(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6153443
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】端子列付き帯状部材の製造方法、端子列付き帯状部材及び金型
(51)【国際特許分類】
H01R 43/16 20060101AFI20170619BHJP
B21D 53/00 20060101ALI20170619BHJP
H01R 43/24 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
H01R43/16
B21D53/00 D
H01R43/24
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-211288(P2013-211288)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-76244(P2015-76244A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大杉 美起夫
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−181945(JP,A)
【文献】
特開2001−043952(JP,A)
【文献】
特開2006−156266(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/001436(WO,A1)
【文献】
実開昭57−161797(JP,U)
【文献】
米国特許第6126005(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/16
B21D 53/00
B29C 45/14
H01R 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って並列する複数本のコネクタ端子部分が形成されてなる金属帯材を、該長手方向に沿って間欠的に送るとともに、その途中で、当該金属帯材を所定の長さに切断し、それにより得られる端子列部材のそれぞれを、相互に間隔をおいて、連結部材と順次に連結して、端子列付き帯状部材を製造するに当り、
前記連結部材を、金属帯材の切断部の、金属帯材の送り方向の前方側に送り、該切断部の当該送り方向の前方側の位置で、切断形成された端子列部材を、隣り合う該端子列部材間に配置される前記連結部材に連結する、端子列付き帯状部材の製造方法。
【請求項2】
金属帯材の送り方向と、互いに連結された前記連結部材及び端子列部材の移動方向とを、平面視で、一直線上に配置する、請求項1に記載の、端子列付き帯状部材の製造方法。
【請求項3】
前記連結部材と端子列部材との相互を、機械的に連結する、請求項1又は2に記載の、端子列付き帯状部材の製造方法。
【請求項4】
前記金属帯材のコネクタ端子部分が、該金属帯材の両側部のそれぞれから、該金属帯材の幅方向の内側に向けて相互に対向する向きに延びるものとして形成されており、
前記連結部材が、金属帯材の両側のそれぞれから、前記切断部の前記送り方向の前方側の位置に向けて送られるものとする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の、端子列付き帯状部材の製造方法。
【請求項5】
端子部分を樹脂材料で封止するインサート成形に供される端子列付き帯状部材を製造する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の、端子列付き帯状部材の製造方法。
【請求項6】
長手方向に沿って並列する複数本のコネクタ端子部分からなる端子列を有する端子列部材の複数個を、連結部材により、長手方向に相互に間隔をおいて連結してなる端子列付き帯状部材であって、
前記連結部材を、隣り合う端子列部材の相互を連結するものとして、隣り合う端子列部材間に複数個設けてなる、端子列付き帯状部材。
【請求項7】
前記連結部材と端子列部材との相互が、機械的に連結されてなる、請求項6に記載の端子列付き帯状部材。
【請求項8】
端子列部材の前記端子列を、樹脂材料で封止してなる、請求項6又は7に記載の端子列付き帯状部材。
【請求項9】
金属帯材をその長手方向に沿って間欠的に送る帯材搬送手段と、該搬送手段の途中に設けられて、金属帯材を所定の長さに切断して端子列部材を形成する切断部と、前記端子列部材に連結される連結部材を送る部材搬送手段と、所定の間隔をおいて配置した端子列部材に前記連結部材を連結してなる端子列付き帯状部材を移動させる移動手段とを備える金型であって、
