(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体平面(5)の物体視野(4)を像平面(9)の像視野(8)内に結像する複数のミラー(M1からM6;M1からM8;M1からM10)を有し、該物体視野(4)が、互いに平行に距離(YS)だけ変位した同じ半径(R)を有する2つの漸変円(27,28)と、両方の漸変円(27,28)の2つの端部をそれぞれ接続する2つの境界線(29,30)とによって境界が定められた円弧視野の形状を有する反射結像光学系(7)であって、
円弧視野(4)の方位角(α)が、120°よりも大きい、
ことを特徴とする反射結像光学系(7)。
中心瞳掩蔽、言い換えれば、結像光線(15)が結像光線(15)の通過が可能な別の領域によって囲まれた瞳平面(17)の領域を通過することを許さない配列を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結像光学系。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、像誤差の補正を容易にするような方法で
反射結像光学系を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、結像光学系の非掩蔽ミラー間の光路内の結像光線が、物体平面に並行に及び/又は像平面に平行に配置された離間した平面の間の少なくとも1つの多重通過領域を数回通過し、かつ結像光学系が少なくとも1つの瞳平面を含み、全ての瞳平面が、非掩蔽ミラーの間の多重通過領域の外側に配置されることを特徴とする物体平面の物体視野を像平面の像視野内に結像する複数のミラーを有する結像光学系により、本発明に従って達成される。
【0008】
結像光学系の少なくとも1つの瞳平面を非掩蔽ミラーの間の光路の多重通過領域の外側に配置することにより、結像光学系のミラー間の口径食問題を引き起こさずに、小さい視野半径を有する円弧形物体視野を有する結像光学系を設計することが可能になる。小さい視野半径の結果、所定の視野サイズに対して、物体視野は、結像光学系の光軸の近くに配置される。この配列により、光軸から遠隔な領域において必要とされる高い非球面次数に加えて高い非球面性を不要にすることができるので、結像光学系の像誤差の補正が容易になる。従って、結像光学系のミラーをその反射面が球面表面から若干しか偏位しないように設計することができる。例えば、0.5の範囲の開口数を有するシステムにおいてさえも、反射面のこの反射面の最良適合球面との最大偏位が、500μmよりも小さくなり、特に、200μmよりも小さくなるように結像光学系を設計することを考えることができる。更に、この設計によって親非球面の直径が低減するので、干渉計試験が容易になる。ミラーの親直径は、D.A.Tichenor他著の専門論文「EUV工学試験台」、「Lawrence Livermore National Laboratory」、2000年2月14日、
図6(前刷りUCRL−JC−137668)に定められている。要件に従って本発明による結像光学系は、円弧形物体視野から進行し、光軸に対して垂直な方向に相応に円弧形である結像光束が、光軸に対して垂直な結像光による通過を数回受ける平面内で円弧形状を有し、これらの円弧形状が同じ方向に開くことにより、特に、小さい視野半径にも関わらず、口径食を伴わない非掩蔽ミラーを設計することを可能にする。この種の円弧形光束は、光軸に対して垂直な結像光による通過を数回受ける平面内で互いに隣接し、かつ互いからほぼ一定の距離に位置するように容易に構成することができ、従って、通過することができる円弧形光束から反射光束を容易に分離することができる。少なくとも1つの瞳平面は、これらの瞳平面が多重通過領域の境界を定める反射面と一致しないように多重通過領域の外側に配置される。この配列は、多重通過領域の光路内にいかなる瞳平面も存在しないことを保証する。結像光学系は、純反射光学系とすることができるのみならず、原理的には反射屈折光学系とすることができる。本発明による結像光学系に1つよりも多くの瞳平面が設けられる場合には、全てのこれらの瞳平面は、多重通過領域を外れた非掩蔽ミラーの間の光路に配置される。この場合、瞳平面が、反射面の縁部が依然として多重通過領域の一部であるように多重通過領域の境界を定めるこれらの反射面と一致しないことを保証するために、全てのこれらの瞳平面は、多重通過領域の外側に配置される。
【0009】
掩蔽ミラーの間の光路内では、結像光線は、物体平面及び/又は像平面に対して平行な離間した平面の間の少なくとも別の多重通過領域を数回通過することができ、少なくとも1つの瞳平面及び好ましくは全ての瞳平面は、非掩蔽ミラーの間の多重通過領域及び掩蔽ミラーの間の多重通過領域の外側に配置される。本発明による結像光学系の少なくとも1つの瞳平面のこの配列は、これらの瞳平面内での照明光束の使用可能性を保証する。
【0010】
