(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記速度の関係をV1>V2に設定できる場合、前記第1の処理が施された前記基板の搬送量に応じて前記基板の蓄積量が可変であり、前記切断機構に向けて搬送される前記基板の搬送量を調整する第1バッファ部をさらに備える
請求項1に記載の基板処理システム。
前記速度の関係をV1<V2に設定できる場合、前記第2の処理が施される前記基板の搬送量に応じて前記基板の蓄積量が可変であり、前記接合機構から前記第2処理ユニットに投入される前記基板の搬送量を調整する第2バッファ部をさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理システム。
前記速度の関係をV1>V2に設定できる場合、前記第1の処理が施された前記基板の搬送量に応じて前記基板の蓄積量を調整し、前記切断が行われる領域に向けて搬送される前記基板の搬送量を調整する
請求項8に記載の基板処理方法。
前記速度の関係をV1<V2に設定できる場合、前記第2の処理が施される前記基板の搬送量に応じて前記基板の蓄積量を調整し、前記接合が行われる領域から前記第2処理ユニットに投入される前記基板の搬送量を調整する
請求項8に記載の基板処理方法。
前記第1処理ユニットの設置台数をn(n≧1)台、前記第2処理ユニットの設置台数をm(m≧1)台としたとき、前記切断機構を設ける場合はn<mに設定され、前記接合機構を設ける場合はn>mに設定される、
請求項13に記載の基板処理システム。
前記基板つなぎ換え機構は、前記切断される前記第1基板の終端部となる位置に前記第2ロールから供給される前記第2基板の先端部を接合した後に、前記第1基板を切断するように前記切断動作及び前記接合動作を制御する制御部を備える
請求項15に記載の基板処理装置。
前記第2の基板つなぎ換え機構は、前記切断される前記処理基板の先端部となる位置に前記第3基板の終端部を接合した後に、前記処理基板を切断するように前記切断動作及び前記接合動作を制御する第2制御部を備える
請求項18に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1実施形態
以下、本発明の切断機構、接合機構、基板処理システム、及び基板処理方法の実施形態を、
図1から
図6を参照して説明する。
図1は、例として、シート状の基板Pを順次3つの処理工程A、B、Cに通すロール方式の基板処理システムSYSを模式的に示した図である。
【0028】
基板処理システムは、基板Pに対して工程Aとして処理A(第1の処理)を施す処理ユニットUA(第1処理ユニット)、工程Bとして処理B(第1の処理、第2の処理)を施す処理ユニットUB(第1処理ユニット、第2処理ユニット)、工程Cとして処理C(第2の処理)を施す処理ユニットUC(第2処理ユニット)、切断機構CU10、接合機構PU10、選択投入機構ST1、ST2、制御部CT(
図5参照)を主体に構成されている。
【0029】
処理ユニットUAは、供給ロールRRAが装着されるロール装着部RSAを備えており、処理Aを施した基板Pを切断機構CU10に送り出す。処理ユニットUBは、それぞれが同一の処理Bを施す処理ユニットUB1〜UB3から構成され、例えば、処理ユニットUAの基板搬送方向の下流側に上下に3段、又は水平に3列に配置される。
【0030】
各処理ユニットUB1〜UB3は、処理Aが施された基板Pのロールが装着される装着部RSB11〜RSB31と、処理Bを施した基板Pのロールが装着される装着部RSB12〜RSB32とを備えており、装着部RSB11〜RSB31に装着されたロールRRB11〜RRB31(以下、子ロールRRB11〜RRB31と適宜称する)からの基板Pは、処理Bを施された後に、装着部RSB12〜RSB32に装着されるロールRRB12〜RRB32(以下、子ロールRRB12〜RRB32と適宜称する)に巻き上げられる。
【0031】
尚、
図1において、処理ユニットUA後段の切断機構CU10の後に、処理Aを施された基板Pを巻き取るロールRR1が設けられている。このロールRR1に基板Pの所定長分が巻き上げられると、そこで基板Pが切断され、ロールRR1は各処理ユニットUB1〜UB3の装着部RSB11〜RSB31の何れかに、子ロールRRB11〜RRB31の何れかひとつとして装着される。
【0032】
処理ユニットUCは、処理ユニットUB1〜UB3で処理Bが施された子ロールRRB12〜RRB32の何れかひとつを、ロールRR2として装着可能である。このロールRR2に巻かれた基板P(処理A、Bを施された中間製品)は、接合機構PU10を介して処理ユニットUCに搬入され、処理Cが施される。処理Cを受けた基板Pは、ロール装着部RSCに装着された回収ロールRRCに巻き取られて回収される。
【0033】
本実施形態における処理ユニットUAにおける処理Aの処理速度VA(基板Pの搬送速度)、処理ユニットUB1〜UB3における処理Bの処理速度VB(基板Pの搬送速度)、処理ユニットUCにおける処理Cの処理速度VC(基板Pの搬送速度)の関係は、以下となっている。
VA≒VC>VB
なお、処理ユニットUAと処理ユニットUB1〜UB3のいずれか1つとの間では、基板Pの搬送速度がVA>VBとなっているため、処理ユニットUAが搬送速度(V1)の高い第1処理ユニットに対応し、処理ユニットUB1〜UB3のいずれか1つが搬送速度(V2)の低い第2処理ユニットに対応する。一方、処理ユニットUB1〜UB3のいずれか1つと処理ユニットUCとの間では、基板Pの搬送速度がVB<VCとなっているため、処理ユニットUB1〜UB3のいずれか1つが搬送速度(V1)の低い第1処理ユニットに対応し、処理ユニットUCが搬送速度(V2)の高い第2処理ユニットに対応する。
【0034】
本実施形態では、処理速度VA、VCは、処理速度VBの約3倍に設定可能な構成となっている。従来のように処理工程Bを実施する処理ユニットUBが1台である場合、供給ロールRRAから回収ロールRRCまで1つにつながった基板Pが処理ユニットUA、UB、UCを順次通っていく為、その搬送速度は最も遅い処理速度VBに合わされてしまう。即ち、製造ライン全体のタクト(ライン速度、生産性)が最も遅い処理ユニットによって律則されてしまうことになる。
【0035】
本実施形態では、処理速度の遅い処理ユニットUBを複線化(ここでは3台を並置)することによって、その律則に縛られない構成が可能である。この複線化(又は、複数設けること)する為には、基板PがロールRR1に所定の長さ分だけ巻き上げられたら、処理工程Aと処理工程Bを一時的に止めることなく、基板Pを切断する機構CU10が必要になる。
【0036】
切断機構CU10は、主として、処理Aが施された基板Pを所定長さで切断するものであって、
図1及び
図2に示すように、第1バッファ機構(第1バッファ部)BF1と第1スプライサー部CSa(切断部)とを備えている。また、切断機構CU10は、第1スプライサー部CSa(切断部)の動作と第1バッファ機構BF1(バッファ部)における基板Pの蓄積量とを連動させる連動制御部をさらに備える。
【0037】
第1バッファ機構BF1は、第1の処理としての処理Aを実施するユニットUAと第1スプライサー部CSaとの間に設けられ、多数のローラ等で基板Pを折り返して所定長分を蓄積するダンサーローラ機構DR1を有し、ダンサーローラの上下動等により、基板Pの蓄積長を可変に調整しつつ、基板Pを搬入、搬出する。第1バッファ機構BF1は、処理ユニットUAの基板Pの搬送方向の下流側に隣り合って設けられ、第1スプライサー部CSaに搬出される基板Pの搬送量(或いは搬送速度)を調整するニップ駆動ローラNR1(
図5参照)とを備えている。ダンサーローラ機構DR1の駆動及びニップ駆動ローラNR1の駆動は、制御部CTによって制御される。
【0038】
ここで、第1スプライサー部CSaの概略的な外観斜視を示す
図3により、その構成を説明する。
第1スプライサー部CSaは、上面に、例えば多孔質材で形成された吸着パッド1を有し、基板Pの搬送方向(以下、単に搬送方向と称する)に移動自在なスライダー2と、スライダー2を搬送方向に移動自在に支持するガイドレール付の昇降台3と、昇降台3を昇降させる駆動部4と、昇降台3が上昇した位置にあるときに、基板Pの幅方向に移動して、スライダー2の吸着パッド1に吸着された基板Pを切断可能なカッター部5、及び基板Pに対して粘着テープTPを貼り付け可能な貼り付け部6、昇降台3の上方に設けられ、処理Aが施された基板Pを巻き取るロールRR1用の巻き取り軸7を両側で保持する保持部8(上下動可能)、とを備えている。
【0039】
尚、巻き取り軸7は、その外周面の一部(又は全周面)に粘着力の高い樹脂膜や材料が貼り付けられていて、巻き取り軸7の外周面に基板Pの先端部を接触させた後に、巻き取り軸7を回転させることで、基板Pを自動的に巻き取ることができる。
【0040】
これらスライダー2、昇降台3、駆動部4、カッター部5、貼り付け部6、及び保持部8は一体化されたステーション部SNとして構成され、キャスター台等に載置されて搬送可能であり、且つ所定位置に位置決め可能である。
