【実施例】
【0057】
以下、本願の各実施例を、図面に基づいて説明する。なお、
図1、
図6、
図10、
図14及び
図18は、各実施例に係る変倍光学系ZL(ZL1〜ZL5)の構成及び屈折力配分を示す断面図である。また、これの変倍光学系ZL1〜ZL5の断面図の下部には、広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際の各レンズ群G1〜G5又はG6の光軸に沿った移動方向が矢印で示されている。いずれの実施例においても、変倍に際し、第1レンズ群G1が像面Iに対して光軸に沿って移動するように構成されている。
【0058】
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の構成を示す図である。この
図1に示す変倍光学系ZL1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、から構成されている。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合レンズ、両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズ、及び、両凹レンズL25から構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、及び、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33とを接合した接合レンズから構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42とを接合した接合レンズで構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL51、物体側に凸面を向けた平凸レンズL52と像側に凹面を向けた平凹レンズL53と物体側に凸面を向けた平凸レンズL54とを接合した接合レンズ、両凸レンズL55と物体側に凹面を向けた平凹レンズL56とを接合した接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL57から構成されている。
【0059】
この第1実施例に係る変倍光学系ZL1は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3及び第5レンズ群G5が光軸上を物体方向に移動し、第2レンズ群G2及び第4レンズ群G4が像面Iに対して光軸方向に固定されている。また、開口絞りSは第5レンズ群G5の物体側に配置されており、変倍に際して第5レンズ群G5とともに移動する。
【0060】
また、無限遠から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を像側に移動させることにより行う。
【0061】
また、像ぶれ補正(防振)は、第2レンズ群G2の両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズを防振レンズ群とし、この防振レンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより行う。なお、全系の焦点距離がfで、防振係数(像ぶれ補正での防振レンズ群VLの移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の防振レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい(以降の実施例においても同様である)。この第1実施例の広角端状態においては、防振係数は−0.767であり、焦点距離は81.6(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.371(mm)である。また、この第1実施例の中間焦点距離状態においては、防振係数は−1.348であり、焦点距離は200.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.518(mm)である。また、この第1実施例の望遠端状態においては、防振係数は−2.103であり、焦点距離は392.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.651(mm)である。
【0062】
以下の表1に、第1実施例の諸元の値を掲げる。この表1において、全体諸元におけるβは変倍比、fは全系の焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角、Yは像高、及び、TLは全長をそれぞれ表している。ここで、全長TLは、無限遠合焦時のレンズ面の第1面から像面Iまでの光軸上の距離を表している。また、レンズデータにおける第1欄mは、光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序(面番号)を、第2欄rは、各レンズ面の曲率半径を、第3欄dは、各光学面から次の光学面までの光軸上の距離(面間隔)を、第4欄νd及び第5欄ndは、d線(λ=587.6nm)に対するアッベ数及び屈折率を示している。また、曲率半径0.000は平面を示し、空気の屈折率1.00000は省略してある。なお、表1に示す面番号1〜33は、
図1に示す番号1〜33に対応している。また、レンズ群焦点距離は第1〜第5レンズ群G1〜G5の各々の始面と焦点距離を示している。ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、これらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
【0063】
(表1)
[全体諸元]
β=4.8
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f = 81.6 〜 200.0 〜 392.0
FNO= 4.56 〜 5.38 〜 5.85
2ω = 29.6 〜 12.1 〜 6.2
Y = 21.6 〜 21.6 〜 21.6
TL = 246.4 〜 283.4 〜 302.5
[レンズデータ]
m r d νd nd
1 182.816 2.500 35.7 1.90265
2 92.566 10.000 82.6 1.49782
3 -707.416 0.100
4 83.365 9.200 95.0 1.43700
5 1420.361 D1
6 117.082 6.400 34.9 1.80100
7 -117.044 2.200 82.6 1.49782
8 61.183 5.810
9 -265.081 2.000 46.6 1.81600
10 30.785 4.600 25.5 1.80518
11 92.264 6.200
12 -56.342 2.000 42.7 1.83481
13 158.965 D2
14 112.252 4.600 67.9 1.59319
15 -78.685 0.100
16 67.612 1.800 31.3 1.90366
17 35.499 6.400 67.9 1.59319
18 -238.177 D3
19 -58.467 1.600 54.6 1.72916
20 38.999 3.600 35.7 1.90265
21 146.900 D4
22 0.000 2.000 開口絞りS
23 124.142 3.400 44.8 1.74400
24 -124.142 0.100
25 26.615 6.800 70.3 1.48749
26 0.000 2.000 29.4 1.95000
27 26.437 4.800 52.2 1.51742
