【実施例】
【0038】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
酸化物基準の質量%表記で、B
2O
322.0%、ZnO60.8%、SiO
211.8%、Al
2O
30.5%、MgO4.9%、およびCeO
20.1%のガラス組成となるように、ホウ素化トリブチル、2−エチルヘキサン酸亜鉛 ミネラルスピリッツ溶液(亜鉛含量:15.0質量%)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム トルエン溶液(マグネシウム含量:2.3質量%)、2−エチルヘキサン酸セリウム(III) 2−エチルヘキサン酸溶液(セリウム含量:12.0%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ162mlを加え、15時間攪拌して完全に溶解させ、酸化物濃度で4質量%の透明で淡黄色の液体原料を調製した。
【0040】
次いで、得られた液体原料を、
図2に示す装置に供給し、バーナから火炎とともに反応筒に噴出させ、熱分解反応を起こさせた後、急冷して、ガラス粉末を生成した。すなわち、バーナに、支燃性ガスとして酸素ガスを5NL/分、可燃性ガスとしてプロパンガスを1NL/分で供給し、バーナ先端で着火し、火炎(約1800℃)を発生させた。このバーナを反応筒内に挿入した後、液体原料を2.5g/分、酸化性ガスとして酸素ガスを9NL/分で、火炎が噴出しているバーナの中心部から噴出させた。なお、反応中、少なくとも反応筒の出口が低温に保たれるように、反応筒を囲繞するように配置された冷却用配管に、常時、冷却水を流した。その後、生成されたガラス粉末を捕集装置より回収した。
【0041】
(実施例2)
酸化物基準の質量%表記で、B
2O
323.0%、ZnO57.0%、SnO
21.0%、SiO
28.0%、Al
2O
34.0%、Li
2O1.0%、CaO1.0%、およびBaO5.0%のガラス組成となるように、ホウ素化トリブチル、2−エチルヘキサン酸亜鉛 ミネラルスピリッツ溶液(亜鉛含量:15.0質量%)、オクチル酸錫(II)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム、ナフテン酸リチウム ミネラルスピリッツ溶液(リチウム含量:1.16質量%)、2−エチルヘキサン酸カルシウム 2−エチルヘキサン酸溶液(カルシウム含量:4.9質量%)、および2−エチルヘキサン酸バリウム トルエン溶液(バリウム含量:8.0質量%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ144mlを加え、15時間攪拌して完全に溶解させ、酸化物濃度で4質量%の透明で淡黄色の液体原料を調製した。
【0042】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0043】
(実施例3)
酸化物基準の質量%表記で、B
2O
323.0%、ZnO49.0%、SnO
21.0%、SiO
210.0%、Al
2O
32.0%、Na
2O3.0%、K
2O4.0%、CaO3.%、およびBaO5.0%のガラス組成となるように、ホウ素化トリブチル、2−エチルヘキサン酸亜鉛 ミネラルスピリッツ溶液(亜鉛含量:15.0質量%)、オクチル酸錫(II)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム 2−エチルヘキサン酸溶液(カルシウム含量:4.9質量%)、および2−エチルヘキサン酸バリウム トルエン溶液(バリウム含量:8.0質量%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ149mlを加え、15時間攪拌して完全に溶解させ、酸化物濃度で5質量%の透明で淡黄色の液体原料を調製した。
【0044】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0045】
(実施例4)
酸化物基準の質量%表記で、B
2O
34.7%、ZnO9.6%、P
2O
518.4%、Bi
2O
339.5%、Li
2O0.8%、ZrO
23.3%、およびNb
2O