物体視野は、互いに平行にある一定の距離だけ変位した同じ半径を有する2つの漸変円によって境界が定められた円弧視野の形状を有することができる。視野は、両方の漸変円の2つの端部をそれぞれ接続する2つの境界線によっても境界が定められ、この円弧視野は、75°よりも大きい方位角を有することができる。この種の円弧視野は、所定の視野サイズにおいて有利に小さい円弧視野半径を有する。方位角は、80°よりも大きく、90°よりも大きく、100°よりも大きく、110°よりも大きく、120°よりも大きく、130°よりも大きく、140°よりも大きく、150°よりも大きく、160°よりも大きく、更には170°よりも大きいとすることができる。走査投影露光装置では走査スロット長と呼ぶ2つの漸変円の所定の距離、及び走査投影露光装置では走査スロット幅と呼ぶ円弧視野の所定の幅において、方位角は、理論最大値までのサイズを有することができる。従来技術では、対応する円弧視野は、例えば、WO2005/098506A1に説明されているように反射屈折設計を用いてしか得ることができない。この種のシステムでは、結像光学系の口径食問題が発生する例えば物体平面に近い断面内で屈折要素を用いることができる。
【0011】
対応する利点は、結像光学系が光軸を有し、結像光学系が、視野平面とその直ぐ下流に配置された瞳平面との間、第1の瞳平面とその直ぐ下流に配置された第2の瞳平面との間という種類のうちの一方の結像光学系の境界平面の間に空間的に配置された少なくとも1つの非掩蔽ミラー群を有する、物体平面の物体視野を像平面の像視野内に結像する複数のミラーを有する本発明による結像光学系によって提供される。
【0012】
この場合、それぞれ少なくとも1つの非掩蔽ミラー群の境界を定める視野又は瞳平面は、境界を定めるこれらの視野又は瞳平面が、少なくとも1つの非掩蔽ミラー群の光軸に沿った延長幅の境界を定める反射面とそれぞれ一致しないように、これらの非掩蔽ミラー群の外側に配置される。従って、それぞれ少なくとも1つの非掩蔽ミラー群の境界を定める視野又は瞳平面は、これらの視野又は瞳平面の間に配置された少なくとも1つの非掩蔽ミラー群からある一定の距離に位置する。
【0013】
結像光学系は、中心物体視野点から進行して結像光学系の瞳平面内の瞳中心を通過する主光線が、光軸が位置しかつ中心物体視野点から光軸への法線が垂直である主分離平面を通過しないように結像光学系の少なくとも1つの非掩蔽ミラー群のミラーの間で子午断面内を進むような方法で設計することができる。
結像光学系は、中心瞳掩蔽、言い換えれば、瞳平面の結像光線の通過が可能な別の領域によって囲まれたある領域を結像光線が通過することを不能とする配列を有することができる。
【0014】
この種の瞳掩蔽は、中心瞳掩蔽として構成することができるが、必ずしもそうである必要はない。瞳平面領域内に、他の場合は結像光線による通過を受けるが、結像光線が通過することができない領域を設けるだけで十分である。
物体視野及び像視野は、光軸からある一定の距離に配置することができる。
本発明による結像光学系は、非掩蔽ミラー群の間の瞳平面を用いた分離により、結像光学系の光軸に対して垂直であり、照明光による通過を数回受ける平面内での様々な円弧形結像光束の分離が保証されるので、口径食問題の発生を招くことなく主分離平面の両側に非掩蔽ミラー群を設けることを可能にする。
【0015】
結像光学系は、非掩蔽ミラーの間の光路内の結像光線が、物体平面及び/又は像平面に平行に配置された離間した平面の間の少なくとも1つの多重通過領域を数回通過し、子午断面内で、結像光線が、多重通過領域の境界を定める平面の間で主分離平面を通過しない方法で設計することができる。
この種の設計により、結像光による通過を数回受ける平面内で結像光束を特に良好に分離することが可能になる。
【0016】
結像光学系は、物体平面の物体視野を像平面の像視野内に結像する複数のミラーを有することができ、少なくとも2つが非掩蔽のものであり、非掩蔽ミラーが球面ミラーとして設計された少なくとも4つのミラーを有する。この種の設計では、比較的費用効率の良い方法で生成することができる球面ミラーを用いることができる。そのような配列は、特に、小さいリング視野半径を用いる場合に可能であることが見出されている。
【0017】
結像光学系は、いくつかの非掩蔽ミラー群を有することができ、それらの間には、各場合に結像光路に1つの瞳平面が配置される。そのような配列により、いかなる場合であっても、非掩蔽系を分離する瞳平面が、結像光学系の結像光による1回の通過しか受けない領域に配置され、言い換えれば多重通過領域に配置されないことが保証される。
結像光の貫通のための貫通開口部を有する少なくとも1つの掩蔽ミラーにより、最大角度を最小にすることに関して結像光学系の構成が容易になる。
【0018】
結像光学系は、少なくとも3つ、好ましくは正確に4つのミラーが掩蔽された正確に6つのミラーを含むことができる。結像光学系は、少なくとも3つ、好ましくは正確に4つのミラーが掩蔽された正確に8つのミラーを含むことができる。結像光学系は、少なくとも3つ、好ましくは正確に4つのミラーが掩蔽された正確に10個のミラーを含むことができる。そのような設計は、最大入射角と像側開口数の比を最小にするのに特に適することが明らかにされている。
【0019】
本発明による結像光学系は、上記に解説した特徴を特許請求に記載のもの以外の組合せで含むことができる。
本発明による投影露光装置の利点は、本発明による結像光学系を参照してこれまでに説明したものに対応している。投影露光装置の光源は、広帯域のものであるように構成することができ、例えば、1nmよりも大きく、10nmよりも大きく、又は100nmよりも大きい帯域幅を有することができる。更に、投影露光装置は、異なる波長の光源で作動させることができるように構成することができる。他の波長のための光源、特に、マイクロリソグラフィに用いられる波長、例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、126nm、109nmの波長、特に、100nmよりも短い、例えば、5nmと30nmの間の波長も有する光源を本発明による結像光学系との組合せで用いることができる。
