(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のバンドギャップエネルギーを有するように前記第1のバリア領域を形成するステップと、前記第1のバンドギャップエネルギーよりも小さい第2のバンドギャップエネルギーを有するように前記第2のバリア領域を形成するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
シリケートガラス、フォスフォシリケートガラス、ボロシリケートガラス、及びボロフォスフォシリケートガラスのうちの少なくとも1つを含むように前記歪み緩和層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0019]本明細書に提示される説明図は、いかなる特定の材料、半導体構造若しくはデバイス、又は方法についても、実際の図であることは意図されておらず、本発明について説明するために用いられる、単に理想化された表現に過ぎない。さらに、図と図の間の共通の要素は、同じ数字表示が付されている場合がある。
【0015】
[0020]本明細書で使用するように、用語「III−V族半導体材料」とは、主として周期表のIIIA族からの1つ又は複数の元素(B、Al、Ga、In及びTl)、並びに周期表のVA族からの1つ又は複数の元素(N、P、As、Sb、及びBi)から構成された任意の材料を意味し、含む。
【0016】
[0021]本明細書で使用するように、用語「臨界の厚さ」とは、材料に関して使用される場合は、その厚さを上回ると材料内部で転移などの欠陥の形成がエネルギー的に起こりやすくなる最大厚さを意味する。
【0017】
[0022]本明細書で使用するように、用語「材料のエピタキシャル層」とは、少なくとも実質的に単結晶の材料であり、この単結晶が既知の結晶学的配向を示すように形成された材料の層を意味する。
【0018】
[0023]本明細書で使用するように、用語「成長格子定数」とは、半導体材料のエピタキシャル層に関して使用される場合は、半導体材料の層を高温でエピタキシャル成長させるときに、半導体材料の層が呈する平均の格子定数を意味する。
【0019】
[0024]本明細書で使用するように、用語「格子歪み」(lattice strain)とは、材料の層に関して使用される場合は、材料の層の面と少なくとも実質的に平行な方向の結晶格子の歪みを意味し、圧縮歪み又は引張歪みの場合がある。同様に、用語「平均の格子定数」とは、材料の層に関して使用される場合は、材料の層の面と少なくとも実質的に平行な平均の格子定数の寸法を意味する。
【0020】
[0025]同様に、用語「歪んだ」又は「歪み」(strained)は、結晶格子がそうした材料に対する通常の間隔から変形され(例えば、伸ばされ、又は圧縮され)、その結果その材料の格子間隔が、均一に緩和した結晶状態にあるそうした材料にとって通常生じる格子間隔とは異なることを示すために使用される。
【0021】
[0026]本開示の実施形態は、放射光放出構造(例えば、LED)などの光活性デバイスを含み、この光活性デバイスがエネルギーバンド構造を有する多重量子井戸構造を含み、この多重量子井戸構造が光活性デバイスの動作中に多重量子井戸構造にわたって正孔の改善された分布をもたらすように調整されている。
【0022】
[0027]
図1は、本開示の放射光放出半導体デバイス100の例示的な実施形態を示す。半導体デバイス100は、例えば、LEDを備えてもよい。
図1では半導体デバイス100全体にわたって、半導体デバイス100が呈する簡略化されたエネルギーバンド図を示す。エネルギーバンド構造内の異なる領域は、それらが対応する半導体デバイス100の領域とそれぞれ位置合わせされている。
【0023】
[0028]
図1に示すように、放射光放出半導体デバイス100は、第1のベース領域102、第2のベース領域104、及び第1のベース領域102と第2のベース領域104との間に配置された多重量子井戸構造106を含む。
【0024】
[0029]多重量子井戸構造106は、少なくとも3つの量子井戸領域を含む。例えば、
図1の実施形態では、半導体デバイス100は、第1の量子井戸領域108、第2の量子井戸領域110、第3の量子井戸領域112、及び第4の量子井戸領域114を含む。しかし、さらなる実施形態において、放射光放出半導体デバイス100は、3つの量子井戸領域のみ、又は5つ以上の量子井戸領域を含んでもよい。
【0025】
[0030]量子井戸領域108〜114のそれぞれは、第1のベース領域102と第2のベース領域104の間に延びる方向においてそれぞれの井戸領域厚さ115を有する。量子井戸領域108〜114のそれぞれの井戸領域厚さ115は、同じであっても、異なっていてもよい。限定することなく一例を挙げると、それぞれの井戸領域厚さ115のそれぞれは、約2ナノメートル以上、約5ナノメートル以上、約10ナノメートル以上、又はさらに約20ナノメートル以上であってもよい。
【0026】
[0031]
