Lはゼロである。
【0032】
図4のステップS210では、第2制御部113は、GPS受信部111から入力されたGPS情報に基づいて、携帯端末装置100の位置(緯度、経度)を算出して、その携帯端末装置100の位置(緯度、経度)をリングバッファに記憶する。以降、ステップS210の処理が実行されるたびに携帯端末装置100の位置(緯度、経度)がリングバッファに記憶される。
【0033】
ステップS220では、第2制御部113は、リングバッファに記憶された最新の携帯端末装置100の位置(緯度、経度)から所定距離の範囲内に存在する公的空間の領域を算出する。例えば、第2制御部113は、リングバッファに記憶された最新の携帯端末装置100の位置(緯度、経度)から所定距離の範囲内にある道路や施設に関するリンク情報や施設情報を地図情報記憶部112から抽出する。そして、第2制御部113は、それらのリンク情報と施設情報に基づいて公的空間の領域を算出する。例えば、第2制御部113は、リンクの両端のノード間を結ぶ線分を中心線として、道路の幅に関する情報に応じた幅を有する長方形の領域を公的空間(道路)の領域として算出する。また、第2制御部113は、例えば施設情報の施設の位置を表す情報と、施設の形状を表す情報とに基づいて、公的空間(施設)の領域を算出する。
【0034】
ステップS230では、第2制御部113は、リングバッファに記憶された最新の携帯端末装置100の位置(緯度、経度)がステップS220で算出した公的空間の領域内か否かを判定する。第2制御部113は、ステップS230が肯定判定された場合は処理をステップS240に進め、ステップS230が否定判定された場合は処理を図5のステップS310に進める。
【0035】
ステップS240では、第2制御部113は、リングバッファに記憶された携帯端末装置100の最新の位置と前回の位置との間の距離L1を算出する。なお、リングバッファに携帯端末装置100の位置が一つしか記憶されていない場合は、距離L1を零とする。
【0036】
ステップS250では、ステップS240で算出された距離L1がゼロより大きいか否かを判定する。第2制御部113は、リングバッファに携帯端末装置100の位置が一つしか記憶されていない場合、またはL1がゼロの場合は、ステップS250を否定判定する。第2制御部113は、ステップS250が肯定判定された場合は処理をステップS260に進め、ステップS250が否定判定された場合は処理を図5のステップS320に進める。
【0037】
ステップS260では、第2制御部113は、携帯端末装置100が公的空間を連続的に移動した距離LにステップS240で算出した距離L1を加算する。ステップS270では、第2制御部113は、携帯端末装置100が公的空間を連続的に移動した距離Lが所定距離Lthより大きいか否かを判定する。第2制御部113は、ステップS270が肯定判定された場合は処理をステップS280に進め、ステップS270が否定判定された場合は処理をステップS210に処理を戻す。
【0038】
ステップS280では、第2制御部113は、携帯端末装置100が公共空間を連続的に所定距離Lth以上移動したという判定結果を制御部101に出力する。その後、第2制御部113は、処理をステップS210に戻す。
【0039】
図5のステップS310では、第2制御部113は、携帯端末装置100が公的空間を連続的に移動した距離Lをゼロに初期化する。その後、第2制御部113は、処理を図4のステップS210に戻す。
【0040】
ステップS320では、第2制御部113は、携帯端末装置100が公的空間を連続的に移動した距離Lをゼロに初期化する。その後、第2制御部113は、処理をステップS330に進め、リングバッファに記憶されている携帯端末装置100の位置を削除する。その後、第2制御部113は、処理を図4のステップS210に戻す。
【0041】
(人数推定部120)
図6(a)〜(d)は、人数推定部120の構成例120a〜120dを示す図である。携帯端末装置100は、人数推定部120a〜120dのいずれかを少なくとも一つ備える。
【0042】
図6(a)は、人数推定部120aのブロック構成図である。人数推定部120aは、無線通信部121と第3制御部122aとを備える。無線通信部121は、Wi−Fi(登録商標)などを用いた近距離無線通信を行うための通信インタフェースである。第3制御部122aは、無線通信部121を用いて、携帯端末装置100から所定距離の範囲内(通信可能エリア内と称する)に存在する通信端末を探知して、通信可能エリア内の通信端末数を数える。そして、第3制御部122aは、その通信端末数を、携帯端末装置100の周辺にいる人数の推定値として制御部101に向けて出力する。
