(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、価値のある特性を有する新規な化合物、詳細には、医薬品を調製するために使用することができる化合物を見出すことを対象とした。
【0002】
本発明は、糖尿病など、不十分なレベルのグルコキナーゼ活性により媒介される疾患を治療および/または予防するのに有用な化合物ならびにそのような化合物を調製する方法に関する。また、グルコキナーゼ活性の低活性化により特徴づけられるか、またはグルコキナーゼを活性化することにより治療することができる疾患および障害を治療する方法を提供し、これは、有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0003】
したがって、グルコキナーゼのシグナル伝達を特異的に活性化、調節および/または変調する小さな化合物を同定することが望ましく、本発明の目的である。さらに、本発明の目的は、1型および2型糖尿病、肥満、神経障害ならびに/または腎障害を予防および/または治療するための新規な化合物を調製することであった。
【0004】
本発明者らは、意外にも、ある種のチオフェン誘導体は、グルコキナーゼを活性化させ、したがって、これらの化合物は、1型および2型糖尿病、肥満、神経障害ならびに/または腎障害を予防および治療するために特に適していることを見出した。本発明による化合物およびその塩は、非常に価値のある薬理学的特性を有しながら、よく許容されることが見出された。
【0005】
詳細には、これらは、グルコキナーゼ活性化作用を有する。
【0006】
したがって本発明は、前記疾患の治療および/または予防における医薬品および/または医薬品活性成分としての本発明による化合物に関し、前記疾患の治療および/または予防のための薬剤を調製するための本発明による化合物の使用に関し、本発明による1種または複数の化合物をそのような投与を必要とする患者に投与することを含む前記疾患を治療する方法にも関する。
【0007】
宿主または患者は、任意の哺乳動物種、例えば、霊長類、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを包含する齧歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属していてよい。動物モデルは、実験研究のために重要であり、ヒトの疾患を治療するためのモデルを提供する。
【0008】
糖尿病(DM)は、インスリン欠乏およびインスリン耐性またはその両方により特徴づけられる往々にして肥満に関連する進行性疾患である。空腹時および食後に血糖が上昇し、患者は、失明、腎不全、心疾患、卒中および切断をもたらす急性および慢性合併症(微小血管および大血管)にさらされる。血糖コントロールを改善すると、これらの合併症のリスクが低下することが実証されている。疾患の進行性により、血糖コントロールを維持するためには強化治療戦略が必要である。糖尿病には、2種の型がある:1型すなわち若年型糖尿病またはインスリン依存型糖尿病(IDDM)および2型すなわち成人発症型糖尿病または非インスリン依存型糖尿病(NIDDM)である。1型糖尿病患者は、インスリンを合成および分泌する膵臓β細胞の免疫学的破壊による絶対的なインスリン不全を有する。2型糖尿病は、より複雑な病因を有し、相対的なインスリン欠乏、インスリン作用の低下およびインスリン耐性により特徴づけられる。早期発症NIDDMまたは若年の成人発症型糖尿病(MODY)は、NIDDMの最も一般的な形態の多くの特徴を共有しており、その発症は、中年期に生じる(Rotterら、1990年)。明瞭な遺伝様式(常染色体上で優勢)がMODYでは観察されている。少なくとも3種の個別の突然変異がMODYファミリーでは同定されている(Bellら、1996年)。グルコースホメオスターシスにおけるグルコキナーゼ(GK)の重要性は、ヒトにおけるGK突然変異体と糖尿病との関連により(MODY−2)、ならびに遺伝子導入マウスおよび遺伝子ノックアウトマウスにおけるグルコース代謝の変化により実証されている(Froguelら、2003年;Baliら、1995年、Posticら、1999年)。
【0009】
ヘキソキナーゼIVまたはDとしても知られているGKは、4種のヘキソキナーゼアイソザイムのうちの1種であり、グルコースをグルコース6リン酸に代謝する[Wilson、2004年]。GKは、神経/神経内分泌細胞、肝細胞および膵臓細胞で発現されることが知られており、全身ホメオスターシスにおいて中心的な役割を果たす[Matschinskyら、1996;2004年]。GKは、膵臓β細胞からのインスリン分泌および肝臓でのグルコース代謝を増大させることにより、しかしまた、L細胞からのGLP1分泌を上昇させることにより、血漿グルコースホメオスターシスを制御するためのグルコースセンサーとして重要な役割を果たす。β細胞、弓状(ARC)視床下部核におけるグルコースセンシングは、GKに依存してグルコースの上昇を検出し、グルコース誘発インスリン分泌を促進し得る。これらの作用多重機構により、GK活性化剤はその生物学的効果を、糖尿病および肥満患者においては全身グルコース認識を改善することで発揮することが示唆されており、このことから、GK活性の増大は代謝障害のための新規な治療手法となるであろうという合理的な期待が得られる。GK活性化剤は、適正な膵臓ホルモンおよびインクレチン分泌を肝グルコース産生の抑制と共に復活させ、その際、重大な低血
糖症を誘発しないと予期される。
【0010】
参考文献
Wilson JE: The hexokinase gene family. In Glucokinase and Glycemic Disease: From Basics to Novel Therapeutics. Front Diabetes. Vol. 16. Matschinsky FM、Magnuson MA編、Basel、Karger、2004年、
Matschinsky, F. M.、Diabetes 1996年、45、223〜41、
Matschinsky F.M.; Magnuson M.A.編、Glucokinase and Glycemic Disease: From Basics to Novel Therapeutics. Basel:Karger、2004年、
Rotterら、Diabetes mellitus (1990): Theory and practice Rifkin and Porte (編) NY、378〜413、
Bellら、1996年、
Froguelら、2003年、
Baliら、1995年、
Posticら、1999年。
【0011】
本出願の明細書中でより詳細に記載されている下記の構造は、当分野では知られている。しかしながら、これらがGK活性化剤として記載されたことはない。5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−アミド、5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、6−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、4−メチル−2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−5−カルボン酸エチルエステル、5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド、5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸イソオキサゾール−3−イルアミド、および4−ジメチルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド これらの化合物は、化合物としての請求から除外される。
【0012】
発明の概要
本発明は、糖尿病を治療するための医薬品を調製するための式Iの化合物の使用に関する
【0013】
【化1】
[式中、
R
1、R
2、R
3およびR
4は、相互に独立に、H、A、Hal、Ar、Het、OR
12、S(O)
nR
12、NR
12R
13、NO
2、CN、COOR
12、CONR
12R
13、NR
12COR
13、NR
12CONR
12R
13、NR
12SO
nR
13、CHO、COR
12、SO
3H、SO
nNR
12R
13、O−A−NR
12R
13、O−A−CONR
12R
13、O−A−NR
12COR
13、O−A−Het、O−A−Ar、A−Ar、A−Het、S(O)
n−A−Het、S(O)
n−A−Ar、CONR
5を示し、
R
3またはR
4の一方は、
【0014】
【化2】
を示し、
R
5は、下記の複素環
【0015】
【化3】
のいずれかを示し、
R
6、R
7、R
8 R
9およびR
10は、相互に独立に、H、A、OR
12、S(O)
nR
12、NR
12R
13、CN、CONR
12R
13、NR
12COR
13、NR
12CONR
12R
13、NR
12SO
nR
13、COR
12、SO
3H、SO
nNR
12R
13、O−A−NR
12R
13、O−A−CONR
12R
13、O−A−NR
12COR
13、O−A−Het、O−A−Ar、A−Ar、A−Het、S(O)
n−A−Het、S(O)
n−A−Arを示し、
R
11は、H、A、S(O)
nR
12、CONR
12R
13、COR
12、SO
nNR
12R
13、A−Ar、A−Het、S(O)
n−A−HetまたはS(O)
n−A−Arを示し、
R
12、R
13は相互に独立に、H、A、ArまたはHetを示し、
Aは、=S、=NR
12(イミン)および/または=O(カルボキシ)で1回、2回または3回置換されている1〜12個のC原子を有する分枝鎖もしくは非分枝鎖アルキル(ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NAr、NHetにより、および/または−CH=CH−基により置き換えられている、かつ/または1〜7個のH原子がFおよび/またはClにより置き換えられている)または3〜7個のC原子を有する環式アルキル(ここで、1〜7個のH原子が、F、Cl、OR
12、SO
nR
12および/またはNR
12R
13により置き換えられていてもよい)を示し、
Arは、非置換か、または相互に独立してA、Hal、Ar、Het、OR
12、S(O)
nR
12、NR
12R
13、NO
2、CN、COOR
12、CONR
12R
13、NR
12COR
13、NR
12CONR
12R
13、NR
12SO
nR
13、CHO、COR
12、SO
3H、SO
nNR
12R
13、O−A−NR
12R
13、O−A−CONR
12R
13、O−A−NR
12COR
13、O−A−Het、O−A−Ar、A−Ar、A−Het、S(O)
n−A−Het、S(O)
n−A−Arで1回、2回、3回または4回置換されているフェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、
Hetは、A、Hal、Ar、Het、OR
12、S(O)
nR
12、NR
12R
13、NO
2、CN、COOR
12、CONR
12R
13、NR
12COR
13、NR
12CONR
12R
13、NR
12SO
nR
13、CHO、COR
12、SO
3H、SO
nNR
12R
13、O−A−NR
12R
13、O−A−CONR
12R
13、O−A−NR
12COR
13、O−A−Het、O−A−Ar、A−Ar、A−Het、S(O)
n−A−Het、S(O)
n−A−Ar、=S、=NR
12および/または=Oで1回または相互に独立して2回、3回または4回置換されていてもよい1から4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単核または二核の飽和もしくは不飽和または芳香族複素環を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1または2を意味する]。
【0016】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、
R
1、R
2、R
3のうちの1つまたは複数がHではなく、
R
1、R
2、R
3、R
6、R
7、R
8、R
9および/またはR
10が、飽和または不飽和環を形成してなく、
R
1がArまたはHetのいずれでもなく、
R
2=Arである場合、R
5はピリジンではなく、
R
1=HalまたはMeである場合、R
2はHではなく、
R
5=チアゾールである場合、R
6は、COOR
10またはCONR
10R
11またはCHOまたはCOR
10のいずれでもない上記の定義に従った化合物に関する。
【0017】
例えば、
R
1およびR
2がAまたはS(O)
nNR
12R
13であり、
R
3がHであり、
R
5がチアゾール、好ましくは、非置換チアゾールである
上記式(I)に従った構造が特に好ましい。
【0018】
この実施形態では、R
1およびR
2がエチルまたはプロピルである場合が特に好ましい。
【0019】
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、式Iの化合物および薬学的に有用なそれらの誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体を調製する方法であって、