【0020】
投影露光装置の光源は、5nmと30nmの間の波長を有する照明光を発生させるように構成することができる。この種の光源は、最小反射率を得るために、ミラー上で入射角に対して狭い許容帯域幅しか持たない反射コーティングを必要とする。本発明による結像光学系を併用することにより、入射角に対する狭い許容帯域幅というこの要件を満たすことができる。
本発明による生成方法、及びそれによって生成される微細構造構成要素は、対応する利点を有する。
以下では、図面を用いて本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
マイクロリソグラフィのための投影露光装置1は、照明光又は照明放射線3のための光源2を有する。光源2は、例えば、5nmと30nmとの間、特に、5nmと10nmの間の波長範囲の光を生成するEUV光源である。光源2は、特に、6.9nmの波長を有する光源とすることができる。他のEUV波長も可能である。一般的に、あらゆる望ましい波長、例えば、可視波長、又は更にはマイクロリソグラフィに対して用いることができ、適切なレーザ光源及び/又はLED光源が利用可能な他の波長(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、129nm、109nm)が、投影露光装置1において誘導される照明光3において可能である。
図1では、照明光3の光路を非常に概略的に示している。
【0023】
照明光学系6は、照明光3を光源2から物体平面5内の物体視野4(
図3を参照されたい)へと誘導する。物体視野4は、投影光学系又は結像光学系7により、像平面9内の像視野8(
図2を参照されたい)へと所定の縮小スケールで結像される。
図2及びそれ以降に示す実施形態のうちの1つを投影光学系7に対して用いることができる。
図2による投影光学系7は、8という縮小係数を有する。他の縮小スケール、例えば、4×、5×、又は更には8×よりも大きい縮小スケールも可能である。EUV波長を有する照明光3では8×の結像スケールが特に適し、これは、それによって反射マスク10上の物体側入射角を小さく留めることができるからである。また、8×の結像スケールは、不要に大きいマスクを用いることを必要としない。
図2及びそれ以降による実施形態にある投影光学系7では、像平面9は、物体平面5に平行に配置される。このようにして、レチクルとも呼ぶ反射マスク10の物体視野4と対応する部分が結像される。
【0024】
投影光学系7によって実施される結像は、基板支持体12によって支持されるウェーハの形態にある基板11の面上で発生する。
図1は、レチクル10と投影光学系7の間に、この投影光学系に入射する照明光3の光ビーム13を略示しており、投影光学系と基板11の間に投影光学系7を出射する照明光3の光ビーム14を略示している。
図2によると、投影光学系7の像視野側の開口数は0.40である。
図1では、これを正確な縮尺で示していない。
【0025】
投影露光装置1及び投影光学系7の様々な実施形態の説明を助けるために、図内に表された構成要素が占めることができるそれぞれの位置を示すxyzシステムを図面内に明示している。
図1では、x方向は、作図面に対して垂直にそれに向けて延びている。y方向は右に延び、z方向は下に向けて延びている。
投影露光装置1は、スキャナ型のデバイスである。投影露光装置1の作動中に、レチクル10と基板11の両方がy方向に走査される。投影露光装置1では、基板11の個々の露光の間にレチクル10及び基板11のy方向の段階的変位が発生するステッパ型デバイスも可能である。
【0026】
図2は、投影光学系7の第1の実施形態の光学構成を示している。この図は、各場合に、互いから
図2のy方向に分離した2つの物体視野点から発する3つの個々の光線15の各々の光路を示している。これらの2つの物体視野点の一方に属する3つの個々の光線15の各々は、2つの物体視野点における3つの異なる照明方向に関連付けられる。投影光学系7の瞳平面17内の瞳中心を通じて延びる主光線16は、中心瞳掩蔽に起因して投影光学系7の実結像光路ではないので、
図2ではこれらの主光線を明瞭化目的のみで示している。これらの主光線16は、物体平面5から進行し、最初に発散して延びている。以下ではこれを投影光学系7の入射瞳の負の後方焦点距離と呼ぶ。
図2による投影光学系7の入射瞳は、投影光学系7の内側ではなく、光路内で物体平面5の前に位置する。それによって例えば照明光学系6の瞳構成要素をこの瞳構成要素と物体平面5の間に更に別の結像光学構成要素を存在させる必要はなく、光路内で投影光学系7の前にある投影光学系7の入射瞳に配置することが可能になる。変形として、入射瞳の正の後方焦点距離、又は更に別の変形として物体側でのテレセントリックな光路も可能である。この第2の変形は、例えば、光線分割器要素の使用を有する物体平面5内のレチクル10としての反射マスクに関連して、又は物体平面5内のレチクルとしての透過マスクと併せて用いられる。
【0027】
図2による投影光学系7は、物体視野4から始まる個々の光線15の光路の順序でM1からM6と番号を振った合計で6つのミラーを有する。
図2は、ミラーM1からM6の計算による反射面のみを示している。一般的に、ミラーM1からM6は、実際に用いられる反射面よりも大きい。