図1の実施形態において、第1の量子井戸領域108は、第1のベース領域102に近接して位置し、第4の量子井戸領域114は、第2のベース領域104に近接して位置する。したがって、第1の量子井戸領域108は、第2の量子井戸領域110よりも第1のベース領域102に近接して位置し、第2の量子井戸領域110は、第3の量子井戸領域112よりも第1のベース領域102に近接して位置し、第3の量子井戸領域112は、第4の量子井戸領域114よりも第1のベース領域102に近接して位置する。同様に、第4の量子井戸領域114は、第3の量子井戸領域112よりも第2のベース領域104に近接して位置し、第3の量子井戸領域112は、第2の量子井戸領域110よりも第2のベース領域104に近接して位置し、第2の量子井戸領域110は、第1の量子井戸領域108よりも第2のベース領域104に近接して位置する。
【0027】
[0032]バリア領域は、隣接した量子井戸領域108〜114間に配置されてもよい。例えば、
図1に示すように、第1のバリア領域116が、第1の量子井戸領域108と第2の量子井戸領域110との間に配置され、第2のバリア領域118が、第2の量子井戸領域110と第3の量子井戸領域112との間に配置され、第3のバリア領域120が、第3の量子井戸領域112と第4の量子井戸領域114との間に配置される。
【0028】
[0033]バリア領域116〜120のそれぞれは、第1のベース領域102と第2のベース領域104の間に延びる方向においてそれぞれのバリア領域厚さ121を有する。バリア領域116〜120のそれぞれのバリア領域厚さ121は、同じであっても、異なっていてもよい。それぞれのバリア領域厚さ121のそれぞれは、量子井戸領域108〜114間のバリア領域116〜120を貫いて電子がトンネリングするのを防ぐために、井戸領域厚さ115以上であってもよい。限定することなく一例を挙げると、それぞれのバリア領域厚さ121のそれぞれは、約2ナノメートル以上、約5ナノメートル、約10ナノメートル以上、約15ナノメートル以上、又は約20ナノメートル以上であってもよい。
【0029】
[0034]多重量子井戸構造106は、第1のベース領域102と第2のベース領域104の間に延びる方向において、例えば約10ナノメートル、約20ナノメートル、約50ナノメートル、約85ナノメートル、又はさらに約140ナノメートル以上の全体構造厚さ122を有することができる。
【0030】
[0035]第1のベース領域102は、n型半導体材料を含んでもよく、第2のベース領域104は、p型半導体材料を含んでもよい。限定することなく一例を挙げると、第1のベース領域102及び第2のベース領域104のそれぞれは、In
zGa
1−zNといったIII−V族半導体材料を含んでもよく、ここにzは約0.02〜約0.17である。第1のベース領域102は、真性の又はドープされたn型III−V族半導体材料であってもよく、第2のベース領域104は、真性の又はドープされたp型半導体材料であってもよい。
【0031】
[0036]第1のベース領域102は、第1の導電性コンタクト142と電気的及び構造的に結合されてもよく、第2のベース領域104は、第2の導電性コンタクト144と電気的及び構造的に結合されてもよい。第1の導電性コンタクト142及び第2の導電性コンタクト144のそれぞれは、例えば、1つ若しくは複数の金属(例えば、アルミニウム、チタン、白金、ニッケル金など)、又は金属合金を含んでもよく、そうした金属又は金属合金の数多くの層を含んでもよい。さらなる実施形態において、第1の導電性コンタクト142及び/又は第2の導電性コンタクト144は、ドープされた、又は真性のn型若しくはp型半導体材料をそれぞれ含んでもよい。
【0032】
[0037]金属及び金属合金は、半導体デバイス100の動作中に多重量子井戸構造106内部で生成される電磁放射の波長(複数可)に対して透過性でない場合がある。したがって、
図1に示すように、第2の導電性コンタクト144は、第2のベース領域104の全表面を覆わなくてもよい。例えば、第2の導電性コンタクト144は、1つ又は複数の開口が第2の導電性コンタクト144を貫いて延びるようにパターニングされてもよい。この構成では、多重量子井戸構造106内部で生成された放射光は、第2のベース領域104を貫いて、第2の導電性コンタクト144を通り過ぎて半導体デバイス100から外に伝搬されることになる。加えて、又は代替として、第1の導電性コンタクト142が、第2の導電性コンタクト144に関して説明したようにパターニングされてもよい。
【0033】
[0038]
図1のエネルギーバンド図を参照すると、第1の導電性コンタクト142及び第1のベース領域102は、多重量子井戸構造106に電子146を供給することができる。第2の導電性コンタクト144及び第2のベース領域104は、多重量子井戸構造106に正孔148を供給することができる。先に言及したように、電子146は、正孔148と比較して多重量子井戸構造106内部でより高い移動度を示すことができる。したがって、従来知られているデバイスでは、電圧が第1のベース領域102と第2のベース領域104間の多重量子井戸構造106両端間に印加されると、電子146は、多重量子井戸構造106を横切って比較的均一に分布することができるが、正孔148は、多重量子井戸構造106を横切ってより不均一に分布する場合があり、第2のベース領域104に最も近い量子井戸領域により多く集まる可能性がある。そうした、多重量子井戸構造106を横切る正孔148の不均一な分布により、電子146正孔148対の望ましくない非発光オージェ再結合の可能性が増大する。
