(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切れ込み部を形成する工程では、前記開口部内に薬液を供給し、前記薬液により前記開口部内に露出する前記レジスト層の前記金属層側の端部を溶解して前記切れ込み部を形成する請求項5又は6記載の半導体装置の製造方法。
前記切れ込み部を形成する工程では、前記開口部内に水を供給し、前記水により前記開口部内に露出する前記レジスト層の前記金属層側の端部を膨潤剥離させて前記切れ込み部を形成する請求項5又は6記載の半導体装置の製造方法。
前記切れ込み部を形成する工程では、前記開口部内に薬液を供給し、前記薬液により前記開口部内に露出する前記レジスト層の前記金属層側の端部を溶解して前記切れ込み部を形成する請求項9又は10記載の配線基板の製造方法。
前記切れ込み部を形成する工程では、前記開口部内に水を供給し、前記水により前記開口部内に露出する前記レジスト層の前記金属層側の端部を膨潤剥離させて前記切れ込み部を形成する請求項9又は10記載の配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0015】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体装置の構造]
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図1を参照するに、半導体装置1は、半導体基板10と、電極パッド20と、突起電極30とを有する。
【0016】
半導体基板10は、例えば、薄板化された略円形状の半導体基板(ウェハ)が切断され個片化されたものである。半導体基板10の材料の一例としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウムヒ素(GaAs)等を挙げることができるが、以下の説明はシリコン(Si)を例に行う。半導体基板10の厚さは、例えば50〜800μm程度とすることができる。
【0017】
半導体基板10の電極パッド20側には半導体集積回路(図示せず)が形成されている。半導体集積回路(図示せず)は、半導体基板10に形成された拡散層(図示せず)、絶縁層(図示せず)、ビア(図示せず)、配線(図示せず)等から構成されている。なお、半導体基板10において、電極パッド20が形成されている側の面を、主面と称する場合がある。
【0018】
電極パッド20は、半導体基板10の主面上に設けられている。電極パッド20は、半導体集積回路(図示せず)に設けられた配線(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド20の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)等を用いることができる。
【0019】
電極パッド20の材料として、銅(Cu)層の上にアルミニウム(Al)層を形成したもの、銅(Cu)層の上にシリコン(Si)層を形成し、その上に更にアルミニウム(Al)層を形成したもの等を用いても構わない。電極パッド20の厚さは、例えば、10μm程度とすることができる。
【0020】
なお、半導体基板10の主面に、電極パッド20を露出するように、保護膜を設けても構わない。保護膜としては、例えば、SiN膜、PSG膜等を用いることができる。又、SiN膜やPSG膜等からなる層に、更にポリイミド等からなる層を積層しても構わない。
【0021】
突起電極30は、台座部31と、突起部32とを有し、電極パッド20と電気的に接続されている。台座部31は、電極パッド20上に設けられている。台座部31は、電極パッド20上の全面に設けてもよいし、電極パッド20の外周部を除く領域等に設けてもよい。台座部31は導電体であり、例えば、チタン(Ti)膜と銅(Cu)膜との積層構造とすることができる。この場合、チタン(Ti)膜の厚さは、例えば、0.1μm程度、銅(Cu)膜の厚さは、例えば、0.5μm程度とすることができる。台座部31は、クローム(Cr)膜と銅(Cu)膜との積層構造等としてもよい。台座部31は、例えば、円盤状に形成することができ、その場合の直径は、例えば、20〜50μm程度とすることができる。
【0022】
突起部32は、台座部31上に設けられている。突起部32は、台座部31よりも小幅の柱状部33と、柱状部33の台座部31側の端部から台座部31に向かって徐々に拡幅するテーパ部34と、を備えている。換言すれば、柱状部33の平面形状は台座部31の平面形状よりも小さく形成されており、テーパ部34は、平面視において、柱状部33の外縁から環状に外方に突出している。又、テーパ部34の側面は、傾斜面である。なお、柱状部33とテーパ部34とは一体に形成されているが、便宜上、境界部(説明のために設けた境界)を破線で示している。
【0023】
