(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリシロキサンが下記一般式(B−1)で示される化合物、これの加水分解物、これの縮合物、これの加水分解縮合物のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
R1BB1R2BB2R3BB3Si(OR0B)(4−B1−B2−B3) (B−1)
(式中、R0Bは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R1B、R2B、R3Bは水素原子又は1価の有機基である。また、B1、B2、B3は0又は1であり、0≦B1+B2+B3≦3である。)
前記被加工体として、半導体装置基板、又は該半導体装置基板に金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものを用いることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
前記被加工体を構成する金属が、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、モリブデン、又はこれらの合金を含むことを特徴とする請求項6に記載のパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上述のように、レジスト下層膜形成用組成物に添加することで、特にKrF露光プロセスにおいて、従来のケイ素含有レジスト下層膜を使用した場合よりも反射を抑え、パターン形状を改善できる熱架橋促進剤の開発が求められていた。
【0031】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、本発明の4級アンモニウム塩化合物を熱架橋促進剤としてレジスト下層膜形成用組成物に添加することで、上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0032】
即ち、本発明は、下記一般式(A−1)で示される4級アンモニウム塩化合物である。
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3はそれぞれ、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がヒドロキシル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子によって置換されていてもよく、カルボニル基、エステル結合のうち1種以上を有していてもよい。R
4は単結合、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基もしくはアルケニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数7〜12のアラルキレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよく、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合のうち1種以上を有していてもよい。A
−は非求核性対向イオンである。)
【0033】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す。
【0034】
<4級アンモニウム塩化合物>
本発明の4級アンモニウム塩化合物は、下記一般式(A−1)で示される、アントラセン構造を有する4級アンモニウム塩化合物であり、熱架橋促進剤として用いることができる。
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3はそれぞれ、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がヒドロキシル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子によって置換されていてもよく、カルボニル基、エステル結合のうち1種以上を有していてもよい。R
4は単結合、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基もしくはアルケニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数7〜12のアラルキレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよく、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合のうち1種以上を有していてもよい。A
−は非求核性対向イオンである。)
【0035】
上記式中、R
1、R
2、R
3はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がヒドロキシル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子によって置換されていてもよく、カルボニル基、エステル結合のうち1種以上を有していてもよい。
具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、アリル基、2−オキソプロピル基、2−オキソ−3−ブテニル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリル基、アニシル基、ベンジル基、メトキシベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基、3−フェニル−2−オキソプロピル基、2−メトキシエチル基、2−[2−メトキシエトキシ]エトキシ基、トリフルオロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等を例示できる。
【0036】
上記式中、R
4は単結合、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基もしくはアルケニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数7〜12のアラルキレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよく、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合のうち1種以上を有していてもよい。
具体的には単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、シクロヘキサンジイル基、プロペン−1,3−ジイル基、2−ブテン−1,4−ジイル基、2−オキソプロパン−1,3−ジイル基、1−オキソ−2−プロペン−1,3−ジイル基等を例示できる。更に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ベンズアルデヒド、アセトフェノン、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、イソプロピルメチルエーテル、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロエタン、アニソール、フルオロベンゼン、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、ブタン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸トリル、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド等から2個の水素原子を除いてできる2価の有機基を例示できる。
【0037】
上記式中、A
−は非求核性対向イオンである。ここでいう対向イオンとは、4級アンモニウムカチオンの対アニオンを示す。
具体的には、水酸化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、p−メチル安息香酸イオン、p−t−ブチル安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ペンタフルオロプロピオン酸イオン、ヘプタフルオロブタン酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸水素イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン等を例示できる。
【0038】
このうち、特に好ましいものとして、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、p−メチル安息香酸イオン、p−t−ブチル安息香酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ペンタフルオロプロピオン酸イオン、ヘプタフルオロブタン酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、シュウ酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン等を例示できる。
【0039】
本発明の上記一般式(A−1)で示される4級アンモニウム塩化合物のカチオン部分は、下記一般式(A−1a)で表される。
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は上記と同様である。)
【0040】
(A−1a)として、具体的には以下のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化5】
【0042】
上記一般式(A−1a)で表されるアントラセン含有4級アンモニウムカチオンは、構造に応じて最適な方法を選択して製造するのが好ましい。典型例として、A法:3級アミン化合物の、脱離基を有するアントラセン化合物によるN−アルキル化反応、B法:材料となる4級アンモニウム塩化合物とアントラセン化合物の縮合反応、の2つの方法を例示できるが、これらの方法に限定されない。以下、これらの方法について詳しく説明する。
【0043】
[A法]
最初に、上記A法、即ち、3級アミン化合物の、脱離基を有するアントラセン化合物によるN−アルキル化反応による、上記一般式(A−1a)で表されるアントラセン含有4級アンモニウムカチオンの合成について説明する。
【0044】
本反応の典型的な反応式は下記の通りである。
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は上記と同様である。Xは脱離基を示し、X
−はこの脱離基のイオンであり、4級アンモニウムカチオンの対アニオンを示す。)
【0045】
R
1、R
2、R
3、及びR
