【文献】
Hirotsugu KIKUCHI et al.,Polymer-stabilized liquid crystral blue phases,Nature materials,2002年 9月 2日,Vol.1,p.64-68
【文献】
菊池裕嗣 et al.,高分子ネットワークによるブルー相の発現温度範囲の拡大,2002年日本液晶学会討論会講演予稿集,2002年10月 9日,p.165-166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
メソゲン化合物は、以下の式II、Z、N、E、Q−1およびQ−2で表される化合物から成る群より選択されること特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載のメソゲン媒体。
【化33】
(式中、
R
2は、H、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NCS、SF
5、SO
2CF
3または直鎖または分岐状のアルキルで、1〜20個の炭素原子を有しており、置換されていないか、F、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接するCH
2基は、Oおよび/またはSが互いに直接結合されないように、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
1=CY
2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキル、または、
【化34】
であり、
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、
A
21、A
22およびA
23は、それぞれ互いに独立に、
【化35】
であり、ただしA
21およびA
22が2回ある場合は、同一でも異なっていてもよく、
Z
21およびZ
22は、それぞれ互いに独立に、単結合、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CH
2−CF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CF−、−C≡C−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−または−O−CO−であり、ただし、Z
21およびZ
22のそれぞれは、2回ある場合、同一でも異なっていてもよく、
X
2は、ハロゲン、−CN、−NCS、−SF
5、−SO
2CF
3、CNおよび/またはハロゲンでそれぞれ1置換または多置換されたアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、またはアルキルアルコキシまたはアルコキシ基であり、
L
21およびL
22は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
mは、0、1または2であり、
nは、0、1、2または3であり、
oは、0、1または2で、好ましくは0または1であり、
m+n+oは3以下であり、好ましくは2以下である。)
【化36】
(式中、
R
Zは、H、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NCS、SF
5、SO
2CF
3または直鎖または分岐状のアルキルで、1〜20個の炭素原子を有しており、置換されていないか、F、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接するCH
2基は、Oおよび/またはSが互いに直接結合されないように、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
1=CY
2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキル、または、
【化37】
であり、
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、
(F)は、FまたはHであり、
【化38】
であり、
X
Zは、F、Cl、CN、NCS、OCF
3、CF
3またはSF
5である。)
【化39】
(式中、
Rは、H、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NCS、SF
5、SO
2CF
3または直鎖または分岐状のアルキルで、1〜20個の炭素原子を有しており、置換されていないか、F、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接するCH
2基は、Oおよび/またはSが互いに直接結合されないように、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
1=CY
2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキル、または、
【化40】
であり、
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、
(F)は、FまたはHであり、
nは、0または1である。)
【化41】
(式中、
R
0は、H、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NCS、SF
5、SO
2CF
3または直鎖または分岐状のアルキルで、1〜20個の炭素原子を有しており、置換されていないか、F、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接するCH
2基は、Oおよび/またはSが互いに直接結合されないように、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
1=CY
2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキル、または、
【化42】
であり、
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、
(F)は、FまたはHであり、
−F/−CF
3は、−Fまたは−CF
3であり、
【化43】
である。)
【化44】
(式中、
R
0は、H、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NCS、SF
5、SO
2CF
3または直鎖または分岐状のアルキルで、1〜20個の炭素原子を有しており、置換されていないか、F、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接するCH
2基は、Oおよび/またはSが互いに直接結合されないように、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
1=CY
2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキル、または、
【化45】
であり、
Y
1およびY
2は、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNであり、
(F)は、FまたはHであり、
X
Qは、F、Cl、CN、NCS、OCF
3、CF
3またはSF
5であり、
nおよびmは、それぞれ互いに独立に、0または1である。)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明で使用されるメソゲン1反応性化合物は、好ましくは、1個以上の環成分を有しており、直接に結合されているか結合基を介して結合されており、ただし、これらの環成分の2個は直接または結合基を介して互いに結合されていてもよく、記載された結合基と同一であっても異なっていてもよい。環成分は、好ましくは、4員、5員、6員または7員、好ましくは、5員または6員環の群から選ばれる。
【0022】
好ましくは、式IAの1反応性のメソゲンが使用される。
【0023】
【化1】
ただし、R
11は、H、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NCS、SF
5、SO
2CF
3または直鎖または分岐状のアルキルで、好ましくは1〜20個の炭素原子を有しており、置換されていないか、F、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されており、ただし、1個以上の隣接するCH
2基は、Oおよび/またはSが互いに直接結合されないように、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、 −CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY
1=CY
2−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、好ましくはH、ハロゲン、炭素数1〜7好ましくは炭素数2〜5のn−アルキル、n−アルコキシ、炭素数2〜7好ましくは炭素数2〜5のアルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルまたはCN、NCS、ハロゲン、好ましくはF、Cl、ハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくは1、2またはオリゴフッ化アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、特に好ましくはCF
3、OCF
2HまたはOCF
3である。
【0024】
R
01およびR
02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜12のアルキル、または、
【0026】
【化3】
はメソゲン成分で、好ましくは1個以上の環を含み、最も好ましくは、式:
【0028】
【化5】
は、それぞれ互いに独立に、芳香族および/または脂環式環、または2個以上の縮合芳香族または脂環式環、ただし、これらの環はN、Oおよび/またはSから選ばれる1個以上ヘテロ原子を含んでいてもよく、Rで1置換または多置換されていてもよい。