テーパ部34の側面の半導体基板20の主面に垂直な平面に対する傾斜角は、台座部31の側面の前記平面に対する傾斜角及び柱状部33の側面の前記平面に対する傾斜角よりも大きくされている。なお、台座部31の側面の前記平面に対する傾斜角及び柱状部33の側面の前記平面に対する傾斜角は、略0°である。つまり、台座部31の側面及び柱状部33の側面は、半導体基板20の主面に対して略垂直に形成されている。
【0024】
柱状部33は、例えば、円柱状に形成することができる。この場合、柱状部33の直径は、例えば、20〜50μm程度とすることができる。但し、柱状部33の直径は、台座部31の直径よりも、数μm程度小さくなる。テーパ部34の平面形状は、例えば、円形とすることができる。この場合、テーパ部34の最小直径(柱状部33と連続する部分の直径)は柱状部33の直径と同一である。テーパ部34の最大直径(台座部31と接する部分の直径)は、例えば、柱状部33の直径プラス4μm程度とすることができる。この場合、テーパ部34は、平面視において、柱状部33の外縁から円環状に外方に突出し、柱状部33の外縁から外方に突出する部分の幅が2μm程度となる。
【0025】
柱状部33及びテーパ部34は導電体であり、例えば、銅(Cu)等から構成することができる。柱状部33の高さは、テーパ部34の高さよりも高く形成されている。柱状部33の高さは、例えば、30μm程度とすることができる。テーパ部34の高さは、例えば、数μm程度とすることができる。なお、テーパ部34の傾斜面の断面形状は直線状であってもよいし、曲線状であってもよいし、直線と曲線とが混在していてもよい。又、柱状部33は、例えば、楕円柱状や角柱状としてもよいし、これに対応して、テーパ部34の平面形状は、例えば、楕円形や矩形としてもよい。
【0026】
このように、突起電極30は、銅(Cu)を主成分として構成することができる。したがって、突起電極30を銅ピラーと称しても構わない。なお、
図1では、突起電極30は図面を簡略化するために数量を減らして描かれているが、実際には、例えば、多数の突起電極30がペリフェラル状やエリアアレイ状に設けられている。突起電極30のピッチは、例えば30〜60μm程度とすることができる。
【0027】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図2及び
図3は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。
【0028】
まず、
図2(a)に示す工程では、略円形状の半導体基板10A(シリコンウェハ)を準備する。半導体基板10Aの直径は、例えば6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等とすることができる。又、半導体基板10Aの厚さは、例えば0.625mm(直径=6インチの場合)、0.725mm(直径=8インチの場合)、0.775mm(直径=12インチの場合)等とすることができる。
【0029】
次に、準備した半導体基板10Aの最終的に個片化されて半導体基板10となる複数の領域に、周知の手法により、各々半導体集積回路(図示せず)や電極パッド20等を形成する。電極パッド20の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)等を用いることができる。
【0030】
電極パッド20の材料として、銅(Cu)層の上にアルミニウム(Al)層を形成したもの、銅(Cu)層の上にシリコン(Si)層を形成し、その上に更にアルミニウム(Al)層を形成したもの等を用いても構わない。電極パッド20の厚さは、例えば、10μm程度とすることができる。
【0031】
次に、半導体基板10となる複数の領域の各主面上に、電極パッド20を被覆する金属層31Aを形成する。金属層31Aは、例えば、チタン(Ti)膜と銅(Cu)膜との積層構造とすることができる。この場合、電極パッド20上のチタン(Ti)膜の厚さは、例えば、0.1μm程度、電極パッド20上の銅(Cu)膜の厚さは、例えば、0.5μm程度とすることができる。金属層31Aは、例えば、スパッタ法等により形成できる。金属層31Aは、クローム(Cr)膜と銅(Cu)膜との積層構造等としてもよい。なお、金属層31Aは、最終的にエッチングされて台座部31となる部分である。
【0032】
なお、
図2(a)〜
図3(c)は、半導体基板10Aの最終的に個片化されて半導体基板10となる複数の領域(半導体装置1となる複数の領域)の内の1つのみを図示している。
【0033】
次に、
図2(b)に示す工程では、金属層31A上に液状又はペースト状のレジストを塗布して、又は、フィルム状のレジスト(ドライフィルムレジスト等)をラミネートしてレジスト層50を形成する。そして、塗布又はラミネートしたレジスト層50を露光及び現像することで突起電極30の形成位置に対応する部分に開口部55を形成する。
【0034】
