(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6149729
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01G 11/10 20130101AFI20170612BHJP
H01G 11/14 20130101ALI20170612BHJP
H01G 2/04 20060101ALI20170612BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20170612BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20170612BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20170612BHJP
H01M 2/34 20060101ALI20170612BHJP
H01M 2/20 20060101ALI20170612BHJP
H01M 2/30 20060101ALI20170612BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20170612BHJP
【FI】
H01G11/10
H01G11/14
H01G1/03 Z
H01G1/02 Z
H01G1/02 C
H01M2/10 M
H01M2/34 B
H01M2/20 A
H01M2/30 A
H01M2/10 V
H01M2/10 E
H01G11/82
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-549328(P2013-549328)
(86)(22)【出願日】2012年12月14日
(86)【国際出願番号】JP2012082522
(87)【国際公開番号】WO2013089232
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-273876(P2011-273876)
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-273877(P2011-273877)
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100186819
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 俊尚
(72)【発明者】
【氏名】濱 良樹
(72)【発明者】
【氏名】関 明紀
(72)【発明者】
【氏名】土屋 孝之
(72)【発明者】
【氏名】上原 秀秋
(72)【発明者】
【氏名】松浦 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】鹿間 忠
【審査官】
堀 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−066001(JP,A)
【文献】
特開2007−280679(JP,A)
【文献】
特開2008−041369(JP,A)
【文献】
特開2007−213940(JP,A)
【文献】
特開2011−155018(JP,A)
【文献】
特開2006−134801(JP,A)
【文献】
特開2003−257393(JP,A)
【文献】
特開2000−286172(JP,A)
【文献】
特開2000−011987(JP,A)
【文献】
特開平06−163028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/10
H01G 2/02
H01G 2/04
H01G 2/10
H01G 11/14
H01G 11/82
H01M 2/10
H01M 2/20
H01M 2/30
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に電極を有する柱状の複数の蓄電素子と正極端子及び負極端子を備えた蓄電素子アセンブリと、
前記蓄電素子アセンブリを収納する箱形のケースと、
前記蓄電素子アセンブリのための制御回路を備えた制御基板と、
前記ケースに固定された正極出力端子及び負極出力端子とを備えた蓄電モジュールであって、
前記蓄電素子アセンブリは、並列配置された前記複数の蓄電素子の両端部が電気絶縁材料から構成された一対の蓄電素子ホルダによって保持されて構成された複数の蓄電素子ユニットからなり、
前記蓄電素子ユニットからは前記一対の蓄電素子ホルダ間に形成される隙間を通して、複数本の制御用ケーブルが引き出されており、
前記蓄電素子アセンブリと前記ケースとの間には、前記正極端子と前記正極出力端子とを電気的に接続する正極接続ケーブルと、前記負極端子と前記負極出力端子とを電気的に接続する負極接続ケーブルと、前記制御回路に前記複数本の制御用ケーブルが電気的に接続された前記制御基板とが一緒に配置される空間が形成されており、
前記制御基板を保持する基板ホルダが、前記蓄電素子ユニットに含まれる1以上の前記蓄電素子ホルダに固定されており、
前記基板ホルダは前記制御基板を前記一対の蓄電素子ホルダ間に位置する前記複数の蓄電素子から離した状態で保持する構造を有しており、
前記蓄電素子アセンブリの前記正極端子及び負極端子を、前記空間内に位置させるように、前記複数の蓄電素子ユニットのそれぞれの前記蓄電素子ホルダと前記複数の蓄電素子との間に配置された複数のバスバの形状と接続関係が定められており、
前記基板ホルダは基板固定部と該基板固定部の両側に配置されて互いに離れる方向に延びる一対のアーム部とを備えており、
前記蓄電素子アセンブリは、2つの前記蓄電素子ユニットがそれぞれの前記蓄電素子ホルダを接触させた状態で前記ケースの上壁部と対向するように構成されており、
