特許第6149405号(P6149405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6149405ズームレンズ、光学機器、およびズームレンズの変倍方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149405
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ズームレンズ、光学機器、およびズームレンズの変倍方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20170612BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   G02B15/20
   G02B13/18
【請求項の数】20
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-10348(P2013-10348)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-142461(P2014-142461A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 俊之
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−175234(JP,A)
【文献】 特開2012−226307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 15/20
G02B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズであって、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、
前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りが配置され、
前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり
前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
2.05<Nd1<2.50
2.00<Nd2<2.50
17.0<νd1<20.0
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項2】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズであって、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、
前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りが配置され、
前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり
前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
2.00<Nd1<2.50
2.05<Nd2<2.50
16.0<νd1<20.0
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項3】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズであって、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、
前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りが配置され、
前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり
前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有するとともに、前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズを有し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
2.00<Nd1<2.50
2.00<Nd2<2.50
16.0<νd1<20.0
2.60<Nd2F+(0.02×νd2F)<2.85
1.65<Nd2F<1.85
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数、
Nd2F:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのd線に対する屈折率、
νd2F:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項4】
前記第2レンズ群は、前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズを有し、
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
2.60<Nd2F+(0.02×νd2F)<3.00
1.65<Nd2F<1.85
但し、
Nd2F:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのd線に対する屈折率、
νd2F:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項5】
前記第2レンズ群は、前記1枚以上の負レンズとして、前記負レンズが実質的に1枚からなる構成とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
3.20<Nd2+(0.05×νd2)<3.70
但し、
νd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対するアッベ数。
【請求項7】
前記第2レンズ群は、前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズを有し、
前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズにおける物体側のレンズ面が非球面であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズにおける物体側のレンズ面が、光軸からレンズ外周部へ向かうにしたがって曲率半径が大きくなる非球面であることを特徴とする請求項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項7または8に記載のズームレンズ。
0.018<X×Ymax/(fw×TLw)<0.040
但し、
X:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズにおける物体側のレンズ面の有効径内での最大サグ量、
Ymax:前記ズームレンズの広角端状態における最大像高、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
TLw:前記ズームレンズの広角端状態における全長。
【請求項10】
前記第2レンズ群は、前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズを有し、
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.60<f2F/f2<1.10
但し、
f2F:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズの焦点距離、
f2:第2レンズ群の焦点距離。
【請求項11】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズ。
1.80<ft/(−f1)<2.40
但し、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離。
【請求項12】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.95<f2/(fw×ft)1/2<1.25
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離。
【請求項13】