図2による投影光学系7の光学データを2つの表を用いて以下に示している。最初の表は、「半径」列にミラーM1からM6のそれぞれの曲率半径を示している。第3の列(厚み)は、物体平面5から始まって各場合にz方向に次の面までの距離を記載している。
第2の表は、ミラーM1からM6の反射面の厳密な面形状を記載しており、定数K及びAからEは、矢状高さzに関する次式に対して用いるべきものである。
【0029】
この場合、hは、光軸18からの投影光学系7の距離を表している。従って、h
2=x
2+y
2である。cに対しては半径の逆数が用いられる。
【0032】
第1のミラー群19のミラーM1及びM2は、リングセグメント形状で、光軸18に対して軸外に用いられる。従って、ミラーM1及びM2の使用光学反射面は、光軸18からある一定の距離に位置する。物体視野4及び像視野8は、光軸18からある一定の距離に配置される。全てのミラーM1からM6の反射面は、矢状高さzに関する上式に従って光軸18に対して回転対称である。
ミラーM1及びM2の光学的使用領域は、結像光の貫通のための貫通開口部を有しておらず、すなわち、掩蔽されない。従って、第1のミラー群19は、非掩蔽ミラー群である。ミラーM1の反射面とミラーM2の反射面とは、互いに対面する。
ミラーM1、M4、M5、及びM6は凹ミラーである。ミラーM2及びM3は凸ミラーである。
【0033】
個々の光線15は、結像光路内のミラーM2とM3の間のミラーM4内の貫通開口部20を通過する。ミラーM4は、貫通開口部20の周囲に用いられる。従って、ミラーM4は掩蔽ミラーである。ミラーM4と同様に、ミラーM3、M5、及びM6も掩蔽され、各々が同様にほぼ中心の貫通開口部20を含む。従って、投影光学系7には、合計で、2つの非掩蔽ミラー、すなわち、ミラーM1及びM2,更に4つの掩蔽ミラー、すなわち、ミラーM3からM6が最初に存在する。
【0034】
瞳平面17は、投影光学系7における光路内で、ミラーM3上の個々の光線15の反射領域内に位置する。
ミラーM1とM4とは、その反射面の向きに関して背中合わせに配置される。
結像光路内のミラーM4とM5の間には、投影光学系7の中間像平面21が存在する。個々の光線15は、ミラーM3の貫通開口部20を通過した直後に中間像平面21を貫通する。
ミラーM3及びM4は、結像光路内で非掩蔽ミラー群19の後に配置された瞳平面17と中間像平面21の間の投影光学系7の第1の掩蔽ミラー群22を表している。ミラーM3の反射面とミラーM4の反射面とは互いに対面する。
【0035】
個々の光線15は、光路内で中間像平面21とミラーM5の間のミラーM6内の貫通開口部20を貫通する。ミラーM5上の個々の光線15の反射領域内には、投影光学系7の更に別の瞳平面23が存在する。
ミラーM5及びM6は、掩蔽ミラー群22の後に配置された中間像平面20と像平面9の間の投影光学系7の更に別の掩蔽ミラー群24を表している。ミラーM5の反射面とミラーM6の反射面とは互いに対面する。
【0036】
ミラーM6上での個々の光線15の反射の後に、個々の光線15は、ミラーM5内の貫通開口部20を通過して像視野8に到達する。以下の表は、
図2による子午断面内の個々の光線15に関する最大及び最小の入射角を示している。これらの入射角は、ミラーM1からM6上のそれぞれの最大及び最小の入射角である。
【0038】
以上により、ミラーM1からM6の反射面上への結像光の最大入射角と投影光学系7の開口数との比は、ミラーM2上への12.35°の最大入射角によって決められる。従って、
図2による投影光学系7におけるこの最大入射角と開口数の比は30.9°である。
小さい最大入射角は、この小さい最大入射角に起因して、入射角に対して比較的広い許容帯域幅を有する例えば6.9nmの範囲の短いEUV波長のための反射面をも用いる可能性をもたらす。これに関して
図14を用いて以下により詳しく説明する。入射角に対する反射層のこの許容帯域幅は、反射コーティングを構成するターゲットの最大入射角が低減する程拡幅する。多数の特に異なる屈折率を有する連続交互層材料を有する積層体として形成された反射コーティングも可能である。10nmよりも短い波長を有する照明光3が用いられる場合には、この種のコーティングは、それに相応して入射角に対する狭い許容帯域幅しか持たない。従って、投影光学系7は、この種の短い波長においてさえも、既存技術と比較して相対的に低い反射損失、及び個々のミラーの反射率のこれらのミラーの反射面にわたる小さい差しか伴わずに用いることができる。
【0039】
図2には、光軸18を破線で示している。同時にこの破線は、主分離平面25(
図2のxz平面)と
図2による子午平面(
図2のyz平面)との交線を表している。この主分離平面25は、
図2の作図面に対して垂直である。光軸18は、主分離平面25に存在する。更に、
図2の子午平面に位置する中心物体視野点の光軸18に対する法線26は主分離平面25に対して垂直である。この法線26は
図2の作図面内にも存在し、物体平面5(
図2のxy平面)と子午平面、すなわち、
図2の作図面との交線と対応する。
光学系の子午断面内で延びる結像光線は、投影光学系7の第1の非掩蔽ミラー群19内で主分離平面25を通過しない。主分離平面25は、結像光路内でミラーM2上での反射の後にミラーM2とM3との間で、すなわち、ミラー群19と22の間の移行部において個々の光線15による最初の通過を受ける。主分離平面25は、瞳平面17内で主光線16による最初の通過を受ける。
【0040】
