特許第6148210号(P6148210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6148210現像方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6148210
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】現像方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20170607BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   H01L21/30 569F
   H01L21/30 569C
   G03F7/30
   G03F7/30 502
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-124158(P2014-124158)
(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公開番号】特開2016-4894(P2016-4894A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】竹口 博史
(72)【発明者】
【氏名】井関 智弘
(72)【発明者】
【氏名】寺下 裕一
【審査官】 今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−173906(JP,A)
【文献】 特開2007−134516(JP,A)
【文献】 特開2009−111219(JP,A)
【文献】 特開2005−268320(JP,A)
【文献】 特開2009−004597(JP,A)
【文献】 特開平10−041209(JP,A)
【文献】 特開2012−074589(JP,A)
【文献】 特開2006−319350(JP,A)
【文献】 特開2003−347199(JP,A)
【文献】 特開2002−343711(JP,A)
【文献】 特開2002−110525(JP,A)
【文献】 特開2000−252197(JP,A)
【文献】 特開平10−177978(JP,A)
【文献】 特開昭62−199018(JP,A)
【文献】 特開2011−129953(JP,A)
【文献】 特開2012−165000(JP,A)
【文献】 特開2012−173510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G03F 7/26−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面上の露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像方法であって、
(A)水平に保持された状態で回転する前記基板に向けて現像液を供給することによって前記レジスト膜の表面上に前記現像液を行き渡らせる工程と、
(B)前記レジスト膜と前記現像液とを反応させる工程と、
(C)前記レジスト膜と前記現像液との反応を停止させるために前記レジスト膜表面から前記現像液を除去する工程と、
をこの順序で備え、
前記(A)工程において、
前記現像液の吐出口と、前記吐出口から横方向に広がり且つ前記レジスト膜と対向配置される下端面とを有する接液ノズルを使用し、
前記レジスト膜の表面と前記下端面とによって形成される隙間に前記吐出口から前記現像液を供給するとともに、回転する前記基板の中心部から周縁部に向けて前記接液ノズルを移動させ、
前記(C)工程において、
前記現像液が除去された前記レジスト膜表面の反応停止領域と、前記現像液との反応が続いている前記レジスト膜表面の反応進行領域との境界を前記レジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動させ
前記(C)工程において、前記レジスト膜の中心部に前記反応停止領域を形成する際の前記基板の回転速度を1000〜5000回転/分とし、前記境界が前記基板の周縁部の方向に移動するにしたがって前記基板の回転速度を低くする、現像方法。
【請求項2】
基板表面上の露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像方法であって、
(A)水平に保持された状態で回転する前記基板に向けて現像液を供給することによって前記レジスト膜の表面上に前記現像液を行き渡らせる工程と、
(B)前記レジスト膜と前記現像液とを反応させる工程と、
(C)前記レジスト膜と前記現像液との反応を停止させるために前記レジスト膜表面から前記現像液を除去する工程と、
をこの順序で備え、
前記(A)工程において、
前記現像液の吐出口と、前記吐出口から横方向に広がり且つ前記レジスト膜と対向配置される下端面とを有する接液ノズルを使用し、
前記レジスト膜の表面と前記下端面とによって形成される隙間に前記吐出口から前記現像液を供給するとともに、回転する前記基板の中心部から周縁部に向けて前記接液ノズルを移動させ、
前記(C)工程において、