前記第1レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、1枚の負レンズと、1枚の正レンズとからなることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記第1レンズ群の最も物体側に配置されたレンズが非球面を有していることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記第1レンズ群の最も像側に配置されたレンズが非球面を有していることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項16】
前記第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、第1の正レンズと、第2の正レンズと、負レンズとを有していることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項17】
前記第2レンズ群は、前記負レンズの像側に配置された第3の正レンズをさらに有していることを特徴とする請求項16に記載のズームレンズ。
【請求項18】
前記第2レンズ群は、光軸に沿って像側から順に並んだ、正レンズと、負レンズとを有していることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項19】
物体の像を所定の面上に結像させるズームレンズを備えた光学機器であって、
前記ズームレンズが請求項1から18のいずれか一項に記載のズームレンズであることを特徴とする光学機器。
【請求項20】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズの変倍方法であって、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を光軸に沿って移動させ、
前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りを配置し、
前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり
前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有し、
以下の条件式を満足するようにしたことを特徴とするズームレンズの変倍方法。
2.05<Nd1<2.50
2.00<Nd2<2.50
17.0<νd1<20.0
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラ等に好適なズームレンズ、光学機器、およびズームレンズの変倍方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像素子を用いたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮影装置(カメラ)の高性能化、コンパクト化が急速に進行している。これらの撮影装置では、撮影用レンズとしてズームレンズが用いられることが一般的である。ズームレンズによって、撮影者は撮影条件に最適な画角での撮影を手軽に行うことが可能となる。また、これらのズームレンズでは、カメラの撮影領域を拡大するために、レンズの広画角化、大口径比化、高変倍比化が強く求められている。これに対し、広角端状態において広画角かつ十分な明るさを備え、望遠撮影が可能なズームレンズとして、種々のズームレンズが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−107312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のズームレンズでは、良好な光学性能を満足していなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、広画角、大口径比、高変倍比を有しながら、良好な光学性能を有するズームレンズ、光学機器、およびズームレンズの変倍方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係る第1のズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズであって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りが配置され、前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり、前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有し、以下の条件式を満足している。
【0007】
2.05<Nd1<2.50
2.00<Nd2<2.50
17.0<νd1<20.0
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数。

また、本発明に係る第2のズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズであって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りが配置され、前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり、前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有し、以下の条件式を満足することを特徴とするものである。
2.00<Nd1<2.50
2.05<Nd2<2.50
16.0<νd1<20.0
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数。

また、本発明に係る第3のズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズであって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群が光軸に沿って移動し、前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りが配置され、前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり、前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有するとともに、前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とするものである。
2.00<Nd1<2.50
2.00<Nd2<2.50
16.0<νd1<20.0
2.60<Nd2F+(0.02×νd2F)<2.85
1.65<Nd2F<1.85
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数、
Nd2F:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのd線に対する屈折率、
νd2F:前記第2レンズ群の最も物体側に配置された正レンズのd線に対するアッベ数。
【0029】
また、本発明に係る光学機器は、物体の像を所定の面上に結像させるズームレンズを備えた光学機器であって、前記ズームレンズとして本発明に係るズームレンズを用いている。
【0030】
また、本発明に係るズームレンズの変倍方法は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズの変倍方法であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が減少し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が増加するように、少なくとも前記第1レンズ群および前記第2レンズ群を光軸に沿って移動させ、前記第2レンズ群の物体側近傍にFナンバーを決定する可変絞りを配置し、前記第1レンズ群は、正レンズが実質的に1枚からなり、前記第2レンズ群は、負レンズを1枚以上有し、以下の条件式を満足するようにしている。
【0031】
2.05<Nd1<2.50
2.00<Nd2<2.50
17.0<νd1<20.0
但し、
Nd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対する屈折率、
Nd2:前記第2レンズ群の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率、
νd1:前記第1レンズ群の正レンズのd線に対するアッベ数。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、広画角、大口径比、高変倍比を有しながら、良好な光学性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】(a)は第1実施例に係るズームレンズの広角端状態におけるレンズ構成図であり、(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。
