(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の発光素子は、平面視において、前記底面の平面視形状である略正方形の辺と、前記発光素子の平面視形状である六角形の辺の少なくとも一部とが、平行となる向きで配置される請求項1に記載の発光装置。
前記発光素子は、外部と接続するための1対の電極の一方が、平面視で最長の対角線の一端の近傍に配置され、前記1対の電極の他方が、平面視で前記最長の対角線の他端の近傍に配置される請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、例えば平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
【0012】
また、実施形態に係る発光装置及びその製造方法において、「上」、「下」、「左」及び「右」などは、状況に応じて入れ替わるものである。本明細書において、「上」、「下」などは、説明のために参照する図面において構成要素間の相対的な位置を示すものであって、特に断らない限り絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0013】
<第1実施形態>
[発光装置の構成]
第1実施形態に係る発光装置の構成について、
図1A〜
図1Dを参照して説明する。
図1Aは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的斜視図である。
図1Bは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
図1Cは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的断面図であり、
図1BのIC−IC線における断面図である。
図1Dは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的断面図であり、
図1BのID−ID線における断面図である。
【0014】
第1実施形態に係る発光装置100は、平面視形状が六角形である2個の発光素子1とパッケージ2とを備えて構成されている。
発光素子1は、パッケージ2の、上面側に開口を有する凹部23a内に設けられ、当該凹部23aの底面23bを構成するリード電極21,22と、それぞれワイヤ4で電気的に接続されている。発光素子1は、凹部23aの底面23bにダイボンド樹脂61を用いて接合されている。また、凹部23a内には、保護素子5が設けられ、導電性を有する接合部材62とワイヤ4とで、リード電極21,22と電気的に接続されている。更に、凹部23a内には透光性を有する封止樹脂3が設けられ、発光素子1及び保護素子5が封止されている。
また、発光素子1が発する光は、透光性を有する封止樹脂3を介して凹部23aの開口から上面方向に出射される。
なお、
図1A、
図1Bにおいて、網掛けハッチングは、凹部3aに封止樹脂3が存在することを示すものである。
【0015】
発光素子1は、パッケージ2の上面側に開口した凹部23aの底面23bに設けられた一方の極性のリード電極21にダイボンド樹脂61を用いて接合されている。また、発光素子1の正負のパッド電極(アノード及びカソード)は、それぞれ対応する極性のリード電極21,22とAu,Ag,Cu,Alなどのボンディング用のワイヤ4を用いて電気的に接続されている。
また、発光素子1は、2個搭載されているが、3個以上搭載することもできる。複数の発光素子は、同じ色又は互いに異なる色を発するものでもよい。
【0016】
ここで、発光素子1の構成例について、
図2A及び
図2Bを参照して説明する。
図2Aは、第1実施形態に係る発光装置における発光素子の構成を示す模式的平面図である。
図2Bは、第1実施形態に係る発光装置における発光素子の構成を示す模式的断面図であり、
図2AのIIB−IIB線における断面図である。
なお、本実施形態において、発光装置100はトップビュー型であるため、基板11の主面が発光装置100の上面、すなわち凹部23aの底面23bに対して平行となるように、発光素子1が実装される。
【0017】
発光素子1は、LEDなどの半導体発光素子を好適に用いることができる。本実施形態における発光素子1は、平面視で正六角形に形成され、基板11と、半導体積層体12と、n側電極13と、p側電極14と、保護膜15とを備えて構成されている。また、本実施形態における発光素子1は、基板11の一方の主面上に、LED(発光ダイオード)構造を有する半導体積層体12を備え、更に半導体積層体12の一方の面側にn側電極13及びp側電極14とを備え、フェイスアップ型の実装に適した構造を有している。
【0018】
発光素子1の平面視での外形形状は正六角形である。このため、複数個の発光素子1を搭載する際に、互いに隣接して配置される発光素子1の対応する側面同士の少なくとも一部が平行に対面しないような向きで配置することができる。
なお、発光素子1の平面視での外形形状は正六角形に限定されず、全ての内角が180°未満であり、五角以上の凸多角形とすることができる。発光素子1の平面視での外形形状の他の例については後記する。
【0019】
本明細書において、発光素子1の側面同士が「平行」又は「略平行」とは、平行からの傾斜角が10°以内である場合を含むものとする。
【0020】
基板11は、半導体積層体12をエピタキシャル成長させるために適した基板である。基板11としては、例えば、半導体積層体12をGaN(窒化ガリウム)などの窒化物半導体を用いて形成する場合には、C面、R面、A面の何れかを主面とするサファイアやスピネル(MgAl
2O
4)のような絶縁性基板、また炭化ケイ素(SiC)、ZnS、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、及び窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジム等の酸化物基板が挙げられる。
【0021】
半導体積層体12は、基板11の上面である一方の主面上に、n型半導体層12n及びp型半導体層12pが積層されてなり、n側電極13及びp側電極14間に電流を通電することにより発光するようになっている。半導体積層体12は、n型半導体層12nとp型半導体層12pとの間に活性層12aを備えることが好ましい。
【0022】
半導体積層体12には、p型半導体層12p及び活性層12aが部分的に存在しない領域、すなわちp型半導体層12pの表面から凹んだ段差部12bが形成されている。段差部12bの底面はn型半導体層12nで構成されている。本実施形態では、段差部12bは、発光素子1の右端部近傍及び当該右端部近傍から平面視での発光素子1の中心を半円状に囲むように延伸して設けられている。段差部12bの底面にはn側電極13が設けられ、n型半導体層12nと電気的に接続されている。
また、発光素子1の外縁部にも、p型半導体層12p及び活性層12aが存在しない段差部12cが形成されている。段差部12cは、ウエハを個片化する際の切断領域であるダイシングストリートである。
【0023】
また、p型半導体層12pの上面の略全面には、p側電極14の下層部として透光性電極141が設けられ、更に透光性電極141の上面の一部にパッド電極142が設けられている。また、n側電極13の外部接続部13a及びp側電極14のパッド電極142の外部接続部142aを除き、半導体積層体12、n側電極13及びp側電極14の表面は、保護膜15で被覆されている。
【0024】
半導体積層体12は、液相成長法、HDVPE法やMOCVD法により基板上にZnS、SiC、GaN、GaP、InN、AlN、ZnSe、GaAsP、GaAlAs、InGaN、GaAlN、AlInGaP、AlInGaN等の半導体を積層して形成したものが好適に用いられる。半導体材料としては、混晶度の選択により、紫外光から赤外光までの発光波長を種々選択することができるため、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表される窒化ガリウム系の半導体をより好適に用いることができる。
【0025】
n側電極13は、半導体積層体12の段差部12bの底面において、n型半導体層12nと電気的に接続されるように設けられ、発光素子1に外部からの電流を供給するための負極側の電極である。また、n側電極13は、平面視で発光素子1の右端部近傍に外部接続部13aを有するとともに、外部接続部13aからp側のパッド電極142の外部接続部142aに向かって延伸する延伸部13bとを有している。
n側電極13は、ワイヤボンディングなどによる外部との接続に適するように、例えば、Cu、Au又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を用いることができる。
