(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記素子用母基板の外面に貼合された光学フィルムを前記表示パネルの素子基板となる各部分の輪郭に沿って切断した後に、切断された各部分の内側を残して前記光学フィルムの余白部分を前記対向用母基板の面上から剥離して除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
前記対向基板又は前記素子基板を切り出す際の前記輪郭をよりも、前記光学フィルムを切断する際の前記輪郭を小さくすることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、画像表示装置の薄型化及び表示画面の拡大化に伴って、薄型化及び狭額縁化された表示パネル、又は、スマートウォッチや車載メーターなどに使用される表示パネルとして、従来の平面形状が矩形(長方形)のもの(矩形表示パネルという。)とは異なる平面形状が矩形以外のもの(異形表示パネルという。)に対する要望が高まってきている。
【0006】
しかしながら、表示パネルの薄型化に伴って、パネル作製用基板の強度が低下し、パネル作製用基板から各セルに切り出す際に、表示パネル端部(額縁部分)に欠けやヒビが生じることがあった。また、このような端部に欠けやヒビが生じた表示パネルでは、狭額縁化による高い寸法精度の要求や端部の強度低下の観点から、製品化できなくなることがあった。
【0007】
一方、従来のような矩形表示パネルの場合は、偏光フィルムを貼合する際の位置合わせをパネルの四隅(角部)を基準に行えばよく、偏光フィルムの位置合わせが比較的容易である。これに対して、異形表示パネルの場合は、偏光フィルムを貼合する際の位置合わせが矩形表示パネルの場合よりも難しくなる。特に、円形表示パネルの場合は、その表示パネルに対する偏光フィルムの偏光軸の傾きがわからなくなるため、偏光フィルムを貼合する際の位置合わせが非常に難しくなる。
【0008】
さらに、矩形表示パネルを製造する場合は、上述したパネル作製用基板を格子状に切断することで、矩形表示パネルを一括で切り出すことが可能である。これに対して、異形表示パネルを製造する場合は、異形表示パネルの輪郭に沿ってパネル作製用基板からセルを1つずつ切り出す必要がある。この場合、パネル作製用基板からセルを切り出す際の位置合わせが矩形表示パネルを製造する場合よりも難しくなる。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、製造時における表示パネル端部への欠けやヒビの発生を抑制することができ、さらに、異形表示パネルに対する光学フィルムの貼合精度を高めつつ、異形表示パネルを歩留り良く製造できる表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段として、本発明の態様に従えば、表示パネルの製造方法であって、前記表示パネルを形成する対向用母基板と素子用母基板とが対向して配置されると共に、前記表示パネルとなるセルが面内に複数並んで形成されたパネル作製用基板を準備する工程と、前記対向用母基板の外面に貼合された光学フィルムを前記表示パネルの対向基板となる各部分の輪郭に沿って切断した後に、切断された各部分の内側を残して前記光学フィルムの余白部分を前記対向用母基板の面上から剥離して除去する工程と、前記表示パネルの対向基板となる各部分の輪郭に沿って前記対向用母基板を切断することによって、前記対向基板を切り出す工程と、前記表示パネルの素子基板となる各部分の輪郭に沿って前記素子用母基板を切断することによって、前記素子基板を切り出す工程とを含むことを特徴とする表示パネルの製造方法が提供される。
【0011】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記素子用母基板の外面に貼合された光学フィルムを前記表示パネルの素子基板となる各部分の輪郭に沿って切断した後に、切断された各部分の内側を残して前記光学フィルムの余白部分を前記対向用母基板の面上から剥離して除去する工程を含んでいてもよい。
【0012】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記対向基板と前記素子基板とをそれぞれ異なる形状で切り出してもよい。
