【課題を解決するための手段】
【0023】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、除電部材のトラフへの取り付け構造であって、前記トラフはトラフ本体と、前記トラフ本体の上に配置された樹脂製のトラフ蓋からなり、前記除電部材は、導体部材と、前記導体部材との接続部を有する金属製導電部材と、を具備し、前記接続部に前記導体部材の一端が接続され、前記導体部材の他端は接地部に接続され、前記金属製導電部材は、天板部と、前記天板部の両端部に接続する一対の脚状部とを有しており、前記天板部は前記トラフ蓋上面を幅方向に覆って配置されており、前記一対の脚状部は前記トラフ本体を挟持しており、前記金属製導電部材が前記トラフ本体に固定されていることを特徴とする除電部材のトラフへの取り付け構造である。導体部材としては、リード線や金属製のチェーン部材などの線状の導体を用いることができる。
【0024】
前記天板部の中央には、トラフ蓋の上面に突出する凸状部が形成され、前記凸状部と前記トラフ蓋との間に隙間が形成されてもよい。ここで、凸状部は、天板部の端部から全体的に滑らかな曲線で形成されることが望ましい。
【0025】
前記脚状部はトラフ蓋と反対方向に形成される。歩行者が天板部を踏むと凸状部が沈み込んで、天板部と歩行者の靴底の間の接触面積を増加させて除電性能を向上させることができる。凸状部は、全体的になめらかな曲線で形成する他、ビード加工やエンボス加工を行なって、天板部の剛性を向上させるとともに、天板部を踏む時に作業者が天板部によって滑ることを防止することもできる。
【0026】
前記トラフ蓋の上面には、基底部上に突出する突出部が形成され、前記天板部は、前記突出部の上面と、前記基底部の上面の間に配置されることが望ましい。天板部が突出部の先端より上方へ突出しないため、作業者が除電部材の金属製導電部材の天板部上を歩いても歩きやすい。
【0027】
前記脚状部には、前記トラフ本体に固定するための固定部が設けられ、前記固定部には、前記脚状部の下端部に形成された係止爪が形成されており、前記係止爪を前記トラフ本体の側面を挟持することで、前記金属製導電部材が前記トラフ本体に固定されることが望ましい。
【0028】
前記金属製導電部材は、前記トラフ蓋と前記トラフ本体との固定部材としての構造を具備し、前記除電部材は、前記トラフ本体への前記トラフ蓋の固定位置と同一位置に取り付け可能であることが望ましい。
【0029】
第1の発明によれば、作業者がトラフ線路の樹脂製トラフ蓋上を歩行することで帯電した静電気を、トラフ蓋上をそのまま歩行を続けながら、必要に応じて除電部材を踏むことで除電することができる。このため、作業者の歩行距離が長くても、歩行中に帯電、除電を複数回繰り返して、除電を行なうことができる。そのため、トラフ線路とは別に除電スペースや除電部材を設けて、そこに立ち寄る必要がない。さらに、天板に金属製導電部材を用いるため、除電マットのように、除電部材と靴底の全表面を接触させたり、除電対象物との接触面積をそれ程大きくしなくても、除電が可能である。
【0030】
また、本発明の除電部材の集電板がトラフ蓋の上面を幅方向に包み込んで横断するように覆うことから、歩行中に集電板を踏み損なうことがなく、確実に作業者が除電を行なうことができる。また、天板部の幅はトラフ幅より大きく、天板部の長さは所定長さを有し、略長方形の形状を有していることから、天板部の幅方向のいずれの位置を踏んでも、靴底と天板部の接触面積が変わることがなく、接触面積をほぼ一定の状態で、安定して除電を行なうことができる。
【0031】
また、トラフへの除電部材の取り付けが容易であり、従来使用されているトラフにも適用が可能である。また、例えば、導体部材としてのリード線の接続部が脚状部であるため、作業者の歩行の妨げにもならない。除電部材がトラフ蓋上面を幅方向に覆って折り曲げ部の先端の係止部でトラフ本体またはトラフ蓋に固定するものであるから、トラフ蓋への取り付けが容易である。
【0032】
