特許第6153162号(P6153162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6153162CO2回収型クローズドサイクルガス化発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153162
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】CO2回収型クローズドサイクルガス化発電システム
(51)【国際特許分類】
   F02C 1/10 20060101AFI20170619BHJP
   F02C 3/28 20060101ALI20170619BHJP
   F02C 3/30 20060101ALI20170619BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20170619BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
   F02C1/10
   F02C3/28
   F02C3/30 D
   F02C7/00 B
   F23R3/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-161796(P2013-161796)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-31214(P2015-31214A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小沢 靖
(72)【発明者】
【氏名】西田 啓之
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−349801(JP,A)
【文献】 特開2005−003294(JP,A)
【文献】 特開2012−180743(JP,A)
【文献】 特開2012−145111(JP,A)
【文献】 CO2回収型高効率石炭ガス化複合発電システムの提案とその課題,電力中央研究所報告,日本,財団法人電力中央研究所,2007年10月,M07003,p.10-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00−9/58
F23R 3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭や重質油を含む炭化水素系の燃料と、酸素製造設備で生成された酸素とが供給されてガス化ガスを生成するガス化設備と、前記ガス化ガスを燃料として燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動されて発電機を駆動するガスタービンと、該ガスタービンの排ガスの一部を圧縮するとともに圧縮した排ガスを前記酸素製造設備で生成された酸素の一部と混合して前記燃焼器に戻す圧縮機と、前記ガスタービンの排ガスを圧縮して前記排ガスの一部を二酸化炭素回収装置に供給するとともに、残りの前記排ガスを前記ガス化設備に戻す他の圧縮機とを有するCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、
前記圧縮機および他の圧縮機の上流側で、前記ガスタービンの下流側に、前記排ガスの中の未燃のCO、Oを反応させる触媒燃焼装置を配設した
ことを特徴とするCO回収型クローズドサイクルガス化発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載するCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、
前記圧縮機および他の圧縮機の上流側で、前記ガスタービンの下流側に配設された排熱回収ボイラに触媒燃焼装置を一体的に組み込んだ
ことを特徴とするCO回収型クローズドサイクルガス化発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムに関し、特にガス化設備で生成するガス化ガスを燃料としてタービンを駆動するクローズドサイクルの複合発電システムに適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの燃料として化石燃料を用いると、地球温暖化の原因となるCOを発生する。このため、COを分離回収しながら高効率発電を行うCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムが提案されている(非特許文献1参照)。図7は提案されている従来技術に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。同図に示すように、当該CO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムVII(以下、システムVIIともいう)は、燃料である石炭と、酸素製造設備2で生成された酸素が供給されて石炭ガスを生成する石炭ガス化設備1と、石炭ガス化設備1で生成され、金属フィルタ3および乾式脱硫器4で浄化された石炭ガスを燃料として燃焼ガスを生成する燃焼器5と、前記燃焼ガスで駆動されて発電機7を駆動するガスタービン6を有する。さらに、当該システムVIIの圧縮機8は、ガスタービン6で仕事をした排ガスの一部を圧縮するとともに圧縮した排ガスを酸素製造設備2で生成された酸素の一部と混合するとともに、排ガスの熱を利用する再生熱交換器9で加熱して燃焼器5に戻すように構成してある。かくして燃焼器5では、酸素製造設備2で生成された酸素の一部と圧縮機8で圧縮された排ガスとの混合ガスにより燃料である石炭ガスが燃焼される。このことにより当該システムVIIの効率を向上させている。
