(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153103
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を用いた放射線吸収線量の可視化方法及び装置、そのためのビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/06 20060101AFI20170619BHJP
【FI】
G01T1/06
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-286558(P2012-286558)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-130022(P2014-130022A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年12月28日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 :平成24年7月5日 掲載アドレス :http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1350448712001825
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸佳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文信
(72)【発明者】
【氏名】牧 大介
(72)【発明者】
【氏名】図子 直城
【審査官】
藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭64−020471(JP,A)
【文献】
特開2007−057235(JP,A)
【文献】
特開平01−172236(JP,A)
【文献】
特表2004−536770(JP,A)
【文献】
特開昭60−122734(JP,A)
【文献】
特開2011−241138(JP,A)
【文献】
特開2009−179558(JP,A)
【文献】
特表2006−516523(JP,A)
【文献】
特表2004−536767(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0221865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T1/00−1/16
1/167−7/12
C03B23/00−35/26
40/00−40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を検査対象面に散布しておき、
紫外光を投影して、前記ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子に蓄積した放射線吸収線量に応じた蛍光を発生させることを特徴とする、ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を用いた放射線吸収線量の可視化方法。
【請求項2】
多数のビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子と、
当該ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を検査対象面に散布するための手段と、
前記ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子が散布された検査対象面に紫外光を投影する手段とを備え、
前記ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子に蓄積した放射線吸収線量に応じた蛍光を発生させることを特徴とする、ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を用いた放射線吸収線量の可視化装置。
【請求項3】
棒状の蛍光ガラス線量計素材を粉砕した後、
加熱して成形することを特徴とする、放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法。
【請求項4】
前記粉砕した蛍光ガラス線量計素材の粉末を加熱前に洗浄することを特徴とする、請求項3に記載の放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法。
【請求項5】
前記加熱時に、前記粉砕した蛍光ガラス線量計素材の粉末に炭素の粉末を混ぜることを特徴とする、請求項3又は4に記載の放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法。
【請求項6】
前記炭素の粉末にゼオライトの粉末を混合させることを特徴とする、請求項5に記載の放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法。
【請求項7】
前記炭素の粉末にシリコンの粉末を混合させることを特徴とする、請求項5に記載の放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法。
【請求項8】
棒状の蛍光ガラス線量計素材を粉砕する手段と、
当該粉砕された蛍光ガラス線量計素材の粉末を加熱して成形する手段と、
を備えたことを特徴とする、放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を用いた放射線吸収線量の可視化方法及び装置、そのためのビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法及び装
