(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
管状のグロメット本体と、該グロメット本体における直線部の両端に備えたコーナーカバー部に内在し、前記グロメット本体よりも形状保持性が高いインナー部材とで構成し、ワイヤハーネスを挿通するグロメットであって、
前記直線部は、断面円形に形成するとともに、長さ方向中央の円筒部と、該円筒部の両側に設けた蛇腹部とで構成され、
前記インナー部材は、
取り付ける貫通孔へ嵌め込む取付け部と、ワイヤハーネスを曲げ方向にガイドするガイド空間を有する中空のハーネスガイド部とで構成され、
前記取付け部と前記ハーネスガイド部とが別体構成されており、
前記ハーネスガイド部は、
前記ガイド空間に対して組付ける、2分割された一対の組付ガイド部で構成され、
一対の前記組付ガイド部のそれぞれには、前記取付け部に対して係止する係止部が備えられるとともに、前記取付け部に、組み付けられた前記組付ガイド部の前記係止部が係止する被係止部が備えられ、
前記コーナーカバー部において、内在する前記ハーネスガイド部の前記直線部側であるガイド先端部と対応する位置にストラップ装着部が設けられるとともに、該ストラップ装着部に装着し、内在する前記ハーネスガイド部の前記ガイド先端部に対して締め付けて固定するストラップが備えられた
グロメット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、所望の配索方向に沿ってワイヤハーネスを確実にガイドすることができるグロメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、管状のグロメット本体と、該グロメット本体における直線部の両端に備えたコーナーカバー部に内在し、前記グロメット本体よりも形状保持性が高いインナー部材とで構成し、ワイヤハーネスを挿通するグロメットであって、前記直線部
は、断面円形に形成するとともに、長さ方向中央の円筒部と、該円筒部の両側に設けた蛇腹部とで構成
され、
前記インナー部材は、取り付ける貫通孔へ嵌め込む取付け部と、ワイヤハーネスを曲げ方向にガイドするガイド空間を有する中空のハーネスガイド部とで構成され、前記取付け部と前記ハーネスガイド部とが別体構成されており、前記ハーネスガイド部は、前記ガイド空間に対して組付ける、2分割された一対の組付ガイド部で構成され、一対の前記組付ガイド部のそれぞれには、前記取付け部に対して係止する係止部が備えられるとともに、前記取付け部に、組み付けられた前記組付ガイド部の前記係止部が係止する被係止部が備えられ、前記コーナーカバー部において、内在する前記ハーネスガイド部の前記直線部側であるガイド先端部と対応する位置にストラップ装着部が設けられるとともに、該ストラップ装着部に装着し、内在する前記ハーネスガイド部の前記ガイド先端部に対して締め付けて固定するストラップが備えられたことを特徴とする。
【0011】
上記ストラップは、いわゆるストラップのみならず、タイラップや結束バンドなどの締め付けのための専用材、あるいは、針金や番線などの汎用材など形状や構造は問わず、所定の締め付け状態を維持できるものを含む概念である。
【0012】
この発明により、所望の配索経路に沿ってワイヤハーネスをグロメットで確実にガイドすることができる。
詳述すると、管状のグロメット本体における直線部の両端に備えたコーナーカバー部に内在し、前記グロメット本体よりも形状保持性が高いインナー部材によって、ワイヤハーネスを所望の配索方向に曲げるとともに、曲げ状態を確実に保持することができる。
【0013】
また、前記直線部によって、配索方向に向かって曲げられたワイヤハーネスを配索方向に沿ってガイドするが、直線部を断面剛性の高い断面円形に形成しているため、断面のいずれの方向に対しても直線部が意図せずに変形することなく、確実にワイヤハーネスをガイドすることができる。
【0014】
また、前記直線部を、長さ方向中央の円筒部と、該円筒部の両側に設けた蛇腹部とで構成しているため、つまり円筒部とインナー部材との間に変形性の高い蛇腹部を配置しているため、インナー部材によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスの曲げ形状に沿って蛇腹部が変形することで、ワイヤハーネスを屈曲させたり、余分な負荷をかけることなく、ワイヤハーネスを円筒部までガイドすることができる。
【0015】
さらに、蛇腹部によって、円筒状の円筒部までガイドされたワイヤハーネスが、仮に自重や振動などによって変形しても、蛇腹部を介して、形状保持性の高いインナー部材に支持された円筒部は、ワイヤハーネスの変形に追従することなく、確実に支持することができる。
【0016】
詳しくは、グロメットに挿通されるとともに、形状保持性の高いインナー部材によって配索方向に曲げられ、そして、直線部の内部に配置されたワイヤハーネスは、形状保持性の高いインナー部材によって配索方向に曲げられた両側が支持された単純梁構造となり、直線部の内部に配置された部分の中央が最も撓み変形しやすくなる。しかしながら、もっとも撓み変形やすい中央部分を、変形しにくい円筒部で支持しているため、自重や振動によって撓み変形することなく、確実にガイドでき、自重や振動に起因する撓み変形によってワイヤハーネスに引っ張り力が作用することを防止することができる。
【0017】
このように、インナー部材によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスを屈曲させたりすることなく蛇腹部によって円筒部までガイドするとともに、ワイヤハーネスの変形に追従することのない円筒部によってより確実に支持でき、ワイヤハーネスの電気接続性を維持することができる。
【0018】
また、前記ストラップ装着部に対して、内在する前記インナー部材を確実に固定し、上述したような直線部における効果を確実に実現することができる。
仮に、前記コーナーカバー部から前記インナー部材が外れると、貫通孔に装着されたインナー部材とコーナーカバー部との間でワイヤハーネスが露出したり、水分や粉塵が侵入したりして、確実に内部に挿通するワイヤハーネスを保護することができなくなる。逆に、インナー部材が前記コーナーカバー部より直線部側に進入する態様で外れた場合、直線部を構成する蛇腹部が十分に機能しなくなるおそれがある。