【0034】
[0039]先に言及したように、本開示の実施形態の多重量子井戸構造106は、半導体デバイス100の動作中に、多重量子井戸構造106を横切って改善された正孔148の分布がもたらされるように調整されたエネルギーバンド構造を有する。
【0035】
[0040]引き続き
図1のエネルギーバンド図を参照すると、量子井戸領域108〜114は、量子井戸領域108〜114のそれぞれにバンドギャップエネルギー132を提供するように選択された材料組成及び構造的配置を有することができる。
図1に示す実施形態では、バンドギャップエネルギー132は、異なる量子井戸領域108〜114において少なくとも実質的に等しい。さらなる実施形態において、量子井戸領域108〜114の1つ又は複数のバンドギャップエネルギー132は、量子井戸領域108〜114の別の領域のバンドギャップエネルギーと異なってもよい。
【0036】
[0041]バリア領域116〜120は、バリア領域116〜120のそれぞれにそれぞれのバンドギャップエネルギー124〜128を提供するように選択された材料組成及び構造的配置を有することができる。
図1のエネルギーバンド図に示すように、第1のバリア領域116のバンドギャップエネルギー124は、第2のバリア領域118のバンドギャップエネルギー126よりも大きくてもよく、第2のバリア領域118のバンドギャップエネルギー126は、第3のバリア領域120のバンドギャップエネルギー128よりも大きくてもよい。さらに、量子井戸領域108〜114のバンドギャップエネルギー132のそれぞれは、バリア領域116〜120のバンドギャップエネルギー124〜128のそれぞれよりも小さくてもよい。
【0037】
[0042]この構成において、第4の量子井戸114と第3の量子井戸112との間の正孔のエネルギー障壁136は、第3の量子井戸112と第2の量子井戸110との間の正孔のエネルギー障壁138よりも小さくてもよく、第3の量子井戸112と第2の量子井戸110との間の正孔のエネルギー障壁138は、第2の量子井戸110と第1の量子井戸108との間の正孔のエネルギー障壁140よりも小さくてもよい。言いかえれば、バリア領域116〜120を横切る正孔のエネルギー障壁136〜140は、(多重量子井戸構造106に正孔148を供給する)第2のベース領域104から第1のベース領域102に延びる方向において多重量子井戸構造106を横切って段階的に増加してもよい。正孔のエネルギー障壁136〜140は、量子井戸領域108〜114と隣接するバリア領域116〜120との界面を横切る価電子帯のエネルギーの差である。第2のベース領域104から第1のベース領域102に向かってバリア領域116〜120を横切って正孔のエネルギー障壁136〜140が増大する結果、多重量子井戸構造106内部で正孔148のより均一な分布を実現することができ、その結果として放射光放出半導体デバイス100の動作中の効率を改善することができる。
【0038】
[0043]先に言及したように、バリア領域116〜120は、バリア領域116〜120のそれぞれに、それらの異なる、それぞれのバンドギャップエネルギー124〜128を提供するように選択された材料組成及び構造的配置を有することができる。限定することなく一例を挙げると、バリア領域116〜120のそれぞれは、In
yGa
1−yNなどの三元III族窒化物材料を含むことができ、ここにyは少なくとも約0.05である。バリア領域116〜120のIn
yGa
1−yNのインジウム含有量を増加させる(すなわち、yの値を増加させる)ことによって、バリア領域116〜120のバンドギャップエネルギーを減少させることができる。したがって、第2のバリア領域118は、第1のバリア領域116と比較してより高いインジウム含有量を有することができ、第3のバリア領域120は、第2のバリア領域118と比較してより高いインジウム含有量を有することができる。限定することなく一例を挙げると、第1のバリア領域116は、In
yGa
1−yNを含むことができ、ここにyは約0.05〜約0.15であり、第2のバリア領域118は、In
yG
1−yNを含むことができ、ここにyは約0.10〜約0.20であり、第3のバリア領域120は、In
yGa
1−yNを含むことができ、ここにyは約0.15〜約0.25である。
【0039】
[0044]また、量子井戸領域108〜114は、In
xGa
1−xNなどの三元III族窒化物材料を含むことができ、ここにxは少なくとも約0.12、又はさらに約0.17以上であってもよい。
【0040】