また、半導体積層体12内を伝播してn側電極13下面に入射する光を反射することで、n側電極13による光の吸収を抑制し、外部への光取り出し効率を高めるために、n側電極13の下層部として、半導体積層体12が発する波長の光に対して、良好な光反射性を有する、例えば、Al、Ru、Ag、Ti、Ni又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を有する材料を用いてもよい。
【0026】
p側電極14は、p型半導体層12pの上面において、p型半導体層12pと電気的に接続されるように設けられ、発光素子1に外部からの電流を供給するための正極側の電極である。また、p側電極14は、透光性電極141とパッド電極142とが積層された構造を有している。
【0027】
下層側の透光性電極141は、p型半導体層12pの上面の略全面を被覆するように設けられている。透光性電極141は、パッド電極142を介して外部から供給される電流をp型半導体層12pの全面に拡散するための電流拡散層として機能するものである。また、半導体積層体12から発した光は、主として透光性電極141を介して外部に取り出される。このため、透光性電極141は、半導体積層体12が発する光の波長に対して良好な透光性を有することが好ましい。
【0028】
透光性電極141は、導電性金属酸化物から形成される。導電性金属酸化物としては、Zn(亜鉛)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Ga(ガリウム)及びTi(チタン)からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む酸化物が挙げられる。具体的には、ZnO、AZO(AlドープZnO)、IZO(InドープZnO)、GZO(GaドープZnO)、In
2O
3、ITO(SnドープIn
2O
3)、IFO(FドープIn
2O
3)、SnO
2、ATO(SbドープSnO
2)、FTO(FドープSnO
2)、CTO(CdドープSnO
2)、TiO
2などの導電性金属酸化物がある。
なかでも、ITOは、可視光(可視領域)において高い透光性を有し、導電率の高い材料であることから、p型半導体層12p上の上面の略全面を覆うのに好適な材料である。
【0029】
上層側のパッド電極142は、透光性電極141の上面の一部に設けられ、外部の電極と接続するための層である。また、パッド電極142は、ワイヤボンディングなどにより外部と接続するための外部接続部142aと、外部接続部142aから延伸する延伸部142bとから構成されている。延伸部142bは、n側電極13の外部接続部13aに向かって、及び延伸部13bを囲むように設けられており、電流をより効率的に拡散させることができるように構成されている。
【0030】
パッド電極142は、前記したn側電極13と同様に、ワイヤボンディングなどによる外部との接続に適するように、例えば、Cu、Au又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を用いることができる。
なお、本実施形態において、パッド電極142は、外部接続部142a及び延伸部142bが、ともに同じ材料で構成されている。
【0031】
また、p型半導体層12p上であって、平面視で、パッド電極142が配置された領域の直下領域及びその近傍領域に、パッド電極142を包含するように絶縁膜を設けてもよい。このように絶縁膜を設けることで、パッド電極142の直下領域のp型半導体層12pに流れる電流を抑制し、当該領域での発光を抑制させることができる。そして、パッド電極142に向かって伝播する光量を低減させることでパッド電極142によって吸収される光量を低減し、その結果として、半導体積層体12全体としての発光量を増加させることができる。絶縁膜としては、透光性を有することが好ましく、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3などの酸化物、SiNなどの窒化物、MgFなどのフッ化物を好適に用いることができる。
【0032】
保護膜15は、透光性及び絶縁性を有し、基板11の側面及び下面を除き、発光素子1の上面及び側面の略全体を被覆する膜である。また、保護膜15は、n側電極13の上面に開口部15nを有し、パッド電極142の上面に開口部15pを有している。当該開口部15n,15pから露出した領域が、外部接続部13a,142aである。
保護膜15としては、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3などの酸化物、SiNなどの窒化物、MgFなどのフッ化物を好適に用いることができる。
【0033】
なお、発光素子1において、n側電極13及びp側電極14の配置領域や形状、層構造など、段差部12bの配置領域や形状などは、本実施形態に限定されるものではなく、適宜に定めることができる。
また、
図1A〜
図1Dにおいては、両極の外部接続部13a,142aのみを、発光素子1のn側電極13及びp側電極14として簡略化して示している。
【0034】
図1A〜
図1Dに戻って、発光装置100の構成について説明を続ける。
パッケージ2は、リード電極21,22と、樹脂部23とを有して構成されている。パッケージ2は、外形が、平面視で略正方形であり、発光装置100の厚さ方向に扁平に形成された略四角柱形状を有している。パッケージ2は、発光素子1を搭載する凹部23aの開口を上面に有しており、当該開口から光が出射されるように構成されており、トップビュー型の実装に適している。
【0035】
リード電極21及びリード電極22は、正負の極性に対応した一対の電極である。リード電極21,22は、樹脂部23に支持されるように設けられ、リード電極21,22の上面が凹部23aの底面23bを構成している。リード電極21の上面には、2個の発光素子1がダイボンド樹脂61を用いて接合されており、ワイヤ4を用いて2個の発光素子1が直列に、リード電極21,22間に電気的に接続されている。また、リード電極22の上面には、保護素子5が接合部材62を用いて接合されており、ワイヤ4及び導電性の当該接合部材62を用いてリード電極21,22間に電気的に接続されている。
【0036】
また、リード電極21,22の下面は、外部と接続するための発光装置100の実装面である。従って、発光装置100は、底面を実装基板と対向させ、半田などの導電性の接合部材を用いて、リード電極21,22の下面が実装基板の配線パターンと接合されることで実装される。
【0037】
リード電極21,22は、板状の金属を用いて形成され、その厚みは均一であってもよいし、部分的に厚く又は薄くなってもよい。
リード電極21,22を構成する材料は特に限定されないが、熱伝導率の比較的大きな材料で形成することが好ましい。このような材料で形成することにより、発光素子1で発生する熱を効率的に、リード電極21,22を介して外部に放熱することができる。リード電極21,22を構成する材料は、例えば、200W/(m・K)程度以上の熱伝導率を有しているもの、比較的大きい機械的強度を有するもの、あるいは打ち抜きプレス加工又はエッチング加工等が容易な材料が好ましい。具体的には、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属又は鉄−ニッケル合金、燐青銅等の合金等が挙げられる。また、リード電極21,22の凹部23aの底面23bとして露出した面には、搭載される発光素子1からの光を効率よく取り出すために、良好な光反射性を有するAgなどの反射メッキが施されていることが好ましい。
【0038】
樹脂部23は、リード電極21,22を支持するためのパッケージ2の母体である。樹脂部23は、上面側に開口を有する凹部23aを有し、当該凹部23aの底面23bは、リード電極21,22で構成されている。また、樹脂部23の下面側は、リード電極21,22が露出し、実装面となっている。
【0039】
凹部23aの底面23bであるリード電極21,22上には2個の発光素子1と1個の保護素子5とが搭載されている。凹部23aの内側面は、上方ほど広がるように傾斜した傾斜面となっており、発光素子1から側方に出射した光を、光取り出し方向である上方に反射させるように構成されている。
また、平面視で略正方形である凹部23aの1つの角は面取りされた形状に形成され、リード電極21,22の極性を識別するためのカソードマーク23cとなっている。
【0040】
樹脂部23は、透光性を有する樹脂に光反射性物質の粒子を含有することで光反射性を付与された材料で形成され、凹部23aにおいて、発光素子1からの光を反射して、上方に効率的に出射させるための光反射部材としても機能する。