【0003】
また、当該システムVIIでは、ガスタービン6の排ガス中のハロゲンを、汽水分離器10の水洗塔で除去し、かかる排ガスを、さらに圧縮機11で圧縮した後、水銀除去部12で水銀を除去し、汽水分離器13で水分を分離して圧縮機14に供給する。圧縮機14では、圧縮した排ガスの一部を圧縮機15を介してCO回収装置16に供給するとともに、残りの一部を石炭ガス化設備1に戻している。このことにより石炭ガス化設備1内における石炭ガスのガス化効率を向上させ、より多くのCOを発生させている。
【0004】
当該システムVIIは、ガスタービン6で仕事をした排ガスの熱を利用して蒸気タービン17を駆動し、蒸気タービン17が発電機18を駆動する。すなわち、当該システムVIIは、複合発電システムとして構築してあり、このためガスタービン6の下流側には、ガスタービン6の排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラ19および熱交換器20が配設されている。かくして蒸気タービン17で仕事をした蒸気が、復水器21で凝縮されて水となり、その復水ポンプにより熱交換器20を介して排熱回収ボイラ19に供給され、蒸気となって蒸気タービン17に供給される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】平成19年10月,電力中央研究所報告,研究報告:M07003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如きCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムVIIは、COを回収することに伴う所要エネルギーや動力を低減して発電効率を向上させることを目的とするものであるが、燃焼器5において石炭ガス化ガスと酸素の比が当量付近で燃焼させると、ガスタービン6から排出される排ガス中にCOおよびOが残留しやすくなり、それらが残留すると、熱効率の低下やCO回収率の低下を招くおそれがある。COが完全にCOに転化されない場合には、転化されないCOに起因する熱量を得ることができず、また残留Oが増えると、残留しているOを循環させるための無駄な動力が増え、回収したCOの純度も低下するからである。また、燃焼器5や排熱回収ボイラ19等のガス流路内で温度、濃度、流速等の分布があると、反応が進む領域とそうでない領域とができてしまいCOおよびOの残留の可能性が高まる。さらに、安定燃焼を行うために、希釈ガスを部分的に減らして燃焼器5内に局所的な高温燃焼域を作ると、さらに残存するCO、Oが増加する可能性を生じる。図8は、表1の条件における化学平衡計算を行った結果を示す特性図であるが、同図を参照すれば明らかな通り、COやOの平衡組成が1600℃以上の高温燃焼域では急激に増加するからである。
【0007】
【表1】
【0008】
さらに、上述の如きCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムにおいて、石炭や石油コークス等、含窒素化合物を含む炭化水素系の燃料をガス化燃料に用いると、NHが発生する。NHは燃焼器5でNOに転化し、汽水分離器10、13で一部が分離されて硝酸に転化し、排水として排出する場合には中和処理が必要となる。残りのNOは回収するCOに含まれるか、燃焼器5に循環供給される。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、COの残存および残存Oの増加を確実に防止し、熱効率およびCO回収率の向上を図るとともに、さらに環境負荷の原因となるNOを乾式で除去して排水処理を軽減することができるCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
石炭や重質油を含む炭化水素系の燃料と、酸素製造設備で生成された酸素とが供給されてガス化ガスを生成するガス化設備と、前記ガス化ガスを燃料として燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動されて発電機を駆動するガスタービンと、該ガスタービンの排ガスの一部を圧縮するとともに圧縮した排ガスを前記酸素製造設備で生成された酸素の一部と混合して前記燃焼器に戻す圧縮機と、前記ガスタービンの排ガスを圧縮して前記排ガスの一部を二酸化炭素回収装置に供給するとともに、残りの前記排ガスを前記ガス化設備に戻す他の圧縮機とを有するCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、
前記圧縮機および他の圧縮機の上流側で、前記ガスタービンの下流側に、前記排ガスの中の未燃のCO、Oを反応させる触媒燃焼装置を配設したことを特徴とするCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにある。