前記基板ホルダの一対のアーム部の一方の前記アーム部が、2つの前記蓄電素子ユニットの接触した2つの前記蓄電素子ホルダにそれぞれ固定され、他方の前記アーム部が2つの前記蓄電素子ユニットの残りの接触した2つの前記蓄電素子ホルダにそれぞれ固定されていることを特徴とする蓄電モジュール。
【請求項2】
前記ケースは、底壁部と、前記底壁部と対向する上壁部と、前記底壁部と前記上壁部との間に位置する4つの側壁部とからなり、
前記底壁部上に前記蓄電素子アセンブリが設置され、
前記蓄電素子アセンブリと前記上壁部との間に前記空間が形成されており、
前記正極接続ケーブルと前記負極接続ケーブルとが前記上壁部が延びる方向に間隔をあけて配置され且つ前記間隔の中に前記制御基板が位置するように、前記正極端子及び前記負極端子並びに前記正極出力端子及び前記負極出力端子の配置位置と、前記複数の蓄電素子の相互間を接続する電気的接続構造とが定められていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
両端部に電極を有する柱状の複数の蓄電素子と正極端子及び負極端子を備えた蓄電素子アセンブリと、
前記蓄電素子アセンブリを収納する箱形のケースと、
前記蓄電素子アセンブリのための制御回路を備えた制御基板と、
前記ケースに固定された正極出力端子及び負極出力端子とを備えた蓄電モジュールであって、
前記蓄電素子アセンブリは、並列配置された前記複数の蓄電素子の両端部が電気絶縁材料から構成された一対の蓄電素子ホルダによって保持されて構成された複数の蓄電素子ユニットからなり、
前記蓄電素子ユニットからは前記一対の蓄電素子ホルダ間に形成される隙間を通して、複数本の制御用ケーブルが引き出されており、
前記蓄電素子アセンブリと前記ケースとの間には、前記正極端子と前記正極出力端子とを電気的に接続する正極接続ケーブルと、前記負極端子と前記負極出力端子とを電気的に接続する負極接続ケーブルと、前記制御回路に前記複数本の制御用ケーブルが電気的に接続された前記制御基板とが一緒に配置される空間が形成されており、
前記制御基板を保持する基板ホルダが、前記蓄電素子ユニットに含まれる1以上の前記蓄電素子ホルダに固定されており、
前記基板ホルダは前記制御基板を前記一対の蓄電素子ホルダ間に位置する前記複数の蓄電素子から離した状態で保持する構造を有しており、
前記蓄電素子アセンブリの前記正極端子及び負極端子を、前記空間内に位置させるように、前記複数の蓄電素子ユニットのそれぞれの前記蓄電素子ホルダと前記複数の蓄電素子との間に配置された複数のバスバの形状と接続関係が定められており、
前記ケースは、底壁部と、前記底壁部と対向する上壁部と、前記底壁部と前記上壁部との間に位置する4つの側壁部とからなり、
前記底壁部上に前記蓄電素子アセンブリが設置され、
前記蓄電素子アセンブリと前記上壁部との間に前記空間が形成されており、
前記正極接続ケーブルと前記負極接続ケーブルとが前記上壁部が延びる方向に間隔をあけて配置され且つ前記間隔の中に前記制御基板が位置するように、前記正極端子及び前記負極端子並びに前記正極出力端子及び前記負極出力端子の配置位置と、前記複数の蓄電素子の相互間を接続する電気的接続構造とが定められていることを特徴とする蓄電モジュール。
【請求項4】
前記電気的接続構造は、前記蓄電素子ホルダと複数の蓄電素子との間に配置されたバスバが前記蓄電素子に接続されて構成されている請求項2または3に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記側壁部を貫通するネジ部材の雄ネジ部が、前記蓄電素子ユニットの前記蓄電素子ホルダに設けた雌ネジ部に螺合されて、前記蓄電素子アセンブリが前記ケースに対して固定されている請求項2または3に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記上壁部は、前記制御基板と対向する第1の壁部分と、該第1の壁部分と連続して該第1の壁部分と直交し且つ前記蓄電素子アセンブリに向かって延びる第2の壁部分と、該第2の壁部分と連続し前記第1の壁部分から離れる方向に延びる第3の壁部分とを有しており、
前記第2の壁部分に前記正極出力端子及び負極出力端子が固定されている請求項1または3に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
前記蓄電素子が捲回型のキャパシタである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項8】
前記ケースは、底壁部と、前記底壁部と対向する上壁部と、前記底壁部と前記上壁部との間に位置する4つの側壁部とからなり、
前記底壁部上に前記蓄電素子アセンブリが設置され、
前記蓄電素子アセンブリと前記上壁部との間に前記空間が形成されており、
前記複数の蓄電素子ユニットから引き出された前記複数本の制御用ケーブルは、全て前記蓄電素子アセンブリと前記底壁部及び側壁部の間を通ることなく前記空間内に引き回されている請求項1または3に記載の蓄電モジュール。
【請求項9】
前記蓄電素子アセンブリの前記ケースの前記底壁部と対向する底面部及び前記ケースの前記側壁部と対向する4つの側面部のうち少なくとも前記底面部と連続する部分が、摩擦低減用包囲材によって覆われており、
前記摩擦低減用包囲材は、前記上壁部を開放した状態の前記ケース内に前記蓄電素子アセンブリを挿入する際の摩擦抵抗を低減できる材料により形成されている請求項1または3に記載の蓄電モジュール。
【請求項10】
前記摩擦低減用包囲材は、1枚のシート材料を折り曲げて形成されている請求項9に記載の蓄電モジュール。
【請求項11】
前記側壁部を貫通するネジ部材の雄ネジ部が、前記蓄電素子ユニットの前記蓄電素子ホルダに設けた雌ネジ部に螺合されて、前記蓄電素子アセンブリが前記ケースに対して固定されており、
前記摩擦低減用包囲材は、前記4つの側壁面のうち前記雌ネジ部よりも前記底面部側に位置する部分を覆っている請求項9に記載の蓄電モジュール。
【請求項12】