また、凹部23a内には透光性の封止樹脂3が充填されている。
【0041】
樹脂部23に用いられる樹脂材料としては、発光素子1が発する光の波長に対して良好な透光性を有することが好ましく、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂では、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂では、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、ポリフタルアミド樹脂、ポリエステル樹脂、液晶樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂又はこれらの樹脂を1種類以上含むハイブリッド樹脂などが挙げられる。なかでも、耐熱性、耐光性の優れるPCT(ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)といったポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂が好ましい。
【0042】
樹脂部23に含有させる光反射性物質としては、前記した樹脂材料との屈折率差が大きく、良好な透光性を有する材料の粒子を用いることが好ましい。
このような光反射性物質としては、屈折率が、例えば1.8以上であって、光を効率的に散乱し高い光取り出し効率を得るためには、2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。樹脂材料との屈折率差は、例えば0.4以上であって、光を効率的に散乱し高い光取り出し効率を得るためには、0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。また、光反射性物質の粒子の平均粒径は、高い効率で光散乱効果を得られるように、0.08μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
【0043】
なお、本明細書において、光反射性物質や波長変換物質などの粒子の平均粒径の値は、電子顕微鏡を用いた観察によるものとする。粒子は一定軸方向の長さについて測定する定方向径を使用し、電子顕微鏡(SEM,TEM)で粒子の大きさを測定する個数基準(個数分布)を用いる。
【0044】
また、光反射性物質として、具体的には、TiO
2(酸化チタン)、ZrO
2(酸化ジルコニウム)、MgO(酸化マグネシウム)、MgCO
3(炭酸マグネシウム)、Mg(OH)
2(水酸化マグネシウム)、CaCO
3(炭酸カルシウム)、Ca(OH)
2(水酸化カルシウム)、CaSiO
3(珪酸カルシウム)、ZnO(酸化亜鉛)、BaTiO
3(チタン酸バリウム)、Al
2O
3(酸化アルミニウム)などの白色顔料の粒子を用いることができる。なかでも、TiO
2は、水分などに対して比較的安定でかつ高屈折率であり、また熱伝導性にも優れるため好ましい。
また、より良好な反射性を得るために、発光素子1が発する光が可視光の場合には、光反射性物質としてTiO
2を用いることが好ましく、紫外光の場合には、光反射性物質としてAl
2O
3を用いることが好ましい。
【0045】
また、当該樹脂材料は、十分な光反射性が得られ、かつ、パッケージの形状を形成する際の成形性が損なわれない範囲で、光反射性物質が含有されている。そのためには、樹脂部23に含有される光反射性物質の含有率は、10質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。10質量%以上とすることにより、樹脂の反射率を上げることができ、樹脂部23からの光抜けを少なくし、光取り出し効率を向上することができる。60質量%以下とすることにより、樹脂の流動性をよくし、成形性を上げることができる。光取り出し効率を向上すること、及び成形性を向上することなどから、樹脂部23に含有される光反射性物質の含有率は、10質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。
【0046】
封止樹脂3は、透光性を有する樹脂材料を主成分とし、樹脂部23の凹部23aを充填するように設けられ、凹部23aの底面23bに搭載される発光素子1及び保護素子5を封止する部材である。また、封止樹脂3は、発光素子1が発する光を異なる波長の光に変換する波長変換物質(蛍光体)を含有するようにしてもよい。例えば、発光素子1が青色光を発し、波長変換物質が青色光の一部を黄色光に変換するように構成することで、これらの光が混色した白色光を発光装置100から出射させることができる。
なお、封止樹脂3に含有させる波長変換物質は複数種類でもよく、波長変換物質に代えて、又は加えて、光拡散性物質を含有させてもよい。
【0047】
封止樹脂3としては、発光素子1が発する光の波長及び前記した波長変換物質が発する光の波長に対して良好な透光性を有し、封止部材として耐候性、耐光性及び耐熱性の良好な材料が好ましい。このような材料としては、前記した樹脂部23と同様の樹脂材料やガラスなどを用いることができる。封止樹脂3の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、アダマンタン樹脂などが挙げられる。特に、耐熱性、耐光性に優れているため、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が好ましい。シリコーン樹脂は、屈折率が1.4〜1.6のものが好ましく、特に屈折率が1.41〜1.55のものが、耐熱性、耐光性、光取り出し性、ガスバリア性が高く耐硫化性が優れていて、LED用としての品質のバランスが優れているため、より好ましい。
【0048】
また、波長変換物質(蛍光体)としては、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、緑〜黄色に発光するセリウムで賦活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑色に発光するセリウムで賦活されたLAG(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体、緑〜赤色に発光するユーロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)系蛍光体、青〜赤色に発光するユーロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)
2SiO
4)系蛍光体、緑色に発光するβサイアロン蛍光体、SrGa
2S
4:Euで表される硫化物蛍光体、赤色に発光するCaAlSiN
3:Euで表されるCASN系又は(Sr,Ca)AlSiN
3:Euで表されるSCASN系蛍光体などの窒化物系蛍光体、赤色に発光するKSF(K
2SiF
6:Mn)系蛍光体、赤色に発光する硫化物系蛍光体などが挙げられる。
また、光拡散性物質としては、前記した光反射性物質と同様の材料を用いることができる。
【0049】
平面視でのダイス面積が同じ場合で比べると、五角形以上の多角形ダイスは、四角形ダイスよりも側面の総面積が大きくなるため、発光素子1からの光を効率よく波長変換物質に照射することが可能となる。このため、発光素子1の周囲に波長変換物質を分散配置して発熱を分散させたり、使用する波長変換物質の量を低減したりすることが可能となり、波長変換物質の熱による劣化が抑えられ、発光装置100の信頼性を向上させることができる。特に、熱劣化しやすい硫化物系、フッ化物系、窒化物系の蛍光体を含む発光装置では非常に効果的で、発熱及び波長変換物質の使用量を低減して、発光装置100の信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、封止樹脂3に含有させる光拡散性物質としては、具体的には、SiO
2、TiO
2、ZrO
2、MgO、MgCO
3、Mg(OH)
2、CaCO
3、Ca(OH)
2、CaSiO
3、ZnO、BaTiO
3、Al
2O
3などの白色顔料の粒子を用いることができる。
【0051】
封止樹脂3に含有される光拡散性物質の粒子の平均粒径は、0.001μm以上10μm以下であることが好ましく、これによって高い効率の光散乱性を得ることができる。特に、封止樹脂3における光拡散性物質の粒子の平均粒径は、0.001μm〜0.05μmがより好ましい。これによって、高い光散乱効果、つまり、レイリー散乱効果や波長変換物質の分散状態を均一にする効果が得られ、発光装置100としての光取り出し効率をより高くすることができる。
