(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルに保持された被加工物を切削する円環状支持基台に装着された円環状の切れ刃を備えた切削ブレードの回転軸方向の一方の側に配設された発光手段と、切削ブレードの回転軸方向の他方の側に該発光手段と対向して配設され該発光手段によって照射された光を受光する受光手段と、該発光手段から照射された光を該受光手段が受光した光量に基づいて該切れ刃の状態を検出する制御手段と、を具備する切削装置の切削ブレード検出機構において、
該発光手段は、該切削ブレードの該円環状支持基台から延出した該切れ刃の刃先出し量と同等以上の大径の円形発光面を有する第一の発光体と、該切削ブレードの該円環状支持基台から延出した該切れ刃の刃先出し量よりも小さな小径の円形発光面を有する第二の発光体と、を備え、
該受光手段は、該第一の発光体からの光を受光するように配設された第一の受光体と、該第二の発光体からの光を受光するように配設された第二の受光体と、該第一の受光体及び該第二の受光体で受光した受光量をそれぞれ電圧へ変換する光電変換部と、を備え、
該第一の発光体からの光は正面視において該円環状支持基台から延出した該切れ刃の外周縁より径方向内側から径方向外側を覆う位置に且つ該第二の発光体からの光は該切れ刃の該円環状支持基台近傍の位置になるように該発光手段及び該受光手段は該切削ブレードに対して位置付けられており、
該制御手段は、該第一の受光体が受光した受光量に対応する受光電圧が所定電圧まで上昇した際に摩耗限界であることを検出し、
該第二の受光体が受光した受光量に対応する受光電圧が間欠的にまたはそれ以降ピーク値を有する際に切削ブレードが破損したことを検出すること、
を特徴とする切削ブレード検出機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される切削ブレード検出機構は、光を放射する発光体と、発光体で放射される光を受光する受光体とを備えている。発光体及び受光体は、切れ刃を挟むように配置されており、不具合のない切削ブレードが装着された状態で、発光体から放射される光の少なくとも一部が切れ刃で遮られるようになっている。切れ刃が摩耗又は破損すると、遮られていた光が受光体に到達して受光量は増大する。この受光量の増大に基づき、切れ刃の不具合を検出できる。切れ刃の不具合が検出されると、切削ブレードは交換等される。
【0006】
上述の切削ブレード検出機構は、例えば、受光量を所定の閾値と比較することで欠け等の破損の有無を判定する。しかしながら、刃厚が薄いためにもともと刃先出しが短い場合や、摩耗が進んだ切れ刃のように、刃先の短い切れ刃を使用する場合には、破損の前後で受光量の差が小さくなるので、閾値との比較で切れ刃の破損を適切に検出するのは難しくなる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、切削ブレードの破損を適切に検出可能な切削ブレード検出機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の切削ブレード検出機構は、被加工物を保持するチャックテーブルに保持された被加工物を切削する円環状支持基台に装着された円環状の切れ刃を備えた切削ブレードの回転軸方向の一方の側に配設された発光手段と、切削ブレードの回転軸方向の他方の側に該発光手段と対向して配設され該発光手段によって照射された光を受光する受光手段と、該発光手段から照射された光を該受光手段が受光した光量に基づいて該切れ刃の状態を検出する制御手段と、を具備する切削装置の切削ブレード検出機構において、該発光手段は、該切削ブレードの該円環状支持基台から延出した該切れ刃の刃先出し量と同等以上の
大径の円形発光面を有する第一の発光体と、該切削ブレードの該円環状支持基台から延出した該切れ刃の刃先出し量よりも小さ
な小径の円形発光面を有する第二の発光体と、を備え、該受光手段は、該第一の発光体からの光を受光するように配設された第一の受光体と、該第二の発光体からの光を受光するように配設された第二の受光体と、該第一の受光体及び該第二の受光体で受光した受光量をそれぞれ電圧へ変換する光電変換部と、を備え、該第一の発光体からの光は
正面視において該円環状支持基台から延出した該切れ刃の
外周縁より径方向内側から径方向外側を覆う位置に且つ該第二の発光体からの光は該切れ刃の該円環状支持基台近傍の位置になるように該発光手段及び該受光手段は該切削ブレードに対して位置付けられており、該制御手段は、該第一の受光体が受光した受光量に対応する受光電圧が所定電圧まで上昇した際に摩耗限界であることを検出し、該第二の受光体が受光した受光量に対応する受光電圧が間欠的にまたはそれ以降ピーク値を有する際に切削ブレードが破損したことを検出すること、を特徴とする。