図2】(a)は第1実施例に係るズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(c)は望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図3】(a)は第2実施例に係るズームレンズの広角端状態におけるレンズ構成図であり、(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。
図4】(a)は第2実施例に係るズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(c)は望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図5】(a)は第3実施例に係るズームレンズの広角端状態におけるレンズ構成図であり、(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。
図6】(a)は第3実施例に係るズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(c)は望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図7】(a)はデジタルスチルカメラの正面図であり、(b)はデジタルスチルカメラの背面図である。
図8図7(a)中の矢印A−A´に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本願の好ましい実施形態について図を参照しながら説明する。本願に係るズームレンズを備えたデジタルスチルカメラCAMが図7および図8に示されている。図7において、(a)はデジタルスチルカメラCAMの正面図を、(b)はデジタルスチルカメラCAMの背面図をそれぞれ示す。図8図7(a)中の矢印A−A´に沿った断面図を示す。
【0035】
図7に示すデジタルスチルカメラCAMは、不図示の電源釦を押すと、撮影レンズ(ZL)の不図示のシャッタが開放されて、撮影レンズ(ZL)で被写体(物体)からの光が集光され、図8に示す像面Iに配置された撮像素子C(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子Cに結像された被写体像は、デジタルスチルカメラCAMの背後に配置された液晶モニターMに表示される。撮影者は、液晶モニターMを見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズ釦B1を押し下げて被写体像を撮像素子で撮影し、不図示のメモリーに記録保存する。
【0036】
撮影レンズは、後述の実施形態に係るズームレンズZLで構成されている。また、デジタルスチルカメラCAMには、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部DL、撮影レンズ(ズームレンズZL)を広角端状態(W)から望遠端状態(T)にズーミング(変倍)する際のワイド(W)−テレ(T)釦B2、およびデジタルスチルカメラCAMの種々の条件設定等に使用するファンクション釦B3等が配置されている。
【0037】
ズームレンズZLは、例えば図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、全体として正の屈折力を有する第3レンズ群G3とを備えた負先行型ズームレンズである。第2レンズ群G2が変倍部かつマスターレンズ群であり、第1レンズ群G1がコンペンセータ群である。第3レンズ群G3は、ズームレンズ全系の射出瞳位置を撮像素子に対して最適化するとともに、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2で補正しきれずに残った収差の補正を行う。また、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加するように、少なくとも第1レンズ群G1および第2レンズ群G2が光軸に沿って移動するようになっている。
【0038】
Fナンバーを決定するための可変絞り(虹彩絞り)S1は、第2レンズ群G2の物体側近傍に配置されていることが望ましい。可変絞りを第2レンズ群G2の物体側近傍に配置することにより、入射瞳位置が物体側に移動し、レンズの前玉径を小型化することができる。
【0039】
また、第1レンズ群G1は、正レンズを1枚有していることが望ましい。第1レンズ群G1は全体として負の屈折力を有するが、この第1レンズ群G1内に1枚の正レンズを配置することにより、第1レンズ群G1内の収差を良好に補正することが可能となる。
【0040】
また、第2レンズ群G2は、負レンズを1枚以上有していることが望ましい。第2レンズ群G2は全体として正の屈折力を有するが、この第2レンズ群G2内に1枚以上の負レンズを配置することにより、第2レンズ群G2内の収差を良好に補正することが可能となる。
【0041】
このような構成のズームレンズZLにおいて、ズームレンズの広画角化、大口径比化、高変倍比化を行いつつ、良好な収差補正を行うためには、次の条件式(1)で表される条件を満足することが好ましい。
【0042】
2.00<Nd1<2.50 …(1)
但し、
Nd1:第1レンズ群G1の正レンズのd線に対する屈折率。
【0043】
条件式(1)は、第1レンズ群G1で発生する球面収差を良好に補正するために必要な条件式である。条件式(1)の下限値を下回る条件である場合、望遠端状態における球面収差の補正が困難となるため好ましくない。一方、条件式(1)の上限値を上回る条件である場合、ペッツバール和が小さくなりすぎるため、非点隔差と像面湾曲を同時に補正することができなくなり好ましくない。
【0044】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(1)の下限値を2.05にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(1)の下限値を2.10にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(1)の上限値を2.40にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(1)の上限値を2.30にすることが望ましい。
【0045】
またこのとき、次の条件式(2)で表される条件を満足することが好ましい。
【0046】
2.00<Nd2<2.50 …(2)
但し、
Nd2:第2レンズ群G2の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対する屈折率。
【0047】
条件式(2)は、第2レンズ群G2で発生する球面収差、コマ収差、および像面湾曲を良好に補正するための条件式である。条件式(2)の下限値を下回る条件である場合、球面収差、コマ収差、および像面湾曲が大きくなるため好ましくない。一方、条件式(2)の上限値を上回る条件である場合、ペッツバール和が大きくなりすぎるため、非点隔差と像面湾曲を同時に補正することができなくなり好ましくない。
【0048】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(2)の下限値を2.05にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(2)の下限値を2.10にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(2)の上限値を2.40にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(2)の上限値を2.30にすることが望ましい。
【0049】
またこのとき、次の条件式(3)で表される条件を満足することが好ましい。
【0050】
16.0<νd1<20.0 …(3)
但し、
νd1:第1レンズ群G1の正レンズのd線に対するアッベ数。
【0051】
条件式(3)は、第1レンズ群G1の色収差を良好に補正するための条件式である。条件式(3)の上限値を上回る条件である場合、色収差が補正不足となりやすい。これを強引に補正した場合には、第1レンズ群G1に含まれる正レンズの屈折力が大きくなりすぎるので、広角端状態における倍率色収差の補正が困難になるため好ましくない。一方、条件式(3)の下限値を下回る条件である場合、色収差が補正過剰になるため好ましくない。