また、除電部材の集電板としての天板部が、トラフ蓋の長手方向に垂直な幅方向断面において、トラフ蓋の前記基底部の上面に配置され、さらに前記突出部の上面と、前記基底部の上面の間に位置することで、突出部の先端より上方へ突出しないため、作業者が除電部材の金属製導電部材の天板部につまずくことが無い。また、作業者が歩行時に天板部を強く蹴ったとしても、天板部は基底部の上面に、突出部上面より低く配置されているので、天板部がトラフ蓋のずれることが長手方向にずれることがない。
【0033】
また、前記金属製導電部材は、帯状金属片を折り曲げて前記天板部と前記脚状部とを一体に形成したもので、天板部の中央に、緩やかに凸状に膨らんだ凸状部を形成することで、トラフ蓋と天板部の間に隙間を形成することができる。このため、歩行者が天板部を踏むことで凸状部が沈み込むように変形して、天板部と歩行者の靴底の間の接触面積を増加させることができる。
【0034】
このようにすることで、集電板と靴底の接触面積が増加するため、靴底に帯電した静電気の集電板からの除電をスムーズに行なうことができる。ここで、靴底は絶縁体であるため、靴底表面自体における電荷は移動しにくいため、除電の際に接触面積を大きくすることは、極めて重要である。また、上記のように天板部に凸状部を設けることにより、靴底と天板部の接触部において、沈み込んだ天板部に復元力が働くことで、見かけ上の接触面積が増加するだけでなく、接触圧力が増加し、ミクロ的な接触面積はさらに増加する効果がある。
【0035】
また、脚状部の下端部に係止爪を形成し、係止爪をトラフ本体の側面に形成された係止部に固定することで、金属製導電部材を容易にトラフ本体へ取り付けて固定することができる。なお、金属製導電部材を係止爪により、トラフ本体に固定する場合には、係止爪のみにより金属製導電部材を固定することができるが、金属製導電部材のトラフ本体への固定方法は、係止爪による他、ボルト固定やその他のいかなる方法によっても良い。例えば、係止爪は、帯状金属片の脚状部の先端を折り曲げて形成すれば良い。
【0036】
また、金属製導電部材が、トラフ蓋とトラフ本体との固定部材としての構造を具備すれば、トラフ蓋の固定部材に代えて、除電部材の固定部によって、トラフ蓋をトラフ本体に固定することもできる。
【0037】
第2の発明は、トラフ本体およびトラフ蓋をそれぞれ連結して形成したトラフ線路において、第1の発明にかかる除電部材のトラフへの取り付け構造を、作業者の歩行距離と帯電電圧の関係を求めて、この結果に基づいて想定される帯電量に見合うように前記トラフ線路の所定位置の前記トラフ蓋の固定位置(固定部位)に設けることを特徴とするトラフ線路である。
【0038】
ここで、作業者がトラフ線路の樹脂製トラフ蓋上を歩行することで帯電する静電誘導による帯電量は、トラフ線路の敷設環境や季節、作業者個人によるバラツキにより大きく異なるが、最も大きく影響するのは湿度である。そこで、トラフ線路における帯電量が最も大きくなると考えられる冬場の帯電量を基準にトラフ線路に設ける除電部材の位置や設置間隔を決めることが望ましい。
【0039】
ここで、
図15は、無次元化した歩行距離と帯電電圧の関係を示す図である。樹脂製トラフ蓋表面の歩行による作業者の帯電圧は、歩行距離の増加とともに急激に増加するが、その後歩行距離の増加とともに帯電圧が徐々に飽和する傾向を示す。この飽和領域では歩行距離の増加による帯電圧の増加量が減少する傾向を示す。通常このような帯電圧が飽和する領域に至る作業者の歩行距離は数百〜1kmであり、帯電圧も5kVより高くなる。したがって、静電誘導により帯電した作業者が導体等に触って電撃を受けるリスクを低減するためには、より帯電圧の低い領域において除電を行うことが望ましい。たとえば、この場合の作業者の歩行距離は、例えば、50〜100mである。
【0040】
また、この場合に、除電部材の取り付け位置が、設定された作業者の歩行距離に対し、トラフ長さ1本分(約1m)未満の相違が生じることがある。しかしながら、この場合に生じる帯電圧の変化はそれほど大きなものでなく、樹脂製トラフ蓋の表面を歩行する作業者の除電を行なうための除電部材の設置間隔を設定することに、問題を生じることがない。