これらのスライダー2、駆動部4、カッター部5、貼り付け部6の各駆動は、制御部CTによって制御される(
図5参照)。
また、ステーション部SNは、基板Pを保持して長尺方向に移動可能で、スライダー2、昇降台3、駆動部4などを含む移動部と、切断機構CU10による切断領域、または接合機構PU10による接合領域に移動部を移動させる移動制御部とを備える。
【0041】
尚、本実施形態における貼り付け部6は、粘着テープTPによって、基板Pを貼り合せるものとするが、他の貼付方式(機構)であっても良い。例えば、接着剤を基板Pの搬送方向と直交した幅方向に、ベルト状に塗布し、加圧して貼り合せる方式、基板Pが樹脂フィルム等である場合には、基板Pの貼り合せたい部分を加熱して圧着する方式、或いは超音波接合等の方式でも構わない。
【0042】
また、スライダー2の上面に設けられる吸着パッド1は、真空圧によって基板Pを保持するものとしたが、真空圧以外の機械的なクランプ機構(クランプバンド等)によって基板Pをスライダー1の上面に係止する構成であっても良い。
【0043】
さて、
図1に示した選択投入機構ST1は、制御部CTの制御下で、処理Aが施された基板Pが巻き取り軸7に巻かれたロールRR1(以下、子ロールRR1と称する)を装着部RSB11〜RSB31のいずれかに、子ロールRRB11、RRB21、RRB31の何れかとして選択的に投入するとともに、子ロールRR1が搬出されて空いている第1スプライサー部CSaの保持部8に予備の巻き取り軸7を搬送するものである。
【0044】
本実施形態では、処理速度VA、VCが処理速度VCの約3倍であり、処理ユニットUBも3台設置されていることから、子ロールRR1(すなわち、子ロールRRB11〜RRB31、RRB12〜RRB32、後述するRR2)が巻き取る基板Pの長さは、親ロールとなる供給ロールRRAに巻かれた基板Pの長さの1/3程度に設定される。
従って、切断機構CU10は、供給ロールRRAに巻かれた基板Pの全長をほぼ3等分するような所定長毎に基板Pを切断する。
【0045】
また、
図1の選択投入機構ST2は、処理ユニットUB1〜UB3の何れかで処理Bが施された基板Pを所定長分だけ巻き上げた、装着部RSB12〜RSB32の子ロールRRB12〜RRB32のいずれかを、制御部CTの制御下で選択して、接合機構PU10に投入(ロール搬送)するとともに、子ロールRRB12〜RRB32のいずれかが搬送されて空いている装着部RSB12〜RSB32に対して予備の巻き取り軸を装着するものである。
【0046】
接合機構PU10は、主として、処理Bが施されて搬送された子ロールRRB12〜RRB32のいずれかを子ロールRR2として、先に投入されて切断された基板の終端付近に接合するものであって、
図1に示すように、第2スプライサー部CSb(接合部)と第2バッファ機構(第2バッファ部)BF2とを備えている。また、接合機構PU10は、処理Bが施される基板を接合する第2スプライサー部CSb(接合部)と、処理Bが施される基板の搬送量に応じて基板の蓄積量が可変であり、接合部から処理Bに投入される基板の搬送量を調整する第2バッファ機構(バッファ部)BF2とを含む。
【0047】
第2スプライサー部CSbは、
図4に示すように、上述した第1スプライサー部CSaに設置されたステーション部SNが、基板Pの搬送方向を逆にした状態で設置されている。すなわち、第2スプライサー部CSbは、上面に吸着パッド1を有し、搬送方向に移動自在なスライダー2と、スライダー2を搬送方向に移動自在に支持するガイドレール付きの昇降台3と、昇降台3を昇降させる駆動部4と、昇降台3が上昇した位置にあるときに、基板Pの幅方向に移動して、スライダー2の吸着パッド1に吸着された基板Pを切断可能なカッター部5、及び基板Pに対して粘着テープTPを貼り付け可能な貼り付け部6、昇降台3の上方に設けられ、処理Bが施された基板Pを巻き取る子ロールRR2用の巻き取り軸7を両側で保持する保持部8とを備えている。
【0048】
第2バッファ機構BF2は、第1バッファ機構BF1と同様に構成され、処理ユニットUCに搬入される基板Pを調整可能な長さ範囲で可変に蓄積するものであって、処理ユニットUCの基板Pの搬送方向の上流側に隣り合って設けられている。
【0049】
第2バッファ機構BF2は、基板Pの搬送方向に隣り合う複数のローラが互いに逆方向に昇降することで基板Pの蓄積量を可変に調整可能なダンサーローラ機構DR2と、第2スプライサー部CSbからダンサーローラ機構DR2へ搬送される基板Pの搬送量(搬送速度)を調整するニップ駆動ローラNR2(
図5参照)とを備えている。ダンサーローラ機構DR2の駆動及びニップ駆動ローラNR2の駆動は、制御部CTによって制御される。
【0050】
図5は、
図1〜
図4に示した基板処理システムにおける制御ブロック図である。
図5に示すように、制御部CTは、処理ユニットUA、UB(UB1〜UB3)、UCの動作を制御するとともに、切断機構CU10と接合機構PU10の各々に設けられるスライダー2、駆動部4、カッター部5、貼り付け部6、選択投入機構ST1、ST2、ダンサーローラ機構DR1、DR2、ニップ駆動ローラNR1、NR2等の駆動を統括的に制御する。その他、制御部CTは、供給ロールRRA、回収ロールRRCの回転駆動、各工程(各処理ユニット)における基板Pの搬送長を計数して管理したり、基板Pの供給側となる各ロールの基板残量と、基板Pの回収側となる各ロールの基板巻上げ量とを計数して管理したり、処理工程A〜Cまでの全体的なタクトの管理、各ロール毎に、処理上の問題の有無や不良が発生した場合の程度や場所等の情報の管理、等も行なう。制御部CTは、切断機構CU10の動作と第1バッファ部BF1における基板Pの蓄積量とを連動させる連動制御部を含む。同様に、制御部CTは、接合機構PU10の動作と第2バッファ部BF2における基板Pの蓄積量とを連動させる連動制御部を含む。
【0051】
次に、上記構成の基板処理システムの動作について説明する。
ここでは、
図1に示すように、処理ユニットUB1において処理Bが完了した直後で子ロールRRB12が選択投入機構ST2によって、第2スプライサー部CSbの保持部8に搬送される。また、処理ユニットUB2においては、装着部RSB21に装着された子ロールRRB21から引き出された基板Pに対して処理Bが施される。また、処理ユニットUB3においては、次の処理対象となる子ロールRRB31が装着部RSB31に装着されるまで待機しているものとする。
【0052】
また、以下の説明では、各構成機器の動作は制御部CTによって制御されているため、そのことを示す記載は省略する。
【0053】
まず、第1スプライサー部CSaの保持部8に保持された子ロールRR1に、処理Aが施された基板Pが所定長さで巻かれると、第1バッファ機構BF1において、ニップ駆動ローラNR1が駆動を停止して第1スプライサー部CSaへの基板Pの供給を停止する。このとき、処理ユニットUAにおいては処理Aが継続して行われ、基板Pが第1バッファ機構BF1に送られている。そのため、第1バッファ機構BF1におけるダンサーローラ機構DR1は、基板Pの蓄積量を増加させる方向に駆動される。
【0054】
第1バッファ機構BF1からの基板Pの供給が停止されることと連動して、第1スプライサー部CSaにおいては基板Pの切断処理が行われる。
具体的には、まず、スライダー2がカッター部5と対向する位置に移動した後に駆動部4の作動により昇降台3がスライダー2とともに上昇する。スライダー2の上昇により、吸着パッド1が基板Pを裏面(下面)から吸着保持し、カッター部5による切断位置に位置決めする。その後、カッター部5が、基板Pの幅方向に移動して基板Pを切断する。基板Pが切断されると、選択投入機構ST1が子ロールRR1を、ここでは処理ユニットUB3の装着部RSB31に子ロールRRB31として投入する。また、選択投入機構ST1は、子ロールRR1が排出されて空きとなった第1スプライサー部CSaの保持部8に予備の巻き取り軸7を装填する。
【0055】
第1スプライサー部CSaにおいて、保持部8に巻き取り軸7が装着されると、スライダー2の上面に吸着保持されている基板Pの先端部分が、巻き取り軸7の下方に位置するようにスライダー2が移動(同時にニップ駆動ローラNR1も所定量だけ同期して回転)し、巻き取り軸7を支持する保持部8が一定距離だけ降下して、基板Pの先端部分が巻き取り軸7の外周面の粘着部に密着する。こうして、第1バッファ機構BF1側から延びている基板Pの先端部分が新たな巻き取り軸7に接続されると、吸着パッド1による吸着保持を解除した後に、保持部8が元の高さ位置に戻され、駆動部4の作動により昇降台3がスライダー2とともに下降する。
【0056】
その後、ニップ駆動ローラNR1と新たな巻き取り軸7の回転駆動が再開され、第1バッファ機構BF1からの基板Pの供給が再開され、基板Pは新たな巻き取り軸7に巻き取られる。基板Pの供給再開後、ニップ駆動ローラNR1は、処理ユニットUAにおける処理速度VAに応じた基板Pの送り速度(すなわち、第1バッファ機構BF1に基板Pが送られる速度)よりも僅かに早い速度で回転される。ダンサーローラ機構DR1においては、ニップ駆動ローラNR1の駆動に応じて、基板Pの蓄積量を減少させる方向に駆動される。