【0029】
Z
11〜Z
14は、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−S−CO−、−CO−S−、−O−CO−O−、−CO−NR
01−、−NR
01−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
01−、−CY
01=CY
02−、−C≡C−、−(CH
2)
4−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合である。
【0030】
Y
01およびY
02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNであるか、その代わりにこれらの1つはHでもよい。
【0031】
RはHまたはアルキルで、好ましくはHまたは炭素数1〜10のアルキルである。
【0032】
PG
11は、重合性または反応性基である。
【0033】
SG
11は、スペサー基または単結合である。
【0034】
X
11はZ
11に与えられる意味の1つを有し、好ましくは−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−または単結合である。
【0035】
本発明の好ましい態様においては、重合体の前駆体は、式IAの化合物に加えて、好ましくは式IBの1種類以上の2反応性メソゲン単量体を含む。
【0038】
【化8】
に与えられる意味を有する。
【0039】
PG
12およびPG
13は、それぞれ互いに独立に、上の式IでPG
11に与えられる意味の1つを有する。
【0040】
SG
12およびSG
13は、それぞれ互いに独立に、上の式IでSG
11に与えられる意味の1つを有する。
【0041】
X
12およびX
13は、それぞれ互いに独立に、上の式IでX
11に与えられる意味の1つを有する。
【0042】
好ましい態様においては、本発明の化合物はキラル化合物、即ち対掌中心、好ましくは対掌的に置換された原子、最も好ましくは対掌的に置換された炭素原子を有する基である。
【0043】
特に好ましくは、式Iおよび/または式IIの1種類以上の化合物を含む重合体前駆体であり、その際、
【0044】
・Z
11および/またはZ
14は、−O−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH
2−O−、−O−CH
2−、−CF
2−O−、−O−CF
2−、−C≡C−、−CH=CH−または単結合であり、最も好ましくは、−CO−O−または−O−CO−または−O−であり、および/または
【0045】
・Z
11は、単結合と異なり、および/または
【0046】
・環A
11は、1個以上の基Rで置換されていてもよいフェニレンであり、および/または
【0047】
・R
11は、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキルまたはアルコキシであるか、炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜7のアルケニル、アルケニルオキシまたはアルキニルであり、および/または
【0048】
・SG
11は、Fで1置換または多置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキレンであり、ただし、1個以上の隣接していないCH
2は、それぞれ互いに独立に、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、環に結合されており、好ましくは、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−および単結合から選ばれる基を介して環A
1に結合されており、および/または
【0050】
MG
12からX
13にとって好ましいことは、MG
12X
11と同じである。
【0051】
好ましい態様において、環A
11〜A
13は、それぞれ互いに独立に、芳香族または脂環式環で、好ましくは5−、6−または7−員環、または2個以上、好ましくは2個または3個の縮合芳香族または脂環式環を含む基であり、ただし、これらの環は、N、Oおよび/またはSから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、Lで1置換または多置換されていてもよく、ただし、LはF、Cl、Br、CN、OH、NO
2および/または炭素数1〜12のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニル基であり、ただし、1個以上のH原子はFまたはClで置き換えられていてもよい。
【0052】
Lは、好ましくは、F、Cl、CN、OH、NO
2、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、OCF
3、OCHF
2またはOC
2F
5、特には、F、Cl、CN、CH
3、C
2H
5、OCH
3、COCH
3またはOCF
3、最も好ましくは、F、Cl、CH
3、OCH
3またはCOCH
3である。
【0053】
好ましい環A
11〜A
13は、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、フェニレン、シクロヘキシレン、シクロヘキセニレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、アズレン、インダン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロピラン、アントラセン、フェナントレンおよびフルオレンである。
【0054】
特に好ましくは、これらの環A
11〜A
13の1個以上は、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノチオフェン−2,5−ジイル、ジチエノチオフェン−2,6−ジイル、ピロール−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、アズレン−2,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、または1,4−シクロヘキシレンから選ばれ、ただし、1個以上の隣接していないCH
2基はOおよび/Sで置き換えられていてもよく、ただし、これらの基は無置換であるか、上に定義されるようなLで1置換または多置換されている。
【0056】
【化9】
は、それぞれ互いに独立に、
【0057】
【化10】
または、それらの鏡像体である。
【0058】
ただし、Rは、炭素数1〜12、好ましく炭素数1〜7のアルキル、または炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜7のアルケニルまたはアルキニルであり、両者において、1個以上の隣接しておらずフェニル環に隣接していない−CH
2−基は−O−および/または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、および/または1個以上のH原子はハロゲン、好ましくはFで置き換えられていてもよく、またはそれらの鏡像体である。
【0059】
ただし、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、上のRに与えられる意味の1つを有し、好ましくは、アルキル、好ましくは、メチル、エチルまたはプロピルである。
【0062】
本発明の好ましい態様において、以下の基
【0063】
【化12】
は、単環A
11〜A
13のみを含む。非常に好ましくは、これは、1個または2個の5−および/または6−員環である。
【0064】
これらの基の好ましい補助式を以下に挙げる。簡単のため、これらの基の中でPheは1,4−フェニレン、PheLは上で定義される1〜4つのLにより置換された1,4−フェニレン基、Cycは1,4−シクロヘキシレン、Pydはピリジン−2,5−ジイル、およびPyrはピリミジン−2,5−ジイルである。好ましい基の以下のリストは、補助式I−1〜I−20およびそれらの鏡像体を含む。
【0065】
【化13】
これらの好ましい基において、Zは式Iで与えられるZ
11の意味を有する。好ましくは、Zは、−COO−、−OCO−、−CH
2CH
2−、−C≡C−または単結合である。
【0067】
【化14】
は、以下の式Ia〜Ijおよびそれらの鏡像体より選ばれる。
【0069】
【化15.2】
ただし、Lは、F、Cl、Br、CN、OH、NO
2および/または炭素数1〜12のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニル基であり、ただし、1個以上のH原子はFまたはClにより置き換えられていてもよく、rは0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2である。
【0072】
【化17】
であり、Lは、それぞれ独立に、上で与えられる意味の1つを有する。
【0073】
式Iの特に好ましい化合物は、少なくとも1つの以下の基を有し、
【0074】
【化18】
ただしrは1または2である。
【0075】
式Iの更に好ましい化合物は、少なくとも2つの以下の基を有し、
【0076】
【化19】
ただしrは1であり、および/または、少なくとも1つの以下の基を有し、
【0080】
ただし、1,4−フェニレン環はR、好ましくはアルキル、好ましくはメチル、および/またはアルコキシおよび/またはハロゲン、好ましくはFで置換されていてもよい。
【0086】
【化24.4】
または、それらの鏡像体である。
【0087】
ただし、Rは上で与えられる意味を有し、好ましくはアルキルで、好ましくは炭素数1〜6で、好ましくはn−アルキルで、ただし、1個以上の隣接していない−CH
2−基は−O−および/または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、および/または1個以上のH原子はハロゲン、好ましくはFで置き換えられていてもよい。
【0088】
本願においては、アルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH
