(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が60〜100,000mm
2/sであるオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも1個の脂肪族不飽和炭化水素基を有するシリコーンレジン:
(A)成分100質量部に対して0〜100質量部、
(C)アルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末を含む充填剤:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して100〜2,000質量部、
(D)下記一般式(1)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【化1】
(式(1)中、n、mは5.0≦n+m≦100、かつn/(n+m)≦0.5、かつ0.5≦n/(末端基に存在するSiH基の個数、すなわち2)≦10を満足し、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基である)、
(E)下記一般式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【化2】
(式(2)中、oは2〜8の整数、R
2は互いに独立に水素原子またはR
4であり、ただしR
2で示される基のうち2ないし3つは水素原子である。前記R
4はエポキシアルコキシアルキル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、R
3は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基である)
(F)下記一般式(3)で示される加水分解性オルガノポリシロキサン
【化3】
(式(3)中、p、qは5.0≦p+q≦100を満足し、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基、R
4は炭素数2〜6のアルケニル基である)
:上記(A)成分と上記(B)成分の合計100質量部に対して1〜50質量部
(G)白金族金属触媒:有効量 及び
(H)反応制御剤:0.05〜5.0質量部
を含有し、
上記(D)成分および(E)成分の量が
((D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計)/((A)成分、(B)成分、及び(F)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基の個数の合計)が1.0〜3.0の範囲にあり、かつ((D)成分中のSiH基の個数)/(((D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計)が0.2〜0.8の範囲にある、シリコーン組成物。
(J)1分子中にトリアジン環、及び少なくとも1個の、酸素原子を有してよい脂肪族不飽和炭化水素基を有する接着助剤を、上記(A)成分と上記(B)成分の合計100質量部に対して0.05〜0.5質量部となる量でさらに含有する、請求項1又は2に記載のシリコーン組成物。
(G)反応制御剤が、アセチレン化合物、窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物および有機クロロ化合物からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーン組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、近年、高品位機種の半導体装置において動作時の発熱量が益々増大している。しかし、従来のシリコーングリースは、熱伝導率が十分でないという問題や、熱伝導率は高いが接着性が低いという問題を有する。従って、本発明は従来のシリコーングリースに比べ、高い熱伝導率を有し且つ接着性が良好であるシリコーングリースを与えることができるシリコーン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる実情に鑑み本発明者は鋭意研究を行った結果、脂肪族不飽和炭化水素基含有オルガノポリシロキサン、(脂肪族不飽和炭化水素基を有するシリコーンレジン)、熱伝導性充填剤、特定構造を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金族金属触媒等を特定量含有するシリコーン組成物を配合することにより、熱伝導性充填剤を多量に含有しても良好な接着性を有するシリコーングリースを提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち本発明は、次のシリコーン組成物を提供するものである。
<1> (A)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が60〜100,000mm
2/sであるオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)1分子中に少なくとも1個の脂肪族不飽和炭化水素基を有するシリコーンレジン:
(A)成分100質量部に対して0〜100質量部、
(C)アルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末を含む充填剤:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して100〜2,000質量部、
(D)下記一般式(1)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【0008】
【化1】
【0009】
(式(1)中、n、mは5.0≦n+m≦100、かつn/(n+m)≦0.5、かつ0.5≦n/(末端基に存在するSiH基の個数、すなわち2)≦10を満足し、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基である)、