図3は、投影光学系7の物体視野4の拡大図である。像視野8は、8という係数で縮小されることを除き、正確にこれと同じ形状を有する。視野4は、距離YSだけy方向に互いに平行に変位した同じ半径Rの2つの漸変円27,28によって境界が定められた円弧形視野である。視野4は、それぞれ漸変円27,28の2つの端部を接続し、法線26に平行に延びる2つの境界線29,30によっても境界が定められる。2つの境界線29,30は、互いから、走査スロット幅である一定の距離XSの位置にある。主分離平面25は、2つの境界線29,30の中心を通過する。従って、光軸18は、厳密に2つの境界線29,30の中心の間に位置する。従って、境界線29と30の間の光軸18の配列に起因して、視野4は、最小リング視野半径Rを有する視野である。この最小リング視野半径Rは次の表現式によって与えられる。
【0042】
図2の投影光学系7では、物体視野4は、XS=104nm(走査スロット幅)及びYS=8mm(走査スロット長)の寸法を有する。それによって物体視野4において52.154mmのリング視野半径Rが得られる。
境界線29,30と
図3の上部に示している漸変円28の間に、視野4は、漸変円28が直線で延びる境界線29,30へと移行する境界移行部31,32を有する。境界移行部31,32の間では、視野半径ベクトル33が、次式を用いて計算される方位角αをターゲット範囲とする。
α=2arcsin(1/2 XS/R)
【0043】
以上により、物体視野4において171.2°の方位角αが得られる。像視野8は、同じ方位角を有する。この大きい方位角は、視野4が所定のXS延長幅において光軸18に可能な限りの近くに配置されることを意味する。それによって物体視野4と像視野8との間で投影対物系7を通じて結像を行う際の結像誤差補正が容易になる。更に、大きい方位角は、小さい親直径、及びミラーM1からM6の低い非球面性をもたらす。ミラーの親直径は、D.A.Tichenor他著の専門論文「EUV工学試験台」、「Lawrence Livermore National Laboratory」、2000年2月14日、
図6(前刷り第UCRL−JC−137668)に定められている。大きい方位角を用いると、ミラーM1からM6上の入射角を小さく保つことができる。
【0044】
図4から
図6は、非掩蔽ミラー群19内での選択された物体視野点に対する光ビーム34の通路を示している。
図4から
図6に関連して以下に解説する全ての光ビーム群の光ビーム34の各々は、同じ25個の物体視野点に関連付けられたものである。合計で5つの光ビーム群35,36,37,38,39の光ビーム34を示している。
図4では、光ビーム群35から39に対して左から右に番号を振っている。各光ビーム群35から39は、同じx値を有し、y方向に互いから等距離で分離した物体視野点に属する5つの光ビーム34を有する。
図4の中心光ビーム群37は、子午平面に位置する物体視野点に属する。
【0045】
図4は、円弧形の物体視野4の形状を見ることができるように物体平面5の近くの光ビーム34を示している。縁部にある2つの光ビーム群35及び39は、境界線29,30上に位置する物体視野点から発する。
図4の図は、円弧視野半径Rが、x方向よりもy方向に小さく見えるようにy方向に圧縮している。
中心光ビーム群37に属する視野半径区分Rは、
図4の上部に現れる。
図4では、光ビーム群35から39は、光軸18の回りに下向きに開いた半円を形成する。
【0046】
図5は、
図2の断面平面V、すなわち、ミラーM1の領域内の光ビーム34を示している。ミラーM1上で反射される光ビーム群40から44はリングセグメント上に位置し、
図5では、光軸18の回りに下向きに開いた半円を形成する。
更に平面Vは、光路内でミラーM2とM3の間に延びる光ビーム群45から49による通過を受ける。
光ビーム群45から49もまた、
図5で光軸18の回りに下向きに開いた半円を形成する。従って、光ビーム群45から49から成る半円は、光軸18と、光ビーム群40から44によって形成された半円の間に位置する。
【0047】
一方で光ビーム群40から44、及び他方で光ビーム群45から49から成る2つの半円が、各々下向きに開いているということに起因して、一方の光ビーム群40から44の個々の光ビーム34と、他方の光ビーム群45から49の個々の光ビーム34との間で光ビーム群40から49の小型配列を有しながらも十分に大きい最小距離を得ることができる。
図5ではこの距離をAで表している。従って、更に別の措置を要さずに、
図5に点線及び破線で示しているように、一方の光ビーム群40から44と、他方の光ビーム群45から49との間でミラーM4内の貫通開口部20の境界を定めることができる。一般的に、ミラーM1からM6は、完全に鮮明な縁部を有するように生成することができないので、距離Aは実際に必要である。距離Aは、システムを組み立てて調節するのに公差としての役割も達成する。従来、距離Aは数ミリメートルである。
【0048】
図6は、平面VI内でミラーM2が配置された領域内の25個の物体視野点に対する光ビーム34の
図5と類似の図である。光ビーム群50,51,52,53,54は、光軸18に隣接して光ビーム34がミラーM2上で反射される位置に配置する。