【0041】
したがって、作業者が導体等に触って電撃を受けるリスクを低減するために、例えば、複数の除電部材の設置間隔を、トラフ長さの整数倍あるいはそれからトラフ長1本未満の相違の範囲で、除電部材の設置環境と作業者の帯電量に対応して、任意に設定することができる。この場合、設定条件としては、例えば、作業者の帯電圧を作業者が電撃を感じる下限値の3kVを目安に除電間隔を設定するのが好ましい。
【0042】
前記トラフ蓋は、トラフ本体に固定できれば、いずれの位置に固定しても良い。通常トラフ蓋は、トラフ蓋の熱膨張や熱収縮の吸収や、トラフ外部からの異物の侵入などを防止するため、トラフ蓋の長手方向の両端を重ね合わせて使用することが多い。そこで、トラフ蓋の一端部に下層薄肉部、長手方向の他端部に上層薄肉部を形成し、下層薄肉部または、上層薄肉部またはその近傍に固定部を設けた蓋を用いることがある。
【0043】
ここで、前記トラフ本体および前記トラフ蓋をそれぞれ連結して形成したトラフ線路において、前記トラフ蓋は、長手方向の一端に下層薄肉部、他端に上層薄肉部を具備し、隣り合う前記トラフ蓋は、一方の前記トラフ蓋の前記上層薄肉部を、他方の前記トラフ蓋の前記下層薄肉部の上に重ね合わせられており、前記除電部材は、前記上層薄肉部と前記下層薄肉部との重ね合わせ位置または前記上層薄肉部に近傍に配置され、一方の前記トラフ蓋と他方の前記トラフ蓋を固定してもよい。
【0044】
前記除電部材を設けた位置以外の、前記トラフ本体と前記トラフ蓋との固定位置には、前記金属製導電部材のみからなる固定部材を用いて前記トラフ蓋を前記トラフ本体へ固定してもよい。
【0045】
第2の発明によれば、トラフ線路において作業者の帯電量に見合うように除電部材を取り付けるため、作業者の帯電量を所定値以下とすることができる。トラフ本体およびトラフ蓋をそれぞれ連結して形成したトラフ線路において、作業者の歩行距離と帯電電圧の関係を求めて、この結果に基づいて想定される帯電量に見合うようにトラフ線路における除電部材のトラフ蓋への固定位置を決めることができる。
【0046】
たとえば、一定距離の歩行における歩行者の帯電電圧の上昇の最も高い作業者を選定して、その作業者の歩行中の帯電電圧を測定して、その作業者が所定の帯電電圧になる歩行距離を求めて、帯電電圧を所定値以下に設定したり、あるいは複数の作業者の所定の歩行距離における帯電電圧の測定を行なって、この帯電電圧の平均値を用いることができる。
このときの作業者の歩行距離を測定することで、想定される帯電圧に見合う距離を決定することができる。
【0047】
また、除電部材のトラフへの取り付け構造を、トラフ本体の長さの整数倍の任意間隔の位置に複数設けるか、あるいはトラフ本体の長さの整数倍の任意間隔の位置からトラフ本体へのトラフ蓋の固定位置の相互間距離だけ離れた位置のいずれかに複数設けることで、除電部材を所定の間隔で容易に配置することができる。
【0048】
また、トラフ蓋の一端部に下層薄肉部、長手方向の他端部に上層薄肉部を形成した蓋を用い、隣り合うトラフ蓋の、上層薄肉部と下層薄肉部とを相互に重ね合わせ、重ね合わせ位置またはその近傍に除電部材を固定することで、隣接するトラフ蓋の相互に重ね合わせた両端近傍を同時に固定できるため、トラフ蓋の固定効果が高い。
【0049】
また、除電部材を設けた位置以外の、トラフ本体とトラフ蓋との固定位置には、金属製導電部材としての帯状金属片のみからなる固定部材を用いることで、従来から使用されている固定部材をそのまま利用することができる。
【0050】
また、トラフ本体とトラフ蓋との固定部材との取り付け位置を相互に交換することが可能であれば、状況に応じて、除電部材の配置を容易に変更することができる。このためには、除電部材と、トラフ蓋と固定部材の取り付け部の構造が同様であれば良い。
【0051】