置に係り、特に、福島第1原発のような放射性瓦礫集積場や原発施設、放射線取扱施設やその近郊で、建築資材と共に使用可能な、高線量率環境に対応可能で、環境に広範囲に拡散した放射性物質による放射能汚染の状況を簡便に検知可能な、ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を用いた放射線吸収線量の可視化方法及び装置、そのためのビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法及び装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災に起因する福島第1原発の事故以降、放射線瓦礫集積場や原発施設、放射線取扱施設やその近郊で、環境に広範囲に拡散した放射性物質による放射能汚染の状況を簡便に検知できるようにすることが望まれている。しかしながら、放射能は目に見えないため、容易に知ることはできなかった。
【0003】
一方、特許文献1や2には、本発明と同様のビーズタイプ蛍光ガラス線量計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平5−38274号公報
【特許文献2】特開2007−57235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたガラスビーズ線量計は主に個人の被曝線量検出用、特許文献2に記載された球状蛍光ガラス線量測定素子は治療用であり、いずれも、環境に広範囲に拡散した放射性物質により蓄積した放射線吸収線量を検知することは全く考えられていなかった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、環境に広範囲に拡散した放射性物質により蓄積した放射線吸収線量を簡便に検知可能とすることを第1の課題とする。
【0007】
本発明は、又、前記放射線吸収線量の可視化に適したビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法及び装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、多数のビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を検査対象面に散布しておき、紫外光を投影して、前記ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子に蓄積した放射線吸収線量に応じた蛍光を発生させることを特徴とする、ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を用いた放射線吸収線量の可視化方法により、前記第1の課題を解決したものである。
【0011】
本発明は、又、多数のビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子と、当該ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を検査対象面に散布するための手段と、前記ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子が散布された検査対象面に紫外光を投影する手段とを備え、前記ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子に蓄積した放射線吸収線量に応じた蛍光を発生させることを特徴とする、ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を用いた放射線吸収線量の可視化装置により、同じく前記第1の課題を解決したものである。
【0012】
本発明は、又、棒状の蛍光ガラス線量計素材を粉砕した後、加熱して成形することを特徴とする、放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造方法により、前記第2の課題を解決したものである。
【0013】
ここで、前記粉砕した蛍光ガラス線量計素材の粉末を加熱前に洗浄することができる。
【0014】
又、前記加熱時に、前記粉砕した蛍光ガラス線量計素材の粉末に
炭素の粉末を混ぜることができる。
【0016】
又、前記
炭素の粉末
にゼオライトの粉末
を混合することができる。
【0017】
又、前記
炭素の粉末
にシリコンの粉末
を混合することができる。
【0018】
本発明は、又、棒状の蛍光ガラス線量計素材を粉砕する手段と、当該粉砕された蛍光ガラス線量計素材の粉末を加熱して成形する手段と、を備えたことを特徴とする、放射線吸収線量可視化用ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子の製造装置により、同じく前記第2の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、多数のビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を検査対象面に散布しておき、紫外光を投影するだけで、ビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子に蓄積した放射線吸収線量に応じた蛍光を発生させて、放射線吸収線量を可視化することができる。従って、環境に広範囲に拡散した放射能汚染を簡便に検知することができる。
【0023】
なお、発生した蛍光は、専用の2次元読取装置を用いて検出したり、あるいは例えば1Gy程度以上の高吸収線量の場合、暗所又は夜間であれば、ブラックライトを照射することにより肉眼で観測可能である。
【0024】