【0052】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(3)の下限値を17.0にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(3)の下限値を17.5にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(3)の上限値を19.5にすることが望ましい。
【0053】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第2レンズ群G2は、上述した1枚以上の負レンズとして、負レンズを1枚有していることが好ましい。このような構成とすることにより、組立調整が容易になり、組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。
【0054】
このような構成のズームレンズZLにおいて、次の条件式(4)で表される条件を満足することが好ましい。
【0055】
3.20<Nd2+(0.05×νd2)<3.70 …(4)
但し、
νd2:第2レンズ群G2の負レンズにおける少なくとも1枚のd線に対するアッベ数。
【0056】
条件式(4)は、軸上色収差と像面湾曲をバランスよく補正するための条件式である。条件式(4)の上限値を上回る条件である場合、広角端状態における像面湾曲の補正が困難となるため好ましくない。一方、条件式(4)の下限値を下回る条件である場合、望遠端状態における軸上色収差の補正が困難になるため好ましくない。
【0057】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(4)の下限値を3.3にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(4)の下限値を3.4にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(4)の上限値を3.6にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(4)の上限値を3.5にすることが望ましい。
【0058】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第2レンズ群G2は、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズを有し、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズにおける物体側のレンズ面が非球面であることが好ましい。このような構成とすることにより、球面収差を良好に補正することができる。
【0059】
なお、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズにおける物体側のレンズ面が、光軸からレンズ外周部へ向かうにしたがって曲率半径が大きくなる非球面であることが好ましい。このような構成とすることにより、球面収差をより良好に補正することができる。
【0060】
またこのとき、次の条件式(5)で表される条件を満足することが好ましい。
【0061】
0.018<X×Ymax/(fw×TLw)<0.040 …(5)
但し、
X:第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズにおける物体側のレンズ面の有効径内での最大サグ量、
Ymax:ズームレンズZLの広角端状態における最大像高、
fw:ズームレンズZLの広角端状態における焦点距離、
TLw:ズームレンズZLの広角端状態における全長。
【0062】
条件式(5)は、光学系の大口径比化に伴って増大する球面収差を良好に補正するための条件式である。本実施形態では、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負、正、正の少なくとも3つのレンズ群を有するズームレンズの構成となっている。この構成では、第2レンズ群G2に第1レンズ群G1で発散した光束が入射するため、一般に球面収差の補正が難しくなる。そこで、上述したように、第2レンズ群G2の最も物体側に、第1レンズ群G1で発散した光束を収斂させるための正レンズを配置し、さらにその物体側のレンズ面をレンズ外周部へ向かうにしたがって曲率半径が大きくなる非球面とすることで、球面収差を効果的に補正することが可能となる。
【0063】
そして、条件式(5)は、この非球面レンズのサグ量の適切な範囲を規定するものである。条件式(5)の上限値を上回る条件である場合、広角端状態における球面収差の補正が困難になるため好ましくない。一方、条件式(5)の下限値を下回る条件である場合、レンズの大口径比化を図る際、球面収差およびコマ収差の補正が困難になるため好ましくない。
【0064】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(5)の下限値を0.020にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(5)の下限値を0.022にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(5)の上限値を0.036にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(5)の上限値を0.032にすることが望ましい。
【0065】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第2レンズ群G2は、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズを有し、次の条件式(6)で表される条件を満足することが好ましい。
【0066】
0.60<f2F/f2<1.10 …(6)
但し、
f2F:第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズの焦点距離、
f2:第2レンズ群G2の焦点距離。
【0067】
条件式(6)は、条件式(5)と同様に、光学系の大口径比化に伴って増大する球面収差を良好に補正するための条件式である。上述したように、第1レンズ群G1で発散した光束が入射する第2レンズ群G2で過剰な球面収差を発生させないために、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズに適切な屈折力を与え、発散光束を収斂させることが必要である。
【0068】
条件式(6)の上限値を上回る条件である場合、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズの屈折力が弱くなりすぎるので、第1レンズ群G1で発散した光束を十分に収斂させることができなくなる。この結果、第2レンズ群G2における当該正レンズより後続のレンズで発生する球面収差が増大するため、好ましくない。一方、条件式(6)の下限値を下回る条件である場合、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズの屈折力が強くなりすぎるので、この正レンズ自身で発生する球面収差が増大する。また、製造時の偏芯等による性能低下も生じやすくなるため、好ましくない。
【0069】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(6)の下限値を0.65にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(6)の下限値を0.70にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(6)の上限値を1.00にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(6)の上限値を0.90にすることが望ましい。
【0070】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第2レンズ群G2は、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズを有し、次の条件式(7)で表される条件を満足することが好ましい。
【0071】
2.60<Nd2F+(0.02×νd2F)<3.00 …(7)
但し、
Nd2F:第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズのd線に対する屈折率、
νd2F:第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズのd線に対するアッベ数。
【0072】