前記ケースは、第1の壁部と、前記第1の壁部と対向する第2の壁部と、前記第1の壁部と前記第2の壁部との間に位置する第3乃至第6の壁部とからなり、
前記第2の壁部は、前記制御基板と対向する第1の壁部分と、該第1の壁部分と連続して該第1の壁部分と直交する第2の壁部分と、該第2の壁部分と連続し前記第1の壁部分から離れる方向に延びる第3の壁部分とを有しており、
前記第2の壁部分に前記正極出力端子及び負極出力端子が固定されていることを特徴とする請求項1または3に記載の蓄電モジュール。
【請求項13】
前記第2の壁部分には、前記制御基板に設けられたリード線接続部へリード線を導入することを許容する窓部が形成されている請求項12に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2010−239829号公報には、複数の電気二重層キャパシタからなるキャパシタ・ユニットと、キャパシタ・ユニットを収納する剛性を有する箱形のケースとを備えたキャパシタ・モジュール(蓄電モジュール)の一例が示されている。複数のキャパシタの電圧調整回路を含む制御回路は、ケースの内部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−239829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の蓄電モジュールでは、制御基板を含めて、リチウムイオンキャパシタ等の容量の大きな蓄電素子をケースの内部に収納して、しかもケースの形状を小さくすることが求められている。また製造が容易な蓄電モジュールも求められている。
【0005】
本発明の目的は、ケース内に制御基板と蓄電素子を収納して、しかも製造が容易な蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が改良の対象とする蓄電モジュールは、リチウムイオンキャパシタ等の複数の蓄電素子と正極端子及び負極端子を備えた蓄電素子アセンブリと、蓄電素子アセンブリを収納する剛性を有する箱形のケースと、蓄電素子アセンブリの制御回路を備えた制御基板と、ケースに固定された正極出力端子及び負極出力端子とを備えている。例えば、ケースは、底壁部と、底壁部と対向する上壁部と、底壁部と上壁部との間に位置する4つの側壁部とから構成することができる。なお、本発明においては、上下左右の方向を特定せずに、ケースは、第1の壁部と、第1の壁部と対向する第2の壁部と、第1の壁部と第2の壁部との間に位置する第3乃至第6の壁部とから構成されている、と捉えることも可能である。
【0007】
蓄電素子アセンブリとケースとの間には、正極端子と正極出力端子とを電気的に接続する正極接続ケーブルと、負極端子と負極出力端子とを電気的に接続する負極接続ケーブルと、制御基板とが配置される空間を形成する。
【0008】
本発明では、蓄電素子アセンブリを、複数の蓄電素子が電気絶縁材料から構成された一対の蓄電素子ホルダの間に挟持されて構成された複数の蓄電素子ユニットから構成する。そして制御基板を保持する基板ホルダを、蓄電素子ユニットに含まれる1以上の蓄電素子ホルダに固定する。基板ホルダは、制御基板を蓄電素子アセンブリから離した状態で保持する構造を有する。このような基板ホルダを採用すると、ケース内に収納する前に、モジュールの構造物を組み立てることができる。そしてその構造物をケース内に収納することにより、蓄電モジュールを簡単に製造することができる。その上、ケース内に配置する制御基板を、基板ホルダを介して蓄電素子アセンブリの蓄電素子ホルダに対して確実に位置決め固定することができる。また制御基板と蓄電素子との間の電気絶縁距離を常に一定に維持して短絡の発生を防止することができる。
【0009】
なお基板ホルダは基板固定部と該基板固定部の両側に配置されて互いに離れる方向に延びる一対のアーム部とを備えた構造とすることができる。なお2つの蓄電素子ユニットがそれぞれの蓄電素子ホルダを接触させた状態でケースの上壁部と対向するように蓄電素子アセンブリが構成されている場合には、基板ホルダの一対のアーム部の一方のアーム部を、2つの蓄電素子ユニットの接触した2つの蓄電素子ホルダにそれぞれ固定し、他方のアーム部を2つの蓄電素子ユニットの残りの接触した2つの蓄電素子ホルダにそれぞれ固定すればよい。このようにすると外部から振動が加わった場合でも、制御基板と蓄電素子との間の距離を一定に保つことができて、安全性を高めることができる。
【0010】
そして正極接続ケーブルと負極接続ケーブルとが、ケースの上壁部が延びる方向に間隔をあけて配置され且つ前述の空間中に制御基板が位置するように、正極端子及び負極端子並びに正極出力端子及び負極出力端子の配置位置と、複数のキャパシタの相互間を接続する電気的接続構造とを定めてもよい。このような構成を採用すると、蓄電素子アセンブリの上に正極接続ケーブルと負極接続ケーブルと制御基板とを横並びで配置することができるので、制御基板をケース内に配置しても、ケースの寸法を小さくすることができる。また蓄電素子アセンブリの上に正極接続ケーブルと負極接続ケーブルと制御基板とを配置する構成にすると、ケース内での接続作業が容易になり、製造が容易な蓄電モジュールを提供することができる。
【0011】
蓄電素子ユニットを用いる場合、電気的接続構造は、ホルダと複数のキャパシタとの間に配置されたバスバが蓄電素子に接続されて構成されているのが好ましい。バスバを用いて電気的接続構造を構成すると、限られたスペースの中で、電気的接続を実現できる。
【0012】
