【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行所:Optical Society of America、刊行物名:Optics Letters、掲載該当箇所:Vol.37、No.16、第3336頁〜第3338頁、発行年月日:2012年8月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行所:Advances in Structural Health Management and Composite Structures 2012、刊行物名:Proceedings of the ASHMCS 2012 Conference、掲載該当箇所:Vol.I、第P09−1頁〜第P09−4頁、頒布年月日:2012年8月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名:Advances in Structural Health Management and Composite Structures 2012(ASHMCS 2012)、発表日:2012年8月30日、タイトル:NOVEL REAL−TIME ACOUSTO−ULTRASONIC SENSOR SYSTEM USING TWO PHASE−SHIFTED FBGS
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行所:SPIE(the international society for optics and photonics)、刊行物名:Proceedings of SPIE、掲載該当箇所:Vol.8421、第84214H−1頁〜第84214H−4頁、頒布年月日:2012年10月14日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名:22nd International Conference on Optical Fiber Sensors(OFS−22)、発表日:2012年10月16日、タイトル:Novel acoustic emission sensor system based on two cascaded phase−shifted fiber Bragg gratings
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行所:日本複合材料学会、刊行物名:第37回複合材料シンポジウム講演要旨集(Proceedings of the 37th Symposium on Composite Materials)、掲載該当箇所:第105頁〜第106頁、頒布年月日:2012年10月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名:第37回複合材料シンポジウム、発表日:2012年10月18日、タイトル:位相シフトFBGを用いた高感度光ファイバセンサシステムによるCFRP積層板のAE信号および衝撃挙動の検出
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、経済産業省、研究題目「次世代構造部材創製・加工技術開発(複合材構造健全性診断技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
D.Gatti, G.Galzerano, D.Janner, S.Longhi, and P.Laporta,Fiber strain sensor based on a π-phase-shifted Bragg grating and the Pound-Drever-Hall technique,Optics Express,2008年,Vol.16, Issue 3,pp.1945-1950
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る変位計測装置及び変位計測方法について添付図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
(構成および機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係る変位計測装置の構成図である。
【0015】
