(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146948
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】銅表面上への選択的コバルト堆積
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20170607BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20170607BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20170607BHJP
C23C 16/18 20060101ALI20170607BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
H01L21/88 R
C23C16/18
H01L21/285 C
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-507595(P2011-507595)
(86)(22)【出願日】2009年4月29日
(65)【公表番号】特表2011-524078(P2011-524078A)
(43)【公表日】2011年8月25日
(86)【国際出願番号】US2009042030
(87)【国際公開番号】WO2009134840
(87)【国際公開日】20091105
【審査請求日】2012年4月27日
【審判番号】不服2015-7719(P2015-7719/J1)
【審判請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】12/111,921
(32)【優先日】2008年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ, サン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】モラエス, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ガングリ, セシャドリ
(72)【発明者】
【氏名】チュン, フア
(72)【発明者】
【氏名】ファン, シー−エング
【合議体】
【審判長】
飯田 清司
【審判官】
加藤 浩一
【審判官】
深沢 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−146516(JP,A)
【文献】
特表2006−506806(JP,A)
【文献】
特開2001−203201(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/121249(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
C23C 16/18
H01L 21/285
H01L 23/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の銅表面をキャッピングするための方法であって、
汚染された銅表面および誘電表面を含む基板を処理チャンバー内に位置決めするステップと、
前処理プロセスの間に金属銅表面を形成している間に前記汚染された銅表面を還元剤にさらすステップと、
原子層堆積プロセスの間に前記誘電表面を露出したままにしながら前記金属銅表面上にコバルトキャッピング層を選択的に形成するために前記基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、
前記コバルトキャッピング層および前記誘電表面の上に誘電層を堆積させるステップと
を含み、
前記誘電層を堆積させるステップに先行する後処理プロセスの間に前記コバルトキャッピング層をプラズマにさらすステップをさらに含み、
前記基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップおよび前記コバルトキャッピング層をプラズマにさらすステップは、複数回繰り返され、
前記コバルトキャッピング層は2Åから30Åの範囲内の厚さを有する、方法。
【請求項2】
前記前処理プロセスの間に前記金属銅表面を形成するために前記汚染された銅表面上の酸化銅を化学的に還元するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記汚染された銅表面は前記還元剤にさらされ、前記前処理プロセスの間にプラズマが点火され、前記還元剤が、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、アンモニア/窒素混合物、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記汚染された銅表面は5秒から15秒の範囲内の時間に亘って前記プラズマにさらされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記還元剤は水素ガスを含み、前記前処理プロセスは熱プロセスであり、前記基板は前記熱プロセスの間に200℃から400℃の範囲内の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記誘電層を堆積させるステップに先行する後処理プロセスの間に前記コバルトキャッピング層をプラズマにさらすステップは、前記コバルトキャッピング層を還元剤にさらすステップを含み、前記還元剤が、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、アンモニア/窒素混合物、およびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コバルトキャッピング層は4Åから20Åの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板は前記原子層堆積プロセスの間に前記コバルト前駆体ガスおよび水素ガスにさらされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コバルト前駆体ガスは、一般化学式(CO)xCoyLzを有するコバルト前駆体を含み、ここで、
Xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、
Yは、1、2、3、4、または5であり、
Zは、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、