又、棒状の蛍光ガラス線量計素材を粉砕した後、加熱して成形するだけで、放射線吸収線量可視化に適したビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を製造することが可能となる。
【0025】
又、ゼオライト表面としてセシウム吸着剤としての機能を持たせたり、中空として、水路に流すのに適した浮遊タイプのビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子を得ることもできる。
【0026】
又、例えばシート状に加工して放射線吸収線量可視化用シートを簡単に得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による放射線吸収線量の可視化方法の実施手順を示す流れ図
【
図2】同じくビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子(以下、単にガラスビーズと称する)を散布している様子を示す斜視図
【
図4】本発明によるガラスビーズの製造手順を示す流れ図
【
図5】同じく篩により分級されるガラス粉末の形状の例を示す図
【
図8】同じく篩分けによって得られる(A)単一型ビーズと、排除される(B)双子型ビーズを示す図
【
図10】同じく紫外光を照射する前後の様子を示す写真
【
図11】レーザー照射による空間線量分布の測定方法を示す図
【
図14】シート状に加工したガラスビーズを示す(A)側面図及び(B)平面図
【
図15】シート状に加工したガラスビーズを放射線作業用グローブに取り付けた状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
まず、
図1を参照して、本発明による放射線吸収線量の可視化方法の基本的な実施手順を説明する。
【0030】
始めに、ステップ100で、ガラスビーズ10を検査対象面に散布する。具体的には、
図2(A)に例示する如く、作業員12が、例えばスプレーガン14を用いて、例えば原子炉施設内の壁4にガラスビーズ10を塗布する。又は、
図2(B)に例示する如く、ガラスビーズ10を舗装材料と共に、放射線瓦礫処理場近郊の舗装道路6に埋め込む。又は、
図2(C)に例示する如く、後出の中空ガラスビーズ11を水路8やトレンチ等の水中に散布する。
【0031】
次いで
図1のステップ110で、例えばブラックライト16を用いて、
図3(A)、(B)、(C)に例示する如く、紫外光を投影する。
【0032】
これにより、ステップ120で、放射線吸収線量に応じて輝度が異なる蛍光を観測することができる。
【0033】
次に、
図4を参照して、前記のような放射線吸収線量の可視化に適したガラスビーズの製造方法について説明する。
【0034】
まずステップ200で、材料となる棒状のガラスロッドを製作する。
【0035】
具体的には、例えばリン酸塩ガラスに銀を0.1%ドープした銀活性化リン酸塩ガラスを、例えばアルミナ製の坩堝に入れて電気炉で1000℃以上で5時間以上加熱し、自然冷却で徐冷することにより製造する。ここで、NaPO
3が50%、Al(PO
3)
3が50%、Agが0.1%程度の組成のときに、ラジオフォトルミネッセンスの効率が最も高い。ここで、Naの割合を増やせば、フェーディング温度、アニール温度が下がる。
【0036】
又、Na、Alをアルカリ金属(Li、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba)に置き換えれば、結合数とイオン半径の違いにより、ガラスネットワーク中の銀原子の安定度が変わるので、ラジオフォトルミネッセンスのアニール特性とフェーディング特性を制御できる。
【0037】
ここで製造するガラスロッドにクラックがあっても、後で粉砕するので問題無い。
【0038】
次いでステップ210に進み、ガラスロッドを、例えばダイヤモンドバンドソーとステンレス製のクラッシャーを利用して、数ミリサイズのガラス粒子に粉砕する。
【0039】
次いでステップ220で、例えばジェットミルを用いて、粒子サイズ5〜1000μmmの微粒子(ガラス粉末と称する)に粉砕する。粒子分布サイズは、例えばレーザー粒子分布計で測定することができる。なお、5μm以下であると、表面積/体積比率が大きすぎて、球形に形成することが困難である。この粉砕したときの粒子サイズで、完成するガラスビーズ10の大きさが決まる。
【0040】
次いでステップ230に進み、篩を用いて分級する。ある程度、球形に近いものが望ましく、楕円形状の長軸/短軸の比率で表わすと2以内が望ましい。
【0041】
同じ大きさの篩を数段重ねて、早く下に落ちたもの50%程度だけを使用する。同じ篩で取り出させるが、
図5(A)に示す形状のものが球形になり易く、
図5(B)に示す形状のものは球形になり難い。
【0042】
なお、5μm以下のガラス粉末は、後で加熱して球状化する時に酸化反応して、白色、桃色、黒色化する。このような微細粉末があるとビーズ平面が変色するので、ステップ240で、ガラス粉末を純水と超音波洗浄で洗浄し、乾燥させる。これによりガラス粉末は透明となる。
【0043】
次いでステップ250に進み、ガラス粉末が溶融したときにガラス粉末同士が接触しないようにするため、ガラス粉末に炭素粉末を混ぜて加熱する。加熱装置は、マイクロ波加熱炉が望ましく、電気炉を利用する場合は、均一に加熱できるようにトレイ状の坩堝を利用する。炭素粉末は、熱伝導の方向性が均一であることと、次の工程でガラスと炭素の篩分けを容易にするため、球状化した黒鉛粉末を使用することが望ましい。鱗状化した黒鉛粉末でも良いが、薄片化した黒鉛粉末は望ましくない。なお、炭素の純度は関係無い。炭素粉末の粒径は、ガラス粉末の粒径の半分程度が良い。これはガラス粉末と炭素粉末の接触面積が小さく、篩分けが容易となるためである。