変位計測装置1は、アルミニウム等の金属や炭素繊維強化プラスチック(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の複合材など、所望の材料で構成された被検物体Oの変位量を計測する装置である。特に、変位計測装置1では、超音波によって生じる振動やアコースティック・エミッション(AE: Acoustic Emission)によって被検物体Oに生じる微小な変位を計測することができる。
【0016】
尚、AEは、材料が変形する際、或いは材料に亀裂が発生する際に、材料に蓄えられていた歪エネルギが弾性波として放出される現象である。また、超音波によって生じる振動は、材料内における欠陥の有無によって変化する。従って、変位計測装置1を被検物体Oの損傷検査装置として用いることもできる。
【0017】
変位計測装置1は、照射系2、第1のFBG3、第2のFBG4及び検出系5で構成することができる。具体的には、照射系2と検出系5との間に第1のFBG3及び第2のFBG4が直列に設けられる。そして、被検物体Oに生じる振動が第2のFBG4に伝播するように、第2のFBG4が被検物体Oに取り付けられる。振動を良好に伝播させる観点からは、接着剤や粘着剤で第2のFBG4を被検物体Oに固定することが望ましい。
【0018】
照射系2は、第1のFBG3及び第2のFBG4に照射光を照射するためのシステムである。従って、
図1に示すように自然放射増幅(ASE: amplified spontaneous emission)光源6等の広帯域光源を用いて照射系2を構成することができる。
【0019】
但し、適切なスペクトルを有する照射光が照射系2から照射されるように波長帯域を制限することが望ましい。そこで、照射系2に、光サーキュレータ7を介してAFBG (apodized FBG)8を設けることが好適である。具体的には、光サーキュレータ7のポート1をASE光源6に、光サーキュレータ7のポート2をAFBG8に、光サーキュレータ7のポート3を第1のFBG3に、それぞれ接続することによって照射系2を構成することができる。
【0020】
そうすると、AFBG8は、第1のFBG3及び第2のFBG4に入射させる照射光の波長帯域を調整するための光学素子として機能する。すなわち、ASE光源6から出射した照射光が光サーキュレータ7のポート1に入射してポート2からAFBG8に入射する。この結果、予め適切な特性が付与されたAFBG8から適切なスペクトルを有する光が反射される。そして、AFBG8からの適切なスペクトルを有する反射光を、光サーキュレータ7のポート2に入射させてポート3から照射光として第1のFBG3に出力させることができる。
【0021】
第1のFBG3は、光フィルタとして機能する。一方、第2のFBG4は光センサとして機能する。第1のFBG3及び第2のFBG4の少なくとも一方は、位相シフトFBG (PS-FBG: Phase-shifted FBG)で構成することが好適である。尚、
図1は、第1のFBG3及び第2のFBG4をいずれもPS-FBGで構成した例を示している。すなわち、
図1に示す変位計測装置1には、第1のFBG3としてPS-FBGフィルタが、第2のFBG4としてPS-FBGセンサが、それぞれ設けられている。
【0022】
図2は、FBG及びPS-FBGの周辺構造を示す図である。
図2に示すようにFBG及びPS-FBGは、コーティング及び被覆材(cladding)で保護されたファイバのコア上に設けられる。
【0023】
図3は、FBG及びPS-FBGの長手方向における屈折率分布を示す図であり、
図4は、FBG及びPS-FBGのスペクトルの模式図である。
【0024】
図3(A), (B)において各横軸は、FBG及びPS-FBGを設けた光ファイバの基準位置からの長さ、つまり長手方向の位置を示し、各縦軸は、FBG及びPS-FBGを設けた光ファイバの実効屈折率分布Δeffを示す。また、
図3(A)は、FBGの実効屈折率分布Δeffを示しており、
図3(B)はPS-FBGの実効屈折率分布Δeffを示している。一方、
図4において横軸はPS-FBGの透過光の波長[nm]を示し、縦軸はPS-FBGの透過光の強度[a.u.: arbitrary unit]を示す。また、
図4中の実線は、PS-FBGの透過光のスペクトルを示し、点線は、通常のFBGの透過光のスペクトルを示す。
【0025】
FBGは、
図3(A)に示すように屈折率が周期的に変動する回折格子である。このような屈折率分布を有するFBGのスペクトルは、
図4の点線で示すように波長方向に所定の分布を有する。一方、PS-FBGは、
図3(B)に示すように屈折率の周期的な変動に局所的な位相シフトを導入したFBGである。このような屈折率分布を有するPS-FBGのスペクトルには、
図4の実線で示すようにFBGの所定の分布に加えて不連続なピークが出現する。、
