(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6154583
(24)【登録日】2017年6月9日
(45)【発行日】2017年6月28日
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/76 20060101AFI20170619BHJP
H01L 21/764 20060101ALI20170619BHJP
H01L 29/732 20060101ALI20170619BHJP
H01L 21/331 20060101ALI20170619BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20170619BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20170619BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20170619BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20170619BHJP
【FI】
H01L21/76 L
H01L21/76 A
H01L29/72 P
H01L29/78 301R
H01L27/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-134999(P2012-134999)
(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-258375(P2013-258375A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】鍜治 昂男
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 克仁
(72)【発明者】
【氏名】古平 貴章
(72)【発明者】
【氏名】土井 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】折津 美奈子
【審査官】
右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−029354(JP,A)
【文献】
特開2007−201220(JP,A)
【文献】
特開平09−321249(JP,A)
【文献】
特開平11−087485(JP,A)
【文献】
特開2011−066067(JP,A)
【文献】
特開平04−263454(JP,A)
【文献】
特開平04−123456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/76
H01L 21/331
H01L 21/336
H01L 21/764
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 29/732
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の一主面に二次元的に集合して配置された素子分離用トレンチを有する素子分離用トレンチ構造と、
前記素子分離用トレンチ内に形成された絶縁物と、
前記素子分離用トレンチに囲まれた素子形成領域と、
前記素子形成領域に形成された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、
前記素子分離用トレンチは、
第1の方向に延在する互いに対向する2つの辺を有する一方の第1の素子分離用トレンチと、
前記第1の方向に延在する互いに対向する2つの辺を有し、前記一方の第1の素子分離用トレンチから前記第1の方向と直交する第2の方向に離間して配置された他方の第1の素子分離用トレンチと、
前記一方の第1の素子分離用トレンチの一方の辺に接続されると共に、前記第2の方向に延在する、互いに対向する2つの辺を有する第2の素子分離用トレンチと、
前記第2の方向から角度θ(0°<θ<90°)傾いた第3の方向に延在し、一端が前記一方の第1の素子分離用トレンチの他方の辺に接続されると共に他端が前記他方の第1の素子分離用トレンチに接続される、互いに対向する2つの辺を有する第3の素子分離用トレンチと、
を備えている半導体装置。
【請求項2】
前記第3の方向は、前記第2の方向から時計回りに前記角度θ傾いた方向であり、
前記素子分離用トレンチは、前記第2の方向から反時計回りに前記角度θ傾いた第4の方向に延在し、一端が前記一方の第1の素子分離用トレンチの前記他方の辺に接続されると共に他端が前記他方の第1の素子分離用トレンチに接続される、互いに対向する2つの辺を有する第4の素子分離用トレンチをさらに備える