(E)下記一般式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【0010】
【化2】
【0011】
(式(2)中、oは2〜8の整数、R
2は互いに独立に水素原子またはR
4であり、ただしR
2で示される基のうち2ないし3つは水素原子である。前記R
4はエポキシアルコキシアルキル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、R
3は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基である)
(F)下記一般式(3)で示される加水分解性オルガノポリシロキサン
【0012】
【化3】
【0013】
(式(3)中、p、qは5.0≦p+q≦100を満足し、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基、R
4は炭素数2〜6のアルケニル基である)
:上記(A)成分と上記(B)成分の合計100質量部に対して1〜50質量部
(G)白金族金属触媒:有効量 及び
(H)反応制御剤:0.05〜5.0質量部
を含有し、
上記(D)成分および(E)成分の量が
((D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計)/((A)成分、(B)成分、及び(F)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基の個数の合計)が1.0〜3.0の範囲にあり、かつ((D)成分中のSiH基の個数)/(((D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計)が0.2〜0.8の範囲にある、シリコーン組成物。
【0014】
<2> (I)下記一般式(4)
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、rは5〜100の整数である)
で表される加水分解性メチルポリシロキサンを、上記(A)成分と上記(B)成分の合計100質量部に対して1〜50質量部となる量でさらに含有する、<1>に記載のシリコーン組成物。
【0017】
<3>(J)1分子中にトリアジン環、及び少なくとも1個の、酸素原子を有してよい脂肪族不飽和炭化水素基を有する接着助剤を、上記(A)成分と上記(B)成分の合計100質量部に対して0.05〜0.5質量部となる量でさらに含有する、<1>又は<2>記載のシリコーン組成物。
【0018】
<4> (B)シリコーンレジンが、SiO
4/2単位、R
52R
6SiO
1/2単位、及びR
53SiO
1/2単位(式中、R
5は、互いに独立に脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、R
6は脂肪族不飽和炭化水素基である)からなり、(R
52R
6SiO
1/2単位とR
53SiO
1/2単位の個数の合計)/(SiO
4/2単位の個数)が0.1〜3.0の範囲にある、<1>〜<3>のいずれか1記載のシリコーン組成物。
【0019】
<5> (G)反応制御剤が、アセチレン化合物、窒素化合物、有機リン化合物、オキシム化合物および有機クロロ化合物からなる群より選択される、<1>〜<4>のいずれか1記載のシリコーン組成物。
【発明の効果】
【0020】
本発明のシリコーン組成物は、熱伝導性充填剤を多量に含有しても良好な接着性を有することができるため、高い熱伝導率を有し且つ接着性が良好であるシリコーングリースを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明を詳細に説明する。
(A)成分
(A)成分は、1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度60〜100,000mm
2/sを有するオルガノポリシロキサンである。
脂肪族不飽和炭化水素基は、好ましくは、脂肪族不飽和結合を有する、炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜6の1価炭化水素基であり、より好ましくはアルケニル基である。例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、及びオクテニル基等のアルケニル基が挙げられる。特に好ましくはビニル基である。脂肪族不飽和炭化水素基は、分子鎖末端のケイ素原子、分子鎖途中のケイ素原子のいずれに結合していてもよく、両者に結合していてもよい。
【0022】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは25℃での動粘度は、60〜100,000mm
2/s、特に100〜30,000mm
2/sが好ましい。該動粘度が60mm
2/s未満であると、シリコーン組成物の物理的特性が低下する虞があり、100,000mm
2/sを超えると、シリコーン組成物の伸展性が乏しいものとなる虞がある。本発明において、動粘度は、ウベローデ型オストワルド粘度計により測定した25℃における値である。動粘度が上記範囲のものは、同業者であれば容易に合成することが出来るし、また市販されているものを使用してもよい。
