【実施例1】
【0029】
図1は、ユニットのフレームの実施例外観斜視図である。
ユニット12は、それぞれ一定の製造工程を担うように構成されている。この図には、ユニット12の定型化されたフレーム14の部分のみを図示した。特許文献1に記載されたように、例えば、ユニット12を工程順に配列して、半導体ウエハを加工する製造ラインを構成する。
【0030】
既に説明したように、ユニット12には、被処理物の検査や分析や保管等の機能を持つものもあり、その用途に応じて自由に最適なレイアウトでユニット12が配列される。ユニット12の規格が統一されているので、被処理物の搬送装置や処理装置を、製造元の区別なく、組み合わせて使用できる。この種のミニマル装置を利用するシステムは、半導体デバイスの多品種少量生産ライン等に適するものとして開発されたが、その他の様々な製品の生産や検査等に広く利用できる。以下の実施例では、被処理物として半導体デバイスを例にして説明を進める。
【0031】
図2は半導体ウエハの搬送に使用するケースの外観斜視図である。
図のように、底蓋37の上に半導体ウエハ38を乗せた状態でケース36を密閉する。ケース36には、例えば、0.5インチ半導体ウエハ38を一枚収容する。ケース36は特許文献1に示されたように、半導体ウエハ38を密閉して収容する容器である。このケース36により半導体ウエハ38を保護するので、クリーンルーム無しでユニット12の間で半導体ウエハ38のやりとりができる。
【0032】
図1に示したフレーム14は、図中に破線で示した位置に、前室24と処理室26とを備える。前室24は、ケース36を受け取って一時的に保持する保持機構42を備える。この保持機構42で、半導体ウエハ38はケース36から取り出される。保持機構42に保持された半導体ウエハ38(被処理物)は、前室24から処理室26に搬送される。処理室26は、半導体ウエハ38に一定の処理を施す処理装置58を備える。
【0033】
半導体ウエハ38は、処理装置58によりフォトレジスト処理やエッチング処理等を施される。処理室26で処理された半導体ウエハ38は、前室24の保持機構42に戻される。そして、保持機構42において再びケース36に収容される。
【0034】
図3は、外部搬送装置の実施例を示す2台のユニットの正面図である。
この図では、互いに隣接する2台のユニット12の上部のみを概略図示した。図のように、保持機構42に保持されたケース36は、例えば、一方のユニット12に取り付けられた外部搬送装置40の搬送機41に吊り下げられて取り出され、隣接するユニット12へ受け渡される。外部搬送装置40は、隣接するユニット間で被処理物を搬送するための専用のもので構わない。
【0035】
図4は、複数のユニットの配列方法を示す概略図である。また、
図5は、ユニット12の床面への設置構造を示す斜視図である。
図3(a)に示すユニット12を、例えば、
図3(b)に示すように近接させて配列する。例えば、
図3(b)に示すように3台のユニット12を連携動作させる場合には、これらを床面20上に正確に位置決めする。ユニット12の底面には、例えば4個の支持装置22が取り付けられている。例えば、ユニット12の底面を共通の基準平面16に一致させるように、支持装置22を調節する。
【0036】
しかしながら、支持装置22の長さ調整だけでは、多数のユニット12の精密な高さ調整と位置決めは難しい。そこで、
図4(a)に示すように、床面20に、各ユニット12を固定するための固定装置34を取り付けておく。
図4(b)に示すようにユニット12を固定装置34に固定すると、複数のユニット12を床面20上に位置決めできる。これにより、隣接するユニットの間隔を、例えば、5mmに揃えることができる。
【0037】
なお、多数のユニットを配列したラインで、各ユニットを設置した床面全体が必ずしも平坦であるという保証がない。自動的に半導体ウエハ38等の被処理物を搬送する場合には、隣接するユニット間で高さの調整等をして、外部搬送装置40が吸収可能な許容誤差の範囲に両者を位置合わせすれば足りる。