また、平均粒径が、好ましくは0.001μm〜0.05μmの光拡散性物質の粒子と、前記した波長変換物質、特に、CASN系、SCASN系のような窒化物系蛍光体、KSF系のようなフッ化物系蛍光体、硫化物系蛍光体とを合わせて用いることにより、光取り出し効率を向上することができる。波長変換物質を均一に分散できるようになることで、また、光取り出し効率が向上する分、波長変換物質の使用量を低減することで、波長変換物質の発熱による温度上昇が抑制できるため、波長変換物質の劣化が低減され、発光装置100の信頼性を向上させることができる。
特に、発光素子1が五角以上の多角形ダイスであり、波長変換物質として硫化物系、フッ化物系又は窒化物系の蛍光体を有し、平均粒径が0.001μm〜10μmの光拡散性物質を含む発光装置100は、封止樹脂3や蛍光体の劣化を低減させたり、光取り出し効率を向上させたりすることができる。
【0052】
ワイヤ4は、発光素子1のn側電極13の外部接続部13a及びp側電極14の外部接続部142a同士、及び外部接続部13a,142aとそれぞれが対応する極性のリード電極21,22とを電気的に接続するものである。また、ワイヤ4は、保護素子5の一方の電極とリード電極21とを電気的に接続するためにも用いられる。
ワイヤ4としては、Au,Cu,Al,Ag又はこれらの何れかの金属を主成分とする合金を好適に用いることができる。
【0053】
保護素子5は、発光素子1を静電放電から保護するために設けることが好ましい。保護素子5としては、ツェナーダイオードを発光素子1と並列に、かつ、逆極性に接続して用いることができる。また、保護素子5として、バリスタ、抵抗、キャパシタなどを用いることもできる。
保護素子5は、リード電極22上に導電性を有する接合部材62を用いて接合されるととともに、保護素子5の一方の電極と電気的に接続されている。また、保護素子5の他方の電極は、ワイヤ4を用いてリード電極21と接続されている。
【0054】
ダイボンド樹脂61は、発光素子1を凹部23aの底面23bに設けられたリード電極21に接着するための接着部材である。
ダイボンド樹脂61としては、発光素子1が発する光や熱によって変色や劣化が起き難い樹脂材料が好ましく、更に、良好な透光性を有し、封止樹脂3の屈折率と同等以下が好ましい。ダイボンド樹脂61の屈折率を封止樹脂3の屈折率と同等以下にすることで、発光素子1からダイボンド樹脂61を介して出射される光が、ダイボンド樹脂61と封止樹脂3との界面で全反射されずに、効率的に外部に取り出すことができる。このような樹脂材料としては、シロキサン骨格を有するシリコーン系のダイボンド樹脂が好ましい。シリコーン系のダイボンド樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーンハイブリッド樹脂、シリコーン変性樹脂が挙げられる。
特に、五角以上の多角形ダイスには、封止樹脂3の屈折率と同等以下の屈折率を持つシリコーンダイボンド樹脂との組み合わせが非常に効果的である。五角以上の多角形ダイスは、四角形ダイスよりも側面の面積が増えるため、発光素子1を介して出射される光も多くなり、効率よく外部へ取り出すことができるようになる。
【0055】
接合部材62は、保護素子5をリード電極22に接合するとともに、保護素子5の一方の電極とリード電極22とを電気的に接続するための半田などの導電性を有する接着剤である。
【0056】
[発光装置の動作]
次に、発光装置100の動作について、
図1Bを参照して説明する。
なお、説明の便宜上、発光素子1は青色光を発光し、封止樹脂3には青色光を吸収して黄色光を発光する波長変換物質が含有されているものとして説明する。
【0057】
発光装置100は、リード電極21,22を介して外部電源に接続されると、ワイヤ4を介して発光素子1に電流が供給され、発光素子1が青色光を発する。発光素子1が発した青色光は、封止樹脂3を伝播する際に、一部が波長変換物質によって黄色光に変換される。そして、これらの光は、凹部23a内に設けられている発光素子1、ダイボンド樹脂61、リード電極21,22、樹脂部23及び封止樹脂3の各部材の界面で一部が反射され、一部が吸収されながら、青色光と黄色光とが混色した白色光として、パッケージ2の凹部23aの開口面から出射される。
【0058】
より詳細には、発光素子1の側面から出射して封止樹脂3内を底面23bに平行な方向に伝播する光の一部は、凹部23aの内側面に照射され、上方に反射されることで外部に取り出される。また、他の一部は、隣接する発光素子1の側面から当該発光素子1内に入射する。発光素子1に入射した光は、前記した経路で一部は外部に取り出されるが、発光素子1の内部で吸収されるため、光取り出し効率が低下する原因となる。特に、隣接する発光素子1の側面が平行に対向する場合は、隣接する発光素子1へ入射する光量が多くなる。
【0059】
本実施形態では、2個の発光素子1は、平面視で、外形形状が正六角形を有し、当該正六角形の辺同士が非平行に対向するように配置されている。このため、一方の発光素子1の側面から出射した光が、他方の発光素子へ入射する割合を低減することができる。そのため、発光素子1の内部で吸収される光量が低減され、結果として、光の外部への取り出し効率が向上する。
【0060】
また、外形形状が正方形である発光素子を主面に垂直な軸回りに45°回転下向きで配置する場合に比べて、配置に必要な面積当たりの発光素子の面積の割合を大きくすることができる。すなわち、このような発光素子1の外形形状及び凹部23aへの配置は、パッケージ2の実装領域における発光素子1の、面積の観点での実装効率を向上させることができる。このため、パッケージ2が従来と同じサイズでありながら、発光装置100を高出力化することができる。また、発光装置100の高出力化に代えて、又は加えて、発光装置100を従来よりも小型化することもできる。
【0061】
[光束の比較実験]
次に、発光素子を2個搭載した場合に、発光素子の形状及び配置の違いにより発光装置から出力される光束を比較した実験について、
図1B及び
図3A〜
図4Cを参照して説明する。
図3Aは、参考例に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
図3Bは、参考例に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
図4Aは、実験例に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
図4Bは、実験例に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
図4Cは、比較例に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
【0062】
本実験では、外形形状が正六角形の発光素子1を2個搭載した第1実施形態の実験例に係る発光装置100,100A,100Bと、外形形状が正方形の発光素子1001を2個搭載した比較例に係る発光装置1100とを作製し、発光装置100,100A,100B,1100の出力光の光束を測定し、当該光束を比較した。
また、参考例として、発光素子1を1個搭載した発光装置110と、発光素子1001を1個搭載した発光装置1110とを作製し、両者の光束を比較した。
なお、発光装置100A,100Bは、第1実施形態に係る発光装置100の変形例である。
【0063】
また、発光素子1と発光素子1001とは、平面視での外形形状の面積が略同じあり、発光素子1001の外形形状である正方形の1辺の長さは約612μmである。また、発光装置110と発光装置1110とで配線長が略同じになるようにワイヤ4を配線した。また、発光素子1,1001の厚さは約150μmであり、パッケージ2の凹部の開口幅は約2.6mmである。
発光素子1001を1個搭載した発光装置1110の光束を100%とすると、発光素子1を1個搭載した発光装置110の光束は99.95%であり、略同じ光束であることを確認した。
【0064】
比較例である発光装置1100は、2個の発光素子1001を、平面視で、発光素子1001の外形形状である正方形の1つの辺同士が平行に対向するように配置したものである。
また、発光装置100Aは、2個の発光素子1を、平面視で、発光素子1の外形形状である正六角形の1つの辺同士が平行に対向するように配置したものである。このとき、n側電極13及びp側電極14の外部接続部が、外形形状の六角形の前記した平行に対向する1辺と平行となる向きで配置し、発光素子1同士を接続するワイヤ4の長さが、発光装置1100と同程度となるようにした。
発光装置1100の光束を100%とした場合に、発光装置100Aの光束は約100.2%であり、発光装置1100よりも出力が向上することを確認した。
