特許第6146783号(P6146783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6146783
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/476 20060101AFI20170607BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A61F13/476
   A61F13/56 110
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-256597(P2015-256597)
(22)【出願日】2015年12月28日
【審査請求日】2017年3月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】コンティアン ラニダー
(72)【発明者】
【氏名】ワッジャナラット シリポーン
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−538092(JP,A)
【文献】 特開2005−7074(JP,A)
【文献】 実開平4−35420(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と、
前記前後方向に直交する幅方向と、
吸収体を有する本体部と、
前記本体部から幅方向外側に延出し、下着に装着された状態で互いに重なり合う一対の第1ウイング及び第2ウイングと、を備え、
前記第1ウイングは、前記前後方向に延びる引裂誘導部と、前記幅方向において前記引裂誘導部よりも外側に位置する外側ウイング接合部と、を有する吸収性物品であって、
前記第1ウイングは、前記幅方向において前記引裂誘導部よりも内側に位置する内側ウイング接合部を有することを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
前記第1ウイング及び前記第2ウイングの展開状態において、前記第1ウイングの基端部と前記第2ウイングの基端部との間の距離は、前記内側ウイング接合部の外側縁と前記第1ウイングの基端部との間の距離と、前記第2ウイングの外側縁と前記第2ウイングの基端部との間の距離と、の合計値よりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記内側ウイング接合部の、前記幅方向の外側の端辺は、前記引裂誘導部と平行に延びており、
前記外側ウイング接合部の、前記幅方向の内側の端辺は、前記引裂誘導部と平行に延びていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記幅方向における前記内側ウイング接合部の幅は、前記幅方向における前記外側ウイング接合部の幅よりも狭いことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1ウイングは、前記前後方向の中心に向かって凸形状の括れを有し、
前記引裂誘導部は、前記括れの領域に設けられており、
前記第1ウイングは、前記括れの領域よりも前記幅方向内側に、前記第1ウイングの前記前後方向の中心から外側に向かって凸形状の凸領域を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記前後方向における前記内側ウイング接合部の長さは、前記前後方向における前記外側ウイング接合部の長さよりも長いことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記外側ウイング接合部と前記引裂誘導部との距離は、前記第1ウイングの基端部と前記引裂誘導部との距離よりも短いことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1ウイング及び前記第2ウイングの展開状態において、前記第1ウイングの基端部と前記第2ウイングの基端部との間の距離は、前記第1ウイングの基端部と前記引裂誘導部との距離と、前記2ウイング接合部の外側縁と前記第2ウイングの基端部との距離と、の合計値よりも長いことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記外側ウイング接合部は、前記吸収性物品が下着に装着された装着状態で前記第2ウイングと重なる位置に設けられており、
前記第2ウイングは、前記吸収性物品が下着に装着された装着状態で前記第1ウイングと重なる位置に、第2ウイング接合部を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着時に下着の非肌対向面側で一対のウイング同士が重なり合う吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、装着時に下着の非肌対向面側で一対のウイング同士が重なり合う吸収性物品が開示されている。特許文献1に記載の各ウイングには、前後方向に延びる脆弱線が設けられている(特許文献1の図41参照)。
【0003】
特許文献1に記載の吸収性物品を下着に装着した状態では、本体部が下着の肌対向面に接合され、ウイングが下着の非肌対向面に接合される。使用者は、使用後に下着から吸収性物品を外す際に、例えば、下着の肌対向面側から本体部を把持し、それから下着から離れる方向に本体部を引っ張る。本体部が下着の肌対向面側から離れる方向に引っ張られることにより、脆弱線を介して本体部とウイングとが分離する。これにより、本体部が下着から外れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−527929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収性物品に形成された脆弱線は、力が加わった際に意図せずに裂けるおそれがある。例えば、包装された吸収性物品の開封時、又は吸収性物品の装着時に、使用者が誤ってウイングを引っ張ることによって、脆弱線を介してウイングが分離することがある。
