特許第6151609号(P6151609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6151609
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20170612BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   H01L21/304 645D
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-182814(P2013-182814)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-50406(P2015-50406A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−295050(JP,A)
【文献】 特開2013−161999(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0217310(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削するための切削ブレードを備えた切削手段と、該切削ブレードによる切削加工部に切削水を供給する切削水供給ノズルを備えた切削水供給手段と、該被加工物保持手段と切削手段とを相対的に切削送り方向に移動せしめる切削送り手段と、該被加工物保持手段と切削手段とを相対的に切削送り方向と直交する割り出し送り方向に移動せしめる割り出し送り手段と、を具備する切削装置において、
該切削水供給ノズルに隣接して配設され該被加工物保持手段に保持された被加工物の上面に紫外線を照射する紫外線照射手段を備えている、
ことを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削加工するための切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列形成された分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々のデバイスを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハも分割予定ラインに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の分割予定ラインに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれている切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハ等の被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、被加工物保持手段と切削手段とを相対的に切削送り方向に移動せしめる切削送り手段と、被加工物保持手段と切削手段とを相対的に切削送り方向と直交する割り出し送り方向に移動せしめる割り出し送り手段と、を具備している。切削手段は、回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードおよび回転スピンドルを回転駆動する駆動機構を備えたスピンドルユニットを含んでおり、切削時には切削ブレードによる切削部に切削水を供給しつつ切削する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−181700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上述した切削装置においては、切削ブレードによってウエーハを切削した際に発生する切削屑が切削水に混入してウエーハの表面を漂い、ウエーハの表面に切削屑が付着して汚染するという問題がある。即ち、ウエーハの切削によって発生した切削屑は、切削水に混入してウエーハの表面を漂っている際にウエーハの表面に付着するとともに、切削水が撥水して乾燥するとウエーハの表面に強固に付着してデバイスの品質を低下させるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、切削時に発生する切削屑を被加工物の表面に付着するのを防止することができる切削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する被加工物保持手段と、該被加工物保持手段に保持された被加工物を切削するための切削ブレードを備えた切削手段と、該切削ブレードによる切削加工部に切削水を供給する切削水供給ノズルを備えた切削水供給手段と、該被加工物保持手段と切削手段とを相対的に切削送り方向に移動せしめる切削送り手段と、該被加工物保持手段と切削手段とを相対的に切削送り方向と直交する割り出し送り方向に移動せしめる割り出し送り手段と、を具備する切削装置において、
該切削水供給ノズルに隣接して配設され該被加工物保持手段に保持された被加工物の上面に紫外線を照射する紫外線照射手段を備えている、
ことを特徴とする切削装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による切削装置は、切削水供給ノズルに隣接して配設され該被加工物保持手段に保持された被加工物の上面に紫外線を照射する紫外線照射手段を備えているので、切削作業時に被加工物保持手段に保持された被加工物の上面に紫外線を照射することにより、被加工物の上面に照射された紫外線によって親水性が向上し、被加工物の上面に水の層が形成されるため切削屑が遮断されて被加工物の上面への切削屑の付着が防止される。従って、被加工物としてのウエーハの表面に切削屑が付着してデバイスの品質を低下させるという問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に従って構成された切削装置の斜視図。
図2図1に示す切削装置に装備される切削手段および切削水供給手段の要部を分解して示す斜視図。
図3図1に示す切削装置を構成する切削水供給手段の切削水供給ノズルに紫外線照射手段が配設された状態を示す斜視図。