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記素子分離用トレンチ構造は、前記第1の素子分離用トレンチと前記第2の素子分離用トレンチとを備える第1の素子分離用トレンチ構造と、前記第2の素子分離用トレンチと前記第3の素子分離用トレンチとを備える第2の素子分離用トレンチ構造とを備え、前記第1の素子分離用トレンチ構造と、前記第2の素子分離用トレンチ構造が交互に配置されている請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の方向に並んだ前記素子形成領域を分離する前記第3の素子分離用トレンチの角度θが前記第2の方向で変化している請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記素子分離用トレンチが互いに異なる複数の材料によって埋め込まれている請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、素子分離用のトレンチ構造を備える半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
素子分離用のトレンチ構造を備える半導体装置が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−164609号公報
【特許文献2】特開2003−303830号公報
【特許文献3】特開2001−199191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者達が、このような素子分離用のトレンチ構造を備える半導体装置を鋭意研究した結果、次の問題があることを見出した。すなわち、素子分離用のトレンチ構造を2次元的に集合させて配置すると、集合して配置されたトレンチ構造の最外周部にクラックが発生するという問題があることを見出した。
【0005】
本発明の主な目的は、集合して配置された素子分離用トレンチ構造の最外周部にクラックが発生するのを防止できる半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
半導体基板と、
前記半導体基板の一主面に
二次元的に集合して配置された素子分離用トレンチを有する素子分離用トレンチ構造と、
前記素子分離用トレンチ内に形成された絶縁物と、
前記素子分離用トレンチに囲まれた素子形成領域と、
前記素子形成領域に形成された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、
前記素子分離用トレンチは、
第1の方向に延在する互いに対向する2つの辺を有する
一方の第1の素子分離用トレンチと、
前記第1の方向に延在する互いに対向する2つの辺を有し、前記一方の第1の素子分離用トレンチから前記第1の方向と直交する第2の方向に離間して配置された他方の第1の素子分離用トレンチと、
前記一方の第1の素子分離用トレンチの一方の辺に接続されると共に、前記第2の方向に延在する
、互いに対向する2つの辺を有する第2の素子分離用トレンチと、
前記第
2の方向から角度θ(0°<θ<90°)傾いた第3の方向に延在
し、一端が前記一方の第1の素子分離用トレンチの他方の辺に接続されると共に他端が前記他方の第1の素子分離用トレンチに接続される、互いに対向する2つの辺を有する第3の素子分離用トレンチと、
を備えている半導体装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の態様によれば、
半導体基板と、
前記半導体基板の一主面に形成された素子分離用トレンチと、
前記素子分離用トレンチ内に形成された絶縁物と、
前記素子分離用トレンチに囲まれた素子形成領域と、
前記素子形成領域に形成された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、
前記素子分離用トレンチ内の前記絶縁物には隙間が形成されている半導体装置が提供される。
【0008】
本発明のさらに他の態様によれば、
半導体基板の一主面に素子分離用トレンチを形成する工程と、
前記素子分離用トレンチ内に、隙間を有する絶縁物を形成する工程と、
その後、前記素子分離用トレンチに囲まれた素子形成領域に半導体素子を形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、集合して配置された素子分離用トレンチ構造の最外周部にクラックが発生するのを防止できる半導体装置およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の半導体装置を説明するための概略平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態の半導体装置の変形例を説明するための概略平面図である。