a)式(a)の化合物 式IIIの化合物
【0020】
【化4】
[式中、
R1からR4は、上記で定義された通りであり
R
3またはR
4の一方は、COL
1であり、
ここで、
L
1は、Cl、Br、I、OH、反応性エステル化OH基またはジアゾニウム部分である]
を、
b)式(b)の化合物
【0021】
【化5】
[式中、
L
2、L
3は相互に独立に、Hまたは金属イオンであり、R
5は、上記で定義された通りである]
と反応させ、任意選択で、前記反応により得られた式IIの化合物を単離し、かつ/または酸で処理して、その塩を得ることを特徴とする方法に関する。
【0022】
一般に、式(a)および/または式(b)の化合物は新規である。いずれの場合にも、これらは、当分野で知られている方法に従って、またはそれらの手順と同様に調製することができる。
【0023】
式(a)の化合物では、L
1は好ましくは、Cl、Br、I、OH、反応性誘導体化OH部分、特に、反応性エステル化OH部分、例えば、1から6個の炭素原子を含むアルキルスルホニルオキシ部分(好ましくは、メチルスルホニルオキシ)もしくはおよび6から10個の炭素原子を含むアリールスルホニルオキシ部分(好ましくは、フェニル−またはp−トリルスルホニルオキシ)またはジアゾニウム部分であり、より好ましくは、Cl、BrまたはIであり、なおより好ましくは、Clである。
【0024】
式(b)の化合物では、L
2および/またはL
3は好ましくは、Hまたは、それが結合しているアミノ基を活性化する部分、例えば、金属イオンである。適切な金属イオンは好ましくは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよびアルミニウムイオンからなる群から選択される。特に好ましい金属イオンは、アルカリ金属イオンであり、そのうち、Li、NaおよびKが特に好ましい。多価金属イオンの場合、金属イオンおよび式IVの化合物は、1個または複数の式IVの化合物および1個または複数の金属イオンを含有する錯体を形成し、ここで、式IVの化合物と(1個または複数の)金属イオンとの比は、化学量論および/または電気的中性の法則に従って金属イオンの価に左右される。
【0025】
式(a)の化合物と式(b)の化合物との反応を好ましくは、酸結合手段、例えば、1種または複数の塩基の存在下で実施する。適切な酸結合手段は、当分野で知られている。酸結合手段として好ましいのは、無機塩基、特には有機塩基である。無機塩基の例は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属炭酸塩およびアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属重炭酸塩または弱酸とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムもしくはセシウムとの他の塩である。有機塩基の例は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミ
ン(DIPEA)、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンである。有機塩基を使用する場合には、一般に、反応の間に使用される最も高い反応温度を超える沸点を有する塩基を使用することが有利である。有機塩基として特に好ましいのは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0026】
反応時間は通常、各化合物の反応性および各反応条件に応じて、数分から数日の範囲である。適切な反応時間は、当分野で知られている方法により、例えば、反応を監視することにより容易に決定することができる。上記の反応温度では、適切な反応時間は通常、10分から24時間、好ましくは、30分から12時間、特に、45分から8時間の範囲、例えば、約1時間、約2時間、約4時間または約6時間である。
【0027】
好ましくは、式(a)の化合物と式(b)の化合物の反応を、各反応条件下で好ましくは不活性な適切な溶媒の存在下で実施する。適切な溶媒の例は、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムもしくはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルもしくはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル;アセトンもしくはブタノンなどのケトン;アセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;ニトロメタンもしくはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステルまたは前記溶媒の混合物である。極性溶媒が一般に、好ましい。適切な極性溶媒の例は、塩素化炭化水素、アルコール、グリコールエーテル、ニトリル、アミドおよびスルホキシドまたはその混合物である。アミド、特にジメチルホルムアミド(DMF)がより好ましい。
【0028】
本発明はまた、これらの化合物の立体異性体(E、Z異性体を包含)ならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、相互引力により形成される化合物上への不活性溶媒分子の付加を意味することとする。溶媒和物は例えば、一水和物もしくは二水和物またはアルコラートである。
【0029】
薬学的に有用な誘導体は、例えば、本発明による化合物の塩およびいわゆるプロドラッグ化合物を意味することとする。
【0030】
プロドラッグ誘導体は、例えば、アルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドで修飾されていて、生体内で迅速に分解されて、本発明による活性化合物を形成する式Iの化合物を意味することとする。
【0031】
これらはまた、例えば、Int.J.Pharm.115、61〜67(1995年)に記載されているような本発明による化合物の生分解性ポリマー誘導体を包含する。
【0032】
「有効量」との表現は、例えば、研究者または医師が求めているか目的としている生物学的または医学的応答を組織、系、動物またはヒトにおいてもたらす医薬品または薬学的活性成分の量を意味する。
【0033】
加えて、「治療有効量」との表現は、この量を与えられていない対応する対象と比較して、下記の結果を有する量を意味する:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害の改善された治療、治癒、予防、消失もしくは副作用の予防またはさらに、疾患、状態、障害もしくは副作用の進行の低減、またはさらに、疾患、状態または障害の進行の低減。
【0034】
「治療有効量」との表現はまた、正常な生理学的機能を高めるのに有効な量を包含する。
【0035】
本発明はまた、本発明による式Iの化合物の混合物、例えば、2種のジアステレオ異性体の例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比での混合物に関する。
【0036】
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
【0037】
複数存在する基の全てに関して、その意味は、相互に独立している。
【0038】
上記および下記において、基およびパラメーターR
1からR
13およびnは、明確に別段に示されていない限り、式Iで示された意味を有する。
【0039】
Aは、アルキルを示し、非分枝鎖(直鎖)または分枝鎖であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは好ましくは、メチル、さらに、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまた、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えば、トリフルオロメチルを示す。
【0040】
Aは非常に特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
【0041】
さらに、Aは好ましくは、1〜10個のC原子を有する非分枝鎖または分枝鎖アルキルを示し、ここで、1〜7個のH原子は、OH、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよい。シクロアルキルは好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを示す。
【0042】
Aは好ましくは、CH
2またはCH
2CH
2を意味する。
【0043】
R
1およびR2は相互に独立に、H、A、Hal、OR
12、S(O)
nR
12、NR
12R
13、NO
2、CN、COOR
12、CONR
12R
13、NR
12COR
13、NR
12CONR
12R
13、NR
12SO
nR
13、CHO、COR
12、SO
3H、S(O)
nNR
12R
13、O−A−NR
12R
13、O−A−CONR
12R
13、O−A−NR
12COR
13、O−A−Het、O−A−Ar、A−Ar、A−Het、S(O)
n−A−Het、S(O)
n−A−Ar;好ましくは、A、OA、SOAまたはS(O)
nNR
12R
13からなる群から選択される。
【0044】
Arは例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)−フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)−フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−ウレイドフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−カルボキシメチルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシメトキシフェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−または2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−または3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0045】
Arは好ましくは、非置換であるか、A、Halおよび/またはO(CR
6R
7)
mR
8で1回、2回、3回、4回または5回置換されているフェニルを示す。
【0046】
さらなる置換に関係なく、Hetは例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンゾイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンゾ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−インノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルを示す。
【0047】
複素環式基はまた、部分的または完全に水素化されていてもよい。したがって、Hetはまた、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8− 3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−または6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたはさらに3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−または−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルを示し得る。
【0048】
Hetは好ましくは、Hal、Aおよび/または(CR
6R
7)で1回、2回または3回置換されていてもよい1から4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式不飽和または芳香族複素環を示す。
【0049】
Hetは特に好ましくは、Hal、Aおよび/または(CR
6R
7)
mCOOR
8で1回、2回または3回置換されていてもよいピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾリル、インドリル、インダゾリルを示す。
【0050】
式Iの化合物は、1または複数のキラル中心を有することがあり、したがって、様々な立体異性形態で生じ得る。式Iは、これらの形態全てを包含する。
【0051】
したがって、本発明は詳細には、前記基の少なくとも1つが上記で示された好ましい意味のいずれかを有する式Iの化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群を、式Iに従った下記の従属式IaからIcにより表すことができ、ここで、より詳細に示されていない基は、式Iで示された意味を有するが、