図4図1に示す切削装置に装備される切削ブレードと切削水供給手段の第1の切削水供給ノズルおよび第2の切削水供給ノズルと紫外線照射手段の位置関係を示す正面図。
図5図1に示す切削装置に装備されるブレードカバーに紫外線照射手段が配設された状態を示す要部断面図。
図6図1に示す切削装置によって実施する切削工程の説明図。
図7図6に示す切削工程における切削ブレードと切削水供給手段の第1の切削水供給ノズルおよび第2の切削水供給ノズルと第1の切削水供給ノズルおよび第2の切削水供給ノズルに配設された紫外線照射手段の正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明によって構成された切削装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0011】
図1には、本発明によって構成された切削装置の斜視図が示されている。図1に示す切削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、被加工物を保持する被加工物保持手段としてのチャックテーブル3が切削送り方向である矢印Xで示す方向(X軸方向)に移動可能に配設されている。チャックテーブル3は、吸着チャック支持台31と、該吸着チャック支持台31上に配設された吸着チャック32を具備しており、該吸着チャック32の上面である保持面上に被加工物を図示しない吸引手段を作動することによって吸引保持するようになっている。また、チャックテーブル3は、図示しない回転機構によって回転可能に構成されている。なお、チャックテーブル3には、被加工物として後述するウエーハをダイシングテープを介して支持する環状のフレームを固定するためのクランプ33が配設されている。このように構成されたチャックテーブル3は、図示しない切削送り手段によって、矢印Xで示す切削送り方向(X軸方向)に移動せしめられるようになっている。
【0012】
図1に示す切削装置は、切削手段としてのスピンドルユニット4を具備している。スピンドルユニット4は、切削送り方向(X軸方向)と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って配設されている。スピンドルユニット4は、図示しない割り出し送り手段によって割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられるとともに、図示しない切り込み送り手段によって図1において矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動せしめられるようになっている。このスピンドルユニット4は、図示しない移動基台に装着され割り出し方向(Y軸方向)および切り込み方向(Z軸方向)に移動調整されるスピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転自在に支持された回転スピンドル42と、該回転スピンドル42の前端部に装着された切削ブレード43とを具備している。回転スピンドル42は、図示しないサーボモータによって回転せしめられるように構成されている。上記切削ブレード43は、例えば図2に示すようにアルミニウムによって形成された円盤状の基台431と、該基台431の外周部側面にダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固めて厚さが15〜30μmに形成された環状の切刃432からなっている。
【0013】
上記スピンドルハウジング41の前端部には、切削ブレード43の上半部を覆うブレードカバー44が取り付けられている。ブレードカバー44は、図示の実施形態においてはスピンドルハウジング41に装着された第1のカバー部材441と、該第1のカバー部材441に装着される第2のカバー部材442とからなっている。第1のカバー部材441は、一端部が切削ブレード43側に突出して形成された前カバー部441aを備えている。また、第1のカバー部材441の側面には雌ネジ穴441bと2個の位置決めピン441cが設けられており、第2のカバー部材442には上記雌ネジ穴441bと対応する位置に挿通穴442aが設けられている。また、第2のカバー部材442の第1のカバー部材441と対向する面には、上記2個の位置決めピン441cが嵌合する図示しない2個の凹部が形成されている。このように構成された第1のカバー部材441と第2のカバー部材442は、第2のカバー部材442に形成された図示しない2個の凹部を第1のカバー部材441に設けられた2個の位置決めピン441cに嵌合することによって位置決めする。そして、締結ボルト443を第2のカバー部材442の挿通穴442aに挿通し、第1のカバー部材441に設けられた雌ネジ穴441bと螺合することにより、第2のカバー部材442を第1のカバー部材441に装着する。
【0014】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に切削水を供給する切削水供給手段5を具備している。この切削水供給手段5は、上記ブレードカバー44を構成する第1のカバー部材441および第2のカバー部材442に配設された第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512と、該第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512に切削水を送給する切削水送給手段52と、上記第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512にそれぞれ接続された第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532を具備している。
【0015】