【0043】
図6(b)は、人数推定部120bのブロック構成図である。人数推定部120bは、撮像部123と人物認識部124と第3制御部122bとを備える。撮像部123は、携帯端末装置100の周囲の被写体像を撮像して、撮像画像に関する画像データを出力する。第3制御部122bは、不図示のCPU、RAM、ROMなどを有する。人物認識部124は、顔認識技術などを用いて、撮像部123が出力した画像データから人の全体像または顔画像を抽出する。第3制御部122bは、所定時間内(例えば、1分間)に人物認識部124により抽出された人の全体像または顔画像の像数を、携帯端末装置100の周辺にいる人数の推定値として制御部101に向けて出力する。なお、撮像部123に用いられる撮影レンズは、魚眼レンズなどの画角が広い光学系を用いることが好ましい。
【0044】
図6(c)は、人数推定部120cは、熱映像部125と人物認識部124と第3制御部122cとを備える。熱映像部125は、携帯端末装置100の周囲の熱源(例えば、乗客)からの遠赤外線を検出してサーモグラフィ画像を生成する。人物認識部124は、顔認識技術などを用いて、熱映像部125が出力したサーモグラフィ画像から人の全体像または顔の像を抽出する。第3制御部122cは、例えば所定時間内(例えば、1分間)に人物認識部124により抽出された人の全体像または顔画像の像数を、携帯端末装置100の周辺にいる人数の推定値として制御部101に向けて出力する。
【0045】
図6(d)は、人数推定部120dのブロック構成図である。人数推定部120dは、GPS受信部111と地図情報記憶部112と第3制御部122dとを備える。第3制御部122dは、GPS受信部111から入力されたGPS情報に基づいて、携帯端末装置100の位置(緯度、経度)を算出する。そして、第3制御部122dは、地図情報記憶部112に記憶された地図情報の施設情報に基づいて、公的空間(施設)の領域を算出する。第3制御部122dは、携帯端末装置100の位置が公的空間(施設)の領域にあるとき、その施設に関する時間帯ごとの平均人口密度を施設情報から取得して、その平均人口密度から携帯端末装置100の周辺にいる人数の推定値を算出する。そして、第3制御部122dは、その携帯端末装置100の周辺にいる人数の推定値を、制御部101に向けて出力する。
【0046】
(速度検出部130)
図7(a)および(b)は、速度検出部130の構成例130aおよび130bを示す図である。携帯端末装置100は、速度検出部130aおよび130bのいずれかを少とも一つ備える。
【0047】
図7(a)は、速度検出部130aのブロック構成図である。速度検出部130aは、GPS受信部111と第4制御部131aとを備える。第4制御部131aは、GPS受信部111から所定時間おきにGPS情報を取得して、携帯端末装置100の位置(緯度、経度)を算出し、携帯端末装置100の移動速度を算出する。
【0048】
図7(b)は、速度検出部130bのブロック構成図である。速度検出部130bは、加速度検出部132と第4制御部131bとを備える。第4制御部131bは、加速度検出部132の検出信号に基づく加速度を積分して、携帯端末装置100の移動速度を算出する。
【0049】
(使用抑制処理)
図8は、制御部101による実行される使用抑制処理のフローチャートである。ステップS400では、制御部101は、人数推定部120の推定結果が所定人数以上か否かを判定する。例えば、図2に示した機能抑制テーブル140の場合では、制御部101は、人数推定部120の推定結果が3人以上か否かを判定する。制御部101は、人数推定部120の推定結果が所定人数未満の場合はステップS401に処理を進め、人数推定部120の推定結果が所定人数以上の場合はステップS402に処理を進める。
【0050】
ステップS401では、制御部101は、速度検出部130により検出された携帯端末装置100の移動速度が所定速度以上か否かを判定する。例えば、図2に示した機能抑制テーブル140の場合では、制御部101は、速度検出部130により検出された携帯端末装置100の移動速度が8km/h以上か否かを判定する。制御部101は、速度検出部130が検出した移動速度が所定速度以上の場合ステップS402に処理を進め、速度検出部130が検出した移動速度が所定速度未満の場合ステップS403に処理を進める。
【0051】
