(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のスポンジケーキ用懸濁液について詳述する。
本発明のスポンジケーキ用懸濁液(以下、単に懸濁液ということもある)は、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料(以下単に乳原料という)を含有する。乳原料の乳固形分中のリン脂質の含有量は、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%である。スポンジケーキ用懸濁液において上記の乳原料を用いないと、本発明の効果が得られない。
【0013】
本発明のスポンジケーキ用懸濁液には、上記の乳原料を好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは1〜40質量%、最も好ましくは2〜30質量%となるように含有させる。
【0014】
また、上記の乳原料は、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳などの乳から製造されたものであるのが好ましく、特に牛乳から製造されたものであるのが好ましい。
上記の乳原料としては、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料であればどのようなものでも構わないが、具体的な例としてクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられる。
【0015】
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
【0016】
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
【0017】
本発明では、上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能である。溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないことが好ましい。
【0018】
また、本発明で用いる上記の乳原料は、均質化処理を行っても良い。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
【0019】
さらに本発明で用いる上記の乳原料は、UHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、処理温度は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
【0020】
また、本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、乳原料をそのままリゾ化したものであっても良く、また乳原料を濃縮した後にリゾ化したものであっても良い。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理などを施しても良い。これらのリゾ化物は本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
【0021】
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すれば良い。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
【0022】
本発明で用いる上記の乳原料における乳固形分中のリン脂質の定量方法は、例えば以下のような方法にて測定することができる。但し、抽出方法などについては、乳原料の形態などによって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
【0023】
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料−乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
【0024】
また、本発明で用いる上記の乳原料は、必要により水や乳糖など資化性糖を添加し、乳酸菌を接種して乳酸発酵物としても良い。この場合、乳酸菌を接種し乳酸発酵物とした乳原料を殺菌後、スポンジケーキ用懸濁液の原料として使用しても良く、殺菌をせずにスポンジケーキ用懸濁液の原料として使用しても良い。
【0025】
このようにして得られる本発明で用いる上記の乳原料や乳原料加工品は、液状、ペースト状、粉末状、固形状などの状態のものとすることができ、本発明のスポンジケーキ用懸濁液ではいずれの状態のものでも使用できるが、上記乳原料や乳原料加工品は、液状又はペースト状のものを使用することが、本発明の効果が安定して得られる点で好ましい。上記乳原料や乳原料加工品として粉末状又は固形状のものを使用すると、最終的に得られるスポンジケーキのボリュームが十分に出ない場合があるほか、風味が劣ったものとなる場合があるため好ましくない。
【0026】
本発明のスポンジケーキ用懸濁液は、さらに上記乳原料由来のリン脂質含量が懸濁液基準で0.01〜2質量%であることが好ましく、0.03〜0.9質量%がより好ましく、0.06〜0.6質量%が最も好ましい。上記乳原料由来のリン脂質含量が懸濁液基準で0.01質量%よりも少ないとスポンジケーキを製造する際の添加量が多くなり、配合が大きく制限されてしまうため好ましくない。また、上記乳原料由来のリン脂質含量が懸濁液基準で2質量%よりも多いと懸濁液中での分散性が悪く、最終的に得られるスポンジケーキのボリュームが小さくなってしまう場合があるため好ましくない。
【0027】