【0057】
第1バッファ機構BF1に蓄積された基板Pの長さがほぼ最小となった後には、ニップ駆動ローラNR1を処理ユニットUAにおける基板Pの送り速度と同じ速度で駆動する。
【0058】
一方、処理ユニットUB3の装着部RSB31に装着された子ロールRRB31からは、基板Pが引き出され、処理速度VBに応じた速度で送られて処理Bが施され、装着部RSB32に装着された子ロールRRB32に巻き取られる。
【0059】
処理ユニットUB3において、子ロールRRB31から引き出された基板Pに対する処理Bが施されている間には、処理ユニットUB2においては、子ロールRRB21から引き出された基板Pに対する処理Bが完了し、基板Pを巻き取った子ロールRRB2が装着部RSB22で待機している。
【0060】
選択投入機構ST2によって、先に子ロールRR2として接合機構PU10に装着された子ロールRRB12からの基板Pに対して、処理ユニットUCによる処理Cが完了すると、接合機構PU10の第2バッファ機構BF2におけるニップ駆動ローラNR2の駆動が停止され、ダンサーローラ機構DR2への基板Pの供給が停止する。
【0061】
このとき、処理ユニットUCにおいては処理Cが継続して行われる。そのため、ダンサーローラ機構DR2は作動され、処理ユニットUCにおける基板Pの送り量(処理速度VC)に応じた一定速度で、第2バッファ機構BF2に蓄積されていた基板Pが処理ユニットUCに送り出される。
【0062】
第2スプライサー部CSbにおいては、第1スプライサー部CSaにおける切断処理と同様に、スライダー2がカッター部5と対向する位置に移動した後に駆動部4の作動により昇降台3がスライダー2とともに上昇する。スライダー2の上昇により、吸着パッド1が子ロールRRB12からの基板Pを裏面(下面)から吸着保持し、カッター部5による切断位置に位置決めする。その後、カッター部5が、基板Pの幅方向に移動して基板Pを切断する。基板Pが切断されると、選択投入機構ST2は、子ロールRR2(RRB12)が巻かれていた巻き取り軸7を保持部8から取り出し、空いた保持部8には、装着部RSB22で待機している子ロールRRB22が子ロールRR2として装着される。
【0063】
子ロールRR2として子ロールRRB22が第2スプライサー部CSbにおける保持部8に装着されると、子ロールRR2から引き出された基板Pの先端部分が、先に切断した第2バッファ機構BF2側の基板Pの後端部と位置合せされて、2枚の基板Pが共に吸着パッド1で保持される。その状態で、2枚の基板Pが粘着テープTPにより接合される。基板Pが接合されると、吸着パッド1による吸着保持を解除した後に、駆動部4の作動により昇降台3がスライダー2とともに下降する。その後、ニップ駆動ローラNR2が駆動することにより、第2スプライサー部CSbから第2バッファ機構BF2への基板Pの供給が再開される。
【0064】
基板Pの供給再開後、ニップ駆動ローラNR2は、処理ユニットUCにおける処理速度VCに応じた基板Pの送り速度よりも僅かに早い速度で回転される。ダンサーローラ機構DR2においては、ニップ駆動ローラNR2の駆動に応じて、基板Pの蓄積量を増加させる方向に駆動される。
【0065】
第2バッファ機構BF2に蓄積された基板Pの長さがほぼ最大となった後には、ニップ駆動ローラNR2を処理ユニットUCにおける基板Pの送り速度と同じ速度で駆動する。そして、第2バッファ機構BF2を介して処理ユニットUCに送られた子ロールRRB22(子ロールRR2)から引き出された基板Pは、処理速度VCで処理Cが施される。
【0066】
このように、処理ユニットUAで処理Aが施された基板Pは、処理ユニットUBの台数に応じて分割された長さの子ロールRR1として巻かれた後に、処理ユニットUB1〜UB3に順次投入されて処理Bが施された後に、処理ユニットUB1〜UB3から子ロールRR2として順次処理ユニットUCに投入されて処理Cが施される。処理速度VBが処理速度VCよりも遅い処理ユニットUBについては処理速度の比に応じて3台設けられているため、3台の処理ユニットUB1〜UB3からは、見かけ上、処理速度VBの3倍の処理速度で処理Bが施された場合と同等の周期で子ロールRR2が処理ユニットVCに投入されることになる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、処理ユニットUA、UBの各々の性能によって、処理速度VA>処理速度VBに設定可能な場合には、処理ユニットUAの台数nと処理ユニットUBの台数mとの関係を、n<mとし、基板Pを台数mに応じた長さの子ロールに切断してm台の処理ユニットUB1〜UBmの何れかに選択的に投入している。その為、低い処理速度VBに律則されることなく、製造ライン全体でみると、基板Pを処理速度VAで処理することが可能となる。
【0068】
また、処理ユニットUB、UCの各々の性能によって、処理速度VB<処理速度VCに設定可能な場合は、複数台(m)の処理ユニットUB1〜UBmで処理Bが施された子ロールRR2の基板Pを、順次接合してn台(n<m)の処理ユニットUCに投入している。そのため、基板Pが処理ユニットUBから処理ユニットUCに搬入されるまでの待ち時間を実質的に抑制できる。
従ってこの場合も、低い処理速度VBに律則されることなく、基板Pを処理速度VC(≒VA)で処理することが可能となる。
【0069】
従って、本実施形態では、処理速度が異なる複数の処理A〜Cを順次施す場合でも、生産性の向上を図ることが可能になる。また、本実施形態では、処理ユニットUBの台数を処理速度の比に応じて設定している。そのため、設備を過剰に設置することなく効率的な基板処理を実現できる。加えて、本実施形態では、複線化する処理ユニットUB1〜UB3を上下方向に多段に設置する場合は、設置面積(フットプリント)を増大させることなく、効率的な基板処理を実施可能である。
【0070】
また、本実施形態では、バッファ機構付きの切断機構CU10と、バッファ機構付きの接合機構PU10とを、切断用と接合用のどちらにも使えるような共通構成にして、ステーション部SNとして設置している。そのため、異種の装置を個別に設置する必要がなくなり、生産設備に係るコストを低減することも可能である。
【0071】
即ち、一連の複数の処理ユニットのうち、隣接する処理ユニット間で、基板Pの搬送方向の上流側の処理ユニットに対して下流側の処理ユニットの処理速度が低ければ、その間に、ステーション部SNを切断機構CU10として設置し、処理速度の関係が逆の場合には、隣接する処理ユニット間に、ステーション部SNを接合機構PU10として設置すれば良い。
【0072】
すなわち、本実施形態の基板処理システムは、一連の複数の処理ユニットのうち、隣接する処理ユニット間で、基板Pの搬送方向の上流側の処理ユニット(第1処理ユニット)における基板Pの搬送速度に対して、下流側の処理ユニット(第2処理ユニット)における基板Pの搬送速度を低減させる際は、第1処理ユニットと第2処理ユニットとの間に、基板Pを長尺方向の所定長で切断する切断機構CU10を備え、第1処理ユニットにおける基板Pの搬送速度に対して、第2処理ユニットにおける基板Pの搬送速度を増加させる際は、第1処理ユニットと第2処理ユニットとの間に、基板Pを長尺方向に接合する接合機構PU10を備えることができる。
【0073】
(デバイス製造システム)
次に、上記基板処理システムが適用されるデバイス製造システムについて、
図6を参照して説明する。
【0074】
図6は、基板処理システムとしてのデバイス製造システム(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)の一部の構成を示す図である。ここでは、供給ロールRR1から引き出された可撓性の基板P(シート、フィルム等)が、順次、n台の処理装置U1,U2,U3,U4,U5,…Unを経て、回収ロールRR2に巻き上げられるまでの例を示している。上位制御装置CONT(制御部)は、製造ラインを構成する各処理装置U1〜Unを統括制御する。
【0075】
尚、
図6に示した処理装置U1〜Unは、
図1に示した処理ユニットUA〜UCの何れかであっても良いし、処理装置U1〜Unの中で2以上の連続した処理装置をまとめて、処理ユニットUA〜UCの何れか1つに対応するようにしても良い。
【0076】
図6において、直交座標系XYZは、基板Pの表面(又は裏面)がXZ面と垂直となるように設定され、基板Pの搬送方向(長尺方向)と直交する幅方向がY軸方向に設定されるものとする。なお、その基板Pは、予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、或いは、表面に精密パターニングの為の微細な隔壁構造(凹凸構造)を形成したものでもよい。
【0077】
供給ロールRR1に巻かれている基板Pは、ニップされた駆動ローラDR10によって引き出されて処理装置U1に搬送される。基板PのY軸方向(幅方向)の中心は、エッジポジションコントローラEPC1によって、目標位置に対して±十数μm〜数十μm程度の範囲に収まるようにサーボ制御される。
【0078】