【0013】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記対向基板又は前記素子基板を切り出す際の前記輪郭をよりも、前記光学フィルムを切断する際の前記輪郭を小さくしてもよい。
【0014】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記光学フィルムを貼合する位置を示す第1のアライメントマークと、前記各セルの位置を示す第2のアライメントマークとを参照しながら、前記表示パネルの対向基板又は素子基板となる各部分の輪郭に沿って前記光学フィルムを切断してもよい。
【0015】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記セルの中から切断対象となるセルの周囲に位置する複数のセルに対応した前記第2のアライメントマークを参照してもよい。
【0016】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記光学フィルムを前記輪郭に沿って切断する際に、少なくとも前記素子基板に形成された配線部を避けた位置から切断を開始してもよい。
【0017】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記光学フィルムを前記輪郭に沿って切断する際に、レーザー光を用いて、少なくとも前記輪郭の角部から切断を開始してもよい。
【0018】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記余白部分を前記光学フィルムの対角方向に沿って剥離してもよい。
【0019】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記表示パネルの平面形状が矩形以外の異型形状であってもよい。
【0020】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記光学フィルムが偏光フィルムであってもよい。
【0021】
また、前記態様の表示パネルの製造方法では、前記表示パネルが液晶表示パネルであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の態様によれば、製造時における表示パネル端部への欠けやヒビの発生を抑制することができ、さらに、異形表示パネルに対する光学フィルムの貼合精度を高めつつ、異形表示パネルを歩留り良く製造できる表示パネルの製造方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
【0025】
(表示パネル)
先ず、本発明を適用して製造される表示パネルの一例として、例えば
図1(a),(b)に示す液晶表示パネル1について説明する。なお、
図1(a)は、液晶表示パネル1の構成を示す平面図である。
図1(b)は、液晶表示パネル1の構成を示す断面図である。
【0026】
液晶表示パネル1は、
図1(a),(b)に示すように、互いに対向して配置された対向基板2及び素子基板3と、対向基板2と素子基板3との間に配置された液晶層4とを備えている。
【0027】
液晶表示パネル1は、表示面Sが円形状となる異形表示パネルである。なお、本発明で言う「異形表示パネル」とは、従来のような平面形状(表示面)が矩形(長方形)のもの(矩形表示パネル)に対して、平面形状(表示面)が矩形以外のものを言う。したがって、異形表示パネルとしては、例えばスマートウォッチや車載メーターなどに使用される際の表示面の形状に合わせて、上述した円形以外にも、例えば、楕円形、多角形(例えば、三角形や五角形、六角形、八角形など。)、矩形の4つの角部のうち少なくとも1つの角部に丸みやカットを設けた形状、矩形の一部に切り欠きなどを設けた形状など、自由な形状とすることが可能である。
【0028】
対向基板2は、表示面Sに対応して円形状に形成されている。また、対向基板2の内面には、図示を省略する対向電極が設けられている。一方、対向基板2の外面には、円形状の偏光フィルム5aが貼合されている。偏光フィルム5aは、対向基板2と同じ径(外形)であってもよいが、本実施形態のように対向基板2よりも僅かに小径(小さい外形)であることが好ましい。
【0029】