2基が−O−で置き換えられているアルキルは、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有しており、従って、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシであり、さらには、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシ、テトラデコキシである。
【0089】
オキサアルキル、即ち、1つの非末端のCH
2基が−O−で置き換えられているアルキル基は、好ましくは、例えば、直鎖の2−オキサプロピル(即ちメトキシメチル)、2−(即ちエトキシメチル)または3−オキサブチル(即ち2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、または2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルを表す。
【0090】
アルケニル基、即ち、1つ以上のCH
2基が−CH=CH−で置き換えられたアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。好ましくは、直鎖状で、2〜10個の炭素原子を有し、従って、好ましくは、ビニル、プロパ−1−または−2−エチル、ブタ−1−、−2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、−2−、−3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、−2−、−3−、−4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−またはデカ−9−エニルである。
【0091】
特に好ましいアルケニル基は、C
2−C
7−1E−アルケニル、C
4−C
7−3E−アルケニル、C
5−C
7−4−アルケニル、C
6−C
7−5−アルケニルおよびC
7−6−アルケニルであり、特に、C
2−C
7−1E−アルケニル、C
4−C
7−3E−アルケニルおよびC
5−C
7−4−アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。炭素原子の数が5個以下の基が、一般に好ましい。
【0092】
1個のCH
2基が−O−基で置き換えられており、1個が−CO−で置き換えられているアルキル基の中では、これらは隣接していることが好ましい。よって、これらの基は、カルボニルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を共に形成する。これらの基は好ましくは直鎖で、2〜6個の炭素原子を有する。
【0093】
従って、それらは、好ましくは、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0094】
2個以上のCH
2基が−O−および/または−COO−で置き換えられているアルキル基は、直鎖状でも分岐状でも構わない。好ましくは、直鎖状で3〜12個の炭素原子を有する。従って、好ましくは、ビス−カルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0095】
CNまたはCF
3によって1置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖である。CNまたはCF
3による置換は所望の位置でできる。
【0096】
ハロゲンによって少なくとも1置換されているアルキルまたはアルケニル基は、好ましくは直鎖である。ハロゲンは好ましくはFまたはClであり、多置換の場合、好ましくはFである。得られる基は、ペルフルオロ化された基も含む。1置換の場合、フッ素または塩素置換は何れの所望の箇所でも構わないが、好ましくはω−位である。末端F置換の直鎖状基の特に好ましい例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルである。しかしながら、Fの他の位置が除外されている訳ではない。
【0097】
ハロゲンはF、Cl、BrおよびIを意味し、好ましくはFまたはClで、最も好ましくはFである。
【0098】
R
11およびR
14のそれぞれは、極性でも非極性基でも構わない。極性基の場合、好ましくは、CN、SF
5、ハロゲン、OCH
3、SCN、COR
5、COOR
5、またはモノ、オリゴまたはポリフッ素化された炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基から選ばれる。R
5は、炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜3のフッ素化されたアルキルでもよい。特に好ましい極性基は、F、Cl、CN、OCH
3、COCH
3、COC
2H
5、COOCH
3、COOC
2H
5、CF
3、CHF
2、CH
2F、OCF
3、OCHF
2、OCH
2F、C
2F
5およびOC
2F
5から選ばれ、特に、F、Cl、CN、CF
3、OCHF
2およびOCF
3である。非極性基の場合、炭素数15までのアルキルまたは炭素数2〜15のアルコキシが好ましい。
【0099】
R
11およびR
12のそれぞれは、アキラルまたはキラル基でよい。キラル基の場合、式I
*が好ましい。
【0100】
【化25】
ただし、Q
1は炭素数1〜9のアルキレンまたはアルキレン−オキシ基または単結合である。
【0101】
Q
2は炭素数1〜10のアルキルまたはアルコキシ基で、無置換またはF、Cl、BrまたはCNで1置換または多置換されていてもよく、酸素原子が互いに直接結合しないように1つ以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、−C≡C−、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−または−CO−S−で置き換えられることもできる。
【0102】
Q
3はF、Cl、Br、CNまたはQ
2で定義されるアルキルまたはアルコキシ基であるがQ
2とは異なる。
【0103】
式I
*のQ
1がアルキレン−オキシ基の場合、O原子はキラルC原子に隣接していることが好ましい。
【0104】
式I
*の好ましいキラル基は、2−アルキル、2−アルコキシ、2−メチルアルキル、2−メチルアルコキシ、2−フルオロアルキル、2−フルオロアルコキシ、2−(2−エチン)−アルキル、2−(2−エチン)−アルコキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−アルコキシである。
【0105】
特に好ましいキラル基I
*は、例えば、2−ブチル(即ち、1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、特に2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシカルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチルバレリルオキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。特に好ましくは、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0106】
加えて、例えば、結晶化する傾向を低減するため、アキラルな分岐したアルキル基を含む化合物はしばしば重要な場合がある。このタイプの分岐した基は、一般に、1つより多くは鎖の枝を含んでいない。好ましいアキラルな分岐した基は、イソプロピル、イソブチル (即ち、メチルプロピル)、イソペンチル (即ち、 3−メチルブチル)、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシおよび3−メチルブトキシである。
【0107】
重合性または反応性基PG
11は、好ましくは、CH
2=CW
1−COO−、
【0108】
【化26】
CH
2=CW
2−(O)
k1−、CH
3−CH=CH−O−、(CH
2=CH)
2CH−OCO−、(CH
2=CH−CH
2)
2CH−OCO−、(CH
2=CH)
2CH−O−、(CH
2=CH−CH
2)
2N−、HO−CW
2W
3−、HS−CW
2W
3−、HW
2N−、HO−CW
2W
3−NH−、CH
2=CW
1−CO−NH−、CH
2=CH−(COO)
k1−Phe−(O)
k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびW
4W
5W
6Si−から選択され、W
1はH、Cl、CN、フェニルまたは炭素数1〜5のアルキル、特にH、ClまたはCH
3であり、W
2およびW
3は、それぞれ互いに独立に、Hまたは炭素数1〜5のアルキル、特に、メチル、エチルまたはn−プロピルであり、W
4、W
5およびW
6は、それぞれ互いに独立に、Cl、炭素数1〜5のオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは1,4−フェニレンであり、k1およびk2は、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0109】
特に好ましいPG
11はビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキセタン基またはエポキシ基であり、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基である。
【0110】
スペーサー基SG
11については、この目的のために当業者に公知の全ての基を使用できる。スペーサー基SG
11は、好ましくは、PG
11−SG
11−がPG
11−SG’−Xであるような式SG’−Xである。
【0111】
ただし、SG’は炭素数20までのアルキレンで、無置換またはF、Cl、Br、IまたはCNで1置換または多置換されていてもよく、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように1つ以上の隣接していないCH
2基は、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−NR