処理装置U1は、印刷方式で基板Pの表面に感光性機能液(フォトレジスト、感光性シランカップリング材、感光性カップリング材、感光性親撥液改質剤、感光性メッキ還元剤、UV硬化樹脂液等)を、基板Pの搬送方向(長尺方向)に関して連続的又は選択的に塗布する塗布装置である。処理装置U1内には、基板Pが巻き付けられる圧胴ローラDR20、この圧胴ローラDR20上で、基板Pの表面に感光性機能液を一様に塗布する塗布用ローラ、或いは感光性機能液をインクとしてパターンを印刷する凸版または凹版の版胴ローラ等を含む塗布機構Gp1、基板Pに塗布された感光性機能液に含まれる溶剤または水分を急速に除去する乾燥機構Gp2等が設けられている。
【0079】
処理装置U2は、処理装置U1から搬送されてきた基板Pを所定温度(例えば、数十〜120℃程度)まで加熱して、表面に塗布された感光性機能層を安定に定着させる為の加熱装置である。処理装置U2内には、基板Pを折返し搬送する複数のローラとエア・ターン・バー、搬入されてきた基板Pを加熱する加熱チャンバー部HA1、加熱された基板Pの温度を、後工程(処理装置U3)の環境温度と揃うように下げる冷却チャンバー部HA2、ニップされた駆動ローラDR3等が設けられている。
【0080】
処理装置U3は、処理装置U2から搬送されてきた基板Pの感光性機能層に対して、ディスプレー用の回路パターンや配線パターンに対応した紫外線のパターニング光を照射する露光装置である。処理装置U3内には、基板PのY軸方向(幅方向)の中心を一定位置に制御するエッジポジションコントローラEPC、ニップされた駆動ローラDR4、基板Pを所定のテンションで部分的に巻き付けて、基板P上のパターン露光される部分を一様な円筒面状に支持する回転ドラムDR5、及び、基板Pに所定のたるみ(あそび)DLを与える2組の駆動ローラDR6、DR7等が設けられている。
【0081】
さらに処理装置U3内には、透過型円筒マスクDMと、その円筒マスクDM内に設けられて、円筒マスクDMの外周面に形成されたマスクパターンを照明する照明機構IUと、回転ドラムDR5によって円筒面状に支持される基板Pの一部分に、円筒マスクDMのマスクパターンの一部分の像と基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)する為に、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AM1、AM2とが設けられている。
【0082】
処理装置U4は、処理装置U3から搬送されてきた基板Pの感光性機能層に対して、湿式による現像処理、無電解メッキ処理等のような各種の湿式処理の少なくとも1つを行なうウェット処理装置である。処理装置U4内には、Z軸方向に階層化された3つの処理槽BT1、BT2、BT3と、基板Pを折り曲げて搬送する複数のローラと、ニップされた駆動ローラDR8等が設けられている。
【0083】
処理装置U5は、処理装置U4から搬送されてきた基板Pを暖めて、湿式プロセスで湿った基板Pの水分含有量を所定値に調整する加熱乾燥装置であるが、詳細は省略する。その後、幾つかの処理装置を経て、一連のプロセスの最後の処理装置Unを通った基板Pは、ニップされた駆動ローラDR10を介して回収ロールRR2に巻き上げられる。その巻上げの際も、基板PのY軸方向(幅方向)の中心、或いはY軸方向の基板端が、Y軸方向にばらつかないように、エッジポジションコントローラEPC2によって、駆動ローラDR10と回収ロールRR2のY軸方向の相対位置が逐次補正制御される。
【0084】
上記の
図6のデバイス製造システムでは、各処理装置U1,U2,U3,U4,U5,…Unの処理速度に応じて、処理速度の遅い処理ユニットは複線化して複数台を並置するとともに、この処理装置の前に切断機構CU10を設け、基板を複数の処理装置の何れかに投入するための選択投入機構ST1を設ける。
【0085】
また処理速度の遅い複数台の処理装置の後には、各処理装置から搬出される複数の基板を順次接合する接合機構PU10を設けることにより、処理速度が大きく異なる複数の処理を順次施す場合でも、最も処理速度が低い処理工程に律則されることなく、生産性の向上を図ることが可能になる。
【0086】
図6で示した製造ラインの場合、加熱処理を行なう処理装置U2は、基板Pの搬送速度を極力低く抑えることで、チャンバー部HA1、HA2の容積を小さくすることができ、その分、使用電力を削減でき、装置設置のフットプリントも低減できるといった利点がある。
【0087】
一方、処理装置U2の直前の処理装置U1において、基板Pの表面に感光性機能液をパターニングして印刷塗布する場合は、パターン印刷用の版胴(凹版又は凸版)ローラが使われ、このローラに感光性機能液がインクとして塗布された後、版胴ローラに基板Pを押し当ててパターンが転写される構成になる。この場合、版胴ローラから基板Pへのパターン転写特性を良好にする為には、基板Pをある程度早い速度で送る必要がある。
【0088】
このように、処理装置U1と処理装置U2とでは、装置性能によってで、望まれる基板搬速度(処理速度)が大きく異なる可能性がある。従って、このような場合には、処理装置U1を
図1中の処理ユニットUAとし、処理装置U2を
図1中の処理ユニットUB1〜UB3のように複線化すると、効率的で生産性の高い製造ラインが構築できる。
【0089】
ここで、先の
図1の処理システム(製造ライン)の場合に、従来の単線化による処理に比べて、どれぐらいのタクト向上が望めるかを、
図7に示したモデル例に基づき、
図8のタイムチャートを参照して説明する。
【0090】
図7の(a)は、3つの工程A、B、Cの各々を担う処理ユニットUA、UB、UCを1台ずつにして単線化処理する場合のモデル例を示す。ここで、供給ロールRRAには全長1200mの基板Pが巻かれているものとする。また、各処理ユニットUA〜UCは装置の性能として、以下の処理能力を有するものと仮定する。すなわち、処理ユニットUAは、基板Pを最大15cm/sで送って処理する能力を有し、処理ユニットUBは、基板Pを最大5cm/sで送って処理する能力を有し、処理ユニットUCは、基板Pを最大15cm/sで送って処理する能力を有するものとする。
【0091】
このような単線化の場合、ライン全体で基板Pの搬送速度は、最も遅い処理ユニットUBの速度5cm/sに合わされる為、生産タクト時間(1200mの基板に工程処理A、B、Cの全てを施す時間)は400分(6時間40分)になる。
【0092】
これに対して、先の
図1のように複線化した製造ラインのモデル例を
図7の(b)に示す。各処理ユニットUA、UB(UB1〜UB3)、UCの各性能は、
図7の(a)で説明したものと同じある。先の
図1と同様に、処理工程Bを担う処理ユニットUBを複線化して、3台のユニットUB1〜UB3を設け、処理ユニットUAの後の切断機構CU10における切断処理時間と選択投入機構ST1による子ロール交換時間等とを含む段取り時間を3分とし、処理ユニットUCの前の接合機構PU10における接合処理時間と選択投入機構ST2による子ロール交換時間等とを含む段取り時間を3分とする。
【0093】
また、
図7の(b)のように、処理速度の遅い処理ユニットUBを複線化したことから、処理ユニットUA、UCは、それぞれの性能によって保障されている最大速度15cm/sで基板Pを搬送するように設定される。
【0094】
図8のタイムチャートは、
図7の(b)のモデル例によるタクトを見積もったもので、ラインS1、S2、S3は、仮想的に3つの処理ユニットUB1〜UB3の各々に対応させて、各処理時間を表したものである。処理の開始時には、供給ロールRRAからの基板Pが処理ユニットUAで処理されるが、基板Pは切断機構CU10において、全長1200mの1/3毎に分割される。その為、処理ユニットUAに投入される基板の1番目の400m分は、ラインS1に示すように、約44.4分で処理された後、切断機構CU10にて3分の段取り時間を経て、処理ユニットUB1に送られる。
【0095】
処理ユニットUB1が、400m分の基板Pを処理するタクト時間は133.3分である。その後、所定の段取り時間(子ロールの装着等)として約3分を経た後、1番目の400m分の基板は、処理ユニットUCに投入されて、搬送速度15cm/sで処理される。処理ユニットUCによる400m分の基板のタクト時間は44.4分である。
【0096】
この間、ラインS2に示すように、処理ユニットUAは2番目の400m分の基板の処理を約44.4分に渡って継続し、引き続き、ラインS3に示すように、3番目の400mの基板の処理を約44.4分に渡って、搬送速度15cm/sで継続する。2番目の400m分の基板は、切断機構CU10による段取り時間3分の後に処理ユニットUB2に送られ、ここで約133.3分かけて処理される。
【0097】
処理ユニットUCで、1番目の400m分の基板の処理が完了するのは、開始時点から228.1分後である。しかし、その前に、2番目の400m分の基板の処理が処理ユニットUB2で完了しており、2番目の400m分の基板は接合機構PU10、選択投入機構ST2Cを介して、約3分の段取り時間の後に、1番目の400m分の基板の終端部分に接合される。