【0011】
本発明の第2の態様は、
第1の態様に記載するCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、
前記圧縮機および他の圧縮機の上流側で、前記ガスタービンの下流側に配設された排熱回収ボイラに触媒燃焼装置を一体的に組み込んだことを特徴とするCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにある。
【0012】
そして、石炭や重質油を含む炭化水素系の燃料と、酸素製造設備で生成された酸素とが供給されてガス化ガスを生成するガス化設備と、前記ガス化ガスを燃料として燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動されて発電機を駆動するガスタービンと、該ガスタービンの排ガスの一部を圧縮するとともに圧縮した排ガスを前記酸素製造設備で生成された酸素の一部と混合して前記燃焼器に戻す圧縮機と、前記ガスタービンの排ガスを圧縮して前記排ガスの一部を二酸化炭素回収装置に供給するとともに、残りの前記排ガスを前記ガス化設備に戻す他の圧縮機とを有するCO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、
前記圧縮機および他の圧縮機の上流側で、前記ガスタービンの下流側に再熱器を配設するとともに、
前記再熱器は、上流側から順次配設された脱硝触媒および燃焼触媒を有するとともに、前記脱硝触媒には、前記ガスタービンからの排ガスとともに、前記ガス化設備からのガス化ガスを供給するように構成することができる。
【0013】
また、上記CO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、
前記圧縮機および他の圧縮機の上流側で前記再熱器の下流側に、さらに前記再熱器の排ガスで駆動される再熱ガスタービンを配設することができる。
【0014】
また、上記CO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、
前記再熱器は、前記燃焼触媒の下流側に空間部を設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、CO回収型クローズドサイクルガス化発電システムにおいて、ガスタービンの下流側に触媒燃焼装置を配置したので、ガスタービンから排出される未反応のCOとOを反応させてCOに転換することができる。この結果、COに転換時の熱を適切に利用して熱効率の向上を図るとともに、CO回収率の向上も図ることができる。
【0016】
また、脱硝触媒と燃焼触媒とを有する再熱器を備えた場合には、ガス化燃料の一部を再熱器に供給することにより、燃焼器に供給するガス化燃料を減らし、Oが十分存在する状態で燃焼することができ、燃焼器から排出される未反応のCOを低減することができる。さらに、燃焼器から排出されるNOと、再熱器に供給される燃料中のNHとを脱硝触媒で反応させてNに転換し、NOとNHとを除去することができ、燃焼触媒で、燃焼器から排出される未反応のCOとO、および再熱器に供給される燃料とを反応させて、COとHをCOとHOに転換することができる。この結果、COに転換時の熱を適切に利用した熱効率の向上およびCO回収率の向上を図ることができるだけでなく、NOを乾式で適切に除去することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。
図3参考例1に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。
図4参考例2に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。
図5参考例3に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。
図6参考例4に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。
図7】従来技術に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。
図8】表1の条件における化学平衡計算を行った結果を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムI(以下、システムIともいう)の、基本的な構成は、図7に示すCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムVIIと同様であり、これに触媒燃焼装置31を追加、配設したものである。
【0020】
すなわち、本形態に係るシステムIは、燃料である石炭と、酸素製造設備2で生成された酸素が供給されて石炭ガスを生成する石炭ガス化設備1と、石炭ガス化設備1で生成され、金属フィルタ3および乾式脱硫器4で浄化された石炭ガスを燃料として燃焼ガスを生成する燃焼器5と、前記燃焼ガスで駆動されて発電機7を駆動するガスタービン6を有する。
【0021】
ガスタービン6の下流側には、排熱回収ボイラ19および圧縮機8の上流側に、触媒燃焼装置31が配設してある。ここで、燃焼触媒としては、既知の触媒(アクチノイドを除く遷移元素のうち少なくとも1種の元素(原子番号21〜29、39〜47、57〜79)を含む触媒)の適用が可能である。また、触媒燃焼装置31の入口温度は、触媒燃焼が促進され、かつ排熱回収ボイラ19の効率が向上する500〜800℃が好ましい。