本発明のスポンジケーキ用懸濁液は、乳清ミネラルを含有することが好ましい。乳清ミネラルを含有する本発明のスポンジケーキ用懸濁液をスポンジケーキ生地に用いることで、より風味良好なスポンジケーキを得ることができる。
上記の乳清ミネラルとは、ホエイから乳糖とホエイ蛋白質を除去したもので、乳固形分中の灰分の含有量が大凡10〜90質量%であり、多量の灰分を含有するものである。本発明のスポンジケーキ用懸濁液には、この乳清ミネラルを固形分として好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜4質量%、最も好ましくは0.5〜2.5質量%含有させるのが望ましい。
【0028】
また、本発明のスポンジケーキ用懸濁液には、糖アルコールを懸濁液基準で固形分として0.5〜15質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜13質量%、最も好ましくは3.5〜12質量%である。
糖アルコールは、アルドースやケトースの構造中に含まれるカルボニル基が還元されて生成する糖の一種であり、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、還元液糖、還元水飴、還元澱粉糖化物、還元ポリデキストロース、還元乳糖等が挙げられる。本発明において、上記範囲で糖アルコールを含有することで、上記乳原料の分散状態をより安定させ、均一に保つことができる。
【0029】
なお、本発明のスポンジケーキ用懸濁液の水の含有量は、好ましくは30〜99質量%、さらに好ましくは35〜97質量%、最も好ましくは40〜95質量%である。本発明のスポンジケーキ用懸濁液中の水の含有量が30質量%より少ないと、複合体中の水相中のゲル化剤濃度が高くなり、複合体が起泡した卵類含有生地へ均一に分散しにくい。また、水の含有量が99質量%よりも多いと、スポンジケーキの内相が悪くなりやすい。なお、ここでいう水とは、水道水や天然水等の水の他、上記乳原料、乳清ミネラル、糖アルコールに含まれる水分をはじめ、下記のその他の原材料に含まれる水分も含めたものである。
【0030】
本発明のスポンジケーキ用懸濁液には、必要により以下のその他の原料を含有することができる。
上記のその他の原料としては、油脂、糖アルコール以外の糖類・甘味料、上記の乳原料以外の乳蛋白質、酵素、セルロースやセルロース誘導体、金属イオン封鎖剤、澱粉類、穀類、無機塩、有機酸塩、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、直鎖デキストリン・分枝デキストン・環状デキストンなどのデキストリン類、乳や乳製品、卵製品、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、臭素酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ヨウ素酸カリウムなどの酸化剤、システイン、グルタチオンなどの還元剤、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジン、エタノールなどの保存料、着香料、苦味料、調味料などの呈味成分、着色料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤などがあげられる。
【0031】
本発明のスポンジケーキ用懸濁液に油脂を添加する場合、油脂の添加量は、好ましくは0質量%以上3質量%未満、さらに好ましくは0質量%以上1.5質量%以下、最も好ましくは0質量%以上0.5質量%以下である。本発明のスポンジケーキ用懸濁液において、油脂の添加量が3質量%以上であると、乳原料中のリン脂質が油脂に配向しやすくなるため、スポンジケーキ改良効果が得られにくくなる。
上記の添加油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油などの各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一または二以上の処理を施した加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)などがあげられ、これらの油脂の中から選ばれた1種または2種以上の油脂を用いることができる。
【0032】
上記糖アルコール以外の糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、トレハロース、キシロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、デキストリンなどがあげられる。また、上記甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテームなどがあげられる。
【0033】
上記の乳原料以外の乳蛋白質としては、特に制限されるものではなく、例えば、ホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。特にホエイ蛋白質を用いるのが好ましい。
【0034】
上記カゼイン蛋白質としては、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材であるアルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼインなどがあげられる。
上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアルブミン、βラクトグロブリン、血清アルブミン、免疫グロブリン、プロテオースペプトンの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材として、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/またはWPI)などがあげられる。