図6では、光ビーム群50から54は、下向きに開いた半円で配置される。この半円は、結像光路内で物体平面5とミラーM1の間の平面VIを通過する光ビーム群55から59から成る同様に下向きに開いた半円によって囲まれる。従って、一方で光ビーム群50から54に関連付けられ、他方で光ビーム群55から59に関連付けられた半円から成る半円開口部は、平面VI内でも同様に同じ方向に開き、それによって小型配列を有しながら、同時に一方の光ビーム群50から54と、他方の光ビーム群55から59との間に距離Aが生じる。この場合にも、
図6に点線及び破線で示しているように、ミラーM2の縁部において、一方の光ビーム群50から54にも、他方の光ビーム群55から59にも口径食を及ぼさない境界形成60が可能である。
【0049】
従って、平面VとVIとの間では、個々の光線15は、多重通過領域61を通過する(
図2を参照されたい)。この多重通過領域61は、特に、一方で物体平面5とミラーM1の間の個々の光線15により、他方でミラーM1とM2の間の個々の光線15により、更にまたミラーM2とM3の間の個々の光線15により、合計で3回の通過を受ける。多重通過領域61内には投影光学系7のいかなる瞳平面も存在しない。瞳平面17及び23は、多重通過領域61の外側に配置される。
【0050】
図7は、投影対物系7の部分的にコヒーレントな空中像の計算結果を示している。相対強度Iを右に向けてプロットした像視野8内の位置Vの関数として上向きにプロットしたグラフを示している。
図7によるグラフは、10nmの像側構造幅を有する合計で7つの個々の構造B、及び同じく10nmの像側構造距離を有する中間空き領域Cを有する矩形構造の結像結果を示している。物体側構造幅は、像側構造幅から結像スケールを通じて得られ、この場合は8×10nm=80nmである。この構造は、物体視野4内、すなわち、レチクル10上に配置される。
図7のグラフでは、像視野8を通しての走査中の異なるy値における相対強度を近似正弦曲線としてプロットしている。結像光の波長は6.9nmである。
【0051】
相対強度は、10nmの構造Bの位置における約0.06と、10nmの中間空き領域Cの中心における0.62との間で変動している。
構造領域Bと構造の中間空き領域Cの間の相当量の相対強度変化に起因して、この10nm構造は、更に別の措置を要さずに像平面9内で解像することができ、基板11上の対応するフォトレジストの露光による像視野8内での対応する構造の生成に対して用いることができる。
【0052】
図8は、構造の中間空き領域Cを有する構造Bの各場合に像側で6nmの延長幅を有する構成的解像度状態にある
図2による投影対物系7の部分的にコヒーレントな空中像の計算結果の
図7と類似の図である。この場合にも6.9nmの波長を用いている。この場合、相対強度は、構造Bの中央における約0.2という値から構造Bの間の中間空き領域Cの中心における約0.37まで同様に近似正弦曲線で変化する。従って、6nm構造も、フォトレジストの現像に向けて十分な強度変化を有して結像することができる。
この場合にも6.9nmの波長を用いている。
【0053】
図9は、投影光学系7の更に別の実施形態を示している。
図1から
図8を参照して既に説明したものに対応する構成要素及び詳細項目は、同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細に解説しないことにする。
以下に
図9による投影光学系7の光学データをレイアウトが
図2による投影光学系7に関する表に対応する2つの表を用いて再現する。
【0056】
図9による実施形態は、0.50という開口数を有する。中間像平面21は、光路内のミラーM4とM5との間で空間的にミラーM3の前にそれに隣接して位置する。ミラーM2は球面のものである。他の点に関しては、
図9による投影光学系7の構造は、
図2による投影光学系7のものに対応する。
【0057】
以下の表は、ミラーM1からM6上の個々の光線15における最大入射角を要約している。第3の列は、反射面に適合する最小誤差を有する球面表面(最良適合球面)からのミラーM1からM6の反射面の最大偏位を付加的に示している。最大偏位は180μmである。従って、
図9による投影光学系7のミラーM1からM6の全ての非球面性は小さく、ミラーM2は実際に球面のものであり、それによってこれらのミラーの反射面の構成が簡素化される。
【0059】
図9による投影光学系7のミラーM1からM6の反射面上の結像光の最大入射角、特に、ミラーM5上の入射角15.34°と、0.5という開口数との比は、
図9の投影光学系7では30.68°である。
図9の投影対物系7の合計構造長は2,000mmである。面内の最大中心瞳掩蔽率は7パーセントよりも低い。
図10から
図12は、
図4から
図6のものに対応する物体平面5の領域内の光ビーム群35から39の配列の図(
図10)、ミラーM1の領域内にある平面XI内の光ビーム群40から44及び45から49の図(
図11)、並びにミラーM2の領域内にある平面XII内の光ビーム群50から54及び55から59の図(
図12)である。光ビーム群の配列は、
図2の投影対物系7内と
図9の投影対物系7内とでは、光ビームの直径、及び光ビームの互いからの距離に関しては異なるが、光ビーム群の半円形配列、及び互いからある一定の距離にあるこれらの半円のそれぞれ同等に下に配向された開口部に関しては異ならない。
図2の投影対物系7の場合も同様であるが、
図9による投影対物系7の平面XIとXIIの間の多重通過領域61内には、投影光学系7のいかなる瞳平面も存在しない。
非掩蔽ミラー群では、開口数は、各場合に掩蔽ミラー群におけるものよりもかなり低い。
【0060】