【
図6】
図6は、比較のための半導体装置を説明するための概略平面図である。
【
図7】
図7は、比較のための半導体装置の問題を説明するための概略平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施の形態の半導体装置を説明するための概略平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1および第2の実施の形態の半導体装置において、素子形成領域に好適に形成されるバイポーラトランジスタを説明するための概略断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1および第2の実施の形態の半導体装置において、素子形成領域に好適に形成されるMOSトランジスタを説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1を参照すれば、本発明の好ましい第1の実施の形態の半導体装置1では、半導体チップ10の周辺部の4辺に、I/O素子用の素子分離用トレンチ構造20がそれぞれ設けられ、中央部には、素子分離用トレンチ構造30が設けられている。素子分離用トレンチ構造20では、素子分離用トレンチ22に囲まれた領域がI/O素子用の素子形成領域26となる。隣接する素子形成領域26同士で、隣接する素子形成領域26間の素子分離用トレンチ24を共有している。素子分離用トレンチ構造20は、I/O素子用なので、素子形成領域26は、中央部の素子分離用トレンチ構造30の素子形成領域よりも大きい。
【0013】
図1、2を参照すれば、中央部の素子分離用トレンチ構造30の素子形成領域38はI/O素子用の素子分離用トレンチ構造20の素子形成領域26よりも小さく、集合して配置された素子形成領域38は密集している。素子分離用トレンチ構造30では、素子分離用トレンチ構造32と素子分離用トレンチ構造34とが交互に配置されている。
【0014】
図2を参照すれば、素子分離用トレンチ構造32の素子分離用トレンチ36は、Y方向に延在する素子分離用トレンチ361、362と、X方向に延在する素子分離用トレンチ363とを備えている。なお、X方向とY方向は直交している。素子分離用トレンチ361、362と、素子分離用トレンチ363、363とで囲まれた領域が素子形成領域38となる。隣接する素子形成領域38同士で、隣接する素子形成領域38間の素子分離用トレンチ363を共有している。素子分離用トレンチ構造32では、素子形成領域38はY方向に一列に並設されている。
【0015】
素子分離用トレンチ構造34の素子分離用トレンチ36は、Y方向に延在する素子分離用トレンチ361、362と、X方向から反時計回りに角度θ傾いた素子分離用トレンチ365と、X方向から時計回りに角度θ(反時計回りに角度−θ)傾いた素子分離用トレンチ366とを備えている。素子分離用トレンチ361、362と、素子分離用トレンチ365、366とで囲まれた領域が素子形成領域40となる。隣接する素子形成領域40同士で、隣接する素子形成領域40間の素子分離用トレンチ365または素子分離用トレンチ366を共有している。素子分離用トレンチ構造34では、素子形成領域40はY方向に一列に並設されている。また、素子分離用トレンチ構造32の素子形成領域38と素子分離用トレンチ構造34の素子形成領域40とは、素子形成領域38と素子形成領域40との間の素子分離用トレンチ361または素子分離用トレンチ362を共有している。
【0016】
図4を参照すれば、シリコン基板100の一主面101に素子分離用トレンチ36が形成されている。シリコン基板100の一主面101および素子分離用トレンチ36の側面および底面は熱酸化等により形成したシリコン酸化膜110で覆われている。シリコン酸化膜110で覆われた素子分離用トレンチ36内には、CVD法等で埋め込まれたシリコン酸化膜120が形成されている。シリコン酸化膜120は、CVD法等で全面に形成後、平坦化処理を行いシリコン基板100の一主面101上の膜は除去されている。素子分離用トレンチ36の寸法は、例えば深さは10μm以上、幅は1μm程度、隣接する素子分離用トレンチ36との間隔は2μm以上である。この寸法は、素子分離用トレンチ361、362、363、365、366に当てはまる。
図4は、
図3のBB線概略断面図であるが、