01−、−SiR
01R
02−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−、−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられることもできる。
【0112】
Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR
01−、−NR
01−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
01−、−CY
01=CY
02−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−、−CH=CH−または単結合である。
【0113】
R
01、R
02、Y
01およびY
02は、上で与えられるそれぞれの意味の1つを有する。
【0114】
Xは、好ましくは、−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR
0−、−CY
02=CY
02−、−C≡C−または単結合で、特に、−O−、−S−、−C≡C−、−CY
01=CY
02−または単結合で、非常に好ましくは、−C≡C−または−CY
01=CY
02−のような共役系より形成され得る基または単結合である。
【0115】
典型的な基SG’は、たとえば、−(CH
2)
P−、−(CH
2CH
2O)
q−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−S−CH
2CH
2−または−CH
2CH
2−NH−CH
2CH
2−または−(SiR
0R
00−O)
p−で、pは2〜12の整数、qは1〜3の整数、R
0、R
00および他のパラメータは上で与えられる意味を有する。
【0116】
好ましい基SG’は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0117】
他の好ましい態様においては、SG’は式I
*’のキラル基である。
【0118】
【化27】
ただし、Q
1およびQ
3は、式I
*で与えられる意味を有する。
【0119】
Q
4は、炭素数1〜10のアルキレンまたはアルキレン−オキシ基または単結合であるが、Q
1とは異なるものであり、Q
1は重合性基PGに結合している。
【0120】
更に好ましくは、SG
11が単結合である基PG
11−SG
11−を1つまたは2つ有する化合物である。
【0121】
2つの基PG
11−SG
11−を有する化合物の場合、2つの重合性基PGおよび2つのスペーサー基SGは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
本発明において組成に関する内容における「含む」とは、例えば媒体または成分のように参照されているものが、問題となっている1種類以上の化合物を、好ましくは10%以上の総濃度、最も好ましくは20%以上含有することを意味する。
【0123】
本発明においてこの内容における「主に・・・からなる」とは、参照されているものが、問題となっている1種類以上の化合物を、80%以上、好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上含有することを意味する。
【0124】
この内容における「完全に・・・からなる」とは、参照されているものが、問題となっている1種類以上の化合物を、98%以上、好ましくは99%以上、最も好ましくは100.0%含有することを意味する。
【0125】
本願の媒体中に含まれる本願の式IAの化合物の濃度は、好ましくは0.5%以上30%以下の範囲であり、より好ましくは1%以上20%以下の範囲であり、最も好ましくは5%以上12%以下の範囲である。
【0126】
本願の媒体中に含まれる本願の式IBの化合物の濃度は、好ましくは0.5%以上30%以下の範囲であり、より好ましくは1%以上20%以下の範囲であり、最も好ましくは5%以上12%以下の範囲である。
【0127】
本発明において有益に使用できる式IAの例示的な化合物は、補助式IA−1〜IA−7の化合物である。
【0128】
【化28】
純物質としてこれらの化合物は、以下の表、即ち表aで与えられるDSCによって決定される相順序を有する。
【0129】
【表1】
本発明において有益に使用できる式IBの例示的な化合物は、補助式IB−1〜IB−7の化合物である。
【0131】
【化29.2】
純物質としてこれらの化合物は、以下の表、即ち表bで与えられるDSCによって決定される相順序を有する。
【0132】
【表2】
式IA−1〜IA−6およびIB−1〜IB−7の化合物は、メルク社より簡単に入手可能である。
【0133】
好ましい態様において、本発明のメソゲン変調媒体は、
・1種類以上のメソゲン1反応性単量体を含む成分Iおよび/または
・1種類以上の1反応性メソゲン単量体を含む成分II
を含む重合体前駆体の混合物より得られるか得ることができる重合性材料を含む。
【0134】
重合体前駆体の好ましい混合物は1つ以上の同じまたは殆ど同じ転移温度を有し、特に、同じ透明点および/またはコレステリック相からブルー相への転移温度(T(Ch、BP)、T(N
*、BP)とも呼ばれる)および/またはブルー相から等方相への転移温度(T(BP、I))であり、重合の工程中にこれらの1つ以上の温度は変化しないか限定された変化のみが生じる。
【0135】
好ましい重合体の前駆体は、
・上で直接述べた1つ以上の転移温度を有し、転移温度はメソゲンホスト混合物、即ちシステムの成分Bのそれぞれの値より高く、それぞれ、重合の工程中にそれぞれの温度が低下する1種類以上の1反応性メソゲン単量体と、および
・前記それぞれの転移温度を1つ以上有し、転移温度はメソゲンホスト混合物、即ちシステムの成分Bのそれぞれの値より低く、それぞれ、重合の工程中にそれぞれの温度が上昇する1種類以上の1反応性メソゲン単量体と、
を含む。
【0136】
好ましい態様において、メソゲンホスト混合物のそれより低い転移温度、例えば透明点を有し、それぞれ重合の工程中に転移温度が上昇する1反応性重合体前駆体は、非メソゲン化合物である。
【0137】
他の好ましい本発明の態様では、重合体前駆体は、
・1種類の1反応性メソゲン単量体で、メソゲンホスト混合物のそれと同じか少なくとも殆ど同じである透明点を有し、それぞれ、重合の工程中に前記1つ以上それぞれの転移温度を減少させないか、殆ど減少させないもの
を含む。
【0138】
好ましくは、低分子量成分、即ち、重合された重合体前駆体と共にシステム中の成分Bのブルー相は、30℃以下〜70℃以上に渡り、より好ましくは20℃以下〜70℃以上、より好ましくは0℃以下〜80℃以上、最も好ましくは−20℃以下〜80℃以上である。
【0139】
好ましい態様において、本発明のメソゲン変調媒体は、以下の成分A、任意成分B、任意成分Cおよび成分Dを含む。即ち、
・成分A:好ましくは1重量%〜25重量%で、上に与えられる式Iの1種類の化合物または複数種類の化合物を含み、好ましくは主に、最も好ましくは完全に、これらからなる成分A;
・任意成分B:式IIの1種類の化合物または複数種類の化合物を含み、好ましくは主に、最も好ましくは完全に、これらからなる任意成分の誘電的に正の成分B
【0140】
【化30】
(ただし、R
2は、式IでR
11に与えられる意味を有する。
【0141】
A
21、A
22およびA
23は、それぞれ互いに独立に、
【0142】
【化31】
であり、ただしA
21およびA
22が2回ある場合は、同一でも異なっていてもよい。
【0143】
Z
21およびZ
22は、それぞれ互いに独立に、単結合、−(CH
2)
4)−、−CH
2CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CH
2−CF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CF−、−C≡C−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−または−O−CO−であり、ただし、Z
21およびZ
22のそれぞれは、2回ある場合、同一でも異なっていてもい。
【0144】
X
2はハロゲン、−CN、−NCS、−SF
5、−SO
2CF
3、CNおよび/またはハロゲンでそれぞれ1置換または多置換されたアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、またはアルキルアルコキシまたはアルコキシ基である。
【0145】
L
21およびL
22は、それぞれ互いに独立に、HまたはFである。
【0148】
oは、0、1または2で、好ましくは0または1である。
【0149】
m+n+oは3以下であり、好ましくは2以下である。);
【0150】
・任意成分C:好ましくは1重量%〜25重量%で、式IIIの1種類の化合物または複数種類の化合物を含み、好ましくは主に、最も好ましくは完全にこれらからなる成分C
【0151】
【化32】
(ただし、a、b、cおよびdは、それぞれ互いに独立に、0、1または2で、ただし、a+b+c+dは4以下である。
【0152】
A
31、A
32、A
33およびA
34は、それぞれ互いに独立に、
【0153】
【化33】
であり、ただし、2回ある場合は、A
31、A
32、A
33およびA
34のそれぞれは、同一でも異なっていてもよい。
【0154】
Z
31、Z
32、Z
33およびZ
34は、それぞれ互いに独立に、単結合、−(CH
2)
4)−、−CH
2CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CH
2−CF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CF−、−C≡D−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−または−O−CO−で、ただし、2回ある場合は、Z
31、Z
32、Z
33およびZ
34のそれぞれは、同一でも異なっていてもよい。
【0155】
R