Lは、シクロペンタジエニル、アルキルシクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、ペンタジエニル、アルキルペンタジエニル、シクロブタジエニル、ブタジエニル、アリル、エチレン、プロピレン、アルケン、ジアルケン、アルキン、ニトロシル、アンモニア、それらの誘導体、およびそれらの組合せから成る群から単独で選択されるリガンドである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コバルト前駆体ガスは、トリカルボニルアリルコバルト、シクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、メチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、エチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、ペンタメチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、ジコバルトオクタ(カルボニル)、ニトロシルコバルトトリス(カルボニル)、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト、(シクロペンタジエニル)コバルト(シクロヘキサジエニル)、シクロペンタジエニルコバルト(1,3−ヘキサジエニル)、(シクロブタジエニル)コバルト(シクロペンタジエニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)コバルト、(シクロペンタジエニル)コバルト(5−メチルシクロペンタジエニル)、ビス(エチレン)コバルト(ペンタメチルシクロペンタジエニル)、それらの誘導体、それらの錯体、それらのプラズマ、およびそれらの組合せから成る群から選択されるコバルト前駆体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コバルト前駆体は、シクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基板上の銅表面をキャッピングするための方法であって、
汚染された銅表面および誘電表面を含む基板を処理チャンバー内に位置決めするステップと、
前処理プロセスの間に金属銅表面を形成している間に前記汚染された銅表面を還元剤にさらすステップと、
堆積−処理サイクルの間に前記誘電表面を露出したままにしながら前記金属銅表面を覆ってコバルトキャッピング材料を堆積させるステップであって、前記堆積−処理サイクルが、
原子層堆積プロセスの間に前記誘電表面を露出したままにしながら前記金属銅表面を覆って第1のコバルト層を選択的に形成するために前記基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、
処理プロセスの間に前記第1のコバルト層を窒素(N2)、アンモニア、アンモニア/窒素混合物、または水素を含むプラズマにさらすステップと、
前記原子層堆積プロセスの間に前記誘電表面を露出したままにしながら前記第1のコバルト層上に第2のコバルト層を選択的に形成するために前記基板を前記コバルト前駆体ガスにさらすステップと、
前記処理プロセスの間に前記第2のコバルト層を前記プラズマにさらすステップと
を含むステップと、
前記コバルトキャッピング材料および前記誘電表面の上に誘電層を堆積させるステップと
を含み、
前記誘電層を堆積させるステップに先行する後処理プロセスの間に前記コバルトキャッピング層をプラズマにさらすステップをさらに含み、前記誘電層を堆積させるステップに先行する後処理プロセスの間に前記コバルトキャッピング層をプラズマにさらすステップは、前記コバルトキャッピング層を還元剤にさらすステップを含み、前記還元剤が、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、アンモニア/窒素混合物、およびそれらの組合せから成る群から選択され、
前記コバルトキャッピング層は2Åから30Åの範囲内の厚さを有する、方法。
【請求項13】
前記原子層堆積プロセス間に前記誘電表面を露出したままにしながら前記第2のコバルト層上に第3のコバルト層を選択的に形成するために前記基板を前記コバルト前駆体ガスにさらすステップと、
前記処理プロセスの間に前記第3のコバルト層を前記プラズマにさらすステップと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般に、半導体デバイスを製造するための金属化プロセスに関し、より詳しくは、実施形態は、基板上にコバルト材料を堆積させることによって銅のデウェッティングを防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
銅は、半導体デバイス製造に極めて重要である多層金属化プロセスでの使用のための現在のえり抜きの金属である。製造プロセスを推進する多層相互接続は、コンタクト、ビア、配線、および他の特徴を包含する高アスペクト比開口の平坦化を必要とする。空洞を生じさせるまたは特徴形状を変形させることなく特徴を埋めることは、特徴がより高いアスペクト比を有するときほどより困難である。相互接続の信頼できる形成もまた、製造業者が回路密度および品質を向上させようと努力するほどより困難である。
【0003】
銅の使用が、その相対的な低コストおよび処理特性のために市場に浸透したので、半導体製造業者は、銅の拡散およびデウェッティングを低減することによって銅と誘電材料との間の境界領域を改善する方法を探し続けている。特徴寸法が減少したのにつれて、いくつかの処理方法が、銅相互接続を製造するために開発された。各処理方法は、境界領域を横切る銅拡散、銅結晶構造変形、およびデウェッティングなどの誤りの可能性を増大させることもある。物理気相堆積法(PVD)、化学気相堆積法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、化学機械研磨法(CMP)、電気化学めっき法(ECP)、電気化学機械研磨法(ECMP)、ならびに銅層を堆積させるおよび除去する他の方法は、相互接続を形成する銅を巧みに扱うために機械的、電気的、または化学的方法を利用する。障壁およびキャッピング層が、銅を含有するために堆積されることもある。
【0004】
従来は、タンタル、窒化タンタル、またはスズ、アルミニウム、もしくはマグネシウムとの銅合金の層が、銅と他の材料との間の障壁層または接着促進剤を提供するために使用された。これらの選択肢は、高価であるまたは部分的にだけ有効であるまたは両方である。境界領域に沿った銅原子が、多段階半導体処理の間によく見られる温度、圧力、雰囲気条件、または他のプロセス変数の変化を経験すると、銅は、境界領域に沿って移動し、凝集した銅になることもある。銅はまた、境界領域に沿ってより均一性が低く分散して、デウェッティングした銅になることもある。境界領域でのこれらの変化は、銅原子の応力マイグレーションおよびエレクトロマイグレーションを包含する。誘電層または他の構造体を横切る銅の応力マイグレーションおよびエレクトロマイグレーションは、結果として生じる構造体の抵抗率を増加させ、結果として生じるデバイスの信頼性を低減する。