【0019】
これに対し、内在する前記インナー部材に対して締め付けて固定するストラップを該ストラップ装着部に装着することによって、前記コーナーカバー部に対して、内在する前記インナー部材を確実に固定できるため、防止性や防塵性を確保しながら、インナー部材によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスを屈曲させたりすることなく蛇腹部によって円筒部までガイドするとともに、ワイヤハーネスの変形に追従することのない円筒部によって確実に支持でき、ワイヤハーネスの電気接続性を維持することができる。
【0020】
また、所望の配索方向にワイヤハーネスを確実にガイドすることができるとともに、ワイヤハーネスに負荷をかけずにスムーズに挿通することができる。
詳述すると、上述した構成によれば、前記インナー部材を、隔壁に形成した貫通孔へ取り付ける取付け部と、ワイヤハーネスをガイドするハーネスガイド部とが別体構成であるため、ワイヤハーネスを挿通し、嵌め込み方向と異なる配索方向へ曲げてガイドする前記ハーネスガイド部と、隔壁の貫通孔に取り付けた取付け部とを合体させる、つまり一体化させることで、貫通孔を貫通し、所定の配索経路に沿って配索させるワイヤハーネスをスムーズに曲げて配索することができる。したがって、ハーネスガイド部と取付け部とが一体化されたインナー部材にワイヤハーネスを挿通する場合や、ハーネスガイド部と取付け部とが一体化され、貫通孔に装着されたインナー部材にワイヤハーネスを挿通する場合にくらべて、容易かつ、余分な負荷を作用させることなく、ワイヤハーネスを配索経路に沿うように曲げてガイドすることができる。
さらにまた、長尺状のワイヤハーネスを挿通させることなく、ワイヤハーネスに対して別体構成の組付ガイド部を組付けるだけで、前記ハーネスガイド部にワイヤハーネスを挿通することができる。
【0021】
また、組み付けてハーネスガイド部を構成する前記組付ガイド部の組み付け状態を、取付け部に取り付け、係止部と被係止部とを係止させることで確実に保持することができる。
【0022】
この発明の態様として、前記円筒部を、前記直線部の長さに対して半分程度の長さに形成することができる。
この発明により、インナー部材によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスを屈曲させたりすることなく蛇腹部によって円筒部までガイドするとともに、ワイヤハーネスの変形に追従することのない円筒部によって確実に支持でき、ワイヤハーネスの電気接続性を維持することができる。
【0023】
詳しくは、前記円筒部を、前記直線部の長さに対して半分程度の長さより長くすると、直線部の両側に配置した蛇腹部が短くなるため、ワイヤハーネスの形状に沿うための変形許容量が少なくなり、インナー部材によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスを直線部にガイドする際に、ワイヤハーネスに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスを屈曲させたりするおそれがある。逆に、前記円筒部を、前記直線部の長さに対して半分程度の長さより短くすると、直線部の両側に配置した蛇腹部が長くなるため、自重や振動によるワイヤハーネスの変形に沿って蛇腹部が変形し、つまり変形しにくい直線部全体がワイヤハーネスの変形に追従することとなり、ワイヤハーネスを確実に支持することができないおそれがある。
【0024】
これに対し、前記円筒部を、前記直線部の長さに対して半分程度の長さに形成することによって、インナー部材によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスを屈曲させたりすることなく蛇腹部によって円筒部までガイドするとともに、ワイヤハーネスの変形に追従することのない円筒部によって確実に支持して、ワイヤハーネスの電気接続性を確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明により、所望の配索方向に沿ってワイヤハーネスを確実にガイドすることができるグロメットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
【0028】
本実施形態のグロメット1は、
図1乃至
図8に示すように、ワイヤハーネスWHの挿通を許容する挿通孔1Hを有する管状のグロメット本体10と、該グロメット本体10の両端部に備えたインナー部材20とで構成している。
【0029】
なお、
図1は、グロメット本体10の一端側のインナー部材20を分離した状態のグロメット1の分解斜視図を示し、
図2(a)は両端部を隔壁100に取り付けた状態のグロメット1の正面図を示し、
図2(b)は同状態のグロメット1の平面図を示している。
【0030】
図3は使用状態におけるグロメット1の端部における幅方向Wの中間部分の拡大縦断面図を示し、
図4はインナー部材20を先端開口部30Haに向かって右斜め上方から視た斜視図を示し、
図5はインナー部材20をガイド部30と取付け部40とに分解してガイド部構成部品30Pにおける先端開口部30Haと反対側から向かって左斜め上方から視た分解斜視図を示している。
【0031】
図6(a)はインナー部材20を各構成部品ごとに分解して上方から視た分解斜視図を示し、
図6(b)はインナー部材20を分解して下方から視た分解斜視図を示している。また、
図7(a)はインナー部材20の平面図を示し、
図7(b)はX部を拡大して示すとともに、インナー部材20を先端開口部30Ha側から視た左側面図を示し、
図7(c)はインナー部材20の底面図を示している。
【0032】
さらに、
図8(a)は
図7(a)に示すA−A線断面図を示し、
図8(b),(c),(d)はそれぞれ
図7(a)に示すB1−B1線、B2−B2線、B3−B3線における各部の断面の断面図を示し、
図8(e)は
図7(b)におけるC−C線断面図を示している。
【0033】
以下の説明において記載する嵌め込み方向Zは
図3における下方向を示し、嵌め込み方向Zの反対側を