開口部55は、例えば、ペリフェラル状やエリアアレイ状に形成できる。開口部55の平面形状は、例えば、円形とすることができる。開口部55の平面形状が円形である場合、その直径は、例えば、20〜50μm程度とすることができる。開口部55のピッチは、例えば30〜60μm程度とすることができる。
【0035】
次に、
図2(c)に示す工程では、各開口部55内に薬液を供給し、薬液により各開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部(各開口部55内に露出するレジスト層50の根元部分)を溶解して環状の切れ込み部55xを形成する。切れ込み部55xは、各開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部に、金属層31A側に向かって徐々に拡幅するテーパ状に形成される。
【0036】
つまり、切れ込み部55xの内側面は、傾斜面とされている。切れ込み部55xの最大直径(金属層31Aと接する部分の直径)は、例えば、開口部55の切れ込み部55xが形成されていない部分の直径プラス4μm程度とすることができる。切れ込み部55xの最高部の高さ(金属層31A表面からの高さ)は、例えば、数μm程度とすることができる。
【0037】
薬液としては、レジスト層50を溶解できればどのような溶液を用いても構わないが、例えば、弱酸性に調整された溶液を用いることができる。弱酸性に調整された溶液の一例としては、濃度が5%以下の硫酸水溶液等を挙げることができる。この溶液は、特にレジスト層50としてドライフィルムレジストを用いた場合に有効である。薬液の供給は、例えば、ノズルから滴下することにより行ってもよいし、スプレーから所定の圧力で吹き付けることにより行ってもよいし、その他の方法により行ってもよい。
【0038】
次に、
図3(a)に示す工程では、切れ込み部55xを含む各開口部55内に金属を充填し、各開口部55内に露出する金属層31A上に、柱状部33及びテーパ部34を含む突起部32を形成する。突起部32は、例えば、金属層31Aを給電層として利用する電解めっき法等により形成できる。柱状部33及びテーパ部34の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。この工程により、切れ込み部55xに形成されたテーパ部34と、テーパ部34上にテーパ部34と一体に形成された柱状部33とを含む突起部32が形成される。なお、突起部32の高さは、例えば、30μm程度とすることができる。
【0039】
次に、
図3(b)に示す工程では、
図3(a)に示すレジスト層50を除去する。そして、
図3(c)に示す工程では、突起部32をマスクとして
図3(b)に示す金属層31Aの不要部分をエッチングにより除去し、電極パッド20とテーパ部34との間に台座部31を形成する。この工程により、台座部31と突起部32(柱状部33及びテーパ部34)とを備えた突起電極30が形成される。
【0040】
図3(c)に示す工程において、テーパ部34の側面の半導体基板20の主面に垂直な平面に対する傾斜角は、台座部31の側面の前記平面に対する傾斜角及び柱状部33の側面の前記平面に対する傾斜角よりも大きく形成される。又、台座部31の側面及び柱状部33の側面は、半導体基板20の主面に対して略垂直に形成される。
【0041】
図3(c)に示す工程において、金属層31Aの不要部分をエッチングにより除去する際に、突起部32のテーパ部34が傘となるため、金属層31Aが過剰にエッチングされることはない。そのため、突起電極30の根元部分がくびれることを防止できる。より詳しくは、突起電極30において、台座部31の幅が柱状部33の幅よりも狭くなることを防止できる。
【0042】
図3(c)に示す工程の後、半導体基板10Aをダイシング等により個片化することにより、
図1に示す半導体装置1が複数個作製される。
【0043】
このように、第1の実施の形態では、金属層31A上に開口部55内を備えたレジスト層50を形成し、開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部を溶解して環状の切れ込み部55xを形成する。そして、切れ込み部55xを含む開口部55内に金属を充填し、柱状部33及びテーパ部34を含む突起部32を形成する。そして、レジスト層50を除去後、突起部32をマスクとして金属層31Aをエッチングし、電極パッド20とテーパ部34との間に台座部31を形成して、台座部31と突起部32とを備えた突起電極30を形成する。
【0044】
これにより、金属層31Aをエッチングする工程において、突起部32のテーパ部34が傘となり、金属層31Aが過剰にエッチングされないため、突起電極30の根元部分がくびれることを防止できる。より詳しくは、突起電極30において、台座部31の幅が柱状部33の幅よりも狭くなることを防止できる。
【0045】
突起電極の根元部分がくびれると、特に、突起電極の小径化、狭ピッチ化が進んだ際に、接続信頼性が低下する問題が生じる。例えば、半導体装置が高温下や低温下で繰り返し使用された場合の熱ストレスにより、突起電極の根元部分(くびれた部分)にクラックが入ったり断線したりする問題が生じる。