【0009】
この構成によれば、切れ刃の刃先出し量と同等以上の直径の円形発光面を有する第一の発光体と、第一の発光体からの光を受光する第一の受光体とで切れ刃の摩耗を検出し、切れ刃の刃先出し量よりも小さい直径の円形発光面を有する第二の発光体と、第二の発光体からの光を受光する第二の受光体とで切れ刃の破損を検出するので、刃先の短い切れ刃を使用する場合にも、切れ刃の破損を適切に検出できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、切削ブレードの破損を適切に検出可能な切削ブレード検出機構を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る切削ブレード検出機構を備える切削装置の構成例を示す斜視図である。なお、以下では、切削装置の一例を説明するが、本実施の形態に係る切削ブレード検出機構を備える切削装置の構成はこれに限定されない。被加工物を切削可能であれば、切削装置をどのような構成としてもよい。
【0013】
図1に示すように、切削装置1は、ハウジング2上のチャックテーブル3に保持される被加工物Wを、チャックテーブル3の上方に設けられた切削手段4で加工できるように構成されている。被加工物Wは、例えば、半導体ウェーハや無機材料基板等であり、円板状の外形を有している。被加工物Wの表面は、格子状に配列された分割予定ラインによって複数の領域に区画されており、この区画された領域には、各種デバイス81が形成されている。また、被加工物Wは、貼着テープ82を介して環状フレーム83に支持されており、カセット8に収容された状態で切削装置1に搬入される。
【0014】
ハウジング2の上面には、X軸方向に延びる長方形状の開口部(不図示)が形成されている。この開口部は、チャックテーブル3と共に移動する移動基台31、及び蛇腹状の防水カバー32で覆われている。防水カバー32の下方には、チャックテーブル3をX軸方向に移動させるボールねじ式の移動機構(不図示)が設けられている。チャックテーブル3の上面には、被加工物Wを吸引保持する保持面33がポーラスセラミック材により形成されている。保持面33は、チャックテーブル3の内部に設けられた流路を通じて吸引源に接続されている。
【0015】
チャックテーブル3は、被加工物Wの受け渡しが行われる装置中央側の受け渡し位置と、切削手段4に臨む加工位置との間で往復移動する。
図1は、チャックテーブル3が受け渡し位置で待機する状態を示している。ハウジング2において、受け渡し位置に隣接する一の角部は一段下がっており、下がった箇所には載置テーブル7が昇降可能に設けられている。載置テーブル7には、被加工物Wを収容するカセット8が載置される。載置テーブル7が昇降することで、Z軸方向(高さ方向)において被加工物Wの引出位置及び押込位置が調整される。
【0016】
載置テーブル7の後方には、Y軸方向に平行な一対のガイドレール9と、一対のガイドレール9とカセット8との間で被加工物Wを搬送するプッシュプル機構10とが設けられている。プッシュプル機構10は、カセット8から一対のガイドレール9に加工前の被加工物Wを引き出すと共に、一対のガイドレール9からカセット8に加工済みの被加工物Wを押し込む。プッシュプル機構10によって搬送される被加工物Wを、一対のガイドレール9によってガイドすることで、X軸方向における被加工物Wの位置決めが行われる。また、プッシュプル機構10の移動量を制御することで、Y軸方向における被加工物Wの位置決めが行われる。
【0017】
一対のガイドレール9の近傍には、ガイドレール9とチャックテーブル3との間で被加工物Wを搬送する第1の搬送アーム11が設けられている。第1の搬送アーム11は、略L字状のアーム部16を備えており、このアーム部16が旋回することで被加工物Wは搬送される。また、上述した受け渡し位置の後方には、スピンナ式の洗浄機構12が設けられている。洗浄機構12では、回転するスピンナテーブル17に向けて洗浄水が噴射され、被加工物Wは洗浄される。洗浄後の被加工物Wは、洗浄水に代わって吹き付けられる乾燥エアで乾燥される。
【0018】
ハウジング2上には、切削手段4を支持する支持台21が設けられている。切削手段4は、チャックテーブル3の上方に位置付けられており、ボールネジ式の移動機構(不図示)でY軸方向及びZ軸方向に移動される。切削手段4は、スピンドル(不図示)の先端部分に装着された切削ブレード41を備えている。切削ブレード41の周囲はホイールカバー42等で覆われている。ホイールカバー42等には、切削部分に向けて切削水を噴射するノズル51(
図2、