【0006】
使用前にウイングが分離されると、吸収性物品を下着に固定することが困難になる。そのため、使用者は、ウイングが分離された吸収性物品の使用を断念してしまうことがある。
したがって、仮にウイングが意図せずに分離したとしても、使用することが可能な吸収性物品が期待される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、吸収体を有する本体部と、前記本体部から幅方向外側に延出し、下着に装着された状態で互いに重なり合う一対の第1ウイング及び第2ウイングと、を備え、前記第1ウイングは、前記前後方向に延びる引裂誘導部と、前記幅方向において前記引裂誘導部よりも外側に位置する外側ウイング接合部と、前記幅方向において前記引裂誘導部よりも内側に位置する内側ウイング接合部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仮にウイングが意図せずに分離したとしても、使用することが可能な吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における吸収性物品の平面図である。
図2図1に示すA−A線に沿った吸収性物品の断面図である。
図3図1の吸収性物品を下着に装着した第1装着状態の非肌対向面側から見た平面図である。
図4図1のA−A線を基準とした第1装着状態の吸収性物品の断面図である。
図5図1の吸収性物品を下着に装着した第2装着状態の非肌対向面側から見た平面図である。
図6図1のA−A線を基準とした第2装着状態の吸収性物品の断面図である。
図7】第2装着状態の吸収性物品を取り外す作業を説明するための説明図である。
図8】変形例1に係る吸収性物品の平面図である。
図9】変形例2に係る吸収性物品の平面図である。
図10】変形例3に係る吸収性物品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
一実施形態に係る吸収性物品によれば、第1ウイング41は、前後方向Lに延びる引裂誘導部80と、幅方向Wにおいて引裂誘導部80よりも外側に位置する外側ウイング接合部61と、幅方向Wにおいて引裂誘導部80よりも内側に位置する内側ウイング接合部63と、を有する。
【0012】
係る吸収性物品では、使用前に第1ウイング41の幅方向Wの側部が引裂誘導部80を介して意図せず分離されたとしても、本体部2側に残っている第1ウイングの残存部分に、第1内側ウイング接合部63が存在する。したがって、この第1内側ウイング接合部63を下着に取り付けることができる。そのため、第1ウイング41の幅方向Wの側部が引裂誘導部80を介して意図せず引き裂かれたとしても、使用者は吸収性物品1を下着に取り付けて使用することができる。
【0013】
また、第1装着状態及び第2装着状態において、引裂誘導部80は、第1内側ウイング接合部63と第1外側ウイング接合部61との間に挟まれている。そのため、吸収性物品の着用中に第1ウイング41の引裂誘導部80の領域が、下着から浮き上がることが抑制される。これにより、第1ウイング41の引裂誘導部80の領域が、ズボンのようなアウターと擦れることを抑制することができる。その結果、吸収性物品の着用中に、第1ウイングが、意図せず引裂誘導部80を介して引き裂かれることを抑制することができる。
【0014】
一実施形態によれば、第1ウイング41及び第2ウイング42の展開状態において、第1ウイング41の基端部41BEと第2ウイング42の基端部42BEとの間の距離D13は、第1内側ウイング接合部63の外側縁と第1ウイング41の基端部との間の距離D16と、第2ウイング42の外側縁と第2ウイングの基端部との間の距離D17と、の合計値よりも長い。これにより、第2装着状態(図5及び図6)においては、第1内側ウイング接合部63は、第2ウイング42と重なることなく、下着に接合される。第1内側ウイング接合部63が第2ウイング42と接合されていないので、使用者が引裂誘導部80を引き裂いたときに、第1ウイング41と第2ウイング42とが互いに分離する。これにより、使用者は、第2装着状態においても、吸収性物品を容易に下着から取り外すことができる。加えて、第1内側ウイング接合部63が下着に接合するので使用中の吸収性物品をよりずれにくくできる。
【0015】
一実施形態によれば、第1内側ウイング接合部63の、幅方向Wの外側の端辺は、引裂誘導部80と平行に延びており、外側ウイング接合部61の、幅方向Wの内側の端辺は、引裂誘導部80と平行に延びている。これにより、第1装着状態(図3及び図4)及び第2装着状態(図5及び図6)において、引裂誘導部80の領域は、均一の状態で下着に隣接することなる。仮に、第1内側ウイング接合部63及び第1外側ウイング接合部61と、引裂誘導部80とが互いに非平行になっていると、引裂誘導部80の領域の一部分が下着から浮きやすくなることがある。この場合、吸収性物品の着用中に、引裂誘導部80の一部分が意図せず破断する可能性がある。引裂誘導部80の一部分が意図せず破断すると、破断した部分を起点に引裂誘導部80全体が意図せず破断することがある。本実施形態では、第1内側ウイング接合部63及び第1外側ウイング接合部61と、引裂誘導部80とが互いに平行になっているため、引裂誘導部80が意図せず破断する虞を低減することができる。