4の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
Xは脱離基を示し、具体的には塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基などのアルキルスルホニルオキシ基;p−トルエンスルホニルオキシ基などのアリールスルホニルオキシ基等を例示できる。
【0046】
3級アミン化合物(SA1)の使用量は、脱離基を有するアントラセン化合物(SA2)1モルに対し、0.3〜50モル、特に0.8〜10モルとすることが望ましい。反応は無溶媒又は溶媒中で行う。
【0047】
溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶媒類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン極性溶媒類;ギ酸、酢酸などのカルボン酸類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類;水の中から反応条件により選択して、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0048】
反応温度は、反応速度に応じて−20℃から200℃までの範囲で選択すればよい。溶媒又は3級アミン化合物(SA1)の沸点が反応温度より低い場合は、オートクレーブ中での反応とすることが好ましい。
【0049】
また、反応促進のために、反応系中に塩基を添加しても良い。添加する塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾールなどのアミン類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルコキシ金属類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化物類;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物類;ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロミドなどの有機金属類;リチウムジイソプロピルアミドなどの金属アミド類の中から反応条件により選択して、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
塩基の使用量は、脱離基を有するアントラセン化合物(SA2)1モルに対し、0.3〜10モル、特に0.5〜5モルとすることが望ましい。
【0050】
また、反応速度向上のために、触媒としてヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどのヨウ化物;臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化テトラブチルアンモニウムなどの臭化物を加えてもよい。
触媒を加える場合の添加量は、脱離基を有するアントラセン化合物(SA2)1モルに対し、0.001〜2モル、特に0.005〜0.5モルとすることが望ましい。
【0051】
反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.1〜100時間程度である。
【0052】
反応終了後、反応混合物を濃縮することにより、アントラセン構造を有する4級アンモニウム塩化合物を得ることができる。必要に応じて水洗、クロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することもできる。場合により、反応液に貧溶媒を添加することにより、反応液から直接目的物を結晶化して精製してもよい。
【0053】
[B法]
次に、上記B法、即ち、材料となる4級アンモニウム塩化合物とアントラセン化合物の縮合反応による上記一般式(A−1a)で表されるアントラセン含有4級アンモニウムカチオンの合成について説明する。
【0054】
本反応の典型的な反応式は下記の通りである。
【化8】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は上記と同様である。R
4A、R
4Bは、単結合又は2価の基であり、−R
4A−R
4B−は−R
4−に等しい。Y
A、Y
Bは水素原子、カチオン性基、又は脱離基を示す。Z
−は4級アンモニウムカチオンの対アニオンを示す。)
【0055】
R
1、R
2、R
3、及びR
4の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
R
4A、R
4Bは、単結合又は2価の基であり、−R
4A−R
4B−は−R
4−に等しい。例えば、R
4がメチレン基である場合、R
4AとR
4Bは、単結合とメチレン基、又はメチレン基と単結合、の組み合わせである。また例えば、R
4がエチレン基である場合、R
4AとR
4Bは、単結合とエチレン基、メチレン基とメチレン基、又はエチレン基と単結合、の組み合わせである。
【0056】
Y
A、Y
Bはそれぞれ独立に水素原子、カチオン性基、又は脱離基を示す。具体的には、水素原子;−Li、−Na、−K、−Cu、−(Ca)
1/2、−(Mg)
1/2、−(Zn)
1/2、−MgCl、−MgBr、−MgI、−ZnCl、−ZnBr、3級アンモニウム、4級アンモニウム、4級ホスホニウム、3級スルホニウムなどのカチオン性基;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基などのアルキルスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基などのアリールスルホニルオキシ基等の脱離基を例示できる。R
4A、R
4B、Y
A、Y
Bは、−R
4A−Y
AとY
B−R
4B−の縮合反応により、−R
4A−R
4B−とY
A−Y
Bを生成する。
【0057】
Z
−は4級アンモニウムカチオンの対アニオンを示し、具体的にはOH
−、Cl
−、Br
−、I
−、(SO
42−)
1/2、NO
3−、CH
3OSO
3−、HSO
4−、HCO
3−、(CO
32−)
1/2、ClO
4−、アルカンスルホナートイオン、アレーンスルホナートイオン、カルボキシラートイオン等を例示できる。
【0058】
材料となる4級アンモニウム塩化合物(SA3)の使用量は、アントラセン化合物(SA4)1モルに対し、0.3〜50モル、特に0.8〜10モルとすることが望ましい。反応は無溶媒又は溶媒中で行う。
【0059】
溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶媒類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン極性溶媒類;ギ酸、酢酸などのカルボン酸類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類;水の中から反応条件により選択して、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
反応温度は、反応速度に応じて−20℃から200℃までの範囲で選択すればよい。
また、反応促進のために、反応系中に塩基を添加してもよい。添加する塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾールなどのアミン類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルコキシ金属類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化物類;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物類;ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロミドなどの有機金属類;リチウムジイソプロピルアミドなどの金属アミド類の中から反応条件により選択して、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
塩基の使用量はアントラセン化合物(SA4)1モルに対し、0.3〜10モル、特に0.5〜5モルとすることが望ましい。
【0061】
また、反応速度向上のために、触媒としてヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどのヨウ化物;臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化テトラブチルアンモニウムなどの臭化物を加えてもよい。
触媒を加える場合の添加量は、アントラセン化合物(SA4)1モルに対し、0.001〜2モル、特に0.005〜0.5モルとすることが望ましい。
【0062】
反応時間は、ガスクロマトグラフィー(GC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.1〜100時間程度である。
【0063】
反応終了後、反応混合物を濃縮することにより、アントラセン構造を有する4級アンモニウム塩化合物を得ることができる。必要に応じて水洗、クロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することもできる。場合により、反応液に貧溶媒を添加することにより、反応液から直接目的物を結晶化して精製してもよい。
【0064】
[アニオン交換]
上記反応により得られるアントラセン構造を有する4級アンモニウムカチオンの対アニオンX
−又Z
−が、最終目的物である一般式(A−1)で示される本発明の4級アンモニウム塩化合物のアニオン種A
−と異なる場合は、追加工程として、下記反応式に示すM
m+(A
−)
mとの反応によるアニオン交換を行うことにより、最終目的物である一般式(A−1)で示される本発明の4級アンモニウム塩化合物を得ることができる。
【0065】
【化9】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、X
−、Z
−、及びA
−は上記と同様である。M
m+はm価の有機カチオン又は無機カチオンを表す。mは1から4の整数を表す。)
【0066】
R
1、R
2、R
3、R
4、X
−、Z
−、及びA
−の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
M
m+はm価の有機カチオン又は無機カチオンを表し、具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、銀イオン、鉛イオン、アンモニウムイオンなどの無機カチオン;テトラメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオンなどの有機カチオンを例示できる。
【0067】