【0023】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、上記性質を有するものであればその分子構造は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐または環状構造を有する直鎖状等であってもよい。特に、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有するものが好ましい。該直鎖状構造を有するオルガノポリシロキサンは、部分的に分岐状構造、又は環状構造を有していてもよい。該オルガノポリシロキサンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、オルガノポリシロキサンのケイ素原子に脂肪族不飽和炭化水素基以外の有機基が結合していてもよい。このような脂肪族不飽和炭化水素基以外の有機基としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは1〜8の、非置換又は置換の1価炭化水素基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、又は、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。就中、メチル基が好ましい。
【0024】
(B)成分
(B)成分はシリコーンレジンである。(B)成分のシリコーンレジンは1分子中に少なくとも1個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する事を特徴とする。本発明のシリコーン組成物が該シリコーンレジンを含有することにより、得られる硬化物の接着強度を顕著に向上することができる。
本発明において(B)成分は、好ましくはSiO
4/2単位、R
52R
6SiO
1/2単位、及びR
53SiO
1/2単位(式中、R
5は、互いに独立に脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、R
6は脂肪族不飽和炭化水素基である)を含むシリコーンレジンである。
前記式中、R
5は、互いに独立に、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは1〜8の、非置換又は置換の1価炭化水素基である。例えば、R
5としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、又は、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。就中、メチル基が特に好ましい。
【0025】
R
6は脂肪族不飽和炭化水素基であり、好ましくは、脂肪族不飽和結合を有する、炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜6の1価炭化水素基であり、より好ましくはアルケニル基である。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、及びオクテニル基等が挙げられる。特に好ましくはビニル基である。
(B)成分のシリコーンレジンは1分子中に少なくとも1個、好ましくは1×10
−5〜1×10
−2mol/g、更に好ましくは1×10
−4〜2×10
−3mol/gの脂肪族不飽和炭化水素基を有する。
さらに(B)成分は、SiO
4/2単位(Q単位)とR
52R
6SiO
1/2単位、及びR
53SiO
1/2単位(M単位)とのモル比が、(M単位)/(Q単位)が0.1〜3.0を満たす数、さらには(M単位)/(Q単位)が0.3〜2.5を満たす数であることが好ましく、特には(M単位)/(Q単位)が0.5〜2.0を満たす数であることが好ましい。M単位とQ単位のモル比が上記範囲内であると、良好な接着性及び強度を有するグリースを提供することができる。尚、本発明のシリコーンレジンは、分子中にR
2SiO
2/2単位(D単位)及びRSiO
3/2単位(T単位)を、本発明の組成物の性質を損なわない程度に含んでいてよい(式中、RはR
5ないしはR
6である)。
本発明に用いるシリコーンレジンは室温で固体又は粘稠な液体である。該シリコーンレジンの平均分子量は特に限定されないが、該シリコーンレジンをキシレンに溶解して50質量%溶液とした時の動粘度が、0.5〜10mm
2/s、好ましくは1.0〜5.0mm
2/sとなるような分子量が好ましい。上記動粘度はウベローデ型オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した値である。シリコーンレジンの粘度が上記範囲内にあることにより組成物の物理的特性が低下を防止でき、好ましい。
(B)成分のシリコーンレジンの量は、(A)成分100質量部に対し0〜100質量部であるが、好ましくは2〜100質量部、さらに好ましくは10〜70質量部である。(B)成分の量が上記下限値より少ないと接着性を発現するには不十分となるおそれがあり、上記上限値より多いと伸展性の乏しいものとなるおそれがある。
【0026】
(C)成分
(C)成分はアルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末を含む、熱伝導性の充填剤である。本発明においてアルミニウム粉末の形状は特に制限されるものでなく、例えば球状、不定形状等が挙げられる。アルミニウム粉末は事前に表面を処理した粉末であってもよい。好ましくは、アルミニウム粉末は平均粒径0.1〜100μm、さらに好ましくは1〜40μmを有するのが好ましい。アルミニウム粉末の平均粒径が0.1μm以上であれば、得られる組成物の粘度が高くなりすぎず、伸展性の乏しいものとなる虞がない。100μm以下であれば、得られる組成物が均一となる。なお、本明細書でいう平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径である。ここで、レーザー回折・散乱法による測定は、マイクロトラック粒度分析計MT3300EX(日機装(株)社製)により行った。