図3における上方向を示すものとする。さらに、嵌め込み方向Zに沿ってインナー部材20の中心を通過する軸を嵌め込み方向Zに沿った中心軸とする。
【0034】
グロメット本体10は、両端部の内部にワイヤハーネスWHを挿通するインナー部材20を内部に有するとともに、直線状且つ断面円形状の直線部11と、該直線部11の長手方向の両端部に配置したコーナーカバー12とで構成するとともに、例えば、ゴムや軟質樹脂などにより一体に構成している。また、直線部11は、円筒状の円筒部13と、円筒部13の両側に配置され、蛇腹状に形成した蛇腹部14とで構成している。
【0035】
なお、本実施形態では、例えば、
図2(a),(b)に示すように、グロメット本体10の両端部のコーナーカバー12に内在させたインナー部材20を、車両における固定パネルなどの固定隔壁101に形成した貫通孔110の縁部111や、例えば、ドアパネル(可動パネル)などの可動隔壁102に形成した貫通孔110の縁部111に嵌挿して取り付けるとともに、その間を連結するように配置されたグロメット本体10でグロメット1を配索し、内部に挿通したワイヤハーネスWHを保護している。
【0036】
グロメット本体10を構成する直線部11は、隔壁100(101,102)に沿って配置した状態において、管軸方向Xaに対して直交する直交断面を、円形状に形成し、直線部11の半分程度の長さに形成した円筒部13と、その両側に配置した蛇腹部14とで構成している。換言すると、蛇腹部14は、円筒部13とコーナーカバー12との間に配置されている。蛇腹部14と円筒部13とは同一材料で構成するとともに、略同径で形成しているものの、蛇腹構造によって、蛇腹部14は円筒部13より変形が高い。
【0037】
直線部11の両側に配置されたコーナーカバー12は、
図3に示すように、内在させるインナー部材20よりひとまわり大きな略相似形であり、インナー部材20を外装した状態でインナー部材20における後述する上面フランジ部43に対して嵌装可能な大径に形成した開口端大径部12aを有するとともに、開口端大径部12aの周方向全体から、貫通孔110の縁部111に弾性接触可能に突出したシールリップ部12bを備えている。
【0038】
また、コーナーカバー12において、内在するインナー部材20におけるガイド部30のガイド先端部33に対応する箇所には、後述するストラップ50を装着するストラップ装着溝15を形成している。
【0039】
なお、ストラップ装着溝15は、
図2(a)に示すように、コーナーカバー1の開口端大径部12aの管軸方向Xaの内側端部より管軸方向Xaの外側、つまり
図2(b)に示すように、開口端大径部12aの外周縁より平面視内側に配置されている。
【0040】
グロメット本体10のコーナーカバー12に内在させるインナー部材20は、車体パネルなどの隔壁100に形成した貫通孔110へ嵌め込んで該貫通孔110の縁部111に取り付ける取付け部40と、ワイヤハーネスWHを曲げた状態でガイドするガイド部30とを組付けて構成している。
【0041】
インナー部材20は、取付け部40とガイド部30とに亘ってワイヤハーネスWHを挿通するインナー挿通孔20Hを有する筒状に形成するとともに、グロメット本体10よりも高い形状保持性を有する、例えば、硬質樹脂により形成している。
【0042】
上述したように、ガイド部30とともにインナー部材20を構成する取付け部40は、例えば、
図3乃至
図5に示すように、隔壁100の貫通孔110にグロメット1を取り付けるための部材であり、長孔形状の貫通孔110に嵌め込み可能に、角円長方形状の筒状に形成した嵌挿部42と、該嵌挿部42の上面を構成するとともに、嵌挿部42の平面形状より大きな相似形状で、嵌挿部42の上端部から貫通孔110よりも径外方向に一回り大きな鍔状に形成した上面フランジ部43とで一体に構成し、内部に取付け部側挿通孔40Hを形成している。
【0043】
嵌挿部42は、外周面における長軸方向の両端部と短軸方向の両端部に相当する箇所に、隔壁100に形成した貫通孔110の縁部111に下方から係合可能に上方に向けて突出する隔壁係合突片44を備えている。
【0044】
上面フランジ部43は、平面視中央に、内部に形成された取付け部側挿通孔40Hと連通する隔壁取付け側連通口40Hbを有するとともに、隔壁取付け側連通口40Hbの幅方向Wの両側に、組み付け状態のガイド部30の部材間係合突爪31が挿入され、部材間係合突爪31とともに部材間係合手段21を構成する部材間係合凹部41を形成している。
【0045】
さらに、上面フランジ部43は、周方向における隔壁係合突片44に相当する箇所に、隔壁係合突片44の貫通孔110の縁部111に対する係合状態を解除可能に切欠いた切欠き部45を形成している。
【0046】
取付け部40と組み付けられてインナー部材20を構成するガイド部30は、
図3、及び
図5に示すように、取付け部40側に対して上方へ筒状に突出し、正面視略平行四辺形状のガイド本体部32と、該ガイド本体部32よりも先端側に略水平に突出するガイド先端部33とで一体に形成し、ガイド側挿通孔30Hは、ガイド本体部32とガイド先端部33との内部において互いに連通している。
【0047】
ガイド本体部32は、角円長方形状の直交断面で形成した基部側から嵌め込み方向Zの逆方向に向かって、長軸方向の一方側に徐々に傾くように偏心するとともに、長軸方向の長さが徐々に小さくなる錐台状かつ、正面視略平行四辺形状に形成している。
【0048】
ガイド先端部33は、ガイド本体部32の先端側上部から略水平状に突出する、鉛直方向断面が円形となる横向きの円筒状であり、先端側外周における、グロメット本体10のストラップ装着溝15に対応する位置に、ストラップ装着溝15に装着されたストラップ50によって締め付けられる締め付け溝36を形成している。
【0049】
なお、
図3に示すように、締め付け溝36は、ストラップ50の幅に比べてひと回り幅広に形成したストラップ装着溝15に比べて、同程度の溝深さであるものの、約1.5〜2.0倍程度の幅で形成している。
また、ストラップ装着溝15に対応する位置に形成された締め付け溝36は、
図7(a),(c)に示すように、取付け部40の上面フランジ部43の管軸方向Xaの内側に形成された切欠き部45の上方に配置されている。
【0050】