上記反応式で示される4級アンモニウム塩化合物のアニオン交換反応について詳しく説明する。M
m+(A
−)
mの使用量は原料1モルに対し、0.5〜10モル、特に0.8〜5モルとすることが望ましい。
【0068】
反応は溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶媒類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン極性溶媒類;ギ酸、酢酸などのカルボン酸類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類;水の中から反応条件により選択して単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
反応温度は、反応速度に応じて−20℃から使用する溶媒の沸点までの範囲で選択すればよい。
反応時間は、液体クロマトグラフィー(LC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.1〜100時間程度である。
【0070】
反応終了後は、不純物をろ過、水洗等により除いた後に、反応混合物を濃縮することにより、目的物を得ることができる。目的物は、必要があればクロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することができる。
【0071】
このような4級アンモニウム塩化合物であれば、レジスト下層膜形成用組成物に添加することで、特にKrF露光プロセスにおける反射を抑えることができ、更に、その上に形成されたレジストパターンに対して良好な密着性を示すレジスト下層膜を形成することができる。
【0072】
<レジスト下層膜形成用組成物>
また本発明では、上述の本発明の4級アンモニウム塩化合物及びポリシロキサンを含有するレジスト下層膜形成用組成物を提供する。
【0073】
なお、本発明のレジスト下層膜形成用組成物において、上述の本発明の4級アンモニウム塩化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
4級アンモニウム塩化合物の添加量は、ベースポリマー(例えば、後述のポリシロキサン)100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。
【0074】
[ポリシロキサン]
本発明のレジスト下層膜形成用組成物に含有されるポリシロキサンは、下記一般式(B−1)で示される化合物、これの加水分解物、これの縮合物、これの加水分解縮合物のうち1種以上を含有するものであることが好ましい。
R
1BB1R
2BB2R
3BB3Si(OR
0B)
(4−B1−B2−B3) (B−1)
(式中、R
0Bは炭素数1〜6の炭化水素基であり、R
1B、R
2B、R
3Bは水素原子又は1価の有機基である。また、B1、B2、B3は0又は1であり、0≦B1+B2+B3≦3である。)
【0075】
ポリシロキサンの原料(出発物質)として使用される、一般式(B−1)で示される加水分解性ケイ素化合物(アルコキシシラン)として以下のものを例示できる。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等を例示できる。
【0076】
トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリエトキシシラン、s−ブチルトリプロポキシシラン、s−ブチルトリイソプロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリプロポキシシラン、t−ブチルトリイソプロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリプロポキシシラン、シクロプロピルトリイソプロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリプロポキシシラン、シクロブチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリイソプロポキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリプロポキシシラン、シクロオクチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリイソプロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチルトリプロポキシシラン、アダマンチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリイソプロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリプロポキシシラン、トリルトリイソプロポキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、アニシルトリプロポキシシラン、アニシルトリイソプロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリプロポキシシラン、フェネチルトリイソプロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリイソプロポキシシラン等を例示できる。
【0077】
ジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジs−ブチルジメトキシシラン、ジs−ブチルジエトキシシラン、ジs−ブチルジプロポキシシラン、ジs−ブチルジイソプロポキシシラン、ジt−ブチルジメトキシシラン、ジt−ブチルジエトキシシラン、ジt−ブチルジプロポキシシラン、ジt−ブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロプロピルジメトキシシラン、ジシクロプロピルジエトキシシラン、ジシクロプロピルジプロポキシシラン、ジシクロプロピルジイソプロポキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジプロポキシシラン、ジシクロブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジプロポキシシラン、ジシクロペンチルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジイソプロポキシシラン、ジシクロオクチルジメトキシシラン、ジシクロオクチルジエトキシシラン、ジシクロオクチルジプロポキシシラン、ジシクロオクチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジイソプロポキシシラン、ジアダマンチルジメトキシシラン、ジアダマンチルジエトキシシラン、ジアダマンチルジプロポキシシラン、ジアダマンチルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン等を例示できる。
【0078】
モノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を例示できる。
【0079】
その他に一般式(B−1)で示される化合物としては、下記構造で表されたケイ素上に加水分解性基:OR
0Bとして、1〜3個のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、シクロペントキシ基、ヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基、フェノキシ基を含んでいるものを使用できる。
【0084】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物に含有されるポリシロキサンは、上述の一般式(B−1)で示される化合物の他に、原料として下記一般式(B−2)で示される加水分解性金属化合物を含有してもよい。
L’(OR
4B)
B4(OR
5B)
B5(O)
B6 (B−2)
(式中、R
4B及びR
5Bは水素原子又は炭素数1〜30の有機基であり、B4+B5+B6はL’の種類によって決まる価数であり、B4、B5、B6は0以上の数であり、L’は周期律表のIII族、IV族、又はV族の元素で炭素を除くものである。)
【0085】
一般式(B−2)で示される加水分解性金属化合物として、以下のものを例示できる。
L’がホウ素の場合、一般式(B−2)で示される化合物として、ボロンメトキシド、ボロンエトキシド、ボロンプロポキシド、ボロンブトキシド、ボロンアミロキシド、ボロンヘキシロキシド、ボロンシクロペントキシド、ボロンシクロヘキシロキシド、ボロンアリロキシド、ボロンフェノキシド、ボロンメトキシエトキシド、ホウ酸、酸化ホウ素などを例示できる。
【0086】
L’がアルミニウムの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムアミロキシド、アルミニウムヘキシロキシド、アルミニウムシクロペントキシド、アルミニウムシクロヘキシロキシド、アルミニウムアリロキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムメトキシエトキシド、アルミニウムエトキシエトキシド、アルミニウムジプロポキシエチルアセトアセテート、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウム2,4−ペンタンジオネート、アルミニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどを例示できる。
【0087】
L’がガリウムの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、ガリウムメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムプロポキシド、ガリウムブトキシド、ガリウムアミロキシド、ガリウムヘキシロキシド、ガリウムシクロペントキシド、ガリウムシクロヘキシロキシド、ガリウムアリロキシド、ガリウムフェノキシド、ガリウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシエトキシド、ガリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、ガリウムジブトキシエチルアセトアセテート、ガリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、ガリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、ガリウム2,4−ペンタンジオネート、ガリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどを例示できる。