28 0.000 17.600
29 176.178 6.000 33.7 1.64769
30 -19.703 1.600 65.4 1.60300
31 0.000 11.270
32 -22.131 1.600 42.7 1.83481
33 -33.748 BF
[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 161.714
第2レンズ群 6 -32.531
第3レンズ群 14 50.816
第4レンズ群 19 -70.030
第5レンズ群 23 59.673
【0064】
この第1実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5とともに移動する開口絞りSとの軸上空気間隔D4、及び、バックフォーカスBFは、変倍に際して変化する。次の表2に、無限遠合焦時の広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔D1〜D4及びバックフォーカスBFの値を示す。なお、バックフォーカスBFは、最も像側のレンズ面(
図1における第33面)から像面Iまでの光軸上の距離を表している。この説明は以降の実施例においても同様である。
【0065】
(表2)
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 81.6 〜 200.0 〜 392.0
D1 8.225 〜 45.191 〜 64.292
D2 27.059 〜 15.341 〜 3.056
D3 5.388 〜 17.106 〜 29.391
D4 26.684 〜 11.153 〜 2.382
BF 52.8 〜 68.3 〜 77.1
【0066】
次の表3に、この第1実施例における各条件式対応値を示す。なおこの表3において、f1は第1レンズ群G1の焦点距離を、f2は第2レンズ群G2の焦点距離を、f4は第4レンズ群G4の焦点距離を、f5は第5レンズ群G5の焦点距離を、それぞれ表している。以上の符号の説明は以降の実施例においても同様である。
【0067】
(表3)
(1)f1/(−f2)=4.97
(2)f1/f3 =3.18
(3)f3/(−f4)=0.73
(4)(−f4)/f5=1.17
【0068】
このように、この第1実施例に係る変倍光学系ZL1は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
【0069】
この第1実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図2(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を
図3(a)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図4(a)に示す。また、第1実施例の広角端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.371)を行ったときのコマ収差図を
図2(b)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.518)を行ったときのコマ収差図を
図3(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.651)を行った時のコマ収差図を
図4(b)に示す。各収差図において、FNOはFナンバーを、Aは半画角を、dはd線(λ=587.6nm)を、gはg線(λ=435.6nm)を、それぞれ示している。また、非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。この収差図の説明は以降の実施例においても同様である。各収差図から明らかなように、第1実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正されており、優れた結像性能を有することがわかる。
【0070】
図5は、上記第1実施例の変倍光学系であって、入射した光線が第1番目の反射面と第2番目の反射面で反射して像面Iにゴーストやフレアを形成する様子の一例を示す図である。
【0071】
[第2実施例]
図6は、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の構成を示す図である。この
図6に示す変倍光学系ZL2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、から構成されている。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合レンズ、及び、両凸レンズL13から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合レンズ、両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズ、及び、両凹レンズL25から構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、及び、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33とを接合した接合レンズから構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹レンズL41と両凸レンズL42とを接合した接合レンズで構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL51、及び、両凸レンズL52と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53とを接合した接合レンズで構成されている。また、第6レンズ群G6は、物体側から順に、両凸レンズL61と両凹レンズL62とを接合した接合レンズで構成されている。
【0072】
この第2実施例に係る変倍光学系ZL2は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、第5レンズ群G5及び第6レンズ群G6が光軸上を物体方向に移動し、第2レンズ群G2及び第4レンズ群G4が像面Iに対して光軸方向に固定されている。また、開口絞りSは第5レンズ群G5の物体側に配置されており、変倍に際して第5レンズ群G5とともに移動する。
【0073】
また、無限遠から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を像側に移動させることにより行う。
【0074】
また、像ぶれ補正(防振)は、第2レンズ群G2の両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズを防振レンズ群とし、この防振レンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより行う。この第2実施例の広角端状態においては、防振係数は−0.637であり、焦点距離は72.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.395(mm)である。また、この第2実施例の中間焦点距離状態においては、防振係数は−1.158であり、焦点距離は200.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.603(mm)である。また、この第2実施例の望遠端状態においては、防振係数は−1.763であり、焦点距離は390.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.772(mm)である。