【0026】
つまり、
図4に示すように、PS-FBGの透過光のスペクトルには、通常のFBGの透過光のスペクトルに存在しない、局所的な鋭いピークが出現する。
図4に示す例では、帯域幅が0.2 nm以下のピークが生じている。また、
図4の実線は、屈折率の位相シフト量を180度とした場合の例を示している。
【0027】
図5は、
図1に示すAFBG8の反射光のスペクトル、第1のFBG3としてのPS-FBGフィルタの透過光のスペクトル及び第2のFBG4としてのPS-FBGセンサの透過光のスペクトルの一例を示す図である。
【0028】
図5において横軸は、反射光又は透過光の波長[nm]を示し、縦軸は反射光又は透過光の強度[a.u.]を示す。また、
図5中の実線はAFBG8の反射光のスペクトルを、二点鎖線はPS-FBGフィルタの透過光のスペクトルを、一点鎖線はPS-FBGセンサのスペクトルを、それぞれ示す。
【0029】
AFBG8は、実線で例示されるような反射光の波長に対する反射率分布が得られるように特性が決定される。また、PS-FBGフィルタは、二点鎖線で例示されるような透過光の波長に対する第1の透過率分布が得られるように特性が決定される。更に、PS-FBGセンサは、一点鎖線で例示されるような透過光の波長に対する第2の透過率分布が得られるように特性が決定される。
【0030】
具体的には、PS-FBGフィルタの第1の透過率分布と、PS-FBGセンサの第2の透過率分布とが、互いにオーバーラップするようにPS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサの光透過特性が決定される。更に、AFBG8の反射率分布が、PS-FBGフィルタの第1の透過率分布及びPS-FBGセンサの第2の透過率分布をカバーするようにAFBG8の光反射特性が決定される。
【0031】
そうすると、第1のFBG3としてのPS-FBGフィルタは、被検物体Oに生じる振動が伝搬しない位置に配置されているため、被検物体Oの変位量に関わらず第1のFBG3の第1の透過率分布は一定である。このため、第1のFBG3としてのPS-FBGは、照射系2から入射する照射光のうち、第1の透過率分布に対応する波長の照射光のみを選択的に第2のFBG4としてのPS-FBGに出力する光学フィルタを構成する。
【0032】
一方、第2のFBG4としてのPS-FBGは、被検物体Oに生じる振動が伝搬するように設けられている。従って、被検物体Oに振動が付与されて歪による変位が生じると、第2のFBG4としてのPS-FBGは、被検物体Oとともに伸縮する。この結果、第2のFBG4としてのPS-FBGは、被検物体O及び第2のFBG4の伸縮量に応じて透過特性が変化する。すなわち、第2のFBG4としてのPS-FBGは、被検物体Oの変位量に応じて第2の透過率分布が波長方向に変化する。従って、第2のFBG4としてのPS-FBGは、被検物体Oの変位量に応じて変化する第2の透過率分布に対応する波長の光のみを選択的に検出系5に出力する光学センサを構成する。
【0033】
このように、PS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサで構成される光学系を照射光の光路上に設けると、被検物体Oに生じる変位量に応じた振幅を有する光がPS-FBGセンサから出力されることになる。
【0034】
図6は、
図1に示す第1のFBG3としてのPS-FBGフィルタ及び第2のFBG4としてのPS-FBGセンサを透過する透過光の、被検物体Oの変位量に応じた振幅の変化を示す図である。
【0035】
図6において二点鎖線はPS-FBGフィルタの透過光のスペクトルを、一点鎖線はPS-FBGセンサの透過光のスペクトルを、実線はPS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサを透過した透過光のスペクトルを、それぞれ示す。尚、説明簡易化のため、PS-FBGセンサに対応するスペクトルのピークと、PS-FBGフィルタに対応するスペクトルのピークが同じ高さとして表示されている。
【0036】
図6(A)に示すように、被検物体Oに生じる変位量Dがゼロである場合に、PS-FBGフィルタのスペクトルとPS-FBGセンサのスペクトルとが波長シフト量λ
0だけ互いにシフトした状態でオーバーラップするようにPS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサの透過光特性が決定されているものとする。尚、波長シフト量λ