その後、処理ユニットUCは、1番目の400mの基板に接合された2番目の400m分の基板を、搬送速度15cm/sで継続的に処理する。
【0098】
同様にして、ラインS3に示すように、切断機構CU10で切断された3番目(最後)の400m分の基板は、処理ユニットUAでの処理が完了すると、処理ユニットUB3に投入され、133.3分後には子ロールRRB32に巻き取られている。3番目の400m分の基板も、処理ユニットUCにおいて、2番目の400m分の基板の処理が完了する前に、処理ユニットUB32での処理が完了している。
【0099】
処理ユニットUCで2番目の400m分の基板が処理されている間、3番目の400m分の基板は接合機構PU10、選択投入機構ST2Cを介して、約3分の段取り時間の後に、2番目の400m分の基板の終端部分に接合される。その後、処理ユニットUCは、2番目の400mの基板に接合された3番目の400m分の基板を、搬送速度15cm/sで継続的に処理する。
【0100】
以上のように、処理工程Bのユニットを複線化することにより、1200m分の基板Pの処理は、317分(5時間17分)で終了することになる。これは、
図7の(a)に示した単線化処理のモデル例と比べて、約20%のタクト向上(生産時間の短縮)になる。
【0101】
図7の(b)に示したモデル例では、親ロールとしての供給ロールRRAに巻かれた基板Pの全長を1200mとしたが、それ以上の長さであっても、切断機構CU10での基板の分割を400m毎に行なえば、製造ラインに投入される基板を最後の処理工程Cまで、連続的に流し続けることができる。
【0102】
尚、
図7の(b)に示したモデル例では、3台の処理ユニットUB1〜UB3を共に、同じ処理速度(5cm/s)で運転するとしたが、調整可能な範囲で、各ユニットUB1〜UB3における基板の搬送速度を微少量だけ異ならせても良い。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0104】
例えば、上記実施形態では、3台の処理ユニットUB1〜UB3を設ける構成としたが、処理速度の比に応じて設定すれば2台であっても4台以上設ける構成であってもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、単線で構成される製造ライン中の一部の工程を複線化するものとした。しかし、元々の製造ライン(同じ製品、品種を生産)が最初の工程から最後の工程まで複線化されている場合であっても、上記実施形態を応用した構成が可能である。
【0106】
例えば、元々、
図7の(a)のような単線化処理の製造ラインが2本並置されている場合は、2台の処理ユニットUA(UA1,UA2)の各々の後に切断機構CU10(CU101,CU102)を設け、その後の2台の低タクトの処理ユニットUBは、3台を追加して5台のユニットUB1〜UB5として複線化し、さらにその後に2つの接合機構PU10(PU101,PU102)を設け、その後に、2台の処理ユニットUC(UC1,UC2)を設けても良い。
【0107】
このような構成では、切断機構CU101、CU102の何れかで切断された単位長(例えば400m)の基板が、5台の処理ユニットUB1〜UB5のうちの空いている何れかのユニットに送られるように、選択投入機構ST2を構成し、接合機構PU101、PU102の各々が、5台の処理ユニットUB1〜UB5の何れかで処理された単位長(例えば400m)の基板を受け入れられるように、選択投入機構ST2を構成する。
【0108】
また、最初の処理ユニットUA1、UA2の処理においては、処理ユニットUA1が供給ロールRRAからの基板を単位長(例えば400m)だけ処理したら、処理ユニットUA2が供給ロールRRAからの基板の処理を開始するようにするに、意図的な時間差を与えるのが良い。
【0109】
このようにすると、2台の処理ユニットUA1、UA2の各々に親ロール(RRA)を同時に装着するロール交換作業(生産の一時的な中断が発生すること)が避けられると共に、各処理ユニットを効率的に稼働させることができる。
【0110】
第2実施形態
以下、本発明の基板処理装置及び基板処理方法の実施形態を、
図9から
図25を参照して説明する。本実施形態において、上記の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略する。
【0111】
図9は、本実施形態の基板処理置としてのデバイス製造システム(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)SYSの一部の構成を示す図である。ここでは、デバイス製造システムSYSが、供給ロール(第1ロール)RR1を装着する第1装着部RS1、供給ロール(第2ロール)RR2を装着する第2装着部RS2(保持部)、回収ロール(第3ロール)RR3を装着する第3装着部RS3、回収ロール(第4ロール)RR4を装着する第4装着部RS4を備え、供給ロールRR1、RR2の何れか一方から引き出された可撓性の基板P(シート、フィルム等)が、順次、第1スプライサー部(基板つなぎ換え機構)CSa、第1バッファ機構BF1、n台の処理装置U1,U2,U3,U4,U5,…Un、第2バッファ機構BF2、第2スプライサー部(第2基板つなぎ換え機構)CSbを経て、回収ロールRR3、RR4の何れか一方に巻き上げられるまでの例を示している。
【0112】
なお、本実施形態では、第1、第2バッファ機構BF1、BF2、処理装置U1…Unに処理基板として投入された基板については基板Pと適宜称して説明する。投入前で供給ロールRR1、RR2から引き出された基板については基板P1、P2と適宜称して説明する。処理装置U1…Unによる処理後に回収ロールRR3、RR4で回収される基板については基板P3、P4と適宜称して説明する。
【0113】
上位制御装置CONT(制御部、第2制御部)は、製造ラインを構成する各処理装置U1〜Un、及び第1、第2スプライサー部CSa、CSb、第1、第2バッファ機構BF1、BF2を統括制御する。また、上位制御装置CONTは、第1装着部RS1において供給ロールRR1に装着されるモータ軸MT1の回転駆動、及び第2装着部RS2において供給ロールRR2に装着されるモータ軸MT2の回転駆動を制御する。また、上位制御装置CONTは、基板P1(第1基板)の切断動作と第1バッファ機構BF1(バッファ機構)における基板P1の蓄積量とを連動させる連動制御部を含む。また、上位制御装置CONTは、基板P(処理基板)の切断動作と第2バッファ機構BF2における基板Pの蓄積量とを連動させる連動制御部を含む。
【0114】
また、
図10に示すように、第1装着部RS1の近傍には、供給ロールRR1における基板P1の供給状況を検出する供給センサS1が設けられている。供給センサS1は、基板P1の供給終了が検出された際に、終了信号を上位制御装置CONTに出力する。同様に、第2装着部RS2の近傍には、供給ロールRR2における基板P2の供給状況を検出する供給センサS2が設けられている。供給センサS2は、基板P2の供給終了が検出された際に、終了信号を上位制御装置CONTに出力する。
【0115】
図9において、直交座標系XYZは、基板Pの表面(又は裏面)がXZ面と垂直となるように設定され、基板Pの搬送方向(長尺方向)と直交する幅方向がY軸方向に設定されるものとする。なお、その基板Pは、予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、或いは、表面に精密パターニングの微細な隔壁構造(凹凸構造)を形成したものでもよい。
【0116】
図10は、第1スプライサー部CSa及び第1バッファ機構BF1の概略構成を示す図である。
【0117】
第1スプライサー部CSaは、供給ロールRR1、RR2の何れか一方から引き出されて第1バッファ機構BF1に送り出す基板を、供給ロールRR1、RR2の何れか他方から引き出された基板につなぎ換えるものであって、ニップ駆動ローラNR1、切断接合ユニットCU1、CU2を備えている。また、第1スプライサー部CSa(基板つなぎ換え機構)は、切断される基板P1(第1基板)の終端部となる位置に供給ロールRR2(第2ロール)から供給される基板P2(第2基板)の先端部を接合した後に、基板P1(第1基板)を切断するように切断動作及び接合動作を制御する制御部を備えている。
【0118】
ニップ駆動ローラNR1は、上位制御装置CONTの制御下で、基板P1あるいは基板P2を保持して第1バッファ機構BF1に送る、または基板Pの送りを停止するものであって、Z軸方向で第1装着部RS1と第2装着部RS2との略中間位置に配置される。
【0119】
切断接合ユニットCU1、CU2は、ニップ駆動ローラNR1のZ軸方向の位置を通るXY平面と平行な仮想接合面VF1を中心としてZ軸方向に対称に配置されている。切断接合ユニットCU1は、仮想接合面VF1に臨む位置に吸着パッド1A、カッター2A、及びテンションローラ3Aを備えている。また、切断接合ユニットCU1は、不図示の回転機構により、
図10に実線で示すように、切断接合ユニットCU2と吸着パッド1Aとが対向する接合位置と、