このように構成したガイド部30は、対称形状であるふたつのガイド部構成部品30Pを組付けて構成している。ガイド部構成部品30Pa,30Pbは、
図5に示すように、ガイド側挿通孔30Hの孔形成方向の両端部を該ガイド側挿通孔30Hの内周面に沿って結ぶ例えば、平面状の仮想の分割面Fで2分割するように形成するとともに、互いに組み付け可能に形成した一対の対称形状で形成している。
【0051】
より詳しくは、ガイド部構成部品30Pは、幅方向W(厚み方向)の中間部分に沿った仮想の分割面Fでインナー部材20の幅方向の中間部分に対して一方側のガイド部構成部品30Paと他方側のガイド部構成部品30Pbとの2等分割するように形成した2部材で構成している。
【0052】
これにより、組み付けてガイド部30を構成する一対構成のガイド部構成部品30Pのうち一方のガイド部構成部品30Paには、ガイド側挿通孔30Hの内周面の一方の片側半分の内周面が形成され、他方のガイド部構成部品30Pbには、ガイド側挿通孔30Hの内周面の他方の片側半分の内周面が形成される。
【0053】
さらに、
図6(a),(b)に示すように、インナー部材20における一対のガイド部構成部品30Pa,30Pb同士の組み付け箇所には、該一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbを互いに組み付けた状態に係合する構成部品間係合手段35を形成している。
【0054】
構成部品間係合手段35は、
図6(a),(b)、
図8(a),(b),(c)に示すように、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbが互いに対向する対向端部同士が突き合わさった組み付け状態でガイド部30の先端側を係合可能に形成している。
【0055】
さらに、構成部品間係合手段35は、ガイド部構成部品30Paにおけるガイド部構成部品30Pbとの対向部分において他方へ突出して形成した構成部品間係合突片35aと、ガイド部構成部品30Pbにおけるガイド部構成部品30Paとの対向部分において、構成部品間係合突片35aに対して係合可能に形成した構成部品間係合凹部35bとで構成している。
【0056】
そして、
図5に示すように、取付け部40と組み付けてインナー部材20を構成するガイド部30における取付け部40との係合箇所には、取付け部40に形成した部材間係合凹部41に対して係合する部材間係合突爪31を備えており、部材間係合突爪31と部材間係合凹部41とによって、一対構成されたガイド部構成部品30Pを互いに組み付けた状態で取付け部40に対して係合する部材間係合手段21を構成している。
【0057】
部材間係合手段21(31,41)は、
図5、
図6(a),(b)、
図8(c),(d)に示すように、ガイド部30と取付け部40との係合箇所、すなわち、ガイド部30の下端側に相当するガイド側連通口30Hbの周縁部と取付け部40の上端側に相当する隔壁取付け側連通口40Hbの周縁部との対向箇所において、ガイド側連通口30Hbの外周縁部から取付け部40へ突出して形成した部材間係合突爪31と、隔壁取付け側連通口40Hbの周縁部に部材間係合突爪31に対して係合可能に形成した部材間係合凹部41とで構成している。
【0058】
また、取付け部40とガイド部30における互いの組み付け箇所は、
図4に示すように、嵌め込み方向Zに沿った中心軸に対する外周面を略角円長方形状でそれぞれ形成するとともに、互いに段違い形状となるように形成している。
なお、前記角円長方形状とは、長方形状の短辺部が外側に円弧状に膨らむように形成した形状を示す。
【0059】
さらに、ガイド部30と取付け部40とは、
図7(a)に示すように、構成部品間係合手段35、及び部材間係合手段21により一体に組み付けた状態において、嵌め込み方向Zに対して直交する直交断面において、それぞれの長軸L1,L2同士が例えば、5度程度のなす角θで互いに交差するように配設している。
【0060】
これに伴い、
図7(c)に示すように、長穴形状で形成したガイド側挿通孔30Hと取付け部側挿通孔40Hとのそれぞれの長軸が5度程度のなす角θで互いに交差するように連通している。
【0061】
また、
図3、及び
図8(e)に示すように、前記ガイド側挿通孔30Hは、貫通孔110に対して取付け部40を嵌め込む嵌め込み方向Zと、該嵌め込み方向Zに対して直交方向Xとの間でワイヤハーネスWHの配索方向を転換可能な孔形状で形成している。
【0062】
換言すると、ガイド側挿通孔30Hは、ワイヤハーネスWHを配索するハーネス配索方向として、貫通孔110に対して取付け部40を嵌め込む嵌め込み方向Zの成分と、直交する直交方向Xの成分とを有した孔形状に形成している。
【0063】
上記構成により、ガイド側挿通孔30Hにおけるガイド本体部32に相当する箇所は、嵌め込み方向Zの成分と、直交する直交方向Xの成分との間でワイヤハーネスWHの配索方向を変更可能に、ワイヤハーネスWHをガイド可能な内部空間に形成している。
【0064】
さらに、ガイド先端部33は、ガイド本体部32における長軸方向の一方側に傾く側の先端部から長軸方向の一方側へ向けて突出する円筒状に形成していため、ガイド側挿通孔30Hにおけるガイド先端部33に相当する箇所は、直交する直交方向Xの成分にワイヤハーネスWHが配索されるようにガイド可能に形成している。
【0065】
上述した構成により、ガイド側挿通孔30Hは、ガイド先端部33の内部においては、嵌め込み方向Zに対して直交する直交方向XにワイヤハーネスWHをガイド可能な成分を有するとともに、ガイド本体部32の内部においては、嵌め込み方向Zと、直交する直交方向XとにワイヤハーネスWHをガイド可能な成分を有する孔形成方向で形成している。
また、ガイド先端部33の先端部には、円形状の先端開口部30Haを形成している。
【0066】
このようにガイド部30と取付け部40とを組付けて構成したインナー部材20の内部に形成されるインナー挿通孔20Hは、ガイド部30に形成されたガイド側挿通孔30Hと、取付け部40の側に形成された取付け部側挿通孔40Hとで構成されているおり、ガイド側挿通孔30Hは、ガイド部30に形成された先端開口部30Haで開口するとともに、取付け部側挿通孔40Hは、取付け部40の下方で開口し、さらには、ガイド側挿通孔30Hと取付け部側挿通孔40Hとは、ガイド部30と取付け部40との境界部分(接続箇所)において、互いに連通している。