本発明においてアルミニウム粉末は、大きい平均粒径を有するアルミニウム粉末、あるいは小さい平均粒径を有するアルミニウム粉末を夫々単独で使用してもよいが、好ましくは、大きい平均粒径(例えば、5μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下)を有するアルミニウム粉末と、小さい平均粒径(例えば、0.1μm以上10μm未満、好ましくは0.1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上5μm以下)を有するアルミニウム粉末とを混合して使用するのが好ましい。これらの混合比率は所望とするグリースの粘度に応じて調整すればよいが、小さい平均粒径を有するアルミニウム粉末に対する大きい平均粒径を有するアルミニウム粉末の質量比を好ましくは0.5〜9.0、特に好ましくは1.0〜5.0にするとよい。また、この平均粒径の異なる二種類のアルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末とを本発明のシリコーン組成物の(C)充填剤として用いることによって、本発明の組成物が、より良好な粘度を有するものとなる。そのため、この組成物からなるグリースも同様に良好な粘度を有するものとなる。
【0027】
本発明において酸化亜鉛粉末の形状は特に制限されるものでなく、例えば球状、不定形状等が挙げられる。好ましくは、酸化亜鉛粉末は平均粒径0.1〜10μm、さらに好ましくは1〜4μmを有するのが好ましい。酸化亜鉛粉末の平均粒径が、平均粒径0.1μm以上であれば、得られるシリコーン組成物の粘度が高くなりすぎたり、伸展性が乏しくなる虞が少なくなる。また10μm以下であれば、得られるシリコーン組成物が均一となる。
【0028】
アルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末との質量比は、(アルミニウム粉末)/(酸化亜鉛粉末)が1より小さくなると得られる組成物の熱伝導率の乏しいものとなるし、10より大きいと経時でのオイル分離が激しくなるので1〜10の範囲とすることが好ましく、特に2〜8の範囲とすることが好ましい。
本発明において(C)充填剤は、上記アルミニウム粉末及び酸化亜鉛粉末以外に、さらに、酸化チタン粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、ダイヤモンド粉末、金粉末、銀粉末、銅粉末、カーボン粉末、ニッケル粉末、インジウム粉末、ガリウム粉末、金属ケイ素粉末、シリカ粉末等の従来公知の熱伝導性充填剤を、目的に応じて含有してもよい。
(C)充填剤の量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、100〜2,000質量部、好ましくは200〜1,800質量部、さらに好ましくは400〜1,800質量部である。充填剤の量が100質量部未満では、得られる組成物の熱伝導率が乏しくなる虞があり、2,000質量部を超えると、伸展性の乏しい組成物となる虞がある。
【0029】
(D)成分
(D)成分は下記一般式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中のSiH基が、組成物中の脂肪族不飽和炭化水素基と後述する白金族金属触媒の存在下に付加反応し、架橋構造を形成するものである。
【0031】
(式(1)中、n、mは5.0≦n+m≦100、かつn/(n+m)≦0.5、かつ0.5≦n/(末端基に存在するSiH基の個数、すなわち2)≦10を満足し、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基である)
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンはSiH基を分子鎖末端及び分子鎖中の両方に有することを必須とする。SiH基を分子鎖末端または分子鎖中のいずれかのみに有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用した場合には、シリコーン組成物の接着性が不十分になることがある。
【0032】
さらに、式(1)中、n、mは5.0≦n+m≦100、好ましくは10≦n+m≦80を満足することが必要である。n+mが5.0未満ではシリコーン組成物の物理的特性が低下する虞があり、n+mが100より大きい場合はシリコーン組成物の伸展性が乏しいものとなる虞がある。またn、mは、n/(n+m)≦0.5、好ましくはn/(n+m)≦0.3を満足する。n/(n+m)が0.5より大きい場合にはシリコーン組成物の接着性が低下する虞がある。さらにnは、0.5≦n/(末端基に存在するSiH基の個数、すなわち2)≦10、好ましくは1.0≦n/(末端基に存在するSiH基の個数、すなわち2)≦8.0を満足する。n/(末端基に存在するSiH基の個数、すなわち2)が0.5より小さい場合や10よりも大きい場合には、シリコーン組成物の接着性が低下する虞がある。
式(1)中、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
(D)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
(E)成分
(E)成分は下記一般式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中のSiH基が、組成物中の脂肪族不飽和炭化水素基と後述する白金族金属触媒の存在下に付加反応し、架橋構造を形成するものであるとともに、シリコーン組成物に接着性を付与するものである。
【0035】
(式(2)中、oは2〜8の整数、R
2は互いに独立に水素原子またはR
4であり、ただしR
2で示される基のうち2ないし3つは水素原子である。前記R
4はエポキシアルコキシアルキル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、R
3は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基である)
式(2)中、R
2は互いに独立に水素原子またはR
4であり、ただしR
2で示される基のうち2ないし3つは水素原子である。前記R
4はエポキシアルコキシアルキル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、シリコーン組成物に接着性を付与する効果を有する。またR
3は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