図10に二点鎖線で示すように、吸着パッド1Aが第1装着部RS1と対向する貼設位置との間を回転移動(揺動)する。さらに、切断接合ユニットCU1は、接合位置において、不図示の移動機構により、仮想接合面VF1(すなわち切断接合ユニットCU2)に対して離間・接近する方向に移動する。吸着パッド1Aは、切断接合ユニットCU1が接合位置にあるときに、カッター2Aよりも基板P(基板P1)の送り方向の下流側(+X軸側)に配置されている。
【0120】
同様に、切断接合ユニットCU2は、仮想接合面VF1に臨む位置に吸着パッド1B、カッター2B、及びテンションローラ3Bを備えている。また、切断接合ユニットCU2は、不図示の回転機構により、
図10に実線で示すように、切断接合ユニットCU1と吸着パッド1Bとが対向する接合位置と、
図10に二点鎖線で示すように、吸着パッド1Bが第1装着部RS2と対向する貼設位置との間を回転移動(揺動)する。さらに、切断接合ユニットCU2は、接合位置において、不図示の移動機構により、仮想接合面VF1(すなわち切断接合ユニットCU1)に対して離間・接近する方向に移動する。吸着パッド1Bは、切断接合ユニットCU2が接合位置にあるときに、カッター2Bよりも基板P(基板P2)の送り方向の下流側(+X軸側)に配置されている。
【0121】
これら切断接合ユニットCU1、CU2の移動は、上位制御装置CONTによって制御される。
【0122】
第1バッファ機構BF1は、処理装置(処理機構)U1と第1スプライサー部CSaとの間に配置され、第1スプライサー部CSaから送られる基板Pを所定の最長蓄積範囲内で一時的に蓄積してから処理装置U1に送り出すものであって、ダンサーローラ機構DR1とニップ駆動ローラNR2を備えている。
【0123】
ニップ駆動ローラNR2は、第1バッファ機構BF1で蓄積された基板Pを保持して処理装置U1に送るものであって、ダンサーローラ機構DR1よりも基板Pの送り方向下流側でニップ駆動ローラNR1と略同一のZ軸位置に配置される。
【0124】
ダンサーローラ機構DR1は、昇降範囲が相対的に上方に位置する複数の上段ローラRJ1と、昇降範囲が相対的に下方に位置する下段ローラRK1とがX方向に交互に配列され、且つ各ローラRJ1、RK1がそれぞれ独立してZ軸方向に移動可能となっている。上段ローラRJ1の上死点位置JU1及び下死点位置JD1は、下段ローラRK1の上死点位置JU2及び下死点位置JD2よりも上方の位置に設定されている。これらダンサーローラ機構DR1の動作についても、上位制御装置CONTによって制御される。
【0125】
図11は、第2スプライサー部CSb及び第2バッファ機構BF2の概略構成を示す図である。
第2バッファ機構BF2は、処理装置(処理機構)Unと第2スプライサー部CSbとの間に配置され、処理装置Unから送られる基板Pを所定の最長蓄積範囲内で一時的に蓄積してから第2スプライサー部CSbに送り出すものであって、ニップ駆動ローラNR3とダンサーローラ機構DR2とを備えている。
【0126】
ダンサーローラ機構DR2は、昇降範囲が相対的に上方に位置する複数の上段ローラRJ2と、昇降範囲が相対的に下方に位置する下段ローラRK2とがX軸方向に交互に配列され、且つ各ローラRJ2、RK2がそれぞれ独立してZ軸方向に移動可能となっている。上段ローラRJ2の上死点位置JU3及び下死点位置JD3は、下段ローラRK2の上死点位置JU4及び下死点位置JD4よりも上方の位置に設定されている。これらダンサーローラ機構DR2の動作についても、上位制御装置CONTによって制御される。
【0127】
第2スプライサー部CSbは、第2バッファ機構BF2から送られ、回収ロールRR3、RRR4の何れか一方で回収される基板Pを、回収ロールRR3、RRR4の何れか他方に回収されるようにつなぎ換えるものであって、ニップ駆動ローラNR4、切断接合ユニットCU3、CU4を備えている。
【0128】
ニップ駆動ローラNR4は、上位制御装置CONTの制御下で、第2バッファ機構BF2から送られた基板Pを切断接合ユニットCU3、CU4に向けて送る、あるいは基板Pの送りを停止するものであって、Z軸方向の位置は、第3装着部RS3と第4装着部RS4との略中間位置で、XY平面と平行な仮想接合面VF2の位置に配置される。
【0129】
切断接合ユニットCU3、CU4は、仮想接合面VF2を中心としてZ軸方向に対称に配置されている。切断接合ユニットCU3は、仮想接合面VF2に臨む位置に吸着パッド1C、カッター2C、及びテンションローラ3Cを備えている。また、切断接合ユニットCU3は、不図示の回転機構により、
図11に実線で示すように、切断接合ユニットCU4と吸着パッド1Cが対向する接合位置と、
図11に二点鎖線で示すように、吸着パッド1Cが第3装着部RS3と対向する貼設位置との間を回転移動(揺動)する。さらに、切断接合ユニットCU3は、接合位置において、不図示の移動機構により、仮想接合面VF2(すなわち切断接合ユニットCU4)に対して離間・接近する方向に移動する。
【0130】
吸着パッド1Cは、切断接合ユニットCU3が接合位置にあるときに、カッター2Cよりも基板Pの送り方向の上流側(−X軸側)に配置されている。
【0131】
同様に、切断接合ユニットCU4は、仮想接合面VF2に臨む位置に吸着パッド1D、カッター2D、及びテンションローラ3Dを備えている。また、切断接合ユニットCU4は、不図示の回転機構により、
図11に実線で示すように、切断接合ユニットCU3と吸着パッド1Dが対向する接合位置と、
図11に二点鎖線で示すように、吸着パッド1Dが第4装着部RS4と対向する貼設位置との間を回転移動(揺動)する。さらに、切断接合ユニットCU4は、接合位置において、不図示の移動機構により、仮想接合面VF2(すなわち切断接合ユニットCU3)に対して離間・接近する方向に移動する。吸着パッド1Dは、切断接合ユニットCU4が接合位置にあるときに、カッター2Dよりも基板Pの送り方向の上流側(−X軸側)に配置されている。
これら切断接合ユニットCU3、CU4の移動は、上位制御装置CONTによって制御される。
【0132】
図11に示すように、第3装着部RS3において回収ローラRR3は、モータ軸MT3に装着される。第4装着部RS4において回収ローラRR4は、モータ軸MT4に装着される。モータ軸MT3の回転駆動、及びモータ軸MT4の回転駆動は、上位制御装置CONTにより制御される。
【0133】
また、
図11に示すように、第3装着部RS3の近傍には、回収ローラRR3における基板P3の巻き上げ状況を検出する巻き上げセンサS3が設けられている。巻き上げセンサS3は、基板P3の巻き上げ終了が検出された際に、終了信号を上位制御装置CONTに出力する。同様に、第4装着部RS4の近傍には、回収ローラRR4における基板P4の巻き上げ状況を検出する巻き上げセンサS4が設けられている。巻き上げセンサS4は、基板P4の巻き上げ終了が検出された際に、終了信号を上位制御装置CONTに出力する。
【0134】
回収ローラRR3、RR4は、先端部がロール芯に接続され、終端部に基板P3あるいは基板4が接合される引き込み用の引き込み基板(第3基板)PK(
図11では、回収ローラRR4の基板PKのみ図示)を備えている。基板PKとしては、処理装置U1〜Unによる処理が行われる基板Pと同一材料でもよいし、基板Pと略同一厚さで材質が異なるものであってもよい。
【0135】
本実施形態の処理装置U5は、処理装置U4から搬送されてきた基板Pを暖めて、湿式プロセスで湿った基板Pの水分含有量を所定値に調整したり、半導体材料の結晶化や金属ナノ粒子を含むインクの溶剤除去等の為の熱アニール(200°以下)を施したりする加熱乾燥装置であるが、詳細は省略する。その後、幾つかの処理装置を経て、一連のプロセスの最後の処理装置Unを通った基板Pは、第2バッファ機構BF2で一時的に蓄積され、第2スプライサー部CSbで適宜つなぎ換えが行われ、回収ロールRR3あるいは回収ロールRR4に巻き上げられる。
【0136】
次に、上記構成のデバイス製造システムSYSにおける基板Pの処理のうち、第1スプライサー部CSa及び第1バッファ機構BF1の動作について、
図12から
図19を参照して説明する。なお、デバイス製造システムSYSを構成する各種処理装置、構成機器等の動作は上位制御装置CONTによって制御されるが、以下の説明では、上位制御装置CONTが制御することに関する記載は省略する。
【0137】
図12は、供給ロールRR1から引き出された基板P1が、切断接合ユニットCU1のローラ3A及びニップ駆動ローラNR1を介して、第1基板として第1バッファ機構BF1に送られ、第1バッファ機構BF1において一時的に蓄積されている図である。
図12に示されるように、第1バッファ機構BF1においては、上段ローラRJ1が上死点位置JU1に位置し、下段ローラRK1が下死点位置JD2に位置することで、基板Pは第1バッファ機構BF1で最長に近い長さが蓄積されている。
【0138】
第2装着部RS2において、供給ロールRR1の基板P1が尽きた場合につなぎ換えられる基板P2を巻かれた供給ロールRR2がモータ軸MT2に装着されると、切断接合ユニットCU2を回動して吸着パッド1Bを貼設位置に移動させる。貼設位置にある吸着パッド1Bに対しては、基板P2の先端部を吸着(連結又は接続)させて固定し、その後、吸着側と逆側の面に両面テープTを貼設する。