【0005】
コバルトを含有する障壁層は、PVD、CVD、およびALDプロセスによって堆積されてきた。コバルトを堆積させるPVDプロセスはしばしば、正確な堆積厚さを制御するのが難しい。CVDプロセスは通常、堆積コバルト層での貧弱な共形性および汚染物質に悩まされる。典型的なALDプロセスの間に、コバルト前駆体および還元剤が、所望のコバルト層を形成するために連続して基板にさらされる。ALDプロセスは、非常に共形的な膜および高アスペクト比のビア中への堆積能力などの、他の気相堆積プロセスに優るいくつかの利点を有する。しかしながら、ALDプロセスの堆積速度は、しばしば低すぎて、それでALDプロセスは、商業的応用であまり使用されない。
【0006】
従って、銅含有層の安定性および接着性を高める必要性が、特に銅シード層のために存在する。また、誘電材料などの隣接材料中への銅の拡散を防止しながら、銅含有層のエレクトロマイグレーション(EM)信頼性を改善する必要性も、特に銅配線形成のために存在する。コバルト材料を堆積させる気相堆積プロセスの改善の必要性が、さらに存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、露出誘電表面を覆う銅表面上にコバルト層を選択的に形成するプロセスを提供する。一実施形態では、基板を処理チャンバー内に位置決めするステップであって、基板は、汚染された銅表面および誘電表面を含有する、ステップと、前処理プロセスの間に金属銅表面を形成している間は汚染された銅表面を還元剤にさらすステップと、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってまたは上にコバルトキャッピング層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、コバルトキャッピング層および誘電表面を覆ってまたは上に誘電障壁層を堆積させるステップとを包含する、基板上の銅表面をキャッピングするための方法が、提供される。
【0008】
いくつかの例では、その方法はさらに、前処理プロセスの間に金属銅表面を形成するために汚染された銅表面上の酸化銅を化学的に還元するステップを包含する。汚染された銅表面は、還元剤にさらされてもよく、プラズマが、前処理プロセスの間に点火され、還元剤は、窒素(N
2)、アンモニア(NH
3)、水素(H
2)、アンモニア/窒素混合物、またはそれらの組合せなどの試薬を含有してもよい。いくつかの例では、汚染された銅表面は、約5秒から約15秒の範囲内の時間に亘ってプラズマにさらされてもよい。別の例では、還元剤は、水素ガスを含有し、前処理プロセスは、熱プロセスであり、基板は、熱プロセスの間に約200℃から約400℃の範囲内の温度に加熱される。
【0009】
他の例では、その方法はさらに、誘電障壁層を堆積させるステップに先行する後処理プロセスの間にコバルトキャッピング層を試薬およびプラズマにさらすステップを包含する。試薬は、窒素、アンモニア、水素、アンモニア/窒素混合物、またはそれらの組合せを含有してもよい。
【0010】
別の実施形態では、堆積−処理サイクルは、気相堆積プロセスを実行した後に後処理プロセスを実行するステップを包含し、堆積−処理サイクルは、複数のコバルトキャッピング層を堆積させるために2回、3回、または4回以上実行される。コバルトキャッピング層の各々は、堆積−処理サイクルの各々の間に約3Åから約5Åの範囲内の厚さに堆積されてもよい。全体のコバルトキャッピング材料またはコバルトキャッピング層は、約4Åから約20Å、好ましくは約5Åから約15Åの範囲内の厚さを有してもよい。いくつかの例では、コバルトキャッピング層は、約2Åから約8Åなどの、約10Å未満の厚さを有する。
【0011】
基板は、気相堆積プロセスの間にコバルト前駆体ガスおよび水素ガスを含有する堆積ガスにさらされてもよく、気相堆積プロセスは、熱化学気相堆積プロセスまたは原子層堆積プロセスであり、ここでコバルト前駆体ガスは、一般化学式(CO)
xCo
yL
zを有するコバルト前駆体を含有し、ただしXは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、Yは、1、2、3、4、または5であり、Zは、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、Lは、シクロペンタジエニル、アルキルシクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、ペンタジエニル、アルキルペンタジエニル、シクロブタジエニル、ブタジエニル、アリル、エチレン、プロピレン、アルケン、ジアルケン、アルキン、ニトロシル、アンモニア、それらの誘導体、またはそれらの組合せから単独で選択されるリガンドである。コバルト前駆体ガスは、トリカルボニルアリルコバルト、シクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、メチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、エチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、ペンタメチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)、ジコバルトオクタ(カルボニル)、ニトロシルコバルトトリス(カルボニル)、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト、(シクロペンタジエニル)コバルト(シクロヘキサジエニル)、シクロペンタジエニルコバルト(1,3−ヘキサジエニル)、(シクロブタジエニル)コバルト(シクロペンタジエニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)コバルト、(シクロペンタジエニル)コバルト(5−メチルシクロペンタジエニル)、ビス(エチレン)コバルト(ペンタメチルシクロペンタジエニル)、それらの誘導体、それらの錯体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せから成る群から選択されるコバルト前駆体を含有してもよい。一例では、コバルト前駆体は、シクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)を含有する。
【0012】