0をゼロとして、被検物体Oに生じる変位量Dがゼロである場合における初期条件を、PS-FBGフィルタのスペクトルとPS-FBGセンサのスペクトルとがシフトしないようにしてもよい。また、波長シフト量λ
0を負値としてもよい。
【0037】
この場合、PS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサを透過する透過光のスペクトルは、原理的にはPS-FBGフィルタのスペクトルとPS-FBGセンサのスペクトルのオーバーラップ領域に対応するスペクトルとなる。従って、PS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサを透過する透過光を光信号として検出すると、振幅I
0の信号が検出される。
【0038】
一方、被検物体Oに変位量D
1の変位が生じている場合には、PS-FBGセンサにも変位量D
1の変位が生じる。従って、
図6(B)に示すように、PS-FBGセンサのスペクトルが波長方向に遷移する。これに対して、PS-FBGフィルタには変位が生じないため、PS-FBGフィルタのスペクトルは一定である。この結果、PS-FBGフィルタのスペクトルとPS-FBGフィルタのスペクトルとの間における波長シフト量がλ
1に変化する。従って、PS-FBGフィルタのスペクトルとPS-FBGセンサのスペクトルのオーバーラップ領域が変化し、PS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサを透過する透過光の振幅は、被検物体O及びPS-FBGセンサの変位量D
1に対応する振幅I
1となる。
【0039】
同様に、被検物体Oに変位量D
2の変位が生じている場合には、PS-FBGフィルタ及びPS-FBGセンサを透過する透過光の振幅が、被検物体O及びPS-FBGセンサの変位量D
2に対応する振幅I
2となる。
【0040】
従って、PS-FBGセンサからは、被検物体Oの変位量Dに応じた振幅Iを有する光が測定光として出力されることになる。尚、PS-FBGセンサが圧縮するか伸長するかによってPS-FBGフィルタのスペクトルの遷移方向が変わることになる。従って、被検物体Oが振動すると、PS-FBGセンサが伸縮し、PS-FBGセンサからは、正値の振幅と負値の振幅との間で時間的に振動する強度を有する測定光が出力される。
【0041】
尚、AFBG8によって、PS-FBGフィルタに入射する照射光の光量及び波長を制限することにより、被検物体Oの変位量D
2の測定に無用な照射光の成分を除去することができる。つまり、AFBG8は、ASE光源6からの照射光を絞るためのフィルタとして機能している。このため、強すぎる照射光に起因する悪影響を抑制することができる。
【0042】
検出系5は、第1のFBG3としてのPS-FBGフィルタ及び第2のFBG4としてのPS-FBGセンサを透過した照射光の振幅(強度)を検出することによって被検物体Oの変位量を示す指標を取得するシステムである。より具体的には、被検物体Oの変位量に応じて第2の透過率分布が波長方向に変化する第2のFBG4及び被検物体Oの変位量に依らず第1の透過率分布が一定の第1のFBG4を経由した照射光の振幅を検出し、第2の透過率分布の変化量に応じて変化する照射光の振幅に基づいて被検物体Oの変位量を示す指標を取得することができる。そのために、検出系5は、光検出器(PD: Photo Detector)9、オシロスコープ10、データ処理装置11及び表示装置12を用いて構成することができる。
【0043】
PD9は、第1のFBG3としてのPS-FBGフィルタ及び第2のFBG4としてのPS-FBGセンサを透過した照射光の振幅を検出し、照射光の振幅に応じた振幅を有する電気信号に変換する装置である。
【0044】
オシロスコープ10は、PD9において検出された電気信号の時間変化をモニタリングする装置である。デジタル式のオシロスコープなど、近年のオシロスコープには、通常、電気信号の時間変化を記録する機能が備えられている。
【0045】
データ処理装置11は、オシロスコープ10において観測された電気信号の時間変化に基づいて、被検物体Oの変位量を示す指標を取得する装置である。データ処理装置11は、コンピュータに必要なデータ処理機能を有するデータ処理プログラムを読込ませて構築することができる。また、データ処理装置11を構成するために回路を用いてもよい。オシロスコープ10がアナログ式であり、データ処理装置11がコンピュータである場合には、A/D(analog to digital)変換器を介してコンピュータがオシロスコープ10と接続される。
【0046】