条件式(7)は、軸上色収差を良好に補正するための条件式である。条件式(7)の上限値を上回る条件である場合、望遠端状態における球面収差の波長による差が補正困難となるため好ましくない。一方、条件式(7)の下限値を下回る条件である場合、軸上色収差が補正不足となるため好ましくない。
【0073】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(7)の下限値を2.70にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(7)の下限値を2.75にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(7)の上限値を2.90にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(7)の上限値を2.85にすることが望ましい。
【0074】
またこのとき、次の条件式(8)で表される条件を満足することが好ましい。
【0075】
1.65<Nd2F<1.85 …(8)
但し、
Nd2F:第2レンズ群G2の最も物体側に配置された正レンズのd線に対する屈折率。
【0076】
条件式(8)は、軸上色収差を良好に補正するための条件式である。条件式(8)の上限値を上回る条件である場合、ガラスの部分分散比が悪化し、軸上色収差の補正が困難になるため好ましくない。一方、条件式(8)の下限値を下回る条件である場合、球面収差およびコマ収差の補正が困難になるため好ましくない。
【0077】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(8)の下限値を1.68にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(8)の下限値を1.70にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(8)の上限値を1.80にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(8)の上限値を1.77にすることが望ましい。
【0078】
このような構成のズームレンズZLにおいて、次の条件式(9)で表される条件を満足することが好ましい。
【0079】
1.80<ft/(−f1)<2.40 …(9)
但し、
ft:ズームレンズZLの望遠端状態における焦点距離、
f1:第1レンズ群G1の焦点距離。
【0080】
条件式(9)は、第1レンズ群G1の焦点距離の適切な範囲を規定するものである。条件式(9)の上限値を上回る条件である場合、望遠端状態における球面収差の補正が困難となるため好ましくない。一方、条件式(9)の下限値を下回る条件である場合、広角端状態におけるコマ収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0081】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(9)の下限値を1.90にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(9)の下限値を1.95にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(9)の上限値を2.30にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(9)の上限値を2.20にすることが望ましい。
【0082】
このような構成のズームレンズZLにおいて、次の条件式(10)で表される条件を満足することが好ましい。
【0083】
0.95<f2/(fw×ft)1/2<1.25 …(10)
但し、
f2:第2レンズ群G2の焦点距離、
fw:ズームレンズZLの広角端状態における焦点距離、
ft:ズームレンズZLの望遠端状態における焦点距離。
【0084】
条件式(10)は、第2レンズ群G2の焦点距離の適切な範囲を規定するものである。条件式(10)の上限値を上回る条件である場合、中間焦点距離状態におけるコマ収差の補正が困難になるため好ましくない。一方、条件式(10)の下限値を下回る条件である場合、望遠端状態における球面収差の補正が困難になるため好ましくない。
【0085】
本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(10)の下限値を1.00にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(10)の下限値を1.05にすることが望ましい。一方、本実施形態の効果を良好に発揮するために、条件式(10)の上限値を1.20にすることが望ましい。また、本実施形態の効果をより良好に発揮するために、条件式(10)の上限値を1.15にすることが望ましい。
【0086】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、1枚の負レンズと、1枚の正レンズとからなることが好ましい。この構成は、第1レンズ群G1の色収差、球面収差、コマ収差、非点隔差を補正可能な最小枚数のレンズ構成であり、レンズの小型化と高性能化を両立させる上で合理的である。
【0087】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第1レンズ群G1の最も物体側に配置されたレンズが非球面を有していることが好ましい。第1レンズ群G1における最も物体側のレンズを非球面レンズとすることにより、広角端状態におけるコマ収差および非点隔差、望遠端状態におけるコマ収差をより良好に補正することが可能となる。
【0088】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第1レンズ群G1の最も像側に配置されたレンズが非球面を有していることが好ましい。第1レンズ群G1における最も像側のレンズを非球面レンズとすることにより、望遠端状態における球面収差をより良好に補正することが可能となる。
【0089】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、第1の正レンズと、第2の正レンズと、負レンズとを有していることが好ましい。このような構成とすることにより、第2レンズ群G2の主点を物体側に移動させることが可能となる。これにより望遠端状態において第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔を確保できることに加え、球面収差を良好に補正することができる。
【0090】
またこのとき、第2レンズ群G2は、負レンズの像側に配置された第3の正レンズをさらに有していることが好ましい。このような構成とすることにより、広角端状態における像面湾曲を良好に補正することができる。
【0091】
このような構成のズームレンズZLにおいて、第2レンズ群G2は、光軸に沿って像側から順に並んだ、正レンズと、負レンズとを有していることが好ましい。このような構成とすることにより、広角端状態における像面湾曲を良好に補正することができる。このように、本実施形態によれば、広画角、大口径比、高変倍比を有しながら、コンパクトで良好な光学性能を有するズームレンズZL、光学機器(デジタルスチルカメラCAM)、およびズームレンズZLの変倍方法を得ることが可能になる。
【0092】
なお、無限遠物体から至近距離物体(有限距離物体)へのフォーカシングは、第1レンズ群G1あるいは第3レンズ群G3を物体側に繰り出すことによって行うことが可能である。しかしながら、第1レンズ群G1を繰り出す方法では、至近撮影時に画面周辺部の光量低下を招きやすいため、第3レンズ群G3を物体側に繰り出すことによって行うことがより望ましい。
【実施例】
【0093】
(第1実施例)
以下、本願の各実施例を添付図面に基づいて説明する。まず、本願の第1実施例について図1図2および表1を用いて説明する。図1(a)は第1実施例に係るズームレンズZL(ZL1)の広角端状態におけるレンズ構成図であり、図1(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、図1(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。第1実施例に係るズームレンズZL1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、全体として負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、全体として正の屈折力を有する第3レンズ群G3とを備えて構成される。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が増加するように、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2がそれぞれ光軸に沿って移動し、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2よりも少ない移動量で、第3レンズ群G3が単調に光軸に沿って像側に移動するようになっている。