前記現像液が除去された前記レジスト膜表面の反応停止領域と、前記現像液との反応が続いている前記レジスト膜表面の反応進行領域との境界を前記レジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動させ
前記(C)工程において、前記レジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動するノズルから前記レジスト膜上に現像液を供給する、現像方法。
【請求項3】
前記(A)工程における前記基板の回転速度は5〜100回転/分である、請求項1又は2に記載の現像方法。
【請求項4】
前記(A)工程において前記接液ノズルが前記基板の半径方向に移動する速度は5〜100mm/秒の範囲であり且つ前記(C)工程において前記境界が前記基板の半径方向に移動する速度は5〜100mm/秒の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項5】
前記(C)工程において、前記レジスト膜の中心部に向けて上方から乾燥用ガスを供給することによって前記反応停止領域を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項6】
前記(C)工程において、前記レジスト膜の中心部から周縁部に向けてリンス液を供給することによって前記反応停止領域を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項7】
前記現像液の吐出口と、前記吐出口から横方向に広がり且つ前記レジスト膜と対向する面とを有する接液ノズルを使用し、前記レジスト膜の表面上に前記リンス液を供給する、請求項6に記載の現像方法。
【請求項8】
前記(C)工程において、前記レジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動する吸引ノズルを使用して前記レジスト膜上の前記現像液を吸引することによって前記反応停止領域を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項9】
前記(B)工程において、前記基板の回転を停止する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項10】
前記吐出口の断面形状が直径1〜8mmの円形であり、前記下端面の形状が直径20〜50mmの円形である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の現像方法を現像布装置に実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光後のレジスト膜の現像方法、現像装置及び当該現像装置に用いられるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、基板の微細加工を行うにあたり、フォトリソグラフィ技術を用いて凹凸パターンを基板(例えば、半導体ウエハ)上に形成することが広く行われている。例えば、半導体ウエハ上にレジストパターンを形成する工程は、半導体ウエハの表面にレジスト膜を形成することと、このレジスト膜を所定のパターンに沿って露光することと、露光後のレジスト膜と現像液とを反応させて現像することとを含む。
【0003】
これまで種々の現像技術が開発されている。例えば、特許文献1は静止した基板上に現像液からなるパドルを形成する現像方式を開示する。パドルの形成には長尺な吐出口を備えたノズルが使用され、吐出口から現像液を吐出しながらノズルを基板の一端から他端へ移動させることで基板上のレジスト膜の表面全体に現像液が盛られる。以下、便宜上、この現像方式を「静止現像方式」と称する。
【0004】
特許文献2は、回転する基板に対して現像液を供給する現像方式を開示する。ノズルは基板の半径方向に移動しながら、その吐出口から基板に向けて現像液を供給する。基板の回転による遠心力の作用と、現像液の供給位置の移動とにより、レジスト膜上に現像液の液膜が形成される。以下、便宜上、回転する基板に対して現像液を供給する現像方式を「回転現像方式」と称する。特許文献3は、回転現像方式に分類される現像方法の一例を開示する。すなわち、特許文献3に記載の方法は、ウエハに対向配置される下端面を有するノズルを使用するものであり、回転するウエハと、その回転中心を含む領域に配置されたノズルの下端面との隙間を液密状態にしてウエハ上に液が供給され、その液が遠心力によって外側に広がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3614769号公報
【特許文献2】特許第4893799号公報
【特許文献3】特開2012−74589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、静止現像方式の場合、現像液からなるパドルにおいて現像液の対流が生じにくく、レジスト膜と反応して反応性が低下した現像液がその場に留まりやすいため、現像処理に比較的長い時間を要する点において改善の余地があった。他方、回転現像方式の場合、供給された現像液が基板上を流れるため、液流れに起因してレジストの微細線幅(Critical Dimension、以下「CD」という。)が不均一となる場合がある点において改善の余地があった。