【0067】
ガイド側挿通孔30Hにおける取付け部側挿通孔40Hに対して連通する連通口をガイド側連通口30Hbに設定するとともに、取付け部側挿通孔40Hにおけるガイド側挿通孔30Hに対して連通する連通口を隔壁取付け側連通口40Hbに設定する(
図3参照)。
【0068】
このように構成したガイド部30と取付け部40とを組付けるとともに部材間係合手段21で係合させて構成したインナー部材20は、グロメット本体10のコーナーカバー12の内部に配置されると、ストラップ装着溝15と締め付け溝36が対応する位置となる。そして、この状態で、ストラップ装着溝15に対してストラップ50を締め付けるように装着することで、ストラップ50による締め付け圧力によってストラップ装着溝15より内側部分が縮径して、ガイド部30のガイド先端部33に形成した締め付け溝36に食い込み、コーナーカバー12に対してガイド部30を、つまりインナー部材20を固定することができる。
【0069】
なお、
図3に示すように、締め付け溝36を、ストラップ50の幅に比べてひと回り幅広に形成したストラップ装着溝15に比べて、同程度の溝深さであるものの、約1.5〜2.0倍程度の幅で形成しているため、ストラップ50による締め付け圧力によって縮径したストラップ装着溝15より内側部分が締め付け溝36に嵌り込み、確実に固定することができる。
【0070】
また、ストラップ50を装着するストラップ装着溝15を、開口端大径部12aの外周縁より平面視内側に配置するとともに、ガイド部30の締め付け溝36をストラップ装着溝15に対応する位置に配置しているため、ストラップ50を装着するストラップ装着溝15や締め付け溝36の上面フランジ部43から斜め上方に突出する突出量が抑えられる。
【0071】
したがって、上面フランジ部43に対して、ガイド本体部32によって片持ち状態で支持されているストラップ装着溝15や締め付け溝36がグロメット本体10の蛇腹部14の変形に伴って変形し、ストラップ装着溝15からストラップ50が外れることを確実に防止することができる。
【0072】
続いて、ワイヤハーネスWHを車体に配索する際において、上述した本実施形態のグロメット1にワイヤハーネスWHを挿通するとともに、該グロメット1を隔壁100における貫通孔110に取り付ける手順の一例について、
図3、
図8(e)、及び
図9を用いて説明する。
【0073】
なお、
図9はグロメット1の挿通孔1HにワイヤハーネスWHを挿通した状態でグロメット1の一端側に備えたインナー部材20を隔壁100に形成した貫通孔110に嵌挿する手順を説明する説明図を示している。
【0074】
但し、グロメット本体10の一端側と他端側とは、それぞれに備えたインナー部材20を貫通孔110に取り付ける手順は同じであるため、一端側に備えたインナー部材20を貫通孔110に取り付ける手順についてのみ説明し、他端側についてはその手順の説明を省略する。
【0075】
まず、インナー部材20は、グロメット本体10におけるコーナーカバー12から予め分離させておき、さらに、一対構成のガイド部構成部品30Pa,30Pbのそれぞれと取付け部40との3つに分離させておく(
図6(a)参照)。
【0076】
まず、
図9(a)に示すように、ワイヤハーネスWHをグロメット本体10に挿通させ、ワイヤハーネスWHにおける、グロメット本体10の一端側から外側へ配索される部分に対して両側に、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbのそれぞれを対向配置させる。
【0077】
この状態から一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbを互いの対向端部が突き合わさるように近接させることで、一方のガイド部構成部品30Paに形成した構成部品間係合突片35aを他方のガイド部構成部品30Pbに形成した構成部品間係合凹部35bに差し込んで互いに係合する。これにより、
図9(b)に示すように、ガイド部構成部品30Pは、ガイド側挿通孔30HにワイヤハーネスWHを挿通した状態、且つ、ワイヤハーネスWHを挟み込んだ状態で互いに一体に組み付けてガイド部30を構成することができる。
【0078】
続いて、ガイド部構成部品30Pを組み付けて構成したガイド部30を取付け部40に組み付ける。具体的には、ガイド部30と取付け部40とを互いに近接させるとともに、ガイド部30の下部に形成した部材間係合突爪31を取付け部40の上面フランジ部43に形成した部材間係合凹部41に差し込んで、ガイド部30と取付け部40とを互いに係合する。これにより、インナー部材20は、ワイヤハーネスWHをハーネスインナー側挿通孔に挿通した態で互いに一体に組み付けることができる。
【0079】
そして、インナー部材20をグロメット本体10の一端側に備えたコーナーカバー12にインナー部材20を嵌め込んでいく。その際に、コーナーカバー12における開口端大径部12aを上面フランジ部43に対して外側から嵌装させておく。
これにより、
図8(e)に示すように、インナー部材20は、コーナーカバー12に嵌装され、グロメット1の端部に備えることができる。
【0080】
ワイヤハーネスWHにおけるインナー部材20の取付け部40側から外側へ配索された配索部分を、貫通孔110を通じて隔壁100に対して反対側へと配索させておく(図示せず)。そして、コーナーカバー12に嵌装されたインナー部材20における取付け部40を隔壁100の貫通孔110に嵌め込むことで、
図3に示すように、隔壁係合突片44を貫通孔110の縁部111に係合し、貫通孔110に対して取付け部40を嵌装させることができる。
【0081】
このとき、開口端大径部12aの周縁部から突出したシールリップ部12bの先端側が貫通孔110の縁部111に当接することで、グロメット1の貫通孔110への取付け部分において、グロメット1内部の防水性、及び防塵性を確保することができる。
【0082】