【0075】
以下の表4に、第2実施例の諸元の値を掲げる。なお、表4に示す面番号1〜30は、
図6に示す番号1〜30に対応している。また、レンズ群焦点距離は第1〜第6レンズ群G1〜G6の各々の始面と焦点距離を示している。
【0076】
(表4)
[全体諸元]
β=5.4
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f = 72.0 〜 200.0 〜 390.0
FNO= 4.54 〜 5.44 〜 5.88
2ω = 33.7 〜 12.0 〜 6.2
Y = 21.6 〜 21.6 〜 21.6
TL = 244.3 〜 290.3 〜 309.3
[レンズデータ]
m r d νd nd
1 218.093 1.800 40.7 1.88300
2 94.341 10.098 82.6 1.49782
3 -579.376 0.100
4 90.320 9.392 82.6 1.49782
5 -1839.350 D1
6 -1407.394 4.344 25.5 1.80518
7 -80.390 2.000 67.9 1.59319
8 128.565 4.528
9 -287.557 1.900 42.7 1.83481
10 40.640 3.951 23.8 1.84666
11 116.253 5.759
12 -69.042 1.800 42.7 1.83481
13 177.936 D2
14 102.836 4.827 60.2 1.64000
15 -70.986 0.100
16 85.954 5.583 61.2 1.58913
17 -58.889 2.000 23.8 1.84666
18 -910.681 D3
19 -57.570 1.800 47.4 1.78800
20 50.018 3.583 23.8 1.84666
21 -2308.874 D4
22 0.000 2.000 開口絞りS
23 1105.472 3.337 50.3 1.71999
24 -60.251 0.100
25 53.693 5.265 70.3 1.48749
26 -61.018 2.000 23.8 1.84666
27 -839.528 D5
28 43.363 5.139 28.4 1.72825
29 -106.243 1.500 40.7 1.88300
30 33.800 BF
[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 151.809
第2レンズ群 6 -32.015
第3レンズ群 14 53.583
第4レンズ群 19 -82.521
第5レンズ群 23 58.368
第6レンズ群 28 -110.027
【0077】
この第2実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5とともに移動する開口絞りSとの軸上空気間隔D4、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔D5、及び、バックフォーカスBFは、変倍に際して変化する。次の表5に、無限遠合焦時の広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔D1〜D5及びバックフォーカスBFの値を示す。
【0078】
(表5)
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 72.0 〜 200.0 〜 390.0
D1 2.000 〜 47.946 〜 67.000
D2 28.700 〜 17.520 〜 3.000
D3 15.940 〜 29.759 〜 42.880
D4 29.040 〜 8.875 〜 2.000
D5 30.005 〜 22.265 〜 23.642
BF 55.7 〜 81.0 〜 87.9
【0079】
次の表6に、この第2実施例における各条件式対応値を示す。
【0080】
(表6)
(1)f1/(−f2)=4.74
(2)f1/f3 =2.83
(3)f3/(−f4)=0.65
(4)(−f4)/f5=1.41
【0081】
このように、この第2実施例に係る変倍光学系ZL2は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
【0082】
この第2実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図7(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を
図8(a)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図9(a)に示す。また、第2実施例の広角端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.395)を行ったときのコマ収差図を
図7(b)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.603)を行ったときのコマ収差図を
図8(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.772)を行った時のコマ収差図を
図9(b)に示す。各収差図から明らかなように、第2実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正されており、優れた結像性能を有することがわかる。
【0083】
[第3実施例]
図10は、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の構成を示す図である。この
図10に示す変倍光学系ZL3は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、から構成されている。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合レンズ、及び、両凸レンズL13から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合レンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL23と両凹レンズL24とを接合した接合レンズ、及び、両凹レンズL25から構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、及び、両凸レンズL32と両凹レンズL33とを接合した接合レンズから構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42とを接合した接合レンズで構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL51と両凸レンズL52とを接合した接合レンズ、及び、両凸レンズL53と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL54とを接合した接合レンズで構成されている。また、第6レンズ群G6は、物体側から順に、両凸レンズL61と両凹レンズL62とを接合した接合レンズで構成されている。
【0084】
この第3実施例に係る変倍光学系ZL3は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、第5レンズ群G5及び第6レンズ群G6が光軸上を物体方向に移動し、第2レンズ群G2及び第4レンズ群G4が像面Iに対して光軸方向に固定されている。また、開口絞りSは第5レンズ群G5の物体側に配置されており、変倍に際して第5レンズ群G5とともに移動する。