3は炭素数1〜15のアルキルまたはアルコキシ基で、ただし、前記アルキルまたはアルコキシラジカルの1つ以上のメチレン基は、それぞれ互いに独立に、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−SiR
xR
y−、−CH=CH−、−C≡D−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよく、前記アルキルまたはアルコキシは無置換であるか、−CN基で1置換されているか、またはハロゲンで1置換または多置換されており、好ましくは、R
11は、炭素数10までの直鎖状アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたは−O−アルキレン−O−アルキル基であり、前記基は無置換であるか、ハロゲンにより1置換または多置換されている。
【0156】
L
31、L
32、L
33およびL
34は、それぞれ互いに独立に、水素、ハロゲン、CN基、炭素数1〜15のアルキルまたはアルコキシ基で、ただし、酸素および/または硫黄原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−SiR
xR
y−、−CH=CH−、−C≡D−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよく、L
31、L
32、L
33およびL
34の少なくとも1つが水素でない条件の下に、前記アルキルまたはアルコキシは無置換であるか、−CN基で1置換されているか、またはハロゲンで1置換または多置換されており、好ましくは、R
11は、炭素数10までの直鎖状アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたは−O−アルキレン−O−アルキル基であり、前記基は無置換であるか、ハロゲンにより1置換または多置換されている。
【0157】
X
3は、F、Cl、CF
3、OCF
3、CN、NCS、−SF
5または−SO
2−R
2である。
【0158】
R
xおよびR
yは、それぞれ互いに独立に、水素または炭素数1〜7のアルキル基であり;好ましくは、R
xおよびR
yの両者は、メチル、エチル、プロピルまたはブチルである。
【0159】
R
zは、炭素数1〜7のアルキル基で、前記アルキル基は無置換であるか、ハロゲンで1置換または多置換されており;好ましくはR
zはCF
3、C
2F
5またはn−C
4F
9である。);および
【0160】
・成分D:1〜20重量%で、20μm以上のHTPの1種類のキラル化合物または複数種類のキラル化合物を含む成分D
を含む。
【0161】
本発明の混合物は、成分Aを1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、最も好ましくは3〜15重量%含む。
【0162】
化合物Dの適当なキラル化合物は、20μm以上、好ましくは40μm以上、最も好ましくは60μm以上の螺旋捩れ力(ヘリカルツイスティングパワー HTP)の絶対値を有する化合物である。HTPは、20℃の温度でMLD−6260により測定される。
【0163】
キラル化合物Dは、好ましくは、メソゲン構造を有し、好ましくはそれ自身で1種類以上のメソフェーズ、特に少なくとも1つのコレステリック相を示す1種類以上のキラル化合物を含む。キラル成分Dに含まれる好ましいキラル化合物は、とりわけ、コレステリル−ノナノエート(CN)、R/S−811、R/S−1011、R/S−2011、R/S−3011、R/S−4011、R/S−5011、CB−15(メルク社、ドイツ国、ダルムスタット市)のような非常に公知のキラルドーパントである。好ましくは、1種類以上のキラル成分および1つ以上のメソゲン基を有するか、キラル成分と共にメソゲン基を構成する1種類以上の芳香族または脂環式成分を含むキラルドーパントである。より好ましくは、DE 34 25 503、DE 35 34 777、DE 35 34 778、DE 35 34 779、DE 35 34 780、DE 43 42 280、EP 01 038 941およびDE 195 41 820に開示されるキラル成分およびメソゲンキラル化合物であり、 参照によりその開示が本願に含まれる。特に好ましくは、EP 01 111 954.2に開示されるキラルビナフチル誘導体、WO02/34739に開示されるキラルビナフトール誘導体、WO02/06265に開示されるキラルTADDOL誘導体、ならびに、WO02/06196およびWO02/06195に開示される、少なくとも1つのフッ素化されたリンカーおよび1つの末端キラル成分または中心キラル成分を有するキラルドーパントである。
【0164】
本発明の制御媒体は、特性温度、好ましくは約−30℃〜約80℃の範囲、特に55℃までの透明点を有する。
【0165】
本発明の混合物は、1種類またはそれ以上(2種類、3種類、4種類またはそれ以上)のキラル化合物を1〜25重量%の範囲で有し、好ましくは2〜20重量%である。特に好ましくは、キラル化合物を3〜15重量%含む混合物である。
【0167】
・媒体は、1種類、2種類またはそれ以上の式Iの化合物を含む。
【0168】
・さらに、成分Bは、好ましくは、式IIの1種類の化合物または複数種類の化合物の他に、式Zの1種類のエステル化合物または複数種類のエステル化合物を含む。
【0169】
【化34】
ただし、R
zは式IでR
11に与えられる意味を有する。
【0170】
【化35】
X
ZはF、Cl、CN、NCS、OCF
3、CF
3またはSF
5である。
【0171】
ただし、R
Zは式IIでR
2に与えられる意味を有する。
【0172】
特に好ましくは、式Zの化合物を5%〜35%含む混合物であり、好ましくは10%〜30%、特に好ましくは10%〜20%である。
【0173】
・成分Bは、好ましくは、式Nの化合物を1種類以上、追加的に含む。
【0174】
【化36】
ただし、Rは、式IでR
11に与えられる意味を有し、好ましくは、AlkylまたはAlkyl−C≡Cである。
【0175】
Alkylは炭素数1〜7のアルキル、好ましくはn−アルキルである。
【0177】
・化合物Bは、好ましくは、式Eのエステル化合物の群から選ばれる1種類以上の化合物を追加的に含む。
【0178】
【化37】
ただし、R
0は、式IでR
11に与えられる意味を有し、好ましくはアルキルである。
【0179】
【化38】
・式Eの化合物の割合は、好ましくは、10〜30重量%、特には、15%〜25%である。
【0180】
・媒体は、好ましくは、式Q−1およびQ−2の群より選ばれる1種類の化合物または複数種類の化合物を含む。
【0181】
【化39】
ただし、R
0は、式IでR
11に与えられる意味を有し、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、0または1である。
【0182】
・媒体は、好ましくは、R
0がメチルである式IIの化合物の群より選ばれる1種類の化合物または複数種類の化合物を含む。
【0183】
・媒体は、好ましくは、1種類のジオキサン化合物、または2種類以上のジオキサン化合物を含み、好ましくは、式Dx−1およびDx−2の群より選ばれる1種類のジオキサン化合物、または2種類以上のジオキサン化合物である。
【0184】
【化40】
ただし、R
0は、式IでR
11に与えられる意味を有する。
【0185】
式Iの化合物を比較的少量の割合で、従来の液晶材料、しかしながら特に、式IIおよびIIIの1種類以上の化合物と混合することで、作動電圧を低下させ、作動温度範囲を広げることが見出された。特に好ましくは、式Iの1種類以上の化合物に加え、式IIの化合物を1種類以上含む混合物であり、特にX
2がF、Cl、CN、NCS、CF
3またはOCF
3である式IIの化合物である。式I〜IIIの化合物は、無色で、安定であり、お互いにおよび他の液晶材料と容易に混和する。
【0186】
式IおよびIIおよびIIIの化合物の最適な混合比は、実質的に、所望の特性、式I、IIおよび/またはIIIの化合物の選択、および存在してもよい他の化合物の選択に依存する。上で与えられる範囲の適当な混合比は、場合に応じて容易に決定できる。
【0187】
本発明の混合物における式I〜IIIの化合物の総量は、重要ではない。したがって、混合物は、各種の特性を最適化する目的で更に1種類以上の成分を含むことができる。しかしながら、式I〜IIIの化合物の総濃度が高くなると、作動電圧および作動温度範囲が一般に高くなることが観測される。
【0188】
特に好ましい態様において、本発明の媒体は、X
3がF、OCF
3、OCHF
2、OCH=CF
2、OCF=CF
2またはOCF
2−CF
2Hである式IIIの化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果のため、特に優れた特性となる。特に、式Iおよび式IIおよび式IIIの化合物を含む混合物は、低い作動電圧により区別される。
【0189】
本発明の媒体で使用できる式II〜IIIのそれぞれおよびそれらのそれぞれの補助式の化合物は、公知であるか、公知の化合物の類推で調製できる。
【0190】
偏光子、電極基板および表面処理電極からの本発明のディスプレイの構造は、このタイプのディスプレイの従来の構造に対応している。従来構造との用語は、ここでは広範におよび、MLCディスプレイの全ての誘導型および改変型を網羅し、特に、多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含むが、特に好ましくは、1つの基体の直上に電極を有する、即ち、IPSディスプレイで使用されているような所謂インターデジタル電極を有するディスプレイであり、好ましくは、確立された構造の1つである。
【0191】
しかしながら、本発明のディスプレイと、捩れネマチックセルに基づく従来のディスプレイとの間の重大な相違は、液晶層の液晶パラメータの選択にある。
【0192】
本発明の媒体は、従来の方法に従い調製できる。一般に、成分をお互いに溶解し、温度を上昇すると良好である。適当な添加剤により、本発明の液晶相を、これまで開示されてきた液晶ディスプレイ素子の全てのタイプで使用できるように改変できる。このタイプの添加剤は当業者には公知であり、文献に記載されている(H.KelkerおよびR. Hatz、Handbook of Liquid Crystals、Verlag Chemie、Weinheim、1980)。例えば、多色性色素を着色ホスト−ゲスト系の調製のために添加でき、誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を改変するために物質を加えることができる。さらに、安定剤および抗酸化剤を加えることもできる。