【0007】
本発明は、CD分布の均一性が十分に高いレジストを形成できる現像方法を提供することを目的とする。また本発明は、当該現像方法を実施できる現像装置及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る現像方法は、基板表面上の露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成するためのものであり、(A)水平に保持された状態で回転する基板に向けて現像液を供給することによってレジスト膜の表面上に現像液を行き渡らせる工程と、(B)レジスト膜と現像液とを反応させる工程と、(C)レジスト膜と現像液との反応を停止させるためにレジスト膜表面から現像液を除去する工程とをこの順序で備え、(A)工程において、現像液の吐出口とこの吐出口から横方向に広がり且つレジスト膜と対向配置される下端面とを有する接液ノズルを使用し、レジスト膜の表面と接液ノズルの下端面とによって形成される隙間に吐出口から現像液を供給するとともに、回転する基板の中心部から周縁部に向けて接液ノズルを移動させ、(C)工程において、現像液が除去されたレジスト膜表面の反応停止領域と、現像液との反応が続いているレジスト膜表面の反応進行領域との境界をレジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動させる。
【0009】
上記現像方法の(A)工程において、接液ノズルを使用し且つこの接液ノズルを回転する基板の中心部から周縁部に向けて移動させることで、レジスト膜上に現像液を行き渡らせる速度を十分に制御できる。(B)工程を経た後、(C)工程において、レジスト膜表面の反応停止領域と、レジスト膜表面の反応進行領域との境界をレジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動させることで、レジスト膜の中心部の現像時間と、レジスト膜の周縁部の現像間との差を小さくすることができる。これにより、現像時間差に起因するCD分布の不均一性を十分に抑制できる。なお、上記現像方法は、工程(A)の前、各工程の間及び/又は工程(C)の後に他の工程を備えてもよい。
【0010】
上記(A)工程における基板の回転速度は低速(例えば5〜100回転/分)であることが好ましい。これにより、レジスト膜上に現像液を行き渡らせる速度をより一層正確に制御できる。他方、上記(C)工程において、レジスト膜の中心部に反応停止領域を形成する際の基板の回転速度は高速(例えば1000〜5000回転/分)であることが好ましく、反応停止領域と反応進行領域の境界が基板の周縁部の方向に移動するにしたがって基板の回転速度を低下させることが好ましい。基板を高速で回転させることで、基板の中心部にある現像液を外側に移動させる遠心力を発生させることができる。その後、反応停止領域が外側に広がるにしたがって現像液に加わる遠心力は大きくなるため、基板の回転速度を当初の速度よりも低くしてもよい。なお、基板の回転速度を連続的に低くしてもよいし、段階的に低くしてもよい。
【0011】
上記(A)工程において接液ノズルが基板の半径方向に移動する速度は5〜100mm/秒の範囲であり且つ(C)工程において境界が基板の半径方向に移動する速度は5〜100mm/秒の範囲であることが好ましい。接液ノズルの半径方向の移動速度と上記境界の半径方向の移動速度をなるべく近い速度にすることで、レジスト膜の中心部の現像時間と、レジスト膜の周縁部の現像時間との差を十分に小さくすることができ、これによりレジスト膜におけるCD分布の均一性をより一層向上できる。
【0012】
上記(C)工程において、反応停止領域を形成する方法(レジスト膜表面の中心部から周縁部に向けて現像液を除去する方法)として以下のものが挙げられる。
・レジスト膜の中心部に向けて上方から乾燥用ガスを供給する。
・レジスト膜の中心部から周縁部に向けてリンス液を供給する。
・レジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動する吸引ノズルを使用してレジスト膜上の現像液を吸引する。
このとき、リンス液の供給に使用するノズルは、通常のノズル(例えばストレートノズル)を使用してもよいし、上述の接液ノズル(リンス液の吐出口と、吐出口から横方向に広がり且つレジスト膜と対向配置される下端面とを有するノズル)を使用してもよい。
【0013】
上記(C)工程において、レジスト膜の中心部から周縁部に向けて移動するノズルからレジスト膜上に現像液を供給してもよい。移動するノズルからレジスト膜表面に現像液を供給することで反応進行領域における現像液の乾燥を防止することができる。かかるノズルを採用した場合、このノズルの位置を反応停止領域と反応進行領域との境界とすることができる。つまり、このノズルの移動速度を制御することで、上記境界の移動速度を制御できる。
【0014】