【0085】
また、無限遠から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を像側に移動させることにより行う。
【0086】
また、像ぶれ補正(防振)は、第2レンズ群G2全体を防振レンズ群とし、この防振レンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより行う。この第3実施例の広角端状態においては、防振係数は−1.972であり、焦点距離は72.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.127(mm)である。また、この第3実施例の中間焦点距離状態においては、防振係数は−3.534であり、焦点距離は200.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.198(mm)である。また、この第3実施例の望遠端状態においては、防振係数は−5.379であり、焦点距離は390.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.253(mm)である。
【0087】
以下の表7に、第3実施例の諸元の値を掲げる。なお、表7に示す面番号1〜31は、
図10に示す番号1〜31に対応している。また、レンズ群焦点距離は第1〜第6レンズ群G1〜G6の各々の始面と焦点距離を示している。
【0088】
(表7)
[全体諸元]
β=5.4
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f = 72.0 〜 200.0 〜 390.0
FNO= 4.52 〜 5.34 〜 5.78
2ω = 34.0 〜 12.1 〜 6.2
Y = 21.6 〜 21.6 〜 21.6
TL = 239.3 〜 285.8 〜 304.3
[レンズデータ]
m r d νd nd
1 235.129 2.000 40.7 1.88300
2 85.937 10.435 82.6 1.49782
3 -492.987 0.100
4 81.734 9.789 82.6 1.49782
5 -2477.191 D1
6 94.480 3.279 28.7 1.79504
7 -1045.056 2.000 67.9 1.59319
8 57.468 3.373
9 -137.861 3.251 28.7 1.79504
10 -48.070 2.000 67.9 1.59319
11 69.776 3.889
12 -56.313 1.800 49.6 1.77250
13 135.256 D2
14 220.803 5.100 67.9 1.59319
15 -51.295 0.100
16 48.045 5.380 67.9 1.59319
17 -156.768 2.000 31.3 1.90366
18 209.257 D3
19 -51.770 1.500 54.6 1.72916
20 41.489 3.613 34.9 1.80100
21 331.492 D4
22 0.000 2.000 開口絞りS
23 86.564 2.000 40.7 1.88300
24 47.702 5.771 52.2 1.51742
25 -52.610 0.100
26 60.874 4.753 82.6 1.49782
27 -65.980 2.000 23.8 1.84666
28 -423.943 D5
29 43.795 3.743 27.6 1.75520
30 -80.630 1.500 40.7 1.88300
31 36.787 BF
[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 151.723
第2レンズ群 6 -31.512
第3レンズ群 14 48.052
第4レンズ群 19 -67.397
第5レンズ群 23 58.111
第6レンズ群 29 -140.788
【0089】
この第3実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5とともに移動する開口絞りSとの軸上空気間隔D4、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔D5、及び、バックフォーカスBFは、変倍に際して変化する。次の表8に、無限遠合焦時の広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔D1〜D5及びバックフォーカスBFの値を示す。
【0090】
(表8)
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 72.0 〜 200.0 〜 390.0
D1 2.000 〜 48.459 〜 67.000
D2 25.107 〜 13.069 〜 2.000
D3 6.466 〜 18.504 〜 29.573
D4 29.312 〜 12.120 〜 2.428
D5 32.947 〜 32.202 〜 30.353
BF 55.1 〜 73.0 〜 84.5
【0091】
次の表9に、この第3実施例における各条件式対応値を示す。
【0092】
(表9)
(1)f1/(−f2)=4.81
(2)f1/f3 =3.16
(3)f3/(−f4)=0.71
(4)(−f4)/f5=1.16
【0093】
このように、この第3実施例に係る変倍光学系ZL3は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
【0094】
この第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図11(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を
図12(a)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図13(a)に示す。また、第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.127)を行ったときのコマ収差図を
図11(b)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.198)を行ったときのコマ収差図を
図12(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.253)を行った時のコマ収差図を
図13(b)に示す。各収差図から明らかなように、第3実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正されており、優れた結像性能を有することがわかる。
【0095】
[第4実施例]
図14は、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の構成を示す図である。この