523.7%のガラス組成となるように、ホウ素化トリブチル、2−エチルヘキサン酸亜鉛 ミネラルスピリッツ溶液(亜鉛含量:15.0質量%)、トリフェニルホスフィン、2−エチルヘキサン酸ビスマス 2−エチルヘキサン酸溶液(ビスマス含量:25.1質量%)、ナフテン酸リチウム ミネラルスピリッツ溶液(リチウム含量:1.16質量%)、2−エチルヘキサン酸ジルコニア ミネラルスピリッツ溶液(ジルコニア含量:6.00質量%)およびニオブブトキシド n−ブタノール溶液(ニオブ含量:5.01質量%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ107mlを加え、15時間攪拌して完全に溶解させ、酸化物濃度で4質量%の透明で淡黄色の液体原料を調製した。
【0046】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0047】
(実施例5)
酸化物基準の質量%表記で、B
2O
35.9%、ZnO10.6%、Al
2O
30.5%、Bi
2O
382.5%、CeO
20.2%、Fe
2O
30.2%、およびCuO0.1%のガラス組成となるように、ホウ素化トリブチル、2−エチルヘキサン酸亜鉛 ミネラルスピリッツ溶液(亜鉛含量:15.0質量%)、エチルアセトアセテートアルミニウム ジノルマルブチレートとアルミニウム モノ−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステルのミネラルスピリッツ溶液(アルミニウム含量:5.9質量%;ホープ製薬(株)製 商品名 ケロープ(S)−30MT)、2−エチルヘキサン酸ビスマス 2−エチルヘキサン酸溶液(ビスマス含量:25.1質量%)、2−エチルヘキサン酸セリウム 2−エチルヘキサン酸溶液(セリウム含量:12質量%)、2−エチルヘキサン酸鉄 ミネラルスピリッツ溶液(鉄含量:8.0質量%)、2−エチルヘキサン酸銅 ミネラルスピリッツ溶液(銅含量:8.0質量%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ349mlを加え、15時間攪拌させ完全に溶解させ、酸化物濃度で4質量%の透明で黒紫色の液体原料を調製した。
【0048】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0049】
(実施例6)
酸化物基準の質量%表記で、B
2O
323.1%、ZnO49.2%、CoO0.5%、SiO
210.1%、Al
2O
32.0%、Na
2O3.0%、K
2O4.1%、CaO3.0%、およびBaO5.0%のガラス組成となるように、ほう酸、酢酸亜鉛二水和物、硝酸アルムニウム九水和物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、硝酸カルシウム四水和物、硝酸バリウム、酢酸コバルト(II)を秤量分取した後、溶媒として精製水113mlを加え、1時間攪拌させ完全に溶解させた。その後メチルトリエトキシシランを秤量採取した後、前記水溶液に加え均一になるまで1時間攪拌した。さらにエタノール56mlを加えて30分間攪拌し、酸化物濃度で4質量%の透明で淡桃色の液体原料を調製した。
【0050】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0051】
(実施例7)
酸化物基準の質量%表記で、P
2O
546.4%、Al
2O
35.3%、BaO47.5%、およびCoO0.8%のガラス組成となるように、トリフェニルホスフィン、ケロープ(S)−30MT、2−エチルヘキサン酸バリウム トルエン溶液(バリウム含量:8.0質量%)、2−エチルヘキサン酸コバルト(コバルト含量:12.0質量%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ146mlとトルエン36mLを加え、15時間攪拌させ完全に溶解させ、酸化物濃度で5質量%の透明で黒紫色の液体原料を調製した。
【0052】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0053】
(実施例8)
酸化物基準の質量%表記で、B
2O
320.1%、ZnO42.7%、SnO
20.9%、SiO
28.7%、Al
2O
31.8%、Na
2O2.6%、K
2O3.5%、CaO2.6%、BaO4.4%、およびFe
2O
312.7%のガラス組成となるように、ホウ素化トリブチル、2−エチルヘキサン酸亜鉛 ミネラルスピリッツ溶液(亜鉛含量:15.0質量%)、オクチル酸錫(II)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ケロープ(S)−30MT、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム ミネラルスピリッツ溶液(カルシウム含量:4.1質量%)、および2−エチルヘキサン酸バリウム ミネラルスピリッツ溶液(バリウム含量:15.0質量%)、2−エチルヘキサン酸鉄 ミネラルスピリッツ溶液(鉄含量:8.0質量%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ437mlを加え、15時間攪拌させ完全に溶解させ、酸化物濃度で5質量%の黒紫色の液体原料を調製した。