【0016】
一実施形態によれば、幅方向Wにおける第1内側ウイング接合部63の幅は、幅方向Wにおける第1外側ウイング接合部61の幅よりも狭い。これにより、第1内側ウイング接合部63の接合力が第1外側ウイング接合部61の接合力よりも小さくなる。したがって、使用者が吸収性物品を下着から取り外そうとする際に、吸収性物品を引っ張る力により、まず第1内側ウイング接合部63が下着から外れる。第1内側ウイング接合部63が下着から外れると、吸収性物品を引っ張る力が第1ウイング41の引裂誘導部80にかかり易くなり、その結果、引裂誘導部80が破断する。このように、第1内側ウイング接合部63の幅を狭くすることで、使用後の吸収性物品を下着から取り外し易くすることができる。
【0017】
一実施形態によれば、第1ウイング41は、前後方向Lの中心に向かって凸形状の括れ70を有する。引裂誘導部は、括れ70の領域に設けられている。第1ウイング41は、括れ70の領域よりも幅方向内側に、第1ウイングの前後方向の中心から外側に向かって凸形状の凸領域72を有する。吸収性物品を下着から取り外す際に、使用者は、例えば、本体部2の端縁を把持し、本体部2の端縁を下着から離れる方向に引っ張る。本体部2が下着から離れると、一対のウイング41,42の基端部が本体部2側に引っ張られる。括れ70の領域よりも幅方向内側には、第1ウイング41の前後方向Lの中心から外側に向かって凸形状の凸領域72が設けられている。使用者が本体部2側に引っ張ると、この前後方向Lに膨らんだ凸領域72が、凸領域72よりも幅方向外側の部分、すなわち括れ70の領域を幅方向内側へ引っ張る。その一方で、ウイング41,42の幅方向外側部であってウイング同士が接合するウイング重なり部分は、凸領域72から引っ張られる力に抵抗して下着の非肌面側に留まろうとし、ウイング重なり部分に力がかかる。このウイング41,42にかかる力は、前後方向Lに膨らんだ凸領域72から括れ70の位置に集中し易い。引裂誘導部80が括れ70の位置に存在することによって、ウイング41,42が引っ張られる力によって引裂誘導部80が引き裂かれ易くなる。
【0018】
一実施形態によれば、前後方向Lにおける第1内側ウイング接合部63の長さは、前後方向Lにおける第1外側ウイング接合部61の長さよりも長い。吸収性物品を下着から取り外す際に、使用者は、例えば、本体部2の端縁を把持し、当該本体部2の端縁を下着から離れる方向に引っ張る(図7(A)及び(B)参照)。本体部2の一部が下着から離れると、一対のウイング41,42が本体部2側に引っ張られ、幅方向外側Wに引っ張られる力F1がウイングにかかる(図7(B)及び(D)参照)。使用者は、本体部2の前端縁と後端縁のうちの一方を引っ張るので、この力F1は、第1ウイング41の前側又は後側のうちの一方に偏っている。このとき、第1内側ウイング接合部63と第1外側ウイング接合部61の両方が下着に接合されている状態では、引裂誘導部80に力がかかり難い状態が維持されている。使用者が本体部2の端縁をさらに引っ張り、第1内側ウイング接合部63が下着から外れたときに、力F1の作用により、第1内側ウイング接合部63の前端縁と後端縁のうちの一方が瞬間的に本体部2の方へ引き上げられる。その一方で、第1外側ウイング接合部61のところで第1ウイング41と第2ウイング42とは互いにしっかりと接合しているので、第1外側ウイング接合部61の領域は、力F1に抗って下着Sに対して静止した位置に留まろうとする。これにより、第1内側ウイング接合部63が下着から外れた瞬間に、引裂誘導部80の領域には若干捩られるような力が加わる。特に、前後方向Lにおける第1内側ウイング接合部63の長さが前後方向Lにおける第1外側ウイング接合部61の長さよりも長いと、第1ウイング41が捩られるように変形する力は、前後方向Lにおける引裂誘導部80の端部付近にかかり易い。したがって、第1内側ウイング接合部63が下着から外れた瞬間に、引裂誘導部80の端部付近が破断し易くなる。
【0019】
一実施形態によれば、第1外側ウイング接合部61と引裂誘導部80との距離D11は、第1ウイング41の基端部と引裂誘導部80との距離D12よりも短い。使用者が本体部2を下着から離れる方向に引っ張ると、本体部2と第1ウイング41との間に引き裂く力がかかる。第1内側ウイング接合部63が下着から外れた状況下においては、第1外側ウイング接合部61に引き裂く力がかかりやすい。引裂誘導部80は、第1ウイング41の基端部と比較して第1外側ウイング接合部61の近くに位置しているので、引き裂く力を効率よく引裂誘導部80にかけて、第1ウイング41を容易に2つに分離できる。また、着用者は、装着時にウイングの基端部をなぞって、ウイングを下着につけることがある。
【0020】
一実施形態によれば、第1ウイング41及び第2ウイング42の展開状態において、第1ウイング41の基端部41BEと第2ウイング42の基端部42BEとの距離D13は、第1ウイング41の基端部41BEと引裂誘導部80との距離D12と、第2外側ウイング接合部62の外側縁と第2ウイング42の基端部42BEとの距離D14と、の合計値よりも長い。これにより、第2外側ウイング接合部62と引裂誘導部80は、第1装着状態において幅方向Wに離間する。第2外側ウイング接合部62と引裂誘導部80とが重ならないため、第1ウイング41は、引裂誘導部80を介して引き裂かれ易く、スムーズに2つに分離される。
【0021】