別の実施形態では、基板を処理チャンバー内に位置決めするステップであって、基板は、酸化銅表面および誘電表面を含有する、ステップと、前処理プロセスの間に金属銅表面を形成している間は酸化銅表面をアンモニアプラズマまたは水素プラズマにさらすステップと、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってまたは上にコバルトキャッピング層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、後処理プロセスの間にコバルトキャッピング層をプラズマにさらすステップと、コバルトキャッピング層および誘電表面を覆ってまたは上に誘電障壁層を堆積させるステップとを包含する、基板上の銅表面をキャッピングするための方法が、提供される。
【0013】
いくつかの例では、堆積−処理サイクルは、気相堆積プロセスを実行した後に後処理プロセスを実行するステップによって形成される。堆積−処理サイクルは、複数のコバルトキャッピング層を堆積させるために2回、3回、または4回以上実行されてもよい。コバルトキャッピング層の各々は、堆積−処理サイクルの各々の間に約3Åから約5Åの範囲内の厚さに堆積されてもよい。
【0014】
別の例では、酸化銅表面は、前処理プロセスの間に約5秒から約15秒の範囲内の時間に亘ってアンモニアプラズマまたは水素プラズマにさらされてもよい。プラズマは、後処理プロセスの間にコバルトキャッピング層にさらされてもよく、窒素、アンモニア、アンモニア/窒素混合物、または水素を含有する。
【0015】
別の実施形態では、基板を処理チャンバー内に位置決めするステップであって、基板は、酸化銅表面および誘電表面を含有する、ステップと、前処理プロセスの間に金属銅表面を形成している間は酸化銅表面をアンモニアプラズマまたは水素プラズマにさらすステップと、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってまたは上にコバルトキャッピング層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスおよび水素ガスにさらすステップと、後処理プロセスの間にコバルトキャッピング層をプラズマならびに窒素、アンモニア、水素、アンモニア/窒素混合物、およびそれらの組合せから成る群から選択される試薬にさらすステップとを包含する、基板上の銅表面をキャッピングするための方法が、提供される。
【0016】
別の実施形態では、基板を処理チャンバー内に位置決めするステップであって、基板は、汚染された銅表面および誘電表面を含有する、ステップと、前処理プロセスの間に金属銅表面を形成している間は汚染された銅表面を還元剤にさらすステップと、堆積−処理サイクルの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってコバルトキャッピング層を堆積させるステップとを包含する、基板上の銅表面をキャッピングするための方法が、提供される。一例では、堆積−処理サイクルは、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってまたは上に第1のコバルト層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、処理プロセスの間に第1のコバルト層を窒素、アンモニア、アンモニア/窒素混合物、または水素を含有するプラズマにさらすステップと、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら第1のコバルト層を覆ってまたは上に第2のコバルト層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、処理プロセスの間に第2のコバルト層をプラズマにさらすステップとを包含する。その方法はさらに、コバルトキャッピング層および誘電表面を覆ってまたは上に誘電障壁層を堆積させるステップを提供する。
【0017】
いくつかの例では、その方法は、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら第2のコバルト層を覆ってまたは上に第3のコバルト層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、処理プロセスの間に第3のコバルト層をプラズマにさらすステップとを提供する。
【0018】
本発明の上で列挙された特徴が、詳細に理解できるように、上で簡潔に要約された本発明のより詳しい記述が、実施形態を参照することによってなされてもよく、それのいくつかは、添付の図面で例示される。しかしながら、本発明は、他の同等に有効な実施形態を認めてもよいので、添付の図面は、この発明の典型的な実施形態だけを例示し、従って本発明の範囲を限定すると考えられるべきでないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本明細書で述べられる実施形態による処理および堆積プロセスを例示する流れ図を描写する図である。
【
図2】A〜Eは、本明細書で述べられる実施形態による異なるプロセスステップにおける基板の概略図を描写する図である。
【
図3】本明細書で述べられる別の実施形態による堆積プロセスを例示する流れ図を描写する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は、相互接続境界領域での銅の拡散およびデウェッティングを防止するためにコバルトキャッピング層または材料を利用する方法を提供する。遷移金属、例えばコバルトは、処理の間に接着性を促進し、拡散および凝集を減少させ、基板表面の均一な粗さおよびウェッティングを促すために銅境界領域特性を改善する。実施形態は、コバルトキャッピング層が、基板上の誘電表面を露出したままにしながら基板上の銅コンタクトまたは表面上に選択的に堆積できると定める。
【0021】
図1は、本発明の実施形態によるプロセス100を例示する流れ図を描写する。プロセス100は、研磨プロセス後に基板上の銅コンタクト表面を洗浄し、キャッピングするために使用されてもよい。一実施形態では、プロセス100のステップ110〜140は、
図2A〜2Eで描写される基板200に使用されてもよい。プロセス100は、基板を前処理プロセスにさらすステップ(ステップ110)と、基板の露出銅表面上にコバルトキャッピング層を堆積させるステップ(ステップ120)と、基板を後処理プロセスにさらすステップ(ステップ130)と、基板上に誘電障壁層を堆積させるステップ(ステップ140)とを包含する。
【0022】
図2Aは、研磨プロセスにさらされていた後に下層202を覆って配置された誘電層204を含有する基板200を描写する。銅コンタクト208は、誘電層204内に配置され、障壁層206によって誘電層204から分離されている。誘電層204は、低k誘電材料などの誘電材料を含有する。一例では、誘電層204は、炭化シリコン酸化物材料または炭素ドープ酸化シリコン材料などの低k誘電材料、例えばSanta Clara、CaliforniaにあるApplied Materials、Inc.から入手できるBLACK DIAMOND(登録商標)II低k誘電材料を含有する。