切断部の、金属帯材の送り方向の前方側の位置に、切断形成された端子列部材を、隣り合う該端子列部材間に配置される前記連結部材に連結する連結部を設けてなる金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、いわゆる順送金型内で、プレス成形等によってコネクタ端子部分を形成した金属帯材を間欠的に送り、その途中で金属帯材を所定の長さに切断して形成される端子列部材を順次に、相互に所要の間隔をおいて連結部材と連結していく、端子列付き帯状部材の製造方法、端子列付き帯状部材及び金型に関するものであり、特には、材料歩留まりの低下を有効に防止しつつ、製造能率の向上及び、製品の品質向上に資する技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
銅合金等からなるコネクタを製造するに当って従来は、
図4に、平面図で模式的に示すような方法を用いることがあった。
すなわち、
図4に示すこの方法によれば、はじめに、順送金型内で、一方向に向けて間欠送給される平坦面状の長尺金属板に対し、所要のプレス加工及びめっき処理等を施して、
図4(a)に示すような金属帯材100を成形する。なおこの金属帯材100では、両側部101に、それらの側部101のそれぞれから、金属帯材100の幅方向内側に向けて互いに対向する向きに延びるコネクタ端子部分102の複数本を、金属帯材100の長手方向に沿って狭い間隔で密集させて並べて設けている。
【0003】
次いで、たとえば、
図4(b)に示すように、不要な端子部分102aを切断除去し、所定本数の端子部分102bを一定間隔で残して、これらの残った端子部分102bの所定本数をまとめて端子列103とする。
しかる後は、それらの端子列103ごとに、
図4(c)に示すように、コネクタ端子部分102bの先端側を樹脂材料104で封止するインサート成形を実施し、そして、樹脂材料104の長手方向の両端部のそれぞれに支持金具105を配置し、それらの支持金具105により、樹脂材料104を、封止した端子部分102bとともに押さえる。その後、かかる金属帯材100は、次工程を行う部分に搬送される。
【0004】
ところで、このような製造方法では、同一の順送金型内で、金属帯材100の送り態様を変えずに、プレス成形からインサート成形に至るまでを連続的に行うこととしていることから、インサート成形で、樹脂材料104によって、所定本数の端子部分102からなる端子列103を封止する際に邪魔になる端子部分102aを、その前工程で、
図4(b)に示すように切断除去しており、その結果として、材料歩留まりの低下を余儀なくされるという問題があった。
【0005】
このことに対し、特許文献1には、構造体の一部にコネクタ端子列を順送間欠送りにより順次連続してインサート成形する方法であって、基板の片側に所定本数の端子を所定のピッチで平行に連設した端子列連設片には前記基板の所定位置に位置決め孔を穿設し、一方、低廉な薄い金属帯材にはパイロット孔を穿設すると同時にこのパイロット孔位置を基準とする所定位置に低い小突起を前記金属帯材の片面に突出させ、前記位置決め孔を前記小突起に嵌合して、かしめにより前記端子連設片を逐次前記金属帯材の長手方向に沿って離間する所定位置に結合し、前記金属帯材をコネクタ端子の順送キャリアとして使用する、一部にコネクタ端子列を備える構造体の成形方法が提案されている。
そして、この方法によれば、「徒に高価な端子部材を廃材にすることが極端に減少し、省資源の達成とともにコストが低減され、効率よく生産性を向上させることができる。」とされている。
【0006】
なおこれに関連して、特許文献2には、絶縁体に、該絶縁体をカバーするシェルと、前記絶縁体から一部が露出する雄コンタクトと、前記絶縁体から露出してプリント基板に位置決め・固定されるホールドダウンと、相手側コネクタの嵌合爪に係合するロック受金具とを組み立ててなるI/Oコネクタの製造方法であって、前記シェル以外の部品をインサート金物として絶縁体に一体成型して取り付け、その後、前記絶縁体におけるインサート金物の不要部分を切断し、当該絶縁体にシェルを装着して形成するI/Oコネクタの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3338667号公報
【特許文献2】特開平9−139274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、特許文献1に記載された方法では、その
図1に示されているところから明らかなように、金属帯材と、帯状キャリアとを、互いに間隔をおいて並走させており、金属帯材から切断して形成した端子列部材を、帯状キャリアに連結するには、切断形成された端子列部材を、金属帯材の送り方向に略直交する方向に、帯状キャリアに向けて搬送する必要がある。それ故に、金属帯材から形成した端子列部材を、帯状キャリアに円滑に受け渡すことができずに、そこで製造能率の低下を招く他、端子列部材の、帯状キャリアへの連結位置等についての精度が低下し、それにより製品の品質の低下が否めないという問題があった。