【0022】
本形態の圧縮機8は、ガスタービン6で仕事をし、触媒燃焼装置31で所定の燃焼が行われ、排熱回収ボイラ19で排熱を回収された後の排ガスの一部を圧縮するとともに圧縮した排ガスを酸素製造設備2で生成された酸素の一部と混合するとともに、排ガスの熱を利用する再生熱交換器9で加熱して燃焼器5に戻す。かくして燃焼器5では、酸素製造設備2で生成された酸素の一部と圧縮機8で圧縮された排ガスとの混合ガスにより燃料である石炭ガスが燃焼される。このことにより当該システムIの効率を向上させている。
【0023】
また、当該システムIでは、ガスタービン6の排ガス中のハロゲンを、汽水分離器10の水洗塔で除去し、かかる排ガスを、さらに圧縮機11で圧縮した後、水銀除去部12で水銀を除去し、汽水分離器13で水分を分離して圧縮機14に供給する。圧縮機14では、圧縮した排ガスの一部を圧縮機15を介してCO回収装置16に供給するとともに、残りの一部を石炭ガス化設備1に戻している。このことにより石炭ガス化設備1内における石炭ガスのガス化効率を向上させ、より多くのCOを発生させている。
【0024】
当該システムIは、ガスタービン6で仕事をした排ガスの熱を利用して蒸気タービン17を駆動し、蒸気タービン17が発電機18を駆動する。すなわち、当該システムIは、複合発電システムとして構築してあり、このためガスタービン6の下流側には、ガスタービン6の排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラ19および熱交換器20が配設されている。かくして蒸気タービン17で仕事をした蒸気が、復水器21で凝縮されて水となり、その復水ポンプにより熱交換器20を介して排熱回収ボイラ19に供給され、蒸気となって蒸気タービン17に供給される。
【0025】
かかる本形態においては、触媒燃焼装置31においては、ガスタービン6から排出される排ガス中の未燃のCOとOとが反応し、COに転換される。すなわち、ガスタービン6から排出される排ガス中に未燃のCOおよび未反応のOが残留している場合の熱効率の低下やCO回収率の低下という不都合を可及的に低減することができる。また、ガスタービン6の下流側で、未燃のCOとOを反応させることができるので、圧縮機8で圧縮した排ガスと混合されて燃焼器5に供給されるOの量も可及的に低減し得る。このときの触媒燃焼装置31における反応式は、CO+(1/2)O→CO である。
【0026】
なお、本形態に係るシステムIは、石炭ガス化設備1で生成した石炭ガス化ガスを燃焼器5の燃料にする場合であるが、これに限るものではない。他に重質油やバイオマス等、炭化水素系の燃料をガス化したガス化ガスであれば、同様の燃料として利用することができる。また、本形態に係るシステムIは、複合発電システムとして構築した場合であるが、これに限るものではない。ガスタービン6の排ガスの熱エネルギーの利用態様は任意である。燃料の限定および発電設備の形態は、以下に述べる第2の実施の形態、及び参考例1〜4の形態でも全く同様である。
【0027】
<第2の実施の形態>
図2は本発明の第2の実施の形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムII(以下、システムIIともいう)の、基本的な構成は、図1に示すシステムIと同様である。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
本形態に係るシステムIIでは、ガスタービン6の排ガス中の未燃のCOを残存Oで燃焼させる触媒燃焼装置41を2分割した排熱回収ボイラ19A,19Bの間に配設してある。
【0029】
本形態のシステムIIでもシステムIと同様に、触媒燃焼装置41で排ガス中の未燃のCOおよび未反応のOを反応させてCOに転換する。本形態における触媒燃焼装置41の入口温度は、触媒燃焼が促進される300〜800℃が好ましい。
【0030】
参考例1の形態>
図3参考例1に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムIII(以下、システムIIIともいう)の基本的な構成は、図1に示すシステムIと同様である。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
本形態に係るシステムIIIでは、ガスタービン6の下流側に、再熱器51および再熱器51で加熱した排ガスで駆動される再熱ガスタービン52が直列に配設されている。再熱ガスタービン52は発電機53を駆動するように構成してあり、この再熱ガスタービン52でも熱エネルギーを回収してシステムIII全体での発電効率の向上に寄与させている。
【0032】
再熱器51は、上流側から順次配設された脱硝触媒51Aおよび燃焼触媒51Bを有する。ここで、脱硝触媒51Aには、ガスタービン6の排ガスとともに、燃焼器5に供給される燃料である石炭ガス化ガスの一部が図示していない流量調整弁を介して分割供給される。なお、図示していないが、排ガスと燃料の石炭ガス化ガスを混合して脱硝触媒51Aに供給するために、脱硝触媒51Aの上流に空間部または混合器などの混合手段が配設される。
【0033】