図14に示す変倍光学系ZL4は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、から構成されている。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合レンズ、及び、両凸レンズL13から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合レンズ、両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズ、及び、両凹レンズL25から構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、及び、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33とを接合した接合レンズから構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹レンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42とを接合した接合レンズで構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL51と両凸レンズL52とを接合した接合レンズ、及び、両凸レンズL53と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL54とを接合した接合レンズで構成されている。また、第6レンズ群G6は、物体側から順に、両凸レンズL61と両凹レンズL62とを接合した接合レンズで構成されている。
【0096】
この第4実施例に係る変倍光学系ZL4は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、第5レンズ群G5及び第6レンズ群G6が光軸上を物体方向に移動し、第2レンズ群G2及び第4レンズ群G4が像面Iに対して光軸方向に固定されている。また、開口絞りSは第5レンズ群G5の物体側に配置されており、変倍に際して第5レンズ群G5とともに移動する。
【0097】
また、無限遠から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を像側に移動させることにより行う。
【0098】
また、像ぶれ補正(防振)は、第2レンズ群G2の両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズを防振レンズ群とし、この防振レンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより行う。この第4実施例の広角端状態においては、防振係数は−0.888であり、焦点距離は82.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.322(mm)である。また、この第4実施例の中間焦点距離状態においては、防振係数は−1.454であり、焦点距離は200.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.480(mm)である。また、この第4実施例の望遠端状態においては、防振係数は−2.176であり、焦点距離は390.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.626(mm)である。
【0099】
以下の表10に、第4実施例の諸元の値を掲げる。なお、表10に示す面番号1〜31は、
図14に示す番号1〜31に対応している。また、レンズ群焦点距離は第1〜第6レンズ群G1〜G6の各々の始面と焦点距離を示している。
【0100】
(表10)
[全体諸元]
β=4.8
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f = 82.0 〜 200.0 〜 390.0
FNO= 5.05 〜 5.61 〜 5.82
2ω = 29.7 〜 12.0 〜 6.2
Y = 21.6 〜 21.6 〜 21.6
TL = 241.3 〜 283.3 〜 303.3
[レンズデータ]
m r d νd nd
1 227.795 2.000 40.7 1.88300
2 84.747 10.413 82.6 1.49782
3 -538.594 0.100
4 82.998 9.958 82.6 1.49782
5 -1048.042 D1
6 170.969 6.158 34.9 1.80100
7 -66.891 2.000 65.4 1.60300
8 82.527 5.163
9 -168.234 2.000 47.4 1.78800
10 41.763 3.001 23.8 1.84666
11 88.369 6.493
12 -43.051 1.800 46.6 1.81600
13 411.913 D2
14 137.043 4.617 63.3 1.61800
15 -72.111 0.100
16 62.009 2.000 31.3 1.90366
17 34.150 6.473 63.3 1.61800
18 -167.969 D3
19 -50.276 1.500 50.3 1.71999
20 34.293 4.000 28.7 1.79504
21 221.433 D4
22 0.000 2.000 開口絞りS
23 178.755 2.000 23.8 1.84666
24 75.314 5.063 63.9 1.51680
25 -50.146 0.107
26 72.928 4.620 58.8 1.51823
27 -62.568 2.000 23.8 1.84666
28 -197.918 D5
29 42.990 4.937 29.6 1.71736
30 -55.338 1.500 42.7 1.83481
31 37.334 BF
[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 148.584
第2レンズ群 6 -29.113
第3レンズ群 14 44.313
第4レンズ群 19 -63.143
第5レンズ群 23 59.877
第6レンズ群 29 -157.384
【0101】
この第4実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔D3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5とともに移動する開口絞りSとの軸上空気間隔D4、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔D5、及び、バックフォーカスBFは、変倍に際して変化する。次の表11に、無限遠合焦時の広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔D1〜D5及びバックフォーカスBFの値を示す。
【0102】
(表11)
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 82.0 〜 200.0 〜 390.0
D1 2.299 〜 44.305 〜 64.299
D2 24.152 〜 13.739 〜 2.000
D3 7.126 〜 17.538 〜 29.278
D4 17.672 〜 6.713 〜 2.399
D5 32.546 〜 31.055 〜 23.798
BF 58.1 〜 70.5 〜 82.1
【0103】
次の表12に、この第4実施例における各条件式対応値を示す。
【0104】
(表12)
(1)f1/(−f2)=5.10
(2)f1/f3 =3.35
(3)f3/(−f4)=0.70
(4)(−f4)/f5=1.05
【0105】
このように、この第4実施例に係る変倍光学系ZL4は、上記条件式(1)〜(3)を全て満足している。
【0106】
この第4実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図15(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を