【0038】
即ち、各ユニットを、隣接するフレームと一定の位置関係になるように位置決めすればよい。従って、外部搬送装置40を、隣接するユニット間で被処理物を搬送するための専用のものにするとよい。なお、隣接するユニットとの間では被処理物のやりとりをしないユニットについては、任意の基準で位置決めをすればよい。即ち、隣接する各ユニットの前室と処理室(
図1)との間に配置された基準プレート(
図1)の位置が、床面に対して一定の関係にあるように、フレームを構成するとよい。
【0039】
図6は、前室の主要部斜視図である。
図のように、前室24と処理室26の境界では、フレーム14に基準プレート30が固定されている。この基準プレート30の前室24側には、ゲートバルブ46と保持機構42とが固定されている。保持機構42には、
図3で説明したように半導体ウエハ38を収容したケース36が保持されている。
【0040】
保持機構42の部分に、ケース36から半導体ウエハ38を取り出す機構が設けられている。ケース36から取り出された半導体ウエハ38は、内部搬送装置44によって窓32を通じて処理室26側に搬送される。基準プレート30の処理室26側には、例えば、半導体ウエハ38をエッチングする処理装置58が固定されている。処理装置58に受け渡されて処理された半導体ウエハ38は、例えば、処理室26の内部に収容された、洗浄装置に送られて洗浄処理後、内部搬送装置44により取り出されて再び保持機構42に受け渡される。
【0041】
図7は、基準プレートの斜視図である。
上記のように、前室24と処理室26との境界には、両者を隔てる基準プレート30が配置されている。この基準プレート30には、上記の内部搬送装置44により搬送される半導体ウエハ38を通過させる窓32が設けられている。
図6の例では、窓32の部分にゲートバルブ46を固定した。ゲートバルブ46は、蒸着加工等のために処理室26が真空装置を構成するような場合に設けられる。ゲートバルブ46の構成は既知の半導体製造設備等に設けられたものと同様のものである。
【0042】
この基準プレート30には、
図6に示した保持機構42や処理装置58を位置決めして固定するための、位置決め機構を設ける。
図7の例では、ピン48やホール50や溝51が位置決め機構に該当する。基準プレート30は例えば、厚さが9mmの、ステンレス板やクロームメッキを施した鉄板等により構成する。表面の加工精度は十数ミクロン以下のものである。従って、基準プレート30の面上に位置決めをすると、要求される許容誤差の0.1mm以下の精度で位置決めができる。
【0043】
処理装置58は、例えば、レジスト塗装、露光、現像、エッチングといった機能を備える装置である。ピン48やホール50や溝51を設けておくと、いずれの処理装置も、この基準プレート30に対して、簡単に高精度に位置決めできる。溝51は基準プレート30のいずれかの面に位置決め用壁面を形成する。位置決め用壁面というは処理装置の一部と相互に密着して嵌りあう溝や凸条等のことである。基準プレートの各部に様々な位置決め構造を設けるとよい。
【0044】
ユニット12の内部では、半導体ウエハ38を加工するために露出させて搬送する。前室24から基準プレート30の窓32を通じて処理装置までの間を、半導体ウエハが移動する。半導体ウエハ38は薄くて衝突により破損しやすい。また、精密な姿勢制御も要求される。基準プレート30を利用して保持機構42や処理装置を高精度に位置決めすれば、精密な姿勢制御が可能になる。
【0045】
フレーム14の寸法や傾きの許容誤差は例えば、1mm〜1.5mm、もっと精度が高い場合でも、0.5mm程度である。一方、処理装置58の取り付け位置の許容誤差は例えば、0.1mm程度であって、より高い精度が要求される。従って、処理装置58をフレーム14に固定すると、高精度の位置決めが困難になる。そこで、前室24と処理室26に最も近く、かつ、両者の隔壁としての強度を備える基準プレート30に、位置決めピン48等を設けたのである。高い位置決め精度を要求される装置が基準プレート30の近傍に集中しているから、この構造が最適といえる。