【0094】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL11と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL12とから構成される。第1レンズ群G1において、負レンズL11における像面I側のレンズ面と正レンズL12における両側のレンズ面とが非球面となっている。第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の第1の正レンズL21と、両凸形状の第2の正レンズL22と、両凹形状の負レンズL23と、両凸形状の第3の正レンズL24とから構成される。第2レンズ群G2において、第1の正レンズL21における両側のレンズ面が非球面となっている。また、第2の正レンズL22と負レンズL23は互いに接合された接合レンズとなっている。第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31のみから構成される。なお、無限遠物体から至近距離物体(有限距離物体)へのフォーカシングは、第3レンズ群G3を光軸に沿って物体側へ移動させることにより行う。
【0095】
Fナンバーを決定する可変絞りS1は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間(第2レンズ群G2の物体側近傍)に配置されており、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第2レンズ群G2と同一軌道で移動するようになっている。本実施例では、可変絞りS1として絞り径を可変な虹彩絞りが用いられる。一方、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間(第2レンズ群G2の像面I側近傍)に固定絞りS2が配置されており、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第2レンズ群G2と同一軌道で移動するようになっている。本実施例では、固定絞りS2としてフレアカット絞りが用いられる。また、第3レンズ群G3と像面Iとの間に配置されたフィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等から構成されている。
【0096】
以下に、表1〜表3を示すが、これらは第1〜第3実施例に係るズームレンズの諸元の値をそれぞれ掲げた表である。各表の[全体諸元]には、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各状態におけるズームレンズZLの焦点距離f、FナンバーFno、画角2ω、可変絞り径φ、最大像高Ymaxの値をそれぞれ示す。また、[レンズ諸元]において、第1カラム(面番号)は物体側から数えた際のレンズ面の番号を、第2カラムRはレンズ面の曲率半径を、第3カラムDはレンズ面の光軸上の間隔を、第4カラムndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率を、第5カラムνdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。なお、第1カラム(面番号)の右に付した*は、そのレンズ面が非球面であることを示す。また、曲率半径「∞」は平面を示し、空気の屈折率nd=1.000000はその記載を省略している。
【0097】
[非球面データ]において示す非球面係数は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をX(y)とし、近軸曲率半径(基準球面の曲率半径)をRとし、円錐定数をκとし、n次(n=4,6,8,10)の非球面係数をAnとしたとき、次式(A)で表される。なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0であり、記載を省略している。また、[非球面データ]において、「E-n」は「×10-n」を示す。
【0098】
X(y)=(y2/R)/{1+(1−κ×y2/R21/2
+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 …(A)
【0099】
[可変間隔データ]には、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各状態(無限遠合焦時)におけるズームレンズZLの焦点距離f、可変間隔、全長TL(ズームレンズZLの最初の光学面から最終の光学面(像面I)までの長さ)の値をそれぞれ示す。また、空気換算値としたバックフォーカスBFaと全長TLaの値も併せて示す。[レンズ群焦点距離]には、各レンズ群の焦点距離の値をそれぞれ示す。[非球面サグ量]には、第2レンズ群G2の最も物体側の正レンズにおける物体側のレンズ面の有効径内での最大サグ量Xの値を示す。[条件式対応値]には、各条件式の対応値を示す。
【0100】
なお、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径R、その他の長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、後述の第2〜第3実施例の諸元値においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0101】
下の表1に、第1実施例における各諸元を示す。なお、表1における第1面〜第19面の曲率半径Rは、図1(c)における第1面〜第19面に付した符号R1〜R19に対応している。また、表1における群番号G1〜G3は、図1における各レンズ群G1〜G3に対応している。また、第1実施例において、第2面、第3面、第4面、第6面、および第7面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。
【0102】
(表1)
[全体諸元]
ズーム比=4.744
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 5.25 11.65 24.91
Fno 1.86 3.50 5.88
2ω 89.91° 46.47° 22.12°
φ 8.80 6.98 6.98
Ymax 4.30 4.85 4.85
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 -325.2300 0.7000 1.81000 40.99
2* 6.4609 3.6126
3* 14.8609 1.5500 2.14780 17.34
4* 25.2256 D4
5 ∞ 0.3500 (可変絞り)
6* 7.9487 2.5500 1.72903 54.04
7* -103.5336 0.1000
8 9.3639 2.6000 1.77250 49.62
9 -25.2879 0.6000 2.00100 29.14
10 5.2126 1.0513
11 20.5000 1.9000 1.57957 53.74
12 -23.1490 0.3000
13 ∞ D13 (固定絞り)
14 24.8104 2.0000 1.60300 65.44
15 -35.7710 D15
16 ∞ 0.4000 1.51680 64.12
17 ∞ 0.3000
18 ∞ 0.5000 1.51680 64.12
19 ∞ 0.5300
[非球面データ]
第2面
κ=0.2618,A4=1.17435E-05,A6=1.31694E-06,A8=-4.48411E-08,A10=3.76222E-10
第3面
κ=1.0000,A4=-5.84911E-05,A6=-3.75428E-08,A8=4.84872E-10,A10=0.00000E+00
第4面
κ=1.0000,A4=-8.03957E-05,A6=0.00000E+00,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第6面
κ=0.4297,A4=0.00000E+00,A6=2.50421E-09,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第7面
κ=1.0000,A4=5.581669E-05,A6=-5.00534E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