図13は、投影露光装置1内に設置される投影光学系7の別の実施形態である。
図1から
図12を参照して上述したものに対応する構成要素及び詳細項目は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細に解説しないことにする。
以下に
図13による投影光学系7の光学データを
図2による表のものに対応する構造を有する2つの表に列記する。
【0063】
第2の表に示している定数K及びAからGは、ミラーM1からM8の反射面の厳密な面形状を説明するための矢状高さに関する次式に対して用いるべきものである。
【0065】
図13による投影光学系7は、物体視野4から始まる光路の順序でM1からM8まで番号を振った合計で8つのミラーを有する。
図13は、ミラーM1からM8の計算による反射面のみを示している。
ミラーM1、M4、及びM5は凸ミラーである。ミラーM2、M3、及びM6からM8は凹ミラーである。ミラーM1の反射面とミラーM2の反射面とは互いに対面する。ミラーM2の反射面とミラーM3の反射面とは互いに対面する。ミラーM1の反射面とミラーM4の反射面とは背中合わせに配置される。ミラーM4の反射面とミラーM5の反射面、並びにミラーM7の反射面とミラーM8の反射面とは互いに対面する。ミラーM5の反射面とミラーM8の反射面とは背中合わせに配置される。
【0066】
ミラーM1からM4は、
図13による投影光学系7の第1の非掩蔽ミラー群19を形成する。ミラーM1からM4は、リングセグメント形状で、光軸18に対して軸外に用いられる。
この実施形態では、ミラーM1からM4の使用反射面のリングセグメントも同様に半円であり、投影された場合にこれらの半円は、xy平面上で下向きに、言い換えれば負のy値の方向に開いている。
図13による投影光学系7の非掩蔽ミラー群19内では、子午断面内に延びる結像光線は、主分離平面25を通過しない。
【0067】
図13による投影光学系7では、多重通過領域62,63は、一方がミラーM1とM2の間に、他方がミラーM3とM4の間に配置され、これらの多重通過領域62,63の境界は、
図13に破線で示しており、
図2の平面V及びVIのように物体平面5及び像平面9に平行に延びる平面によって定められる。多重通過領域62,63は、各場合に、結像光線による3回の通過を受ける。多重通過領域62内では、個々の光線15は、一方で物体視野4とミラーM1との間、他方でミラーM1とミラーM2との間で延び、更に、ミラーM2とM3との間で延びている。多重通過領域内63では、個々の光線15は、一方でミラーM2とM3との間、他方でミラーM3とミラーM4の間の光路で延び、更に、ミラーM4とM5の間の光路で延びている。
多重通過領域62,63内には、
図13による投影光学系7のいかなる瞳平面も存在しない。
同様に、
図13による投影光学系7では、物体視野4及び像視野8は、
図3の図形表現に関連して説明した形状、及び同じ寸法XS及びYSを有する。相応に視野4,8は、171.2°の方位角αを同様に有する。
【0068】
図13による投影光学系7では、第1の瞳平面17は、ミラーM5上の個々の光線15の反射領域内に位置する。
ミラーM5からM8は掩蔽され、各場合に実質的に中心にある貫通開口部20を有する。
ミラーM5からM8は、
図2による投影光学系7における掩蔽ミラーM3からM6の配列に対応する2つの掩蔽ミラー群22,24を形成する。
図2による投影光学系7においてと同様に、
図13による投影光学系7の中間像平面21は、非掩蔽ミラー群22と24の間に位置する。
第2の瞳平面23,並びに開口絞りが、ミラーM7上の個々の光線15の反射の近くに配置される。
図13による投影光学系7は、0.60という開口数を有する。
【0069】
図14は、投影装置1に対して用いるべき投影光学系7の別の実施形態を示している。
図1から
図13を参照して上述したものに対応する構成要素及び詳細項目は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細に解説しないことにする。
以下に
図13による投影光学系7の光学データを
図2による表のものに対応する構造を有する2つの表に列記する。
【0072】
ミラーM1からM10の反射面の厳密な面形状を説明するのに用いられる矢状高さの式は、
図2による投影光学系7に関連して上述のものに対応する。
図14による投影光学系7は、物体視野4から始まる光路の順序でM1からM10と番号を振った合計で10個のミラーを含む。
図14は、ミラーM1からM10の計算による反射面を示している。
ミラーM1,M4,M5,及びM8からM10は凹ミラーである。ミラーM2,M3,M6,及びM7は凸ミラーである。
【0073】
ミラーM1の反射面とミラーM2の反射面とは互いに対面する。ミラーM2の反射面とミラーM3の反射面とは互いに対面する。ミラーM1の反射面とミラーM4の反射面とは背中合わせに配置される。ミラーM3の反射面とミラーM4の反射面、並びにミラーM5の反射面とミラーM6の反射面とは互いに対面する。ミラーM3の反射面とミラーM6の反射面とは背中合わせに配置される。ミラーM7の反射面とミラーM8の反射面、並びにミラーM9の反射面とミラーM10の反射面とは互いに対面する。ミラーM5の反射面とミラーM8の反射面、並びにミラーM7の反射面とミラーM10の反射面とは背中合わせに配置される。
【0074】
ミラーM1からM6は、リングセグメント形状で、光軸18に対して軸外に用いられる。