【0054】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0055】
(実施例9)
酸化物基準の質量%表記で、SiO
229.2%、K
2O11.5%、CaO20.5%、およびFe
2O
338.8%のガラス組成となるように、オクタメチルシクロテトラシロキサン、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム ミネラルスピリッツ溶液(カルシウム含量:4.1質量%)、2−エチルヘキサン酸鉄 ミネラルスピリッツ溶液(鉄含量:8.0質量%)を秤量分取した後、溶媒としてミネラルスピリッツ105mLを加え、15時間攪拌させ完全に溶解させ、酸化物濃度で5質量%の黒紫色の液体原料を調製した。
【0056】
上記液体原料を
図2に示す装置を用いて実施例1と同様にしてガラス粉末を生成し、捕集装置より回収した。
【0057】
上記各実施例で得られたガラス粉末の形態を、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子(株)製、JEM−1230)により観察するとともに、ガラス転移点Tg(℃)、ガラス軟化点Ts(℃)、結晶化ピーク温度Tc(℃)、50〜300℃における平均線膨張係数α(/℃)、および結晶ピークの有無を測定した。また、TEM写真を画像解析ソフトウエアで解析し、平均粒子径と平均真球度を求めた。測定方法および算出方法を以下に示す。
【0058】
[ガラス転移点Tg]
示差熱分析装置((株)リガク製 TG8110)を用いて、約20mgのガラス粒子を5℃/minの昇温速度で、室温から800℃まで昇温して測定した。
[ガラス軟化点Ts]
ガラス粒子約20mgを白金パンに入れ、熱重量測定・示唆熱分析装置((株)リガク製 TG8110)によって昇温速度を10℃/minとして測定し、ガラス転移点Tgよりも高温側に現れる軟化流動に伴うDTA曲線の屈曲点における温度をガラス軟化点Tsとした。
[結晶化ピーク温度Tc]
ガラス粒子約20mgを白金パンに入れ、熱重量測定・示唆熱分析装置((株)リガク製 TG8110)によって昇温速度10℃/minとして測定し、結晶化に伴うDTA曲線の発熱ピークの温度を結晶化ピーク温度Tcとした。結晶化ピークがないか、またはピークが小さく検知できないときは「−」と表記した。
[平均線膨張係数α]
焼結したガラスを切削加工して約5mmφ×20mmの試料ガラスを得、この試料ガラスについて、熱膨張計((株)リガク製 TMA8310)を用いて、昇温速度5℃/minで測定した。50℃における試料の長さL
50と300℃における試料の長さL300を測定し、次式より50℃〜300℃における平均線膨張係数αを求めた。
α={(L
300/L
50)−1}/(300−50)
[結晶ピークの有無]
X線回折装置(リガク(株)製 TTR−III)を用いてX線回折分析(XRD)を行い、結晶に起因するピークの有無を調べた。
【0059】
[平均粒子径]
画像解析ソフトウエア(三谷商事(株)製 WinRoof)を用いて、TEMで撮像した写真の任意の50個の粒子について、2値化処理した後、2値化面積と同じ面積の等価円の直径を粒子径(Li)として求め、下記の式より平均粒子径(L)を算出した。
【数1】
(n:測定数(=50))
【0060】
[平均真球度]
画像解析ソフトウエア(三谷商事(株)製 WinRoof)を用いて、TEMで撮像した写真の任意の50個の粒子について、各粒子を明度で2値化処理した後、2値化図形の重心を通る最大直径(Dmaxi)と最小直径(Dmini)を求め、下記の式より真球度(Di)および平均真球度(D)を算出した。
【数2】
(n:測定数(=50))
【0061】
上記測定結果をガラスの組成とともに表1に示す。また、各実施例のガラス粉末の透過型電子顕微鏡による撮像写真を
図3〜
図11に示す。なお、表1の組成欄の空欄は含有量が0%であったことを示す。
【0062】
【表1】
【0063】
図3乃至
図11からも明らかなように、各実施例で得られたガラス粉末はいずれも、微細で真球度の高いガラス粉末が得られている。