その上、特許文献1の方法では、金属帯材の切断と、端子列部材の、キャリアとの接合を、同一の金型内で行うことができず、1工程追加となるため、上述したような、端子列部材の略直交方向への搬送が必要となって、品質、生産性及びコストのいずれの点においても問題がある。
【0009】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、インサート成形に先立って、金属帯材を切断して形成した端子列部材を順次に、相互に間隔をおいて連結することとして、不要な端子部分の除去に起因する材料歩留まりの低下を有効に防止した上で、端子列部材の連結を円滑かつ高精度に行って、製造能率を高めるとともに製品の品質を向上させることのできる新規な方式の、端子列付き帯状部材の製造方法、端子列付き帯状部材及び金型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の、端子列付き帯状部材の製造方法は、長手方向に沿って並列する複数本のコネクタ端子部分が形成されてなる金属帯材を、該長手方向に沿って間欠的に送るとともに、その途中で、当該金属帯材を所定の長さに切断し、それにより得られる端子列部材のそれぞれを、相互に間隔をおいて、連結部材に順次に連結して、端子列付き帯状部材を製造するに当り、前記連結部材を、金属帯材の切断部の、金属帯材の送り方向の前方側に送り、当該切断部の前記送り方向の前方側の位置で、切断形成された端子列部材を、隣り合う該端子列部材間に配置される前記連結部材に連結して、たとえば、互いに連結された前記連結部材と端子列部材を、金属帯材の送り方向と平行に移動させることにある。ここで好ましくは、金属帯材の送り方向と、互いに連結された前記連結部材及び端子列部材の移動方向とを、平面視で、一直線上に配置する。
【0011】
なお、前記連結部材と端子列部材との相互を連結するに当っては、たとえば、重ね合わせた前記連結部材と端子列部材との双方に、パンチその他の押圧部の押し付けによる凹部を形成して、その凹部同士の摩擦係合で部材の相互を連結する、いわゆるカシメ又は、連結部材と端子列部材の抜きバメ、ないしは圧入接合等の、機械的な連結により行うことが好ましい。
【0012】
また好ましくは、前記金属帯材のコネクタ端子部分が、該金属帯材の両側部のそれぞれから、該金属帯材の幅方向の内側に向けて相互に対向する向きに延びるものとして形成されており、前記連結部材が、金属帯材の両側のそれぞれから、前記切断部の前記送り方向の前方側の位置に向けて送られるものとする。
上記の製造方法は、端子部分を樹脂材料で封止するインサート成形に供される端子列付き帯状部材を製造するものであることが好ましい。
【0013】
また、この発明の端子列付き帯状部材は、長手方向に沿って並列する複数本のコネクタ端子部分からなる端子列を有する端子列部材の複数個を、連結部材により、長手方向に相互に間隔をおいて連結してなり、前記連結部材を、隣り合う端子列部材の相互を連結するものとして、隣り合う端子列部材間に複数個設けたものである。
ここで好ましくは、前記連結部材と端子列部材との相互が、機械的に連結されたものとする。なお好ましくは、上記の端子列付き帯状部材は、端子列部材の前記端子列を、樹脂材料で封止したものとする。
【0014】
そしてまた、この発明の金型は、上述した製造方法を好適に実施し得るものであり、金属帯材をその長手方向に沿って間欠的に送る帯材搬送手段と、該搬送手段の途中に設けられて、金属帯材を所定の長さに切断して端子列部材を形成する切断部と、前記端子列部材に連結される連結部材を送る部材搬送手段と、所定の間隔をおいて配置した端子列部材に前記連結部材を連結してなる端子列付き帯状部材を移動させる移動手段とを備えるものであって、切断部の、金属帯材の送り方向の前方側の位置に、切断形成された端子列部材を、隣り合う該端子列部材間に配置される前記連結部材に連結する連結部を設けてなるものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の、端子列付き帯状部材の製造方法によれば、前記連結部材を、金属帯材の切断部の、金属帯材の送り方向の前方側に送り、当該切断部の前記送り方向の前方側の位置で、切断形成された端子列部材を、隣り合う該端子列部材間に配置される前記連結部材に連結して、互いに連結された前記連結部材と端子列部材を、金属帯材の送り方向と平行に移動させることにより、金属帯材の切断工程から、端子列部材と前記連結部材との連結工程に至るまで、進行方向が大きく変わることなしに、金属帯材及び端子列付き帯状部材が送給されることになる。
それにより、金属帯材から切断形成した端子列部材と、前記連結部材との連結が円滑に行われることになることから、製造能率を高めることができ、また、その連結が高精度で行われて、製品の品質を大きく向上させることができる。