図16(a)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図17(a)に示す。また、第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.322)を行ったときのコマ収差図を
図15(b)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.480)を行ったときのコマ収差図を
図16(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.626)を行った時のコマ収差図を
図17(b)に示す。各収差図から明らかなように、第4実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正されており、優れた結像性能を有することがわかる。
【0107】
[第5実施例]
図18は、第5実施例に係る変倍光学系ZL5の構成を示す図である。この
図18に示す変倍光学系ZL5は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、から構成されている。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とを接合した接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凸レンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合レンズ、両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズ、及び、両凹レンズL25から構成されている。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、及び、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33とを接合した接合レンズから構成されている。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹レンズL41と両凸レンズL42とを接合した接合レンズで構成されている。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL51、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL52と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL53とを接合した接合レンズ、及び、両凸レンズL54と両凹レンズL55とを接合した接合レンズで構成されている。
【0108】
この第5実施例に係る変倍光学系ZL5は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4及び第5レンズ群G5が光軸上を物体方向に移動し、第2レンズ群G2が像面Iに対して光軸方向に固定されている。また、開口絞りSは第4レンズ群G4の物体側に配置されており、変倍に際して第4レンズ群G4とともに移動する。
【0109】
また、無限遠から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を像側に移動させることにより行う。
【0110】
また、像ぶれ補正(防振)は、第2レンズ群G2の両凹レンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズを防振レンズ群とし、この防振レンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより行う。この第5実施例の広角端状態においては、防振係数は−0.858であり、焦点距離は103.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.419(mm)である。また、この第4実施例の中間焦点距離状態においては、防振係数は−1.297であり、焦点距離は200.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.538(mm)である。また、この第4実施例の望遠端状態においては、防振係数は−1.987であり、焦点距離は388.0(mm)であるので、0.2°の回転ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量は−0.682(mm)である。
【0111】
以下の表13に、第5実施例の諸元の値を掲げる。なお、表13に示す面番号1〜30は、
図18に示す番号1〜30に対応している。また、レンズ群焦点距離は第1〜第5レンズ群G1〜G5の各々の始面と焦点距離を示している。
【0112】
(表13)
[全体諸元]
β=3.8
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f = 103.0 〜 200.0 〜 388.0
FNO= 4.84 〜 5.30 〜 5.86
2ω = 23.4 〜 12.0 〜 6.2
Y = 21.6 〜 21.6 〜 21.6
TL = 257.1 〜 280.3 〜 297.4
[レンズデータ]
m r d νd nd
1 257.902 2.000 35.7 1.90265
2 97.659 11.000 82.6 1.49782
3 -314.680 0.100
4 79.130 10.000 82.6 1.49782
5 2088.342 D1
6 123.691 5.763 33.3 1.80610
7 -77.164 2.000 65.4 1.60300
8 69.162 5.674
9 -187.746 2.000 42.7 1.83481
10 35.095 4.370 23.8 1.84666
11 112.202 6.514
12 -44.561 1.800 42.7 1.83481
13 581.099 D2
14 97.574 4.250 60.3 1.62041
15 -88.827 0.100
16 84.452 2.000 31.3 1.90366
17 32.485 5.655 60.3 1.62041
18 -240.662 D3
19 0.000 3.000 開口絞りS
20 -57.650 1.500 50.3 1.71999
21 62.520 3.298 42.7 1.83481
22 -209.983 D4
23 91.072 5.000 70.3 1.48749
24 -99.387 2.087
25 62.240 2.000 32.4 1.85026
26 35.334 5.183 82.6 1.49782
27 602.097 17.041
28 42.594 4.263 27.6 1.75520
29 -76.745 1.500 40.7 1.88300
30 33.248 BF
[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 142.392
第2レンズ群 6 -31.449
第3レンズ群 14 56.441
第4レンズ群 20 -152.964
第5レンズ群 23 117.618
【0113】
この第5実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔D1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔D2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4とともに移動する開口絞りSとの軸上空気間隔D3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔D4、及び、バックフォーカスBFは、変倍に際して変化する。次の表14に、無限遠合焦時の広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔D1〜D4及びバックフォーカスBFの値を示す。