ケースの構造は任意であるが、上壁部は、制御基板と対向する第1の壁部分と、該第1の壁部分と連続して該第1の壁部分と直交し且つ蓄電素子アセンブリに向かって延びる第2の壁部分と、該第2の壁部分と連続し第1の壁部分から離れる方向に延びる第3の壁部分とを有していてもよい。蓄電モジュールの上下左右の方向を特定しない場合には、第2の壁部は、制御基板と対向する第1の壁部分と、該第1の壁部分と連続して該第1の壁部分と直交する第2の壁部分と、該第2の壁部分と連続し前記第1の壁部分から離れる方向に延びる第3の壁部分とを有していてもよい。これらの場合において、第2の壁部分に正極出力端子及び負極出力端子を固定してもよい。このようにすると、正極出力端子及び負極出力端子を限られた空間の中に配置することができるので、ユニットの設置スペースを小さいものとすることができる。また、第2の壁部分には、制御基板に設けられたリード線接続部へリード線を導入することを許容する窓部を形成することもできる。
【0013】
また側壁部を貫通するネジ部材の雄ネジ部を、蓄電素子ユニットのホルダに設けた雌ネジ部に螺合させることにより、蓄電素子アセンブリをケースに対して固定するようにしてもよい。このような固定構造を採用すると、蓄電素子アセンブリをケース内に挿入した後に、接着剤を用いることなく、蓄電素子アセンブリの固定を実現できる。
【0014】
蓄電素子ユニットからは、一対の蓄電素子ホルダ間に形成される隙間を通して、複数本の制御用ケーブルが引き出されている。複数本の制御用ケーブルには、電圧測定用のケーブル、温度測定用のケーブル等が含まれる。
【0015】
特に本発明においては、蓄電素子アセンブリとケースとの間に、正極端子と正極出力端子とを電気的に接続する正極接続ケーブルと、負極端子と負極出力端子とを電気的に接続する負極接続ケーブルと、制御回路に複数本の制御用ケーブルが電気的に接続された制御基板とが一緒に配置される空間が形成をする。そして蓄電素子アセンブリの正極端子及び負極端子を、この空間内に位置させるように、複数の蓄電素子ユニットのそれぞれの蓄電素子ホルダと複数の蓄電素子との間に配置した複数のバスバの形状と接続関係が定められている。
【0016】
本発明のように制御用ケーブルを引き回して、しかも各蓄電素子ユニットにおけるバスバの形状と接続関係を定めると、制御基板等を配置するための空間を形成するために利用されないケースの壁部と蓄電素子アセンブリとの間に、ケーブルが引き回されることがない。そのため、発明によれば、ケース内にジャストフィットで蓄電素子アセンブリを収納することができ、蓄電モジュールの小型化を図ることができる。
【0017】
なおケースの底壁部上に蓄電素子アセンブリを設置し、蓄電素子アセンブリと上壁部との間に前記空間を形成する場合には、複数の蓄電素子ユニットから引き出された複数本の制御用ケーブルは、全て蓄電素子アセンブリと底壁部及び側壁部との間を通すことなく前記空間内に引き回すことができる。その結果、簡単に且つスムーズに、蓄電素子アセンブリをケース内に挿入することができる。
【0018】
この場合、蓄電素子アセンブリのケースの底壁部と対向する底面部及びケースの側壁部と対向する4つの側面部のうち少なくとも底面部と連続する部分が、摩擦低減用包囲材によって覆うのが好ましい。なお摩擦低減用包囲材は、上壁部を開放した状態のケース内に蓄電素子アセンブリを挿入する際の摩擦抵抗を低減できる材料により形成されている。このような摩擦低減用包囲材で蓄電素子アセンブリの一部を覆うと、ケース内への蓄電素子アセンブリの挿入がスムーズになる。したがって蓄電モジュールの組み立てが容易になる。
【0019】
摩擦低減用包囲材は、1枚のシート材料を折り曲げて形成することができる。このような摩擦低減用包囲材を用いると、特注で成形した摩擦低減用包囲材を用いる必要がないので、安価に摩擦低減用包囲材を構成することができ、蓄電モジュールの製造コストを低減できる。
【0020】
側壁部を貫通するネジ部材の雄ネジ部が、蓄電素子ユニットの蓄電素子ホルダに設けた雌ネジ部に螺合されて、蓄電素子アセンブリがケースに対して固定された構造を採用する場合、摩擦低減用包囲材は、4つの側壁面のうち雌ネジ部よりも底面側に位置する部分を覆うようにする。このようにすると摩擦低減用包囲材が、ネジ部材による固定作業の邪魔になることがない。
【0021】
蓄電素子は、キャパシタ及び電池のいずれでもよい。また、蓄電素子は、正極板と負極板とがセパレータを介して積層されてなる極板群を捲回して円筒型の容器に封入して得られる円筒型蓄電素子であっても、複数枚の極板をセパレータを介して積層した積層型の極板群を容器に封入して得られる積層型蓄電素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明をリチウムイオン・キャパシタモジュールに適用した第1の実施の形態の蓄電モジュールの斜視図である。
【
図2】蓄電モジュールのケース上壁部を除いた状態の内部構造の主要部分を示す平面図である。
【
図3】ケースの第1の上壁部分及び側壁部を除いた状態における蓄電モジュールの内部構造の主要部分を示す蓄電モジュールの正面図である。
【
図4】ケースの側壁部を除いた状態における蓄電モジュールの内部構造の主要部分を示す蓄電モジュールの側面図である。
【
図7】第2の実施の形態の蓄電モジュールのケースの側壁部を除いた状態における内部構造の主要部分を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態の側壁部を除いた状態における蓄電モジュールの内部構造の主要部分を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態の蓄電モジュールのケースの上壁部の一部を除いた状態の内部構造の主要部分を示す図である。
【
図10】(A)乃至(C)は、2つの蓄電素子ユニット内のセル群を直列に接続するバスバの接続状態を説明するための図である。
【
図11】第2の実施の形態で用いる蓄電素子アセンブリの平面図である。
【
図12】(A)乃至(C)は、第2の実施の形態で用いる蓄電素子アセンブリを摩擦低減用包囲材で部分的に覆った例の側面図、正面図及び平面図を示している。
【
図13】摩擦低減用包囲材を作るためのシートの平面図である。
【