さらに、上述したように、グロメット本体10のコーナーカバー12内部において、ストラップ装着溝15と締め付け溝36が対応する位置となるようにガイド先端部33がコーナーカバー12と蛇腹部14とに跨ぐ態様でインナー部材20が配置された状態で、締め付け溝36に対してストラップ50を締め付けるように装着することで、ストラップ50による締め付け圧力によってストラップ装着溝15部分が縮径して、ガイド部30のガイド先端部33に形成した締め付け溝36に食い込み、コーナーカバー12に対してガイド部30を、つまりインナー部材20を固定することができる。
【0083】
上述したグロメット1が奏する作用効果について説明する。
実施形態のグロメット1、及びグロメット1を端部に備えたインナー部材20は、上述したように、所望の配索方向にワイヤハーネスWHを確実にガイドすることができるとともに、ワイヤハーネスWHに負荷をかけずにスムーズに挿通することができる。
【0084】
詳しくは、ワイヤハーネスWHは、隔壁100に沿って平行に配索されるとともに、隔壁100における貫通孔形成箇所においては、貫通孔110に対してワイヤハーネスWHを挿通した状態で配索されるため、貫通孔形成箇所においてワイヤハーネスWHの長手方向における貫通孔110への挿通部分に対して両側部分は、方向転換のために屈曲した状態で配索される。
【0085】
しかし、ワイヤハーネスWHの長手方向における貫通孔110への挿通部分に対して両側部分が確実に屈曲せずに、緩やかな曲率で屈曲した軌道を描きながら配索された場合には、貫通孔形成箇所においてワイヤハーネスWHが嵩張るため、車両の省スペース化を図るうえで支障を来すことになる。
【0086】
これに対して、本実施形態のインナー部材20における特にガイド部30は、ガイド側挿通孔30Hの孔形成方向を、貫通孔110に対して取付け部40を嵌め込む嵌め込み方向ZにワイヤハーネスWHをガイド可能な成分と、嵌め込み方向Zに対して直交方向Xに交差する方向にワイヤハーネスWHをガイド可能な成分とを有した孔形状で形成するとともに、さらに、グロメット本体10は、ゴムや軟質樹脂で形成しているのに対して、また、インナー部材20を、硬質樹脂などにより形成することにより、ワイヤハーネスWHをガイド可能にグロメット本体10よりも形状保持性が高くなるように形成している。
【0087】
このため、貫通孔形成箇所においてワイヤハーネスWHの長手方向における貫通孔110への挿通部分に対して両側部分を屈曲させる場合であっても、ガイド部30において屈曲部分が大きな曲率にならないように、ワイヤハーネスWHの配索方向の方向転換が可能にワイヤハーネスWHをガイドしてワイヤハーネスWHをコンパクトに配索することができる。
【0088】
換言すると、管状のグロメット本体10と、グロメット本体10における直線部11の両端に備えたコーナーカバー12に内在し、グロメット本体10よりも形状保持性が高いインナー部材20とで構成し、ワイヤハーネスWHを挿通するグロメット1の直線部11を、断面円形に形成するとともに、長さ方向中央の円筒部13と、円筒部13の両側に設けた蛇腹部14とで構成したことにより、所望の配索方向に沿ってワイヤハーネスWHをグロメット1で確実にガイドすることができる。
【0089】
詳しくは、管状のグロメット本体10における直線部11の両端に備えたコーナーカバー12に内在し、グロメット本体10よりも形状保持性が高いインナー部材20によって、ワイヤハーネスWHを所望の配索方向に曲げるとともに、曲げ状態を確実に保持することができる。
【0090】
また、直線部11によって、配索方向に向かって曲げられたワイヤハーネスWHを配索方向に沿ってガイドするが、直線部11を断面剛性の高い断面円形に形成しているため、断面のいずれの方向に対しても直線部11が意図せずに変形することなく、確実にワイヤハーネスWHをガイドすることができる。
【0091】
また、直線部11を、長さ方向中央の円筒部13と、円筒部13の両側に設けた蛇腹部14とで構成しているため、つまり円筒部13とインナー部材20との間に変形性の高い蛇腹部14を配置しているため、インナー部材20によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスWHの曲げ形状に沿って蛇腹部14が変形することで、ワイヤハーネスWHを屈曲させたり、余分な負荷をかけることなく、ワイヤハーネスWHを円筒部13までガイドすることができる。
【0092】
さらに、蛇腹部14によって、円筒状の円筒部13までガイドされたワイヤハーネスWHが、仮に自重や振動などによって変形しても、蛇腹部14を介して、形状保持性の高いインナー部材20に支持された円筒部13は、ワイヤハーネスWHの変形に追従することなく、確実に支持することができる。
【0093】
詳しくは、グロメット1に挿通されるとともに、形状保持性の高いインナー部材20によって配索方向に曲げられ、そして、直線部11の内部に配置されたワイヤハーネスWHは、形状保持性の高いインナー部材20によって配索方向に曲げられた両側が支持された単純梁構造となり、直線部11の内部に配置された部分の中央が最も撓み変形しやすくなる。しかしながら、もっとも撓み変形やすい中央部分を、変形しにくい円筒部13で支持しているため、自重や振動によって撓み変形することなく、確実にガイドでき、自重や振動に起因する撓み変形によってワイヤハーネスWHに引っ張り力が作用することを防止することができる。
【0094】
このように、インナー部材20によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスWHに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスWHを屈曲させたりすることなく蛇腹部14によって円筒部13までガイドするとともに、ワイヤハーネスWHの変形に追従することのない円筒部13によって確実に支持でき、ワイヤハーネスWHの電気接続性を維持することができる。
【0095】
なお、円筒部13を、直線部11の長さに対して半分程度の長さに形成しているため、インナー部材20によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスWHに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスWHを屈曲させたりすることなく蛇腹部14によって円筒部13までガイドするとともに、ワイヤハーネスWHの変形に追従することのない円筒部13によって確実に支持でき、ワイヤハーネスWHの電気接続性を維持することができる。