Iaでは、R
1、R2は、Aを示し;
Ibでは、R
1は、A、好ましくは、Meを示し;R2は、S(O)
nNR
12R
13、好ましくは、ベンジルスルファモイル、ジエチルスルファモイルまたはフェニルスルファモイルを示し、
Icでは、R
1は、OA、好ましくは、プロポキシを示し;R2は、S(O)
nA、好ましくは、メタンスルホニルを示し、
好ましくは、IaからIcでは、R
5はチアゾリルである。
【0052】
また、すべての比でそれらを含む混合物を包含するIaからIcの薬学的に有用な誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体も含まれる。
【0053】
加えて、本発明による化合物、また、それを調製するための出発物質はそれ自体、知られている方法により、知られている反応条件下で正確で、かつ前記反応に適していると文献(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[有機化学の手法]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準的な著作物)に記載されている通りに調製される。またこの場合、本明細書には詳細には述べられていないそれ自体知られている変法を使用することもできる。
【0054】
望ましい場合には、反応混合物から単離することなく、代わりに直ちに、本発明による化合物にさらに変換するように、出発物質をその場で形成することもできる。
【0055】
出発化合物は、通常知られている。しかしながら、これらが新規な場合には、それ自体知られている方法により調製することができる。
【0056】
本発明の化合物は例えば、
経路A
【0057】
【化6】
経路B
【0058】
【化7】
経路C
【0059】
【化8】
により得ることができる。
【0060】
これらの反応を、当業者に知られている方法により実施する。
【0061】
反応を通常、不活性溶媒中、酸結合剤、好ましくは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩または弱酸とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、好ましくは、カリウム、ナトリウム、カルシウムもしくはセシウムとの他の塩の存在下で実施する。トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンなどの有機塩基を加えることが好ましいこともある。
【0062】
典型的なアシル化反応においてカルボキシル基を活性化するためのこの種の基は、文献(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[有機化学の手法]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準的な著作物)に記載されている。
【0063】
活性化エステルを、その場で、例えば、HOBtまたはN−ヒドロキシスクシンイミドを加えることを介して形成するのが有利である。
【0064】
適切な不活性溶媒は、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル;アセトンもしくはブタノンなどのケトン;アセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;二硫化炭素;ギ酸もしくは酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンもしくはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステルまたは前記溶媒の混合物である。
【0065】
使用される条件に応じて、反応時間は、数分から14日であり、反応温度は、約−30°から140°、通常、−10°から110°、特には約20°から約100°である。
【0066】
ニトロ基をアミノ基に還元することにより(例えば、ラネーニッケルまたはPd/炭素で、メタノールまたはエタノールなどの不活性溶媒中で水素化することにより)、またはシアノ基をCOOH基に加水分解することにより、他の基を変換することができる。
【0067】
さらに、有利にはジクロロメタンまたはTHFなどの不活性溶媒中、および/またはトリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下、−60から+30℃の温度で、遊離アミノ基を慣用の方法で、酸塩化物または無水物を使用してアシル化するか、または非置換または置換アルキルハロゲン化物を使用してアルキル化することができる。例えば、NaOHまたはKOHを水、水/THFまたは水/ジオキサン中、0から100℃の温度で使用して、エステル基をけん化することができる。例えば、塩化チオニルを使用して、カ
ルボン酸を対応するカルボン酸塩化物に変換することができ、これを、カルボキサミドに変換することができる。知られている方法でそこから水を除去すると、カルボニトリルが得られる。
【0068】
薬学的塩および他の形態
本発明による前記化合物をその最終的な非塩形態で使用することができる。他方で、本発明はまた、これらの化合物を、当分野で知られている手順により様々な有機および無機酸および塩基に由来し得るその薬学的に許容できる塩の形態で使用することも包含する。式Iの化合物の薬学的に許容できる塩形態は大部分、慣用の方法により調製される。式Iの化合物がカルボキシル基を含有する場合、その適切な塩の1種を、化合物を適切な塩基と反応させて、対応する塩基付加塩を得ることにより形成することができる。このような塩基は例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを包含するアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えば、カリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびにピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。式Iの化合物のアルミニウム塩も同様に包含される。ある種の式Iの化合物では、これらの化合物を、薬学的に許容できる有機および無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などの水素ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩などの他の鉱酸および対応するその塩ならびにエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などのアルキル−およびモノアリールスルホン酸塩ならびに酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などの他の有機酸および対応するその塩で処理することにより、酸付加塩を形成することができる。したがって、薬学的に許容できる式Iの化合物の酸付加塩には:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、カンファー酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二水素リン酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクテル酸塩(galacterate)(粘液酸から)、ガラクツロン酸塩(galacturonate)、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩が包含されるが、これは限定を表すものではない。
【0069】
さらに、本発明による化合物の塩基塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩が包含されるが、これは限定を表すことを意図していない。上述した塩のうち、アンモニウム;ナトリウムおよびカリウムのアルカリ金属塩ならびにカルシウムおよびマグネシウムのアルカリ土類金属塩が好ましい。薬学的に許容できる有機非毒性塩基に由来する式Iの化合物の塩には、第1級、第2級および第3級アミン、置換アミンの塩が包含され、また天然に存在する置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩も包含されるが、これは限定を表すことを意図していない。
【0070】
塩基性窒素含有基を含有する本発明の化合物は、(C
1〜C
4)ハロゲン化アルキル、例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;硫酸ジ(C
1〜C
4)アルキル、例えば、硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;ハロゲン化(C
10〜C
18)アルキル、例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにハロゲン化アリール(C
1〜C
4)アルキル、例えば、塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの薬剤を用いて4級化することができる。本発明による水溶性および油溶性化合物の両方は、このような塩を用いて調製することができる。
【0071】
上述した好ましい薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが包含されるが、これは限定を表すことを意図していない。
【0072】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を、十分な量の所望の酸と接触させ、従来の方法で塩を形成させることにより調製する。遊離塩基は、塩形態を塩基と接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することにより再生することができる。遊離塩基形態は、極性溶媒への溶解性などのある種の物理的特性に関しては、対応するその塩形態と一定の点において異なるが、本発明の目的に対しては、塩は、その他の点ではそれぞれのその遊離塩基形態と一致している。
【0073】
述べたように、式Iの化合物の薬学的に許容できる塩基付加塩を、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンを用いて形成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0074】
本発明による酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、従来の方法で塩を形成させることにより調製する。遊離酸は、塩形態を酸と接触させ、従来の方法で遊離酸を単離することにより再生することができる。遊離酸形態は、極性溶媒への溶解性などのある種の物理的特性に関しては、対応するその塩形態と一定の点において異なるが、本発明の目的に対しては、塩は、その他の点ではそれぞれのその遊離酸形態と一致している。
【0075】
本発明による化合物が、この種類の薬学的に許容できる塩を形成することができる1個を超える基を含有する場合、本発明はまた、複数塩(multiple salts)を包含する。典型的な複数塩形態には、例えば、酒石酸水素塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が挙げられるが、これは限定を表すことを意図していない。
【0076】
上記で述べたことに関して、本関連において「薬学的に許容できる塩」との表現は、式Iの化合物をその塩のいずれかの形態で含む活性成分を意味すると解釈され、特にこの塩形態が、活性成分の遊離形態または以前に使用された活性成分の任意の他の塩形態と比較して、活性成分に改善された薬物動態学的特性を付与する場合を意味すると解釈されることが分かる。活性成分の薬学的に許容できる塩形態はまた、この活性成分に、それが以前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて提供することもでき、身体におけるその治療効果に関して、この活性成分の薬力学に対してプラスの影響をさらに有し得る。
【0077】
本発明による式Iの化合物は、その分子構造によりキラルであることがあり、したがって、様々な鏡像異性体形態で生じることがある。したがってこれらは、ラセミ形態または光学的に活性な形態で存在し得る。本発明による化合物のラセミ化合物または立体異性体の薬学的活性は異なることがあるので、鏡像異性体を使用することが望ましいことがある。これらの場合、最終生成物または中間体であっても、当業者に知られている化学的または物理的手段により鏡像異性化合物に分離するか、または合成でそのまま使用することもできる。
【0078】