図3参照)や、切削ブレード41の状態を検出する切削ブレード検出機構6(
図2〜
図5参照)等が設けられている。
【0019】
支持台21の側面22には、チャックテーブル3と洗浄機構12との間で被加工物Wを搬送する第2の搬送アーム13が設けられている。第2の搬送アーム13のアーム部18は斜め前方に延びており、このアーム部18が前後に移動することで被加工物Wは搬送される。また、支持台21には、チャックテーブル3の移動経路の上方を横切るように片持ちの支持部24が設けられている。支持部24の下面には、被加工物Wを撮像する撮像部14が設けられている。撮像部14による撮像画像は、切削手段4とチャックテーブル3とのアライメントに利用される。
【0020】
ハウジング2の最前部には、装置各部への指示を受け付ける入力手段26が設けられている。また、支持台21の上面にはモニタ27が配置されている。モニタ27には、撮像部14で撮像された画像、切削ブレード検出機構6で検出された切削ブレード41の状態、被加工物Wの加工条件等が表示される。このように構成された切削装置1は、切削ブレード41を回転させて被加工物Wの分割予定ラインに切り込ませることで、被加工物Wを切削加工する。切削ブレード41の状態は、切削ブレード検出機構6でリアルタイムに検出される。
【0021】
次に、
図2〜
図5を参照して切削ブレード検出機構の詳細を説明する。
図2及び
図3は、それぞれ切削手段の周辺構造を示す斜視図及び正面図である。
図4は、切削ブレード検出機構の周辺構造を正面側から見た模式図であり、
図5は、切削ブレード検出機構の周辺構造を側面側から見た模式図である。
【0022】
図2〜
図5に示すように、切削手段4は、回転可能なスピンドル(不図示)の先端部分に装着される切削ブレード41を備えている。スピンドルは、スピンドルハウジング43に収容されており、スピンドルハウジング43の前方には、ホイールカバー42が装着されている。切削ブレード41の外周は、下部を除いてホイールカバー42等で覆われている。切削ブレード41は、スピンドルの先端部分に取り付けられたフランジ47(
図5)と、リング状の固定ナット48とで挟み込まれるように固定されている。
【0023】
切削ブレード41は、ハブブレードであり、円環状支持基台41aの外周に、被加工物Wを切削する切れ刃41bが固定されている。切れ刃41bは、ダイヤモンド等の砥粒を結合材料で結合して円環状に形成されており、例えば、10μm〜500μm程度の厚みを有している。なお、本実施の形態では、切削ブレード41としてハブブレードを例示しているが、切削ブレード41の種類は特に限定されない。切削ブレード41として、ワッシャーブレード等を用いてもよい。
【0024】
ホイールカバー42の切削方向後方には、Z軸方向に位置調整可能な後方ブロック44が設けられている。後方ブロック44には、切削ブレード41の下部を挟む略L字状の一対のノズル51が固定されている。ノズル51には、後方ブロック44の上部に設けられた連結部52を通じて切削水が供給される。切削方向前方に延びるノズル51の先端側には、切削ブレード41と対向する複数のスリット53(
図3)が形成されている。複数のスリット53を通じて噴射される切削水によって、加工点の冷却及び洗浄が行われる。
【0025】
また、後方ブロック44には、切削水を切削方向後方に導く一対の飛沫カバー45が設けられている。飛沫カバー45は、切削によって飛散した切削水及び切削屑を切削方向後方に案内し、切削手段4の外部に排出する。
【0026】
ホイールカバー42の切削方向前方には、前方ブロック46が設けられている。前方ブロック46の切削方向後側の面には、切れ刃41bに切削水を供給する供給孔(不図示)が形成されている。供給孔は、前方ブロック46の上部に設けられた連結部54と接続されており、連結部54を通じて供給孔から供給される切削水によって、切れ刃41bの冷却及び洗浄が行われる。また、前方ブロック46の下面には、切削済みの隣接ラインに向けて切削水を噴射する噴射孔(不図示)が形成されている。噴射孔は、前方ブロック46の上部に設けられた連結部55と接続されており、連結部55を通じて噴射孔から噴射される切削水によって、隣接ラインの洗浄が行われる。
【0027】
ホイールカバー42の中央付近には、切削ブレード検出機構6が設けられている。切削ブレード検出機構6は、切削ブレード41の上部を挟む2本の柱状部61a,61b(
図4及び
図5)を有する門型の支持ブロック61を備えている。柱状部61aにおいて切削ブレード41の切れ刃41bと対向する面には、切削ブレード検出機構6の発光手段を構成する発光体(第一の発光体)62、及び発光体(第二の発光体)63が配置されている。つまり、発光手段は、切削ブレード41の前方側(回転軸方向の一方側)に配設される発光体62,63を含む。