[0045]上記の量子井戸領域108〜114及びバリア領域116〜120は、一般にIII−V族半導体材料(例えば、インジウム窒化ガリウム(InGaN)などの三元III族窒化物材料)の平坦な層を含むことができる。III−V族半導体材料の層は、結晶であってもよく、III−V族半導体材料の単結晶を含んでもよい。
【0041】
[0046]当技術分野で知られているように、結晶のIII−V族半導体材料の層は、一般にIII−V族半導体材料の結晶格子内部に、ある量の欠陥を含む。結晶構造のこれらの欠陥には、例えば、点欠陥及び線欠陥(例えば、貫通転移)が含まれることがある。そうした欠陥は、III−V族半導体材料の層を備える光活性デバイスの性能に対して有害である。
【0042】
[0047]結晶のIII−V族半導体材料の層は、下にある基板の表面にIII−V族半導体材料の層をエピタキシャル成長させることによって作製されてもよく、この基板が結晶のIII−V族半導体材料の結晶格子と似ているが、わずかに異なる結晶格子を有する。その結果、結晶のIII−V族半導体材料の層を下にある異なる基板材料上に成長させる場合、結晶のIII−V族半導体材料の結晶格子は、機械的に歪む可能性がある。この歪みの結果、III−V族半導体材料の層の厚さが成長中に増加するにつれ、ある臨界厚さで、転移などの欠陥が、エネルギー的に起こりやすくなって、たまった応力が緩和されるようにIII−V族半導体材料の層内部に形成されるまで、III−V族半導体材料の層内部の応力が増加する可能性がある。
【0043】
[0048]インジウム窒化ガリウム(InGaN)の層をエピタキシャル堆積させる場合、インジウム窒化ガリウムの層の臨界の厚さは、インジウムの含有量が増加するととともに減少する。したがって、比較的厚い層厚さ及び比較的低密度の欠陥を有する、比較的高いインジウム濃度のインジウム窒化ガリウムの層を作製することは、困難な又は不可能な場合がある。
【0044】
[0049]これらの障害を克服するために、最近開発された方法を使用して、上記のような、インジウム窒化ガリウムなどの三元III族窒化物材料の量子井戸領域108〜114及びバリア領域116〜120を含む多重量子井戸構造106を作製することができる。限定することなく一例を挙げると、Guenardらによって2010年1月に公開された米国特許出願公開第2010/0032793号、Letertreらによって2010年7月15日に公開された米国特許出願公開第2010/0176490号、又はArenaらによって2010年5月6日に公開された米国特許出願公開第2010/0109126号のいずれかに記載されるような方法を使用して、本明細書に記載するような放射光放出半導体デバイス100の多重量子井戸構造106を作製することができる。
【0045】
[0050]本明細書に記載されるような放射光放出半導体デバイス100の多重量子井戸構造106を作製するために使用することができる方法の非限定的な例について、
図2〜
図5を参照して以下で説明する。
【0046】
[0051]
図2を参照すると、歪み緩和(strain relaxation)層154を間に配置して、ベース基板156上に歪み(strained)半導体材料158の層を含む基板152を設けることができる。ベース基板156は、例えば、サファイア、炭化シリコン、シリコン、及び金属材料(例えば、モリブデン、タンタルなど)のうちのいずれか1つ又は複数を含むことができる。歪み緩和層154は、シリケートガラス、フォスフォシリケートガラス、ボロシリケートガラス、又はボロフォスフォシリケートガラスなどの材料を含んでもよい。歪み半導体材料158は、その上に複数の層をエピタキシャル堆積させて多重量子井戸構造106を形成するためのシード層として最終的に使用されてもよい。限定することなく一例を挙げると、歪み半導体材料158の層は、In
zGa
1−zNを含んでもよく、ここにzは約0.06〜約0.08である。
【0047】
[0052]歪み半導体材料158の層は、III−V族半導体材料を含むことができる。非限定的な例を挙げると、歪み半導体材料158の層は、窒化ガリウム(GaN)、インジウム窒化ガリウム(In
xGa
1−xN)、及びアルミニウム窒化ガリウム(Al
xGa
1−xN)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0048】
[0053]
図3を参照すると、歪み半導体材料158の層を貫いて延びる複数の開口部160が形成されてもよい。限定することなく一例を挙げると、マスク及びエッチング処理を使用して、歪み半導体材料158の層を貫く開口部160を形成することができる。歪み半導体材料158の層を貫く開口部160を形成した後に、この構造は、
図4に示すように、歪み半導体材料158の層の残っている部分の応力及び/若しくは歪みの付随する緩和が行われ、それにより歪み半導体材料158の層の残っている部分が少なくとも1つの緩和半導体材料部162に変換されるように、歪み緩和層154が可塑的に又は弾性的に変形することができる温度で熱処理プロセスにかけられてもよい。
【0049】
[0054]
図5を参照すると、放射光放出半導体デバイス100(