【0023】
障壁層206は、誘電層204内の開口中に共形的に堆積されてもよい。障壁層206は、PVDプロセス、ALD、またはCVDプロセスによって形成されるまたは堆積されてもよく、約5Åから約50Å、好ましくは約10Åから約30Åの範囲内の厚さを有してもよい。障壁層206は、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、タングステン、窒化タングステン、それらのシリサイド、それらの誘導体、またはそれらの組合せを含有してもよい。いくつかの実施形態では、障壁層206は、タンタル/窒化タンタル二重層またはチタン/窒化チタン二重層を含有してもよい。一例では、障壁層206は、PVDプロセスによって堆積された窒化タンタルおよび金属タンタルの層を含有する。
【0024】
化学機械研磨(CMP)プロセスなどの研磨プロセスの間に、銅コンタクト208の上部表面は、基板領域210にわたって露出され、汚染物質212が、銅コンタクト212上に形成される。汚染物質212は通常、研磨プロセスの間にまたは後に形成される酸化銅を含有する。銅コンタクト208の露出表面は、研磨溶液中の過酸化物、水、もしくは他の試薬によってまたは周囲空気内の酸素によって酸化されることもある。汚染物質212はまた、水分、界面活性剤および他の添加剤を包含する研磨溶液残留物、または研磨して除去された材料の微粒子を包含することもある。
【0025】
プロセス100のステップ110において、汚染物質212は、基板200を前処理プロセスにさらすことによって基板領域210から除去できる。銅表面214は、
図2Bで例示されるように、いったん汚染物質212が銅コンタクト208から処理されるまたは除去されると露出する。酸化銅は、基板200を還元剤にさらすことによって化学的に還元できる。前処理プロセスは、熱プロセスまたはプラズマプロセスの間に基板200を還元剤にさらす。還元剤は、液体状態、気体状態、プラズマ状態、またはそれらの組合せを有してもよい。前処理プロセスの間に有用である還元剤は、水素(例えば、H
2または原子状H)、アンモニア(NH
3)、水素およびアンモニアの混合物(H
2/NH
3)、原子状N、ヒドラジン(N
2H
4)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはプロパノール)、それらの誘導体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを包含する。基板200は、前処理プロセスの間にその場でまたは遠隔で形成されるプラズマにさらされてもよい。
【0026】
一実施形態では、基板200は、銅表面214を形成している間は汚染物質212を銅コンタクト208から除去するために熱前処理プロセスにさらされる。基板200は、処理チャンバー内に位置決めされ、還元剤にさらされ、約200℃から約800℃、好ましくは約250℃から約600℃、より好ましくは約300℃から約500℃の範囲内の温度に加熱されてもよい。基板200は、約2分から約20分、好ましくは約5分から約15分の範囲内の時間に亘って加熱されてもよい。例えば、基板200は、水素雰囲気を含有する処理チャンバーで約12分間約500℃に加熱されてもよい。
【0027】
別の実施形態では、基板200は、銅表面214を形成している間は汚染物質212を銅コンタクト208から除去するためにプラズマ前処理プロセスにさらされる。基板200は、処理チャンバー内に位置決めされ、還元剤にさらされ、約100℃から約400℃、好ましくは約125℃から約350℃、より好ましくは約150℃から約300℃の範囲内の、約200℃または約250℃などの温度に加熱されてもよい。処理チャンバーは、その場プラズマを生成するまたは遠隔プラズマ源(RPS)を備えてもよい。一実施形態では、基板200は、約2秒から約60秒、好ましくは約3秒から約30秒、好ましくは約5秒から約15秒の範囲内の、約10秒などの時間プラズマ(例えば、その場のまたは遠隔の)にさらされてもよい。プラズマは、約200ワットから約1,000ワット、好ましくは約400ワットから約800ワットの範囲内の電力で生成されてもよい。一例では、基板200は、プラズマが約5トールにおいて約10秒間400ワットで発生されながら水素ガスにさらされてもよい。別の例では、基板200は、プラズマが約5トールにおいて約20秒間800ワットで発生されながらアンモニアガスにさらされてもよい。別の例では、基板200は、プラズマが約5トールにおいて約15秒間400ワットで発生されながら水素およびアンモニアのガス状混合物にさらされてもよい。
【0028】
プロセス100のステップ120において、コバルトキャッピング層216は、
図2Cで例示されるように、基板領域210にわたって誘電層204の露出表面を裸のままにしながら銅表面214上に選択的に堆積できるまたは形成できる。従って、基板領域210に沿って、コバルトキャッピング層216は、誘電層204の表面をコバルトキャッピング層216がないまたは少なくとも実質的にないままにしながら銅表面214上に選択的に堆積される。最初は、コバルトキャッピング層216は、銅表面214にわたって連続的な層または不連続な層であってもよいが、複数の堆積サイクルを行った後は連続的な層である。
【0029】
汚染物質218は、
図2Cで描写されるように、コバルトキャッピング層216の上ならびに誘電層204の表面などの、基板領域210の全体にわたって集まることもある。汚染物質218は、炭素、有機残さ、前駆体残さ、および基板領域210上に集められる他の望ましくない材料などの、堆積プロセスからの副生成物を包含することもある。
【0030】
基板200は、プロセス100のステップ130において後処理プロセスの間にその場でまたは遠隔で形成されるプラズマにさらすことができる。後処理プロセスは、コバルトキャッピング層216の密度をさらに高くしながら基板200から汚染物質の総量を除去するまたは低減する。後処理プロセスは、プラズマプロセスの間に基板200およびコバルトキャッピング層216を還元剤にさらしてもよい。後処理プロセスの間に有用である還元剤は、水素(例えば、H
2または原子状H)、アンモニア(NH
3)、水素およびアンモニアの混合物(H
2/NH
3)、窒素(例えば、N
2または原子状N)、ヒドラジン(N
2H
4)、それらの誘導体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを包含する。コバルトキャッピング層216は、後処理プロセスの間に約2秒から約60秒、好ましくは約3秒から約30秒、より好ましくは約5秒から約15秒の範囲内の時間に亘ってプラズマにさらされてもよい。
【0031】