図3のCC線断面も同様な構造である。なお、このようなディープトレンチは、素子分離目的だけでなく、パッドの下に密集して配置し、パッドと基板間の容量を低減する目的にも使用される。
【0017】
このような構造では、アニール等の熱処理でシリコン酸化膜120が収縮して、シリコン基板110がシリコン酸化膜120からストレス210を受ける。
図3を参照すれば、素子分離用トレンチ構造32では、素子形成領域38に、Y方向に延在する素子分離用トレンチ361、362によってX方向のストレス211、212がかかり、X方向に延在する素子分離用トレンチ363によってY方向のストレス213がかかる。素子分離用トレンチ構造34では、素子形成領域40に、Y方向に延在する素子分離用トレンチ361、362によってX方向のストレス211、212がかかり、X方向から反時計回りに角度θ傾いた素子分離用トレンチ365によって、X方向から時計回りに角度θ傾いた方向のストレス215がかかり、X方向から時計回りに角度θ傾いた素子分離用トレンチ366によって、X方向から反時計回りに角度θ傾いた方向のストレス216がかかる。従って、素子分離用トレンチ365によるストレス215および素子分離用トレンチ366によるストレス216によって、素子分離用トレンチ361、362によるX方向のストレス211、212および素子分離用トレンチ363によるY方向のストレス213を分散させることができ、ストレスの集中によってシリコン基板にクラックが発生することを防止することができる。
【0018】
角度θは、0°<θ<90°の範囲であればいいが、45°が好ましい。45°であれば、X方向、Y方向の両方にストレスを均一に分散させることができる。また、素子分離用トレンチ365と、素子分離用トレンチ366の傾きは、X方向に対して(あるいはY方向に対して)反対方向であることが好ましい。ストレスを互いに反対方向に分散させることができるからである。
【0019】
なお、角度θは、上記のように統一されていなくてもよく、
図5に示すように、素子分離用トレンチ構造34の、Y方向に延在する素子分離用トレンチ361と素子分離用トレンチ362との間に設けられ、X方向(あるいはY方向)から傾いた素子分離用トレンチ367の傾きが、順次変化する形状でもよい。
図5に示す素子分離用トレンチ構造34では、紙面の下側から上側に行くに従って、素子分離用トレンチ367の傾きが、X方向から反時計回りに約45°傾いているものから順次その傾きが小さくなってX方向に平行となり、その後、X方向から時計回りに約45°傾き、その後、順次その傾きが小さくなってX方向に平行となっている。
【0020】
また、本実施の形態のように、Y方向に延在する素子分離用トレンチと、X方向に延在する素子分離用トレンチとを備える素子分離用トレンチ構造32と、Y方向に延在する素子分離用トレンチとX方向(あるいはY方向)から傾いた素子分離用トレンチとを備える素子分離用トレンチ構造34とを交互に配置する素子分離用トレンチ構造30に代えて、Y方向に延在する素子分離用トレンチと、X方向に延在する素子分離用トレンチとを備える素子分離用トレンチ構造内にX方向(あるいはY方向)から傾いた素子分離用トレンチを分散させて配置する構造の素子分離用トレンチ構造としてもよい。この場合に、X方向(あるいはY方向)から傾いた素子分離用トレンチは、X方向から反時計回りに45°角度θ傾いたものと、X方向から時計回りに45°角度θ傾いたものとを分散させて配置してもよい。また、X方向(あるいはY方向)から傾いた素子分離用トレンチの傾き角度を統一しないでもよく、応力を全体として分散させればよい。
【0021】
素子形成領域40のように、X方向から角度θ(0°<θ<90°)傾いた素子分離用トレンチで素子分離用トレンチの一部が構成される素子形成領域には、半導体素子を配置してもいいが、素子形成領域の角が丸まるので、素子形成領域が小さい場合には半導体素子を配置するのは困難となる。本実施の形態では、半導体素子は、素子形成領域38に配置し、素子形成領域40には配置しない。
【0022】
本実施の形態とは異なり、
図6に示すような素子分離用トレンチ構造50では、素子分離用トレンチ構造32と素子分離用トレンチ構造33とが交互に配置されている。素子分離用トレンチ構造32は、第1の実施の形態の素子分離用トレンチ構造32と同じ構造である。素子分離用トレンチ構造33の素子分離用トレンチ36は、Y方向に延在する素子分離用トレンチ361、362と、X方向に延在する素子分離用トレンチ368とを備えている。素子分離用トレンチ361、362と、素子分離用トレンチ368、368とで囲まれた領域が素子形成領域39となる。隣接する素子形成領域39同士で、隣接する素子形成領域39間の素子分離用トレンチ368を共有している。素子分離用トレンチ構造33では、素子形成領域39はY方向に一列に並設されている。