上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材として、例えば、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、発酵乳などをあげることができる。
【0035】
上記の乳原料以外の乳蛋白質の添加量は、好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.3〜3質量%とすると良い。
【0036】
次に、本発明のスポンジケーキ用懸濁液の製造方法について説明する。
本発明のスポンジケーキ用懸濁液は、上記の乳原料と、必要により、乳清ミネラル、糖アルコール、水、等のその他の原料を混合することで得ることができる。スポンジケーキ用懸濁液に乳清ミネラルを含有させる場合、スポンジケーキ用懸濁液における乳清ミネラルの含有量が、固形分として好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜4質量%、最も好ましくは0.5〜2.5質量%となるように含有させる。また、スポンジケーキ用懸濁液に糖アルコールを含有させる場合、スポンジケーキ用懸濁液における糖アルコールの含有量が、固形分として好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは2〜13質量%、最も好ましくは3.5〜12質量%となるように含有させる。本発明のスポンジケーキ用懸濁液の製造方法においては、上記の乳原料と、必要により上記その他の原料を混合するだけでも構わないが、以下のような工程を行うことが望ましい。
【0037】
本発明で用いる上記の乳原料とその他の原料を混合した後、加温するのが好ましい。加温温度は好ましくは40〜60℃である。
【0038】
上記加温後、均質化機にて均質化するのが好ましい。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行なっても良い。
【0039】
さらに必要に応じてUHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、処理温度は好ましくは120〜160℃、さらに好ましくは130〜150℃、最も好ましくは139〜146℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒、さらに好ましくは2〜6秒、最も好ましくは4〜6秒である。
【0040】
上記の均質化処理とUHT加熱処理は、乳原料とその他の原料を混合後、均質化処理のみを行っても良く、UHT加熱処理のみを行って良く、UHT加熱処理の前及び/または後に均質化処理を行っても良い。
そして急速冷却、徐冷却などの冷却操作を行っても良い。
【0041】
また、本発明のスポンジケーキ用懸濁液は、ペースト状、液状などの状態のものであるのが好ましい。
【0042】
次に、本発明のスポンジケーキ用懸濁液を含有するスポンジケーキ生地について説明する。
本発明のスポンジケーキ生地としては、上記本発明のスポンジケーキ用懸濁液を含有し、主要原料として穀粉類、卵成分、糖類を使用し、必要に応じ油脂類、水、乳化剤等の副原料を使用して、共立て法、卵白別立て法、後粉法、オールインミックス法などの製造で得られた各種のスポンジケーキ生地を挙げることができる。
【0043】
本発明のスポンジケーキ生地は、上記スポンジケーキ用懸濁液を、スポンジケーキ生地で用いる穀粉類100質量部に対して、好ましくは5〜60質量部、より好ましくは15〜50質量部、最も好ましくは20〜40質量部含有する。
ここで、スポンジケーキ用懸濁液の含有量が、スポンジケーキ生地で用いる穀粉類100質量部に対して60質量部よりも多いとスポンジケーキ生地としての配合のバランスが悪くなる場合があり、その結果歯切れや口どけが損なわれる場合があるため好ましくない。また、スポンジケーキ用懸濁液の含有量が、スポンジケーキ生地で用いる穀粉類100質量部に対して5質量部よりも少ないと、本発明の効果が不十分となり、特にボリュームが小さいものとなりやすいため好ましくない。
【0044】
また、本発明のスポンジケーキ生地における、上記スポンジケーキ用懸濁液に由来するリン脂質の含有量は、スポンジケーキ生地で用いる穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.005〜1質量部、より好ましくは0.01〜0.5質量部、最も好ましくは0.03〜0.3質量部である。
【0045】
上記穀粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
本発明のスポンジケーキ生地では、穀粉類中、好ましくは小麦粉類を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは100質量%使用する。
【0046】
上記卵成分としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白等が挙げられ、もちろんこれらの乾燥品、冷凍品、酵素処理品等を用いることもできる。本発明のスポンジケーキ生地における好ましい卵成分含有量は、上記スポンジケーキ生地に使用する穀粉類100質量部に対し、好ましくは50〜300質量部であり、より好ましくは100〜250質量部である。
【0047】
上記糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、デキストリン等を用いることができる。