一例では、コバルトキャッピング層は、処理チャンバーの水素ガスをその場でまたは遠隔で点火することによって形成される水素プラズマにさらされる。別の例では、コバルトキャッピング層は、処理チャンバーのアンモニアガスをその場でまたは遠隔で点火することによって形成されるアンモニアプラズマにさらされる。別の例では、コバルトキャッピング層は、処理チャンバーの水素ガスおよびアンモニアガスの混合物をその場でまたは遠隔で点火することによって形成される水素/アンモニアプラズマにさらされる。
【0032】
ステップ130または330などでの、プラズマ処理プロセスの間に、プラズマは、遠隔プラズマ源(RPS)システムなどによって、処理チャンバーの外部で発生されてもよく、または好ましくは、プラズマは、PE−CVDチャンバーなどの、プラズマ発生可能な堆積チャンバーでその場で発生されてもよい。プラズマは、マイクロ波(MW)周波数発生器またはラジオ周波数(RF)発生器から発生されてもよい。好ましい例では、その場プラズマは、RF発生器によって発生される。処理チャンバーは、プラズマ処理プロセスの間に約0.1トールから約80トール、好ましくは約0.5トールから約10トール、より好ましくは約1トールから約5トールの範囲内の圧力に加圧されてもよい。また、チャンバーまたは基板は、約500℃未満、好ましくは約100℃から約450℃、より好ましくは約150℃から約400℃の範囲内の、例えば約300℃の温度に加熱されてもよい。
【0033】
処理プロセスの間に、プラズマは、その場プラズマプロセスのために処理チャンバー内で点火されてもよく、または別法として、RPSシステムなどの外部源によって形成されてもよい。RF発生器は、約100kHzから約60MHzの範囲内の周波数に設定されてもよい。一例では、13.56MHzの周波数を持つRF発生器は、約100ワットから約1,000ワット、好ましくは約250ワットから約600ワット、より好ましくは約300ワットから約500ワットの範囲内の電力出力を有するように設定されてもよい。一例では、350kHzの周波数を持つRF発生器は、約200ワットから約2,000ワット、好ましくは約500ワットから約1,500ワット、より好ましくは約800ワットから約1,200ワットの範囲内の、例えば約1,000ワットの電力出力を有するように設定されてもよい。基板の表面は、約0.01ワット/cm
2から約10.0ワット/cm
2、好ましくは約0.05ワット/cm
2から約6.0ワット/cm
2の範囲内の表面積当たりの電力値を有するプラズマにさらされてもよい。
【0034】
別の実施形態では、ステップ120は、少なくとも1回、2回、またはより多く繰り返される。ステップ120は、コバルトキャッピング層216の単一層を形成するために1回だけ実行される、またはコバルトキャッピング層216の2、3、4、5、もしくはより多い層などの、コバルトキャッピング層216の多重層を形成するために多数回実行されてもよい。別の実施形態では、ステップ120および130は、2、3、4またはより多い回数でないにしても、少なくとも1回連続して繰り返される。コバルトキャッピング層216は、約2Åから約30Å、好ましくは約3Åから約25Å、より好ましくは約4Åから約20Å、より好ましくは約5Åから約15Å、より好ましくは約5Åから約10Åの範囲内の、約7Åまたは約8Åなどの厚さを有して堆積されてもよい。一例では、ステップ120および130の2つのサイクルが、約7Åの厚さを持つコバルトキャッピング層216を形成するために実行される。別の例では、ステップ120および130の3つのサイクルが、約8Åの厚さを持つコバルトキャッピング層216を形成するために実行される。
【0035】
コバルトキャッピング層216は、ステップ120の間に不活性ガスによって運ばれるコバルト含有前駆体の熱分解によって堆積されてもよい。還元ガスは、コバルト前駆体とともに処理チャンバー中に同時に流されるまたは交互にパルス的に送り込まれてもよい。基板は、約50℃から約600℃、好ましくは約100℃から約500℃、より好ましくは約200℃から約400℃の範囲内の温度に加熱されてもよい。別法として、コバルトキャッピング層216は、ALDまたはCVDプロセスで基板をコバルト含有前駆体ガスにさらすことによって堆積されてもよい。
【0036】
図3は、コバルトキャッピング層216などのコバルト含有材料を形成するために使用されてもよいプロセス300の流れ図を描写する。一実施形態では、プロセス300は、コバルトキャッピング材料を形成するために基板を堆積ガスにさらすステップ(ステップ310)と、オプションとして堆積チャンバーをパージするステップ(ステップ320)と、基板をプラズマ処理プロセスにさらすステップ(ステップ330)と、堆積チャンバーをパージするステップ(ステップ340)と、所定の厚さのコバルトキャッピング材料が基板上に形成されたかどうかを決定するステップ(ステップ350)とを包含する。一実施形態では、ステップ310〜350のサイクルは、もしコバルトキャッピング材料が所定の厚さを有して形成されなかったならば繰り返されてもよい。別の実施形態では、ステップ310および330のサイクルは、もしコバルトキャッピング材料が所定の厚さを有して形成されなかったならば繰り返されてもよい。別法として、プロセス300は、いったんコバルトキャッピング材料が所定の厚さを有して形成されたならば停止されてもよい。
【0037】
一実施形態では、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってまたは上にコバルトキャッピング層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスおよび水素ガスにさらすステップと、後処理プロセスの間にコバルトキャッピング層をプラズマおよび窒素、アンモニア、水素、アンモニア/窒素混合物、またはそれらの組合せなどの試薬にさらすステップとを包含する、基板上の銅表面をキャッピングするための方法が、提供される。
【0038】
別の実施形態では、堆積−処理サイクルの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってコバルトキャッピング材料を堆積させるステップを包含する、基板上の銅表面をキャッピングするための方法が、提供される。一例では、堆積−処理サイクルは、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら金属銅表面を覆ってまたは上に第1のコバルト層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、処理プロセスの間に第1のコバルト層を窒素、アンモニア、アンモニア/窒素混合物、または水素を含有するプラズマにさらすステップとを包含する。その方法はさらに、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら第1のコバルト層を覆ってまたは上に第2のコバルト層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、処理プロセスの間に第2のコバルト層をプラズマにさらすステップとを提供する。