【0046】
保持装置42や処理装置58を基準プレート30の特定の場所に固定するものと決めておけば、各装置をそれぞれ別個の部門や製造元で設計製造しても、自動的に全体として高い組み立て精度を実現できる。
【0047】
図8は、ユニットの補助具57の実施例を示す斜視図である。また、
図9は、その補助具57の使用方法を示す斜視図である。
上記のユニット12の処理室26には、基準プレート30に直接固定できない処理装置も含まれる場合がある。また、基準プレート30に一部を固定した処理装置58であっても、基準プレート30から離れた部分の位置決め精度を確認したいことがある。さらに、前室24に何も取り付けられていない状態で、前室24の装置との関係で処理装置の位置決めをしたい場合がある。図の補助具57はそのような場合に利用する。
【0048】
図8において、この補助具57は、支持板56とアーム52とを備えている。アーム52の一端59は支持板56に固定されている。アーム52の他端60には、標識54が取り付けられている。支持板56の形状は、基準プレート30の形状に合わせて任意に選定できる。アーム52の形状も任意であり、精度を維持できれば、湾曲していても構わない。
【0049】
図9に示すように、支持板56は、基準プレート30の、例えば、前室24に面する面に位置決め固定される。そして、基準プレート30の窓32からアーム52を処理室26側に突き出させる。こうして、アーム52の一端59が基準プレート30上に位置決めされ、他端60に設けた標識54が、処理室26内部の空間の一点を差し示す状態になる。なお、この例では、基準プレート30の前室側にはまだ他の装置が取り付けられていない。一方基準プレート30の処理室側には、これから各種の装置を固定するから開放しておきたい。従って、支持板56を基準プレート30の前室側に固定して、基準プレート30の窓を通じてアーム52を処理室26側に突き出させるようにしている。
【0050】
例えば、いずれかの処理装置の一部の位置を上記の標識54の位置を基準にして微調整して、位置決めすることができる。前室24全体を組み立てる前に処理室内部の組み立てを行う場合がある。この場合であっても、基準プレート30と上記の補助具57を使用すれば、処理装置の位置決めと動作の確認をすることができる。即ち、処理装置が標識54の位置との関係で正確に機能するかどうかを確認できる。
【0051】
以上のように、フレーム14に設けた基準プレート30に位置決めの基準を設けることにより、高い精度でユニット12の内部に保持機構42や処理装置58を組み込むことが可能になる。
【0052】
図10は、基準プレート30の変形例斜視図である。
図のユニットのフレーム14は破線で概略を示した。このユニットは、基準プレート30以外に、2枚の副基準プレート31a、31bを備えている。基準プレート30は、先の実施例で説明したとおり、前室24と処理室26との境界に配置されたものである。副基準プレート31aは基準プレート30と一辺を接し、基準プレート30と直交するものである。さらに、副基準プレート31aの垂直下方に、床面に平行に向いた基準プレート31bを配置した。
【0053】
上記の基準プレート31a、基準プレート31bは、いずれも、基準プレート30の面上の位置決め精度で、各種の処理装置を固定することができる。基準プレート30と、副基準プレート31a、副基準プレート31bの間は、相互に高精度に相対的な位置決めをする即ち、各基準プレート30の位置に対する副基準プレート31a、31bの位置を、基準プレート30の面上の位置決め精度で位置決めする。
【0054】
なお、この実施例では、基準プレート30と、副基準プレート31a、副基準プレート31bがそれぞれ一辺を接するように連結して配置されている。これにより、複数の基準プレート間の相対位置決めの精度を確保できる。しかし、十分に接近して配置されているか、あるいは何らかの精度の高い連結手段により連結されていれば、互いに離れてフレーム14に固定されていても構わない。