【0193】
本発明の混合物は、TN、STN、ECBおよびIPS用途および等方性スイッチングモード(ISM)用途に適している。よって、本発明の化合物を少なくとも1種類含む液晶媒体を含む電気光学的装置および電気光的装置の使用は、本発明の対象である。
【0194】
本発明の混合物は、光学的等方状態で作動する装置に、非常に適している。本発明の混合物は、驚くべきことに、それぞれの使用に非常に適していることが見出された。
【0195】
光学的等方状態で作動されるか作動可能な電気光学的装置は、最近、ビデオ、テレビ、およびマルチメディア用途に関して興味が持たれてきている。これは、液晶の物理的特性に基づく電気光学的効果を利用する従来の液晶ディスプレイが長いスイッチング時間を示し、前記の用途で好ましくないためである。さらに、従来のディスプレイの殆どにおいてコントラストの視野角依存性が大きく、この好ましくない特性を埋め合わせる方法が必要となってきている。
【0196】
等方状態における電気光学的効果を利用する装置に関しては、例えば、ドイツ国特許出願DE 102 17 273 A1に、変調のためのメソゲン制御媒体が作動温度で等方相である光制御(光変調)素子が開示されている。これらの光制御素子は非常に短いスイッチング時間および良好なコントラストの視野角依存性を有している。しかしながら、前記素子の駆動および作動電圧は、いくつかの用途において、非常にしばしば不適当に高い。
【0197】
未だ未公開であるドイツ国特許出願DE 102 41 301には、作動電圧を著しく低下できる特定の電極構造が開示されている。しかしながら、これらの電極は、光制御素子の製造工程を更に複雑なものとする。
【0198】
更に、例えば、DE 102 17 273 A1およびDE 102 41 301の両者で開示されている光制御素子は、重大な温度依存性を示す。光学的等方状態の制御媒体における電場により誘発可能な電気光学的効果は、制御媒体の透明点に近い温度で最も顕著となる。この範囲において光制御素子の特性温度は最低値となり、よって最低の作動電圧が要求される。温度が上昇するにしたがい、特性電圧よって作動電圧は著しく上昇する。この範囲での温度依存性の典型的な値は、単位温度当たり約数ボルトから単位温度当たり約十以上ボルトである。DE 102 41 301には等方状態で作動可能または作動される装置として各種の電極構造が記載されている一方で、DE102 17 273 A1には、等方状態で作動可能または作動される光制御素子中で有益な各種の組成物の等方媒体が開示されている。これらの光制御素子中の閾電圧の相対温度依存性は、透明点より1℃高い温度で約50%/℃である。この温度依存性は温度の上昇に伴い減少し、透明点より5℃高い温度で約10%/℃となる。しかしながら、電気光学的効果のこの温度依存性は、前記光制御素子を利用するディスプレイの多くの実用用途にとっては、高すぎる。それとは反対に、実用的な使用には、少なくとも数℃、好ましくは約5℃以上、より好ましくは約10℃以上、特には約20℃以上の温度範囲に渡って、作動電圧が作動温度に依存しないことが望ましい。
【0199】
本発明の混合物を使用することは、上記およびDE 102 17 273 A1、DE 102 41 301およびDE 102 536 06に記載されるような光制御素子中の制御媒体として、前記電気光学的作動の作動電圧において広い温度範囲において、非常に適していることが見出された。この場合、等方状態またはブルー相は、殆ど完全または完全に作動温度に依存しない。
【0200】
この効果は、メソゲン制御媒体が未だ公開されていないDE 103 13 979に記載されている少なくとも1つの所謂「ブルー相」を示す場合、さらに注目しなければならない。非常に高いキラル捩れを有する液晶は、1つ以上の光学的等方相を有する場合がある。その相がそれぞれのコレステリックピッチを有する場合、これらの相は、十分に広いセル間隔を有するセル中において青色を呈することがある。よって、それらの相は「ブルー相」とも呼ばれる(GrayおよびGoodby、「Smectic Liquid Crystals,Textures and Structures」、Leonhard Hill、USA、Canada(1984))。ブルー相を示す液晶の電場の効果は、例えば、H.S.Kitzerow、「The Effect of Electric Fields on Blue Phases」、Mol.Cryst.Liq.Cryst.(1991年刊)、第202巻、第51〜83頁に記載されており、これまでにブルー相のこれらのタイプは同定されており、即ちBP I、BP IIおよびBP IIIであり、それらは電場のない液晶中で観測されることがある。単一のブルー相または複数のブルー相を示す液晶に電場が印加された場合、更なるブルー相またはブルー相I、IIおよびIIIとは異なる他の相が生じることがあることは特筆すべきことである。
【0201】
本発明の混合物は電気光学的光制御素子中において使用でき、
・1つまたはそれ以上、特に2つの基体;
・電極アセンブリー;
・1つまたはそれ以上の光を偏光する素子;および
・前記制御媒体
を有する。
【0202】
ただし、前記光制御素子は、それが駆動状態でない時に制御媒体が光学的等方相である温度において作動されるか(または作動可能)である。
【0203】
光制御素子の作動温度は、好ましくは、制御媒体のブルー相への転移温度より高く;一般に、作動温度は前記温度より約0.1°〜約50°高い範囲であり、好ましくは約0.1°〜40°である。作動温度は制御媒体のブルー相への転移温度から制御媒体がブルー相から等方相へ転移する温度、つまり透明点までの範囲が非常に好ましい。しかしながら、光制御素子は、制御素子が等方相である温度においても作動させることができる。
【0204】
本発明の目的のために、用語「特性温度」は以下の通り定義される。
【0205】
・特性電圧が温度の関数として最小値を有する場合、この最小値の温度を特性温度と表す。
【0206】
・特性電圧が温度の関数として最小値を有さず、制御媒体が1つ以上のブルー相を有する場合、ブルー相への転移温度を特性温度と表す;1つより多いブルー相が存在する場合は、最も低いブルー相への転移温度を特性温度と表す。
【0207】
・特性電圧が温度の関数として最小値を有さず、制御媒体がブルー相を有さない場合、等方相への転移温度を特性温度と表す。
【0208】
本発明の内容においては、用語「アルキル」は、記載および請求項中の他の所で異なった方法で定義されていない限り、直鎖状および分岐状の炭素数1〜15の炭化水素(脂肪族)基を意味する。炭化水素基は無置換でもよく、F、Cl、Br、IまたはCNからなる群より独立に選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0209】
また、誘電体は、当業者に公知で文献に記載される更なる添加剤を有していてもよい。例えば、0〜5%の多色性色素、抗酸化剤または安定剤を添加することができる。
【0210】
Cは結晶層、Sはスメクチック相、ScはスメクチックC相、Nはネマチック相、Iは等方相、およびBPはブルー相を表す。
【0211】
V
xはX%透過の電圧を表す。よって、例えば、V
10は10%透過の電圧を表し、V
100は100%透過の電圧を表す(視野角は板表面に対して垂直)。t
on(それぞれのτ
on)は、それぞれのV
maxでV
100の値に対応する作動電圧における、スイッチ−オン時間を表し、t
off(それぞれのτ
off)はスイッチ−オフ時間を表す。
【0212】
Δnは光学的異方性を表す。Δεは誘電異方性を表す(Δε=ε
‖−ε
⊥、ただし、ε
‖は分子の長軸に平行な誘電定数を表し、ε
⊥はそれに垂直な誘電定数を表す)。電気光学的データは、他に明示されない限り、20℃で透過の一次最小値(即ち、(d・Δn)値が0.5μm)でTNセル中で測定される。光学的データは、他に明示されない限り、20℃で測定される。
【0213】
物理的特性を調整するために、本発明の光変調媒体は更に液晶化合物を含むこともできる。その様な化合物は、専門家に公知である。本発明の媒体中での濃度は、好ましくは0%〜30%、更に好ましくは0%〜20%、最も好ましくは5%〜15%である。
【0214】
好ましくは、本発明のシステムのメソゲン媒体はブルー相の範囲を有するか、1つより多いブルー相が存在する場合は、ブルー相の混合範囲を有し、9°以上の幅、好ましくは10°以上の幅、より好ましくは15°以上の幅、最も好ましくは20°以上の幅である。
【0215】
好ましい態様では、この相は少なくとも10℃〜30℃の範囲であり、最も好ましくは少なくとも10℃〜40℃であり、最も好ましくは少なくとも0℃〜50℃であり、ただし、少なくともとは、好ましくは、相が下限より下の温度までに渡り、同時に上限の上までに渡ることを意味する。
【0216】
好ましい態様では、この相は少なくとも20℃〜40℃の範囲であり、最も好ましくは少なくとも30℃〜80℃であり、最も好ましくは少なくとも30℃〜90℃である。この態様は強力なバックライトを有するディスプレイに特に適しており、エネルギーが拡散し、よってディスプレイが加熱される。また、少なくとも−20℃〜50℃の範囲のシステムも好ましい。
【0217】
本願では、誘電的に正の化合物との用語はΔε>1.5の化合物を記載し、誘電的に中性の化合物は−1.5≦Δε≦1.5の化合物であり、誘電的に負の化合物はΔε<−1.5の化合物である。成分に対しても同じである。Δεは1kHzおよび20℃で決定される。化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中のそれぞれの化合物の10%溶液の結果から決定される。これらの試験混合物の容量は、ホメオトロピックおよびホモジニアス配向の両者を有するセル中で決定される。セルの両タイプのセル間隔は、ほぼ20μmである。印加される電圧は周波数1kHzの矩形波で、2乗平均平方根値は典型的には0.5V〜1.0Vであるが、それぞれの試験混合物の容量閾より低い値が常に選択される。