【0096】
詳しくは、円筒部13を、直線部11の長さに対して半分程度の長さより長くすると、直線部11の両側に配置した蛇腹部14が短くなるため、ワイヤハーネスWHの形状に沿うための変形許容量が少なくなり、インナー部材20によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスWHを直線部11にガイドする際に、ワイヤハーネスWHに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスWHを屈曲させたりするおそれがある。逆に、円筒部13を、直線部11の長さに対して半分程度の長さより短くすると、直線部11の両側に配置した蛇腹部14が長くなるため、自重や振動によるワイヤハーネスWHの変形に沿って蛇腹部14が変形し、つまり変形しにくい直線部11全体がワイヤハーネスWHの変形に追従することとなり、ワイヤハーネスWHを確実に支持することができないおそれがある。
【0097】
これに対し、円筒部13を、直線部11の長さに対して半分程度の長さに形成することによって、インナー部材20によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスWHに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスWHを屈曲させたりすることなく蛇腹部14によって円筒部13までガイドするとともに、ワイヤハーネスWHの変形に追従することのない円筒部13によって確実に支持して、ワイヤハーネスWHの電気接続性を確実に維持することができる。
【0098】
また、コーナーカバー12の直線部11側に設けたストラップ装着溝15に、内在するインナー部材20に対して締め付けて固定するストラップ50を装着することにより、内在するインナー部材20を確実に固定し、上述したような直線部11における効果を確実に実現することができる。
【0099】
仮に、コーナーカバー12からインナー部材20が外れると、貫通孔に装着されたインナー部材20とコーナーカバー12との間でワイヤハーネスWHが露出したり、水分や粉塵が侵入したりして、確実に内部に挿通するワイヤハーネスWHを保護することができなくなる。逆に、インナー部材20がコーナーカバー12より直線部11側に進入する態様で外れた場合、直線部11を構成する蛇腹部14が十分に機能しなくなるおそれがある。
【0100】
これに対し、内在するインナー部材20に対して締め付けて固定するストラップ50をストラップ装着溝15に装着することによって、コーナーカバー12に対して、内在するインナー部材20を確実に固定できるため、防止性や防塵性を確保しながら、インナー部材20によって配索方向に向けて曲げられたワイヤハーネスWHに余分な負荷を作用させたり、ワイヤハーネスWHを屈曲させたりすることなく蛇腹部14によって円筒部13までガイドするとともに、ワイヤハーネスWHの変形に追従することのない円筒部13によって確実に支持でき、ワイヤハーネスWHの電気接続性を維持することができる。
【0101】
また、取り付ける貫通孔へ嵌め込む取付け部40と、ワイヤハーネスWHを曲げ方向にガイドするガイド側挿通孔30Hを有する中空のガイド部30とで構成するとともに、取付け部40とガイド部30とを別体構成したインナー部材20は、所望の配索方向にワイヤハーネスWHを確実にガイドすることができるとともに、ワイヤハーネスWHに負荷をかけずにスムーズに挿通することができる。
【0102】
詳しくは、上述した構成によれば、インナー部材20を、隔壁に形成した貫通孔へ取り付ける取付け部40と、ワイヤハーネスWHをガイドするガイド部30とが別体構成であるため、ワイヤハーネスWHを挿通し、嵌め込み方向と異なる配索方向へ曲げてガイドするガイド部30と、隔壁の貫通孔に取り付けた取付け部40とを合体させる、つまり一体化させることで、貫通孔を貫通し、所定の配索経路に沿って配索させるワイヤハーネスWHをスムーズに曲げて配索することができる。
【0103】
したがって、ガイド部30と取付け部40とが一体化されたインナー部材20にワイヤハーネスWHを挿通する場合や、ガイド部30と取付け部40とが一体化され、貫通孔に装着されたインナー部材20にワイヤハーネスWHを挿通する場合にくらべて、容易かつ、余分な負荷を作用させることなく、ワイヤハーネスWHを配索経路に沿うように曲げてガイドすることができる。
【0104】
また、取付け部40は、嵌め込み方向Zに沿って直線状に形成した取付け部側挿通孔40Hを備えて構成しているため、ガイド部30のように複数の構成部品から分割したように構成せずに一部品で構成しても、ワイヤハーネスWHの取付け部側挿通孔40Hへのスムーズな挿通を実現することができる。
【0105】
そして、取付け部40は、一部品で構成していることにより、複数の構成部品を組み付けた場合よりも剛性を高めることができるため、貫通孔110の周縁部111に確実に嵌挿した状態で取り付けることができる。さらに、インナー部材20全体としての部品点数を削減して部品管理の効率化を図ることができる。
【0106】
しかも、ガイド部30は、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbから構成しているが、単に、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pb同士を組み付けて一体にするだけでなく、1部品により構成することで剛性に優れた取付け部40に対してガイド部構成部品30Pを一体に組み付けることで、インナー部材20は、全体として優れた剛性を確保することができる。
【0107】
また、インナー部材20を、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbを互いに組み付けて構成したガイド部30と取付け部40とを係合する部材間係合手段21(31,41)を、ガイド部30と取付け部40との係合箇所に形成して構成しているため、部材間係合手段21によって、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbを互いに組み付けて構成したガイド部30を取付け部40に対して係合することにより、互いに組み付けた一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbが意に反して互いに分離することなく、一体に組み付けた係合状態に保つことができる。