素子分離用トレンチ構造32の素子形成領域38と素子分離用トレンチ構造33の素子形成領域39とは、素子形成領域38と素子形成領域39との間の素子分離用トレンチ361または素子分離用トレンチ362を共有している。素子分離用トレンチ構造32の素子分離用トレンチ363と、素子分離用トレンチ構造33の素子分離用トレンチ368とは、Y方向で交互に配置されている。素子分離用トレンチ363と素子分離用トレンチ361または素子分離用トレンチ362とはT字状に交差し、素子分離用トレンチ368と素子分離用トレンチ361または素子分離用トレンチ362とはT字状に交差している。T字状に交差した構造とすることによって、交差した部分の素子分離用トレンチの埋め込み性が十字状に交差したものよりも良くなる。
【0023】
この素子分離用トレンチ構造50で、
図4に示すように素子分離用トレンチ36にCVD法等で埋め込まれたシリコン酸化膜120が形成された構造とすると、アニール等の熱処理でシリコン酸化膜120が収縮して、シリコン基板110がシリコン酸化膜120からストレス210を受ける。Y方向に延在する素子分離用トレンチ361、362によってX方向のストレスがかかり、X方向に延在する素子分離用トレンチ363、368によってY方向のストレスがかかる。このストレスの影響は、トレンチが密集している程大きくなる。そのため、
図7に示すように、素子分離用トレンチ36が密集している素子分離用トレンチ構造50では、素子分離用トレンチ構造50の最外周でストレス220がピークとなり、素子分離用トレンチ構造50のX方向およびY方向の最外周にクラック400が発生してしまう。
【0024】
次に、本実施の形態の半導体装置1の製造方法を説明する。
図4を参照すれば、まず、シリコン基板100の一主面101に素子分離用トレンチ36を形成する。その後、シリコン基板100の一主面101および素子分離用トレンチ36の側面および底面に熱酸化等によりシリコン酸化膜110を形成する。その後、全面にCVD法等でシリコン酸化膜120を形成する。その後、平坦化処理を行いシリコン基板100の一主面101上のシリコン酸化膜120を除去し、シリコン酸化膜110で覆われた素子分離用トレンチ36内にシリコン酸化膜120を埋め込んだ構造とする。その後、素子形成領域38にバイポーラトランジスタやMOSトレンジスタ等を形成する。
【0025】
(第2の実施の形態)
図8に示す本実施の形態の素子分離用トレンチ構造50の平面構造は、
図6と同じなので、その説明は省略する。
図9を参照すれば、シリコン基板100の一主面101に素子分離用トレンチ36(361、362)が形成されている。シリコン基板100の一主面101および素子分離用トレンチ36の側面および底面は熱酸化等により形成したシリコン酸化膜110で覆われている。シリコン酸化膜110で覆われた素子分離用トレンチ36内には、CVD法等で埋め込まれたシリコン酸化膜122が形成されている。本実施の形態の素子分離用トレンチ36(361、362)の幅は、第1の実施の形態のシリコン酸化膜110で覆われた素子分離用トレンチ36内にシリコン酸化膜120が埋め込まれる条件にてシリコン酸化膜122を形成した場合に、シリコン酸化膜122に0.1μm程度の開口した隙間124が形成されるような幅とする。なお、
図9は、
図8のDD線概略断面図であるが、
図8のEE線断面も同様な構造である。
【0026】
シリコン酸化膜122は、隙間124が存在するので、アニール等の熱処理で、シリコン基板100にストレスを与えることなく、矢印230の方向に収縮する。従って、
図8に示すように、素子分離用トレンチ36が密集している素子分離用トレンチ構造50であっても、アニール等の熱処理時にシリコン酸化膜122が収縮することで起こるストレスは最小限に抑えられ、クラックの発生を防止することが出来る。なお、隙間124は、配線工程までに、換言すれば応力を緩和した後に、例えばゲートポリコン形成時ではポリシリコンにより埋め込まれる、もしくは隙間124の開口部が塞がれるため、隙間124に基づく段差による配線形成時の影響は無い。すなわち、素子分離用トレンチ36は、シリコン酸化膜とポリシリコンという異なる材料によって埋め込まれる。
【0027】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明する。