図1)の様々な層は、1つの緩和半導体材料部162上に複数のIII−V族半導体材料部を連続してエピタキシャル堆積させることによって形成されてもよい。例えば、先に説明したような組成及び構成を有するn型三元III族窒化物材料の第1のベース領域102が、緩和半導体材料部162にエピタキシャル堆積されてもよい。前述したような組成及び構成を有する三元IlI族窒化物材料を含む量子井戸領域108〜114及びバリア領域116〜120を、第1のベース領域102にエピタキシャル堆積させて多重量子井戸構造106を形成することができる。次いで、先に説明したような組成及び構成を有するp型半導体材料の第2のベース領域104を、多重量子井戸構造106にエピタキシャル堆積させることができる。
【0050】
[0055]一部の実施形態において、第1のベース領域102へアクセスするために基板152を除去して、例えば、1つ若しくは複数の電気的コンタクト又はコンタクト層を第1のベース領域102に形成することができる。エッチング処理、研削処理、化学的機械研磨(CMP)処理、レーザアブレーション処理、及びスマートカット(SMART CUT)(商標)処理のうちの1つ又は複数を使用して、基板152を除去することができる。次いで、第1の導電性コンタクト142を第1のベース領域102に形成する、又はその他の方法で設けることができ、第2の導電性コンタクト144を第2のベース領域104に形成する、又はその他の方法で設けることができる。
【0051】
[0056]本開示のさらなる非限定的な実施形態は、以下の通り提供される。
【0052】
[0057]実施形態1:n型III−V族半導体材料を含む第1のベース領域と、p型III−V族半導体材料を含む第2のベース領域と、第1のベース領域と第2のベース領域との間に配置され、少なくとも3つの量子井戸領域及び少なくとも2つのバリア領域を備える多重量子井戸構造であり、少なくとも2つのバリア領域の第1のバリア領域が少なくとも3つの量子井戸領域の第1の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間に配置され、少なくとも2つのバリア領域の第2のバリア領域が少なくとも3つの量子井戸領域の第2の量子井戸領域と第3の量子井戸領域との間に配置され、第1の量子井戸領域が、第3の量子井戸領域よりも第1のベース領域に近接して位置し、第3の量子井戸領域が、第1の量子井戸領域よりも第2のベース領域に近接して位置する多重量子井戸構造とを備える、放射光放出半導体デバイスであって、第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれが、第1のベース領域と第2のベース領域の間に延びる方向において少なくとも約2ナノメートルの井戸領域厚さを有し、第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれが、第1のベース領域と第2のベース領域の間に延びる方向において第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれの厚さ以上のバリア領域厚さを有し、第3の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁が、第2の量子井戸領域と第1の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁よりも小さい、放射光放出半導体デバイス。
【0053】
[0058]実施形態2:第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれが三元III族窒化物材料を含む、実施形態1に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0054】
[0059]の実施形態3:三元III族窒化物材料がIn
xGa
1−xNを含む、実施形態2に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0055】
[0060]実施形態4:xが少なくとも約0.12である、実施形態3に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0056】
[0061]実施形態5:第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれが三元III族窒化物材料を含む、実施形態1〜4のいずれか一つに記載の放射光放出半導体デバイス。
【0057】
[0062]実施形態6:第1のバリア領域及び第2のバリア領域の三元III窒化物材料がIn
yGa
1−yNを含む、実施形態5に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0058】
[0063]実施形態7:yが少なくとも約0.05である、実施形態6に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0059】