本発明に係る現像装置は、基板表面上の露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成するためのものであり、基板を保持し且つ基板を回転させる回転保持部と、現像液の吐出口と吐出口から横方向に広がり且つレジスト膜と対向配置される下端面とを有し、基板の表面上に現像液を供給する接液ノズルと、基板の上方から基板の表面上に現像液を補給する現像液補給ノズルと、接液ノズル及び現像液補給ノズルに現像液を供給する現像液供給部と、接液ノズル及び現像液補給ノズルを移動させる駆動部とを備える。
【0015】
かかる構成の現像装置によれば、上記現像方法を実施することができる。上記現像装置は、接液ノズルにリンス液を供給できるように構成されていてもよい。かかる構成により、上記現像方法における反応停止領域の形成にリンス液を使用でき、その供給に接液ノズルを利用できる。
【0016】
本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上述の現像方法を現像布装置に実行させるためのプログラムを記録している。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、一時的でない有形の媒体(non-transitory computer recording medium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)や、伝播信号(transitory computer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)が含まれる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、CD分布の均一性が十分に高いレジストを形成できる現像方法と、この現像方法を実施できる現像装置と、当該現像装置に用いられるコンピュータ読み取り可能な記録媒体とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、基板処理システムを示す斜視図である。
図2図2は、図1のII−II線断面図である。
図3図3は、図2のIII−III線断面図である。
図4図4は、現像ユニット(現像装置)の概略構成を示す断面図である。
図5図5は、レジスト膜に対向配置される下端面を有する接液ノズルを模式的に示す斜視図である。
図6図6は、接液ノズルの吐出口から現像液をレジスト膜上に供給している様子を模式的に示す断面図である。
図7図7の(a)〜(c)は、接液ノズルによってレジスト膜の表面上に現像液を行き渡らせる過程を模式的に示す断面図である。
図8図8の(a)〜(c)は、レジスト膜表面から現像液を除去する過程を模式的に示す断面図である。
図9図9の(a)は(A)工程から(C)工程までの間の基板回転数及び現像液吐出量を模式的に示すタイムチャートであり、(b)は従来のスピンコート法における基板回転数及び現像液吐出量を模式的に示すタイムチャートである。
図10図10の(a)は本実施形態に係る現像方法によって形成されたレジストの面内CD分布の一例を示し、(b)は従来のスピンコート法によって形成されたレジストの面内CD分布の一例を示す。
図11図11の(a)〜(e)は、リンス液供給ノズルを使用し、レジスト膜表面から現像液を除去する過程を模式的に示す断面図である。
図12図12の(a)〜(d)は、吸引ノズルを使用し、レジスト膜表面から現像液を除去する過程を模式的に示す断面図である。
図13図13は、(C)工程における現像液の供給を接液ノズルを使用して実施する様子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
<基板処理システム>
基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。露光装置3は、レジスト膜の露光処理を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜(感光性被膜)の露光対象部分にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
【0021】
塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウエハW(基板)の表面にレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。本実施形態において、ウエハWは円板状を呈するが、円形の一部が切り欠かれていたり、多角形などの円形以外の形状を呈するウエハを用いてもよい。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。
【0022】
図1図3に示すように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0023】