(無限遠) (無限遠) (無限遠)
f 5.25 11.65 24.91
D4 19.6486 7.2725 1.6300
D13 4.8443 13.5334 30.1052
D15 2.8508 2.2801 2.0561
TL 46.3876 42.1299 52.8363
BFa 4.2742 3.7035 3.4795
TLa 46.0810 41.8233 52.5286
[レンズ群焦点距離]
群番号 群初面 群焦点距離(f1〜f3)
G1 1 -12.19
G2 6 12.49
G3 14 24.60
[非球面サグ量]
X=1.3827
[条件式対応値]
条件式(1) Nd1=2.14780
条件式(2) Nd2=2.00100
条件式(3) νd1=17.34
条件式(4) Nd2+(0.05×νd2)=3.45800
条件式(5) X×Ymax/(fw×TLw)=0.02441
条件式(6) f2F/f2=0.81860
条件式(7) Nd2F+(0.02×νd2F)=2.80983
条件式(8) Nd2F=1.72903
条件式(9) ft/(−f1)=2.04269
条件式(10) f2/(fw×ft)1/2=1.09236
【0103】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(10)が全て満たされていることが分かる。
【0104】
図2(a)〜(c)は、第1実施例に係るズームレンズZL1の諸収差図である。ここで、図2(a)は広角端状態(f=5.25mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、図2(b)は中間焦点距離状態(f=11.65mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、図2(c)は望遠端状態(f=24.91mm)における無限遠合焦時の諸収差図である。各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、ωは半画角をそれぞれ示す。また、各収差図において、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)における収差をそれぞれ示す。また、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。以上、収差図の説明は他の実施例においても同様である。
【0105】
そして、各収差図より、第1実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることがわかる。その結果、第1実施例のズームレンズZL1を搭載することにより、デジタルスチルカメラCAMにおいても、優れた光学性能を確保することができる。
【0106】
(第2実施例)
以下、本願の第2実施例について図3図4および表2を用いて説明する。図3(a)は第2実施例に係るズームレンズZL(ZL2)の広角端状態におけるレンズ構成図であり、図3(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、図3(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。第2実施例に係るズームレンズZL2は、第1実施例に係るズームレンズZL1と同様の構成であり、各部に第1実施例の場合と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0107】
下の表2に、第2実施例における各諸元を示す。なお、表2における第1面〜第19面の曲率半径Rは、図3(c)における第1面〜第19面に付した符号R1〜R19に対応している。また、表2における群番号G1〜G3は、図3における各レンズ群G1〜G3に対応している。また、第2実施例において、第2面、第3面、第4面、第6面、および第7面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。
【0108】
(表2)
[全体諸元]
ズーム比=4.744
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 5.25 11.65 24.91
Fno 1.86 3.51 5.91
2ω 89.95° 46.54° 22.12°
φ 8.80 6.98 6.98
Ymax 4.30 4.85 4.85
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 -3585.4492 0.8000 1.80139 45.46
2* 6.4743 3.8654
3* 13.7378 1.5500 2.14780 17.34
4* 20.3100 D4
5 ∞ 0.3500 (可変絞り)
6* 7.9337 2.5500 1.72903 54.04
7* -116.7893 0.1000
8 9.8020 2.6000 1.77250 49.62
9 -24.6683 0.6000 2.00100 29.14
10 5.3431 1.0513
11 20.0937 1.9000 1.65844 50.84
12 -27.3694 0.3000
13 ∞ D13 (固定絞り)
14 24.8104 2.0000 1.61800 63.34
15 -38.0505 D15
16 ∞ 0.4000 1.51680 64.12
17 ∞ 0.3000
18 ∞ 0.5000 1.51680 64.12
19 ∞ 0.5300
[非球面データ]
第2面
κ=0.2112,A4=6.53608E-05,A6=1.34649E-06,A8=-4.84488E-08,A10=3.84951E-10
第3面
κ=1.0000,A4=-4.00525E-05,A6=-1.07440E-07,A8=-2.66215E-09,A10=0.00000E+00
第4面
κ=1.0000,A4=-6.04984E-05,A6=0.00000E+00,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第6面
κ=0.4152,A4=0.00000E+00,A6=-8.34308E-08,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第7面
κ=1.0000,A4=4.49491E-05,A6=-4.78705E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
(無限遠) (無限遠) (無限遠)
f 5.25 11.65 24.91
D4 19.0919 7.0988 1.6300
D13 5.0278 13.9771 31.0494
D15 2.9729 2.3943 2.1507
TL 46.4893 42.8670 54.2267
BFa 4.3962 3.8177 3.5740
TLa 46.1826 42.5603 53.9201
[レンズ群焦点距離]
群番号 群初面 群焦点距離(f1〜f3)
G1 1 -11.90
G2 6 12.49
G3 14 24.60
[非球面サグ量]
X=1.3891
[条件式対応値]
条件式(1) Nd1=2.14780
条件式(2) Nd2=2.00100
条件式(3) νd1=17.34
条件式(4) Nd2+(0.05×νd2)=3.45800
条件式(5) X×Ymax/(fw×TLw)=0.02447
条件式(6) f2F/f2=0.82297
条件式(7) Nd2F+(0.02×νd2F)=2.80983
条件式(8) Nd2F=1.72903
条件式(9) ft/(−f1)=2.09247
条件式(10) f2/(fw×ft)1/2=1.09236
【0109】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(10)が全て満たされていることが分かる。
【0110】
図4(a)〜(c)は、第2実施例に係るズームレンズZL2の諸収差図である。ここで、図4(a)は広角端状態(f=5.25mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、図4(b)は中間焦点距離状態(f=11.65mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、図4(c)は望遠端状態(f=24.91mm)における無限遠合焦時の諸収差図である。そして、各収差図より、第2実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることがわかる。その結果、第2実施例のズームレンズZL2を搭載することにより、デジタルスチルカメラCAMにおいても、優れた光学性能を確保することができる。