[0064]実施形態8:第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれが二元III族窒化物材料を含む、実施形態1〜4のいずれか一つに記載の放射光放出半導体デバイス。
【0060】
[0065]実施形態9:第1のバリア領域及び第2のバリア領域の二元III族窒化物材料がGaNを含む、実施形態8に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0061】
[0066]実施形態10:第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれの井戸領域厚さが少なくとも約5ナノメートルである、実施形態1〜9のいずれか一つに記載の放射光放出半導体デバイス。
【0062】
[0067]実施形態11:第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれの井戸領域厚さが少なくとも約10ナノメートルである、実施形態10に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0063】
[0068]実施形態12:第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれの井戸領域厚さが少なくとも約20ナノメートルである、実施形態11に記載の放射光放出半導体デバイス。
【0064】
[0069]実施形態13:第1のバリア領域が第1のバンドギャップエネルギーを有し、第2のバリア領域が第2のバンドギャップエネルギーを有し、第2のバンドギャップエネルギーが第1のバンドギャップエネルギーよりも小さい、実施形態1〜12のいずれか一つに記載の放射光放出半導体デバイス。
【0065】
[0070]実施形態14:多重量子井戸構造が1つ又は複数のさらなる量子井戸領域及び1つ又は複数のさらなるバリア領域をさらに含み、多重量子井戸構造における隣接する量子井戸領域間の正孔のエネルギー障壁が、第1のベース領域から第2のベース領域まで多重量子井戸構造を横切って段階的に減少する、実施形態1〜13のいずれか一つに記載の放射光放出半導体デバイス。
【0066】
[0071]実施形態15:n型III−V族半導体材料を含む第1のベース領域と、p型III−V族半導体材料を含む第2のベース領域と、第1のベース領域と第2のベース領域との間に配置され、少なくとも3つの量子井戸領域及び少なくとも2つのバリア領域を備える多重量子井戸構造であり、少なくとも2つのバリア領域の第1のバリア領域が少なくとも3つの量子井戸領域の第1の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間に配置され、少なくとも2つのバリア領域の第2のバリア領域が少なくとも3つの量子井戸領域の第2の量子井戸領域と第3の量子井戸領域との間に配置され、第1の量子井戸領域が、第3の量子井戸領域よりも第1のベース領域に近接して位置し、第3の量子井戸領域が、第3の量子井戸領域よりも第2のベース領域に近接して位置する多重量子井戸構造とを備える、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を含むデバイスであって、第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれがIn
xGa
1−xNを含み、第1のベース領域と第2のベース領域の間に延びる方向において少なくとも約2ナノメートルの井戸領域厚さを有し、第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれがIn
yGa
1−yNを含み、ここにyは少なくとも約0.05であり、第1のベース領域と第2のベース領域の間に延びる方向において井戸領域のそれぞれの厚さよりも大きい、少なくとも約2ナノメートルのバリア領域厚さを有し、第3の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁が、第2の量子井戸領域と第1の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁よりも小さい、デバイス。
【0067】
[0072]実施形態16:第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれの井戸領域厚さが少なくとも約5ナノメートルである、実施形態15に記載のデバイス。
【0068】
[0073]実施形態17:第1のバリア領域が第1のバンドギャップエネルギーを有し、第2のバリア領域が第2のバンドギャップエネルギーを有し、第2のバンドギャップエネルギーが第1のバンドギャップエネルギーよりも小さい、実施形態15又は実施形態16に記載のデバイス。
【0069】
[0074]実施形態18:多重量子井戸構造が第1のベース領域と第2のベース領域と間に延びる方向において少なくとも約10nmの全体構造厚さを有する、実施形態15又は実施形態17に記載のデバイス。
【0070】