図14】(A)は第3の実施の形態の蓄電モジュールの平面図、(B)は背面図及び(C)は、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の蓄電モジュールの実施の形態について説明する。
図1は、本発明をリチウムイオン・キャパシタモジュールに適用した第1の実施の形態の蓄電モジュール101の斜視図である。ケース103は、表面に防蝕塗料が塗布された金属板を箱形に成形した構造を有している。具体的に、ケース103は、一面が開口したケース本体104と、ケース本体104の上方に配置される上壁部107とから構成されている。上壁部107は、横断面形状がL字方を呈する第1の上壁部分107Aと、該第1の上壁部分107Aよりも高さの高い位置にある平板状の第2の上壁部分107Bとを備えている。第1の上壁部分107Bには、正極出力端子108A及び負極出力端子108Bとが実装されている。なお、本実施の形態では、第1の上壁部分107Aを構成する2つの壁部分107Aa及び107Abのうち端子108A及び108Bが固定される壁部分107Aaが第2の壁部分であり、壁部分107Abが第3の壁部分を構成し、第2の上壁部分107Bが第1の壁部分を構成している。正極出力端子108A及び負極出力端子108Bは、接続端子部108Cが絶縁材料からなるガード108Dによって囲まれた構造を有する市販の端子部材である。
【0024】
図2は蓄電モジュール101のケース103の上壁部107を除いた状態の内部構造の主要部分を示す平面図であり、
図3は第1の上壁部分及びケース103の後述する側壁部113Bを除いた状態における蓄電モジュール101の内部構造の主要部分を示す蓄電モジュール101の正面図であり、
図4はケース103の後述する側壁部111Bを除いた状態における蓄電モジュール101の内部構造の主要部分を示す蓄電モジュール101の側面図である。
図1乃至
図4に示されるように、ケース本体104は、底壁部109(第1の壁部)と、底壁部109と上壁部107(第2の壁部)との間に位置する4つの側壁部111A(第3の壁部),111B(第4の壁部),113A(第5の壁部),113B(第6の壁部)とから構成されている。4つの側壁部111A,111B,113A,113Bは、対向する一対の側壁部111A,111Bと、一対の側壁部111A,111Bが対向する方向と直交する方向に対向する一対の側壁部113A,113Bとを含んでいる。一対の側壁部111A,111Bは、長方形に近い輪郭形状を有しており、一対の側壁部113A,113Bは、一つの角部に切り欠き部を備えた長方形の輪郭形状を有している。
【0025】
図2乃至
図4に示すように、蓄電モジュール101は、4本のリチウムイオンキャパシタをバスバで電気的に接続してなる蓄電素子ユニット115及び117をケース103内に収納している。
図5には、蓄電素子ユニット115の分解組立斜視図が示されており、
図6には蓄電素子ユニット117の分解組立斜視図が示されている。
【0026】
図5に示した蓄電素子ユニット115は、セル集合体3と、第1及び第2の蓄電素子ホルダ5及び7とから構成される。セル集合体3は、一端に凸状電極9を有し且つ他端に面状電極11を有する柱状電気化学セル(蓄電素子)の一種である柱状のリチウムイオンキャパシタ13が4本並列配置されてなるセル群15と、セル群15に含まれる4本のリチウムイオンキャパシタ13が延びる方向の両側にそれぞれ配置されて、4本のリチウムイオンキャパシタ13の電極に溶接されるバスバ17〜20´とから構成される。この例では、5本のバスバ17〜20´により、4本のリチウムイオンキャパシタ13が直列接続された配線パターンになるように、4本のリチウムイオンキャパシタ13はそれぞれ向きを変えて配置されている。すなわちバスバ17は上段左のリチウムイオンキャパシタ13の凸状電極9が接続され、バスバ18は上段右のリチウムイオンキャパシタ13の面上電極が接続され、バスバ19は左下段及び右下段のリチウムイオンキャパシタ13の面状電極と凸状電極を接続し、バスバ20は左上段及び下段のリチウムイオンキャパシタ13の面状電極と凸状電極を接続し、バスバ20´は右上段及び下段のリチウムイオンキャパシタ13の凸状電極と面状電極を接続している。5本のバスバ17〜20´は、電気的接続構造の一部を構成している。
【0027】
5本のバスバ17〜20´は、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム等の抵抗値が低い導電性材料や銅材にスズメッキやニッケルメッキを施したものをプレス成形して形成したものである。なお4本のリチウムイオンキャパシタ13により構成する配線パターンに応じて、使用するバスバの形状及び個数が異なるのは当然である。本実施の形態で用いるバスバ17及び18は、貫通孔17A及び18Aと端子部17B及び18Bを備えている。本実施の形態では、端子部17Bが正極端子を構成する。そして端子部18Bは、接続端子を構成する。
【0028】
バスバ19、20及び20´は、端子部は備えておらず、貫通孔19A乃至20´Aを備えている。貫通孔17A乃至20´Aは半田溜まりを形成したり、溶接の際の抵抗値を高めるために形成されている。本実施の形態では、バスバ17〜20´をハンダや抵抗溶接によりキャパシタ13の電極(9,11)に接続して、セル集合体3が事前に構成される。
【0029】
第1の蓄電素子ホルダ5は、セル集合体3のリチウムイオンキャパシタ13が延びる方向に位置する一端に嵌合されている。また第2の蓄電素子ホルダ7は、セル集合体3のリチウムイオンキャパシタ13が延びる方向に位置する他端に嵌合されている。蓄電素子ホルダ5,7の構造を説明する。本実施の形態で使用する蓄電素子ホルダ5,7は、絶縁樹脂材料により一体に成形されており、底壁部21と周壁部22とを備えている。底壁部21は、ほぼ矩形状の輪郭を有してセル集合体3の一端または他端と対向する。
【0030】