キャリアブロック4は、キャリアステーション12と搬入・搬出部13とを有する。搬入・搬出部13は、キャリアステーション12と処理ブロック5との間に介在する。キャリアステーション12は、複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、例えば円形の複数枚のウエハWを密封状態で収容し、ウエハWを出し入れするための開閉扉(不図示)を一側面11a側に有する(図3参照)。キャリア11は、側面11aが搬入・搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。搬入・搬出部13は、キャリアステーション12上の複数のキャリア11にそれぞれ対応する複数の開閉扉13aを有する。側面11aの開閉扉と開閉扉13aとを同時に開放することで、キャリア11内と搬入・搬出部13内とが連通する。搬入・搬出部13は受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0024】
処理ブロック5は、下層膜形成(BCT)モジュール14と、レジスト膜形成(COT)モジュール15と、上層膜形成(TCT)モジュール16と、現像処理(DEV)モジュール17とを有する。これらのモジュールは、床面側からDEVモジュール17、BCTモジュール14、COTモジュール15、TCTモジュール16の順に並んでいる。
【0025】
BCTモジュール14は、ウエハWの表面上に下層膜を形成するように構成されている。BCTモジュール14は、複数の塗布ユニット(不図示)と、複数の熱処理ユニット(不図示)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA2とを内蔵している。塗布ユニットは、下層膜形成用の処理液をウエハWの表面に塗布するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。BCTモジュール14において行われる熱処理の具体例としては、下層膜を硬化させるための加熱処理が挙げられる。
【0026】
COTモジュール15は、下層膜上に熱硬化性且つ感光性のレジスト膜を形成するように構成されている。COTモジュール15は、複数の塗布ユニット(不図示)と、複数の熱処理ユニット(不図示)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。塗布ユニットは、レジスト膜形成用の処理液(レジスト剤)を下層膜の上に塗布するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。COTモジュール15において行われる熱処理の具体例としては、レジスト膜を硬化させるための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。
【0027】
TCTモジュール16は、レジスト膜上に上層膜を形成するように構成されている。TCTモジュール16は、複数の塗布ユニット(不図示)と、複数の熱処理ユニット(不図示)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA4とを内蔵している。塗布ユニットは、上層膜形成用の処理液をウエハWの表面に塗布するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。TCTモジュール16において行われる熱処理の具体例としては、上層膜を硬化させるための加熱処理が挙げられる。
【0028】
DEVモジュール17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成されている。DEVモジュール17は、複数の現像ユニット(現像装置)U1と、複数の熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずにウエハWを搬送する直接搬送アームA5とを内蔵している(図2,3参照)。現像ユニットU1は、レジスト膜を部分的に除去してレジストパターンを形成するように構成されている。熱処理ユニットU2は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行う。DEVモジュール17において行われる熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0029】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面からTCTモジュール16に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
【0030】
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面からDEVモジュール17の上部に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0031】
インターフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
【0032】
<現像ユニット>
続いて、図4図6を参照して、現像ユニット(現像装置)U1について更に詳しく説明する。現像ユニットU1は、図4に示されるように、回転保持部20と、駆動部30と、現像液供給部40と、乾燥ガス供給部50と、制御部100とを備える。
【0033】