素子基板3は、表示面Sに対応して円形状に形成された素子形成部3aと、この素子形成部3aに対応した幅で素子形成部3aに連続して形成された配線形成部3bとを有している。素子形成部3aの内面には、図示を省略するものの、マトリックス状に並ぶ複数の画素電極と、各画素電極に接続されたTFTなどの駆動素子(図示せず。)とが設けられている。配線形成部3bには、各駆動素子と接続された複数の配線部6が設けられている。一方、素子基板3(素子形成部3a)の外面には、円形状の偏光フィルム5bが貼合されている。偏光フィルム5bは、素子形成部3aと同じ径(外形)であってもよいが、本実施形態のように素子形成部3aよりも僅かに小径(小さい外形)であることが好ましい。
【0030】
液晶層4は、対向基板2と素子形成部3a(素子基板3)との間の周囲をシール材7で円形状に封止し、その内側に液晶を注入することによって形成されている。配線部6は、シール材7によって囲まれた領域(表示面Sに相当する。)の外側へと引き延ばされている。
【0031】
(表示パネルの製造方法)
次に、本発明を適用した表示パネルの製造方法として、上記液晶表示パネル1を製造する場合について、
図2〜
図9、並びに
図10を参照しながら説明する。なお、
図2〜
図9は、液晶表示パネル1の製造工程を順に説明するための図であり、各図の(a)は、各工程を示す平面図であり、各図の(b)は、各工程を示す断面図である。
図10は、後述するパネル作製用基板10における第1のアライメントマークAM1と第2のアライメントマークAM2との配置の一例を示す平面図である。
【0032】
上記液晶表示パネル1を製造する際は、先ず、
図2(a),(b)に示すように、上記液晶表示パネル1となる部分(以下、セルという。)1Aが面内に複数並んで形成された矩形(長方形)状のパネル作製用基板10を準備する。パネル作製用基板10は、互いに対向して配置された矩形(長方形)状の対向用母基板2Aと素子用母基板3Aとを備えている。対向用母基板2Aには、上記対向基板2となる部分が複数並んで形成されている。一方、素子用母基板3Aには、上記素子基板3となる部分が複数並んで形成されている。また、対向用母基板2Aと素子用母基板3Aとの間には、各セル1Aの周囲をシール材7で円形状に封止し、その内側に液晶を注入することによって、複数の液晶層4が形成されている。
【0033】
次に、
図3(a),(b)に示すように、パネル作製用基板10のうち、対向用母基板2Aの外面に矩形状の偏光フィルム5Aを貼合すると共に、素子用母基板3Aの外面に矩形状の偏光フィルム5Bを貼合する。
【0034】
ここで、対向用母基板2Aには、
図10に示すように、偏光フィルム5Aを貼合する位置を示す第1のアライメントマークAM1が設けられている。第1のアライメントマークAM1は、対向用母基板2Aの四隅のうちの少なくとも2箇所(本実施形態では3箇所)に設けられていればよい。具体的には、対向用母基板2Aの四隅のうち、同一端辺に沿った少なくとも2つの隅に第1のアライメントマークAM1を設けることが好ましい。
【0035】
対向用母基板2Aに偏光フィルム5Aを貼合する際は、第1のアライメントマークAM1を参照しながら、対向用母基板2Aに対する偏光フィルム5Aの位置合わせを行う。これにより、対向用母基板2Aの四隅と偏光フィルム5Aの四隅とを互いに一致させた状態で、対向用母基板2Aに偏光フィルム5Aを正確に且つ容易に貼合することができる。
【0036】
また、素子用母基板3Aには、図示を省略するものの、対向用母基板2Aと同様に、偏光フィルム5Bを貼合する位置を示す第1のアライメントマークAM1が設けられている。そして、この素子用母基板3Aに偏光フィルム5Bを貼合する際は、第1のアライメントマークAM1を参照しながら、素子用母基板3Aに対する偏光フィルム5Bの位置合わせを行う。これにより、素子用母基板3Aの四隅と偏光フィルム5Bの四隅とを互いに一致させた状態で、素子用母基板3Aに偏光フィルム5Bを正確に且つ容易に貼合することができる。
【0037】
次に、
図4(a),(b)に示すように、対向用母基板2Aの外面に貼合された偏光フィルム5Aを上記対向基板2となる各部分の輪郭に沿って円形状に切断する。
【0038】
偏光フィルム5Aを切断する際は、レーザー光(例えば、炭酸ガスレーザー、波長9.4μm)Lを用いて、このレーザー光を走査しながら、偏光フィルム5Aを各偏光フィルム5aの輪郭に沿って切断する。このとき、レーザー光による切断ラインは、対向基板2となる部分の輪郭よりも僅かに内側に位置することが好ましい。これにより、後述する対向用母基板2Aを対向基板2となる部分の輪郭に沿って切断する際に、刃物が偏光フィルム5aに接触することを防ぐことができる。