【0048】
上記油脂類としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を使用することができる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0049】
本発明のスポンジケーキ生地における好ましい油脂類の含有量(油分含量)は、本発明の上記スポンジケーキ用懸濁液やその他の原材料に含まれる油分含量もあわせ、上記スポンジケーキ生地に使用する穀粉類100質量部に対し、油分含量が好ましくは3〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部となる量である。
【0050】
なお、本発明においては、上記スポンジケーキ生地が油分を含有する場合に、油分中のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基のうち、[炭素数10以下の脂肪酸残基]/[炭素数11以上の脂肪酸残基]の質量比が0.001〜0.1であることが好ましく、0.005〜0.05であることがより好ましい。
[炭素数10以下の脂肪酸残基]/[炭素数11以上の脂肪酸残基]の質量比が0.001〜0.1であることで、起泡した卵類含有生地の消泡がより起こりにくくなるほか、最終的に得られるスポンジケーキはボリュームが大きいものとなる。
本発明では、炭素数が11以上の中・長鎖の脂肪酸残基を中心とした油分中に、炭素数が10以下の短鎖の脂肪酸残基が一定量含まれると、最終的に得られるスポンジケーキはよりボリュームが大きいものとなる。
【0051】
本発明のスポンジケーキ生地においては、乳化剤及び/又はゲル化剤を実質的に含有しないことが好ましい。乳化剤やゲル化剤はスポンジケーキを大量生産する際に、品質を安定させボリュームのあるスポンジケーキを得るために使用されることが多いものであるが、風味が悪くなる場合があるほか、最近ではより添加物の使用を抑えたスポンジケーキが求められている。
本発明においては、上記スポンジケーキ用懸濁液を含有させることで、乳化剤やゲル化剤を使用することなくボリュームのあるスポンジケーキが得られることから、乳化剤やゲル化剤は実質的に含有しないことが好ましい。
なお、実質的に含有しないとは、スポンジケーキ生地へ意図的に乳化剤及びゲル化剤を添加しないことをいい、不可避的にわずかに含まれてしまうものまでは問題としないこととする。具体的には、スポンジケーキ生地を基準として乳化剤、ゲル化剤がそれぞれ0.1質量%以下とする。
【0052】
上記乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン等が挙げられる。
【0053】
上記ゲル化剤としては、アルギン酸、アルギン酸塩(アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、ゼラチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天等が挙げられる。
【0054】
本発明のスポンジケーキ生地では、本発明のスポンジケーキ用懸濁液、穀粉類、卵成分、糖類、乳化剤、ゲル化剤以外に、その他の原料として一般のスポンジケーキに使用される原料を使用することができる。
【0055】
前記その他の原料としては、甘味料、牛乳、食塩、調味料、香辛料、着香料、着色料、ココア、チョコレート、ナッツ類、ヨーグルト、チーズ、抹茶、紅茶、コーヒー、豆腐、黄な粉、豆類、野菜類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、果物、ハーブ、肉類、魚介類、保存料、日持ち向上剤等が挙げられる。
【0056】
なお本発明のスポンジケーキ生地の好ましい比重は0.15〜0.80、より好ましくは0.25〜0.50である。
【0057】
次に、本発明のスポンジケーキ生地の好ましい製造方法について説明する。
本発明のスポンジケーキ生地は、本発明のスポンジケーキ用懸濁液をスポンジケーキ生地の製造時に均質に練り込むことにより、製造することができる。スポンジケーキ生地に対する本発明のスポンジケーキ用懸濁液の使用量は、スポンジケーキ生地に用いる穀粉類100質量部に対して、好ましくは5〜60質量部、より好ましくは15〜50質量部、最も好ましくは20〜40質量部である。なお、本発明のスポンジケーキ用懸濁液の添加時期は起泡前であっても起泡後であってもよいが、好ましくは起泡後に添加する。
ここで、スポンジケーキ生地が油脂類を含有する場合には、油脂類とスポンジケーキ用懸濁液を混合した後、起泡した生地に添加することが好ましい。その場合、スポンジケーキ生地に用いる穀粉類100質量部に対して、油分含量が好ましくは3〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部となるように、油脂類をスポンジケーキ生地に含有させる。
【0058】
なお、上記スポンジケーキ用懸濁液を添加する以外は、一般的なスポンジケーキ生地の製造方法と同様にして製造することができる。
【0059】
スポンジケーキ生地の製造方法としては、卵白別立て法(卵白と砂糖でメレンゲを作成し、卵黄及び/又は全卵と混合する方法)と共立て法(卵白と卵黄を分離せずに起泡する方法)のどちらでもよいが共立て法が好ましい。また、後粉法(起泡した生地に穀粉類を混合する方法)とオールインミックス法(起泡時に穀粉類を添加する方法)のどちらでもよいが後粉法が好ましい。
【0060】
以下に、具体的に好ましい製造方法を記載する。まず卵成分、糖類、その他の原料を混合し、卵類含有生地を調製したのち、起泡させる。