【0065】
発光装置100Bは、発光装置100Aと同様に、2個の発光素子1を、平面視で、発光素子1の外形形状である正六角形の1つの辺同士が平行に対向するように配置したものである。このとき、発光素子1間を接続するワイヤ4の長さが、発光装置100Aよりも短くなるように、左側の発光素子1のn側電極13の外部接続部と、右側の発光素子1のp側電極14の外部接続部とが近接するような向きで発光素子1を配置した。
発光装置100Bの光束は約100.6%であり、発光装置100Aよりも出力が向上することを確認した。
このように、発光素子1を接続するワイヤ4の配線長を短くすることで、ワイヤ4による光吸収や反射などが低減され、光取り出し効率を向上させることができる。
【0066】
発光装置100は、前記したように、2個の発光素子1を、平面視で、発光素子1の外形形状である正六角形の1つの角同士が対向し、辺同士が平行に対向しないように配置したものである。このとき、互いに近接する頂点近傍に設けられたn側電極13の外部接続部とp側電極14の外部接続部とがワイヤ4で接続されるため、発光素子1間のワイヤ4の配線長が最短に近くなるように発光素子1が配置されている。
発光装置100の光束は約101.5%であり、発光装置100Bと比べても、更に出力が向上することを確認した。
【0067】
以上説明したように、本実験により、隣接する発光素子1同士の側面が、平行に対面する領域を低減するほど、更に好ましくは発光素子1間を接続するワイヤ4の配線長を短くするほど、出力が向上することが確認できた。
【0068】
[発光装置の製造方法]
次に、発光装置100の製造方法について、
図5A〜
図7Cを参照して説明する。
図5Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図5Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子配置工程の詳細を示すフローチャートである。
図6Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子準備工程において、ウエハを仮想的に区画する境界線を示す模式的平面図である。
図6Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子準備工程において、ウエハ上に発光素子が形成された状態を示す模式的平面図である。
図7Aは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子配置工程において、サブ工程である発光素子接合工程を示す模式的断面図である。
図7Bは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子配置工程において、サブ工程である配線工程を示す模式的断面図である。
図7Cは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法における発光素子配置工程において、サブ工程である封止工程を示す模式的断面図である。
【0069】
(発光装置の製造方法)
第1実施形態に係る発光装置100の製造方法は、発光素子準備工程S101と、パッケージ準備工程S102と、発光素子配置工程S103とが含まれる。
【0070】
発光素子準備工程S101は、
図2A及び
図2Bに示したような構成の、個片化された発光素子1を準備する工程である。
以下に、ウエハレベルプロセスで発光素子1を製造する工程例について説明するが、これに限定されるものではない。なお、ウエハレベルプロセスで発光素子1を製造するに際しては、例えば
図6Aに示すように、個々の発光素子1を区画する仮想線である境界線BDを定め、複数の同形状の発光素子1が形成される。
【0071】
(半導体積層体形成工程)
具体的には、まず、サファイアなどの基板11上に、MOCVD法などにより、前記した半導体材料を用いて、n型半導体層12n、活性層12a及びp型半導体層12pを順次積層した半導体積層体12を形成する。その後、p型半導体層12pにp型化アニール処理をする。
【0072】
(n型半導体層露出工程)
半導体積層体12が形成されると、半導体積層体12の表面の一部の領域について、上面側からp型半導体層12p及び活性層12aの全部、並びにn型半導体層12nの一部をエッチングにより除去してn型半導体層12nが底面に露出した段差部12bを形成する。
また、同時に、境界線BDに沿った領域をエッチングすることで、ダイシングストリートとして段差部12cを形成する。
【0073】
(透光性電極形成工程)
その後、p型半導体層12pの上面の略全面を覆うように、スパッタリング法などにより、ITOなどの透光性導電材料を用いて透光性電極141を形成する。
(p側パッド電極形成工程)
更に、透光性電極141の上面の一部に、スパッタリング法などにより、Cu、Auなどの金属材料を用いてパッド電極142を形成することで、p側電極14を形成する。
【0074】
(n側パッド電極形成工程)
また、段差部12bにおいて、スパッタリング法などにより、n型半導体層12nの上面に、スパッタリング法などにより、Cu、Auなどの金属材料を用いてパッド電極132を形成することで、n側電極13を形成する。
なお、n側電極13とp側電極14とは、何れを先に形成してもよく、一部のサブ工程、例えば、n側電極13とp側のパッド電極142とを同じ工程で形成するようにしてもよい。
【0075】
(保護膜形成工程)
次に、n側電極13及びパッド電極142の上面の外部と接続するための領域である外部接続部13a,142aに開口部15n,15pを有するように、スパッタリング法などにより、SiO
2などの透光性の絶縁材料を用いて、ウエハ全体を被覆する保護膜15を形成する。
【0076】
なお、n側電極13及びp側電極14の各層や保護膜15は、フォトリソグラフィ法により適宜な形状のマスクを形成し、当該マスクを利用したエッチング法やリフトオフ法によりパターニングすることができる。
以上のサブ工程を行うことにより、
図4Bに示したように、ウエハ状態の発光素子1を形成することができる。
【0077】
(個片化工程)
次に、ウエハを境界線BDに沿って切断することで、発光素子1を個片化する。この個片化工程において、非矩形形状に区画される発光素子1を個片化する際には、折れ線状に切断加工することが可能なレーザダイシング法を用いることが好ましい。ウエハ上に、複数の発光素子1を折れ線状に稠密に区画することで、1枚のウエハ当たりに製造できる発光素子1をより多くすることができる。
なお、ダイシングソーを用いたダイシング法やスクライブ法を用いて、ウエハを直線状の切断加工のみで個片化できるように境界線BDを設定するようにしてもよい。
また、ウエハを切断する前に、基板11の裏面を研磨して薄肉化するようにしてもよい。これにより、容易にウエハを切断することができる。
【0078】
レーザダイシング法は、基板11の内部に集光されるようにレーザ光(好ましくは、フェムト秒のパルスレーザ光)を照射して、焦点の近傍の基板11を変質させることで切断溝を形成する手法である。レーザ光を境界線BDに沿って基板11に照射することで、基板11の内部に折れ線状の切断溝を形成することができる。その後、基板11に、例えばローラなど用いて応力を印加することで、境界線BDに沿って形成された切断溝を起点としてウエハを個片化することができる。
なお、レーザダイシング法を用いてウエハを非矩形の形状に切断する手法は、例えば、特開2006−135309号公報に詳しいので、更なる説明は省略する。
【0079】
パッケージ準備工程S102は、
図1A〜
図1Dに示した発光装置100の内のパッケージ2を準備する工程である。この工程で準備されるパッケージ2は、発光素子1が実装されず、封止樹脂3が設けられていない状態のものである。
パッケージ準備工程S102において、パッケージ2を準備するために、例えば、トランスファー成形法や圧縮成形法、射出成形法、押出成形法などの金型を用いた成形方法で製造するようにしてもよいし、市販のパッケージを入手するようにしてもよい。
なお、発光素子準備工程S101とパッケージ準備工程S102とは、何れを先に行ってもよく、並行して行うようにしてもよい。
【0080】
パッケージ2の製造方法の例について説明する。パッケージ2は、板金を打ち抜き加工して形成したリードフレーム(リード電極21,22)を、樹脂部23の形状の空洞を有する上下の金型で挟み込み、金型の一部に設けられたゲート穴から樹脂材料を注入し、注入した樹脂材料を硬化又は固化させた後に金型から取り出すことで製造することができる。また、複数のパッケージ2がリードフレームで連結された状態で製造する場合は、リードフレームを切断することでパッケージ2を個片化する。