【0218】
誘電的に正の化合物には、混合物ZLI−4792、誘電的に中性ならびに誘電的に負な化合物には、ZLI−3086が(いずれもドイツ国メルク社製)、それぞれ、ホスト混合物として使用される。化合物の誘電体誘電率は、興味ある化合物を加えた時のホスト混合物のそれぞれの値の変化より決定され、興味ある化合物の濃度を100%に外挿する。
【0219】
測定温度である20℃でネマチック相を有する化合物はその様に測定され、その他全ては化合物のように扱う。
【0220】
両者について他に明言しない場合、本願における閾電圧との用語は光学的閾を指し、10%相対コントラスト(V
10)で与えられ、飽和電圧との用語は光学的飽和を指し、90%相対コントラスト(V
90)で与えられる。容量閾電圧(V
0、FreederickszしきいV
Frとも呼ばれる)は、特に明言されているときのみ使用される。
【0221】
本願で与えられるパラメータの範囲は、他に明言しない限り、全て限界値を含む。
【0222】
本願を通して、他に明言しない限り、全ての濃度は質量%で与えられ、それぞれの完全混合物に関し、全ての温度は摂氏(セルシウス)度で与えられ、全ての温度差は摂氏度である。全ての物理的特性は「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals、Status、1997年11月、メルク社、ドイツ国」に従って決定されてきたものであり、他に明言しない限り20℃の温度で与えられる。光学的異方性(Δn)は波長589.3nmで決定される。誘電異方性(Δε)は周波数1kHzで決定される。閾電圧および他の電気光学的特性は、メルク社、ドイツ国によって調製された試験セルで決定された。Δεを決定するための試験セルは22μmのセル間隔を有していた。電極は1.13m
2の面積の循環ITOおよび保護リングを有するものであった。配向層はホメオトロピック配向(ε
‖)にはレシチンであり、ホモジニアス配向(ε
⊥)には日本合成ゴム社製のポリイミドAL−1054であった。容量は周波数応答分析器Solatron1260により電圧0.3または0.1V
rmsの正弦波を用いて決定した。電気光学的測定で使用した光は白色光であった。使用したセットは商業的に入手可能な装置で、Autronic Melchers、ドイツ国:それぞれDMS301およびDMS730であった。特性電圧は垂直観測下で決定した。閾電圧(V
10)、中間灰色電圧(V
50)および飽和電圧(V
90)は、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定した。
【0223】
メソゲン変調材料は、それぞれメルク社の設備で調製された電気光学的試験セルに充填された。試験セルは一方の基体側にインターデジタル電極を有していた。電極の幅は10μm、隣接する電極間隔は10μm、セル間隔も10μmであった。この試験セルは、直交偏光子の間で電気光学的に検査された。
【0224】
低温において、充填されたセルはキラルネマチック混合物に典型的なテクスチャーを示し、電圧を印加しない直交偏光子間で光を透過した。加熱すると、第1温度(T
1)で混合物は光学的に等方的になり、直交偏光子間で暗くなった。これは、この温度で、キラルネマチック相からブルー相への転移を示す。第2温度(T
2)までは、セルは印加電圧下で電気光学的効果を示し、典型的には数十ボルトで光学的透過が最大となる範囲の一定の電圧である。典型的には、高温では、可視的な電気光学的効果に必要な電圧は強く増加し、この第2温度(T
2)でブルー相から等方相への転移を示している。
【0225】
ブルー相において最も有益に電気光学的に混合物を使用できる温度範囲(ΔT(BP))は、T
1〜T
2の範囲として示された。この温度範囲(ΔT(BP))は、本願の例で与えられる温度範囲である。この温度範囲を超えた温度範囲、即ち、T
2より高温でも、作動電圧が著しく上昇する以外は、電気光学的ディスプレイを使用できる。
【0226】
低温において、セルはキラルネマチック混合物に典型的なテクスチャーを示し、電圧を印加しない直交偏光子間で光を透過した。加熱すると、温度T
1で混合物は光学的に等方的になり、直交偏光子間で暗くなった。これは、この温度で、キラルネマチック相からブルー相への転移を示す。更に加熱すると、温度T
2まで、セルは印加電圧下で透明な電気光学的効果を示した。
【0227】
ブルー相で混合物を電気光学的に使用できる温度範囲(ΔT(BP))はT
1〜T
2である。
【0228】
作動電圧に加え、スイッチングオン(τ
on)およびスイッチングオフ(τ
off)の両者の応答時間も、著しく温度に依存する。T
1より高温で温度の上昇に伴い応答時間は短くなり、両者の応答時間がそれぞれ5msより短くなる温度はT
3と呼ばれる。両条件を満足して、即ち、適度に作動電圧が低く2つの応答時間がそれぞれ5msより短い条件でセルを利用できる温度範囲は利用可能フラット範囲または短フラット範囲と呼ばれ、ΔT(FR)=T
2−T
3で与えられる。
【0229】
本発明の液晶媒体は更なる添加剤およびキラルドーパントを通常の濃度で含むことができる。これらの更なる成分の総濃度は、混合物全体をベースとして0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲である。それぞれ使用される化合物それぞれの濃度は、好ましくは0.1〜3%の範囲である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶成分の濃度および本願の液晶媒体の化合物の値および範囲のために考慮される。
【0230】
本発明の発明された液晶媒体は幾つかの化合物よりなり、好ましくは3〜30種類、より好ましくは5〜20種類、最も好ましくは6〜14種類である。これらの化合物は従来法により混合される。一般則として、より少量で使用される化合物の必要量を、より多量で使用される化合物に溶解する。温度がより高濃度で使用される化合物の透明点より高い場合、溶解の工程の完了を特に容易に観測できる。しかしながら、他の従来法により媒体を調製することも可能で、例えば、いわゆる事前混合法を使用して、例えば、化合物を相同または共晶混合することができ、成分がそれ自身がレディートーウースである所謂マルチボトルシステムを使用することもできる。
【0231】
本発明のシステムの成分Bは1種類以上の添加剤を良好に含むことができ、例えば、トリ−アルコキシ−置換フェニル化合物、テトラ−アルコキシ−置換フェニル化合物、ペンタ−アルコキシ−置換フェニル化合物および嵩高い末端基の化合物である。
【0232】
適当な添加剤を加えることで、本発明の液晶媒体を、液晶ディスプレイの全ての公知のタイプまたは使用で使用できるように改変することができ、TN−、TN−AMD、ECB−、VAN−AMDおよび特にPDLD−、NCAP−およびPN−LCDのような複合系および特にHPDLCにおいてである。
【0233】
融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)、透明点T(N,I)、コレステリック相からブルー相への転移温度(T(Ch,BP)、T(N
*,BP)とも呼ばれる)、ブルー相から等方相への転移温度(T(BP,I))および液晶の他の全ての転移温度は摂氏度で与えられる。
【0234】
メソゲンホスト混合物の化合物中で、成分Bは、単結合と異なる1つ以上の結合基(例えば、式IIの化合物のZ
21および/またはZ
22および/またはZ
23)を有する1種類以上の化合物を含む。好ましくは、これらの結合基は−CO−O−、−O−CO−、−CF
2−O−および−O−CF
2−から選ばれる。
【0235】
本発明の好ましい態様では、重合体前駆体は、反応性化合物、好ましくは式Iの化合物を含み、好ましくは、その成分Aは式Iの化合物を含み、好ましくは式Iの化合物よりなり、式Iの化合物は1つ以上の結合基または基Z
11〜Z
14を有し、単結合ではなく、1つ結合基または複数の結合基と同一であり、単結合ではなく、メソゲンホスト混合物の化合物の主成分(質量%、好ましくはモル%として)として存在する。
【0236】
本出願および特に以下に示す例において、液晶化合物の構造は頭文字とも呼ばれる略号で示されている。略号から対応する構造への変換は、以下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C
nH
2n+1およびC
mH
2m+1は、それぞれnおよびm個のD原子を有する直鎖のアルキル基である。表Bの解釈は、それ自体で明らかである。表Aには、構造のコアにかかわる略号のみが示されている。それぞれの化合物はコアの略号で表されており、ハイフンおよび以下の置換基R
1、R
2、L
1及びL
2を特定するコードが続く。
【0256】
【表5.16】
特に好ましくは、式Iの化合物に加え、表Bからの少なくとも1種類、2種類、3種類または4種類の化合物を含む液晶混合物である。
【0257】
表Cは成分Dによる可能なドーパントを示し、本発明により、それらは一般に単独か、または2種類、3種類またはそれ以上の組み合わせで混合物に加えられる。
【0260】
【表6.3】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、
・表AおよびBの化合物からなる群から選ばれる4種類以上の化合物と、および/または、
・表Bの化合物からなる群から選ばれる5種類以上の化合物と、および/または、
・表Aの化合物からなる群から選ばれる2種類以上の化合物と
を含む。
【実施例】
【0261】
以下の例は、いかなる方法でも制限することなく、本発明を説明するものである。
【0262】
しかしながら、特に、重合体前駆体およびメソゲンホスト混合物の両者の組成物の物理的データは、専門家に、何れの範囲において何れの特性が達成され得るかを説明している。よって、好ましくは達成される各種の特性の組み合わせは、十分に決定される。
【0263】
例(例1−1〜1−6および2−1〜2−7)の以下の組み合わせにおいて、モノアクリレート反応性メソゲン(MRM)およびジアクリレート反応性メソゲン(DRM)を含む混合物に対する、単量体および架橋剤の影響が調べられている。
【0264】
<例1−1〜1−7および比較例1>