ラセミのアミンの場合、ジアステレオ異性体を混合物から、光学的に活性な分割剤との反応により形成する。適切な分割剤の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、適切にN保護されているアミノ酸(例えば、N−ベンゾイルプロリンまたはN−ベンゼンスルホニルプロリン)または様々な光学的に活性なカンファースルホン酸のRおよびS形態などの光学的に活性な酸である。また、光学的に活性な分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースもしくは炭水化物の他の誘導体またはシリカゲル上に固定されたキラルに誘導体化されたメタクリレートポリマー)を用いてのクロマトグラフィーによる鏡像異性体分割が有利である。この目的に適した溶離剤は、例えば82:15:3の比の例えばヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルなどの水性またはアルコール性溶媒混合物である。
【0079】
本発明はさらに、詳細には非化学的方法により医薬品(医薬組成物)を調製するために、化合物および/または生理学的に許容できるその塩を使用することに関する。これらは、この場合、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体賦形剤または補助剤と共に、さらに望ましい場合には、1種または複数のさらなる活性成分と組み合わせて適切な剤形に変換することができる。
【0080】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明による化合物ならびに/または薬学的に有用な前記化合物の誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、ならびにすべての比で含むそれらの混合物と、任意選択により賦形剤および/または補助剤とを含む医薬品に関する。
【0081】
医薬製剤は、投与単位当たり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。そのような単位は、例えば、治療される疾患状態、投与方法ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて、0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、特に好ましくは5mgから100mgの本発明による化合物を含むことができるか、または医薬製剤は、投与単位当たり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。好ましい投与単位製剤は、上述したように1日用量または部分用量または活性成分の対応するその一部を含むものである。さらに、この種類の医薬製剤は、医薬分野で一般
に知られている方法を使用して調製することができる。
【0082】
医薬製剤は、任意の所望の適切な方法を介する、例えば、経口(口腔または舌下を包含)、直腸、経鼻、局所(口腔、舌下または経皮を包含)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を包含)の方法による投与に適合することができる。このような製剤は、医薬分野で知られている全ての方法を用いて、例えば、活性成分を賦形剤(複数可)または補助剤(複数可)と組み合わせることにより調製することができる。
【0083】
経口投与用に適合した医薬製剤は、例えば、カプセルもしくは錠剤;粉剤もしくは顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用フォーム(edible foam)もしくはフォームフード(foam food);または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンなどの別々の単位として投与することができる。
【0084】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合、活性成分要素は、例えば、エタノール、グリセロール、水などの経口用の非毒性で薬学的に許容できる不活性賦形剤と組み合わせることができる。粉剤は、化合物を適切な微細サイズに粉砕し、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの例えば、食用炭水化物などの同様の方法で粉砕された医薬賦形剤と混合することにより調製する。香味剤、保存剤、分散剤および染料も同様に存在してよい。
【0085】
カプセルは、上記の通りに粉末混合物を調製し、これを成形されたゼラチン殻に充填することにより製造する。例えば、高分散性ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体形態でのポリエチレングリコールなどの流動促進剤および滑剤を、充填操作の前に粉末混合物に加えることができる。例えば、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤も、カプセルが摂取された後の医薬品の有効性を改善するために、同様に加えることができる。
【0086】
加えて、所望の場合または必要な場合には、適切な結合剤、滑剤および崩壊剤、さらに染料も、混合物中に同様に組み入れることができる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、例えば、グルコースまたはβ−ラクトースなどの天然糖、トウモロコシから製造された甘味料、例えば、アカシア、トラガカントなどの天然および合成ゴムまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが包含される。これらの剤形において使用される滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが包含される。崩壊剤には、これらに限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが包含される。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、この混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、滑剤および崩壊剤を加え、全混合物を圧縮して錠剤を得ることにより製剤する。粉末混合物は、適切な方法で粉砕された化合物を、希釈剤または上述した塩基と、および任意選択により、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤、例えば、パラフィンなどの溶解遅延剤、例えば、第4級塩などの吸収促進剤および/または例えば、ベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することにより調製する。粉末混合物は、例えば、シロップ、デンプンペースト、アカディア(acadia)粘液またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などの結合剤で湿潤させ、ふるいを通して圧縮することによって顆粒化することができる。顆粒化の代わりに、粉末混合物を錠剤成形機に通して、非均一な形状の塊を得ることができ、これらを分解して顆粒を形成する。顆粒は、錠剤鋳込型に固着するのを防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化することができる。次いで、潤滑化された混合物を圧縮すると、錠剤が得られる。本発明による化合物をまた、易流動性の不活性賦形剤と組み合わせ、次いで直接圧縮すると、顆粒化または乾燥圧縮ステップを実施せずに錠剤を得ることができる。シェラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびワックスの光沢層からなる、透明または不透明の保護層が存在してもよい。異なる投与単位を区別することができるように、これらのコーティングに染料を加えることができる。
【0087】
例えば、溶液、シロップ、エリキシル剤などの経口液体は、所与の量が、予め指定された量の化合物を含むように、投与単位の形態で調製することができる。シロップは、化合物を適切な香味を含む水溶液中に溶解させることにより調製することができ、エリキシル剤は、非毒性アルコール媒体を使用して調製する。懸濁液は、非毒性媒体中に化合物を分散させることにより製剤することができる。例えば、エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存剤、例えばペパーミント油などの香味添加剤、または天然甘味料またはサッカリンもしくは
他の人工甘味料なども、同様に加えることができる。
【0088】
経口投与用の投与単位製剤は、所望の場合にはマイクロカプセル中に封入することができる。この製剤はまた、例えば、ポリマー、ワックスなどで粒子材料をコーティングまたは包埋することなどにより、放出を延長または遅延させるように調製することができる。
【0089】
本発明による化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能性の誘導体はまた、例えば、小さなユニラメラベシクル、大きなユニラメラベシクルおよびマルチラメラベシクルなどのリポソーム送達系の形態でも投与することができる。リポソームは、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0090】
本発明による化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能性の誘導体はまた、モノクローナル抗体を、化合物分子が結合する個々の担体として用いて送達することができる。化合物をまた、標的薬物担体としての可溶性ポリマーに結合することもできる。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはパルミトイル基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンが包含され得る。化合物をさらに、医薬品の制御放出を実現するのに適した生分解性ポリマーの群、例えば、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合することができる。
【0091】
経皮投与に適合した医薬製剤は、受容者の表皮と長期間にわたって密着させるための、独立した硬膏剤として投与することができる。したがって例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research、3(6)、318(1986年)の一般用語に記載されている通りのイオントフォレシスにより硬膏剤から送達することができる。
【0092】
局所投与に適合した医薬化合物は、軟膏剤、クリーム、懸濁液、ローション剤、粉剤、液剤、ペースト剤、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして製剤することができる。
【0093】
眼または他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療では、製剤は、局所軟膏剤またはクリームとして適用されることが好ましい。軟膏剤を得るための製剤の場合、活性成分は、パラフィン性または水混和性クリーム基剤と共に使用することができる。別法では、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を含むクリームが得られるように製剤することができる。
【0094】
眼への局所適用に適合した医薬製剤には、点眼剤が包含され、この場合、活性成分を、適切な担体、詳細には水性溶媒に溶解または懸濁させる。
【0095】
口内の局所適用に適合した医薬製剤には、ロゼンジ、香錠および口内洗浄剤が包含される。
【0096】
直腸投与に適合した医薬製剤は、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0097】
担体物質が固体である、経鼻投与に適合した医薬製剤は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗末を含み、これは嗅剤が取り込まれる方法で、すなわち、鼻の近くに保持された粉末含有容器から鼻腔を介しての急速な吸入により投与される。担体物質として液体を含有する経鼻スプレーまたは点鼻剤として投与するのに適した製剤には、活性成分の水性または油性溶液が包含される。
【0098】
吸入による投与に適合した医薬製剤には、微細粒子状粉塵またはミストが包含され、これは、エアロゾル、噴霧器または吸入器を有する様々な種類の加圧ディスペンサーにより生じさせることができる。
【0099】
膣投与に適合した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として投与することができる。
【0100】
非経口投与に適合した医薬製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を治療される受容者の血液と等張性にする溶質を含む水性および非水性滅菌注射液;ならびに懸濁媒体および増粘剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液が包含される。製剤は、単回用量または多回投与用量の容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで投与することができ、使用直前に、滅菌担体液体、例えば注射目的用の水を加えるだけで済むように、凍結乾燥状態で保管することができる。
【0101】