一実施形態によれば、第1外側ウイング接合部61は、吸収性物品が下着に装着された装着状態で第2ウイング42と重なる位置に設けられており、第2ウイング42は、吸収性物品が下着に装着された装着状態で第1ウイング41と重なる位置に、第2外側ウイング接合部62を有する。吸収性物品を下着に取り付ける際に、第1外側ウイング接合部61又は第2外側ウイング接合部63により、下着の非肌面側で第1ウイング41と第2ウイング42を互いに重ねた状態で接合することができる。吸収性物品を下着から取り外す際に、使用者は、例えば、本体部2の前端縁を把持し、本体部2の前端縁を下着から離れる方向に引っ張る。本体部2が下着から離れると、第1ウイング41及び第2ウイング42が本体部2側に引きずられて、幅方向外側に引っ張られる力が第1ウイング41にかかる。この第1ウイング41にかかる力によって、第1ウイング41は、引裂誘導部80を介して引き裂かれる。第1ウイング41の幅方向Wの側部が分離されると、第1ウイング41の幅方向Wの側部は、第1外側ウイング接合部61又は第2外側ウイング接合部63を介して第2ウイング42に連なる。よって、吸収性物品を下着から取り外す際に本体部2を下着から外すことにより、第1ウイング41の幅方向Wの側部を本体部2と共に取り外すことができる。
【0022】
(2)吸収性物品の構成
図1及び図2を参照して、一実施形態に係る吸収性物品1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0023】
図1は、一実施形態に係る吸収性物品1の展開平面図である。図2は、図1におけるA-A線に沿った断面図である。図1に示す展開平面図は、吸収性物品のウイング4を展開した(折り返していない)展開状態の図である。吸収性物品1としては、パンティーライナー(おりものシート)や生理用ナプキンや失禁パッド等の任意の吸収性物品が想定される。本実施形態では、かかる吸収性物品1として生理用ナプキンが用いられるケースについて説明する。また、本実施の形態の生理用ナプキンは、昼用の生理用ナプキンであるが、夜用の生理用ナプキンであってもよい。
【0024】
吸収性物品1は、前後方向Lと、前後方向Lに直交する幅方向Wと、厚み方向Tと、を有する。厚み方向Tは、肌対向面側T1及びその反対側である非肌対向面側T2を有する。前後方向は、吸収性物品の長手方向に沿う方向である。幅方向は、一対のウイングの前後方向の中心同士を結ぶ線に沿う方向である。
【0025】
吸収性物品1は、吸収体30と、吸収体30よりも肌対向面側に位置する肌面シート10と、吸収体30よりも非肌対向面側に位置する非肌面シート20と、を少なくとも備える。
【0026】
肌面シート10は、トップシート11とサイドシート12を有する。トップシート11は、吸収体30の肌対向面側を覆う。サイドシート12は、トップシート11の外側縁を覆い、トップシート11よりも幅方向外側に延出する。肌面シート10は、通常吸収性物品に使用されているものを使用することができ、例えば、繊維を含むシート材、又は開孔フィルムなどを用いることができる。繊維を含むシート材は、不織布及び紙を用いることができる。
【0027】
非肌面シート20は、液不透過性のシートである。非肌面シート20は、少なくとも吸収体30の非肌対向面側を覆う。非肌面シート20は、通常吸収性物品に使用されているものを使用することができ、例えば、非通気性や通気性のフィルム、不織布等を用いることができる。
【0028】
吸収体30は、パルプやSAP等の吸収材料を有する吸収コアと、吸収コアを覆うコアラップと、を有する。吸収体は、通常吸収性物品に使用されているものを使用することができる。例えば、吸収コアは、親水性繊維、高分子吸水ポリマー、またはこれらの組み合わせを用いることができる。例えば、コアラップは、ティッシュ、不織布を用いることができる。
【0029】
吸収性物品1は、本体部2と、ウイング4と、を有する。本体部2は、吸収性物品1の幅方向Wの中央に位置し、前後方向Lに延びる。ウイング4は、本体部2の外側縁2Eよりも幅方向Wの外側に延出している。
【0030】
本体部2は、トップシート11と、サイドシート12と、非肌面シート20と、吸収体30と、を含む。ウイング4は、サイドシート12と、非肌面シート20と、を有する。ウイング4の前後方向の中心4LCは、着用者の排泄口に対向して配置される排泄口対向域の前後方向の範囲内に位置する。ウイング4は、非肌面シート20側に折り返し可能に構成されており、装着時に下着の非肌対向面側に折り返される。ウイング4の構成については、後述にて詳細に説明する。
【0031】
図2に示すように、非肌面シート20の非肌対向面には、吸収性物品を下着Sに止めるための接合部が設けられている。接合部は、本体部2に配置された本体接合部60と、ウイング4に配置されたウイング接合部61,62,63,64と、を有する。これらの接合部は、接着剤によって構成されていてもよいし、フックと係止システムのループとして機能するように構成されていてもよい。
【0032】
(3)ウイングの構成
ウイング4は、第1ウイング41と第2ウイング42を有する。第1ウイング41と第2ウイング42は、下着Sに装着された状態で互いに重なり合う。このために、第1ウイング41の幅方向の長さ(第1ウイング41の基端部41BEから第1ウイング41の外側縁までの長さ)と第2ウイング42の幅方向の長さを合わせた合計長さは、第1ウイングの基端部と第2ウイング42の基端部との距離よりも長ければよく、第1ウイングの基端部と第2ウイング42の基端部との距離に対する1.2倍以上であることが好ましい。より好ましくは、第1外側ウイング接合部61は、吸収性物品が下着に装着された装着状態で第2ウイング42と重なる位置に設けられており、第2外側ウイング接合部62は、吸収性物品が下着に装着された装着状態で第1ウイング41と重なる位置に設けられている。