【0046】
第1の実施の形態に係る半導体装置1では、突起電極30の根元部分がくびれることを防止できるため、突起電極30の小径化、狭ピッチ化が進んだ場合でも、接続信頼性を確保できる。
【0047】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、第1の実施の形態とは異なる方法により切れ込み部55xを形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0048】
ドライフィルムレジストは、アクリル系共重合体とアクリレートモノマーとを主成分として含んでおり、水に対して微溶解である。そこで、
図2(b)に示す工程において、レジスト層50としてドライフィルムレジストを用いた場合には、
図2(c)に示す工程において、各開口部55内に水を供給してもよい。各開口部55内に水を供給することにより、各開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部を膨潤剥離で浮き上がらせて切れ込み部55xを形成できる。なお、水に対して微溶解であれば、ドライフィルムレジスト以外のレジストを用いても構わない。
【0049】
各開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部を膨潤剥離で浮き上がらせるためには、各開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部を、例えば、数時間程度水に浸漬させる必要がある。但し、所定の水圧で各開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部を叩くことにより、切れ込み部55xの形成時間を短縮することができる。
【0050】
このように、レジスト層50として水に対して微溶解のレジストを用い、各開口部55内に露出するレジスト層50の金属層31A側の端部を水に浸漬させ、各開口部55の下端側を膨潤剥離で浮き上がらせて切れ込み部55xを形成してもよい。この場合にも、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0051】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、本発明を配線基板に適用する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0052】
図4は、第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図2を参照するに、配線基板2は、絶縁性部材70と、電極パッド80と、突起電極30とを有する。
【0053】
絶縁性部材70は、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた部材である。絶縁性部材70の厚さは、例えば、数100μm程度とすることができる。電極パッド80は、絶縁性部材70の主面上に設けられている。電極パッド80は、絶縁性部材70の主面上に形成された配線パターン(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド80の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。電極パッド80の厚さは、例えば、10μm程度とすることができる。
【0054】
なお、絶縁性部材70の主面上に、電極パッド80を露出するソルダーレジスト層を設けてもよい。ソルダーレジスト層としては、例えば、感光性のエポキシ系絶縁性樹脂等を用いることができる。又、絶縁性部材70の主面とは反対側の面上にも配線パターンを設け、絶縁性部材70を貫通するスルーホールを介して、主面上に形成された配線パターンと電気的に接続してもよい。又、絶縁性部材70の主面上又はその反対側の面上の何れか一方又は双方に、多層化された配線パターンを形成してもよい。
【0055】
電極パッド80上には、第1の実施の形態と同様の突起電極30が形成されている。配線基板2において、突起電極30は、第1の実施の形態と同様の方法により形成できる。但し、
図2(a)に示す工程で形成する金属層31Aの材料として、銅(Cu)等を用いることができる。又、金属層31Aは、例えば、無電解めっき法等により形成できる。
【0056】
このように、配線基板2に突起電極30を形成した場合にも、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0057】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0058】
例えば、第2の実施の形態において、第1の実施の形態の変形例と同様の変形を加えてもよい。