【0081】
発光素子配置工程S103は、パッケージ準備工程S102で準備されたパッケージ2の凹部23aに、発光素子準備工程S101で準備された発光素子1を実装する工程である。より詳細には、発光素子配置工程S103は、サブ工程として、発光素子接合工程S201と、配線工程S202と、封止工程S203とを含んで構成される。
【0082】
まず、発光素子接合工程S201において、パッケージ2の凹部23aの底面23bである内部リード部21aの上面に、ダイボンド樹脂61(好ましくは、シリコーン系のダイボンド樹脂)を用いて発光素子1を接合する。このとき、ディスペンサやピン転写などを用いて、リード電極21の上面の接合部位に適量のダイボンド樹脂61を供給する。そして、発光素子1を、n側電極13及びp側電極14が設けられた面を上方に向けて、コレットなど用いて、ダイボンド樹脂61が配置された前記した接合部位に搬送し、平面視で2個の発光素子1の外形形状である六角形の辺同士が、少なくとも一部が非平行に対向する向きで基板11側の面とリード電極21の上面とを接合させる。
また、この工程において、保護素子5を、導電性の接合部材62を用いてリード電極22に接合させる。
【0083】
次に、配線工程S202において、2個の発光素子1がリード電極21,22間に直列に接続されるように、n側電極13、p側電極14及びリード電極21,22間にワイヤ4を配線する。更に、保護素子5の上面側に設けられた電極とリード電極21とが接続されるようにワイヤ4を配線する。ワイヤ4は、ワイヤボンディング装置を用いて配線することができる。
【0084】
次に、封止工程S203において、パッケージ2の凹部23aに、ポッティング法などにより液状の封止樹脂3を充填し、その後に封止樹脂3を硬化させることで発光素子1を封止する。封止樹脂3は、透光性を有する樹脂に、蛍光体(波長変換物質)の粒子や光拡散性物質の粒子を含有するようにしてもよい。
以上説明した手順により、発光装置100を製造することができる。
【0085】
<変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る発光装置について、
図8A〜
図10Fを参照して説明する。
図8A〜
図10Fは、それぞれ第1実施形態の変形例に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
なお、
図8A〜
図10Fにおいては、発光装置100C〜100Pの構成を単純化して示している。すなわち、パッケージ2については、発光素子1を搭載する領域であり、開口及び底面が平面視で正方形である凹部23aのみを示し、発光素子については、平面視での外形形状のみを示している。また、保護素子やワイヤなどの他の部材は省略している。
また、発光素子1についての符号の添字である「P,Q,R,S」は、発光素子1を識別するためのものであり、発光素子1
P,1
Q,1
R,1
Sは、
図2A及び
図2Bに示した発光素子1と同じ構成を有するものである。発光素子1A,1B,1Cについての符号の添字「P,Q,R,S」も同様である。
【0086】
発光装置100Cは、外形形状が正六角形である2個の発光素子1
P,1
Qを横方向に配列したものであるが、平面視で、一方の発光素子1
Qの1辺と、他方の発光素子1
Pの角(頂点)とが対向するように配置されたものである。このため、発光素子1
Pと発光素子1
Qとは、側面が平行に対向する領域を有さない。
【0087】
発光装置100Dは、外形形状が正六角形である発光素子1と、外形形状が正五角形である発光素子1Aとを横方向に配列したものである。このように、角数の異なる多角形を組み合わせて配置するようにしてもよい。
【0088】
発光装置100E〜100Hは、外形形状が正六角形である4個の発光素子1
P,1
Q,1
R,1
Sを、2次元に正方配列するものである。
発光装置100Eは、横方向に隣接する発光素子1
P及び発光素子1
Qの組、及び発光素子1
R及び発光素子1
Sの組は、それぞれ平面視で正六角形の1辺が平行となるように配置されている。この場合であっても、横方向に対向する他の2辺は、平行に対向しない。また、縦方向に隣接する発光素子1
P及び発光素子1
Rの組、及び発光素子1
Q及び発光素子1
Sの組は、平面視で、角同士が対向し、辺同士は何れも平行に対向しない。
このように、複数の発光素子1を2次元に全て同じ向きに正方配列しても、少なくとも一部の辺同士は、平行に対向しないようにすることができる。
【0089】
発光装置100Fは、縦方向及び横方向に隣接する発光素子1同士が、互いに、上面に垂直な軸回りに30°(又は30°+60°×N(Nは整数))回転した向きで配置されている。すなわち、縦方向及び横方向に隣接する発光素子1同士が、平面視で辺と角とが対向するように配置されている。このため、縦方向及び横方向の何れに隣接する発光素子1同士も、平面視で辺同士が平行とならないように配置されている。
【0090】
発光装置100Gは、横方向に隣接する発光素子1同士が、同じ向きとなるように配置し、縦方向に隣接する発光素子1同士が、互いに、上面に垂直な軸回りに30°(又は30°+60°×N(Nは整数))回転した向きとなるように配置するものである。詳細には、発光素子1
P及び発光素子1
Qは、横方向に角同士が対向するように配置され、発光素子1
R及び発光素子1
Sは、横方向に1つの辺同士が平行に対向するように配置されている。このため、縦方向に隣接する発光素子1同士は、1辺と角とが対向する。
【0091】
発光装置100Hは、発光素子1
P,1
R,1
Sの3個が同じ向きで配置され、発光素子1
Qが、他の発光素子1
Pなどに対して、上面に垂直な軸回りに30°(又は30°+60°×N(Nは整数))回転した向きで配置されている。このため、発光素子1
R及び発光素子1
Sの間では、1つの辺同士が平行に対向するが、発光素子1
P及び発光素子1
Qの間では、1つの辺と角とが対向し、辺同士が対向しない。このように、複数の発光素子1の内で、1個の配置する向きを変更するだけでも、平面視で平行に対向する辺を低減することができる。
【0092】
発光装置100I,100Jは、4個の発光素子1を、全て同じ向きに、2次元に千鳥状に配列したものである。
発光装置100Iは、奇数行目(1行目及び3行目)に配列された発光素子1
P,1
S
同士が近接し、かつ、1つの辺同士が対向するように配置されている。また、偶数行目(2行目)に配列された発光素子1
Q,1
R同士が、上下の行に配列された発光素子1
P,1
Sを挟んで離間するように、かつ、1つの角同士が対向するように配置されている。
また、正方配列に比べて、4つの発光素子1が1つの方向(縦方向)について、密に配置されているため、一定の面積に、より多数の発光素子1を配列することができる。
このとき、斜方向に隣接する発光素子1同士、例えば、発光素子1
Pと発光素子1
Qとは、1辺の一部が平行に対向する。また、縦方向に隣接する発光素子1
P,1
S同士は、1つの辺が平行に対向するが、正方配列する場合よりも離れて配置されている。従って、外形形状が正方形の発光素子を同じ向きで正方配列した場合よりも、平行に対向する辺の長さを短くすることができ、発光素子1の側面間において入射する光量を低減することができる。
【0093】
発光装置100Jは、奇数行目(1行目及び3行目)に配列された発光素子1
P,1
S
同士が近接し、かつ、縦方向に1つの角同士が対向するように配置されている。また、偶数行目(2行目)に配列された発光素子1
Q,1
R同士が、上下の行に配列された発光素子1
P,1
Sを挟んで離間するように、かつ、1つの辺同士が平行に対向するように配置されている。発光素子1
Q,1
R同士は、1つの辺が平行に対向するが、距離が離れて配置されているため、発光素子1
Q,1
Rの側面間において光の入射光量が低減される。また、発光装置100Jは、発光装置100Iと同様に、4つの発光素子1が1つの方向(縦方向)について近接して密に配置されている。更に、発光装置100Lは、発光素子1の平面視での最短幅の方向(六角形の1つの辺に直交する方向)が、前記した密に配置される方向と一致するように配置されているため、発光素子1を、より密に配置することができる。
【0094】
発光装置100K〜100Nは、外形形状が正八角形である4個の発光素子1Bを配列するものである。
発光装置100Kは、4個の発光素子1Bを全て同じ向きで2次元に正方配列し、平面視で、縦方向及び横方向に隣接する発光素子1B同士で、外形形状である正八角形の1つの辺同士が平行に対向するように配置するものである。このため、発光装置100Kでは、隣接する発光素子1同士で対向する他の2辺が平行に対向しない。