なお、この方法では、不要な端子部分の除去を行わないので、歩留まりの低下を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の製造方法の一の実施形態について示す平面図である。
【
図2】
図1に示す方法に用いることができる、端子列部材と連結部材との連結態様を示す、
図1のII―II線に沿う略線断面図である。
【
図3】
図1に示す方法により製造することのできる端子列付き帯状部材の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について説明する。
図1に示すところにおいて、図中1は、たとえば、その前工程で、平坦面状の長尺帯状の金属板にプレス加工を施して、長手方向(図では上下方向)に沿って並列する多数のコネクタ端子部分1aが形成されるとともに、それらのコネクタ端子部分1aに、所要に応じてめっき処理を施した金属帯材を示す。
この金属帯材1は、たとえば順送金型内で、
図1に矢印Aで示すように上下方向に沿って、たとえば、ワイヤーテンションもしくはコンベアベルトその他の搬送手段により、所定ピッチで間欠送給される。
【0018】
なお、図示の金属帯材1は、前工程のプレス加工により、金属帯材1の幅方向(
図1では左右方向)に相互に間隔をおいて配置されて長手方向に延びる一対の側部1bと、該側部のそれぞれから、金属帯材1の幅方向内側に向けて互いに対向する向きに延びるコネクタ端子部分1aとで構成されるものである。
【0019】
このような金属帯材1は、帯状に連続した形態のまま、所定本数のコネクタ端子部分1aからなる端子列を樹脂材料で封止するインサート成形を施すと、それらの端子列に隣接する端子部分が邪魔になるので、それらの不要な端子部分の多くを切断して除去することによる歩留まりの低下が否めない。
【0020】
そこでここでは、たとえば順送金型の、カッター等を備える切断部10により、間欠送給される金属帯材1を、所要の本数の端子部分1aを含む所定の長さで、その幅方向に沿って切断し、それにより得られる端子列部材2のそれぞれを、相互に所定の間隔dをおいて、他方から搬送される連結部材3に順次に連結する。ここでの間隔dは、その後に行うインサート成形の際に、隣り合う端子列部材2のそれぞれに設ける樹脂材料が相互に影響しない大きさとすることが好ましい。
なお、端子列部材2の形成に当って切断される前の帯状のものを、金属帯材1といい、また、金属帯材1が切断されて形成された端子列部材2と連結部材3とを交互に連結した帯状のものを、端子列付き帯状部材4とする。
【0021】
それにより、金属帯材1に形成した端子部分1aの切断除去が不要になって、それらの端子部分1aを余すことなく用いることができるので、材料歩留まりの低下による製造コストの増大を有効に防止することができる。なおここでは、端子列付き帯状部材4の移動長さは、金属帯材1の送り長さよりも、間隔dを設けた分長くすることができる。
【0022】
ここにおいて、金属帯材1から切断形成された端子列部材2は、該切断後に速やかに、また、切断時の姿勢を維持したまま、連結部材3に連結されることが、製造能率の観点からは勿論、それらの連結の精度に起因する製品品質の観点からも好ましい。
【0023】
それ故、この発明では、端子列部材2が連結される前の連結部材3aを、順送金型等における、金属帯材1の切断を行う上記の切断部10の、その金属帯材1の送り方向Aの前方側に送ることとし、そして、当該切断部10の送り方向Aの前方側の位置Rで、形成された端子列部材2を連結部材3に順次に連結する。
このようにして、互いに連結された連結部材3bと端子列部材2は、
図1に矢印Bで示すように、金属帯材1の送り方向Aと平行に移動させる。
【0024】
このことによれば、金属帯材1から形成された端子列部材2は、その形成の直後に、切断時の姿勢(左右方向の位置、及び向き)の大きなずれを招くことなしに、切断部10の送り方向Aの前方側に隣接する位置Rで、連結部材3に連結されることになるので、そこでの連結が円滑に行われて、製造能率を高めることができ、また、端子列部材2と連結部材3との連結が高精度で行われて、品質を向上させることができる。
【0025】
このような、製造能率及び品質の向上の観点からは、互いに連結された連結部材3b及び端子列部材2の移動方向Bは、
図1に示す平面視で、金属帯材1の送り方向Aに対して左右にずれのないように、送り方向Aと一直線上に配置することが好ましい。
【0026】
ここで、端子列部材2と連結部材3との連結は、たとえば溶接、接着剤の使用等の様々な方法により行うことが可能であるが、先述したかしめ接合等のような機械的な連結とすることが簡便である。
そのような連結工程では、たとえば、