第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512は、それぞれ上記ブレードカバー44を構成する第1のカバー部材441および第2のカバー部材442に配設されており、その上端が切削水送給手段52に接続され、その下端にはそれぞれ第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532が接続される。上記切削水送給手段52は、切削水供給源521と、該切削水供給源521と上記切削水供給管511、512とを接続する切削水送給管522と、該切削水送給管522に配設された電磁開閉弁523とからなっている。このように構成された切削水送給手段52は、電磁開閉弁523が除勢(OFF)され閉路している状態では切削水供給源521と第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512との連通が遮断されており、電磁開閉弁523が附勢(ON)され開路すると切削水供給源521と第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512が切削水送給管522を介して連通せしめられる。
【0016】
上記第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532は、図3に示すように下面が平坦なパイプ材によって形成され、図4に示すように切削ブレード43の環状の切刃432を挟んで両側に図4において紙面に垂直な切削送り方向(X軸方向)に沿って配設されている。このパイプ材からなる第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532は、それぞれ先端が閉塞され、切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部に向けて切削水を噴射する複数の第1の噴口531aおよび第2の噴口532aが設けられている。
【0017】
図2乃至図4を参照して説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記切削水供給手段5の第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532のそれぞれ下側に配設されチャックテーブル3に保持された被加工物の上面に紫外線を照射する紫外線照射手段6aを備えている。この紫外線照射手段6aは、図示の実施形態においては第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532に沿ってそれぞれ配設された複数の紫外線LED61からなっている。このように構成された紫外線照射手段6aは、複数の紫外線LED61が図示しない電力供給手段に接続されている。
【0018】
図2および図5を参照して説明を続けると、上記ブレードカバー44を構成する第1のカバー部材441における前カバー部441aの下面にも、チャックテーブル3に保持された被加工物Wの上面に紫外線を照射する紫外線照射手段6bが配設されている。この紫外線照射手段6bは、図示の実施形態においては第1のカバー部材441の前カバー部441aの下面に切削ブレード43の軸方向に沿って配設された複数の紫外線LED61からなっている。このように構成された紫外線照射手段6bは、複数の紫外線LED61が図示しない電力供給手段に接続されている。
【0019】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記チャックテーブル3上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記切削ブレード43によって切削すべき領域を検出するための撮像手段7を具備している。この撮像手段7は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっている。また、切削装置は、撮像手段7によって撮像された画像を表示する表示手段8を具備している。
【0020】
上記装置ハウジング2におけるカセット載置領域9aには、被加工物を収容するカセットを載置するカセット載置テーブル9が配設されている。このカセット載置テーブル9は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成されている。カセット載置テーブル9上には、被加工物としての半導体ウエーハ10を収容するカセット11が載置される。カセット11に収容される半導体ウエーハ10は、表面に格子状のストリートが形成されており、この格子状の分割予定ラインによって区画された複数の矩形領域にIC、LSI等のデバイスが形成されている。このように形成された半導体ウエーハ10は、環状の支持フレームFに装着されたダイシングテープTの表面に塗布された粘着層に裏面が貼着された状態でカセット11に収容される。
【0021】
また、図示の実施形態における切削装置は、カセット載置テーブル9上に載置されたカセット11に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)を仮置きテーブル12に搬出する搬出・搬入手段13と、仮置きテーブル12に搬出された半導体ウエーハ10を上記チャックテーブル3上に搬送する第1の搬送手段14と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄する洗浄手段15と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄手段15へ搬送する第2の搬送手段16を具備している。
【0022】
次に、上述した切削装置を用いて半導体ウエーハ10を所定のストリートに沿って切断する切削作業について説明する。
カセット載置テーブル9上に載置されたカセット11の所定位置に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)は、図示しない昇降手段によってカセット載置テーブル9が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、搬出・搬入手段13が進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハ10を仮置きテーブル12上に搬出する。仮置きテーブル12に搬出された半導体ウエーハ10は、第1の搬送手段14の旋回動作によって上記チャックテーブル3上に搬送される。
【0023】