【0095】
発光装置100Lは、4個の発光素子1Bを全て同じ向きで2次元に正方配列し、発光装置100Bを、上面に垂直な軸回りに22.5°(又は22.5°+45°×N(Nは整数))回転した向きで配置するものである。このため、発光装置100Lでは、全ての発光素子1Bが同じ向きで配置されているが、平面視で、角と角とが対向し、辺同士が平行に対向しない。
【0096】
発光装置100Mは、4個の発光素子1Bを2次元に正方配列し、縦方向及び横方向に隣接する発光素子1B同士が、互いに、上面に垂直な軸回りに22.5°(又は22.5°+45°×N(Nは整数))回転した向きとなるように配置するものである。このため、縦方向及び横方向に隣接する発光素子1B同士は、全ての辺同士が平行に対向しない。
【0097】
発光装置100Nは、4個の発光素子1Bを全て同じ向きで2次元に千鳥状に配列し、縦方向又は横方向に対して、各辺が22.5°傾斜する向きで配置するものである。また、偶数列目(2列目)に配列された発光素子1B
P,1B
S同士が、左右の列に配列された発光素子1B
Q,1
Rを挟んで離間するように、かつ、発光素子1B
P,1B
Sの1つの角同士が近接して対向するように配置されている。斜め方向に隣接する発光素子1B同士(例えば、発光素子1B
P及び発光素子1B
Qの組)は、1つの辺の一部のみが平行に対向し、他の辺は平行に対向しない。また、正方配列に比べて、4つの発光素子1Bが1つの方向(横方向)について、密に配置されているため、一定の面積により多数の発光素子1を配列することができる。
【0098】
発光装置100Eは、外形形状が正五角形の4個の発光素子1Aを、全て同じ向きで正方配列するものである。また、発光装置100Fは、外形形状が正七角形の4個の発光素子1Cを、全て同じ向きで正方配列するものである。
発光装置100E,100Fのように、外形形状において、互いに辺同士が平行となる組み合わせがない場合は、全て同じ向きで正方配列しても、隣接する発光素子1A,1C同士が、何れの辺も平行とならないようにすることができる。
【0099】
なお、発光装置に搭載される発光素子の外形形状は、正多角形に限定されるものではなく、全ての内角が180°未満である五角以上の凸多角形であればよい。また、発光素子の外形形状が円形に近づくほど発光素子の側面から外部に取り出される光が低減するため、八角以下の多角形とすることが好ましい。
また、発光装置に搭載される発光素子の個数は2個又は4個に限定されず、3個又は5個以上であってもよい。更に、発光素子が搭載される領域は正方形又は略正方形に限定されず、長方形、円形、多角形など適宜に定めることができる。
【0100】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る発光装置について、
図11A〜
図11Bを参照して説明する。
図11Aは、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
図11Bは、第2実施形態に係る発光装置における発光素子の構成を示す模式的平面図である。
なお、
図11Aにおいて、
図8A〜
図10Fと同様に、発光装置の構成を簡略化して示している。また、
図11Bにおいて、発光素子の構成は、平面視での外形形状と、n側電極13及びp側電極14のそれぞれの外部接続部とを示している。また、発光素子の外形形状である六角形の頂点を、便宜的にA〜Fで示している。後記する
図12A及び
図12Bについても同様である。
【0101】
[発光装置の構成]
第2実施形態に係る発光装置200は、パッケージ2の凹部23aの底面23b上に、平面視での外形形状が長六角形の4個の発光素子1D(1D
P,1D
Q,1D
R,1D
S)を、中央に略四角形(略正方形)の空間201を開けて、2次元に配列するものである。
なお、パッケージ2は、第1実施形態と同様のものが用いられる。また、発光素子1Dは、平面視での外形形状が異なるだけで、第1実施形態における発光素子1と同様の構成である。従って、各部の構成及び製造方法についての詳細な説明は省略する。
【0102】
発光素子1Dの外形形状である長六角形の頂点A,Dにおける内角は90°以下の同じ角度であり、90°であることが好ましい。また、他の頂点B,C,E,Fにおける内角は135°以上の同じ角度であり、135°であることが好ましい。また、発光素子1Dは、平面視での外形形状が長尺形状を有し、対角線ADが長手方向であり、辺CB上の点から辺EFに降ろした垂線が短手方向である。辺AB,辺CD、辺DE、辺FAの4辺は同じ長さである。また、辺BC及び辺EFは同じ長さであり、他の辺よりも長いことが好ましい。また、n側電極13及びp側電極14のそれぞれの外部接続部は、長手方向のそれぞれ一端の近傍及び他端の近傍に設けられることが好ましい。
本実施形態では、頂点A,Dにおける内角は90°であり、頂点B,C,E,Fにおける内角は135°であり、辺BC及び辺EFが、対角線BF及び対角線CEと同じ長さである場合について説明する。従って、辺BC及び辺EFは、他の辺よりも長い長辺であり、他の辺は短辺である。
【0103】
発光装置200は、平面視で略正方形である凹部23aの底面23bが、発光素子1Dを配置するための領域であり、当該配置領域の平面視での中心がOである。4個の発光素子1Dは、それぞれ一方の長辺を中心Oに向けて配置されている。そのため、4個の発光素子1Dは、これらの中央である中心Oに、略正方形の空間201を開けて配置されている。
なお、4個の発光素子1の中心は、配置領域の中心Oと一致する必要はなく、中心Oからずれた位置であってもよい。
【0104】
また、4個の発光素子1Dは、2次元に千鳥状に配列されているとみることができる。奇数行目(1行目及び3行目)に配列される発光素子1D
P,1D
Sは、平面視で長手方向が横方向と平行となるように配置され、偶数行目(2行目)に配列される発光素子1D
Q,1D
Rは、平面視で長手方向が縦方向と平行となるように配置されている。言い換えれば、奇数行目に配列される発光素子1D
P,1D
Sと、偶数行目に配列される発光素子1D
Q,1D
Rとは、互いに、上面に垂直な軸回りに90°回転した向きで配置されている。
【0105】
4個の発光素子1Dは、互いに、平面視で外形形状の長六角形の短辺同士が平行に対向するように配置されている。また、長六角形の長辺は、平行に対向するが、空間201を介して、比較的に離れて対向している。従って、発光素子1Dの側面から入射する光量が多いのは、1個の発光素子1Dについては、2つの短辺に限定される。
このため、このように複数の発光素子1Dを互いに近接して密に配置しても、発光素子1Dの側面から入射する光量は限定されるため、光の取り出し効率を向上することができる。
【0106】
なお、発光装置200は、第1実施形態に係る発光装置100とは、発光素子の外形形状、発光素子の配置個数及び配置場所が異なるだけであるから、製造方法についての詳細な説明は省略する。
【0107】
[発光装置の光束のシミュレーション]
次に、発光装置200において、発光素子1Dの平行に対向する短辺の距離を変化させたときの出力光の光束をシミュレーションについて、
図12A〜
図13を参照して説明する。
図12Aは、第2実施形態に係る発光装置の光束のシミュレーションに用いた発光素子の配置を説明するための模式的平面図である。
図12Bは、比較例に係る発光装置の光束のシミュレーションに用いた発光素子の配置を説明するための模式的平面図である。
図13は、第2実施形態に係る発光装置及び比較例に係る発光装置についての光束のシミュレーション結果を示すグラフ図である。
【0108】
(シミュレーション条件)
光束のシミュレーションに用いた発光装置200のモデルの形状について説明する。
発光素子1Dは、平面視で、
図11Bに示した長六角形の外形形状を有している。頂点A,Dにおける内角は90°、頂点B,C,E,Fにおける内角は135°である。長辺である辺BC及び辺EFの長さは500μmであり、辺BCと辺EFとの距離は500μmであり、発光素子1Dの厚さは150μmである。従って、平面視での発光素子1Dの外形面積は、375000μm
2である。また、n側電極13を設けるためにp型半導体層12p及び活性層12aを除去した段差部の面積を差し引いた発光面積は、345450μm
2である。
パッケージ2の凹部23aは、開口部において、1辺の長さが2600μmの正方形であり、底面23bにおいて、1辺の長さが2240μmの正方形である。従って、凹部23aの内側面は、断面視で上方ほど広がるように直線的に傾斜した傾斜面となっている。
【0109】