【0039】
いくつかの例では、その方法は、気相堆積プロセスの間に誘電表面を露出したままにしながら第2のコバルト層を覆ってまたは上に第3のコバルト層を選択的に形成するために基板をコバルト前駆体ガスにさらすステップと、処理プロセスの間に第3のコバルト層をプラズマにさらすステップとを提供する。
【0040】
本明細書で述べられるCVDまたはALDプロセスによってコバルト含有材料(例えば、金属コバルトまたはコバルト合金)を形成するのに適したコバルト前駆体は、コバルトカルボニル錯体、コバルトアミジナート化合物、コバルトセン化合物、コバルトジエニル錯体、コバルトニトロシル錯体、それらの誘導体、それらの錯体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを包含する。いくつかの実施形態では、コバルト材料は、参照により本明細書に組み込まれる、本願の譲受人に譲渡された米国特許第7,264,846号および2003年5月22日に出願され、米国特許出願公開第2005−0220998号として公開された米国特許出願第10/443,648号でさらに述べられるCVDおよびALDプロセスによって堆積されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、コバルトカルボニル化合物または錯体が、コバルト前駆体として利用さてもよい。コバルトカルボニル化合物または錯体は、一般化学式(CO)
xCo
yL
zを有し、ただしXは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であってもよく、Yは、1、2、3、4、または5であってもよく、Zは、1、2、3、4、5、6、7、または8であってもよい。群Lは、存在しないか、1つのリガンドまたは複数のリガンドであり、それは、同じリガンドもしくは異なるリガンドであってもよく、シクロペンタジエニル、アルキルシクロペンタジエニル(例えば、メチルシクロペンタジエニルまたはペンタメチルシクロペンタジエニル)、ペンタジエニル、アルキルペンタジエニル、シクロブタジエニル、ブタジエニル、エチレン、アリル(またはプロピレン)、アルケン、ジアルケン、アルキン、アセチレン、ブチルアセチレン、ニトロシル、アンモニア、それらの誘導体、それらの錯体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを含有する。いくつかの例となるコバルトカルボニル錯体は、シクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)(CpCo(CO)
2)、トリカルボニルアリルコバルト((CO)
3Co(CH
2CH=CH
2))、ジコバルトヘキサカルボニルブチルアセチレン(CCTBA、(CO)
6Co
2(HC≡C
tBu))、ジコバルトヘキサカルボニルメチルブチルアセチレン((CO)
6Co
2(MeC≡C
tBu))、ジコバルトヘキサカルボニルフェニルアセチレン((CO)
6Co
2(HC≡CPh))、ヘキサカルボニルメチルフェニルアセチレン((CO)
6Co
2(MeC≡CPh))、ジコバルトヘキサカルボニルメチルアセチレン((CO)
6Co
2(HC≡CMe))、ジコバルトヘキサカルボニルジメチルアセチレン((CO)
6Co
2(MeC≡CMe))、それらの誘導体、それらの錯体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを包含する。
【0042】
別の実施形態では、コバルトアミジナートまたはコバルトアミド錯体が、コバルト前駆体として利用されてもよい。コバルトアミド錯体は、一般化学式(RR’N)
xCoを有し、ただしXは、1、2、または3であってもよく、RおよびR’は独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アルキル、シリル、アルキルシリル、それらの誘導体、またはそれらの組合せである。いくつかの例となるコバルトアミド錯体は、ビス(ジ(ブチルジメチルシリル)アミド)コバルト(((BuMe
2Si)
2N)
2Co)、ビス(ジ(エチルジメチルシリル)アミド)コバルト(((EtMe
2Si)
2N)
2Co)、ビス(ジ(プロピルジメチルシリル)アミド)コバルト(((PrMe
2Si)
2N)
2Co)、ビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)コバルト(((Me
3Si)
2N)
2Co)、トリス(ジ(トリメチルシリル)アミド)コバルト(((Me
3Si)
2N)
3Co)、それらの誘導体、それらの錯体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを包含する。
【0043】
いくつかの例となるコバルト前駆体は、メチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)(MeCpCo(CO)
2)、エチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)(EtCpCo(CO)
2)、ペンタメチルシクロペンタジエニルコバルトビス(カルボニル)(Me
5CpCo(CO)
2)、ジコバルトオクタ(カルボニル)(Co
2(CO)
8)、ニトロシルコバルトトリス(カルボニル)((ON)Co(CO)
3)、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト、(シクロペンタジエニル)コバルト(シクロヘキサジエニル)、シクロペンタジエニルコバルト(1,3−ヘキサジエニル)、(シクロブタジエニル)コバルト(シクロペンタジエニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)コバルト、(シクロペンタジエニル)コバルト(5−メチルシクロペンタジエニル)、ビス(エチレン)コバルト(ペンタメチルシクロペンタジエニル)、コバルトテトラカルボニルヨウ化物、コバルトテトラカルボニルトリクロロシラン、塩化カルボニルトリス(トリメチルフォスフィン)コバルト、コバルトトリカルボニル−ハイドロトリブチルフォスフィン、アセチレンジコバルトヘキサカルボニル、アセチレンジコバルトペンタカルボニルトリエチルフォスフィン、それらの誘導体、それらの錯体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを包含する。