図2(a)にII―II断面図に示すように、はじめに、上型11を下型12に向けて降下させ、それにより、
図2(b)に示すように、金属帯材1が、図の左側から送られた連結部材3aとともに、上型11から突出する位置決めロッド13によって位置決めされる。その後、上型11を更に降下させて、上型11の押圧部14を、
図2(c)に示すように、重なり合った連結部材3と端子列部材2の双方に押し付けて半抜きとし、それらに凹部5を形成し、該凹部5同士の摩擦係合により、連結部材3と端子列部材2とが相互に連結されることになる。なおここでは、このような凹部5に代えて、図示は省略するが、両部材に貫通する穴部を設けることにより、しまりばめ接合することもできる。あるいは、たとえば、曲げ接合、圧入接合その他の様々な機械的な連結を用いることができる。かかる連結には、リベット又はシャフト等の締結部材を用いることも可能である。
【0027】
なお、図示の実施形態では、
図1に示すように、金属帯材1を隔てた両側のそれぞれから、一対の帯状の連結部材3aのそれぞれを、切断部10の送り方向前方側に向けて送ることとしており、この帯状連結部材3aは、切断部10の前方側位置Rで、端子列部材2と連結されると同時に、
図2(c)に示すように、上型11のカット部分15により、所定の長さに切断されて、隣り合う端子列部材2の相互の連結に供される。帯状連結部材3aには予め、位置決め穴を、その長手方向に所定の間隔をおいて形成しておくことが好ましく、この場合、帯状連結部材3aに設けられた位置決め穴ピッチにより連結長さが決まるものとすることができる。
帯状連結部材3aの送り長さは、たとえば、金属帯材1の送り長さより大きく、かつ、互いに連結された連結部材3b及び端子列部材2の移動長さより小さくすることが好ましい。
【0028】
このようにして形成された端子列付き帯状部材4はその後、それの所定本数の端子部分1aからなる端子列4aを、樹脂材料で封止するインサート成形が施されるとともに、その樹脂材料上に支持金具が配置される。なお、かかる支持金具を連結部材3aとすることも可能である。
【0029】
以上に述べた製造方法により製造することのできる端子列付き帯状部材4を、インサート成形の実施前の状態で、
図3に斜視図で例示する。
図示のこの端子列付き帯状部材4は、相互に所定の間隔をおいて、長手方向に並べて配置した端子列部材2と、隣り合う端子列部材2の相互間に配置されて、それらの端子列部材2の相互を連結する連結部材3bとを有するものである。従って、この端子列付き帯状部材4では、端子列部材2と連結部材3bとが交互に配置されることになる。端子列部材2の端子部分1aは、所要に応じて、めっき処理が施されたものとすることができる。
【0030】
なお、これらの端子列部材2と連結部材3bは、互いに同種の金属材料からなるものとすることが、廃棄後に再利用可能な点で好ましい。それらの部材の材質は、たとえばコネクタ等で一般的に用いられるりん青銅や、SPC、SUS、黄銅等とすることができ、これら以外の金属材料とすることも可能である。
この端子列付き帯状部材4は、インサート成形が施されて、図示は省略するが、複数本の端子部分1aを含む端子列4aを樹脂材料で封止したものとすることができる。
【0031】
以上に述べたところから、このような端子列付き帯状部材の製造方法によれば、端子列付き帯状部材を製造するに際する各種工程において最も精度が高く、しかも同一の金型内で連続的に切断・再結合を行うことができ、それにより、特許文献1に記載されたような既存のキャリア方式の方法とは異なり、ここに述べた全ての課題を解決できることが明らかである。
【0032】
以上に述べた製造方法は、金属帯材1の端子部分1aを成形するためのプレス金型に組み込む場合がある。この場合、当該金型は、金属帯材1をその長手方向に沿って間欠的に送る帯材搬送手段と、該搬送手段の途中に設けられて、金属帯材1を所定の長さに切断して端子列部材2を形成する切断部10と、前記端子列部材2に連結される連結部材3を送る部材搬送手段と、所定の間隔をおいて配置した端子列部材2に前記連結部材3を連結してなる端子列付き帯状部材4を移動させる移動手段とを備えるものであって、切断部10の、金属帯材1の送り方向の前方側の位置Rに、切断形成された端子列部材2を、隣り合う該端子列部材2間に配置される前記連結部材3に連結する連結部を設けてなるものとすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 金属帯材
1a コネクタ端子部分
1b 側部
2 端子列部材
3、3a、3b 連結部材
4 端子列付き帯状部材
4a 端子列
5 凹部
10 切断部
11 上型
12 下型
13 位置決めロッド
14 押圧部
15 カット部分
A 金属帯材の送り方向
B 互いに連結された連結部材及び端子列部材の移動方向
C、D 連結部材の送り方向
d 端子列部材間の間隔