回転保持部20は、回転部21と、保持部23とを有する。回転部21は、上方に突出したシャフト22を有する。回転部21は、例えば電動モータ等を動力源としてシャフト22を回転させる。保持部23は、シャフト22の先端部に設けられている。保持部23上には、表面Wa上に露光後のレジスト膜Rが形成されたウエハWが水平に配置される。保持部23は、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持する。すなわち、回転保持部20は、ウエハWの姿勢が略水平の状態で、ウエハWの表面に対して垂直な軸(回転軸)周りでウエハWを回転させる。本実施形態では、回転軸は、円形状を呈するウエハWの中心を通っているので、中心軸でもある。本実施形態では、図4に示されるように、回転保持部20は、上方から見て時計回りにウエハWを回転させる。
【0034】
駆動部30は、接液ノズルN1とガス噴射ノズルN2とをそれぞれ独立して駆動するように構成されている。駆動部30は、ガイドレール31と、スライドブロック32,33と、アーム34とを有する。ガイドレール31は、回転保持部20(ウエハW)の上方において水平方向に沿って延びている。スライドブロック32,33は、ガイドレール31に沿って水平方向に移動可能となるように、ガイドレール31にそれぞれ接続されている。アーム34は、上下方向に移動可能となるように、スライドブロック32に接続されている。アーム35は、上下方向に移動可能となるように、スライドブロック33に接続されている。アーム34の下端には接液ノズルN1が接続され、アーム35の下端にはガス噴射ノズルN2が接続されている。駆動部30は、例えば電動モータ等を動力源として、スライドブロック32,33及びアーム34,35を移動させ、これに伴って接液ノズルN1及びガス噴射ノズルN2を移動させる。平面視において、接液ノズルN1は、現像液の吐出時において、ウエハWの回転軸に直交する直線上をウエハWの径方向に沿って移動する。一方、ガス噴射ノズルN2はウエハWの中心部に配置された後、ガス噴射時においては移動することなく、その位置に留まってもよい。
【0035】
現像液供給部40は、現像液貯留部41と、接液ノズルN1と、供給管42と、ポンプ43と、バルブ44とを有する。現像液貯留部41は現像液L1(図6参照)を貯留する。現像液はポジ型フォトレジスト用と、ネガ型フォトレジスト用とに区別され、レジスト膜Rの種類に応じて適宜選択すればよい。ポジ型フォトレジスト用現像液としてアルカリ水溶液が挙げられ、そのアルカリ成分としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイト(TMAH)が挙げられる。ネガ型フォトレジスト用現像液として有機溶剤が挙げられる。
【0036】
接液ノズルN1は、保持部23に保持されたウエハWの上方に配置される。図5は接液ノズルN1の一例を示す斜視図である。接液ノズルN1の吐出口N1aは鉛直下方を向いている。吐出口N1aの断面形状は例えば円形であればよく、その直径は好ましくは1〜8mm程度であり、より好ましくは3〜5mm程度である。接液ノズルN1は、図5に示されるように、吐出口N1aから横方向に広がる下端面N1bを有する。下端面N1bの形状は例えば円形であればよく、その直径は好ましくは20〜150mm程度であり、より好ましくは30〜50mm程度である。接液ノズルN1は、供給管42により現像液貯留部41に接続されており、現像液貯留部41から供給された現像液L1を下方に吐出して表面Wa上に供給する。なお、図4には図示しないが、現像液供給部40は、接液ノズルN1の他にレジスト膜Rの表面に現像液を供給するためのストレートノズルN3(現像液補給ノズル)を有する(図8参照)。このストレートノズルN3は反応進行領域R2をより確実に形成するためのものである。
【0037】
ポンプ43は、供給管42の途中に設けられ、現像液貯留部41から接液ノズルN1に現像液L1を圧送する。バルブ44は、供給管42において接液ノズルN1とポンプ43との間に設けられている。バルブ44は、接液ノズルN1からの現像液L1の吐出を開始又は停止させる。
【0038】
乾燥ガス供給部50は、ガス源51と、ガス噴射ノズルN2と、供給管52と、流量コントローラ53と、バルブ54とを有する。乾燥用ガスとしては、例えば窒素ガス、ドライエアが挙げられる。ガス源51としては、乾燥用ガスを収容したボンベ、乾燥用ガスを移送する配管などが挙げられる。ガス噴射ノズルN2の吐出口N2aは鉛直下方を向いている。ガス噴射ノズルN2は、供給管52によりガス源51に接続されており、ガス源51から供給された乾燥用ガスを下方に噴射する。噴射された乾燥用ガスはその勢いによって表面Wa上の現像液L1をウエハWの周縁部の方向に押し流すとともに、レジスト膜Rの表面に残存する現像液を乾燥させる。これにより、レジスト膜Rの中心部を起点として周縁部に向かって反応停止領域R1を広げることができる。
【0039】
<現像方法>
現像ユニットU1を使用し、露光処理後のレジスト膜Rを現像処理する方法について説明する。本実施形態に係る現像方法は、ウエハW上の露光後のレジスト膜Rを現像してレジストパターンを形成するためのものであり、以下の工程をその順序で備える。
(A)ウエハWに向けて現像液L1を供給することによってレジスト膜Rの表面上に現像液L1を行き渡らせる工程(図7(a)及び(b)参照)。