【0028】
また、柱状部61bにおいて切削ブレード41の切れ刃41bと対向する面には、切削ブレード検出機構6の受光手段を構成する受光体(第一の受光体)64、及び受光体(第二の受光体)65が配置されている。つまり、受光手段は、切削ブレード41の後方側(回転軸方向の他方側)に配設される受光体64,65を含む。
【0029】
発光体62は、円環状支持基台41aから延出される切れ刃41bの長さ(刃先出し量)以上の直径を有する円形の発光面(円形発光面)62aを備えている。不具合のない切削ブレード41が装着された状態で発光体62を正面側から見ると(
図4)、発光面62aの上部は、切れ刃41bの外周縁の上方に食み出している。つまり、正面視において、発光体62の一部は、切れ刃41bの外周縁より径方向内側に位置付けられており、発光体62の残りの一部は、切れ刃41bの外周縁より径方向外側に位置付けられている。
【0030】
一方、発光体63は、切れ刃41bの長さ未満の直径を有する円形の発光面(円形発光面)63aを備えている。不具合のない切削ブレード41が装着された状態で発光体63を正面側から見ると、発光面63aは切れ刃41bと重なっている。つまり、正面視において、発光体63は、切れ刃41bの外周縁より径方向内側に位置付けられている。
【0031】
発光体62,63は、それぞれ光ファイバー62b,63bを介して発光源66に接続されており、発光源66から導かれる光を発光面62a,63aに対応する投影面積で放射する。具体的には、発光体62は、円環状支持基台41aから延出する切れ刃41bの径方向を覆うように光を放射し、発光体63は、切れ刃41bの円環状支持基台41aの近傍の位置に光を放射する。なお、発光体62,63は、発光ダイオード等の自発光型素子でも良い。この場合、発光体62,63が発光源として機能するので、発光源66等を省略できる。また、発光面62a,63aの形状は、円形に限られない。発光手段には、光ファイバー62b,63b、及び発光源66が含まれても良い。
【0032】
受光体64は、発光面62aと等しい形状及び大きさの受光面64aを有しており、切削ブレード41を挟んで発光体62と対向する位置に配置されている。つまり、正面視において、受光体64の一部は、切れ刃41bの外周縁より径方向外側に位置付けられており、受光体64の残りの一部は、切れ刃41bの外周縁より径方向外側に位置付けられている。
【0033】
また、受光体65は、発光面63aと等しい形状及び大きさの受光面65aを有しており、切削ブレード41を挟んで発光体63と対向する位置に配置されている。つまり、正面視において、受光体65は、切れ刃41bの外周縁より径方向内側に位置付けられている。
【0034】
受光体64,65は、それぞれ光ファイバー64b,65bを介して光電変換部67に接続されており、受光体64,65で受光された光は、光電変換部67において受光量に応じた電圧へと変換される。なお、受光体64,65は、CCD、COMS等の受光素子でも良い。この場合、受光素子で光電変換されるので、光電変換部67等を省略できる。また、発光体62,63から放射される光を適切に受光できるのであれば、受光面64a,65aの形状及び大きさは、必ずしも発光面62a,63aと等しくなくて良い。受光手段には、光ファイバー64b,65b、及び光電変換部67が含まれても良い。
【0035】
発光源66及び光電変換部67は、記憶装置や演算装置等を含む制御手段68に接続されている。制御手段68は、発光源66の発光を制御すると共に、光電変換部67から供給される電圧に基づいて切削ブレード41の状態を検出する。発光体62及び受光体64は上述のように構成されているので、不具合のない切削ブレード41が装着された状態において、発光体62から放射される光の少なくとも一部は切れ刃41bで遮られ受光体64に到達しない。
【0036】
切れ刃41bが摩耗すると、切れ刃41bの長さは摩耗量に応じて徐々に短くなる。その結果、切れ刃41bで遮られていた光は受光体64に到達するようになり、受光体64の受光量は徐々に増大する。制御手段68は、この受光体64の受光量の増大に基づいて切れ刃41bの摩耗を検出する。具体的には、制御手段68は、受光体64の受光量に対応して光電変換部67から供給される電圧が所定の閾値(電圧)まで上昇した場合に、許容される摩耗量の上限(摩耗限界)に達したと判定する。
【0037】
一方で、発光体63及び受光体65は、正面視において切れ刃41bの外周縁より径方向内側に位置付けられているので、不具合のない切削ブレード41が装着された状態で、発光体63から放射される光は全て切れ刃41bで遮られ受光体65に到達しない。この状態は、正面視において発光体63が外周縁から食み出るまで維持される。つまり、切れ刃41bがある程度まで摩耗しても、受光体65の受光量はほとんど変化しない。