【0044】
本明細書で述べられるプロセスによってコバルト含有材料(例えば、金属コバルト、コバルトキャッピング層、またはコバルト合金)を形成するのに有用である、還元剤を包含する適切な試薬は、水素(例えば、H
2または原子状H)、原子状N、アンモニア(NH
3)、ヒドラジン(N
2H
4)、水素およびアンモニアの混合物(H
2/NH
3)、ボラン(BH
3)、ジボラン(B
2H
6)、トリエチルボラン(Et
3B)、シラン(SiH
4)、ジシラン(Si
2H
6)、トリシラン(Si
3H
8)、テトラシラン(Si
4H
10)、メチルシラン(SiCH
6)、ジメチルシラン(SiC
2H
8)、フォスフィン(PH
3)、それらの誘導体、それらのプラズマ、またはそれらの組合せを包含する。
【0045】
プロセス100のステップ140の間に、誘電障壁層220は、
図2Eで描写されるように、コバルトキャッピング層216を覆っておよび基板200上に堆積できる。低誘電率を有する誘電障壁層220は、基板200上に、基板領域210にわたって、およびコバルトキャッピング層216を覆って堆積されてもよい。誘電障壁層220は、炭化シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、炭化シリコン酸化物もしくは炭素ドープ酸化シリコン材料、それらの誘導体、またはそれらの組合せなどの、低k誘電材料を含有してもよい。一例では、Santa Clara、CaliforniaにあるApplied Materials、Inc.から入手できるBLOK(登録商標)低k誘電材料が、誘電障壁層220のための低k誘電材料として利用されてもよい。誘電障壁層220に適した材料の例は、参照により本明細書に組み込まれる、本願の譲受人に譲渡された米国特許第6,537,733号、第6,790,788号および第6,890,850号で述べられるプロセスなどのCVDまたはプラズマ増強CVD(PE−CVD)プロセスを使用して形成される炭化シリコンベースの膜である。
【0046】
本明細書で述べられる実施形態の間に使用されるALD処理チャンバーは、Santa Clara、CaliforniaにあるApplied Materials、Inc.から入手できる。ALD処理チャンバーの詳細な記述は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、本願の譲受人に譲渡された米国特許第6,916,398号および第6,878,206号、2002年10月25日に出願され、米国特許出願公開第2003−0121608号として公開された、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/281,079号、ならびに各々が2006年11月6日に出願され、米国特許出願公開第2007−0119379号、第2007−0119371号、第2007−0128862号、第2007−0128863号および第2007−0128864号として公開された、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/556,745号、第11/556,752号、第11/556,756号、第11/556,758号、第11/556,763号で見いだすことができる。別の実施形態では、コバルト含有材料を堆積させるために使用されてもよい、ALDモードならびに従来のCVDモードの両方で動作するように構成されるチャンバーは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、本願の譲受人に譲渡された米国特許第7,204,886号で述べられる。コバルト含有材料を形成するためのALDプロセスの詳細な記述はさらに、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、2003年5月22日に出願され、米国特許出願公開第2005−0220998号として公開された、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/443,648号、および本願の譲受人に譲渡された米国特許第7,264,846号で開示される。他の実施形態では、コバルト含有材料を堆積させるために使用されてもよい、ALDモードならびに従来のCVDモードの両方で動作するように構成されるチャンバーは、Santa Clara、CaliforniaにあるApplied Materials、Inc.から入手できるTXZ(登録商標)シャワーヘッドおよびCVDチャンバーである。
【0047】
本明細書で使用されるような「基板表面」または「基板」は、製作プロセスの間に膜処理が実行される基板の上に形成される任意の基板または材料表面のことである。例えば、処理が実行されてもよい基板表面は、単結晶、多結晶もしくは非晶質シリコン、歪みシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、ドープシリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、および/またはSiO
xC
yなどの炭素ドープ酸化シリコンなどの材料、例えばSanta Clara、CaliforniaにあるApplied Materials、Inc.から入手できるBLACK DIAMOND(登録商標)低k誘電体を包含する。基板は、200mmもしくは300mm直径ウェハー、ならびに長方形または正方形ペインなどの、さまざまな寸法を有してもよい。そうでないと注記されない限り、本明細書で述べられる実施形態および例は、好ましくは200mm直径または300mm直径、より好ましくは300mm直径を持つ基板上で実施される。本明細書で述べられるプロセスの実施形態は、多くの基板および表面、特にシリコン含有誘電材料の上にコバルトシリサイド材料、金属コバルト材料、および他のコバルト含有材料を堆積させる。本発明の実施形態が有用なこともある基板は、結晶シリコン(例えば、Si<100>またはSi<111>)、酸化シリコン、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープまたは非ドープポリシリコン、ドープまたは非ドープシリコンウェハー、およびパターン化または非パターン化ウェハーなどの半導体ウェハーを包含するが、限定はされない。基板は、基板表面を研磨する、エッチングする、還元する、酸化する、水酸化する、アニールする、および/またはベークするために前処理プロセスにさらされてもよい。
【0048】
前述のものは、本発明の実施形態を対象にするが、本発明の他のおよびさらなる実施形態が、本発明の基本的範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本発明の範囲は、次に来る特許請求の範囲によって決定される。