図2による投影光学系7に関する以上の説明と同様に、ミラーM1及びM2のこれらのリングセグメント形の反射領域は半円形であり、
図14の半円は、下向きに、言い換えれば負のy値の方向に開いている。
同様にミラーM3からM6にも半円形反射面が設けられるが、これらは反対方向に、言い換えれば正のy値に向けて開いている。
ミラーM1及びM2は、
図14による投影光学系7の第1の非掩蔽ミラー群64を形成する。ミラーM3及びM6は、
図14による投影光学系7の第2の非掩蔽ミラー群65を形成する。
図14による投影光学系7の第1の瞳平面66は、空間的に2つのミラー群64と65との間、すなわち、反射面に関して背中合わせに配置された2つのミラーM1とM4の間に配置される。
【0075】
瞳平面66がミラー群64と65の間に配置されることにより、個々の光線15のうちのいずれも、個々のミラー群64,65を通過する際に子午平面内の主分離平面25を貫通しない。この主分離平面25は、非掩蔽ミラー群64と65の間で主光線16による貫通を受けるだけであり、非掩蔽ミラー群64,65内では貫通を受けない。主光線16は、瞳平面を外れて非掩蔽ミラー群64,65内で主分離平面25を通過することはない。
図14による投影光学系7では、ミラーM1とM2の間、ミラーM3とM4の間、並びにミラーM5とM6の間に合計で3つの多重通過領域67,68,及び69が存在する。これらの多重通過領域67から69の境界は、各場合に、物体平面4及び像平面9に平行に配置された
図14に破線で示している平面によって定められる。個々の光線15は、
図2及び
図13による実施形態の多重通過領域61から63に関連した以上の説明に相応に多重通過領域67から69を各場合に3回貫通する。
多重通過領域67から69内には、投影光学系7のいかなる瞳平面も配置されない。
【0076】
図2による投影光学系7に関連して上述したように、各場合に同じ方向に開いた2つの半円の形状にある光束群は、多重通過領域67から69の2つの境界平面を数回通過する。それに相応してミラーM1、M2、M3、M4、M5、及びM6の縁辺部境界の口径食のない構成に対する要件は緩和される。
図14による投影光学系7の物体視野4及び像視野8の形状及びサイズは、上述の実施形態のものに等しい。従って、同様に、
図14による投影光学系7の視野4,8は、171.2°の方位角αを有する。
【0077】
図14による投影光学系7では、第1の中間像平面70は、ミラーM5とM6の間の光路に配置される。
図14による投影光学系7のミラーM7からM10の配列は、
図13による投影光学系7のミラーM5からM8のものに対応する。ミラーM7からM10は掩蔽され、各場合に実質的に中心にある貫通開口部20を有する。
図14による投影光学系7は、0.60という開口数を有する。
【0078】
図15及び
図16は、上述の
図2、
図13、及び
図14の実施形態による投影光学系7に対する拡張である投影光学系7を通過する主光線16の概略図である。
図1から
図14に関連して上述したものに対応する構成要素及び詳細項目は同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細に解説しないことにする。
図14による投影光学系7とは対照的に、
図15及び
図16による投影光学系7は、2つの非掩蔽ミラー群ではなく、合計で4つの非掩蔽ミラー群72,73,74,75を有する。
図15による図と
図16による図は、
図16による図が非掩蔽ミラー群72から75内に、並びに最後の瞳平面17と像平面9の間に折り返し光路を付加的に示している点で異なる。
【0079】
第1の非掩蔽ミラー群72は、物体平面5と第1の瞳平面76の間に位置する。第2の非掩蔽ミラー群73は、第1の瞳平面76と第2の瞳平面77の間に位置する。第3の非掩蔽瞳平面74は、第2の瞳平面77と第3の瞳平面78の間に位置する。第4の非掩蔽瞳平面75は、第3の瞳平面78と瞳平面17の間の
図15及び
図16の概略図に単一の掩蔽ミラー群として示している掩蔽ミラー群22,24への移行部に位置する。
図15及び
図16による概略図の非掩蔽ミラー群72及び75は、
図14による実施形態の非掩蔽ミラー群64及び65に対応する。従って、
図15及び
図16による概略図は、
図14による実施形態の2つの更に別の非掩蔽ミラー群、すなわち、ミラー群73及び74による拡張と理解すべきである。
【0080】
図15及び
図16は、主分離平面25が、各場合に、非掩蔽ミラー群72から75の間、並びに瞳平面17の後ろの光路の投影光学系7の高開口領域内で、言い換えれば掩蔽ミラー群22,24の領域内でのみ貫通を受けることを示している。非掩蔽ミラー群72から75内では、主光線16は、各場合に主分離平面25の片側に留まる。それによって上述の効果、すなわち、非掩蔽ミラー群72から75の多重通過領域内に光軸に対して垂直な方向に円弧形である光束通路の開口部が各場合に1つの方向にのみ向く光束35の群が存在するという効果が生じる。
【0081】
微細構造構成要素又はナノ構造構成要素を生成するために、投影露光装置1は、以下の通りに用いられる。最初の段階では、反射マスク10又はレチクルそれぞれ及び基板又はウェーハ11それぞれが準備される。その後、レチクル上の構造B、Cのような構造が、投影露光装置を用いてウェーハ11の感光層上に投影される。次に、感光層が現像されて、微細構造構成要素を得るためにウェーハ11上に微細構造又はナノ構造が作成される。