この起泡は卵成分の起泡力によるものであるが、製菓用起泡剤や起泡性乳化脂などを併用してもよいが、本発明の主旨上、使用しないことが好ましい。また、スポンジケーキ生地中に食用油脂を含有させる場合であっても、なるべくこの段階では含有させないことが好ましい。
続いて、穀粉類を添加し、気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合する。
続いて、本発明のスポンジケーキ用懸濁液を添加する。ここでスポンジケーキ生地中に油脂類を含有させる場合は、スポンジケーキ用懸濁液と混合した後、添加する方法が好ましい。
【0061】
油脂類と上記スポンジケーキ用懸濁液の混合方法は特に限定されず、両者を一度に混合してもいいが、懸濁液に油脂類を数回に分けて添加・混合する方法であることが、上記油脂類と上記懸濁液の混合物の安定性が良好である点、及び、油脂類による消泡抑制効果が高い点で好ましい。
【0062】
そして、気泡を損壊しないようにさっくりと均質に混合し、スポンジケーキ生地の比重を好ましくは0.15〜0.80、より好ましくは0.25〜0.50とし、本発明のスポンジケーキ生地を得る。
【0063】
次に、本発明のスポンジケーキについて説明する。
本発明のスポンジケーキは、上記スポンジケーキ生地を加熱処理して得られるものである。該加熱処理としては焼成、フライ、蒸すなどが挙げられ、その温度条件についてはスポンジケーキの一般的な加熱条件と同様の条件で行なうことができる。
【実施例】
【0064】
次に、実施例及び比較例をあげ、本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0065】
スポンジケーキ用懸濁液の製造
[製造例1]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)15質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)4質量部、糖アルコール(還元澱粉糖化物、固形分72質量%)5質量部、ホエイパウダー(蛋白質含有量13質量%)5質量部を、水71質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Aを得た。
【0066】
[製造例2]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)10質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)4質量部、糖アルコール(還元澱粉糖化物、固形分72質量%)10質量部、ホエイパウダー(蛋白質含有量13質量%)5質量部を、水71質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Bを得た。
【0067】
[製造例3]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)5質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)4質量部、糖アルコール(還元澱粉糖化物、固形分72質量%)10質量部、ホエイパウダー(蛋白質含有量13質量%)5質量部を、水71質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Cを得た。
【0068】
[製造例4]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)1質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)4質量部、糖アルコール(還元澱粉糖化物、固形分72質量%)10質量部、ホエイパウダー(蛋白質含有量13質量%)5質量部を、水80質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Dを得た。
【0069】
[製造例5]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)2質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)1質量部、糖アルコール(還元澱粉糖化物、固形分72質量%)10質量部、ホエイパウダー(蛋白質含有量13質量%)5質量部を、水82質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Eを得た。
【0070】
[製造例6]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮乾燥物(リン脂質含有量8.3質量%、蛋白質含有量33質量%、乳固形分96質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量8.6質量%)5質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)4質量部、糖アルコール(還元澱粉糖化物、固形分72質量%)10質量部、ホエイパウダー(蛋白質含有量13質量%)5質量部を、水76質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Fを得た。
【0071】
[製造例7]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)5質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)4質量部、水飴(固形分70質量%)10質量部、ホエイパウダー(蛋白質含有量13質量%)5質量部を、水76質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Gを得た。