【0114】
(表14)
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 103.0 〜 200.0 〜 388.0
D1 17.898 〜 41.055 〜 58.209
D2 34.045 〜 20.108 〜 2.000
D3 6.078 〜 21.988 〜 29.609
D4 20.042 〜 8.963 〜 8.026
BF 71.0 〜 80.1 〜 91.5
【0115】
次の表15に、この第5実施例における各条件式対応値を示す。
【0116】
(表15)
(1)f1/(−f2)=4.53
(2)f1/f3 =2.52
(3)f3/(−f4)=0.37
(4)(−f4)/f5=1.30
【0117】
このように、この第5実施例に係る変倍光学系ZL5は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
【0118】
この第5実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図19(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を
図20(a)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を
図21(a)に示す。また、第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.419)を行ったときのコマ収差図を
図19(b)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.538)を行ったときのコマ収差図を
図20(b)に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態において像ぶれ補正(防振レンズ群のシフト量=−0.682)を行った時のコマ収差図を
図21(b)に示す。各収差図から明らかなように、第5実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正されており、優れた結像性能を有することがわかる。
【0119】
ここで、第1〜第5実施例の変倍光学系ZL(ZL1〜ZL5)に用いられる反射防止膜について説明する。本実施例に係る反射防止膜101は、
図24に示すように、7層(第1層101a〜第7層101g)からなり、本変倍光学系ZLの光学部材102の光学面に形成されている。
【0120】
第1層101aは真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムで形成されている。この第1層101aの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第2層101bが形成される。続いて、第2層101bの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第3層101cが形成され、第3層101cの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第4層101dが形成される。さらに、第4層101dの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第5層101eが形成され、第5層101eの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第6層101fが形成される。そして、第6層101fの上にウェットプロセスによりシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる第7層101gが形成される。このようにして本実施例の反射防止膜101が形成される。
【0121】
なお、第7層101gの形成には、ウェットプロセスの一種であるゾル−ゲル法を用いている。ゾル−ゲル法とは、光学部材の光学面上に光学薄膜材料であるゾルを塗布し、ゲル膜を堆積後、液体に浸漬し、この液体の温度及び圧力を臨界状態以上にしてその液体を気化・乾燥させることにより、膜を生成する製法である。但し、ウェットプロセスとして、ゾル−ゲル法に限らず、ゲル状態を経ることなしに固体膜を得る方法を用いてもよい。
【0122】
以上のように、反射防止膜101は、第1層101a〜第6層101fまではドライプロセスである電子ビーム蒸着により形成され、最表面層(最上層)である第7層101gはフッ酸/酢酸マグネシウム法で調製したゾル液を用いるウェットプロセスにより形成されている。
【0123】
続いて、上記構成の反射防止膜101を形成する手順を説明する。まず、予めレンズ成膜面(上述の光学部材102の光学面)に真空蒸着装置を用いて、第1層101aとなる酸化アルミニウム層、第2層101bとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第3層101cとなる酸化アルミニウム層、第4層101dとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第5層101eとなる酸化アルミニウム層、第6層101fとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層を順に形成する。そして、真空蒸着装置より光学部材102を取り出した後、フッ酸/酢酸マグネシウム法により調製したゾル液にバインダー成分を添加したものをスピンコート法により塗布して、第7層101gとなるシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる層を形成する。ここで、フッ酸/酢酸マグネシウム法によって調製される際の反応式を以下の次式に示す。
【0124】
2HF+Mg(CH
3COO)
2 → MgF
2+2CH
3COOH
【0125】
この成膜に用いたゾル液は、原料混合後、オートクレーブで140℃、24時間高温加圧熟成処理を施した後、成膜に用いられる。光学部材102は、第7層101gの成膜終了後、大気中で160℃、1時間加熱処理して完成される。より具体的には、上記のゾル−ゲル法を用いることにより、大きさが数nmから数十nmのMgF
2粒子ができ、さらに、それらの粒子が数個集まって二次粒子が形成され、それら二次粒子が堆積することに
より第7層101gが形成される。
【0126】
上記のようにして形成された反射防止膜101の光学的性能について、
図25に示す分光特性を用いて説明する。なお、
図25は、基準波長λを550nmとしたときに、以下の表16で示される条件で反射防止膜101を設計した場合、光線が垂直入射するときの分光特性を表している。また、表16では、酸化アルミニウムをAl
2O
3、酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物をZrO
2+TiO
2、シリカとフッ化マグネシウムの混合物をSiO
2+MgF
2を示しており、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.46、1.62、1.74及び1.85の4種類であるときの各々の設計値を示している。
【0127】