底壁部21の周縁部から立ち上がってセル集合体3側に延びる周壁部22は、同じ長さ寸法を有し且つそれぞれ直交する第1乃至第4の側壁部22A〜22Dによって構成されている。対向する第1及び第3の側壁部22A及び22Cには、底壁部21に形成した一対の底壁側開口部21E及び21Fと連通する2つの側壁側開口部22E及び22Fが形成されている。また第2の側壁部22Bには、2つの側壁側開口部22G及び22Hが形成されており、第4の側壁部22Dにも2つの側壁側開口部22I及び22Jが形成されている。2つの側壁側開口部22G及び22H並びに2つの側壁側開口部22I及び22Jは、一方向にバスバの端子部を出すことができる形状を有している。
【0031】
底壁部21には、その中心部に
図1に示した支柱16を固定するための図示しない頭部付きのネジを挿入する中心孔23が形成されている。また底壁部21の2つの辺には、中心孔23に向かって凸となるように形成されて底壁部21の厚み方向に貫通し且つ中心孔23から離れる方向に開口する底壁側開口部21E及び21Fが形成されている。
【0032】
また底壁部21には、それぞれ電圧検出用リード線を通すことが可能な直径を有する貫通孔24が4個形成されている。4個の貫通孔24は、それぞれ中心孔23の回りに90°ずつ角度間隔を開けて形成されている。更に底壁部21には、底壁部21の4つの角部に対して想定される2本の対角線上にそれぞれ位置するように4つの貫通孔25が形成されている。また底壁部21には、前述の第2の仮想面S2が通る位置に、2つの雌螺子孔26が形成されている。この雌螺子孔26には、
図1及び
図2に示す螺子部材119が、ケース本体104を貫通して螺合される。その結果、蓄電素子アセンブリ118がケース103内に固定される。
【0033】
第1乃至第4の側壁部22A〜22Dと底壁部21とによって囲まれる空間SPは、すべての側壁側開口部22E〜22Jと連通し複数のバスバを受け入れる連続した空間である。具体的には、端部嵌合用凹部28A〜28Dがすべて連通して連続した環状の空間SPが形成されている。
【0034】
なおバスバ17は蓄電素子ホルダ5の端部嵌合用凹部28B内に配置され、バスバ18は蓄電素子ホルダ5の端部嵌合用凹部28A内に配置される。そしてバスバ17の端子部17Bは、側壁側開口部22Hから外部に延び出ており、バスバ18の端子部18Bは、側壁側開口部22Eから外部に延び出ている。バスバ19は蓄電素子ホルダ5の連通する2つの端部嵌合用凹部28C及び28D内に配置され、バスバ20はホルダ7の連通する2つの端部嵌合用凹部28B及び28C内に配置され、バスバ20´はホルダ7の連通する2つの端部嵌合用凹部28A及び28D内に配置される。
【0035】
図6は蓄電素子ユニット117の構成を説明するために用いる斜視図を示している。この蓄電素子ユニット117は、
図5の蓄電素子ユニット115と比べて、バスバ17´の形状及び取り付け位置と、バスバ18´の取り付け位置とが異なる。すなわち本実施の形態では、バスバ17´が第1の蓄電素子ホルダ5の端子部17´Bを露出するように側壁側開口部22Fから出ている。またバスバ18´が、端子部18´Bを露出するように側壁側開口部22Gから出すように配置されている。本実施の形態では、端子部18´Bが負極端子を構成しており、端子部17´Bが接続端子を構成している。その他の点は、
図1の蓄電モジュール1の構成と同様である。
【0036】
図2乃至
図4に示すように、本実施の形態では、2つの蓄電素子ユニット115及び117を組み合わせて蓄電素子アセンブリ118を構成しており、蓄電素子アセンブリ118とケース103の上壁部107との間に、正極端子17Bと正極出力端子108Aとを電気的に接続する正極接続ケーブル127と、負極端子18´Bと負極出力端子108Bとを電気的に接続する負極接続ケーブル129と、制御基板121とが配置される空間S(
図3及び
図4)が形成されている。
図2においては、ケース103の上壁部107を除いてあるため、正極出力端子108A及び負極出力端子108Bは図示していない。そのため正極接続ケーブル127と負極接続ケーブル129の一方の端部は、フリーな状態で示してある。
【0037】
図2乃至
図6には図示していないが、蓄電素子ユニット115及び117からは、それぞれ一対の蓄電素子ホルダ5と蓄電素子ホルダ7との間に形成される複数の隙間を通して、複数本の制御用ケーブルが空間S内に引き出されている。この複数本の制御用ケーブルは、一対の電圧測定用のケーブルと一対の温度測定用のケーブルを含んでいる。一対の電圧測定用のケーブルは、蓄電素子ユニットの両端電圧を後述する制御基板121上の制御回路に送信するためのものである。一対の温度測定用のケーブルは、温度を測定するために、蓄電素子ユニット内の1つのキャパシタ13上に設置された温度センサから、測定温度に比例した信号を制御回路に送信するためのものである。なお本実施の形態では、蓄電素子アセンブリ118の正極端子17B及び負極端子18´Bを、空間S内に位置させるように、2つの蓄電素子ユニット115及び117のそれぞれの蓄電素子ホルダ5,7と4本のキャパシタ13との間に配置したバスバ17〜20´の形状と接続関係を定めている。2つの蓄電素子ユニット115及び117から引き出された図示しない複数本の制御用ケーブルは、全て蓄電素子アセンブリ118とケース103の底壁部109及び側壁部111A,111B,113A,113Bの間を通ることなく空間S内に引き回されている。
【0038】
なお本実施の形態では、2つの蓄電素子ユニット115及び117がそれぞれの蓄電素子ホルダ5,5(7,7)を接触させた状態でケース103の上壁部107と対向するように蓄電素子アセンブリ118が構成されている。そして本実施の形態では、