図9を参照すれば、まず、シリコン基板100の一主面101に素子分離用トレンチ36を形成する。その後、シリコン基板100の一主面101および素子分離用トレンチ36の側面および底面に熱酸化等によりシリコン酸化膜110を形成する。その後、全面にCVD法等でシリコン酸化膜120を形成する。その後、平坦化処理を行いシリコン基板100の一主面101上のシリコン酸化膜120を除去し、シリコン酸化膜110で覆われた素子分離用トレンチ36内にシリコン酸化膜120を埋め込んだ構造とする。この際、素子分離用トレンチ36は第1の実施の形態の素子分離用トレンチ36よりも幅広であり、素子分離用トレンチ36内のシリコン酸化膜122に隙間124が形成される。その後、素子形成領域38にバイポーラトランジスタやMOSトレンジスタ等を形成する。MOSトレンジスタを形成する場合を例にとると、ゲートポリコン形成時に、隙間124はポリシリコンにより埋め込まれる、もしくは隙間124の開口部がポリシリコンにより塞がれる。
【0028】
上記の第1および第2の実施の形態において、素子形成領域38、39には、バイポーラトランジスタやMOSトランジスタが形成される。素子形成領域38を例にとって説明するが、素子形成領域39についても同様である。
【0029】
図10を参照すると、N
−基板130上にP
――層131が形成されている。P
――層131の表面からN
−基板130の途中に達して素子分離用トレンチ363が形成されている。素子分離用トレンチ363の下部のN
−基板130にはチャンネルストッパ158が形成されている。素子分離用トレンチ363、363および素子分離用トレンチ361、362(
図2、
図8参照)に囲まれた領域が素子形成領域38となる。P
――層131の表面にN
−層132が形成されている。P
――層131には、N
−層132と離間してP
−層133が形成されている。P
――層131の表面にLocos酸化膜137が形成されている。Locos酸化膜137には、開口141、142、144が形成されている。開口141に露出するN
−層132上にはP
+層134が形成されている。開口142に露出するN
−層132上にはN
+層135が形成されている。開口144に露出するP
−層133上にはP
+層136が形成されている。P
+層134はエミッタとして機能する。N
−層132およびN
+層135はベースとして機能する。P
−層133上およびP
+層136はコレクタとして機能する。Locos酸化膜137、P
+層134、N
+層135およびP
+層136上には層間絶縁膜150が形成されている。層間絶縁膜150に設けられた貫通孔には、P
+層134、N
+層135およびP
+層136にそれぞれ接続されたコンタクト151、152、153が形成されている。層間絶縁膜150上には、コンタクト151、152、153にそれぞれ接続されたメタル配線154、155、156が形成されている。
【0030】
図11を参照すると、P
−基板160上にN
―層161が形成されている。N
―層161の表面からP
−基板160の途中に達して素子分離用トレンチ363が形成されている。素子分離用トレンチ363の下部のN
−基板130にはチャンネルストッパ159が形成されている。素子分離用トレンチ363、363および素子分離用トレンチ361、362(
図2、
図8参照)に囲まれた領域が素子形成領域38となる。N
―層161の表面にP
−層162、163が互いに離間して形成されている。P
―層162にはP層163が形成されている。P
―層164にはP層165が形成されている。N
―層161の表面にLocos酸化膜168形成されている。Locos酸化膜168には、開口171、172、173が形成されている。開口171に露出するN
−層161上にはゲート酸化膜167が形成されている。開口172に露出するP層163上にはP
+層174が形成されている。開口173に露出するP層165上にはP
+層175が形成されている。P
―層162、P層163およびP
+層174はソースとして機能する。P
―層164、P層165およびP
+層175はドレインとして機能する。ゲート酸化膜167上にはゲート電極用ポリシリコン層176が形成され、ポリシリコン層176上には、WSi177が形成され、ポリシリコン層176およびWSi177の側面にはサイドウォール178が形成されている。
【0031】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0032】
1 半導体装置
10 半導体チップ
20 I/O素子用の素子分離用トレンチ構造
22 素子分離用トレンチ
26 I/O素子用の素子形成領域
30、32、34、50 素子分離用トレンチ構造
38、40 素子形成領域
36、361、362、363、365、366、367 素子分離用トレンチ
100 シリコン基板
101 一主面
110、120、122 シリコン酸化膜
124 隙間
210、211、212、213、215、216 ストレス