例(例1−1〜1−7)の第1の組み合わせでは、1反応性単量体の影響が調べられている。
【0265】
少量の光開始剤である2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル−エタノン(商業的にはIrgacure−651として知られており、IRG−651と略記する)を、混合物に加える。螺旋捩れ力(HTP)の値が非常に高いキラルドーパント、メルク社より得られるR−5011を、2.8%〜3.8%の濃度で混合物に加える。キラルドーパントR−5011のHTPは、130μm
−1として、以下の表で与えら得る組成の極性ホスト混合物A−0で測定する。
【0266】
【表7】
使用されるセルのタイプは、典型的には、配向層のない10μm厚みか、平面配向の50μm厚みのSSCTセルで、ブルー相を光学的に観測するためには厚い試料がしばしば必要だからである。セルは、約2.0cm×2.5cmの大きさを有する。電極領域は、約1.0cm×1.0cmである。組成物は、オーブン中で典型的には100℃の温度で毛細管能により充填される。重合前に、組成物の特性を偏光顕微鏡で調べ、組成物の転移温度を1℃/分で加熱しながら測定する。実験セットは、Linkam温度プログラムおよびホットステージを備えるOlympusBX51偏光顕微鏡よりなる。
【0267】
重合実験はEFOS UVランプを使用し、ブロードバンドフィルター(320nm〜500nm)で供給される1.5mW/cm
2で行われる。最初、試料をブルー相領域の温度に維持する。それぞれ15秒間隔のUV照射後、如何なる変化も評価できるように、セルの混合物を偏光顕微鏡下で確認する。相転移が起きている場合は、したがって次の工程のUV照射のために温度を変化させる。総露光時間は、最終テクスチャーが安定化される状態で、典型的には120秒である。
【0268】
ホスト混合物として、上述の混合物A−0を使用する。
【0269】
式IAの化合物を、以下の表、表5で与えられる組成(重量%で)の混合物中で検討する。
【0270】
【表8】
重合前後のシステムの相挙動は、以下の表、表3に与えられている。
【0271】
【表9】
注意: n.d.決定されず
§等方相への転移観測されず
§§小さい領域のコレステリック(N
*)がブルー相に加えてセル中に存在
明らかに、最も良い結果が、例1−1〜1−6および1−7で得られている。
【0272】
<例2−1〜2−7>
例(例2−1〜2−7)の第2の組み合わせでは、2反応性単量体、架橋剤の影響が調べられている。
【0273】
ここでも、ホスト混合物A−0を再び使用する。
【0274】
式IBの化合物を、以下の表、表4で与えられる組成(重量%で)の混合物中で検討する。
【0275】
【表10】
重合前後のシステムの相挙動を例1で記載したように調べ、結果を以下の表、表5に与える。
【0276】
【表11】
注意: §暗いBP、恐らくBP III
§§小さい領域のコレステリック(N
*)がブルー相(BP)に加えてセル中に存在
明らかに、最良の結果が、例2−2、2−3および2−6で得られている。
【0277】
<比較例2>
2−エチルヘキシルアクリレート(EHAと略す)、非メソゲン1反応性単量体および式IB−6の化合物の組み合わせを、高い極性のホスト混合物A−0に、以下の表、表6で与えられる濃度で加えた。
【0278】
【表12】
この前駆体を例1で記載されるように検討する。1.5mW/cm
2のUVライトの露光による2分間の重合後、配向層のない10μm厚みのセルに充填されたホスト混合物中において、非メソゲン単量体EHAおよびLCホストの間で相分離が起き、重合体の多い領域である顕微鏡下で暗いドメインと、樹枝状キラルネマチック欠陥の核生成が生じる。
【0279】
<例3.1〜3.4および比較例3>
1反応性メソゲン化合物として式IA−1の化合物と、2反応性メソゲン化合物として式IB−6の化合物とを種々の濃度で、2.8%のキラルドーパントR−5011および低濃度(典型的には0.6%)の光開始剤Irgacure−651(IRG−651と略記)と共に、ホスト混合物A−0に加える。組成は以下の表、表7に与えられている。反応性メソゲンの総濃度は6%〜18%で3%ずつ変化させるが、1反応性メソゲン化合物の濃度の2反応性メソゲン化合物の濃度に対する比は一定の1.4とする。
【0280】
【表13】
得られた混合物を試験セルに充填し、UV照射により硬化し、検討する。この例および以降の例において、約1.0cm×1.0cmの大きさの試験セルを使用する。試験セルは、ストライプ(くし形の)パターンのインターデジタル電極を一方の基体の内側に有する。セルは、水平な位置に倒されて、約80℃〜100℃の温度を有するホットプレート上で充填される。特性温度および特性電圧の最小値を決定する。結果も、以降の表、表8にまとめる。
【0281】
明らかに、比較例3で使用される6%の重合体前駆体の総濃度は、ブルー相を安定化させるには低すぎるが、例3.1で使用される9%は適用された条件のこの目的にとってちょうど十分である。
【0282】
例3.2の特性電圧の温度依存性を以下の表8中に与える。
【0283】
【表14】
τ
onおよびτ
offの両者の応答時間が5msより短く、同時に特性電圧が依然十分に低い温度領域は、この例(3.2)の場合、30.1℃〜40.1℃に渡る。
【0284】
<例4>
例3と同様に、12%の反応性メソゲンおよび0.6%の光開始剤Irgacure−651を、キラルドーパントR−5011と一緒に、ホスト混合物A−0に加える。しかしながら、ここでは、以下の表、表10にまとめられているように、4.0%のR−5011を使用する。得られた混合物を試験セルに充填し、UV照射により硬化し、検討する。特性温度および特性電圧の最小値を決定する。結果も、以下の表、表9にまとめる。比較のため、例3.2〜3.4のデータも、この表に含まれる。
【0285】
【表15】
<例5>
再び例3と同様にして、総量11.65%の反応性メソゲンおよび0.6%の光開始剤Irgacure−651を、2.7%のキラルドーパントR−5011と一緒に、ホスト混合物A−0に加える。しかしながら、ここでは、以降の表、表10にまとめるように、3.0%の以下の式のトリアルコキシ−化合物(TRIと略記)を、ホスト混合物A−0に追加的に加える。
【0286】
【化41】
得られた混合物を試験セルに充填し、UV照射により硬化し、検討する。特性温度および特性電圧の最小値を決定する。結果も、以降の表、表10にまとめる。
【0287】
<例6.1〜6.4>
これらの例において、12%の反応性メソゲンに加え、例3で使用される0.6%の光開始剤Irgacure−651および2.8%のキラルドーパントR−5011を、ホスト混合物A−0に加え、以下の表、表10にまとめるように、AUUQU−n−Fのタイプの化合物を種々の濃度で加える。得られた混合物を試験セルに充填し、UV照射により硬化し、検討する。特性温度および特性電圧の最小値を決定する。結果も、以下の表、表11にまとめる。比較のため、例3.2のデータも、この表に含まれる。
【0288】
【表16】
注意: n.d.決定されず
【0289】
<例7および8>
これらの例では、例6.1〜6.4と同じく、重合体前駆体、キラルドーパントおよび光開始剤に加え、追加のメソゲン化合物をホスト混合物A−0に加える。しかし、ここでは、加えられる化合物は、末端がCNに置換されたものある。例7で使用される化合物はAUZU−3−Nであり、例8で使用される化合物はAUUQU−3−Nである。以下の表、表12に示されるように、それぞれの場合、使用される濃度は15%である。以下の表、表11に、結果も示す。
【0290】
【表17】
注意: n.d.決定されず
【0291】
例8のセルの特性電圧の温度依存性は、以下の表12で与えられている。
【0292】
【表18】
【0293】
τ
onおよびτ
offの両者の応答時間が5msより短く、同時に特性電圧が依然十分に低い温度領域は、この例(3.2)の場合、35.2℃〜55.0℃に渡る。
【0294】
<例9.1〜9.3および比較例9.1および9.2>
比較例9.1では、例3.2で使用される1反応性メソゲン化合物IA−1の総量7重量%を、等しいパーセント(7重量%)の比較例2で使用される非メソゲン1反応性化合物EHAで置き換える。他の組成は、変化させずに保つ。得られたシステムは、顕微鏡下では、安定なBP−テクスチャーを示さない。
【0295】
比較例9.2では、4重量%の比較例2で使用される非メソゲン1反応性化合物EHAを、8%の2反応性メソゲン化合物IB−6と一緒に使用する。得られた結果を以下の表、表13に示す。
【0296】
例9.1〜9.3では、1反応性メソゲン化合物IA−1を、非メソゲン1反応性化合物EHAと同時に使用する。以下の表、表13に示すように、1反応性化合物の相対濃度を系統的に変化させる一方で、重合体前駆体の濃度は12%の一定に保つ。
【0297】
【表19】
注意: n.d.決定されず
【0298】
例3.2および9.1〜9.3、ならびに比較例09.1および9.2のシステムについて、重合工程中に適当な標準の時間間隔で更に変化が観測されなくなるまで、特性温度を追跡した。
【0299】
結果を以下の表、表14に編集した。
【0300】
【表20】
【0301】
【表21】
注意: n.d.決定されず
【0302】
表14の結果より示される通り、メソゲンとなる1反応性化合部および非メソゲンとなる1反応性化合部の両者を適当に選択し、ならびに重合体前駆体中におけるそれらの適当な混合比を選択することにより、好ましい相、好ましくはブルー相中にシステムを留め、よって重合工程中の温度を制御および調整するために、重合工程中の転移温度の変化を最小とできる。
【0303】
特に、工程中の温度変化が殆ど完全に相殺されている例9.2の結果および例9.3の結果は、この効果を明らかに示している。
【0304】
特に、例9.4は、重合後にT
2の温度変化を殆ど示していない。よって、例9.4aを、多段重合により、追加の例9.4bのように1回のUVの照射が180mSである以外は、上記の通り繰り返す。以前の例(9.4a)の結果は、このようにして良好に再現される。
【0305】
対照的に、比較例9.1および9.2の両者において、両者とも好ましくないが、重合中に転移温度が増加しているのに対し、例3.2では、重合中に転移温度が著しく減少している。