【0038】
これに対して、切れ刃41bが破損すると、切れ刃41bで遮られていた光は受光体65に到達するようになる。例えば、切れ刃41bの径方向において発光体63及び受光体65の近傍に到達する欠けや割れ等の破損が発生すると、発光体63から放射される光は破損部分を通じて受光体65に到達する。切削中の切削ブレード41は回転しているので、破損部分が発光体63及び受光体65の近傍を通過するタイミングで受光体65の受光量は増大する。つまり、この場合、受光体65の受光量は間欠的なピーク値を取る。
【0039】
また、切れ刃41bが全て失われるような破損(全損)が発生すると、発光体63から放射される光は切れ刃41bで遮られることなく受光体65に到達するので、受光体65の受光量は増大する。この場合、受光体65の受光量は、切れ刃41bの全損のタイミングで増大し、それ以降はピーク値を取る。
【0040】
制御手段68は、この受光体65の受光量の増大に基づいて切れ刃41bの破損を検出する。具体的には、制御手段68は、受光体65の受光量に対応して光電変換部67から供給される電圧が間欠的なピーク値を有する場合に、欠けや割れ等の破損が発生したと判定する。また、制御手段68は、受光体65の受光量に対応して光電変換部67から供給される電圧が増大し、それ以降ピーク値を有する場合に、全損が発生したと判定する。ピーク値は、代表的には、任意の期間における電圧の最大値であるが、所定の閾値を超える電圧等をピーク値として扱っても良い。
【0041】
図6及び
図7は、切削ブレードが全損する前後において光電変換部から出力される電圧の例を示すグラフである。
図6は、受光体64の受光量に対応する電圧を示しており、
図7は、受光体65の受光量に対応する電圧を示している。
【0042】
図6に示すように、被加工物Wの切削加工が進行すると、切削ブレード41の切れ刃41bは摩耗するので、受光体64の受光量に対応する光電変換部67の電圧は、時間の経過とともに徐々に大きくなる。時間t
1において切削ブレード41はある程度まで摩耗しており、切れ刃41bの長さは短くなっているので、このタイミングで切削ブレード41の全損が発生しても、受光体64の受光量はあまり変わらない。つまり、この場合、全損による電圧の変化量ΔV
1は比較的小さくなる。よって、発光体62及び受光体64で切れ刃41bの全損を適切に検出しようとすると、判定のための閾値等を高い精度で調整する必要が生じる。このように、発光体62及び受光体64は、摩耗の検出には適しているが、破損の検出には適していない。
【0043】
一方で、
図7に示すように、切削ブレード41がある程度まで摩耗しても、受光体65の受光量は殆ど変化しない。時間t
1において切削ブレード41の全損が発生すると、受光体65の受光面65aには発光体63から放射される光が全て入射し、受光体65の受光量は大きく変化する。つまり、この場合、全損による電圧の変化量ΔV
2は大きくなる。このように、発光体63及び受光体65は、摩耗の検出には適していないが、破損の検出には適している。
【0044】
以上のように、本実施の形態の切削ブレード検出機構6は、切れ刃41bの長さ(刃先出し量)と同等以上の直径の円形の発光面(円形発光面)62aを有する発光体(第一の発光体)62と、発光体62からの光を受光する受光体(第一の受光体)64とで、切れ刃41bの摩耗を検出し、切れ刃41bの長さよりも小さい直径の円形の発光面(円形発光面)63aを有する発光体(第二の発光体)63と、発光体63からの光を受光する受光体(第二の受光体)65とで、切れ刃41bの破損を検出するので、刃先の短い切れ刃41bを使用する場合にも、切れ刃41bの摩耗及び破損を適切に検出できる。
【0045】
また、摩耗を検出する発光体62及び受光体64と、破損を検出する発光体63及び受光体65とを分けているので、破損を検出するための閾値等を精度よく調整しなくても、切れ刃41bの摩耗及び破損を適切に検出できる。つまり、切削ブレード41のメンテナンスに係る作業効率を高めることができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施の形態では、2組の発光体及び受光体を備える切削ブレード検出機構について説明したが、切削ブレード検出機構は3組以上の発光体及び受光体を備えても良い。その他、上記実施の形態に係る構成、方法などは、本発明の目的とする範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。