(B)レジスト膜Rと現像液L1とを反応させる工程(図7(c)参照)。
(C)レジスト膜Rと現像液L1との反応を停止させるためにレジスト膜Rの表面から現像液L1を除去する工程(図8参照)。
【0040】
(A)工程においては接液ノズルN1を使用する。図6に示すとおり、レジスト膜Rの表面と下端面N1bとによって形成される隙間Gに吐出口N1aから現像液L1を供給するとともに、回転するウエハWの中心部から周縁部に向けて接液ノズルを移動させる(図6及び図7(a)における矢印D1参照)。
【0041】
(A)工程におけるウエハWの回転速度は低速とすることが好ましい(図9(a)参照)。(A)工程におけるウエハWの回転速度は、好ましくは5〜100回転/分であり、より好ましくは10〜50回転/分であり、更に好ましくは20〜40回転/分である。ウエハWの回転数を5回転/分以上とすることで、十分に短時間のうちにレジスト膜R上に現像液L1を行き渡らせることができる。他方、ウエハWの回転数を100回転/分以下とすることで、接液ノズルN1から供給された現像液L1がレジスト膜Rの表面において遠心力によってウエハWの周縁側に流れ出ることを十分に抑制でき、これによりレジスト膜R上に現像液を行き渡らせる速度をより一層正確に制御できる。
【0042】
(A)工程後、ウエハWを0〜100回転/分程度で回転させながら、(B)工程を実施する。(B)工程の時間は好ましくは10〜120秒であり、より好ましくは20〜60秒である。なお、(B)工程は、ウエハWを停止した状態で実施してもよい。
【0043】
(C)工程において、現像液L1が除去されたレジスト膜R表面の反応停止領域R1と、現像液L1との反応が続いているレジスト膜R表面の反応進行領域R2との境界Bをレジスト膜Rの中心部から周縁部に向けて移動させる(図8参照)。
【0044】
レジスト膜R表面の反応進行領域R2との境界Bの移動速度を制御することで、レジスト膜Rの中心部と周縁部との反応時間の差を十分に小さくすることができる。すなわち、レジスト膜Rの表面上に現像液を行き渡らせる際には、レジスト膜Rの中心部から現像液の供給を開始し、その後、接液ノズルN1をウエハWの径方向に移動させることによってレジスト膜Rの周縁部に現像液が供給される。したがって、レジスト膜Rの表面の現像液を一気に取り除いてしまうと、レジスト膜Rの中心部は反応時間が長く、周縁部はこれによりも反応時間が短くなる。この反応時間の差は面内CDの不均一性を招来する。この課題に対し、上述のとおり、境界Bの移動速度を制御することにより、レジスト膜Rの中心部と周縁部との反応時間の差を十分に小さくでき、ひいては、面内CDの均一性を向上させることができる。
【0045】
(C)工程においては、まず、図8の(a)に示すとおり、レジスト膜Rの中心部に反応停止領域R1を形成する。そのために、(B)工程の終了後、まずレジスト膜Rの中心部に向けてガス噴射ノズルN2から乾燥用ガスを噴射する。乾燥用ガスの噴射を続けたままウエハWの回転速度を高速にする。このときのウエハWの回転速度は、好ましくは1000〜5000回転/分であり、より好ましくは1500〜4500回転/分であり、更に好ましくは2000〜4000回転/分である。ウエハWの回転数を1000回転/分以上とすることで、レジスト膜Rの中心部にある反応停止領域R1の境界Bを周縁部方向に確実に移動させることができる。他方、ウエハWの回転数を5000回転/分以下とすることで、反応進行領域R2においてレジスト膜Rと現像液との反応を十分に進行させることができる。
【0046】
(C)工程の初期の段階において、ウエハWを高速で回転させることで、レジスト膜Rの中心部にある現像液L1を外側に移動させる遠心力を発生させることができる。その後、反応停止領域R1が外側に広がるにしたがって現像液L1に加わる遠心力は大きくなるため、ウエハWの回転速度を低くしてもよい。なお、ウエハWの回転速度を連続的に低くしてもよいし、段階的に低くしてもよい。境界BがウエハWの周縁部に到達するときのウエハWの回転速度は500〜2000回転/分(より好ましくは500〜1000回転/分)程度とすればよい。
【0047】
(C)工程における乾燥用ガスの噴射量は1〜10Nm/分(より好ましくは2〜8Nm/分)程度とすればよい。(C)工程の全体にわたって乾燥用ガスの噴射量は一定であってもよいし、境界Bが外側に移動するに伴って、噴射量を連続的又は段階的に増加させてもよい。
【0048】
本実施形態の(C)工程において、ストレートノズルN3をウエハWの中心部から周縁部に向けて移動させながら、ストレートノズルN3からレジスト膜R上に現像液L1を供給する。移動するストレートノズルN3からレジスト膜R表面に現像液を供給することで反応進行領域R2における現像液L1の乾燥を防止することができる。換言すると、ストレートノズルN3から現像液L1が供給される位置が反応停止領域R1と反応進行領域R2との境界Bとなる。つまり、ストレートノズルN3の移動速度を制御することで、境界Bの移動速度を制御できる。
【0049】