図2に示すように、正極接続ケーブル127と負極接続ケーブル129とが、ケース103の上壁部107が延びる方向に間隔をあけて配置され且つ前述の空間Sの中に制御基板121が位置するように、正極端子17B及び負極端子18´B並びに正極出力端子108A及び負極出力端子108Bの配置位置と、複数のキャパシタ13の相互間を接続する電気的接続構造を定めている。このような構成を採用すると、蓄電素子アセンブリ118の上に正極接続ケーブル127と負極接続ケーブル129と制御基板121とを横並びで配置することができるので、制御基板121をケース103内に配置しても、ケース103の寸法を小さくすることができる。また蓄電素子アセンブリ118の上に正極接続ケーブル127と負極接続ケーブル129と制御基板121とを配置する構成にすると、ケース103内での接続作業が容易になり、製造が容易な蓄電モジュールを提供することができる。
【0039】
本実施の形態では、制御基板121(
図3及び
図4)を保持する基板ホルダ123を、2つの蓄電素子ユニット115及び117を連結する連結部材として利用している。
図2においては、基板ホルダ123を明示するために、制御基板121は除いてある。制御基板121を保持する基板ホルダ123は、制御基板121を蓄電素子アセンブリ118から離した状態で保持する構造を有している。具体的には、基板ホルダ123は基板固定部123Aと該基板固定部123Aの両側に配置されて互いに離れる方向に延びる一対のアーム部123B及び123Cとを備えている。基板固定部123Aは、
図2及び
図3に示すように、アーム部123B及び123Cと連続する平板状部分123Dと、平板状部分の幅方向両側から起立する一対のフランジ部123Eとから構成される。一対のフランジ部123Eに制御基板121がネジ止めされる。
【0040】
また本実施の形態では、基板ホルダ123の一対のアーム部の一方のアーム部123Bを、2つの蓄電素子ユニット115及び117の接触した2つの蓄電素子ホルダ5,5にそれぞれネジ125で固定し、他方のアーム部123Cを2つの蓄電素子ユニット115及び117の残りの接触した2つの蓄電素子ホルダ7,7にそれぞれネジ125で固定している。このようにすると外部から振動が加わった場合でも、制御基板121と蓄電素子との間の距離を一定に保つことができて、安全性を高めることができる。このような基板ホルダ123を採用すると、ケース103内に収納するまえに、モジュールの構造物を組み立てることができる。その上、ケース103内に配置する制御基板121を、基板ホルダ123を介して蓄電素子アセンブリ118の蓄電素子ホルダ5及び7に対して確実に位置決め固定することができる。
【0041】
図7乃至9は本発明の第2の実施の形態の蓄電モジュール201の内部構造を示している。
図7乃至
図9には、
図1乃至
図4に示した第1の実施の形態と同様の部分に、
図1乃至
図4に示した符号の数に100の数を加えた数の符号を付して説明を省略する。
図7はケース203の側壁部213Bを除いた状態における蓄電モジュール201の内部構造の主要部分を示す蓄電モジュール201の正面図であり、
図8はケース103の後述する側壁部111Bを除いた状態における蓄電モジュール201の内部構造の主要部分を示す蓄電モジュール101の側面図であり、
図9は蓄電モジュール201のケース203の上壁部207の一部を除いた状態の内部構造の主要部分を示す平面図である。第2の実施の形態の蓄電モジュール201は、4本のリチウムイオンキャパシタをバスバで電気的に接続してなる4個の蓄電素子ユニット231,233,235及び237をケース203内に収納している。
図10(A)乃至(C)は、2つの蓄電素子ユニット231及び233内のセル群232及び234と両セル群232及び234を直列に接続するバスバ241A乃至241E及び243A乃至243Dの接続状態を示している。
図10から明らかなように、本実施の形態では、セル群232及び234を構成する8本のリチウムイオンキャパシタ113が直列に接続されている。2つの蓄電素子ユニット235及び237内のセル群も
図10に示したセル群232及び234セル群と同様に構成されている。そこで
図9には、2つの蓄電素子ユニット235及び237の出力端子を構成するバスバに符号241´A及び241´Eを付してある。蓄電素子ユニット231のバスバ241Aの端部が正極端子を構成し、蓄電素子ユニット235のバスバ241´Eの端部が負極端子を構成している。蓄電素子ユニット231のバスバ241Aの端部が、蓄電素子ユニット235のバスバ241´Aの端部と接続ケーブル226を介して接続され、蓄電素子ユニット231のバスバ241Eの端部が、蓄電素子ユニット235のバスバ241´Eの端部と接続ケーブル228を介して接続されている。その結果、8本のリチウムイオンキャパシタが直列接続された直列回路が、2本並列に接続された回路が構成されている。
【0042】
図10及び
図11に示すように、蓄電素子ユニット231及び233からは、それぞれ一対の蓄電素子ホルダ305と蓄電素子ホルダ307との間に形成される複数の隙間を通して、複数本の制御用ケーブル230が制御基板231側に引き出されている。また蓄電素子ユニット235及び237からも、それぞれ一対の蓄電素子ホルダ305と蓄電素子ホルダ307との間に形成される複数の隙間を通して、複数本の制御用ケーブル230´が制御基板231側に引き出されている。これら複数本の制御用ケーブルは、230及び230´は、一対の電圧測定用のケーブルと一対の温度測定用のケーブルを含んでいる。一対の電圧測定用のケーブルは、直列接続された2つの蓄電素子ユニットの両端電圧を制御基板221上の制御回路に送信するためのものである。一対の温度測定用のケーブルは、温度を測定するために、各蓄電素子ユニット内の1つのキャパシタ113上に設置された温度センサから、測定温度に比例した信号を制御回路に送信するためのものである。なお本実施の形態では、蓄電素子アセンブリ218の端子(241A及び241E並びに241´A及び241´E)を、空間S内に位置させるように、4つの蓄電素子ユニット231乃至237のそれぞれのバスバ(241A乃至241E及び241並びに243A乃至243D)の形状と接続関係が定められている。4つの蓄電素子ユニット231乃至237から引き出された図示しない複数本の制御用ケーブル230及び230´は、全て蓄電素子アセンブリ218とケース203の底壁部209及び側壁部211A,211B,213A,213Bとの間を通ることなく空間S内に引き回されている。