【0039】
また、偏光フィルム5Aをレーザー光により切断する際は、各セル1Aの素子基板3となる部分(具体的には配線形成部3b)に形成された配線部6と重ならない位置から切断を開始することが好ましい。切断の開始位置は切断の終了位置と重なるため、配線部6を避けた位置からレーザー光による切断を開始することで、レーザー光による配線部6の損傷等を防ぐことができる。
【0040】
また、偏光フィルム5Aを切断する際は、各偏光フィルム5aの輪郭のうち、少なくとも角部から切断を開始することが好ましい。これにより、各偏光フィルム5aを輪郭に沿って綺麗に切り抜くことができる。但し、本実施形態のように、各偏光フィルム5aの輪郭が円形となる場合は、輪郭に角部が存在しないため、特に切断の開始位置を規定する必要はない。
【0041】
なお、本実施形態では、レーザー光を用いて偏光フィルム5Aを切断する場合を例示しているが、レーザー光以外にも、例えば刃物を用いて偏光フィルム5Aの切断を行ってもよい。
【0042】
ところで、対向用母基板2Aには、
図10に示すように、各セル1Aの位置を示す第2のアライメントマークAM2が設けられている。第2のアライメントマークAM2は、例えば、各セル1Aの周囲に少なくとも2つ(本実施形態では2つ)設けられていればよい。具体的には、各セル1Aの近傍で一定の間隔で少なくとも2つ設けられていることが好ましい。
【0043】
本実施形態では、上述した第1のアライメントマークAM1と第2のアライメントマークAM2とを参照しながら、各セル1Aの対向基板2となる部分に対する位置合わせを行う。具体的には、第1のアライメントマークAM1の位置を特定した後に、複数のセル1Aの中から切断対象となるセル1Aの位置を第2のアライメントマークAM2により特定する。これにより、切断対象となるセル1Aに対するレーザー光の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では、切断対象となるセル1Aの周囲に位置する複数のセル1Aに対応した第2のアライメントマークAM2を参照するようにしてもよい。この場合、複数のセル1Aの中から切断対象となるセル1Aの位置を特定する前に、その周囲に位置する複数のセル1Aの位置を特定することで、切断対象となるセル1Aに対するレーザー光の位置合わせを更に精度良く行うことができる。
【0045】
次に、
図5(a),(b)に示すように、偏光フィルム5Aの切断された各部分の内側(偏光フィルム5a)を残して、偏光フィルム5Aの余白部分を対向用母基板2Aの面上から剥離して除去する。偏光フィルム5Aの余白部分については、偏光フィルム5Aの対角方向に沿って剥離することが好ましい。これにより、対向用母基板2Aの面上から偏光フィルム5Aの余白部分を綺麗に引き剥がすことができる。
【0046】
次に、
図6(a),(b)に示すように、素子用母基板3Aの外面に貼合された偏光フィルム5Bを上記素子基板3(具体的には素子形成部3a)となる各部分の輪郭に沿って円形状に切断する。
【0047】
偏光フィルム5Bを切断する際は、レーザー光(例えば、炭酸ガスレーザー、波長9.4μm)Lを用いて、このレーザー光を走査しながら、偏光フィルム5Bを各偏光フィルム5bの輪郭に沿って切断する。このとき、レーザー光による切断ラインは、素子形成部3aとなる部分の輪郭よりも僅かに内側に位置することが好ましい。これにより、後述する素子用母基板3Aを素子基板3(素子形成部3a)となる部分の輪郭に沿って切断する際に、刃物が偏光フィルム5bに接触することを防ぐことができる。
【0048】
また、偏光フィルム5Bをレーザー光により切断する際は、各セル1Aの素子基板3となる部分(具体的には配線形成部3b)に形成された配線部6と重ならない位置から切断を開始することが好ましい。切断の開始位置は切断の終了位置と重なるため、配線部6を避けた位置からレーザー光による切断を開始することで、レーザー光による配線部6の損傷等を防ぐことができる。
【0049】
また、偏光フィルム5Bを切断する際は、各偏光フィルム5bの輪郭のうち、少なくとも角部から切断を開始することが好ましい。これにより、各偏光フィルム5bを輪郭に沿って綺麗に切り抜くことができる。但し、本実施形態のように、各偏光フィルム5bの輪郭が円形となる場合は、輪郭に角部が存在しないため、特に切断の開始位置を規定する必要はない。