【0033】
本明細書において、ウイングの基端部は、ウイングの最も幅方向内側に位置する部分であり、本体部2と交差する部分である。ウイングを下着の非肌対向面側に折り返す際は、ウイングの基端部で折り曲げられる。
【0034】
第1ウイング41は、ウイング接合部としての第1外側ウイング接合部61と、ウイング接合部としての第1内側ウイング接合部63と、前後方向Lに延びる引裂誘導部80と、を有する。第1外側ウイング接合部61は、幅方向Wにおいて引裂誘導部80よりも外側に位置する。第1内側ウイング接合部63は、幅方向Wにおいて引裂誘導部80よりも内側に位置する。
【0035】
係る吸収性物品では、使用前に第1ウイング41の幅方向Wの側部 が引裂誘導部80を介して意図せず分離されたとしても、本体部2側に残っている第1ウイングの残存部分に、第1内側ウイング接合部63が存在する。したがって、この第1内側ウイング接合部63を下着に取り付けることができる。そのため、第1ウイング41の幅方向Wの側部が引裂誘導部80を介して意図せず引き裂かれたとしても、使用者は吸収性物品1を下着に取り付けて使用することができる。
また、第1装着状態及び第2装着状態において、引裂誘導部80は、第1内側ウイング接合部63と第1外側ウイング接合部61との間に挟まれている。そのため、吸収性物品の着用中に第1ウイング41の引裂誘導部80の領域が、下着から浮き上がることが抑制される。これにより、第1ウイング41の引裂誘導部80の領域が、ズボンのようなアウターと擦れることを抑制することができる。その結果、吸収性物品の着用中に、第1ウイングが、意図せず引裂誘導部80を介して引き裂かれることを抑制することができる。
【0036】
幅方向Wにおける第1内側ウイング接合部63の幅は、幅方向Wにおける第1外側ウイング接合部61の幅よりも狭いことが好ましい。これにより、第1内側ウイング接合部63の接合力が第1外側ウイング接合部61の接合力よりも小さくなる。したがって、使用者が吸収性物品を下着から取り外そうとする際に、吸収性物品を引っ張る力により、まず第1内側ウイング接合部63が下着から外れる。第1内側ウイング接合部63が下着から外れると、吸収性物品を引っ張る力が第1ウイング41の引裂誘導部80にかかり易くなり、その結果、引裂誘導部80が破断する。このように、第1内側ウイング接合部63の幅を狭くすることで、使用後の吸収性物品を下着から取り外し易くすることができる。
【0037】
また、前後方向Lにおける第1内側ウイング接合部63の長さは、前後方向Lにおける第1外側ウイング接合部61の長さよりも長いことが好ましい。吸収性物品を下着から取り外す際に、使用者は、例えば、本体部2の端縁を把持し、当該本体部2の端縁を下着から離れる方向に引っ張る(図7(A)及び(B)参照)。本体部2の一部が下着から離れると、一対のウイング41,42が本体部2側に引っ張られ、幅方向外側Wに引っ張られる力F1がウイングにかかる(図7(B)及び(D)参照)。使用者は、本体部2の前端縁と後端縁のうちの一方を引っ張るので、この力F1は、第1ウイング41の前側又は後側のうちの一方に偏っている。このとき、第1内側ウイング接合部63と第1外側ウイング接合部61の両方が下着に接合されている状態では、引裂誘導部80に力がかかり難い状態が維持されている。使用者が本体部2の端縁をさらに引っ張り、第1内側ウイング接合部63が下着から外れたときに、力F1の作用により、第1内側ウイング接合部63の前端縁と後端縁のうちの一方が瞬間的に本体部2の方へ引き上げられる。その一方で、第1外側ウイング接合部61のところで第1ウイング41と第2ウイング42とは互いにしっかりと接合しているので、第1外側ウイング接合部61の領域は、力F1に抗って下着Sに対して静止した位置に留まろうとする。これにより、第1内側ウイング接合部63が下着から外れた瞬間に、引裂誘導部80の領域には若干捩られるような力が加わる。特に、前後方向Lにおける第1内側ウイング接合部63の長さが前後方向Lにおける第1外側ウイング接合部61の長さよりも長いと、第1ウイング41が捩られるように変形する力は、前後方向Lにおける引裂誘導部80の端部付近にかかり易い。したがって、第1内側ウイング接合部63が下着から外れた瞬間に、引裂誘導部80の端部付近が破断し易くなる。
【0038】
第1内側ウイング接合部63の、幅方向Wの外側の端辺は、引裂誘導部80と平行に延びており、第1外側ウイング接合部61の、幅方向Wの内側の端辺は、引裂誘導部80と平行に延びていることが好ましい。これにより、第1装着状態(図3及び図4)及び第2装着状態(図5及び図6)において、引裂誘導部80の領域は、均一の状態で下着に隣接することなる。仮に、第1内側ウイング接合部63及び第1外側ウイング接合部61と、引裂誘導部80とが互いに非平行になっていると、引裂誘導部80の領域の一部分が下着から浮きやすくなることがある。この場合、吸収性物品の着用中に、引裂誘導部80の一部分が意図せず破断する可能性がある。引裂誘導部80の一部分が意図せず破断すると、破断した部分を起点に引裂誘導部80全体が意図せず破断することがある。本実施形態では、第1内側ウイング接合部63及び第1外側ウイング接合部61と、引裂誘導部80とが互いに平行になっているため、引裂誘導部80が意図せず破断する虞を低減することができる。
【0039】