図11に示すように、複数本の制御用ケーブル230及び230´は、それぞれ雄型コネクタ251に接続されている。雄型コネクタ251は、制御基板221に設けた雌型コネクタ252に接続される。
【0043】
本実施の形態のように制御用ケーブル230及び230´を引き回して、しかも各蓄電素子ユニット231乃至237におけるバスバ(241A乃至241E及び241並びに243A乃至243D)の形状と接続関係を定めると、制御基板221等を配置するための空間Sを形成するために利用されないケース203の壁部(209、211A,211B,213A,213B)と蓄電素子アセンブリ218との間に、ケーブルが引き回されることがない。そのため、本実施の形態によれば、ケース内にジャストフィットで蓄電素子アセンブリ218を収納することができ、蓄電モジュール201の小型化を図ることができる。
【0044】
図12(A)乃至(C)は、第2の実施の形態で用いる蓄電素子アセンブリ218を摩擦低減用包囲材255で部分的に覆った例の側面図、正面図及び平面図を示している。
図12に示されるように、蓄電素子アセンブリ218のケース203の底壁部209と対向する底面部218A及びケース203の側壁部211A,211B,213A,213Bと対向する4つの側面部218B乃至218Eのうち少なくとも底面部と連続する部分が、摩擦低減用包囲材255によって覆われている。この例では、ケース203の側壁部を貫通するネジ部材219の雄ネジ部が、蓄電素子ユニットの蓄電素子ホルダ305及び307に設けた雌ネジ部220に螺合されて、蓄電素子アセンブリ218がケース203に対して固定された構造を採用する。そのため摩擦低減用包囲材255は、4つの側壁面のうち雌ネジ部220よりも底面部218A側に位置する部分を覆うようにしている。このようにすると摩擦低減用包囲材255が、ネジ部材219による固定作業の邪魔になることがない。
【0045】
摩擦低減用包囲材は、上壁部207を開放した状態のケース203内に蓄電素子アセンブリ218を挿入する際の摩擦抵抗を低減でき且つ耐電解液性を有する材料(例えば、ポリカーボネートなどの樹脂シート)により形成されている。摩擦低減用包囲材255で蓄電素子アセンブリ218の一部を覆うと、ケース203内への蓄電素子アセンブリ218の挿入がスムーズになる。したがって蓄電モジュールの組み立てが容易になる。
【0046】
なお本実施の形態では、摩擦低減用包囲材255を、
図13に示す1枚のシート材料257を折り曲げて形成している。作業性を高めるために、シート材料257には、予め折れ線を印刷してある。このようにシート材料257を折り曲げて形成した摩擦低減用包囲材255を用いると、特注で成形した摩擦低減用包囲材を用いる必要がないので、安価に摩擦低減用包囲材を構成することができ、蓄電モジュールの製造コストを低減できる。また摩擦低減用包囲材255は、トレイとしての機能を発揮する。そのため摩擦低減用包囲材255は蓄電素子アセンブリ218から異物が落下した場合、その異物を摩擦低減用包囲材255の内部に留めることができる。特に、摩擦低減用包囲材255が耐電解液性を有していれば、仮に蓄電素子から電解液が漏れた場合でも、その液体の異物(例えば電解液)を摩擦低減用包囲材255の内部に留めることができる。
【0047】
上記いずれの実施の形態においても、底壁部を第1の壁部とし、上壁部を第2の壁部として、底壁部と上壁部との間に位置する4つの側壁部を第3乃至第6の壁部とした。しかしながら、第1乃至第6の壁部の定め方は、上記実施の形態における定め方に限定されるものではない。そこで
図14(A)乃至(C)に示した本発明の第3の実施の形態の蓄電モジュール401では、
図1乃至
図4に示した第1の実施の形態と同様の部分に、
図1乃至
図4に示した符号の数に300の数を加えた数の符号を付してあるが、第1乃至第6の壁部を以下のように定めている。すなわちケース本体404の側壁部409を第1の壁部とし、側壁部407を第2の壁部とし、上壁部411A及び底壁部411Bを第3及び第4の壁部とし、側壁部413A及び413Bを第5及び第6の壁部と定めている。また横断面形状がL字方を呈する第1の側壁部分407Aを構成する二つの壁部分407Aa及び407Abのうち端子408A及び408Bが固定される壁部分407Aaが第2の壁部分を構成し、壁部分407Abが第3の壁部分を構成し、第2の側壁部分407Bが第1の壁部分を構成している。
【0048】
また、本実施の形態では、壁部分407Aaには、正極出力端子408A及び負極出力端子408Bの他に、制御基板に設けられたリード線接続部へリード線を導入することを許容する窓部431が形成されている。
【0049】
また、上記いずれの実施の形態においても、収納する複数の蓄電素子には円筒形の蓄電素子を用いているが、蓄電素子としては複数の極板を積層して構成した積層型の蓄電素子を複数重ねて収納するようにしてもよいのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、ケース内に制御基板と蓄電素子を収納して、しかも製造が容易な蓄電モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,101,201 蓄電モジュール
3 セル集合体
5,7,205,207 蓄電素子ホルダ
13,113 リチウムイオンキャパシタ
17,18,19,20 バスバ
103 ケース
104 ケース本体
115,117 蓄電素子ユニット
118 蓄電素子アセンブリ
121 制御基板
123 基板ホルダ
127 正極接続ケーブル
129 負極接続ケーブル