比較例として、発光素子1Dと同じ外形面積、発光面積及び厚さを有し、外形形状が正方形の発光素子1001を搭載した発光装置1200についても光束のシミュレーションを行った。なお、発光素子1001の外形形状である正方形の1辺の長さは、612.38μmである。
【0110】
また、発光装置200について、それぞれ4個の発光素子1Dを、平面視で、外形形状である長六角形の短辺が互いに平行に対向し、4個の発光素子1Dの中心が、凹部23aの底面23bの中心Oと一致するように配置する。また、発光素子1D
P,1D
Sは、外形形状の長辺が、底面23bの形状である正方形の一辺と平行となる向きで配置し、発光素子1D
Q,1D
Rは、外形形状の長辺が、発光素子1D
P,1D
Sの外形形状の長辺と直交する向きで配置する。
更に、発光素子1Dの平行に対向する短辺間の距離を、発光素子1D同士が略密着(
図12Aにおいて「密」で示した状態)する状態から、外側の長辺が底面23bの辺と略接する状態(
図12Aにおいて「粗」で示した状態)まで、段階的に変化させて光束をシミュレーションした。
なお、短辺間の距離は、「密」の状態で7.05μmであり、「粗」の状態で493.5μmである。
【0111】
また、比較例である発光装置1200について、それぞれ4個の発光素子1001を、2行2列に正方配列する。このとき、4個の発光素子1001の中心が凹部23aの底面の中心Oと一致するように配置する。また、発光素子1001の外形形状である正方形が、底面23bの形状である正方形と同じ向きとなるように、4個の発光素子1001を配置する。従って、発光素子1001は、縦方向及び横方向に隣接する発光素子1001と、平面視で、それぞれ外形形状の正方形の1辺が平行に対向するように配置される。
更に、発光素子1001同士で平行に対向する正方形の辺の距離を、発光素子1001同士が略密着(
図12Bにおいて「密」で示した状態)する状態から、外側の長辺が底面23bの辺と略接する状態(
図12Bにおいて「粗」で示した状態)まで、段階的に変化させて光束をシミュレーションした。
なお、平行に対向する辺間の距離は、「密」の状態で7.62μmであり、「粗」の状態で987.62μmである。
【0112】
(シミュレーション結果)
参考のため、パッケージ2の底面23bの略中央に、1個の発光素子1D又は1個の発光素子1001を搭載した場合の発光装置の光束をシミュレーションした。その結果、外形形状が正方形である発光素子1001を1個搭載した発光装置の光束を100%とした場合に、外形形状が長六角形である発光素子1Dを1個搭載した発光装置の光束は、99.6%であった。1個の発光素子を搭載した場合は、外形形状が正方形の方が、光束が若干高かったが、略同等であることを確認した。
【0113】
また、4個の発光素子を搭載し、発光素子の間隔を変化させた場合についてのシミュレーション結果を
図13に示す。
図13において、縦軸は、発光装置200(「●」でプロット)及び発光装置1200(「■」でプロット)について、それぞれと同じ外形形状の発光素子を1個搭載した場合の発光装置の光束を100%とした場合の光束比を示している。また、横軸のチップ間距離は、前記した発光素子同士の平行に対向する辺の距離を示し、前記した「密」の状態を「0」とし、「粗」の状態を「1」としている。
【0114】
発光装置200及び発光装置1200の何れにおいても、チップ間距離が大きくなるほど光束比が上昇しているが、発光装置200の方が発光装置1200よりも全てのチップ間距離において光束比が高く、特に「密」に配置した場合に発光装置200の方が顕著に高くなっている。
【0115】
発光装置1200では、発光素子1001の外形形状である正方形の2辺が隣接する他の発光素子1001と平行に対向する。これに対して、発光装置200では、発光素子1Dの外形形状である六角形の2つの短辺のみが近接して平行に対向する。発光素子1Dの一方の長辺は、他の発光素子1Dの長辺と平行に対向するが、少なくとも、当該長辺の長さ以上の距離が離れているため、長辺に対応する側面から入射する光量は低減される。従って、チップ間距離が小さいほど、すなわち、発光素子を密に配置した場合ほど、発光装置200の方が、発光装置1200よりも外部に取り出される光束が多くなることが分かる。
【0116】
また、発光装置1200において、チップ間距離が「粗」の状態では、光束比が若干低下している。外形形状が正方形である発光素子1001を、パッケージ2の凹部23aの内側面に近接しすぎると、当該凹部23aの内側面からの反射光が、発光素子1001の側面から入射する光量が増加するためである。発光装置200においては、発光素子1Dを凹部23aの内側面に近接させても、平面視で、外形形状の六角形の長辺のみが当該凹部23aの内側面に対応する正方形の1辺と平行に対向し、短辺は正方形の辺と平行に対向しない。このため、凹部23aの内側面で反射されて、発光素子1Dの側面から入射する光の光量が低減される。従って、発光素子1Dを、凹部23aの内側面に接するまで近接して配置しても、発光装置200からの光束は低下しない。
このため、発光装置200の方が、発光素子を凹部23aの内側面に近づけて配置しても、高い光束比を得ることができることが分かる。言い換えれば、発光素子1Dを搭載する領域である凹部23aの底面23bの面積を小さくしても、発光装置200の光束が低下しない。
【0117】
従って、外形形状が六角形である発光素子1Dを、中央に略正方形の空間201を開けて、短辺同士が平行に対向する配置は、パッケージ2の小型化、又は複数の発光素子1Dを搭載して高出力化するのに適した構成であることが分かる。
【0118】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る発光装置について、
図14を参照して説明する。
図14は、第3実施形態に係る発光装置の構成を示す模式的平面図である。
なお、発光素子1D及びパッケージ2は、第2実施形態と同じものが用いられるため、各部の構成についての詳細な説明は省略する。
【0119】
第3実施形態に係る発光装置300は、パッケージ2の凹部23aの底面23b上に、平面視での外形形状が長六角形の4個の発光素子1D(1D
P,1D
Q,1D
R,1D
S)を、十字形状となるように配置するものである。
より詳細には、発光装置300は、4個の発光素子1Dを、短辺に挟まれた90°の内角の頂点を中心Oに向け、2個の発光素子1D
P,1D
Sの長手方向が縦方向と平行になるように、かつ、他の2個の発光素子1D
Q,1D
Rの長手方向が横方向と平行となるように配置する。
なお、4個の発光素子1Dの前記した頂点を向ける中心位置は、配置領域の中心Oと一致する必要はなく、中心Oからずれた位置であってもよい。
【0120】
このとき、平面視で、各発光素子1Dは、90°の内角を挟む2つの短辺同士が互いに平行に対向するように配置される。また、平面視で、各発光素子1Dの2つの長辺は、他の発光素子1Dの何れの辺とも対向せず、また、凹部23aの形状である正方形の辺と平行に対向するが、少なくとも長辺の長さの1.5倍以上の距離が離れている。また、平面視で、各発光素子1Dの他の2つの短辺は、他の発光素子1Dの何れの辺とも対向せず、また、凹部23aの形状である正方形の辺とも平行に対向しない。従って、発光素子1Dの側面からの出射光、及び凹部23aの内側面での反射光が、発光素子1Dの側面から入射する光量が低減されるため、発光装置300を高出力化することができる。
【0121】
また、4個の発光素子1Dは、2次元に千鳥状に配列されているとみることができる。奇数行目(1行目及び3行目)に配列される発光素子1D
P,1D
Sは、平面視で長手方向が縦方向と平行となるように配置され、偶数行目(2行目)に配列される発光素子1D
Q,1D
Rは、平面視で長手方向が横方向と平行となるように配置されている。言い換えれば、奇数行目に配列される発光素子1D
P,1D
Sと、偶数行目に配列される発光素子1D
Q,1D
Rとは、互いに、上面に垂直な軸回りに90°回転した向きで配置されている。
【0122】
なお、発光素子1Dは、第2実施形態における発光素子1Dと同様に、内角及び辺の長さを定めることができる。従って、短辺に挟まれた内角が90°とすることが好ましいが、90°以下であってもよく、他の内角は135°とすることが好ましいが、135°以上であってもよい。
また、発光装置300は、第2実施形態に係る発光装置200とは、発光素子1Dを配置する向きが異なるだけであるから、製造方法についての詳細な説明は省略する。
【0123】
以上、本発明に係る発光装置について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。