(表16)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 SiO2+MgF2 1.26 0.275λ 0.268λ 0.271λ 0.269λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.045λ 0.057λ 0.054λ 0.059λ
第5層 Al2O3 1.65 0.212λ 0.171λ 0.178λ 0.162λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.077λ 0.127λ 0.130λ 0.158λ
第3層 Al2O3 1.65 0.288λ 0.122λ 0.107λ 0.080λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0 0.059λ 0.075λ 0.105λ
第1層 Al2O3 1.65 0 0.257λ 0.030λ 0.030λ
基板の屈折率 1.46 1.62 1.74 1.85
【0128】
図25より、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。
【0129】
なお、第1実施例の変倍光学系ZL1において、平凸レンズL54の屈折率は1.51742であり、この平凸レンズL54における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、両凸レンズL55の屈折率は1.64769であるため、この両凸レンズL55の物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
【0130】
また、第2実施例の変倍光学系ZL2において、負メニスカスレンズL53の屈折率は1.84666であり、この負メニスカスレンズL53における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、両凸レンズL61の屈折率は1.72825であるため、この両凸レンズL61の物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
【0131】
また、第3実施例の変倍光学系ZL3において、負メニスカスレンズL54の屈折率は1.84666であり、この負メニスカスレンズL54における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、両凸レンズL61の屈折率は1.75520であるため、この両凸レンズL61の物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
【0132】
また、第4実施例の変倍光学系ZL4において、負メニスカスレンズL54の屈折率は1.84666であり、この負メニスカスレンズL54における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、両凸レンズL61の屈折率は1.71736であるため、この両凸レンズL61の物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
【0133】
また、第5実施例の変倍光学系ZL5において、正メニスカスレンズL53の屈折率は1.49782であり、この正メニスカスレンズL53における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.46に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、両凸レンズL54の屈折率は1.75520であるため、この両凸レンズL54の物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
【0134】
このように、本実施例の反射防止膜101を、第1〜第5実施例の変倍光学系ZL(ZL1〜ZL5)にそれぞれ適用することで、ゴーストやフレアをより低減させた、高い光学性能を持つ変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器、及び変倍光学系の変倍方法を提供することができる。
【0135】
なお、上記の反射防止膜101は、平行平面板の光学面に設けた光学素子として利用することも可能であるし、曲面状に形成されたレンズの光学面に設けて利用することも可能である。
【0136】
次に、上記反射防止膜101の変形例について説明する。この変形例の反射防止膜は5層からなり、以下の表17で示される条件で構成される。なお、第5層の形成に、前述のゾル−ゲル法を用いている。また、表17では、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.52であるときの設計値を示している。
【0137】
(表17)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第5層 シリカとフッ化マグネシウムの混合物 1.26 0.269λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.043λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.217λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.066λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.290λ
基板 BK7 1.52
【0138】
図26に、変形例の反射防止膜に光が垂直入射するときの分光特性を示す。
図26により、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。なお、
図27に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
【0139】
比較のため、
図28に、従来の真空蒸着法などのドライプロセスのみで成膜し、以下の表18で示される条件で構成される多層広帯域反射防止膜の垂直入射時の分光特性を示す。なお、
図29に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
【0140】
(表18)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 MgF2 1.39 0.243λ
第6層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.119λ
第5層 酸化アルミニウム 1.65 0.057λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.220λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.064λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.057λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.193λ
基板 BK7 1.52
【0141】
図26及び
図27で示す変形例の分光特性を、
図28及び
図29で示す従来例の分光特性と比較すると、変形例に係る反射防止膜の反射率の低さが良く分かる。
【0142】
以上のように、本実施例によれば、手ぶれ補正機構を備えつつ、ゴースト、フレアをより低減させることができる高性能な変倍光学系、この変倍光学系を備えた光学機器、及び、変倍光学系の変倍方法を提供することができる。