【0111】
(第3実施例)
以下、本願の第3実施例について図5図6および表3を用いて説明する。図5(a)は第3実施例に係るズームレンズZL(ZL3)の広角端状態におけるレンズ構成図であり、図5(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、図5(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。第3実施例に係るズームレンズZL3は、第1実施例に係るズームレンズZL1と同様の構成であり、各部に第1実施例の場合と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0112】
下の表3に、第3実施例における各諸元を示す。なお、表3における第1面〜第19面の曲率半径Rは、図5(c)における第1面〜第19面に付した符号R1〜R19に対応している。また、表3における群番号G1〜G3は、図5における各レンズ群G1〜G3に対応している。また、第3実施例において、第2面、第3面、第4面、第6面、および第7面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。
【0113】
(表3)
[全体諸元]
ズーム比=4.743
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 5.25 11.73 24.90
Fno 1.85 3.48 5.79
2ω 89.91° 46.20° 22.13°
φ 8.80 6.98 6.98
Ymax 4.30 4.85 4.85
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 -208.8710 1.0500 1.79050 44.98
2* 6.2592 3.3000
3* 13.5388 1.6500 2.00178 19.32
4* 25.5000 D4
5 ∞ 0.3500 (可変絞り)
6* 8.1028 2.5500 1.72903 54.04
7* -131.0540 0.1000
8 9.7200 2.6000 1.77250 49.62
9 -25.6683 0.6000 2.00100 29.14
10 5.4500 1.0519
11 23.6500 1.9000 1.65844 50.84
12 -23.6356 0.3000
13 ∞ D13 (固定絞り)
14 24.7993 1.9500 1.61800 63.34
15 -38.1072 D15
16 ∞ 0.4000 1.51680 64.12
17 ∞ 0.3000
18 ∞ 0.5000 1.51680 64.12
19 ∞ 0.5300
[非球面データ]
第2面
κ=0.1241,A4=8.50067E-05,A6=7.73935E-07,A8=-3.00859E-08,A10=2.12610E-10
第3面
κ=0.2904,A4=0.00000E+00,A6=0.00000E+00,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第4面
κ=1.0000,A4=-5.48169E-05,A6=0.00000E+00,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第6面
κ=0.4229,A4=0.00000E+00,A6=2.07774E-08,A8=-1.23835E-08,A10=3.32636E-10
第7面
κ=1.0000,A4=4.45326E-05,A6=-4.23707E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
(無限遠) (無限遠) (無限遠)
f 5.25 11.73 24.90
D4 19.8570 7.2657 1.6300
D13 5.0790 13.9789 30.6294
D15 3.0038 2.4268 2.1991
TL 47.0717 42.8032 53.5904
BFa 4.4272 3.8501 3.6225
TLa 46.7651 42.4966 53.2838
[レンズ群焦点距離]
群番号 群初面 群焦点距離(f1〜f3)
G1 1 -12.28
G2 6 12.64
G3 14 24.60
[非球面サグ量]
X=1.3527
[条件式対応値]
条件式(1) Nd1=2.00178
条件式(2) Nd2=2.00100
条件式(3) νd1=19.32
条件式(4) Nd2+(0.05×νd2)=3.45800
条件式(5) X×Ymax/(fw×TLw)=0.02353
条件式(6) f2F/f2=0.83456
条件式(7) Nd2F+(0.02×νd2F)=2.80983
条件式(8) Nd2F=1.72903
条件式(9) ft/(−f1)=2.02772
条件式(10) f2/(fw×ft)1/2=1.10548
【0114】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(10)が全て満たされていることが分かる。
【0115】
図6(a)〜(c)は、第3実施例に係るズームレンズZL3の諸収差図である。ここで、図6(a)は広角端状態(f=5.25mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、図6(b)は中間焦点距離状態(f=11.73mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、図6(c)は望遠端状態(f=24.90mm)における無限遠合焦時の諸収差図である。そして、各収差図より、第3実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることがわかる。その結果、第3実施例のズームレンズZL3を搭載することにより、デジタルスチルカメラCAMにおいても、優れた光学性能を確保することができる。
【0116】
以上、各実施例によれば、広画角、大口径比、高変倍比を有しながら、コンパクトで良好な光学性能を有するズームレンズ、光学機器(デジタルスチルカメラ)、およびズームレンズの変倍方法を実現することができる。
【0117】
なお、上述の実施形態において、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
【0118】
上述の各実施例において、ズームレンズとして3群構成を示したが、4群、5群等の他の群構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。また、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0119】
また、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としてもよい。この合焦レンズ群は、オートフォーカスにも適用することができ、オートフォーカス用の(超音波モーター等を用いた)モーター駆動にも適している。特に、第3レンズ群または第1レンズ群を合焦レンズ群とするのが好ましい。
【0120】
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正する防振レンズ群としてもよい。特に、第2レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群とするのが好ましい。
【0121】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしてもよい。
【0122】
また、開口絞りは第2レンズ群近傍に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用してもよい。
【0123】
また、各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。
【0124】
また、本実施形態のズームレンズ(変倍光学系)は、変倍比が2.5〜10程度である。
【0125】
また、本実施形態のズームレンズ(変倍光学系)をデジタルスチルカメラに使用しているが、これに限られるものではなく、デジタルビデオカメラ等の光学機器にも使用することができる。
【符号の説明】
【0126】
CAM デジタルスチルカメラ(光学機器)
ZL ズームレンズ
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S1 可変絞り S2 固定絞り
I 像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8