【0088】
L’がイットリウムの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムプロポキシド、イットリウムブトキシド、イットリウムアミロキシド、イットリウムヘキシロキシド、イットリウムシクロペントキシド、イットリウムシクロヘキシロキシド、イットリウムアリロキシド、イットリウムフェノキシド、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムエトキシエトキシド、イットリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、イットリウムジブトキシエチルアセトアセテート、イットリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、イットリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、イットリウム2,4−ペンタンジオネート、イットリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどを例示できる。
【0089】
L’がゲルマニウムの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムプロポキシド、ゲルマニウムブトキシド、ゲルマニウムアミロキシド、ゲルマニウムヘキシロキシド、ゲルマニウムシクロペントキシド、ゲルマニウムシクロヘキシロキシド、ゲルマニウムアリロキシド、ゲルマニウムフェノキシド、ゲルマニウムメトキシエトキシド、ゲルマニウムエトキシエトキシドなどを例示できる。
【0090】
L’がチタンの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、チタンジブトキシビス2,4−ペンタンジオネートなどを例示できる。
【0091】
L’がハフニウムの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムプロポキシド、ハフニウムブトキシド、ハフニウムアミロキシド、ハフニウムヘキシロキシド、ハフニウムシクロペントキシド、ハフニウムシクロヘキシロキシド、ハフニウムアリロキシド、ハフニウムフェノキシド、ハフニウムメトキシエトキシド、ハフニウムエトキシエトキシド、ハフニウムジプロポキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、ハフニウムジブトキシビス2,4−ペンタンジオネートなどを例示できる。
【0092】
L’がスズの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、メトキシスズ、エトキシスズ、プロポキシスズ、ブトキシスズ、フェノキシスズ、メトキシエトキシスズ、エトキシエトキシスズ、スズ2,4−ペンタンジオネート、スズ2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどを例示できる。
【0093】
L’がヒ素の場合、一般式(B−2)で示される化合物として、メトキシヒ素、エトキシヒ素、プロポキシヒ素、ブトキシヒ素、フェノキシヒ素などを例示できる。
【0094】
L’がアンチモンの場合、前記一般式(B−2)で示される化合物として、メトキシアンチモン、エトキシアンチモン、プロポキシアンチモン、ブトキシアンチモン、フェノキシアンチモン、酢酸アンチモン、プロピオン酸アンチモンなどを例示できる。
【0095】
L’がニオブの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、メトキシニオブ、エトキシニオブ、プロポキシニオブ、ブトキシニオブ、フェノキシニオブなどを例示できる。
【0096】
L’がタンタルの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、メトキシタンタル、エトキシタンタル、プロポキシタンタル、ブトキシタンタル、フェノキシタンタルなどを例示できる。
【0097】
L’がビスマスの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、メトキシビスマス、エトキシビスマス、プロポキシビスマス、ブトキシビスマス、フェノキシビスマスなどを例示できる。
【0098】
L’がリンの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリプロピルフォスファイト、トリメチルフォスフェイト、トリエチルフォスフェイト、トリプロピルフォスフェイト、五酸化ニリンなどを例示できる。
【0099】
L’がバナジウムの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、バナジウムオキシドビス(2、4−ペンタンジオネート)、バナジウム2、4−ペンタンジオネート、バナジウムトリブトキシドオキシド、バナジウムトリプロポキシドオキシドなどを例示できる。
【0100】
L’がジルコニウムの場合、一般式(B−2)で示される化合物として、メトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、ブトキシジルコニウム、フェノキシジルコニウム、ジルコニウムジブトキシドビス(2、4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムジプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)などを例示できる。
【0101】
これらの化合物を1種以上選択して、反応前又は反応中に混合してポリシロキサンを形成するための反応原料(モノマー)とすることができる。
【0102】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物に用いられるポリシロキサンは、例えば上述の一般式(B−1)で示される化合物、及び必要により上述の一般式(B−2)で示される化合物を無機酸、脂肪族スルホン酸、及び芳香族スルホン酸から選ばれる1種以上の化合物を酸触媒として用いて、加水分解縮合を行うことで製造することができる。
【0103】
このとき使用される酸触媒としては、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して、通常10
−6〜10モル、好ましくは10
−5〜5モル、より好ましくは10
−4〜1モルである。
【0104】
これらのモノマーから加水分解縮合によりポリシロキサンを得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モルが好ましく、より好ましくは0.05〜50モル、更に好ましくは0.1〜30モルである。添加量が100モル以下であれば、反応に使用する装置が過大になり過ぎないため、経済的である。
【0105】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは5〜80℃である。モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0106】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合物等が好ましい。
【0107】
これらの溶剤の中で好ましいものは水溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体;アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0108】
なお、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0〜1,000mL、特に0〜500mLが好ましい。このような使用量であれば、反応容器が過大となり過ぎないため経済的である。
【0109】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒で使用された酸に対して0.1〜2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中でアルカリ性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0110】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールなどの種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールなどの種類、排気装置、凝縮装置、及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールなどのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0111】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法として、水とポリシロキサンを混合し、ポリシロキサンを有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ポリシロキサンを溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0112】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール+酢酸エチル、エタノール+酢酸エチル、1−プロパノール+酢酸エチル、2−プロパノール+酢酸エチル、ブタンジオールモノメチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノエチルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル+酢酸エチル、ブタンジオールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+酢酸エチル、メタノール+メチルイソブチルケトン、エタノール+メチルイソブチルケトン、1−プロパノール+メチルイソブチルケトン、2−プロパノール+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル+メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノプロピルエーテル+メチルイソブチルケトン、メタノール+シクロペンチルメチルエーテル、エタノール+シクロペンチルメチルエーテル、1−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、2−プロパノール+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル+シクロペンチルメチルエーテル、メタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2−プロパノール+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル+プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等組み合わせが好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0113】