第3の発明は、第1の発明における除電部材のトラフへの取り付け構造において、前記導体部材は、リード線またはチェーン部材であり、前記除電部材によって前記トラフ本体に前記トラフ蓋を固定するとともに、前記除電部材の前記天板部から集電した静電気を、前記リード線または前記チェーン部材を通じて前記接地部に放電させることを特徴とする静電気の除電方法である。
【0052】
前記導体部材は、チェーン部材であり、前記除電部材の前記天板部から集電した静電気を、前記チェーン部材を通じて前記接地部に放電させてもよい。
【0053】
前記リード線または前記チェーン部材の一端は、前記金属製導電部材の脚状部にボルトを溶接し、前記ボルトにナットを固定して接続し、前記リード線または前記チェーン部材の他端は前記接地部に接続されることが望ましい。
【0054】
ここで、チェーン部材はリード線と同様にボルトにナットで固定することができる。また、前記リード線の代わりに金属製のチェーン部材を用い、前記除電部材の前記天板部から集電した静電気を、前記チェーン部材を通じて前記接地部に放電させることができる。
【0055】
また、前記導体部材は、リード線であり、前記リード線の一端は、ばね性を有するクリップに接続されており、前記クリップは前記脚状部の一部を挟持しており、前記リード線の他端は前記接地部に接続されてもよい。
【0056】
また、前記導体部材は、リード線であり、前記リード線の一端はコネクタに接続されており、前記コネクタは前記脚状部に固定されており前記リード線の他端は前記接地部に接続されてもよい。
【0057】
前記除電部材と、前記トラフ本体と前記トラフ蓋とを固定する固定部材の取り付け位置を、相互に交換することが可能なことが望ましい。このように取り付け位置の交換を行うには、リード線の長さにトラフ1本分程度余裕が必要である。
【0058】
前記接地部はコンクリートアンカボルト、金属構造物、地中のいずれかであり、前記脚状部と前記接地部が前記リード線またはチェーン部材により電気的に接続されてもよい。接地部まで多少距離がある場合に、リード線またはチェーン部材をトラフ側面に沿って配線を行なっているため、除電部材周辺で作業を行う場合に、作業空間を十分確保できることから、作業に支障が生じない。また、トラフ内部にリード線やチェーン部材を配線していないので、除電部材の配置の変更やトラフ内に設置されたケーブルの増設や撤去を行う際に、除電部材のリード線が邪魔になることがない。
【0059】
前記除電部材を樹脂製トラフ線路上のトラフ蓋上面に設けることで、トラフ線路上を歩く作業者が前記除電部材の前記天板部を踏むことで静電誘導で帯電した作業者の静電気の除電を行うことが望ましい。
【0060】
前記除電部材を樹脂製トラフ線路上に、100m以下の間隔で複数個設けるか、あるいは50m以下の間隔で複数個設けて、トラフ線路上を歩く作業者が前記除電部材の前記天板部を踏むことで、静電誘導で帯電した作業者の静電気を繰り返して除電することがさらに望ましい。
【0061】
前記トラフ線路上に複数個設けられる前記除電部材の設置間隔は、前記トラフ本体の長さの整数倍の任意間隔の位置または、前記整数倍の任意間隔の位置から、前記トラフ本体への前記トラフ蓋の固定位置の相互間距離に相当する距離だけ離れた位置のいずれかとすることが望ましい。
【0062】
また、前記トラフ線路上に設ける前記除電部材の設置間隔は、作業者の歩行距離と帯電電圧の関係を求めて、この結果に基づいて作業者の歩行距離に応じた帯電電圧の見込みを求めることで前記除電部材の設置間隔を決定することが望ましい。
【0063】
第3の発明によれば、作業者がトラフ線路上を歩行する際に、所定の間隔で配置される除電部材を踏むだけで、確実に作業者の除電を行うことができる。また、作用者の靴底に帯電した静電気を除電することで、静電誘導により人体に誘起し帯電した静電気を減少させ容易に除電できる。また、前記除電部材を樹脂製トラフ線路上に所定距離をあけて複数個設けることで、トラフ線路上を歩く作業者に帯電した電荷の除電を繰り返し行うことができ、作業者に帯電した電荷の累積帯電量を少なくすることができる。
【0064】