処方に従って調製される注射液および懸濁液は、滅菌粉剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
【0102】
言うまでもなく、上記で詳細に述べられた成分に加えて、製剤はまた、個々の種類の製剤に関して、当分野で通常である他の薬剤を含むこともでき、したがって例えば、経口投与に適した製剤は、香味剤を含んでもよい。
【0103】
本発明の化合物の治療有効量は、例えば、ヒトまたは動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な疾患状態およびその重症度、製剤の性質ならびに投与方法を包含するいくつかの要因に依存し、治療する医師または獣医によって最終的に決定される。しかし、本発明による化合物の有効量は、一般に、1日当たり、受容者(哺乳動物)の体重1kg当たり0.1から100mgの範囲であり、特に典型的には、1日当たり、体重1kg当たり1から10mgの範囲である。したがって、体重70kgの成体哺乳動物に対する1日当たりの実際量は、通常70から700mgであり、この場合、この量を、1日当たりの単一用量として、または通常、合計の1日用量が同じとなるように、1日当たりの一連の部分用量(例えば、2、3、4、5または6回など)として投与することができる。その塩もしくは溶媒和物または生理学的に機能性の誘導体の有効量は、本発明による化合物自体の有効量の部分として決定することができる。上記で述べられた他の状態の治療に対しても同様の用量が適していると想定することができる。
【0104】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明による化合物ならびに/または薬学的に有用な前記化合物の誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、ならびにすべての比で含むそれらの混合物と、少なくとも1種の別の医薬品活性成分とを含む医薬品に関する。さらに、本発明は、群から選択される少なくとも1種の化合物を含む医薬品に関する。
【0105】
本発明はまた、
(a)有効量の、本発明による化合物ならびに/または薬学的に有用な前記化合物の誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、ならびにすべての比で含むそれらの混合物と
(b)有効量の別の医薬品活性成分と
の個別パックからなる、セット(キット)に関する。
【0106】
このセットは、箱、個々のボトル、バッグまたはアンプルなどの適切な容器を含む。セットは例えば、有効量の本発明による化合物ならびに/または薬学的に有用な前記化合物の誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、ならびにすべての比で含むそれらの混合物と、有効量の別の医薬品活性成分とを溶解形態または凍結乾燥形態でそれぞれ含有する別々のアンプルを含むことができる。
【0107】
使用
本化合物は、1型および2型糖尿病、肥満、神経障害ならびに/または腎障害の治療において哺乳動物、詳細にはヒトのための医薬活性成分として適している。
【0108】
したがって本発明は、請求項1に記載の化合物ならびに薬学的に有用な誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびにすべての比で含むそれらの混合物を1型および2型糖尿病、肥満、神経障害ならびに/または腎障害を治療するための医薬品を調製するために使用することに関する。
【0109】
本発明の化合物は、これらに限られないが、糖尿病、耐糖能障害、IFG(空腹時血糖異常)およびIFG(空腹時高血糖)、さらに、下記で検討されるような他の疾患および障害を包含するグルコキナーゼ活性の不十分なレベルにより媒介されるか、またはグルコキナーゼを活性化することにより治療され得る疾患または障害を治療するための予防薬または治療剤として使用することができる。
【0110】
さらに、本発明の化合物はまた、境界型、耐糖能障害、IFG(空腹時血糖異常)またはIFG(空腹時高血糖)が糖尿病へ進行するのを予防するために使用することもできる。
【0111】
本発明の化合物はまた、これらに限られないが、神経障害、腎障害、網膜障害、白内障、大血管障害、オステオペニア、糖尿病性高浸透圧性昏睡)、感染症(例えば、呼吸器感染症、尿路感染症、胃腸管感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症など)、糖尿病性壊疽、口内乾燥症、聴覚低下、脳血管疾患、末梢循環障害などの糖尿病性合併症の予防薬または治療剤として使用することもできる。
【0112】
本発明の化合物はまた、これらに限られないが、肥満、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、インスリン過剰血症、インスリン過剰血症誘発感覚不全、糖尿病性脂質異常症を包含する異常リポタンパク血症(血中の異常なリポタンパク質)、高脂質血症、I型、II−a型(高コレステロール血症)、II−b型、III型、IV型(高トリグリセリド血症)およびV型(高トリグリセリド血症)を包含する高リポタンパク血症(血中の過剰なリポタンパク質)、低HDL値、高LDL値、アテローム硬化症およびその後遺症、血管再狭窄、神経変性疾患、鬱病、CNS障害、肝臓脂肪症、骨粗鬆症、高血圧、腎疾患(例えば、糖尿病性腎障害、糸球体腎炎、糸球体硬化症(glomeruloscierosis)、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、末端腎障害など)、心筋梗塞、狭心症および脳血管疾患(例えば、脳梗塞、脳出血)などの疾患および障害を治療する際の予防薬または治療剤として使用することもできる。
【0113】
本発明の化合物はまた、これらに限られないが、骨粗鬆症、脂肪肝、高血圧、インスリン抵抗症候群、炎症性疾患(例えば、慢性関節リウマチ、変形性脊椎炎、変形性関節症、腰痛、通風、手術後または外傷性炎症、腫脹の緩解、神経痛、咽頭喉頭炎、膀胱炎、肝炎(非アルコール性脂肪肝炎を包含)、肺炎、炎症性大腸炎、潰瘍性大腸炎)、膵臓炎、内臓肥満症候群、悪液質(例えば、癌性悪液質(carcinomatous eachexia)、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液悪液質、内分泌悪液質、感染性悪液質、後天性免疫不全症候群により誘発される悪液質)、嚢胞性卵巣症候群、筋ジストロフィー、腫瘍(例えば、白血病、乳癌、前立腺癌、皮膚癌など)、過敏性腸症候群、急性または慢性下痢、変形性脊椎炎、変形性関節症、腫脹の緩解、神経痛、咽頭喉頭炎、膀胱炎、SIDSなどの疾患および障害を治療する際の予防薬または治療剤として使用することもできる。
【0114】
本発明の化合物は、下記に記載されているような1種または複数の追加の薬物と組み合わせて使用することができる。第2の薬物の用量は、臨床的に使用される用量を元に適切に選択することができる。式Iの化合物と第2の薬物との割合は、投与対象、投与経路、標的疾患、臨床条件、組合せおよび他の因子に応じて適切に決定することができる。投与対象がヒトである場合には、例えば第2の薬物を、式Iの化合物1重量部当たり0.01から100重量部の量で使用することができる。
【0115】
薬学的組合せ製剤の第2の化合物または投与計画は好ましくは、式Iの化合物に対して相補的な活性を有し、それらが相互に不利な影響を及ぼさないようなものである。このような薬物は適切には、所定の目的に有効な量の組合せで存在する。したがって、本発明の他の態様は、式Iの化合物またはその溶媒和物、代謝産物もしくは薬学的に許容できる塩もしくはプロドラッグを本明細書に記載の第2の薬物と組み合わせて含む組成物を提供する。
【0116】
式Iの化合物および追加の薬学的に活性な(1種または複数の)薬剤は一緒に、単一の医薬組成物で、または別々に投与することができ、別々に投与する場合には、同時にまたは任意の順序で連続して行うことができる。このような連続投与は、時間的に近接して、または時間的に離れていてよい。式Iの化合物および第2の(1種または複数の)薬剤の量ならびに投与の相対的なタイミングは、所望の併用療法効果が達成されるように選択する。
【0117】
併用療法は、「相乗作用」をもたらし、「相乗的」、すなわち、活性成分が一緒に使用される場合に達成される作用が、化合物を別々に使用して生じる作用の合計よりも高いことが判明することがある。相乗作用は、活性成分を(1)同時製剤し、組み合わせた単位用量製剤で同時に投与または送達するか;(2)別々の製剤として交互にまたは平行して送達するか;または(3)いくつかの他の計画により達成することができる。交互療法で送達する場合、化合物を例えば別々のシリンジでの異なる注射により連続して投与または送達すると、相乗作用が達成されることがある。通常、交互療法の間は、各活性成分の有効用量を連続して、すなわち続けて投与し、併用療法では、2種以上の活性成分の有効用量を一緒に投与する。
【0118】
例えば、糖尿病のための治療剤および/または上記で定義された通りの糖尿病合併症のための治療剤などの追加の(1種または複数の)薬物と組み合わせて、本発明の化合物を使用することができる。
【0119】
式Iの化合物と組み合わせて使用することができる糖尿病のための知られている治療剤の例には、インスリン製剤(例えば、ウシまたはブタ膵臓から抽出された動物インスリン製剤;遺伝子工学技術により大腸菌または酵母を使用して合成されたヒトインスリン製剤)、インスリンの断片またはその誘導体(例えば、INS−i)、インスリン耐性を改善するための薬剤(例えば、ピオグリタゾン塩酸塩、トログリタゾン、ロシグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、GI−262570、JTT−501、MCC−555、YM−440、KRP−297、CS−Oil、FK−614)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例
えば、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド(例えば、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン)、インスリン分泌促進物質[スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド(chiorpropamide)、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピジド、グリブゾール)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1J、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例えば、NVP−DPP−278、PT−100)、β−3アゴニスト(例えば、CL−3 16243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ−40140など)、アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例えば、バナジン酸)、グルコース新生阻害剤(例えば、グリコゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト)、SGLT(ナトリウム−グルコース共輸送体)阻害剤(例えば、T−1095)などが包含される。
【0120】
糖尿病性合併症のための知られている治療剤の例には、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、トルレスタット、エパルレスタット(epairestat)、ゼナレスタット、ゾポベスタット(zopobestat)、ミナイレスタット(minairestat)、フィダレスタット(SNK−860)、CT−i12)、神経栄養因子(例えば、NGF、NT−3、BDNF)、神経栄養因子産生分泌促進物質、PKC阻害剤(例えば、LY−333531)、AGE阻害剤(例えば、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウムブロミド(ALT766)、EXO−226)、活性酸素消去薬(例えば、チオクト酸)および脳血管拡張剤(例えば、チアプリド、メキシレチン)が包含される。
【0121】
また、本発明の化合物は、例えば、高脂血症治療剤と組み合わせて使用することができる。疫学的証拠により、高脂血症は、アテローム硬化症により心臓血管疾患(CVD)を生じさせる主な危険因子であることが確かに立証されている。近年では、CVDの予防における必須のステップとして、血漿コレステロール値および特に低密度リポタンパク質コレステロールを低下させることに重点が置かれている。
【0122】
心臓血管疾患は、糖尿病患者では特に多いが、それというのも、少なくとも一部では、この集団においては複数の独立する危険因子が存在するためである。したがって、一般的な集団における、特に、糖尿病患者における高脂血症の有効な治療は、医学的に極めて重要である。高脂血症治療薬の例には、コレステロール合成阻害剤であるスタチン化合物(例えば、セリバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチンまたはその塩など)、トリグリセリド低下作用を有するスクアレンシンターゼ阻害剤またはフィブラート化合物(例えば、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)などが包含される。