なお、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部が好ましく、より好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0114】
続いて、中性水で洗浄してもよい。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ポリシロキサン溶液1Lに対して、0.01〜100Lが好ましく、より好ましくは0.05〜50L、更に好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1〜5回程度である。
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法を挙げることができる。これらの方法は、反応に使用された酸触媒に合わせて適宜選択することができる。
【0115】
このときの水洗操作により、ポリシロキサンの一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0116】
酸触媒が残留しているポリシロキサン溶液及び酸触媒が除去されたポリシロキサン溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することでポリシロキサン溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置、及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0117】
このとき、溶剤が変わることによりポリシロキサンが不安定になる場合がある。これは最終的な溶剤とポリシロキサンとの相性により発生するが、これを防止するため、安定剤として後述する環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを加えてもよい。加える量としては溶剤交換前の溶液中のポリシロキサン100質量部に対して好ましくは0〜25質量部、より好ましくは0〜15質量部、更に好ましくは0〜5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。溶剤交換前の溶液に、必要であれば安定剤を添加して溶剤交換操作を行えばよい。
【0118】
また、ポリシロキサン溶液は0.1〜20質量%の濃度とすることが好ましい。このような濃度とすることで、ポリシロキサンの縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまうことがない。また、このような濃度とすることで溶剤の量が適量であるため経済的である。
【0119】
ポリシロキサン溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール等のモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0120】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加することも可能である。この補助溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等を例示できる。
【0121】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0122】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール等のアルコール類;ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体;アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0123】
有機溶剤の使用量は、上記の量と同様でよい。得られた反応混合物に対して、上記と同様の方法で後処理を行い、ポリシロキサンを得ることができる。
【0124】
また、本発明のレジスト下層膜形成用組成物に用いられるポリシロキサンは、例えば上述の一般式(B−1)で示される化合物、及び必要により上述の一般式(B−2)で示される化合物を、塩基触媒の存在下、加水分解縮合を行うことで製造することもできる。
【0125】
このとき使用される塩基触媒としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して、通常10
−6モル〜10モル、好ましくは10
−5モル〜5モル、より好ましくは10
−4モル〜1モルである。
【0126】
これらのモノマーから加水分解縮合によりポリシロキサンを得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.1〜50モルを添加することが好ましい。添加量が50モル以下であれば、反応に使用する装置が過大になり過ぎないため、経済的である。
【0127】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行っても良い。反応温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは5〜80℃である。モノマーの滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0128】
塩基触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、酸触媒水溶液に加えることのできるものとして例示した有機溶剤と同様のものが好ましく用いられる。なお、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0〜1,000mL、特に0〜500mLが好ましい。このような使用量であれば、反応容器が過大となり過ぎないため経済的である。
【0129】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、加水分解縮合反応で生成したアルコールを減圧除去し、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸性物質の量は、触媒で使用された塩基性物質に対して0.1〜2当量が好ましい。この酸性物質は水中で酸性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0130】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度及び減圧度は、酸触媒を用いる場合と同様にすればよい。
【0131】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した塩基触媒を除去してもよい。塩基触媒を除去する方法として、水とポリシロキサンを混合し、ポリシロキサンを有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、酸触媒を除去する際に用いられるものとして具体的に例示した上述の有機溶剤と同様のものを用いることができる。
【0132】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。このとき使用する水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物としては、酸触媒を除去する際に用いられるものとして具体的に例示した上述の混合物と同様のものを用いることができる。
なお、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、酸触媒を除去する際に用いられるものと同様でよい。
【0133】
続いて、中性水で洗浄してもよい。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。このときの水の量、洗浄方法、洗浄回数は、酸触媒を用いる場合と同様にすればよい。
また、このときの水洗操作により、ポリシロキサンの一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0134】
塩基触媒が残留しているポリシロキサン溶液及び塩基触媒が除去されたポリシロキサン溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することでポリシロキサン溶液を得る。このときの溶剤交換の温度や減圧度、及び最終的なポリシロキサン溶液の濃度は酸触媒を用いる場合と同様にすればよい。
また、ポリシロキサン溶液に加える最終的な溶剤も、酸触媒を用いる場合と同様のものを用いることができる。
また、酸触媒を用いる場合と同様、安定剤を添加してもよい。
【0135】
また、別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
なお、有機溶剤を使用する場合は、酸触媒を用いる場合と同様のものを用いることができる。
【0136】
得られるポリシロキサンの分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が100,000以下、より好ましくは200〜50,000、更には300〜30,000のものを用いることが好ましい。重量平均分子量が100,000以下であれば、異物の発生や塗布斑が生じる恐れがない。
なお、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0137】
[その他の添加成分]
本発明のレジスト下層膜形成用組成物には、安定性を向上させるために、炭素数が1〜30の1価又は2価以上の有機酸を添加することが好ましい。このような有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等を例示することができる。特にシュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種以上の酸を混合して使用してもよい。添加量は組成物に含まれるポリシロキサン100質量部に対して0.001〜25質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜15質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