[0075]実施形態19:基板上に複数のIII−V族半導体材料部を連続してエピタキシャル堆積させて、第1の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間に配置された第1のバリア領域、及び第2の量子井戸領域と第3の量子井戸領域との間に配置された第2のバリア領域を備える多重量子井戸構造を形成するステップと、少なくとも約2ナノメートルの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップと、井戸領域のそれぞれの厚さ以上のバリア領域厚さを有するように第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれを形成するステップと、第3の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁が第2の量子井戸領域と第1の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁よりも小さくなるように、第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれの組成を選択するステップとを含む放射光放出デバイスを形成する方法。
【0071】
[0076]実施形態20:三元III族窒化物材料を含むように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態19に記載の方法。
【0072】
[0077]実施形態21:In
xGa
1−xNを含むように三元III族窒化物材料を選択するステップをさらに含む、実施形態20に記載の方法。
【0073】
[0078]実施形態22:xが少なくとも約0.12となるようにIn
xGa
1−xNの組成を定めるステップをさらに含む、実施形態21に記載の方法。
【0074】
[0079]実施形態23:三元III族窒化物材料を含むように第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態19〜22のいずれか一つに記載の方法。
【0075】
[0080]実施形態24:In
yGa
1−yを有するように第1のバリア領域及び第2のバリア領域の三元III族窒化物材料を選択するステップさらに含む、実施形態23に記載の方法。
【0076】
[0081]実施形態25:yが少なくとも約0.05となるようにIn
yGa
1−yの組成を定めるステップをさらに含む、実施形態24に記載の方法。
【0077】
[0082]実施形態26:二元III族窒化物材料を有するように第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態19〜22のいずれか一つに記載の方法。
【0078】
[0083]実施形態27:GaNを含むように第1のバリア領域及び第2のバリア領域の二元III族窒化物材料を選択するステップをさらに含む、実施形態26に記載の方法。
【0079】
[0084]実施形態28:少なくとも約5ナノメートルのそれぞれの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態19〜27のいずれか一つに記載の方法。
【0080】
[0085]実施形態29:少なくとも約10ナノメートルのそれぞれの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態28に記載の方法。
【0081】
[0086]実施形態30:少なくとも約20ナノメートルのそれぞれの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態29に記載の方法。
【0082】
[0087]実施形態31:第1のバンドギャップエネルギーを有するように第1のバリア領域を形成するステップと、第1のバンドギャップエネルギーよりも小さい第2のバンドギャップエネルギーを有するように第2のバリア領域を形成するステップとをさらに含む、実施形態19〜30のいずれか一つに記載の方法。
【0083】
[0088]実施形態32:少なくとも約10nmの全体構造厚さを有するように多重量子井戸構造を形成するステップをさらに含む、実施形態19〜27のいずれか一つに記載の方法。
【0084】
[0089]実施形態33:歪み緩和層上の歪み半導体材料の層を貫いて延びる複数の開口部を形成するステップと、歪み半導体材料及び歪み緩和層を熱的に処理し、歪み緩和層の変形及び歪み半導体材料の緩和をもたらし、少なくとも1つの緩和半導体材料部を形成するステップと、少なくとも1つの緩和半導体材料部上に複数のIII−V族半導体材料部を連続してエピタキシャル堆積させて、第1の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間に配置された第1のバリア領域、及び第2の量子井戸領域と第3の量子井戸領域との間に配置された第2のバリア領域を備える多重量子井戸構造を形成するステップと、少なくとも約2ナノメートルの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップと、井戸領域のそれぞれの厚さ以上のバリア領域厚さを有するように第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれを形成するステップと、第3の量子井戸領域と第2の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁が第2の量子井戸領域と第1の量子井戸領域との間の正孔のエネルギー障壁よりも小さくなるように、第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれの組成を選択するステップとを含む放射光放出デバイスを形成する方法。