(D)成分および(E)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計量は、
((D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計)/((A)成分、(B)成分、及び(F)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基の個数の合計)が1.0〜3.0の範囲となる量が好ましく、より好ましくは1.5〜2.5となる量である。(D)成分および(E)成分の量が上記下限値未満では十分な接着性能を発揮できず、基材との密着性が悪くなる虞がある。また、上記上限値超では、未反応のSiH基が余剰の架橋反応を引き起こし、硬化物の硬度が上昇する虞がある。
【0037】
また、((D)成分中のSiH基の個数)/(((D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計)は0.2〜0.8が好ましく、より好ましくは0.3〜0.7である。((D)成分中のSiH基の個数)/(((D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計)が上記下限値未満ではシリコーン組成物の物理的特性が低下する虞があり、上記上限値超では、十分な接着性能を発揮できず、基材との密着性が悪くなる虞がある。
【0038】
(F)成分
(F)成分の下記一般式(3)で示される加水分解性オルガノポリシロキサンは、熱伝導性の充填剤との濡れ性、およびシリコーン組成物に接着性を付与するためのオルガノポリシロキサンである。
【0040】
(式(3)中、p、qは5.0≦p+q≦100を満足し、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基、R
4は炭素数2〜6のアルケニル基である)
式(3)中、p、qは5.0≦p+q≦100であるが、好ましくは5.0≦p+q≦60である。p+qが5.0未満ではシリコーン組成物由来のオイルブリードがひどくなり信頼性が悪くなる虞がある。また、p+qが100より大きい場合には、充填剤との濡れ性が充分でなくなる虞がある。
【0041】
式(3)中、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。またR
4は炭素数2〜6のアルケニル基であり、該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
(F)成分の量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して1〜50質量であり、好ましくは10〜30質量部である。(F)成分の量が上記下限値より少ないと十分な濡れ性や接着性を発揮できない虞がある。また、(F)成分の量が上記下限値より多いと組成物からのブリードが激しくなる虞がある。
【0042】
(G)成分
(G)成分は白金族金属触媒であり、上述した成分の付加反応を促進するために機能する。白金族金属触媒は、付加反応に用いられる従来公知のものを使用することができる。例えば白金系、パラジウム系、ロジウム系の触媒が挙げられるが、中でも比較的入手しやすい白金または白金化合物が好ましい。例えば、白金の単体、白金黒、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金配位化合物等が挙げられる。白金系触媒は1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(G)成分の配合量は触媒としての有効量、即ち、付加反応を促進して本発明の組成物を硬化させるために必要な有効量であればよい。好ましくは、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、白金族金属原子に換算した質量基準で0.1〜500ppm、より好ましくは1〜200ppmである。触媒の量が上記下限値より小さいと触媒としての効果が得られないことがある。また上記上限値を超えても触媒効果が増大することはなく不経済であるため好ましくない。
【0043】
(H)成分
(H)成分は室温でのヒドロシリル化反応の進行を抑える制御剤であり、シェルフライフ、ポットライフを延長させる為に添加する。該制御剤は、付加硬化型シリコーン組成物に使用される従来公知の制御剤を使用することができる。これには、例えば、アセチレンアルコール類(例えば、エチニルメチルデシルカルビノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール)等のアセチレン化合物、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の各種窒素化合物、トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。
(H)成分の量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、0.05〜5.0質量部、好ましくは0.1〜1.0質量部である。制御剤の量が0.05質量部未満では、所望とする十分なシェルフライフ、ポットライフが得られない虞があり、また、5.0質量部より多い場合には、シリコーン組成物の硬化性が低下する虞がある。また制御剤は、シリコーン組成物への分散性を良くするために、オルガノ(ポリ)シロキサンやトルエン等で希釈して使用してもよい。
【0044】
本発明のシリコーン組成物は、上記成分の他に、必要に応じて更に以下の任意成分を添加することができる。
【0045】
(I)成分
本発明のシリコーン組成物はさらに下記式(4)で示される加水分解性メチルポリシロキサンを含有することができる。
【0047】
(式中、R
1は互いに独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、rは5〜100の整数である)