チャックテーブル3上に半導体ウエーハ10が載置されたならば、図示しない吸引手段が作動して半導体ウエーハ10をチャックテーブル3上に吸引保持する。また、半導体ウエーハ10をダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFは、上記クランプ33によって固定される。このようにして半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル3は、撮像手段7の直下まで移動せしめられる。チャックテーブル3が撮像手段7の直下に位置付けられると、撮像手段7によって半導体ウエーハ10に形成されているストリートを検出するとともに、スピンドルユニット4を割り出し方向である矢印Y方向に移動調整して分割予定ラインと切削ブレード43との精密位置合わせ作業を実施する(アライメント工程)。
【0024】
上述したようにアライメント工程が実施されたならば、チャックテーブル3を切削作業領域に移動し、図6の(a)に示すように所定の分割予定ラインの一端を切削ブレード43の直下より図6の(a)において僅かに右側に位置付ける。次に、切削ブレード43を矢印43aで示す方向に回転するとともに、図示しない切り込み送り手段を作動して切削ブレード43を2点鎖線で示す退避位置から矢印Z1で示す方向に所定量切り込み送りする。なお、上記切り込み送り量は、切削ブレード43の環状の切れ刃432がダイシングテープTに達する位置に設定されている。そして、図示しない切削送り手段を作動してチャックテーブル3を図6の(a)において矢印X1で示す方向に所定の切削送り速度で移動し、チャックテーブル3に保持された半導体ウエーハ10の所定の分割予定ラインの他端が図6の(b)に示すように切削ブレード43の直下より僅かに左側に達したら、チャックテーブル3の移動を停止するとともに、切削ブレード43を矢印Z2で示す方向に2点鎖線で示す退避位置まで上昇せしめる。この結果、半導体ウエーハ10は、所定の分割予定ラインに沿って切断される(切削工程)。
【0025】
上述した切削工程を実施する際には、上記第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532に隣接して配設された紫外線照射手段6aおよび紫外線照射手段6bの複数の紫外線LED61を点灯するとともに、上記切削水供給手段5を構成する切削水送給手段52の電磁開閉弁523が附勢(ON)される。従って、図7の(a)および(b)に示すようにチャックテーブル3に保持された半導体ウエーハ10の表面(上面)に紫外線が照射されるとともに、上述したように電磁開閉弁523が開路して、切削水供給源521と第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512が切削水送給管522を介して連通せしめられるので、切削水供給源521の切削水が切削水送給管522と第1の切削水供給管511および第2の切削水供給管512を介して第1の切削水供給ノズル532に設けられた第1の噴口531aおよび第2の切削水供給ノズル532に設けられた第2の噴口532aから切削ブレード43の環状の切刃432による切削加工部Aに向けて噴射される。
【0026】
以上のように、切削工程を実施する際には、第1の切削水供給ノズル531および第2の切削水供給ノズル532に隣接して配設された紫外線照射手段6aおよび紫外線照射手段6bの複数の紫外線LED61を点灯してチャックテーブル3に保持された半導体ウエーハ10の表面(上面)に紫外線を照射するので、半導体ウエーハ10の表面(上面)に照射された紫外線によって親水性が向上し、半導体ウエーハ10の表面(上面)に水の層が形成されるため切削屑が遮断されて半導体ウエーハ10の表面(上面)への切削屑の付着が防止される。なお、紫外線照射手段6bは、半導体ウエーハ10を切削する直前の領域に紫外線を照射するので、効果的に親水性を付与することができる。
【0027】
以上のようにして、半導体ウエーハ10を所定のストリートに沿って切断したら、チャックテーブル3を図1において矢印Yで示す方向に分割予定ラインの間隔だけ割り出し送りし、上記切削工程を実施する。そして、半導体ウエーハ10の所定方向に延在する分割予定ラインの全てに沿って切削工程を実施したならば、チャックテーブル3を90度回転させて、半導体ウエーハ10の所定方向と直交する方向に形成された分割予定ラインに沿って切削工程を実行することにより、半導体ウエーハ10に格子状に形成された全てのストリートが切削されて個々のデバイスに分割される。なお、分割された個々のデバイスは、ダイシングテープTの作用によってバラバラにはならず、環状のフレームFに支持されたウエーハの状態が維持されている。
【0028】
上述したように半導体ウエーハ10のストリートに沿って切削工程が終了したら、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3は最初に半導体ウエーハ10を吸引保持した位置に戻される。そして、半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。次に、半導体ウエーハ10は第2の搬送手段16によって洗浄手段15に搬送される。洗浄手段15に搬送された半導体ウエーハ10は、ここで洗浄される。このようにして洗浄された半導体ウエーハ10は、乾燥後に第1の搬送手段14によって仮置きテーブル12に搬送される。そして、半導体ウエーハ10は、搬出・搬入手段13によってカセット11の所定位置に収納される。
【符号の説明】
【0029】
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル
4:スピンドルユニット
43:切削ブレード
44:ブレードカバー
5:切削水供給手段
511:第1の切削水供給管
512:第2の切削水供給管
52:切削水送給手段
531:第1の切削水供給ノズル
532:第2の切削水供給ノズル
6:紫外線照射手段
7:撮像手段
10:半導体ウエーハ
11:カセット
12:仮置きテーブル
13:搬出・搬入手段
14:第1の搬送手段
15:洗浄手段
16:第2の搬送手段
F:環状の支持フレーム
T:ダイシングテープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7