上記の基板P2の吸着パッド1Bへの吸着、及び両面テープTの貼設は、オペレータによって行われるか、ロボット等を用いて行われる。
【0139】
両面テープTが貼設された基板P2の吸着パッド1Bへの吸着固定が完了すると、
図13に示すように、切断接合ユニットCU2を回動して基板P2を接合位置に移動させるとともに、モータ軸MT2の回転駆動により供給ロールRR2を、基板P2の供給方向とは逆方向(
図13では反時計回り方向)に回転させることにより、基板P2に所定のテンションを付与しておく。
【0140】
一方、供給センサS1が、供給ロールRR1からの基板P1の供給終了を検出すると、ニップ駆動ローラNR1の駆動を停止するとともに、モータ軸MT1を基板P1の送り方向と逆方向に回転駆動することにより、ニップ駆動ローラNR1と供給ロールRR1との間の基板P1に弱いテンションを付与する。
【0141】
ニップ駆動ローラNR1の駆動停止後もニップ駆動ローラNR2は駆動を継続している。そのため、ダンサーローラ機構DR1が作動し、ニップ駆動ローラNR2の駆動に応じて、上段ローラRJ1の下降、及び下段ローラRK1の上昇を適宜行わせる。これにより、第1バッファ機構BF1に蓄積されていた基板Pが、ニップ駆動ローラNR2によって処理装置U1に一定速度で送られ続けることになる。
【0142】
次に、
図14に示すように、切断接合ユニットCU1、CU2を互いに接近する方向に移動させ、両面テープTを介在させた状態で吸着パッド1A、1B間で基板P1、P2を一定時間圧着する。これにより、基板P2は、後工程で切断されることで基板P1の終端部となる位置に、両面テープTを介して基板P1と貼り合わされて接合される。
【0143】
なお、基板P1、P2の接合処理が行われている間も、ニップ駆動ローラNR2及びダンサーローラ機構DR1は継続して駆動され、第1バッファ機構BF1に蓄積されていた基板Pが、ニップ駆動ローラNR2によって処理装置U1に一定速度で送られ続けられている。
【0144】
基板P1と基板P2とが接合されると、切断接合ユニットCU2における吸着パッド1Bを大気開放した後に、
図15に示すように、切断接合ユニットCU2を切断接合ユニットCU1から離間する方向(+Z軸方向)に移動させる。これにより、供給ロールRR2から引き出された基板P2の先端部は、両面テープTにより基板P1に接合(連結又は接続)された状態で切断接合ユニットCU1の吸着パッド1Aに吸着保持される。
【0145】
この後、切断接合ユニットCU1と供給ロールRR1との間で基板P1にテンションを付与した状態で、切断接合ユニットCU1におけるカッター2Aにより、対向する基板P1を切断する。カッター2Aとしては、例えば、基板P1の幅方向(Y軸方向)に刃先をスライドさせることにより基板P1を切断する構成を採ることができる。
【0146】
基板P1の切断処理が行われている間も、ニップ駆動ローラNR2及びダンサーローラ機構DR1は継続して駆動され、第1バッファ機構BF1に蓄積されていた基板Pが、ニップ駆動ローラNR2によって処理装置U1に一定速度で送られ続けられている。
【0147】
基板P1が切断されると、切断接合ユニットCU1における吸着パッド1Aを大気開放した後に、
図16に示すように、切断接合ユニットCU1を切断接合ユニットCU2(仮想接合面VF1)から離間する方向(−Z軸方向)に移動させる。これにより、供給ロールRR1から引き出された基板P1は、供給ロールRR1の送り方向と逆方向の回転でこの供給ロールRR1に巻き取られる。
【0148】
また、供給ロールRR2については、供給ロールRR2の送り方向と逆方向の回転トルクにより、基板P2は回転ロールRR2とニップ駆動ローラNR1(及びローラ3B)との間でテンションを付与される。これにより、第1バッファ機構BF1に蓄積されていた基板Pに接続される基板が供給ロールRR2から引き出された第2基板としての基板P2に切り換えられる。第2基板としての基板P2は、基板P1(第1基)と同等の規格を有してもよい。
【0149】
この後、ニップ駆動ローラNR1がニップ駆動ローラNR2よりも僅かに早い速度で回転し、ダンサーローラ機構DR1においては、
図17に示すように、ニップ駆動ローラNR1の駆動に応じて、上段ローラRJ1の上昇、及び下段ローラRK1の下降を適宜行わせる。また、モータ軸MT2が送り方向に回転駆動されることにより、供給ロールRR2から引き出された基板P2が送り込まれ、第1バッファ機構BF1における基板Pの蓄積長さが増加する。
【0150】
そして、第1バッファ機構BF1における基板Pの蓄積長さがほぼ最大となったら、ニップ駆動ローラNR1はニップ駆動ローラNR2と同じ速度で回転することで、第1バッファ機構BF1における基板Pの蓄積長さが均衡する。また、ほぼ基板P1が尽きた供給ロールRR1は、第1装着部RS1から取り外され(着脱可能)、
図18に示すように、基板P5が巻かれた別の供給ロールRR5が装着される。
【0151】
供給ロールRR5が装着されると、供給センサS2の検出結果に基づき、供給ロールRR2における基板P2が尽きる前に、
図18に示すように、切断接合ユニットCU1を回動して吸着パッド1Aを貼設位置に移動させる。貼設位置にある吸着パッド1Aに対しては、基板P5の先端部を吸着させて固定(連結又は接続)し、その後、吸着側と逆側の面に両面テープTを貼設する。
【0152】
その後、モータ軸MT1の回転駆動により供給ロールRR5を、基板P5の供給方向とは逆方向(
図18では反時計回り方向)に回転させることにより、基板P5に所定のテンションを付与しつつ、切断接合ユニットCU1を回動して、
図19に示すように、接合位置に移動させる。
【0153】
そして、供給センサS2が、供給ロールRR2における基板P2の供給終了を検出すると、ニップ駆動ローラNR1の駆動を停止するとともに、上述した手順と同様に、切断接合ユニットCU1、CU2を互いに接近する方向に移動させ、両面テープTを介在させた状態で吸着パッド1A、1B間で基板P2、P5を一定時間圧着し、さらに、切断接合ユニットCU2におけるカッター2Bにより基板P2を切断する。これにより、第1バッファ機構BF1に蓄積されていた基板Pに接続される基板が供給ロールRR5から引き出された基板P5に切り換えられる。
【0154】
このように、順次切り換えられた基板Pは、処理装置U1における感光性機能液の塗布処理、処理装置U2における加熱処理、処理装置U3におけるパターン露光処理、処理装置U4におけるウェット処理及び処理装置U5における加熱乾燥処理が施された後に、第2バッファ機構BF2、第2スプライサー部CSbに順次送られて、回収ロールRR3、あるいは回収ロールRR4に回収される。
【0155】
次に、上記構成のデバイス製造システムSYSにおける基板Pの処理のうち、回収ロール側の第2スプライサー部CSb及び第2バッファ機構BF2の動作について、
図20から
図25を参照して説明する。
【0156】
図20は、ニップ駆動ローラNR3を介して、処理基板である基板Pが第2バッファ機構BF2に送られて蓄積され、第2バッファ機構BF2からニップ駆動ローラNR4を介して送られた(排出された)基板Pが、切断接合ユニットCU3のローラ3Cを介して第3装着部RS3に装着された回収ロールRR3に回収されている図である。また、
図20に示されるように、第2バッファ機構BF2においては、上段ローラRJ2が下死点位置JD3に位置し、下段ローラRK2が上死点位置JU4に位置することで、基板Pは第2バッファ機構BF2で最短に近い長さが蓄積されている。
【0157】
第4装着部RS4において、回収ロールRR3の巻き上げ回収が完了した後に、基板Pを回収する回収ロールRR4がモータ軸MT4に装着されると、切断接合ユニットCU4を回動して吸着パッド1Dを貼設位置に移動させる。貼設位置にある吸着パッド1Dに対しては、先端部が回収ロールRR4に接続された引き込み基板PK(以下、単に基板PKと称する)の終端部を吸着させて固定(連結又は接続)し、その後、吸着側と逆側の面に両面テープTを貼設する。基板PKに両面テープTを貼設したら、切断接合ユニットCU4を回動して接合位置に移動させるとともに、モータ軸MT4の回転駆動により回収ロールRR4を、基板PK(基板P)の回収方向(
図20では時計回り方向)に回転させることにより、基板PKに所定のテンションを付与しておく。
【0158】
そして、巻き上げセンサS3が、回収ロールRR3による基板Pの回収終了を検出すると、ニップ駆動ローラNR4の駆動を停止するとともに、ダンサーローラ機構DR2を作動させて、上段ローラRJ2の上昇、及び下段ローラRK2の下降を適宜行わせる。これにより、処理装置U5からニップ駆動ローラNR3によって送られる基板Pは、第2バッファ機構BF2における蓄積長さを一定量(製造ラインでの基板Pの搬送速度に応じた送り量)で増加させながら蓄積される。
【0159】
一方、回収ロールRR3による基板Pの回収が終了すると、