【0072】
[製造例8]
アルギン酸ナトリウム1.4質量部、乳清ミネラル(固形分37質量%)4質量部、糖アルコール(還元澱粉糖化物、固形分72質量%)14.6質量部を、水80質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Hを得た。
【0073】
[製造例9]
グリセリンステアリン酸エステル15質量部、テトラグリセリンモノステアレート10質量部、蔗糖脂肪酸エステル(HLB11)4質量部、糖アルコール(ソルビトール、固形分70%)11質量部を水60質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Iを得た。
【0074】
[製造例10]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)45質量部を、水55質量部に加え、混合し、55〜60℃に加温した。さらにこれをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、スポンジケーキ用懸濁液Jを得た。
【0075】
スポンジケーキ生地及びスポンジケーキの製造
上記スポンジケーキ用懸濁液A〜Jを用い、下に記したスポンジケーキの配合・製法により実施例1〜10、比較例1〜3のスポンジケーキ生地、及び、スポンジケーキを製造した。
【0076】
[実施例1〜8、比較例1〜2]
全卵(正味)130質量部、上白糖120質量部をミキサーボウルに投入し、これをたて型ミキサーにセットし、ワイヤーホイッパーを使用して、低速10秒混合後、高速3分ホイップし、比重が0.50の起泡した卵類含有生地を得た。
一方、40℃に加温して混合したバターオイル4質量部と菜種油12質量部、さらに上記スポンジケーキ用懸濁液(A〜Iのいずれか)30質量部をミキサーボウルに投入し、
これをたて型ミキサーにセットし、ワイヤーホイッパーを使用して、低速30秒混合し、スポンジケーキ用懸濁液と食用油脂の混合物を得た。
ここで、上記起泡した卵類含有生地250質量部に対し、小麦粉100質量部を添加し、低速30秒混合した後、上記混合物を30質量部添加し、さらに低速30秒混合、中速10秒混合し、スポンジケーキ生地を得た。
7号のスポンジケーキ型に底紙と側紙をあて、ここに得られたスポンジケーキ生地450gを流しいれ、固定オーブンを使用し、180℃で30分焼成し、スポンジケーキを得た。
得られたスポンジケーキ生地に含まれる油分中のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基のうち、[炭素数10以下の脂肪酸残基]/[炭素数11以上の脂肪酸残基]の質量比は0.015であった。
【0077】
[実施例9]
「バターオイル4質量部と菜種油12質量部」にかえて菜種油16質量部、スポンジケーキ用懸濁液としてスポンジケーキ用懸濁液Bを使用した以外は[実施例1〜8、比較例1〜2]と同様にしてスポンジケーキ生地及びスポンジケーキを得た。
得られたスポンジケーキ生地に含まれる油分中のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基のうち、[炭素数10以下の脂肪酸残基]/[炭素数11以上の脂肪酸残基]の質量比は0であった。
【0078】
[実施例10]
「バターオイル4質量部と菜種油12質量部」にかえてバターオイル12質量部と菜種油4質量部、スポンジケーキ用懸濁液としてスポンジケーキ用懸濁液Bを使用した以外は[実施例1〜8、比較例1〜2]と同様にしてスポンジケーキ生地及びスポンジケーキを得た。
得られたスポンジケーキ生地に含まれる油分中のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基のうち、[炭素数10以下の脂肪酸残基]/[炭素数11以上の脂肪酸残基]の質量比は0.045であった。
【0079】
[比較例3]
スポンジケーキ用懸濁液30質量部に代えて水30質量部を使用した以外は[実施例1〜8、比較例1〜2]と同様にしてスポンジケーキ生地及びスポンジケーキを得た。
得られたスポンジケーキ生地に含まれる油分中のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基のうち、[炭素数10以下の脂肪酸残基]/[炭素数11以上の脂肪酸残基]の質量比は0.015であった。
【0080】
スポンジケーキの評価
得られたスポンジケーキを常温で1日保存した後、ボリュームについて評価し、結果を表1に記載した。
<ボリューム評価基準> 単位=ml
◎:1800ml以上
○:1600ml以上1800ml未満
△:1400ml以上1600ml未満
×:1200ml以上1400ml未満
××:1200ml未満
【0081】
また、得られたスポンジケーキの歯切れ、口どけ、風味を10人のパネラーにより下記評価基準に従って評価させ、その合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして[表1]に示した。
32〜40点:◎、、23〜31点:○、14〜22点:△、13点以下:×
【0082】
<歯切れ、口どけ、風味の評価基準>
・歯切れ
4点…非常に歯切れがよい。
3点…歯切れがよい。
2点…ややねちゃつきがあり、あまり歯切れがよくない。
1点…ねちゃつきがあり、歯切れが悪い。
・口どけ
4点…非常に口どけがよい。
3点…口どけがよい。
2点…口どけがやや悪い。
1点…口どけが悪い。
・風味
4点…非常に風味がよい。
3点…風味がよい。
2点…風味がやや悪い。
1点…風味が悪い。
【0083】
【表1】