【0123】
また、本発明の化合物は、例えば血圧降下剤と組み合わせて使用することができる。高血圧は、高インスリン血症として知られている状態である高い血中インスリンレベルに関連している。グルコース利用、タンパク質合成ならびに中性脂質の形成および貯蔵を促進することが主な作用であるペプチドホルモンであるインスリンはまた、血管細胞増殖を促進し、腎臓ナトリウム保持を高めるなどの作用を特に有する。これら後者の機能は、グルコースレベルに影響を及ぼすことなく達成され得、高血圧の原因として知られている。例えば、末梢血管成長は、末梢毛細血管の収縮をもたらし得る一方で、ナトリウム保持は、血量を高める。したがって、高インスリン血症においてインスリンレベルを低下させることで、高インスリンレベルに起因する異常な血管成長および腎臓ナトリウム保持を予防し、それにより高血圧を緩和することができる。血圧降下剤の例には、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(例えば、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサンタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン)、カルシウムアンタゴニスト(例えば、マニジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、エホニ
ジピン)およびクロニジンが包含される。
【0124】
本発明の化合物は、抗肥満薬と組み合わせて使用することができる。「肥満」との用語は、過剰な脂肪組織を意味している。肥満は、糖尿病、アテローム硬化症および高血圧などの多くの非常に一般的な疾患を発生させるよく知られている危険因子である。ある程度まで、食欲は、視床下部の個別の領域:視床下部の腹外側核(VLH)内の摂食中枢および視床下部腹内側部(VMH)の満腹中枢により制御される。大脳皮質は摂食中枢からのプラスの信号を受け取って摂食を刺激し、満腹中枢はこのプロセスを、阻害インパルスを摂食中枢へ送ることにより調節する。いくつかの制御プロセスが、これらの視床下部中枢に影響を及ぼし得る。満腹中枢は、食後の血漿グルコースおよび/またはインスリンの上昇により活性化され得る。抗肥満薬の例には、中枢神経系に作用する抗肥満薬(例えば、デクスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン(phenyipropanolamine)、クロベンゾレックス)、膵臓リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット)、β−3アゴニスト(例えば、CL−3 16243、SR−5861 1−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ−40140)、食欲抑制ペプチド(例えば、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)およびコレシストキニンアゴニスト(例えば、リンチトリプト、FPL−1 5849)が包含される。
【0125】
アッセイ
グルコキナーゼ活性化スクリーニングアッセイ
GK活性(ヒトまたはラット酵素)を、カップリング酵素としてピルビン酸キナーゼ(PK)および乳酸脱水素酵素(LDH)を使用するカップリング酵素アッセイ(coupled enzyme assay)により測定する。GK活性を、マイクロタイタプレート(MTP)リーダーで340nmで光分析により監視されるNADHの低下から算出する。
【0126】
スクリーニングの目的では、GKアッセイは、日常的には、384−MTPフォーマットで、33μl/ウェルの全体積で実施する。ATP再生溶液(HEPES緩衝液
*中、pH7.0、ピルビンサンキナーゼ6.73U/ml、乳酸脱水素酵素6.8U/ml)10μlおよびグルコキナーゼ−/グルコース溶液(15μg/ml、HEPES緩衝液
*中6.6mMのグルコース、pH7.0;グルコースストック溶液の濃度は、Millipore H
2O中660mMであった)10μlを一緒に、アッセイ溶液中1nmから30μM(場合によって300μM)の範囲の最終化合物濃度を達成するために3.3倍量の化合物(下記参照)を含有する10%DMSO溶液(HEPES緩衝液
*中、pH7.0)3μlと混合した。溶液を5秒間混合し、243×gで5分間遠心分離した後に、溶液を室温で25分間予備インキュベーションした。
【0127】
NADH−/ATP溶液(HEPES緩衝液
*中4.29mMのNADH、4.95mMのATP)10μlを加えることにより、反応を開始した。MTPを5秒間振盪し、次いで、340nmでの吸収をMTPリーダー(TECAN Spectro fluor plus)で続く27分間連続して監視した(199秒のMTPサイクル時間で)。様々な成分の最終濃度は下記の通りであった:49.5mMのHepes、pH7.0、1.49mMのPEP、1.3mMのNADH、49.5mMのKCl、4.96mMのMgCl
2、1.5mMのMg−ATP、1.98mMのDTT、2.04U/mlのピルビン酸キナーゼ、2.06U/mlの乳酸脱水素酵素、0.91%のDMSO、0.15μg/ウェルのグルコキナーゼおよび1nMから300μMの範囲の試験化合物。
【0128】
化合物の存在下での光学密度の変化(ΔOD
340nm)を対照インキュベーション(2mMのグルコースおよび0.91%のDMSOの存在下)のΔOD
340nm,ctrlに対して表したが、その際空試料(2mMのグルコースの不在下でインキュベーション)の光学密度を考慮した。最大半量有効濃度(EC
50)を決定するために、対照値%を片対数グラフに、該当する化合物濃度に対してプロットした。データポイントを、非線形回帰分析によりS状曲線関数(f(x)=((対照
max%−対照
min%)/(1−(EC
50/x
**n(Hill)))+対照
min%))にフィットさせた。
【0129】
* Hepes緩衝液(50mMのHepes、pH7.0、5mMのMgCl
2、50mMのKCl、1.5mMのPEP、0.1%のBSA)。DTTをHepes緩衝液に、200×ストック溶液(Millipore H
2O)から毎日新たに加えた。Hepes緩衝液中でのDTTの最終濃度は2mMである。
【0130】
膵臓INS−1細胞の培養
Asfariら(Endocrinology 130: 167〜178、1992年)により記載された通り、INS−1細胞を、1mMのピルビン酸ナトリウム、50μMの2−メルカプトエタノール、2mMのグルタミン、10mMのHEPES、100IU/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシン(CM)を含有し、10mMのグルコースおよび10%(vol/vol)の熱不活化ウシ胎児血清(FCS)を補足された完全培地のRPMI1640中で培養した。
【0131】
インスリン分泌アッセイ
INS−1細胞を播種し、48−ウェルプレート中で培養した。2日間培養した後に、培地を除去し、細胞を、5mMのグルコース、1%FCSに培地を変えて24時間培養した。次いで、細胞をクレーブス−リンガー重炭酸塩HEPES緩衝液(KRBH;135mMのNaCl;3.6mMのKCl;5mMのNaHCO3;0.5mMのNaH2PO4;0.5mMのMgCl2;1.5mMのCaCl2および10mMのHEPES;pH7.4)2.8mMのグルコースを含有する0.1%BSAで洗浄し、同じ緩衝液中、37℃で30分間予備インキュベーションした。次いで、細胞を2回洗浄し、2.8ま
たは4.2mMグルコースおよび様々な濃度の試験分子を含有するKRBH 0.1%BSA中で1時間インキュベーションした。回収された上澄み中のインスリン濃度を、ラットインスリン抗体(Insulin Rat Elit PLUS、カタログ参照番号10−1145−01)を使用してELISAで測定した。
【0132】
本発明を説明するために、下記の例が包含されている。しかしながら、これらの例は、本発明を制限せず、本発明を実行する方法を提案することを単に意味していることを理解されたい。
【0133】
記載されている化学反応は、いくつかの本発明の他のグルコキナーゼ活性化剤を調製するために容易に合わせることができ、本発明の化合物を調製するための別の方法も本発明の範囲内と考えられることは、当業者には理解されるであろう。例えば、例示されていない本発明による化合物の合成は、当業者には明らかな変更により、例えば、妨害基を適切に保護することにより、記載されているもの以外の当分野で知られている他の適切な試薬を利用することにより、かつ/または反応条件を日常的に変更することにより成功裏に行うことができる。別法では、本明細書に開示されているか、または当分野で知られている
他の反応が、他の本発明の化合物を調製するための適用性を有すると理解されるであろう。
【0134】
上記および下記では、温度は全て℃で示されている。下記の例では、「慣用の後処理」は、必要な場合には、水を加え、最終生成物の構成に応じて必要な場合には2から10にpHを調節し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させ、生成物をクロマトグラフィーによりシリカゲルで、かつ/または結晶化により精製することを意味する。シリカゲルでのRf値;溶離剤:9:1の酢酸エチル/メタノール。
【0135】
質量分析法(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
+
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
+
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)
+(別段に示されていない限り)
融点(mp.):融点は、BUCHI Melting Point B−540で決定する。
【0136】
LC−MS−条件
質量データ(MH
+、m/z値として示す)は、LC−MS測定から得て、次の特性を有するERC製のELS−detector Sedex 75を備えたHP 1100シリーズのHewlett Packard Systemで記録した:イオン源:エレクトロスプレー(陽イオンモード);スキャン:100〜1000m/z;フラグメンテーション電圧:60V;ガス温度:300℃、DAD:220nm。
【0137】
流速:2.4ml/分。使用されたスプリッターは、MSのためのDADの後に流速を0.75ml/分まで低下させた。
【0138】
カラム:Chromolith Speed ROD RP−18e 50−4.6
溶媒:LiChrosolv(Merck KGaA)
溶媒A:H2O(0.01%TFA)
溶媒B:ACN(0.01%TFA)
方法A:96%のAから100%のBまで2.6分で。続いて、100%のBを0.7分。
【0139】
鏡像異性体分離のためのSFC−条件
Berger SFC(商標)Minigram(チュービング:分離モード)
カラム:Chiralpak AS−H(Daicel)、5μm、4.6mm×250mm
溶離剤:方法A:85%CO
2/15%MeOH;方法B:70%CO
2/30%MeOH
流速:5ml/分
出口圧:100バール
カラム温度:35℃
UV:250nm
分離注入:方法A:4mg/mlのACN/MeOH(1:1)溶液100μl;方法
B:5mg/mlのACN/MeOH(3:2)溶液100μl。
【実施例】
【0140】
例1
【0141】
【化9】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−アミド
5−プロピルチオフェン−3−カルボン酸(1.5mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.1当量)、2−アミノ−5−クロロピリジン(1.1当量)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.1当量)および4−メチルモルホリン(1.6当量)をDMFに溶かし、室温で4日間撹拌した。水を反応溶液に加え、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を1NのNaOHおよびブラインで洗浄し、N
2SO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸が、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル)の後に無色の固体として11%の収率で得られる。HPLC(方法A):3.56分;LC−MS(方法A):2.58分、281.00(MH
+);