【0050】
なお、本実施形態では、レーザー光を用いて偏光フィルム5Bを切断する場合を例示しているが、レーザー光以外にも、例えば刃物を用いて偏光フィルム5Bの切断を行ってもよい。
【0051】
また、偏光フィルム5Bを切断する際の各セル1Aの素子基板3(素子形成部3a)となる部分に対する位置合わせは、上述した偏光フィルム5Aを切断する際と同様である。すなわち、本実施形態では、第1のアライメントマークAM1と第2のアライメントマークAM2とを参照しながら、各セル1Aの素子基板3となる部分に対する位置合わせを行う。これにより、切断対象となるセル1Aに対するレーザー光の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0052】
次に、
図7(a),(b)に示すように、偏光フィルム5Bの切断された各部分の内側(偏光フィルム5b)を残して、偏光フィルム5Bの余白部分を素子用母基板3Aの面上から剥離して除去する。偏光フィルム5Bの余白部分については、偏光フィルム5Bの対角方向に沿って剥離することが好ましい。これにより、素子用母基板3Aの面上から偏光フィルム5Bの余白部分を綺麗に引き剥がすことができる。
【0053】
次に、
図8(a),(b)に示すように、対向用母基板2Aを上記対向基板2となる各部分の輪郭に沿って円形状に切断する。対向用母基板2Aを切断する際は、刃物を用いたスクライブ切断加工を採用することができる。スクライブ切断加工については、特に限定されるものではなく、対向用母基板2Aを各対向基板2となる部分の輪郭に沿って切断可能な方法を採用すればよい。
【0054】
また、対向用母基板2Aを切断する際の各セル1Aの対向基板2となる部分に対する位置合わせは、上述した偏光フィルム5Aを切断する際と同様である。すなわち、本実施形態では、第1のアライメントマークAM1と第2のアライメントマークAM2とを参照しながら、各セル1Aの対向基板2となる部分に対する位置合わせを行う。これにより、対向用母基板2Aから各セル1Aの対向基板2を精度良く切り出すことが可能である。
【0055】
次に、
図9(a),(b)に示すように、素子用母基板3Aを上記素子基板3となる各部分の輪郭に沿って円形状に切断する。素子用母基板3Aを切断する際は、刃物を用いたスクライブ切断加工を採用することができる。スクライブ切断加工については、特に限定されるものではなく、素子用母基板3Aを各素子基板3となる部分の輪郭に沿って切断可能な方法を採用すればよい。
【0056】
また、素子用母基板3Aを切断する際の各セル1Aの素子基板3となる部分に対する位置合わせは、上述した偏光フィルム5Aを切断する際と同様である。すなわち、本実施形態では、第1のアライメントマークAM1と第2のアライメントマークAM2とを参照しながら、各セル1Aの素子基板3となる部分に対する位置合わせを行う。これにより、素子用母基板3Aから各セル1Aの素子基板3を精度良く切り出すことが可能である。
【0057】
以上のような工程を経ることによって、パネル作製用基板10から各セル1Aを切り出すことができ、複数の上記液晶表示パネル1を一括で製造することが可能である。
【0058】
上述したように、上記液晶表示パネル1のような異形表示パネルを製造する場合、矩形表示パネルを製造する場合に比べて、パネル作製用基板10からセル1Aを切り出す際の位置合わせや、対向基板2及び素子基板3に偏光フィルム5a,5bを貼合する際の位置合わせが非常に難しくなる。
【0059】
これに対して、本実施形態では、矩形状の対向用母基板2A及び素子用母基板3Aに矩形状の偏光フィルム5A,5Bを貼合することによって、これら対向用母基板2A及び素子用母基板3Aに偏光フィルム5A,5Bを正確に且つ容易に貼合することができる。その後、パネル作製用基板10から各セル1Aを切り出すことから、液晶表示パネル1に対する偏光フィルム5a,5bの偏光軸の傾きを高精度に保つことが可能である。
【0060】
また、本実施形態では、対向用母基板2A及び素子用母基板3Aから、互いに形状の異なる対向基板2及び素子基板3をそれぞれ別々に切り出すことで、上記液晶表示パネル1のような異形表示パネルを効率良く製造することができる。
【0061】