あるいは、上記有機酸を組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは0.3≦pH≦6.5、更に好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合することが好ましい。
【0138】
また、本発明のレジスト下層膜形成用組成物には、水を添加してもよい。水を添加すると、ポリシロキサンが水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。組成物の溶剤成分における水の含有率は好ましくは0質量%を超え50質量%未満であり、より好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。
水を含む全溶剤の使用量は、ベースポリマー(ポリシロキサン)100質量部に対して100〜100,000質量部が好ましく、より好ましくは200〜50,000質量部である。このような添加量とすることで、リソグラフィー性能を向上させることができ、かつ塗布膜の均一性が悪化しにくいため、はじきの発生を抑えることができる。
【0139】
また、本発明のレジスト下層膜形成用組成物には、光酸発生剤を添加してもよい。このような光酸発生剤としては、具体的には、特開2009−126940号公報の(0160)段落から(0179)段落に記載されている光酸発生剤が挙げられる。
【0140】
また、本発明のレジスト下層膜形成用組成物には、組成物の安定性を向上させるために、安定剤を添加してもよい。このような安定剤としては、環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコール等のエーテル化合物が挙げられ、具体的には、特開2009−126940号公報の(0180)段落から(0184)段落に記載されている安定剤が挙げられる。
【0141】
また、本発明のレジスト下層膜形成用組成物には、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。このような界面活性剤としては、具体的には、特開2009−126940号公報の(0185)段落に記載されている界面活性剤が挙げられる。
【0142】
以上説明したような、本発明のレジスト下層膜形成用組成物であれば、特にKrF露光プロセスにおける反射が抑えられ、レジスト下層膜上に形成されたレジストパターンとの密着性が良好であり、レジスト下層膜の上層であるレジストパターンと、下層である例えば有機下層膜の間で良好なドライエッチング選択性を有するレジスト下層膜を形成することができる。
【0143】
<パターン形成方法>
本発明では、被加工体上に塗布型有機下層膜材料を用いて有機下層膜を形成し、該有機下層膜の上に上述の本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして前記レジスト下層膜にドライエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして前記有機下層膜にドライエッチングでパターンを転写し、更に該パターンが転写された有機下層膜をマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写するパターン形成方法を提供する。
【0144】
また、本発明では、被加工体上に炭素を主成分とする有機ハードマスクをCVD法で形成し、該有機ハードマスクの上に上述の本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして前記レジスト下層膜にドライエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして前記有機ハードマスクにドライエッチングでパターンを転写し、更に該パターンが転写された有機ハードマスクをマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写するパターン形成方法を提供する。
【0145】
ここで、被加工体としては、半導体装置基板、又は該半導体装置基板に被加工層(被加工部分)として、金属膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜、及び金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたもの等を用いることができる。
【0146】
半導体基板としては、シリコン基板が一般的に用いられるが、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α−Si)、p−Si、SiO
2、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものを用いてもよい。
【0147】
被加工体を構成する金属としては、ケイ素、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、アルミニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素、パラジウム、鉄、タンタル、イリジウム、モリブデン、又はこれらの合金を含むものを用いることができ、このような金属を含む被加工層としては、例えば、Si、SiO
2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜を用いることができ、膜厚は50〜10,000nmが好ましく、100〜5,000nmがより好ましい。
【0148】
本発明のパターン形成方法では、このような被加工体上に、塗布型有機下層膜材料を用いて有機下層膜を形成するか、炭素を主成分とする有機ハードマスクをCVD法で形成する。
なお、ここでいう塗布型有機下層膜材料とは、材料溶液をスピンコーティング法等によって被加工体上に塗布することで有機下層膜を形成できるものを指す。
このような塗布型有機下層膜材料としては、アントラセン骨格を含有するものを用いることが好ましい。アントラセン骨格を含有する有機下層膜上に本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成することで、更に反射を抑えることができる。
【0149】
本発明のパターンの形成方法におけるレジスト下層膜は、上述の本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いて、フォトレジスト膜と同様にスピンコート法等で
有機下層膜上又は有機ハードマスク上に成膜することが可能である。スピンコート後、溶剤を蒸発させることで上層レジスト(フォトレジスト膜)とのミキシングを防止し、また架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は50〜500℃の範囲内が好ましく、ベーク時間は10〜300秒の範囲内が好ましい。特に好ましい温度範囲は、製造されるデバイスの構造にもよるが、デバイスへの熱ダメージを少なくするため、400℃以下が好ましい。
【0150】
このように、本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成することで、特にKrF露光プロセスにおける反射が抑えられ、レジスト下層膜上に形成されたレジストパターンとの密着性が良好であり、レジスト下層膜の上層であるレジストパターン(フォトレジスト膜)と、下層である有機下層膜(又は有機ハードマスク)の間で良好なドライエッチング選択性を有するレジスト下層膜を形成することができる。
【0151】
本発明のパターン形成方法において、レジストパターンの形成は、レジスト組成物を用いたフォトリソグラフィー等の公知の方法で行うことができる。例えば、化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト下層膜上にフォトレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で形成したフォトレジスト膜を露光し、その後現像を行うことでレジストパターンを形成することができる。現像は、アルカリ現像液を用いてフォトレジスト膜の露光部を溶解させるポジ現像で行ってもよいし、露光後、有機溶剤の現像液を用いてフォトレジスト膜の未露光部を溶解させるネガ現像で行ってもよい。
【0152】
本発明のパターン形成方法において、上述のようなフォトリソグラフィーによるレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物は、化学増幅型であり、アルカリ現像液を用いたポジ型現像又は有機溶剤の現像液を用いたネガ型現像等によってパターンの形成を行えるものであれば、特に限定されない。
【0153】
高エネルギー線を用いるリソグラフィー法として300nm以下の光を用いたリソグラフィー法、特にKrFエキシマレーザー光による露光プロセス(KrF露光プロセス)が好ましく、この場合上層のフォトレジスト膜としては、通常のKrFエキシマレーザー光用レジスト組成物が好ましいが、ArF露光での使用も可能である。
【0154】
また、レジストパターンを形成するその他の方法としては、誘導自己組織化法(DSA法)やナノインプリンティングリソグラフィー法を挙げることができる。
【0155】
このような本発明のパターン形成方法を用いることで、基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0156】
以上のように、本発明の4級アンモニウム塩化合物であれば、例えば熱架橋促進剤としてポリシロキサン含有レジスト下層膜形成用組成物に添加することで、特にKrF露光プロセスにおける反射が抑えられ、その上に形成されたレジストパターンに対しては良好な密着性を示し、また上部に形成されたレジストパターンと、下部に形成された例えば有機下層膜(又は有機ハードマスク)の両方に対して高いエッチング選択性を示すレジスト下層膜を形成することができる。このため、形成されたレジストパターンをレジスト下層膜、有機下層膜(又は有機ハードマスク)の順にドライエッチングプロセスを用いて転写する際に、良好なパターン形状でパターンを転写することができる。これにより、最終的には、上層レジストで形成されたパターンを基板に高い精度で転写することができる。
【実施例】
【0157】
以下、合成例、実施例、及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0158】
[4級アンモニウム塩化合物の合成]
一般式(A−1)で示される本発明の4級アンモニウム塩化合物を以下に示す方法で合成した(合成例1−1〜1−8)。
【0159】
(合成例1−1)塩化(9−アントラセニルメチル)ベンジルジメチルアンモニウム(S1)の合成
【化14】
9−クロロメチルアントラセン5.0gをN−メチルピロリドン15gに溶解した。ベンジルジメチルアミン3.6gを加え、50℃で4時間攪拌した。4−メチル−2−ペンタノン50gを加え、16時間放冷した。生じた固体を濾取し、4−メチル−2−ペンタノンにて洗浄後、60℃にて減圧乾燥し、塩化(9−アントラセニルメチル)ベンジルジメチルアンモニウム7.8gを得た。