以上の構成により、ガス化燃料の一部を再熱器51に供給することで、燃焼器5に供給するガス化燃料を減らし、Oが十分存在する状態で燃焼することができ、燃焼器5から排出される未反応のCOを低減することができる。
【0034】
燃焼器5では、燃料の石炭ガス化ガスに含まれるNHからNOが生成し、その処理が必要となる。本形態では、再熱器51を脱硝触媒51Aと燃焼触媒51Bで構成するとともに、燃焼触媒51Bの上流側に脱硝触媒51Aを配設しているので、燃焼器5から排出され、ガスタービン6の排ガスに含まれるNOと、再熱器51に供給される燃料中のNHとを反応させてNに転換することができる。この結果、NOとNHが除去される。
【0035】
一方、燃焼触媒51Bでは、燃焼器5から排出され、ガスタービン6の排ガスに含まれる未反応のCOおよびOと再熱器51に供給される燃料とを反応させて、COとHをCOとHOに転換する。
【0036】
本形態における脱硝触媒51A、燃焼触媒51Bとしては、既知の触媒(アクチノイドを除く遷移元素のうち少なくとも1種の元素(原子番号21〜29、39〜47、57〜79)を含む触媒)の適用が可能である。また、再熱器51の入口温度は脱硝反応および触媒燃焼が促進される反面、NO生成反応が抑制され、しかもガスタービン6の効率が向上する500〜800℃が好ましい。一方、再熱器51の出口温度はNとHOの生成反応が促進される反面、NO生成反応が抑制され、しかもガスタービン6の効率が向上する1500℃以下が好ましい。
本形態における各部での反応式は次の通りである。
燃焼器5での反応式:NH+(5/4)・O→NO+(3/2)・H
脱硝触媒51Aでの反応式:NO+NH+(1/4)・O→N+(3/2)・H
燃焼触媒51Bでの反応式:NH+(3/4)・O→(1/2)・N+(3/2)・H
【0037】
参考例2の形態>
図4参考例2に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムIV(以下、システムIVともいう)は、図3に示すシステムIIIに対し、再熱器61の構成が異なる。本形態における再熱器61は、上流側から順に脱硝触媒61A、燃焼触媒61Bに続き、空間部61Cが形成されている。その他の構成は、図3に示すシステムIIIと同構成である。そこで、図3に示すシステムIIIと同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0038】
本形態でもシステムIIIと同様の作用・効果を得ることができるが、本形態によれば、さらに、燃焼触媒61Bで、ガスタービン6の排ガスに含まれる未反応のCOと、再熱器61に供給される石炭ガス化ガスの一部を燃焼し、燃焼触媒出口のガス温度を気相燃焼が可能な温度に上昇させ、燃焼触媒出口の空間部61Cで残りの未反応COおよび石炭ガス化ガスを気相燃焼することができる。かかる気相燃焼を行なわせることにより、空間部出口でCOおよび石炭ガス化ガスの完全燃焼を達成させながら、触媒の温度を、例えば1500℃程度の高温にすることなく、より低温で使用できる。したがって、触媒の劣化を抑制することができる。ちなみに、触媒は高温になるほどシンタリング等の劣化が促進される。
【0039】
参考例3の形態>
図5参考例3に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムV(以下、システムVともいう)は、図3に示すシステムIIIの再熱ガスタービン52を省略して、再熱器51の排ガスを直接、排熱回収ボイラ19に供給するように構成したものである。
【0040】
かかる構成のシステムVでも、若干発電効率は劣るが、システムIIIと同等の作用・効果を発揮させることができる。
【0041】
なお、図5中、図3と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
参考例4の形態>
図6参考例4に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムを示すブロック図である。同図に示すように、本形態に係るCO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システムVI(以下、システムVIともいう)は、図4に示すシステムIVの再熱ガスタービン52を省略して、再熱器61の排ガスを直接、排熱回収ボイラ19に供給するように構成したものである。
【0043】
かかる構成のシステムVIでも、若干発電効率は劣るが、システムIVと同等の作用・効果を発揮させることができる。
【0044】
なお、図6中、図4と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明はタービン動力を利用すると同時に、外気へのCO排出を防止する必要がある、例えば発電等の産業分野に有効に適用し得る。
【符号の説明】
【0046】
I、II、III、IV、V、VI CO回収型クローズドサイクル石炭ガス化発電システム
1 石炭ガス化設備
2 酸素製造設備
5 燃焼器
6 ガスタービン
8 圧縮機
14 (他の)圧縮機
16 CO回収装置
31、41 触媒燃焼装置
51、61 再熱器
51A,61A 脱硝触媒
51B,61B 燃焼触媒
61C 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8