ステップS402では、制御部101は、携帯端末装置100の利用者に対して、所定の警告を行う。例えば、表示部106に警告メッセージを表示したり、表示部106の画面や呼び出し部105を赤く点滅させたり、不図示のスピーカから警告音を再生したり、表示部106に表示されている画面に撮像部114により撮像された撮像画像を合成したりする。
【0052】
ステップS403では、制御部101は、携帯端末装置100が公共空間を連続的に所定距離Lth以上移動したことを表す判定結果を、連続移動判定部110が出力したか否かを判定する。制御部101は、携帯端末装置100が公共空間を連続的に所定距離Lth以上移動したことを表す判定結果が連続移動判定部110から出力されている場合ステップS404に処理を進め、携帯端末装置100が公共空間を連続的に所定距離Lth以上移動したことを表す判定結果が連続移動判定部110から出力されていない場合ステップS405に処理を進める。
【0053】
ステップS404では、制御部101は、第1機能の使用を抑制する。例えば、制御部101は、使用を抑制している旨のメッセージ以外を表示部106に表示しないようにする。
【0054】
ステップS405では、制御部101は、人数推定部120の推定結果が所定人数以上か否かを判定する。制御部101は、人数推定部120の推定結果が所定人数未満の場合はステップS406に処理を進め、人数推定部120の推定結果が所定人数以上の場合はステップS407に処理を進める。
【0055】
ステップS406では、制御部101は、速度検出部130により検出された携帯端末装置100の移動速度が所定速度以上か否かを判定する。制御部101は、速度検出部130が検出した移動速度が所定速度以上の場合ステップS407に処理を進め、速度検出部130が検出した移動速度が所定速度未満の場合ステップS400に処理を進める。
【0056】
ステップS407では、制御部101は、第2機能の使用を抑制して、処理をステップS400に進める。
【0057】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
携帯端末装置100は、制御部101の制御により、音声通話機能と、使用者が表示部106に表示された所定画面を注視して使用する第1機能とを少なくとも実現する。携帯端末装置100は、連続移動判定部110を備え、公共空間を連続的に所定距離Lth以上移動しているか否かを判定する。制御部101は、使用抑制処理を実行することにより、携帯端末装置100が公共空間を連続的に所定距離以上移動したという判定結果を連続移動判定部110が出力した場合(ステップS403 出力あり)に、第1機能の使用を抑制する(ステップS404)。携帯端末装置100は、このような構成を備えることにより、私的な空間における携帯端末装置100の利便性を損なうことなく、公共空間における携帯端末装置100の危険な利用を抑制することができる。
【0058】
以上で説明した実施形態は、以下のように変形して実施できる。
〔変形例1〕
携帯端末装置100は、使用抑制処理を実行している制御部101により機能の使用を抑制されているときに、制御部101に対して機能の使用を許可させる操作を受け付ける操作部材を操作部103として備えることにしてもよい。これにより、使用者は。緊急時には携帯端末装置100の機能を使用し続けることができる。なお、使用者が車両を運転している場合などには、片手運転を防止するためその操作部材から入力を受け付けないようにすることが好ましい。使用者が車両を運転しているか否かは、例えば加速度センサなどにより振動を検出して、その振動と予め記憶された車両運転時特有の振動パターンとが一致するか否かを判定することにすればよい。
〔変形例2〕
携帯端末装置100は、周囲環境の温度を検出して、その周囲環境の温度が屋外の気温と等しいとき、携帯端末装置100が公共空間に存在すると判断する公共空間判断部をさらに備えることにしてもよい。
〔変形例3〕
第2制御部113aおよび113b、第3制御部122a〜122d、および第4制御部131aおよび131bは、制御部101と同一のCPUによって構成されてもよい。
【0059】
以上で説明した実施の形態や変形例はあくまで例示に過ぎず、発明の特徴が損なわれない限り本発明はこれらの内容に限定されない。また、以上で説明した実施の形態や変形例は発明の特徴が損なわれない限り組み合わせて実行してもよい。
【符号の説明】
【0060】
100 携帯端末装置
101 制御部
102 記憶部
103 操作部
104 送受信部
105 呼び出し部
106 表示部
110 連続移動判定部
120 人数推定部
130 速度検出部
140 機能抑制テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8