1H−NMR(DMSO−d6 500MHz):δ[ppm]10.715(s,1H)、8.42(d,1H,J=2.6Hz)、8.343(d,1H,J=1.1Hz)、8.2(d,1H,J=8.9Hz)、7.933(dd,1H,J=2.6Hz,J=8.9Hz)、7.415(d,1H,J=1.1Hz)、2.779(t,2H,J=7.4Hz)、1.657(六重線,2H,J=7.4Hz)、0.942(t,3H,J=7.4Hz)。
【0142】
下記の化合物は、例1においてと同様の反応経路を介して合成することができる:
例2
【0143】
【化10】
チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド。ベージュ色の固体、収率48%、HPLC(方法A):2.81分、LCMS(方法A):1.59分、211m/
z(MH+)。
【0144】
例3
【0145】
【化11】
チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:ベージュ色の固体、収率23%、HPLC(方法A):2.83分、LCMS(方法A):1.61分、211m/z(MH+)。
【0146】
例4
【0147】
【化12】
4−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:ベージュ色の固体、収率51%、HPLC(方法A):2.99分、LCMS(方法A):1.83分、225m/z(MH+)。
【0148】
例5
【0149】
【化13】
5−クロロ−4−メタンスルホニル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:無色の固体、収率4%、HPLC(方法A):2.92分、LCMS(方法A):1.72分、323m/z(MH+)。
【0150】
例6
【0151】
【化14】
ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:無色の固体、収率5%、HPLC(方法A):3.21分、LCMS(方法A):2.12分、261m/z(MH+)。
【0152】
例7
【0153】
【化15】
4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:黄色の固体、収率8%、HPLC(方法A):3.31分、LCMS(方法A):2.26分、265m/z(MH+)。
【0154】
例8
【0155】
【化16】
6−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:無色の固体、収率10%、HPLC(方法A):3.47分、LCMS(方法A):2.46分、279.2m/z(MH+)。
【0156】
例9
【0157】
【化17】
4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:無色の固体、収率41%、HPLC(方法A):3.19分、LCMS(方法A):2.08分、385m/z(MH+)。
【0158】
例10
【0159】
【化18】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(4−メチル−チアゾール−2−イル)−アミド:ベージュ色の固体、収率42%、HPLC(方法A):3.37分、LCMS(方法A):2.35分、267.2m/z(MH+)。
【0160】
例11
【0161】
【化19】
{2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−4−イル}−酢酸エチルエステル:茶色のオイル、収率16%、HPLC(方法A):3.47分、LCMS(方法A):2.42分、339.2m/z(MH+)。
【0162】
例12
【0163】
【化20】
2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル:ベージュ色の固体、収率5%、HPLC(方法A):3.49分、LCMS(方法A):2.45分、325.2m/z(MH+)。
【0164】
例13
【0165】
【化21】
4−メチル−2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−5−カルボン酸エチルエステル:無色の固体、収率39%、HPLC(方法A):3.64分、LCMS(方法A):2.66分、339.2m/z(MH+)。
【0166】
例14
【0167】
【化22】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(1H−イミダゾール−2−イル)−アミド:ベージュ色の固体、収率36%、HPLC(方法A):2.84分、LCMS(方法A):1.46分、236.2m/z(MH+)。
【0168】
例15
【0169】
【化23】
4−メトキシメチル−チオフェン−2−カルボン酸(1−ピリジン−2−イルメチル−1H−ピラゾール−3−イル)−アミド:LCMS329.2m/z(MH+)。
【0170】
例16
【0171】
【化24】
4−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(5−メチル−1−ピリジン−2−イルメチル−1H−ピラゾール−3−イル)−アミド:LCMS313.1m/z(MH+)。
【0172】
例17
【0173】
【化25】
4−メトキシメチル−チオフェン−2−カルボン酸(5−メチル−1−ピリジン−2−イルメチル−1H−ピラゾール−3−イル)−アミド:LCMS343.2m/z(MH+)。
【0174】
例18
【0175】
【化26】
3−クロロ−4−メタンスルホニル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:オレンジ色の固体、収率27%、HPLC(方法A):2.75分、LCMS(方法A):1.47分、323m/z(MH+)。
【0176】
例19
【0177】
【化27】
4−(4−クロロ−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:ベージュ色の固体、収率71%、HPLC(方法A):3.49分、LCMS(方法A):2.45分、321m/z(MH+)。
【0178】
例20
【0179】
【化28】
5−ニトロ−チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:茶色の固体、収率36%、HPLC(方法A):2.97分、LCMS(方法A):1.79分、256m/z(MH+)。
【0180】
例21
【0181】
【化29】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−アミド:ベージュ色の固体、収率37%、HPLC(方法A):3.12分、LCMS(方法A):1.81分、286.2m/z(MH+)。
【0182】
例22
【0183】
【化30】
4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:無色の固体、収率64%、HPLC(方法A):3.31分、LCMS(方法A):2.2分、399m/z(MH+)。
【0184】
例23
【0185】
【化31】
4−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(1−ピリジン−2−イルメチル−1H−ピラゾール−3−イル)−アミド:LCMS291.1m/z(MH+)。
【0186】
例24
【0187】
【化32】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸[1,3,4]チアジアゾール−2−イルアミド:ベージュ色の固体、収率27%、HPLC(方法A):3.16分、LCMS(方法A):2.02分、254m/z(MH+)。
【0188】
例25
【0189】
【化33】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−アミド:ベージュ色の固体、収率60%、HPLC(方法A):3.23分、LCMS(方法A):2.23分、237.2m/z(MH+)。
【0190】
例26
【0191】
【化34】
5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:茶色の固体、収率56%、HPLC(方法A):2.96分、LCMS(方法A):1.82分、225m/z(MH+)。
【0192】
例27
【0193】
【化35】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−アミド:黄色の固体、収率31%、HPLC(方法A):3.4分、LCMS(方法A):2.38分、265.2m/z(MH+)。
【0194】
例28
【0195】
【化36】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸イソオキサゾール−3−イルアミド:無色の固体、収率16%、HPLC(方法A):3.21分、LCMS(方法A):2.11分、237.2m/z(MH+)。
【0196】
例29
【0197】
【化37】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−アミド:無色のオイル、収率70%、HPLC(方法A):3.08分、LCMS(方法A):1.95分、250.2m/z(MH+)。
【0198】
例30
【0199】
【化38】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(5−tert−ブチル−2H−ピラゾール−3−イル)−アミド:無色の固体、収率5%、HPLC(方法A):3.19分、LCMS(方法A):2.23分、292.2m/z(MH+)。
【0200】
例31
【0201】
【化39】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(4−クロロ−ピリジン−2−イル)−アミド:無色のオイル、収率4%、HPLC(方法A):3.41分、LCMS(方法A):2.58分、281m/z(MH+)。
【0202】
例32
【0203】
【化40】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸ピリミジン−2−イルアミド:黄色のオイル、収率14%、HPLC(方法A):2.87分、LCMS(方法A):1.76分、248.2m/z(MH+)。
【0204】
例33
【0205】
【化41】
4−エチル−5−プロピル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:ベージュ色の固体、収率44%、HPLC(方法A):3.44分、LCMS(方法A):2.49分、281.2m/z(MH+);
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ[ppm]12.489(s,1H)、8.078(s,1H)、7.523(d,1H,J=3.5Hz)、7.229(d,1H,J=3.5Hz)、2.742(t,2H,J=7.6Hz)、2.542(t,2H,J=7.6Hz)、1.62(六重線,2H,J=7.6Hz)、1.182(t,3H,J=7.6Hz)、0.9
49(t,3H,J=7.2Hz)。
【0206】
例34
【0207】
【化42】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(6−クロロ−ピリダジン−3−イル)−アミド:無色の固体、収率4%、HPLC(方法A):3.32分、LCMS(方法A):2.3分、282.2m/z(MH+)。
【0208】
例35
【0209】
【化43】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(2−エチル−2H−ピラゾール−3−イル)−アミド:無色の固体、収率15%、HPLC(方法A):3.08分、LCMS(方法A):2分、246.2m/z(MH+)。
【0210】
例36
【0211】
【化44】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸ピリミジン−4−イルアミド:黄色の固体、収率60%、HPLC(方法A):2.97分、LCMS(方法A):2.07分、248.2m/z(MH+)。
【0212】
例37
【0213】
【化45】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(1−ピリジン−2−イルメチル−1H−ピラゾール−3−イル)−アミド:ベージュ色の固体、収率86%、HPLC(方法A):2.89分、LCMS(方法A):1.91分、327.2m/z(MH+)。
【0214】
例38
【0215】
【化46】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(1H−ピラゾール−3−イル)−アミド:黄色の固体、収率2%、HPLC(方法A):2.95分、LCMS(方法A):1.82分、236.2m/z(MH+)。
【0216】
例39
【0217】
【化47】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸(4−メチル−ピリジン−2−イル)−アミド:黄色のオイル、収率10%、HPLC(方法A):2.89分、LCMS(方法A):1.79分、261.2m/z(MH+)。