【0160】
なお、得られた化合物は、MALDI−TOF−MS、IR、
1H−NMR、
13C−NMRを用いた分析により、塩化(9−アントラセニルメチル)ベンジルジメチルアンモニウム(S1)であると同定された。
MALDI−TOF−MS(DCTB/CHCl
3):(+)191.1、326.2、(−)35.0。
IR(D−ATR):ν=3083、3054、3023、2995、2968、1624、1481、1454、1439、1413、1351、1340、1261、1222、1050、1039、991、982、972、931、893、854、806、769、747、735、708、652、601cm
−1。
1H−NMR(500MHz in DMSO−d6):δ=2.81(6H、s)、5.18(2H、t、J=3Hz)、5.98(2H、s)、7.45−7.53(3H、m)、7.59(2H、dd、J=8、7Hz)、7.65−7.72(4H、m)、8.20(2H、d、J=9Hz)、8.90(3H、m)。
13C−NMR(125MHz in DMSO−d6):δ=48.20、59.02、66.55、119.32、125.08、125.33、127.51、128.43、128.77、129.43、130.18、130.99、131.95、133.03、133.36。
【0161】
(合成例1−2)硝酸(9−アントラセニルメチル)ベンジルジメチルアンモニウム(S2)の合成
【化15】
塩化(9−アントラセニルメチル)ベンジルジメチルアンモニウム3.6g、硝酸銀(I)2.2g、メタノール20gの混合物を60℃で20時間攪拌した。不溶分を濾別後、減圧濃縮し、硝酸(9−アントラセニルメチル)ベンジルジメチルアンモニウム3.6gを得た。
【0162】
なお、得られた化合物は、MALDI−TOF−MS、IR、
1H−NMR、
13C−NMRを用いた分析により、硝酸(9−アントラセニルメチル)ベンジルジメチルアンモニウム(S2)であると同定された。
MALDI−TOF−MS(DCTB/CHCl
3):(+)191.2、326.2、(−)62.0。
IR(D−ATR):ν=3037、1746、1707、1625、1504、1483、1446、1415、1357、1329、1260、1183、1160、1041、989、956、928、895、856、810、769、741、728、709、655、603cm
−1。
1H−NMR(500MHz in DMSO−d6):δ=2,78(6H、s)、4.89(2H、s)、5.82(2H、s)、7.45−7.55(3H、m)、7.60−7.65(4H、m)、7.70−7.75(2H、m)、8.23(2H、d、J=8Hz)、8.66(2H、d、J=10Hz)、8.93(1H、s)。
13C−NMR(125MHz in DMSO−d6):δ=48.50、59.26、67.21、119.07、124.54、125.39、127.66、128.09、128.94、129.61、130.36、131.05、132.11、132.96、133.30。
【0163】
(合成例1−3)塩化[3−(9−アントラセニルカルボニルオキシ)プロピル]トリエチルアンモニウム(S3)の合成
【化16】
9−アントラセンカルボン酸3−クロロプロピル11g、トリエチルアミン32g、アセトニトリル30gの混合物を、オートクレーブ中140℃にて3.5時間攪拌した。反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、塩化[3−(9−アントラセニルカルボニルオキシ)プロピル]トリエチルアンモニウム2.3gを得た。
【0164】
なお、得られた化合物は、MALDI−TOF−MS、
1H−NMR、
13C−NMRを用いた分析により、塩化[3−(9−アントラセニルカルボニルオキシ)プロピル]トリエチルアンモニウム(S3)であると同定された。
MALDI−TOF−MS(DCTB/CHCl
3):(+)364.2、(−)35.0。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.11(9H、t、J=7Hz)、2.20(2H、m)、3.26(6H、q、J=7Hz)、3.32(2H、m)、4.69(2H、t、J=6Hz)、7.59(2H、br.t、J=8Hz)、7.65(2H、br.t、J=9Hz)、8.04(2H、br.d、8Hz)、8.17(2H、br.d、9Hz)、8.80(1H、s)。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6):δ=7.11、21.01、52.10、53.25、54.93、124.58、125.79、127.21、127.48、127.52、128.66、129.42、130.38、168.45。
【0165】
(合成例1−4)硝酸[3−(9−アントラセニルカルボニルオキシ)プロピル]トリエチルアンモニウム(S4)の合成
【化17】
塩化[3−(9−アントラセニルカルボニルオキシ)プロピル]トリエチルアンモニウム2.3g、硝酸銀(I)1.4g、t−ブチルアルコール10gの混合物を80℃で40時間攪拌した。不溶分を濾別、減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、硝酸[3−(9−アントラセニルカルボニルオキシ)プロピル]トリエチルアンモニウム1.8gを得た。
【0166】
なお、得られた化合物は、MALDI−TOF−MS、IR、
1H−NMR、
13C−NMRを用いた分析により、硝酸[3−(9−アントラセニルカルボニルオキシ)プロピル]トリエチルアンモニウム(S4)であると同定された。
MALDI−TOF−MS(DCTB/CHCl
3):(+)364.2、(−)62.0。
IR(D−ATR): ν=2987、1721、1625、1523、1448、1397、1341、1264、1206、1174、1153、1039、1015、862、826、796、746cm
−1。
1H−NMR(500MHz in DMSO−d6):δ=1.10(9H、br.t、J=7Hz)、2.19(2H、m)、3.21−3.31(8H、m)、4.67(2H、br.t、J=6Hz)、7.59(2H、m)、7.65(2H、m)、8.04(2H、br.d、9Hz)、8.17(2H、br.d、9Hz)、8.80(1H、s)。
13C−NMR(125MHz in DMSO−d6):δ=7.07、20.97、52.08、53.24、62.75、124.63、125.86、127.24、127.53、127.56、128.71、129.47、130.43、168.51。
【0167】
(合成例1−5)塩化(9−アントラセニルメトキシカルボニルメチル)トリメチルアンモニウム(S5)の合成
【化18】
ベタイン2.5g、9−クロロメチルアントラセン5.0g、アセトニトリル25gの混合物を90℃で5時間攪拌した。4−メチル−2−ペンタノン75mLを加えて、放冷後、結晶を濾取、4−メチル−2−ペンタノンを用いて洗浄した。50℃にて減圧乾燥を行い、塩化(9−アントラセニルメトキシカルボニルメチル)トリメチルアンモニウム5.8gを得た。
【0168】
なお、得られた化合物は、MALDI−TOF−MS、IR、
1H−NMR、
13C−NMRを用いた分析により、塩化(9−アントラセニルメトキシカルボニルメチル)トリメチルアンモニウム(S5)であると同定された。
MALDI−TOF−MS(DCTB/CHCl
3):(+)308.2、(−)35.0。
IR(D−ATR): ν=3016、2952、1742、1719、1625、1482、1463、1403、1259、1196、1143、1121、1046、1014、998、958、931、882、867、742、733、702、638、600cm
−1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=3.27(9H、s)、4.57(2H、s)、6.29(2H、s)、7.57(2H、m)、7.65(2H,m)、8.15(2H、d、J=8Hz)、8.40(2H、d、J=8Hz)、8.74(1H、s)。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6):δ=53.01、60.09、62.42、123.09、124.99、125.35、126.99、129.02、129.45、130.56、130.83、164.99。
【0169】
(合成例1−6)硝酸(9−アントラセニルメトキシカルボニルメチル)トリメチルアンモニウム(S6)の合成
【化19】
塩化(9−アントラセニルメトキシカルボニルメチル)トリメチルアンモニウム3.0g、硝酸銀(I)、1.6g、t−ブチルアルコール15gの混合物を80℃で6時間攪拌した。固体を濾取後、塩化メチレンを用いて固体より目的物を抽出した。濃縮後、4−メチル−2−ペンタノンを加えて攪拌後、固体をろ取、減圧乾燥して、硝酸(9−アントラセニルメトキシカルボニルメチル)トリメチルアンモニウム1.8gを得た。
【0170】
なお、得られた化合物は、IR、
1H−NMR、
13C−NMRを用いた分析により、硝酸(9−アントラセニルメトキシカルボニルメチル)トリメチルアンモニウム(S6)であると同定された。
IR(D−ATR):ν=3034、2981、1748、1625、1492、1478、1463、1407、1359、1326、1269、1258、1192、1182、1163、1135、1055、1040、1007、997、958、932、906、894、885、868、790、765、733、702cm
−1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=3.24(9H、s)、4.45(2H、s)、6.30(2H、s)、7.57(2H、m)、7.65(2H,m)、8.15(2H、d、J=9Hz)、8.40(2H、dd、J=9、1Hz)、8.74(1H、s)。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6):δ=53.16、60.12、62.56、123.90、124.96、125.36、126.99、129.02、129.46、130.57、130.84、164.88。
【0171】
(合成例1−7)安息香酸(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム(S7)の合成
【化20】