また、本実施形態では、第1のアライメントマークAM1と第2のアライメントマークAM2とを参照しながら、各セル1Aとなる部分に対する位置合わせを行うことで、対向基板2及び素子基板3に偏光フィルム5a,5bを貼合する際の位置精度と、対向用母基板2A及び素子用母基板3Aから対向基板2及び素子基板3を切り出す際の位置精度を高めることが可能である。
【0062】
したがって、本実施形態の製造方法によれば、液晶表示パネル1が異形表示パネルとなる場合であっても、このような液晶表示パネル1に対する偏光フィルム5a,5bの貼合精度を高めつつ、液晶表示パネル1を歩留り良く製造することが可能である。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記実施形態では、対向用母基板2A側と素子用母基板3A側との順で、各偏光フィルム5a,5bの切断、並びに、各母基板2A,3Aの切断を行っているが、それとは逆の順序、すなわち、素子用母基板3A側と対向用母基板2A側との順で、各偏光フィルム5b,5aの切断、並びに、各母基板3A,2Aの切断を行ってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、パネル作製用基板10を作製(準備)した後に、対向用母基板2A又は素子用母基板3Aの外面に貼合された偏光フィルム5a,5bを切断する場合を例示しているが、パネル作製用基板10を作製する前の対向用母基板2A又は素子用母基板3Aの外面に貼合された偏光フィルム5a,5bを、上記実施形態と同様の方法を用いて切断してもよい。
【0065】
この場合、偏光フィルム5a,5bを切断除去した後に、対向用母基板2Aと素子用母基板3Aとをシール材7を介して接合し、液晶を注入して、パネル作製用基板10を作製する。その後、上記実施形態と同様の方法を用いて、対向用母基板2Aと素子用母基板3Aとの切断を行えばよい。
【0066】
また、光学フィルムとして、偏光フィルム5a,5bを例示しているが、光学フィルムとしては、偏光フィルム5a,5bを含むものであればよく、偏光フィルム5a,5bと共に、例えば、光学補償フィルムや輝度向上フィルム、反射防止フィルムなどの機能フィルムを積層することも可能である。
【0067】
また、第1のアライメントマークAM1と第2のアライメントマークAM2との一部を共有化してもよい。すなわち、第1のアライメントマークAM1の一部にセル1Aの位置を示す第2のアライメントマークAM2としての機能を付加したり、第2のアライメントマークの一部に偏光フィルム5a,5b(光学フィルム)の貼合位置を示す第1のアライメントマークAM1としての機能を付加したりすることができる。
【0068】
また、液晶表示パネル1は、透過型に限らず、反射型であってもよい。反射型の場合、対向基板2のみに偏光フィルム5a(光学フィルム)が配置された構成となるため、上述した
図6及び
図7に示す工程が不要となる。
【0069】
また、対向用母基板2Aや素子用母基板3Aの切断には、上述した刃物を用いたスクライブ切断加工以外にも、別の切断方法を用いることができる。具体的には、レーザー光切断加工やウォータージェット切断加工等などの切断方法を用いることができる。
【0070】
また、本発明は、上述した液晶表示パネル1を製造する場合に限らず、例えば有機ELパネルなどの表示パネルを製造する場合に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0071】
また、本発明は、上述した異形表示パネルを製造する場合に限らず、従来のような平面形状が矩形(長方形)となる矩形表示パネルを製造する場合に対しても、本発明を適用することが可能である。特に、本発明によれば、薄型化及び狭額縁化された矩形表示パネルの製造時において、表示パネル端部に欠けやヒビが発生することを抑制することが可能である。
【解決手段】対向用母基板の外面に貼合された光学フィルムを表示パネル1の対向基板2となる各部分の輪郭に沿って切断した後に、切断された各部分の内側5aを残して光学フィルムの余白部分を対向用母基板の面上から剥離して除去する工程と、表示パネル1の対向基板2となる各部分の輪郭に沿って対向用母基板を切断する工程と、素子用母基板の外面に貼合された光学フィルムを表示パネル1の素子基板3となる各部分の輪郭に沿って切断した後に、切断された各部分の内側5bを残して光学フィルムの余白部分を対向用母基板の面上から剥離して除去する工程と、表示パネル1の素子基板3となる各部分の輪郭に沿って素子用母基板を切断する工程とを含む。