なお、現像ユニットU1が備える制御部100は、回転保持部20、接液ノズルN1、駆動部30及び現像液供給部40などを制御し、(A)工程、(B)工程及び(C)工程をこの順序で実行する。制御部100は、(A)工程においてレジスト膜Rの表面と接液ノズルN1の下端面N1bとによって形成される隙間Gに吐出口N1aから現像液L1が供給されるとともに、回転するウエハWの中心部から周縁部に向けて接液ノズルN1が移動するように現像ユニットU1を制御する。また、制御部100は、(C)工程において現像液L1が除去されたレジスト膜R表面の反応停止領域R1と、現像液L1との反応が続いているレジスト膜R表面の反応進行領域R2との境界Bがレジスト膜Rの中心部から周縁部に向けて移動するように現像ユニットU1を制御する。
【0050】
図10の(a)は上記現像方法によって形成されたレジストの面内CD分布の一例(実施例)を示す。この実施例におけるレジストの面内CDの3σは0.64nmであった。他方、図10の(b)は従来のスピンコート法によってレジスト膜に現像液を供給することによって形成されたレジストの面内CD分布の一例(比較例)を示す。この比較例におけるレジストの面内CDの3σは1.27nmであった。従来のスピンコート法では、図10(b)に示すとおり、液流れに起因すると推察される特徴的なCD分布、すなわちウエハWの中心部から放射状に延びる複数のラインが認められるのに対し、実施例に係る現像方法によれば、この特徴的なCD分布が改善されている。なお、これらの面内CDの値は、測長SEM(株式会社日立ハイテクノリジーズ製)を使用して測定した。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、上記実施形態においては、(C)工程においてガス噴射ノズルN2を使用して反応停止領域R1を形成する場合を例示したが、ガス噴射ノズルを使用することなく、ウエハWの回転による遠心力によってレジスト膜Rの中心部に反応停止領域R1を形成してもよい。この場合もストレートノズルN3をウエハWの中心部から周縁部に向けて移動させながら、ストレートノズルN3からレジスト膜R上に現像液L1を供給すればよい。また、上記実施形態の(C)工程においてガス噴射ノズルN2から乾燥用ガスを噴射する代わりに、リンス液L2をレジスト膜Rに供給することによって反応停止領域R1を形成してもよい。リンス液L2としては、例えば純水、界面活性剤を含有する水溶液などが挙げられる。図11に示すように、レジスト膜Rの中心部であってその上方に配置されたリンス液供給ノズルN4からリンス液L2を供給するとともに、ストレートノズルN3を中心部から周縁部の方向に移動させながらストレートノズルN3からレジスト膜R上に現像液L1を供給すればよい。
【0052】
あるいは、図12に示すように、レジスト膜Rの中心部であってその上方に配置された吸引ノズルN5によってレジスト膜R上の現像液を吸引してもよい。この場合、吸引ノズルN5を中心部から周縁部の方向(図12の矢印D1の方向)に移動させるとともに、ストレートノズルN3を中心部から周縁部の方向(図12の矢印D2の方向)に移動させながらストレートノズルN3からレジスト膜R上に現像液L1を供給してもよい。吸引ノズルN5とストレートノズルN3とを互いに異なる方向に移動させることで、ストレートノズルN3から吐出された現像液がそのまま吸引ノズルN5によって吸引されることを防止できる。
【0053】
図11に示した例では、(C)工程において、レジスト膜R上にリンス液L2を供給するノズルとして、ストレートノズルであるリンス液供給ノズルN4を使用する場合を例示したが、ストレートノズルの代わりに接液ノズルを使用してしてもよい。図13は、上記実施形態の(C)工程の変形例を示す図であり、レジスト膜R上に接液ノズルN1を使用してリンス液L2を供給する様子を示したものである。
【0054】
また、上記実施形態及びその変形例では、(C)工程においてレジスト膜R上に現像液L1を供給することによって境界Bの移動を制御する場合を例示したが、現像液L1の粘度等によっては例えばウエハWの回転速度を調節することで境界Bの移動速度を十分に制御できる場合もあり、このような場合は(C)工程においてレジスト膜R上に現像液L1を供給しなくてもよい。
【0055】
上述の実施形態及びその変形例によれば、(A)工程においてレジスト膜Rの表面に現像液の位置及び速度を制御するとともに、(C)工程においてレジスト膜Rの表面から現像液を除去する位置及び速度を制御することで、CD分布の均一性が十分に優れるレジストを形成できる。
【符号の説明】
【0056】
1…基板処理システム、2…塗布・現像装置、20…回転保持部、30…駆動部、40…現像液供給部、50…乾燥ガス供給部、51…ガス源、100…制御部、B…境界、G…隙間、L1…現像液、L2…リンス液、N1…接液ノズル、N1a…吐出口、N1b…下端面、N2…ガス噴射ノズル、N2a…吐出口、N3…ストレートノズル(現像液補給ノズル)、N4…リンス液供給ノズル、N5…吸引ノズル、R…レジスト膜、R1…反応停止領域、R2…反応進行領域、U1…現像ユニット(現像装置)、W…ウエハ(基板)、Wa…表面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13