好ましくは、第1ウイング41及び第2ウイング42の展開状態において、第1ウイング41の基端部41BEと第2ウイング42の基端部42BEとの間の距離D13は、第1内側ウイング接合部63の外側縁と第1ウイング41の基端部との間の距離D16と、第2ウイング42の外側縁と第2ウイングの基端部との間の距離D17と、の合計値よりも長い。これにより、第2装着状態(図5及び図6)においては、第1内側ウイング接合部63は、第2ウイング42と重なることなく、下着に接合される。第1内側ウイング接合部63が第2ウイング42と接合されていないので、使用者が引裂誘導部80を引き裂いたときに、第1ウイング41と第2ウイング42とが互いに分離する。これにより、使用者は、第2装着状態においても、吸収性物品を容易に下着から取り外すことができる。加えて、第1内側ウイング接合部63が下着に接合するので使用中の吸収性物品をよりずれにくくできる。
【0040】
第2ウイング42は、ウイング接合部としての第2外側ウイング接合部62と、ウイング接合部としての第2内側ウイング接合部64と、を有する。本実施形態においては、第2ウイング42は、引裂誘導部を有しない。すなわち、引裂誘導部80は、第1ウイング41のみに設けられる。この代わりに、第2ウイング42が引裂誘導部を有していてもよい。
【0041】
本実施形態では、第2ウイング42は、第2外側ウイング接合部62と第2内側ウイング接合部64とを有する。しかしながら、これに限らず、第2ウイング42は、第2外側ウイング接合部62と第2内側ウイング接合部64のうちの一方のみを有していてもよい。また、第2ウイング42は、第2外側ウイング接合部62と第2内側ウイング接合部64の両方を有していなくてもよい。
【0042】
引裂誘導部80は、着用者がウイングを容易に引き裂くことができるように構成されている。引裂誘導部80は、具体的には、ミシン目、ウイングの前端縁から後方に向かって凹む凹部、資材の強度を周囲よりも低くした脆弱部、又はこれらの組み合わせによって構成される。ミシン目は、第1ウイング41を構成するサイドシート12及び非肌面シート20を貫通した開口を有する。なお、ウイングの「前端縁」は、ウイングの外縁のうち、ウイングの前側の基端部41BEから幅方向外側に延びる外縁41FEである。また、脆弱部は、第1ウイング41を構成する資材を拡幅することによって当該資材の目付を低下させた部分、非肌面シート20に開口を設けずに肌面シート10に開口を設けることによって周囲と比較して強度を低くした部分、エンボスによって熱及び圧力で資材の強度を低下させた部分を例示できる。
【0043】
引裂誘導部80は前後方向Lに沿って延びているため、引裂誘導部80を介して引き裂かれた引裂箇所は前後方向Lに延びる。引裂誘導部80の前端縁は、第1ウイング41の前端縁に一致していてよい。前側引裂誘導部80の前端縁と第1ウイング41の前端縁との距離が4mm以下の構成においては、引裂誘導部80の前端縁と第1ウイング41の前端縁とが一致している構成と同様の効果を奏し、引裂誘導部80を介して第1ウイング41を容易に分離することができる。また、引裂誘導部80は、第1ウイング41の前後方向Lの一端から他端まで延びていてもよい。
【0044】
引裂誘導部80は、図1及び図2に示す第1ウイングの展開状態において、第1外側ウイング接合部61よりも幅方向内側に配置される。第1外側ウイング接合部61と引裂誘導部80との距離D11は、第1ウイング41の基端部41BEと引裂誘導部80との距離D12よりも短くてよい。この場合、着用者が下着から離れる方向に吸収体を含む本体部を引っ張ると、本体部とウイングとの間に引き裂く力がかかり、第1ウイングにおいては、第1ウイング接合部61近辺に力がかかりやすい。引裂誘導部80が第1ウイング41の基端部と比較して第1ウイング接合部61の近くに位置するため、引き裂く力を効率よく引裂誘導部80にかけて、第1ウイング41を容易に2つに分離できる。また、着用者は、装着時にウイングの基端部をなぞって、ウイングを下着につける。引裂誘導部がウイングの基端部から比較的離れていることにより、装着時に着用者が引裂誘導部に触れ難くなり、装着時に意図せずに引裂誘導部が引き裂かれることを抑制できる。
【0045】
第1ウイング41及び第2ウイング42の展開状態において、第1ウイング41の基端部41BEと第2ウイング42の基端部42BEとの距離D13は、第1ウイング41の基端部41BEと引裂誘導部80との距離D12と、第2外側ウイング接合部62の外側縁と第2ウイング42の基端部42BEとの距離D14と、の合計値よりも長くてよい。距離D12と距離D14を合わせた合計長さよりも距離D13が長いことにより、第2外側ウイング接合部62と引裂誘導部80は、第1装着状態において幅方向に必ず離間する。第2外側ウイング接合部62と引裂誘導部80とが重ならないため、第1ウイングは、引裂誘導部80を介して引き裂かれ易く、スムーズに2つに分離される。
【0046】
距離D12と距離D14を合わせた距離と、距離D13と、の差は、3mm以上であってよい。距離D12と距離D14を合わせた距離と、距離D13と、の差が3mm未満であると、ウイングの基端部よりも幅方向内側を折り基点としてウイングを非肌面側に折り返した場合に、第1装着状態において第2外側ウイング接合部62が引裂誘導部80に重なり、引裂誘導部80が破断し難いことがある。
【0047】
(4)吸収性物品の取り付け態様及び取り外し態様
図3から図6は、吸収性物品を下着に装着した状態を示す。図3及び図4は、第1ウイング41が第2ウイング42の厚み方向Tの内側に配置されて、吸収性物品1が下着Sに装着された第1装着状態を示しており、図5及び図6は、第1ウイング41が第2ウイング42の厚み方向Tの外側に配置されて、吸収性物品1が下着に装着された第2装着状態を示す。図7は、第2装着状態の取り外し態様を模式的に示した図である。