図21に示すように、切断接合ユニットCU3、CU4を互いに接近する方向に移動させ、両面テープTを介在させた状態で吸着パッド1C、1D間で基板P、PKを一定時間圧着する。これにより、基板PKの終端部は、後工程で基板Pが切断されたときの先端部となる位置に、両面テープTを介して基板Pと貼り合わされて接合(連結又は接続)される。
【0160】
基板Pと基板PKとが接合されると、切断接合ユニットCU4における吸着パッド1Dを大気開放した後に、
図22に示すように、切断接合ユニットCU4を切断接合ユニットCU3から離間する方向(+Z軸方向)に移動させる。これにより、基板PKの先端部は、両面テープTにより基板Pに接合された状態で切断接合ユニットCU3の吸着パッド1Cに吸着保持される。
【0161】
この後、切断接合ユニットCU3と回収ロールRR3との間で基板Pにテンションを付与した状態で、切断接合ユニットCU3におけるカッター2Cにより、対向する基板Pを切断する。基板Pが切断されると、切断接合ユニットCU3における吸着パッド1Cを大気開放した後に、
図23に示すように、切断接合ユニットCU3を切断接合ユニットCU4から離間する方向(−Z軸方向)に移動させる。これにより、第2バッファ機構BF2から送られる基板P(すなわち、処理装置U1〜Unで処理が行われた基板P)の回収先が回収ロールRR4に切り換えられる。
【0162】
上記の第2スプライサー部CSbにおける接合処理及び切断処理が行われている間にも、第2バッファ機構BF2内の上段ローラRJ2の上昇、及び下段ローラRK2の下降が適宜行われ、処理装置U5からニップ駆動ローラNR3によって送られる基板Pは、第2バッファ機構BF2における蓄積長さを一定量で増加させながら蓄積されている。
【0163】
そして、回収ロールRR4への基板Pの回収先切り換えが完了すると、ニップ駆動ローラNR4がニップ駆動ローラNR3よりも僅かに早い速度で回転し、ダンサーローラ機構DR2においては、ニップ駆動ローラNR4の駆動に応じて、上段ローラRJ2の下降、及び下段ローラRK2の上昇を適宜行わせ、第2スプライサー部CSbにおける接合処理及び切断処理の間に第2バッファ機構BF2に蓄積された基板Pの長さを減少させ、初期状態であるほぼ最小の蓄積長さとする(
図24参照)。第2バッファ機構BF2に蓄積された基板Pの長さがほぼ最小となった後には、ニップ駆動ローラNR4をニップ駆動ローラNR3と同じ速度で回転させる。
【0164】
一方、基板Pの回収が完了した第3装着部RS3においては、回収ロールRR3を取り外して、
図24に示すように、引き込み基板PK2(以下、単に基板PK2と称する)の先端部が接続(連結又は接合)された回収ロールRR6をモータ軸MT3に装着するとともに、貼設位置に回動した切断接合ユニットCU3の吸着パッド1Cに基板PK2の終端部吸着させて固定し、その後、吸着側と逆側の面に両面テープTを貼設する。
【0165】
基板PK2に両面テープTを貼設したら、切断接合ユニットCU3を回動して接合位置に移動させるとともに、モータ軸MT3の回転駆動により回収ロールRR6を、基板PK2(基板P)の回収方向(
図25では時計回り方向)に回転させることにより、基板PK2に所定のテンションを付与した状態で、巻き上げセンサS4による回収ロールRR3の回収終了検出まで待機する。
【0166】
以上説明したように、本実施形態では、第1バッファ機構BF1で基板Pを一時的に蓄積して処理装置U1に送っている間に、基板Pに新しい供給ロールRR2から引き出した基板P2につなぎ換えて、第1バッファ機構BF1に送っている。そのため、処理装置U1〜Unによる各処理を停止することなく、供給元となるロールを変更することが可能になる。したがって、本実施形態では、供給ロールの変更時点で処理装置U1〜Unに投入されていた基板Pが無駄となってコスト増を招くという事態を回避することができる。
【0167】
さらに、本実施形態では、処理装置Unから送られる基板Pを第2バッファ機構BF2で一時的に蓄積している間に基板の回収先を切り換える。そのため、基板Pの回収先を変更する際にも、変更時点で処理装置U1〜Unに投入されていた基板Pが無駄となってコスト増を招くという事態を回避することができる。
【0168】
また、本実施形態では、第1スプライサー部CSa及び第2スプライサー部CSbにおいて、従前に用いられていた基板に新たな基板を接合した後で、従前の基板を切断している。そのため、先に切断を実行した場合に、付与されているテンションで切断時に基板が分離してしまい接合に支障を来す等の不具合を生じさせることなく、安定した基板処理を実行することができる。
【0169】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0170】
例えば、上記実施形態では、処理機構が複数の処理装置U1〜Unを備える構成を例示した。しかし、これに限定されるものではなく、一つの処理装置に上述した基板つなぎ換え機構が設けられる構成であってもよい。
【0171】
また、上記実施形態では、引き込み基板PKが接続された回収ロールを別途備える構成とした。しかし、例えば、使用済みで先端部の基板が切断された供給ロールを用いる構成であってもよい。
【0172】
また、上記実施形態では、供給側及び回収側でそれぞれ2つのロール装着部を備える構成とした。しかし、それぞれ3つ以上のロール装着部を備えてもよい。
【0173】
上記実施形態では、2つの供給ロールの一方から供給される基板がロールエンドになる前に、自動的に、他方のロールからの基板をつぎ足すことで、製造ラインを止めることなく、処理を継続するようにした。製造ラインのどこかで、基板上に作られるパターンに欠陥が生じたり、製造装置の不具合が発生したりすると、大量の不良品を作り出してしまうおそれがある。
【0174】
そこで、最終製品ができるまでの製造ラインにおいて、長尺の基板のままプロセスを行なう多数の工程を幾つかのブロックに分け、各ブロック内では、ロール・ツー・ロールによる連続処理を行ない、次の工程ブロックには、半完成品が形成された基板を巻き取ったロール単位で搬送して、所定の装着部(RS1、又はRS2)にセットする、と言う製造ライン(工場)構成であっても良い。その場合、基板搬送は、工程ブロック単位で連続的に行なうことができ、ある工程ブロックで問題(パターン欠陥や装置不具合等)が発生した場合でも、その工程ブロックのみを一時的に停止させるだけで済み、不良品の大量発生を少なくすることができる。
【0175】
また、上記の実施形態では、2つの装着部RS1、RS2の各々に装着される供給ロールRR1、RR2は、製品製造用のシート状の基板が同等の長さ分巻かれたものとし、一方の供給ロールRR1からの基板供給が終わる(ロールエンド)直前に、他方の供給ロールRR2の基板につなぎ変えて、供給ロールRR2の基板の終わりまで処理を続けるものとした。しかしながら、装着部RS1、RS2の一方に装着される供給ロールは、ロールエンドとなる他方の供給ロールを新しいロールに交換する間だけ、処理装置U1〜Unに基板を供給し続けるような使い方をしても良い。
【0176】
その場合、例えば、ロールエンドとなる供給ロールをRR2とし、そのロールRR2を装着部RS2から取り外し、新しい供給ロールを装着部RS2に装着し、第1スプライサー部CSaでの接合準備が完了する状態(
図13の状態)までの段取り時間を180秒とすると、この間、他方の供給ロールRR1から処理装置U1(製造ライン)に投入される基板(P1)の長さは、処理中の基板の送り速度を50mm/秒とすると、9mとなる。
【0177】
そこで、その9m分の基板(P1)が他方の供給ロールRR1から供給されたら、直ちに第1スプライサー部CSaによって、装着部RS2に装着された新たな供給ロールRR2からの基板(P2)の先端を、供給ロールRR1から処理装置U1にほぼ9mだけ投入された基板(P1)の位置に接合(連結又は接続)した上で、その基板(P1)を切断し、供給ロールRR2からの基板(P2)につなぎ変えても良い。
【0178】
また、そのように、装着部RS1に装填される供給ロールRR1からの基板(P1)を、一時的なつなぎの基板(例えば約9m分)として利用する場合、その基板(P1)に対して行なわれる処理については、各処理装置U1〜Unの条件出しやメンテナンス管理の為のパイロット処理とし、そこに形成されるデバイスは最終製品として使わないようにしても良い。
【0179】
さらに、一時的なつなぎの基板(例えば約9m分)として利用する場合は、その基板(P1)を供給ロールRR1に巻き付けておく必要はなく、例えば10m分の長さに切った枚葉の基板を折り畳んでケース等に保管しておき、そのケースから1枚ずつ基板(10m)を取り出して第1スプライサー部CSaに供給するようにしても良い。
【0180】
なお、本発明の技術範囲は、上述の各実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の各実施形態で説明した要素の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の各実施形態で説明した要素は、適宜組み合わせることができる。