被検物体Oの変位量を示す指標としては、変位量自体の他、変位量に対応する光又は電気信号の振幅値としてもよい。従って、被検物体Oの変位量の時間変化を、電気信号の時間変化を示す波形として表示させるのみである場合には、データ処理装置11を省略してもよい。
【0047】
一方、被検物体Oの変位量を数値として表示させる場合や電気信号の時間変化を被検物体Oの変位量に換算して表示させる場合には、被検物体Oの変位量と電気信号の振幅値とを対応付けた換算テーブルや電気信号の振幅値に基づいて被検物体Oの変位量を算出するための関数が予めデータ処理装置11に保存される。そして、データ処理装置11には、換算テーブル又は換算用の関数を参照し、オシロスコープ10から取得した電気信号に基づいて被検物体Oの変位量を求める機能が備えられる。
【0048】
被検物体Oの変位量を示す指標としては、変位量や信号の時間変化に限らず、欠陥の有無や検出結果等の情報とすることもできる。例えば、上述したように変位計測装置1を被検物体Oの損傷検査装置として用いる場合には、AEの有無を被検物体Oの変位量を示す指標として検出することもできる。その場合には、データ処理装置11において被検物体Oにおいて生じるAEに対応する変位量を示す指標が取得される。すなわち、データ処理装置11に少なくともAEの発生による変位量と、電気信号の振幅との換算テーブル又は換算関数等の換算情報が保存される。そして、AEに起因する変位量に対応する電気信号の振幅が検出された場合には、AEが生じたという検出情報を生成することができる。
【0049】
別の例として、超音波探傷検査における受信系として変位計測装置1を用いることもできる。その場合には、被検物体Oに欠陥が存在する場合に生じる超音波反射波による振動に対応する電気信号の振幅又は振幅パターンを検出する機能をデータ処理装置11に設ければよい。すなわち、データ処理装置11では、被検物体Oの構造に応じた超音波による振動に対応する変位量を示す指標が取得される。そのために、被検物体Oの欠陥等の構造に応じた超音波振動と電気信号との換算情報をデータ処理装置11に保存するようにしてもよい。
【0050】
更に、別の側面として、被検物体Oの材質に応じた欠陥の検出機能をデータ処理装置11に設けることもできる。特にCFRPの探傷検査は航空機の製造現場において重要な作業である。そこで、データ処理装置11において、CFRPで構成される被検物体O内の欠陥を指標として検出するようにしてもよい。その場合には、CFRP内における欠陥の発生に伴って生じるAEに対応する電気信号の振幅や振幅パターンを参照データとしてデータ処理装置11に保存し、参照データと実際に測定された電気信号に基づいてCFRPにおけるAEの発生を検出することができる。或いは、CFRPの超音波探傷検査を行う場合には、CFRP内の欠陥の有無に応じた超音波振動に対応する電気信号の振幅や振幅パターンを参照データとしてデータ処理装置11に保存し、参照データと実際に測定された電気信号に基づいてCFRPにおける欠陥の有無を検出することができる。
【0051】
もちろん、CFRP以外の材料についても同様な欠陥の検出を行うことができる。また、欠陥の検出に限らず、被検物体Oの厚さ測定等の超音波検査における受信系として変位計測装置1を用いることもできる。従って、変位計測装置1の用途に応じた電気信号の変換情報や参照データをデータ処理装置11に準備することによって、多種多様な被検物体Oに対する様々な検査を行うことができる。或いは、逆に、特定の被検物体Oの特定の検査に最適な変位計測装置1を構成することができる。
【0052】
そして、データ処理装置11において得られた情報は、測定情報として表示装置12に表示させることができる。
【0053】
尚、データ処理装置11には、オシロスコープ10において取得される電気信号の時間変化によって、十分な精度で被検物体Oの変位量を示す指標が得られない場合に備えて、アベレージングを実行する機能を設けることもできる。すなわち、超音波振動を連続的に被検物体Oに付与する場合など、同一の条件下で繰返しデータの取得が可能である場合には、取得されたデータを加算することによってSNRを確保することができる。
【0054】
(動作および作用)
次に変位計測装置1の動作および作用について説明する。
【0055】
変位計測装置1を用いて被検物体Oの変位を計測する場合には、被検物体Oに第2のFBG4としてのPS-FBGセンサが取り付けられる。そして、ASE光源6から照射光が光サーキュレータ7のポート1に出力される。このため、光サーキュレータ7のポート2からAFBG8に照射光が入射する。この結果、AFBG8からは、
図5の実線で示すようなスペクトルを有する反射光が生じる。