【0108】
さらに、部材間係合手段21により、ガイド部30を取付け部40に係合した状態に保つことができるため、ガイド部30と取付け部40との一体的な組み付け状態を得ることができる。
【0109】
このように、部材間係合手段21によって、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbを互いに組み付けて構成したガイド部30を取付け部40に対して係合することにより、ガイド部30と取付け部40との部材同士の係合状態と、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbの構成部品同士の係合状態との2種類の態様の係合状態を1つの係合手段により実現することができる。
【0110】
詳しくは、部材間係合手段21によれば、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbのそれぞれに形成した部材間係合突爪31を、一つの部材からなる剛性の高い取付け部40に形成した一対の部材間係合凹部41のそれぞれに係合してガイド部30と取付け部40とを組み付けるため、インナー部材20は、複数部品から構成しているが、部品間の強固な一体性を有している。
【0111】
さらに、本実施形態のグロメット1は、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbを互いに組み付けた状態に係合する構成部品間係合手段35(35a,35b)を、ガイド部構成部品30Pa,30Pb同士の組み付け箇所に形成しているため、構成部品間係合手段35の係合を解除することで、ガイド部30を、ガイド部構成部品30Pa,30Pbごとに分割面Fにおいて分離することができる。
【0112】
そして、ガイド部30におけるガイド側挿通孔30Hの孔形成方向に沿ってワイヤハーネスWHを配置し、一対のガイド部構成部品30Pa,30PbでワイヤハーネスWHを挟み込むようにしてそれぞれの対向端部同士を突き合わせることにより、ワイヤハーネスWHをガイド側挿通孔30Hに挿通した状態で構成部品間係合手段35によって、一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbを互いに組み付けた状態に係合することができる。
【0113】
また、インナー部材20を、ガイド側挿通孔30Hと取付け部側挿通孔40Hとのそれぞれを、孔形成方向に対して直交する直交面が長孔形状になるように形成し、ガイド側挿通孔30Hを、取付け部側挿通孔40Hに対して、直交断面長孔形状であるそれぞれの長軸L1,L2が互いに所定のなす角θで交差する方向となるように形成している(
図7(a)参照)。
【0114】
換言すると、また、インナー部材20を、ガイド部30における先端開口部30Haを、取付け部40の長軸方向の両側に設けた一対の隔壁係合突片44を結ぶ係止手段仮想配置ラインに対して、嵌め込み方向Zの周りに平面視時計回りに例えば、5度傾けた形状で構成しているため(
図7(a),(c)参照)、例えば、隔壁100の面上において、所定間隔を隔てた各箇所に形成した一対の貫通孔110の2点間を直線状に結ぶワイヤハーネスWHの配索方向が貫通孔110の長軸、すなわち、取付け部側挿通孔40Hの長軸L1に対して所定角度θだけ傾いている場合においても、上述したように、ガイド側挿通孔30Hの長軸L2を取付け部側挿通孔40Hの長軸に対して上記所定角度に対応させて交差するように、ガイド部30を形成することによって、一方の貫通孔110に嵌挿したインナー部材20におけるガイド部30から先端開口部30Haを通じて外側に配索されたワイヤハーネスWHを他方の貫通孔110に向けて、スムーズに配索することができる。
【0115】
この発明の構成と、実施形態との対応において、この発明のコーナーカバー部は、コーナーカバー12に対応し、
以下同様に、
ストラップ装着部は、ストラップ装着溝15に対応し、
ハーネスガイド部は、ガイド部30に対応し、
ガイド空間は、ガイド側挿通孔30Hに対応し、
組付ガイド部は、ガイド部構成部品30P,30Pa,30Pbに対応し、
係止部は、部材間係合突爪31に対応し、
被係止部は、部材間係合凹部41に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、また、インナー部材20を、ガイド側挿通孔30Hの長軸L2を取付け部側挿通孔40Hの長軸L1に対して5度のなす角で交差するように形成したが、5度のなす角に限定せず、ワイヤハーネスWHの配設方向に応じて任意の角度で交差するように形成してもよい。
【0116】
また、上述したように、グロメット本体10は、インナー部材20を外装するコーナーカバー12を備えた構成に限定せず、例えば、直線部11の端部とインナー部材20とを直接、接続した構成など、グロメット本体10の端部側にインナー部材20を備えた構成であれば特に限定しない。さらに、グロメット本体10は、直線部11とコーナーカバー12とを一体に接続した構成に限定せず、それぞれを別体で形成し、互いの接続端部同士を接続した構成であってもよい。
【0117】
さらにまた、ガイド部30は、2分割して一対のガイド部構成部品30Pa,30Pbで構成したが、3以上の部材に分割して構成してもよい。
また、部材間係合手段21は、ガイド部構成部品30Pに部材間係合突爪31を形成するとともに、取付け部40に部材間係合凹部41を形成したが、この構成に限定せず、ガイド部30と取付け部40とで部材間係合突爪31と部材間係合凹部41とを逆に形成してもよい。
【0118】
同様に、構成部品間係合手段35は、一方のガイド部構成部品30Paに構成部品間係合突片35aを形成するとともに、他方のガイド部構成部品30Pbに構成部品間係合凹部35bを形成したが、この構成に限定せず、一方のガイド部構成部品30Paと他方のガイド部構成部品30Pbとで構成部品間係合突片35aと構成部品間係合凹部35bとを逆に形成してもよい。