【0044】
炭素を大気中で加熱すると二酸化炭素を発生するので、ガラス粉末が球状化する際に炭素が付着し難い。これに対して、ガラス粉末やセラミック粉末等では、溶融ガラスと親和性が高く、ガラスビーズ10表面に付着してしまう。
【0045】
なお、炭素粉末にセシウム吸着剤のゼオライト粉末等を混合させて、
図6(A)に示すように、ゼオライト10Zが表面にコーティングされたガラスビーズ10を作ることも可能である。又、炭素粉末にシリコン粉末を混合させた場合には、
図6(B)に示す如く、中空で水に浮く中空ガラスビーズ11になる。この中空ガラスビーズ11は、
図2(C)、
図3(C)に示したような、水路8やトレンチなどの水中に散布する場合に適している。
【0046】
図4のステップ250におけるガラス粉末の球状化の様子は、例えば加熱ステージ付きの実体顕微鏡で観察することができる。加熱温度は、リン酸塩ガラスの軟化点より100℃程度高いところまで使用温度を上げる。NaPO
3−Al(PO
3)
3の場合、軟化点は518℃であるので、電気炉は580−620℃に設定することができる。加熱時間は20分程度である。マイクロ波加熱の場合はパワーと時間で調整する。ガラスビーズ成形の様子を
図7の連続写真に示す。
【0047】
次いでステップ260に進み、篩で炭素粉末とガラスビーズ10を分離する。球状になっているので、粉砕した時よりも細かい篩を使う。炭素粉末が球状でないと分離ができない。又、粗い篩を使うと、炭素粉末が少ないと増加する、
図8(B)に示すような双子型ビーズを取り除いて、
図8(A)に示すような単一型ビーズを得ることができる。
【0048】
次いでステップ270に進み、ガラスビーズ10を洗浄し、乾燥することで、
図9に写真で示すような本発明に用いるビーズタイプ蛍光ガラス線量計素子としてのガラスビーズ10が完成する。
【0049】
このガラスビーズ10に対して放射線が照射されるとラジオフォトルミネッセンス中心ができて、
図10に示す如く、紫外光照射によりオレンジ色650nmの蛍光が発生することが確認できた。なお、吸収線量1Gy以上では、ブラックライトを使って肉眼で確認できた。
【0050】
ここで、ガラスロッドを粉砕しただけであると、磨りガラスと同じで励起光を反射し、蛍光観察の効率が悪いが、球状化することにより、微小領域ではほぼ平面と同じとすることができ、ガラス表面を透明化することができる。
【0051】
更に、球状であると、散布したり、壁やシート等に混合させる時に有効であり、ラジオフォトルミネッセンス測定においても、紫外光を励起し、蛍光観察する際の方向依存性が無い。これに対して球状でなく、棒状、板状や直方体状であると、励起光の入射条件により、ガラスの反射率や光吸収が異なり、蛍光観察も観察方向によっては異なってしまう。
【0052】
測定に際しては、
図3(A)〜(C)に例示したように、肉眼やCCDカメラ等で観察することができる。この場合、精度、感度は低いが極めて簡便である。
【0053】
一方、
図11に示す如く、紫外線レーザー30により紫外光を照射して、例えばピンホール32、光学フィルター34、光電子倍増管36を用いた空間線量分布の測定も可能である。この場合、紫外線レーザー30と壁4までの距離や蛍光量から線量を推定することができる。
【0054】
単一ビーズを測定する場合には、
図12に示す如く、紫外線レーザー30により紫外光を当てて、発生する蛍光を光学フィルター34及び光電子増倍管36で測定することができる。この場合、吸収線量は(校正定数×光電子増倍管信号)÷(レーザー出力×ガラスビーズ径)となる。
【0055】
又、励起光量は、ガラスビーズに、吸収線量に依存しない既知の蛍光ビーズ(蛍光波長が異なる)を混ぜることで、評価することができる。
【0056】
又、メタリン酸ナトリウムとメタリン酸アルミニウムの比率を調整して、メタリン酸ナトリウムを増やすと室温で穏やかなフェーディング特性を持つ。これに対して通常材料はフェーディングが無いので、
図13に示す如く、照射時間から線量率を推定することができる。
【0057】
ガラスビーズは、メタリン酸ナトリウムの比率が高いと潮解性が高くなるが、環境に優しい材料である。メタリン酸ナトリウムの肥料原料、メタリン酸アルミニウムはセラミックス材料で、銀を除いて全て土壌に含まれる構成元素である。
【0058】
なお、ガラスビーズをそのまま散布するのではなく、
図14に示す如く、シート40上に塗布してシート状に加工すれば、基板で塗布することが可能であり、
図15に例示する如く、放射線作業用グローブ42の指の先端に装着することもできる。
【0059】
なお、シート40を取付ける対象はグローブ42に限定されず、他の放射線作業用具にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
従来の個人線量計と同じ感度で、大量生産できるので、個人線量計としても使えて、使い捨てが可能である。又、壁材料など他の素材と混合して使用することもできる。更に、
図6(B)に示したような中空ガラスビーズ11であれば、
図2(C)に示したように、水路8やトレンチ等の水中に散布して浮遊させることができる。又、
図2(B)に示したように、放射線瓦礫処理場近郊の舗装道路6に埋め込むことができる。更に、小さいので、特定の被曝線量測定が可能となり、例えばシート状に加工して、放射線作業用グローブ42等の放射線作業用具に貼り付けたりすることもできる。
【符号の説明】
【0061】
4…壁
6…舗装道路
8…水路
10…ガラスビーズ
10Z…ゼオライト
11…中空ガラスビーズ
12…作業員
14…スプレーガン
16…ブラックライト
30…紫外線レーザー
36…光電子増倍管
40…シート
42…放射線作業用グローブ