【0048】
図7(A)及び(B)に示すように、吸収性物品1が下着Sに装着された状態で、本体部2は、下着Sの肌対向面側に接合され、一対のウイング4は、下着の非肌対向面側に接合されている。より詳細には、第1装着状態では、第1外側ウイング接合部61を介して第1ウイング41と下着Sとが接合され、第2外側ウイング接合部62を介して第1ウイング41と第2ウイング42とが接合されている。また、第2装着状態では、第2外側ウイング接合部62を介して第2ウイング42と下着Sとが接合され、第1外側ウイング接合部61を介して第1ウイング41と第2ウイング42とが接合されている。
【0049】
吸収性物品1を取り外す際に、着用者は、一般に本体部2の前端縁を把持し、当該本体部2の前端縁を下着から離れる方向に引っ張る。一対のウイング4は、下着の非肌対向面側で互いに接合されているため、本体部2が下着から離れるときに下着に接合したままで維持しようとし、本体部2とウイング4の間に引き裂く力がかかる。このウイング4にかかる力は、着用者が把持する前側に強く作用し易い。第1ウイング41は、引裂誘導部80を介して引き裂かれる(図7(C)及び(D)参照)。着用者が更に本体部2を引っ張ると、図7(E)及びB(F)に示すように、第1ウイング41が前後方向Lに沿って2つに分離する。
【0050】
第1装着状態において第1ウイング41が2つに分離すると、第1ウイング41の基端部側の一部は、本体部2に連なった状態となる。一方、第1ウイング41の幅方向Wの側部は、第2外側ウイング接合部62を介して第2ウイング42に連なっている。着用者が更に吸収性物品を引っ張ると、第1外側ウイング接合部61と下着が分離するとともに、本体接合部60と下着とが分離し、吸収性物品全体が下着から外される。
【0051】
また、第2装着状態において第1ウイング41が2つに分離すると、第1ウイング41の基端部側の一部は、本体部2に連なった状態となる。第1ウイング41の幅方向Wの側部は、第1外側ウイング接合部61を介して第2ウイング42に連なっている。着用者が更に吸収性物品を引っ張ると、第2外側ウイング接合部62と下着が分離するとともに、本体接合部60と下着とが分離し、吸収性物品全体が下着から外される。
【0052】
(5)変形例
次いで、図8から図10に基づいて、変形例に係る吸収性物品について説明する。なお、変形例の説明において、上述の実施形態同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0053】
図8は、変形例1に係る吸収性物品1Aの展開状態の平面図である。変形例1に係る吸収性物品1Aは、凹部からなる引裂誘導部81を有する。また、変形例1に係る吸収性物品1Aの第1ウイング41は、肌面シート10と非肌面シート20とが接合されたシート接合領域R1と、肌面シート10と非肌面シート20とが接合されていないシート非接合領域R2と、を有し、シート接合領域R1及びシート非接合領域R2が前後方向に延びている。
【0054】
シート接合領域R1は、図8において斜線を付した領域である。シート接合領域R1は、HMA等の接着剤、熱溶着等によってシート同士が接合された領域である。
【0055】
引裂誘導部81は、第1ウイング41の前端縁から後方に向かって凹む凹部である。引裂誘導部81は、シート非接合領域R2内に配置される。凹部は、ウイングの前端縁から後方に向かって凹むように構成されていればよく、円弧形状、台形形状、V字形状等、その形状限定されない。凹部の前後方向の長さ(凹部の深さ)は、1mm以上15mm以下であってよい。凹部の前後方向の長さが1mm以上であることにより、ウイングを引き裂くきっかけとなり易く、凹部の前後方向の長さが15mmより大きいと予期せずウイングが引き裂かれてしまうことがある。
【0056】
シート非接合領域R2は、シート接合領域R1と比較して強度が低く、引裂誘導部81によって引き裂かれ易い。引裂誘導部81が比較的強度が低いシート非接合領域R2内に配置されているため、シート非接合領域R2内において第1ウイングが引き裂かれる。シート接合領域R1及びシート非接合領域R2が前後方向に延びるため、引裂箇所が前後方向に延び易くなる。
【0057】
図9は、変形例2に係る吸収性物品1Bの展開状態の平面図である。変形例2に係る吸収性物品1Bは、ミシン目と凹部を含む引裂誘導部82を有する。引裂誘導部82は、第1ウイング41の前端縁41FEから後端縁41REまで連続して設けられている。また、変形例2に係る吸収性物品1Bの第1ウイング41の前後方向の長さ及び第2ウイング42の前後方向の長さは、展開状態の外側縁に向かうにつれて短くなっている。
【0058】
第1ウイング41は、前後方向Lの中心4LCに向かって凸形状の括れ70を有する。引裂誘導部82は、括れ70の領域に設けられている。第1ウイング41は、括れ70の領域よりも幅方向内側に、第1ウイング41の前後方向Lの中心から外側に向かって凸形状の凸領域72を有する。括れ70の領域は、第1ウイング41の外形線41FEが、前後方向Lの中心4LCに向かって凸になっている領域である。括れ70の領域の、幅方向Wの内側の境界は、第1ウイング41の外形線41FE上の変曲点であってよい。なお、引裂誘導部80が括れ70の領域の境界位置に設けられている場合も、引裂誘導部80は括れ70の領域に設けられているものとする。なお、本実施形態のように凹部からなる引裂誘導部82の場合、引裂誘導部82の幅方向両側又は幅方向片側のウイングの外形が括れ70の領域(ウイングの前後方向の中心4LCに凸形状の領域)であるときに、引裂誘導部82は、括れ70の領域に設けられているものとする。