【0085】
[0090]実施形態34:三元III族窒化物材料を含むように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態33に記載の方法。
【0086】
[0091]実施形態35:In
xGa
1−xNを有するように三元III族窒化物材料を選択するステップをさらに含む、実施形態34に記載の方法。
【0087】
[0092]実施形態36:xが少なくとも約0.12となるようにIn
xGa
1−xNの組成を定めるステップをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0088】
[0093]実施形態37:三元III族窒化物材料を含むように第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態33〜36のいずれか一つに記載の方法。
【0089】
[0094]実施形態38:In
yGa
1−yを含むように第1のバリア領域及び第2のバリア領域の三元III族窒化物材料を選択するステップをさらに含む、実施形態37に記載の方法。
【0090】
[0095]実施形態39:yが少なくとも約0.05となるようにIn
yGa
1−yの組成を定めるステップをさらに含む、実施形態38に記載の方法。
【0091】
[0096]実施形態40:二元III族窒化物材料を含むように第1のバリア領域及び第2のバリア領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態33〜36のいずれか一つに記載の方法。
【0092】
[0097]実施形態41:GaNを含むように第1のバリア領域及び第2のバリア領域の二元III族窒化物材料を選択するステップをさらに含む、実施形態40に記載の方法。
【0093】
[0098]実施形態42:少なくとも約5ナノメートルのそれぞれの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態33〜41のいずれか一つに記載の方法。
【0094】
[0099]実施形態43:少なくとも約10ナノメートルのそれぞれの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態42に記載の方法。
【0095】
[00100]実施形態44:少なくとも約20ナノメートルのそれぞれの井戸領域厚さを有するように第1の量子井戸領域、第2の量子井戸領域、及び第3の量子井戸領域のそれぞれを形成するステップをさらに含む、実施形態43に記載の方法。
【0096】
[00101]実施形態45:第1のバンドギャップエネルギーを有するように第1のバリア領域を形成するステップと、第1のバンドギャップエネルギーよりも小さい第2のバンドギャップエネルギーを有するように第2のバリア領域を形成するステップとをさらに含む、実施形態33〜44のいずれか一つに記載の方法。
【0097】
[00102]実施形態46:少なくとも約10nmの全体構造厚さを有するように多重量子井戸構造を形成するステップをさらに含む、実施形態33〜41のいずれか一つに記載の方法。
【0098】
[00103]実施形態47:In
zGa
1−zNを含むように歪み半導体材料を形成するステップをさらに含む、実施形態33〜46のいずれか一つに記載の方法。
【0099】
[00104]実施形態48:zが約0.06〜約0.08となるようにIn
zGa
1−zNの組成を定めるステップさらに含む、実施形態47に記載の方法。
【0100】
[00105]実施形態49:シリケートガラス、フォスフォシリケートガラス、ボロシリケートガラス、及びボロフォスフォシリケートガラスのうちの少なくとも1つを含むように歪み緩和層を形成するステップをさらに含む、実施形態33〜48のいずれか一つに記載の方法。
【0101】
[00106]本発明は、本明細書においてある例示的な実施形態に関して記載されているが、当業者は、本発明がそのようには限定されないことを認識し、理解されるであろう。むしろ、以下に特許請求されるような本発明の範囲から逸脱せずに、例示的な実施形態に対する多くの追加、削除、及び修正がなされてもよい。例えば、1つの例示的な実施形態からの特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わされてもよく、それでもなお本発明者によって考えられたような本発明の範囲内に包含される。