また、脚状部にボルトを溶接し、ナットによってリード線またはチェーン部材を接続することで、リード線またはチェーン部材の接続が容易である。また、脚状部にクリップを取り付けたり、脚状部をΩ型に成型して、これにリード線を差し込むことができる。
【0065】
また、除電部材と固定部材を相互に交換可能な構造であれば、状況に応じて、除電部材の配置を容易に変更することができる。
【0066】
また、リード線またはチェーン部材をコンクリートアンカボルト、金属構造物、地中のいずれかに直接接続することで、確実に除電を行うことができる。
【0067】
前記除電方法では、前記除電部材を樹脂製トラフ線路上に所定距離間隔をあけて複数個設けて、トラフ線路上を歩く作業者が前記除電部材の前記天板部を踏むことで静電誘導により帯電した電荷の除電を繰り返して行うことができる。また、前記トラフ線路上に複数個設ける除電部材の設置間隔は、前記トラフ本体の長さの整数倍の任意間隔または、前記整数倍の任意間隔から前記トラフ本体への前記トラフ蓋の固定位置の相互間距離に相当する距離だけ離れた位置のいずれかとすることができる。例えば、前記トラフ線路上に設ける除電部材の設置間隔は、作業者の歩行距離と帯電電圧の関係を求めて、この結果から作業者の歩行距離に応じた帯電電圧の見込み求めることで除電部材の設置間隔を決定することができる。以上のようにすることでより合理的な間隔で除電部材を設置することができる。
【0068】
この除電方法では、人体に帯電した電荷を直接除電するのではなく、靴底の電荷を除電することで、間接的に人体からの除電を行うことから、除電時に靴底の電荷を金属板に放電または吸収させても、電荷が人体から直接放電させることがなく、帯電電圧を低下させることができるので、除電により作業者が電撃を受けることがない。
【0069】
第4の発明は、トラフへ取り付ける除電部材であって、除電部材は、リード線と、前記導体部材との接続部を有する金属製導電部材と、を具備し、前記接続部に前記導体部材の一端が接続され、前記導体部材の他端は接地部に接続され、前記金属製導電部材は、天板部と、前記天板部の両端部に接続するばね性を有する帯状金属片を折り曲げて形成したトラフ本体を挟持する一対の脚状部とを有しており、前記脚状部は、天板部に対して鋭角に曲げられていて、トラフ側壁を挟持するときにトラフ側壁に押圧力を及ぼすように脚状部が開口するトラフ用の除電部材である。
【0070】
第4の発明の別の実施形態としては、トラフへ取り付ける除電部材であって、除電部材は、導体部材と、前記導体部材との接続部を有する金属製導電部材と、を具備し、前記接続部に前記導体部材の一端が接続され、前記導体部材の他端は接地部に接続され、前記金属製導電部材は、天板部と、前記天板部の両端部に接続するばね性を有する帯状金属片を折り曲げて形成したトラフ本体を挟持する一対の脚状部とを有しており、前記脚状部にはトラフ内方に向かって折り曲げられる固定部がそれぞれの脚状部の両側に形成され、前記天板部の両端部近傍と前記脚状部の両側の固定部には孔がそれぞれ設けられ、前記天板部の両端部近傍の孔と前記脚状部の両側の固定部近傍の孔とがそれぞれ対向して平行に配列されるトラフ用の除電部材である。
【0071】
第4の発明によれば、ばね性を有することから、トラフに取り付けやすい。また、本発明の除電部材は、除電性能に優れるだけでなく、耐食性にも優れるステンレスなどの高強度金属材料を用いることから、耐久性に優れる。また、合成樹脂繊維を用いる除電マットと比べて、繊維間に目詰まりすることなく、防汚性に優れることから、除電性能が低下することがない。ここで、この除電部材は、高強度金属材料からなるため、除電部材に作業工具などをぶつけたとしても壊れることがない。除電部材の脚状部の下側には係止爪が形成されていて、除電部材を容易にトラフ本体の係止部に係止することができる。また、除電部材の天板部に表面の粗面化のための表面粗面化加工を行なえば、作業者が天板部を踏む時にすべリにくい。
【0072】
また、天板部の両端部近傍に設けた一方の孔からボルトを挿入して、脚状部の両側に設けたそれぞれの孔において前記ボルトをナット固定することで、金属製の導電部材を固定することができる。