【0059】
第1ウイング41は、括れ70の領域よりも幅方向内側に、第1ウイング41の前後方向Lの中心から外側に向かって凸形状の凸領域72を有する。凸形状の凸領域72の、幅方向Wの外側の境界は、第1ウイング41の外形線41FE上の変曲点であってよい。
【0060】
括れ70の領域の幅方向Wの外側縁は、第1ウイング接合部61の、幅方向W内側の端辺よりも外側に達していてよく、第1ウイング接合部61の、幅方向Wの外側の端辺よりも外側に達していてもよい。これにより、吸収性物品を下着から取り外す際に第1ウイング接合部61に集中する力を引裂誘導部80にかかり易くすることができる。
【0061】
引裂誘導部82は、第1ウイング41の前端縁41FE及び後端縁41REに位置する凹部と、当該凹部と凹部との間で連続的に延びるミシン目と、によって構成されている。
【0062】
吸収性物品を下着から取り外す際に、使用者は、例えば、本体部2の端縁を把持し、本体部2の端縁を下着から離れる方向に引っ張る。本体部2が下着から離れると、一対のウイング41,42が本体部2側に引っ張られる。括れ70の領域よりも幅方向内側には、第1ウイング41の前後方向Lの中心から外側に向かって凸形状の凸領域72が設けられている。使用者が本体部2側に引っ張ると、この前後方向Lに膨らんだ凸領域72が、凸領域72よりも幅方向外側の部分、すなわち括れ70の領域を幅方向内側へ引っ張る。その一方で、ウイング41,42の幅方向外側部であってウイング同士が接合するウイング重なり部分は、凸領域72から引っ張られる力に抵抗して下着の非肌面側に留まろうとし、ウイング重なり部分に力がかかる。このウイング41,42にかかる力は、前後方向Lに膨らんだ凸領域72から括れ70の位置に集中し易い。引裂誘導部80が括れ70の位置に存在することによって、ウイング41,42が引っ張られる力によって引裂誘導部80が引き裂かれ易くなる。
【0063】
変形例2では、引裂誘導部82は、第1ウイング41の前端縁から後端縁まで連続して設けられている。昼用のナプキン等、前側と後側の形状が同じ吸収性物品においては、着用者が前後を逆に装着することがある。第1ウイング41の前端縁から後端縁まで引裂誘導部82が設けられていることにより、前後逆に装着された場合であっても、着用者の前側に引裂誘導部82が配置され、引裂誘導部82を介して第1ウイング41を破断できる。
【0064】
図10は、変形例3に係る吸収性物品1Cの展開状態の平面図である。変形例3に係る吸収性物品1Cは、第1ウイング41に引裂誘導部83が設けられ、第2ウイング42にも引裂誘導部84が設けられている。引裂誘導部84は、第2ウイング42の後端縁42REから前後方向に延びる。引裂誘導部84は、引裂誘導部83と同様に、ミシン目、凹部、脆弱部、及びこれらの組み合わせによって構成できる。
【0065】
第2ウイング42に引裂誘導部84を有することにより、前後逆に装着された場合であっても、第1ウイング41の引裂誘導部80と第2ウイング42の引裂誘導部84のいずれかが着用者の前側に配置される。そのため、前後逆に装着された場合であっても、本体部2を下着から引きはがすことによりウイング4が分断されるので、吸収性物品1の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0066】
着用者によっては、使用後に吸収性物品を取り外す際に、本体部2の後側を把持し、本体部を下着から離れる方向に引っ張ることがある。このように後側から本体部2を引っ張った場合であっても、第2ウイング42が2つに分離する。そのため、取り外し作業を前後逆に行った場合であっても、ウイングの一部を落下させることなく本体部2と一対のウイング4を共に外し、吸収性物品の取り外し作業を清潔に行うことができる。すなわち、着用者が、本体部2の前側から吸収性物品を取り外そうとしても、本体部2の後側から吸収性物品を取り外そうとしても、第1ウイング41と第2ウイング42の少なくとも一方が分断される。
【0067】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B、1C :吸収性物品
2 :本体部
4 :ウイング
41 :第1ウイング
42 :第2ウイング
10 :肌面シート
11 :トップシート
12 :サイドシート
20 :非肌面シート
30 :吸収体
61 :第1外側ウイング接合部
62 :第2外側ウイング接合部
63 :第1内側ウイング接合部
64 :第2内側ウイング接合部
70 :括れ
80、81、82、83 :引裂誘導部
84 :引裂誘導部
R1 :シート接合領域
R2 :シート非接合領域
L :前後方向
T :厚み方向
T1 :肌対向面側
T2 :非肌対向面側
W :幅方向
【要約】
【課題】仮にウイングが意図せずに分離したとしても、使用することが可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品1は、前後方向Lと、前後方向Lに直交する幅方向Wと、吸収体30を有する本体部2と、本体部2から幅方向外側に延出し、下着に装着された状態で互いに重なり合う一対の第1ウイング41及び第2ウイング42と、を備える。第1ウイング41は、前後方向Lに延びる引裂誘導部80と、幅方向Wにおいて引裂誘導部80よりも外側に位置する第1外側ウイング接合部61と、を有する。第1ウイング41は、幅方向Wにおいて引裂誘導部80よりも内側に位置する第1内側ウイング接合部63をさらに有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10