上記式(4)中、R
1は炭素数1〜6のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。rは5〜100の整数、好ましくは10〜60の整数である。rの値が5より小さいと、シリコーン組成物由来のオイルブリードがひどくなり信頼性が悪くなる虞がある。また、rの値が100より大きいと、充填剤との濡れ性が充分でなくなる虞がある。
(I)成分の量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、特に10〜30質量部が好ましい。(I)成分の量が1質量部より少ないと十分な濡れ性を発揮できない虞がある。また、(I)成分の量が50質量部より多いと組成物からのブリードが激しくなる虞がある。
【0048】
(J)成分
本発明のシリコーン組成物はさらに(J)接着助剤を含有してもよい。該接着助剤は1分子中にトリアジン環、及び少なくとも1個の、酸素原子を有してよい脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物であり、組成物の接着性能を向上することができる。
(J)成分としては下記一般式(5)で表されるものが挙げられる。
【0050】
式(5)中、R
7は、酸素原子を有してよい脂肪族不飽和炭化水素基又は−(CH
2)
s−Si(OR
8)
3で示される基である(式中、R
8は水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、sは1〜6、好ましくは1〜4の整数である)。但し、R
7の少なくとも1つは脂肪族不飽和炭化水素基である。R
7としては、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜6の、直鎖状又は分岐を有するアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、及び2−メチルプロペニル基、又は(メタ)アクリル基等が挙げられる。中でも、コストの観点からアリル基が好ましい。(J)成分としては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタクリルイソシアヌレート、及びトリアリルイソシアヌレートの1〜2個のアリル基に1〜2個のトリメトキシシリル基等のアルコキシシリル基が付加したアルコキシシリル置換・トリアリルイソシアヌレート、及びその加水分解縮合物であるシロキサン変性物(誘導体)等が挙げられる。(J)成分の量は(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、0.05〜0.5質量部、好ましくは0.05〜0.3質量部とするのがよい。上記下限値未満では組成物が十分な接着性能を示さなくなる虞があり、上記上限値超では、付加反応が十分に進行せず、接着性能を発現することができない虞がある。
【0051】
その他の成分
本発明のシリコーン組成物は、組成物の弾性率や粘度を調整するためにメチルポリシロキサン等の反応性を有さないオルガノ(ポリ)シロキサンを含有してもよい。更に、シリコーン組成物の劣化を防ぐために、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の、従来公知の酸化防止剤を必要に応じて含有してもよい。更に、染料、顔料、難燃剤、沈降防止剤、又はチクソ性向上剤等を、必要に応じて配合することができる。
【0052】
シリコーン組成物を作製する工程
次に、本発明における熱伝導性シリコーン組成物の製造方法について説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、上述の(A)〜(H)成分、必要によりこれに加えて(I)、(J)成分を含有するシリコーン組成物を作製する工程を有する。
【0053】
本発明のシリコーン組成物を製造する方法は、従来のシリコーングリース組成物の製造方法に従えばよく、特に制限されるものでない。例えば、上記(A)〜(H)成分、及び必要に応じてその他の成分をトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリーミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて混合する方法により製造することができる。
本発明のシリコーン組成物は、好ましくは、25℃にて測定される絶対粘度3.0〜500Pa・s、より好ましくは10〜300Pa・sを有する。絶対粘度が、3.0Pa・s未満では、形状保持が困難となる等、作業性が悪くなる虞がある。また絶対粘度が500Pa・sを超える場合にも吐出が困難となる等、作業性が悪くなる虞がある。前記絶対粘度は、上述した各成分の配合を調整することにより得ることができる。本発明において、絶対粘度はマルコム粘度計により測定した25℃の値である(ロータAで10rpm、ズリ速度6[1/s])。
【0054】
本発明のシリコーン組成物は、LSI等の電子部品その他の発熱部材と冷却部材との間に介在させて発熱部材からの熱を冷却部材に伝熱して放熱するための組成物として好適に用いることができ、従来の熱伝導性シリコーングリースと同様の方法で使用することができる。例えば、本発明のシリコーン組成物は、電子部品等の発熱部材からの発熱によって硬化することができるし、本発明のシリコーン組成物を塗布した後、積極的に加熱硬化させてもよい。これにより、本発明のシリコーン組成物の硬化物を発熱部材と冷却部材との間に介在させた半導体装置を提供することができる。本発明のシリコーン組成物を加熱硬化する場合の硬化条件は、特に制限されるものでないが、通常80〜200℃、好ましくは100〜180℃で、30分〜4時間、好ましくは30分〜2時間である。
本発明のシリコーン組成物は、高い熱伝導率を有し、かつ接着性が良好であるため、高品位機種の半導体装置等に対する放熱グリースとして特に好適に使用することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。下記において動粘度はウベローデ型オストワルド粘度計(柴田科学社製)により25℃で測定した値である。