【0218】
例40
【0219】
【化48】
{3−[(4−メトキシメチル−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−ピラゾール−1−イル}−酢酸エチルエステル:LCMS324m/z(MH+)。
【0220】
例41
【0221】
【化49】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸ピリジン−2−イルアミド:黄色のオイル、収率4%、HPLC(方法A):2.87分、LCMS(方法A):1.83分、247.2m/z(MH+)。
【0222】
例42
【0223】
【化50】
2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸
2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(0.077mmol)をEtOH(0.5ml)に溶かし、1NのNaOH(2.5当量)を加える。反応溶液を40℃で20時間撹拌する。pHを2に調節し、沈澱物を濾過する。2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−4−カルボン酸が無色の固体として61%の収率で得られる。HPLC(方法A):3.2分、LCMS(方法A):2.05分、297m/z(MH+)。
【0224】
下記の化合物は、例42においてと同様の反応経路を介して合成することができる:
例43
【0225】
【化51】
{3−[(4−メトキシメチル−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−5−メチル−ピラゾール−1−イル}−酢酸:LCMS310.1m/z(MH+)。
【0226】
例44
【0227】
【化52】
{3−[(4−メトキシメチル−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−ピラゾール−1−イル}−酢酸:LCMS296m/z(MH+)。
【0228】
例45
【0229】
【化53】
{5−メチル−3−[(4−メチル−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−ピラゾール−1−イル}−酢酸:LCMS280m/z(MH+)。
【0230】
例46
【0231】
【化54】
{2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−4−イル}−酢酸:無色の固体、収率79%、HPLC(方法A):3.16分、LCMS(方法A):2.03分、311m/z(MH+)。
【0232】
例47
【0233】
【化55】
4−メチル−2−[(5−プロピル−チオフェン−3−カルボニル)−アミノ]−チアゾール−5−カルボン酸:無色の固体、収率87%、HPLC(方法A):3.12分、LCMS(方法A):1.9分、311m/z(MH+)。
【0234】
例48
【0235】
【化56】
4−ジエチルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド ステップA:5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(30.5mmol)をエタノール(53ml)に溶かし、H
2SO
4(0.5当量)を加え、反応を3日間還流加熱する。溶媒を真空中で除去し、残った物質をジクロロメタンに溶かす。有機層を飽和NaHCO
3で抽出し、ブラインで洗浄する。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。5−メチルチオフェン−2−カルボン酸エチルエステルが茶色のオイルとして収率67%で得られる。HPLC(方法A):3.36分、LCMS(方法A):2.20分、171.2m/z(MH+)。
【0236】
ステップB:5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステル(11.7mmol)をクロロスルホン酸(4ml)に−4℃で溶かし、3時間撹拌する。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、氷水を加える。有機層を水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。4−クロロスルホニル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステルが茶色のオイルとして収率35%で得られる。HPLC(方法A):3.57分、LCMS(方法A):2.48分、269.0m/z(MH+)。
【0237】
ステップC:4−クロロスルホニル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステル(0.9mmol)をジクロロメタン(1.5ml)に溶かし、ジエチルアミン(1.1当量)、酢酸ナトリウム(2当量)のジクロロメタン(1ml)中の懸濁液を加える。反応物を室温で3時間撹拌する。水を加えた後に、反応物をジクロロメタンで抽出する。4−ジエチルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステルが、有機溶媒を真空中で除去した後に、黄色のオイルとして収率32%で得られる。HPLC(方法A):3.47分、LCMS(方法A):2.37分、306.2m/
z(MH+)。
【0238】
ステップD:4−ジエチルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステル(0.29mmol)をEtOH(0.5ml)に溶かし、1NのNaOH(2.5当量)を加える。反応溶液を40℃で24時間撹拌する。pHを2に調節し、沈澱物を濾過する。4−ジエチルスルファモイル−5−メチルチオフェン−2−カルボン酸が無色の固体として収率84%で得られる。HPLC(方法A):3.03分、LCMS(方法A):1.81分、278.2m/z(MH+)。
【0239】
ステップE:4−ジエチルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(0.25mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.1当量)、2−アミノ−チアゾール(1.1当量)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.1当量)および4−メチルモルホリン(1.6当量)をDMFに溶かし、室温で4日間撹拌する。水を反応溶液に加え、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を1NのNaOHおよびブラインで洗浄し、N
2SO
4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。4−ジエチルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミドがカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル)の後に、ベージュ色の固体として、収率49%で得られる。HPLC(方法A):3.24分、LCMS(方法A):2.12分、360.1m/z(MH+);
1H−NMR(DMSO−d6,500MHz):d[ppm]12.875(br,1H)、8.371(br,1H)、7.55(d,1H,J=3.6Hz)、7.276(br,1H)、3.253(q,4H)、2.696(s,3H)、1.096(t,6H)。
【0240】
下記の化合物は、例48においてと同様の反応を介して合成することができる:
例49
【0241】
【化57】
4−ベンジルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:ベージュ色の固体、HPLC(方法A):3.24分、LCMS(方法A):2.08分、394m/z(MH+)。
【0242】
例50
【0243】
【化58】
4−ジメチルスルファモイル−5−メチル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:ベージュ色の固体、HPLC(方法A):3.07分、LCMS(方法A):1.88分、332m/z(MH+)。
【0244】
例51
【0245】
【化59】
5−メチル−4−フェニルスルファモイル−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド:茶色の固体、HPLC(方法A):3.2分、LCMS(方法A):2.07分、380.1m/z(MH+)。
【0246】
例52
【0247】
【化60】
4−メタンスルホニル−5−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド。
【0248】
ステップA:1−プロパノール(1mmol)をTHF(4ml)に溶かし、NaH(5.1当量、液体パラフィン中60%の懸濁液)および5−クロロ−4−メタンスルホニルチオフェン−2−カルボン酸(1当量)を加える。懸濁液を60℃で4時間および室温で15時間撹拌する。溶媒を真空中で除去した後に、生成物をジクロロメタンおよび水で抽出し、水相のpHを、1NのHClで2に調節し、ジクロロメタンで抽出する。有機層を合わせ、溶媒を真空中で除去する。4−メタンスルホニル−5−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸が茶色の固体として収率56%で得られる。HPLC(方法A):2.77分、LCMS(方法A):1.49分、265.0m/z(MH+)。
【0249】
ステップB:4−メタンスルホニル−5−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸(0.5mmol)を塩化チオニル(1ml)およびTHF(1ml)に溶かし、60℃に2時間加熱する。溶媒を真空中で除去する。残渣(remaininf)固体をジクロロメタン(0.75ml)に溶かし、トリエチルアミン(0.1ml)および2−アミノチアゾール(1.5当量)を加える。懸濁液を室温で一晩撹拌する。沈澱物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。4−メタンスルホニル−5−プロポキシ−チオフェン−2−カルボン酸チアゾール−2−イルアミドがベージュ色の固体として収率51%で得られる。HPLC(方法A):3.00分、LCMS(方法A):1.87分、347m/z(MH+);
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ[ppm]12.81(s,1H)、8.376(s,1H)、7.523(d,1H,J=3.5Hz)、7.244(d,1H,J=3.5Hz)、4.341(t,2H,J=6.3Hz)、3.203(s,3H)、1.908〜1.820(m,2H)、1.02(t,3H,J=7.5Hz)。
【0250】
例53
【0251】
【化61】
5−プロピル−チオフェン−3−カルボン酸チアゾール−2−イルアミド。
【0252】
例54 薬理学的データ
【0253】
【表1-1】
【0254】
【表1-2】
下記の例は、医薬製剤に関する:
例A:注射バイアル
本発明による活性成分100gおよびリン酸水素二ナトリウム5gの二段蒸留水3l溶液を、2Nの塩酸を使用してpH6.5に調節し、滅菌濾過し、注射バイアルに移し、滅菌条件下で凍結乾燥させ、滅菌条件下で密封する。各注射バイアルは、活性成分5mgを含有する。
【0255】
例B:坐剤
本発明による活性成分20gと大豆レシチン100gおよびカカオバター1400gとの混合物を溶融し、金型に注ぎ、冷却する。各坐剤は、活性成分20mgを含有する。
【0256】
例C:溶液
本発明による活性成分1g、NaH
2PO
4・2H
2O9.38g、Na
2HPO
4・12H
2O28.48gおよび塩化ベンザルコニウム0.1gから、二段蒸留水940ml中で溶液を調製する。pHを6.8に調節し、溶液を1lにし、照射により滅菌する。この溶液は、点眼剤の形態で使用することができる。
【0257】
例D:軟膏
本発明による活性成分500mgをワセリン99.5gと無菌条件下で混合する。
【0258】
例E:錠剤
本発明による活性成分1kg、ラクトース4kg、馬鈴薯デンプン1.2kg、タルク0.2kgおよびステアリン酸マグネシウム0.1kgの混合物を、各錠剤が活性成分10mgを含有するように慣用の方法で圧縮して錠剤を得る。
【0259】
例F:糖衣丸
例Eと同様に錠剤を圧縮し、続いて、スクロース、馬鈴薯デンプン、タルク、トラガカントおよび染料のコーティングで慣用の方法でコーティングする。
【0260】
例G:カプセル
本発明による活性成分2kgを、各カプセルが活性成分20mgを含有するように慣用の方法で硬質ゼラチンカプセルに導入する。
【0261】
例H:アンプル
本発明による活性成分1kgの二段蒸留水60l溶液を滅菌濾過し、アンプルに移し、滅菌条件下で凍結乾燥させ、滅菌条件下で密封する。各アンプルは、活性成分10mgを含有する。