9−クロロメチルアントラセン10.0gをN−メチルピロリドン40gに溶解した。トリメチルアミン(13重量%テトラヒドロフラン溶液)30gを40分かけて添加した後、50℃で3時間攪拌した。4−メチル−2−ペンタノン70gを加え、16時間放冷した。生じた固体を濾取、4−メチル−2−ペンタノンにて洗浄後、50℃にて減圧乾燥し、塩化(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム12.5gを得た。
安息香酸1.47g、アセトニトリル16gの混合物に、酸化銀(I)1.39gを加えた後、塩化(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム3.43gを加え、室温で20時間攪拌した。メタノールを加え、不溶分を濾別後、減圧濃縮した。ジイソプロピルエーテルを加えて、析出した結晶を濾取、減圧乾燥し、安息香酸(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム4.26gを得た。
【0172】
なお、得られた化合物は、LC−MS、IR、
1H−NMR、
13C−NMRを用いた分析により、安息香酸(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム(S7)であると同定された。
LC−MS(ESI):(+)250、(−)121。
IR(D−ATR):ν=3017、1622、1605、1564、1492、1460、1449、1364、1261、1188、1162、1064、1049、1021、972、946、900、876、868、825、797、750、735、719、670、634、602cm
−1。
1H−NMR(500MHz in DMSO−d6):δ=3.13(9H、s)、5.78(2H、s)、7.23(3H、m)、7.58(2H、dd、J=9、7Hz)、7.65(2H、m)、7.87(2H、m)、8.19(2H、d、J=9Hz)、8.81(2H、d、J=9Hz)、8.88(1H、s)。
13C−NMR(125MHz in DMSO−d6):δ=52.70、58.76、119.85、124.96、125.35、126.89、127.46、128.01、128.93、129.40、130.97、131.74、132.82、141.78、168.31。
【0173】
(合成例1−8)トリフルオロ酢酸(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム(S8)の合成
【化21】
トリフルオロ酢酸1.20g、アセトニトリル16gの混合物に、酸化銀(I)1.16gを加えた後、塩化(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム2.86gを加え、室温で20時間攪拌した。メタノールを加え、不溶分をろ別後、減圧濃縮した。ジイソプロピルエーテルを加えて、析出した結晶をろ取、減圧乾燥し、トリフルオロ酢酸(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム3.37gを得た。
【0174】
なお、得られた化合物は、LC−MS、
1H−NMR、
13C−NMR、
19F−NMRを用いた分析により、トリフルオロ酢酸(9−アントラセニルメチル)トリメチルアンモニウム(S8)であると同定された。
LC−MS(ESI):(+)250、(−)113。
IR(D−ATR):ν=3032、1682、1667、1626、1526、1507、1496、1481、1450、1413、1120、1167、1119、976、947、924、878、823、802、754、736、715、648、636、602cm
−1。
1H−NMR(500MHz in DMSO−d6):δ=3.09(9H、s)、5.69(2H、s)、7.60(2H、dd、J=8、7Hz)、7.70(2H、m)、8.21(2H、d、J=9Hz)、8.72(2H、d、J=9Hz)、8.90(1H、s)。
13C−NMR(125MHz in DMSO−d6):δ=52.73、58.83、117.48(q、J=300Hz)、119.62、124.74、125.35、127.49、129.45、130.96、131.80、132.77、157.91(q、J=30Hz)。
19F−NMR(470MHz in DMSO−d6):δ=−74.79(3F、s)。
【0175】
[ポリシロキサンの合成]
一般式(B−1)で示されるポリシロキサンを以下に示す方法で合成した(合成例2−1〜2−3)。
(合成例2−1)ポリシロキサン1の合成
エタノール260g、メタンスルホン酸0.2g、及び脱イオン水260gの混合物にメチルトリメトキシシラン34.1g及びテトラエトキシシラン52.2gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)300gを加え、副生アルコール及び過剰の水分を減圧留去し、ポリシロキサン1のPGEE溶液260g(化合物濃度11.2%)を得た。ポリシロキサン1のポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,300であった。
【0176】
(合成例2−2)ポリシロキサン2の合成
エタノール260g、メタンスルホン酸0.2g、及び脱イオン水260gの混合物にフェニルトリメトキシシラン5.0g及びテトラエトキシシラン99.2gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)300gを加え、副生アルコール及び過剰の水分を減圧留去し、ポリシロキサン2のPGEE溶液290g(化合物濃度10.1%)を得た。ポリシロキサン2のポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,900であった。
【0177】
(合成例2−3)ポリシロキサン3の合成
エタノール260g、メタンスルホン酸0.2g、及び脱イオン水260gの混合物にメチルトリメトキシシラン68.1gを添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)300gを加え、副生アルコール及び過剰の水分を減圧留去し、ポリシロキサン3のPGEE溶液310g(化合物濃度10.1%)を得た。ポリシロキサン3のポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,200であった。
【0178】
[実施例、比較例]
上記の合成例2−1〜2−3で得られたポリシロキサン1〜3、熱架橋促進剤として合成例1−1〜1−8で得られた4級アンモニウム塩化合物(S1〜S8)、溶剤、添加物(H
2O)を表1に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、レジスト下層膜形成用組成物溶液をそれぞれ調製し、それぞれSol.1〜19とした。
【0179】
【表1】
TMBMA:マレイン酸モノ(ベンジルトリメチルアンモニウム)
【0180】
(光学特性の評価)
Sol.1〜19を回転塗布し、200℃で60秒間加熱して、膜厚80nmのポリシロキサン含有膜(Film1〜19とする)を形成し、J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VUV−VASE)で波長248nmにおけるFilm1〜19の光学定数(屈折率n、消衰係数k、反射)を求めた結果を表2に示す。
【0181】
【表2】
【0182】
表2に示されるように、従来の熱架橋促進剤を含むSol.17を用いて形成したFilm17や、熱架橋促進剤を含まないSol.18、19を用いて形成したFilm18、19と比較して、熱架橋促進剤として本発明の4級アンモニウム塩化合物を含むSol.1〜16を用いて形成したFilm1〜16は、屈折率が抑えられ、また消衰係数が良好であり、KrFにおける反射を1%以下に抑えることができた。
【0183】
(パターニング試験)
シリコンウエハー上に、信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜形成用組成物ODL−69(カーボン含有量86質量%)を膜厚2.0μmで塗布し、300℃で60秒間加熱して有機下層膜を形成した。その上にレジスト下層膜形成用組成物として上述のSol.1〜19を塗布し、200℃で60秒間加熱して膜厚80nmのレジスト下層膜としてFilm1〜19を形成した。
【0184】
続いて、Film1〜19上に表3に記載のKrFレジスト溶液(PR−1)を塗布し、100℃で90秒間ベークして膜厚250nmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、これらをKrF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S206D(NA=0.68)で露光し、110℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像して、130nmのラインアンドスペースパターンを得た。このウエハーの断面形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−9380)で測定した結果を表4に示す。
【0185】
【表3】
【0186】
KrFレジストポリマー:分子量(Mw)=15,000
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化22】
PAG1(酸発生剤):10−カンファースルホン酸(4−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム
PAG2(酸発生剤):ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン
Base(塩基性化合物):トリス(2−メトキシエチル)アミン
界面活性剤:FC−4430(住友スリーエム(株)製)
溶剤A:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)
溶剤B:乳酸エチル
【0187】
【表4】
【0188】
表4に示されるように、従来の熱架橋促進剤を含むSol.17や、熱架橋促進剤を含まないSol.18、19を用いてレジスト下層膜を形成しパターニングした場合は、得られたパターンの断面形状がテーパー形状となっていたのに対し、熱架橋促進剤として本発明の4級アンモニウム塩化合物を含むSol.1〜16を用いてレジスト下層膜を形成しパターニングした場合は、断面形状が矩形のパターン形状を得ることができた。
【0189】
以上のことから、本発明の4級アンモニウム塩化合物を含有するレジスト下層膜形成用組成物を用いてパターン形成を行うことで、KrF露光プロセスにおける反射を抑えることが可能になり、また矩形のパターン形状を有するパターンを形成できることが明らかとなった。
【0190】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。