【0056】
(A)成分
A−1:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が600mm
2/sのジメチルポリシロキサン
【0057】
(B)成分
B−1:下記平均組成式で示されるシリコーンレジン:キシレン溶媒中50質量%溶液とした時の動粘度3.0mm
2/s
(SiO
4/2)
1.0((CH
2=CH)(CH
3)
2SiO
1/2)
0.12((CH
3)
3SiO
1/2)
0.75
B−2:下記平均組成式で示されるシリコーンレジン:キシレン溶媒中50質量%溶液とした時の動粘度1.5mm
2/s
(SiO
4/2)
1.0((CH
2=CH)(CH
3)
2SiO
1/2)
0.25((CH
3)
3SiO
1/2)
1.5
【0058】
(C)成分
C−1:平均粒径20.0μmのアルミニウム粉末と平均粒径2.0μmのアルミニウム粉末を60:40質量比であらかじめ混合したアルミニウム粉末(熱伝導率:237W/m・℃)
C−2:平均粒径1.0μmの酸化亜鉛粉末(熱伝導率:25W/m・℃)
【0059】
(D)成分及び比較成分
D−1:
【0060】
【化10】
【0061】
D−2:
【0062】
【化11】
【0063】
D−3:
【0064】
【化12】
【0065】
D−4:
【0066】
【化13】
【0067】
(E)成分
E−1:
【0068】
【化14】
【0069】
(F)成分
F−1:
【0070】
【化15】
【0071】
(G)成分
G−1:白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を上記A−1と同じジメチルポリシロキサンに溶解した溶液(白金原子含有量:1質量%)
【0072】
(H)成分
H−1:
【0073】
【化16】
【0074】
(I)成分
I−1:
【0075】
【化17】
【0076】
(J)成分
J−1:
【0077】
【化18】
【0078】
[実施例1〜10、比較例1〜11]
シリコーン組成物の調製
上記(A)〜(J)成分を、下記表1〜3に示す配合量で、下記に示す方法で配合してシリコーン組成物を調製した。尚、表において(G)成分の質量は、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体をジメチルポリシロキサンに溶解した溶液(白金原子含有量:1質量%)の質量である。また、SiH/SiViは(A)成分、(B)成分、及び(F)成分中のアルケニル基の個数の合計に対する(D)成分、(E)成分中のSiH基の個数の合計の比である。また、(D)SiH/(D)SiH+(E)SiHは(D)成分および(E)成分中のSiH基の個数の合計に対する(D)成分中のSiH基の個数の比である。
【0079】
5リットルのプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)に(A)、(B)、(C)、(F)、及び(I)成分を加え、170℃で1時間混合した。常温になるまで冷却し、次に(D)、(E)、(G)、(H)、及び(J)成分を加えて均一になるように混合し、シリコーン組成物を調製した。
上記方法で得られた各組成物について、下記の方法に従い、粘度、熱伝導率、切断時伸び及び接着強度を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0080】
[粘度]
各組成物の絶対粘度を、マルコム粘度計(タイプPC−1T)を用いて25℃で測定した。
[熱伝導率]
各組成物をキッチンラップで包み、熱伝導率を京都電子工業(株)製TPA−501で測定した。
[切断時伸び]
各組成物を150℃にて60分間加熱し硬化して2mm厚シートを作製したのち、JIS K6251に準拠して2号ダンベルの形状を作製し、切断時伸びを測定した。
[接着強度]
各組成物を1mm×1mmのシリコンウェハとニッケルプレートの間に挟み込み、1.8kgfのクリップによって加圧しながら150℃にて60分間加熱した。その後、Dage series−4000PXY(Dage Deutchland GmbH製)を用いて接着強度を測定した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
表1〜3の結果より、本発明の要件を満たす、実施例1〜10は、比較例1〜11に比べ、シリコーン組成物の接着強度が大きいことが分かる。
一方、B−1成分がA−1成分とB−1成分の合計100質量部に対して60質量部と多い比較例1、及びC−1及びC−2成分の充填剤がA−1成分とB−1成分の合計100質量部に対して2071質量部と多い比較例2では、組成物がグリース状とならなかった。
また、架橋剤として用いたD−3成分が分子鎖末端にSiH基を有さない比較例3、及び架橋剤として用いたD−4成分が、n/(n+m)≦0.5、かつ0.5≦n/(末端基に存在するSiH基の個数、すなわち2)≦10を満たさない比較例4では、組成物の接着強度は低くなった。
D−1成分及びE−1成分中のSiH基の個数の合計に対するD−1成分中のSiH基の個数の比が0.9となる比較例5、及び0.1となる比較例6では、組成物の接着強度は低くなった。
F−1成分がA−1成分とB−1成分の合計100質量部に対して60質量部と多く、SiH/SiViが0.8と低い比較例7、及びSiH/SiViが4.0と高い比較例8では、組成物の接着強度は低くなった。
E−1成分を配合していない比較例9、F−1成分を配合していない比較例10、及びE−1成分とF−1成分の両方を配合していない比較例11では、組成物の接着強度は低くなった。
上記実験により、本発明のシリコーン組成物は、半導体チップとヒートスプレッダーを強固に接着させるために用いた場合、熱伝導性充填剤を多量に含有しても良好な接着性を有することが確認できた。