【0056】
AFBG8において生じた反射光は、光サーキュレータ7のポート2に入射する。そして、AFBG8の反射光は、照射光として光サーキュレータ7のポート3から第1のFBG3としてのPS-FBGフィルタに出力される。
【0057】
PS-FBGフィルタは、
図5の二点鎖線で示すような透過特性を有している。従って、鋭いピークを有するスペクトルを有する光がPS-FBGフィルタを透過する。PS-FBGフィルタの透過光は、第2のFBG4としてのPS-FBGセンサに入射する。PS-FBGセンサも、
図5の一点鎖線で示すような鋭いピークを有する透過特性を有している。
【0058】
この時、被検物体Oに振動等によって変位が生じると、被検物体OとともにPS-FBGセンサが伸縮する。その結果、PS-FBGセンサの透過率分布がPS-FBGセンサの伸縮量に応じた波長分だけシフトする。これにより、PS-FBGフィルタの第1の透過率分布と、PS-FBGセンサの第2の透過率分布とのオーバーラップ領域が、PS-FBGセンサの伸縮量に応じて変化する。
【0059】
そして、PS-FBGセンサからは、PS-FBGフィルタの第1の透過率分布と、PS-FBGセンサの第2の透過率分布とのオーバーラップ領域に対応するスペクトルを有する照射光が測定光として出力される。すなわち、
図6に示すように被検物体O及びPS-FBGセンサの変位量に応じた振幅を有する測定光がPS-FBGセンサから出力される。
【0060】
PS-FBGセンサから出力された測定光は、PD9によって検出される。すなわち、測定光は、PD9において測定光の振幅に応じた振幅を有する電気信号に変換される。PD9において生成された電気信号は、オシロスコープ10に出力される。この結果、オシロスコープ10には、被検物体O及びPS-FBGセンサの変位量に応じた振幅を有する電気信号の波形が表示される。
【0061】
このため、ユーザは、電気信号の波形として、被検物体Oに生じた変位の時間変化を視認することが可能となる。例えば、被検物体Oに超音波振動が付与された場合には、超音波振動による微小な変位の時間変化を観察することができる。或いは、被検物体OからAE等の振動が生じた場合には、振動による微小な変位の発生とともに発生した変位の時間変化を観察することができる。
【0062】
オシロスコープ10において取得された電気信号の時間変化は、データ処理装置11に出力される。データ処理装置11では、電気信号の時間変化に基づいて所望の信号処理が実行される。例えば、予め準備された電気信号の振幅と、被検物体Oの変位量との換算情報を参照することによって実際の被検物体Oの変位量を算出することができる。
【0063】
また、電気信号の時間変化のパターンと、経験的或いはシミュレーション等によって準備した参照パターンとの比較によって、被検物体Oにおいて生じたAEや被検物体O内における欠陥の有無を検出することができる。或いは、AEや欠陥が存在する場合に観測される電気信号の振幅の絶対値を予め参照データとして準備しておけば、オシロスコープ10において取得された電気信号の振幅の絶対値を参照データと比較することによって、AEや欠陥を検出することができる。
【0064】
データ処理装置11において取得された情報は、測定情報として表示装置12に表示される。このため、ユーザは、オシロスコープ10に表示される電気信号の波形情報に加え、波形情報に基づく被検物体Oの情報を確認することができる。
【0065】
つまり以上のような変位計測装置1は、FBGで構成されるフィルタとセンサを設け、被検物体Oの変位量に応じて透過特性が変化する光センサ及び被検物体Oの変位量に応じて透過特性が変化しない光フィルタの双方を透過した測定光の振幅を計測することによって、被検物体Oの変位量を求めるようにしたものである。更に、変位計測装置1は、被検物体Oの変位量に応じた測定光の振幅の変化量が大きくなるように、フィルタ及びセンサを構成する各FBGの一方又は双方としてPS-FBGを用いるようにしたものである。
【0066】
尚、フィルタを構成する第1のFBG3を、センサを構成する第2のFBG4の出力側に接続するようにしてもよい。すなわち、フィルタ及びセンサである第1のFBG3及び第2のFBG4の接続順序は任意である。
【0067】
(効果)
このため、変位計測装置1によれば、従来のAWG等の複雑な光学素子を構成要素とする計測装置と比較して、構成を簡易にすることができる。また、波長可変型レーザ等の高価なデバイスが不要であるため、製造コストを低減させることができる。更に、変位計測装置1の軽量化を図ることができる。この結果、複数のセンサを異なる位置に配置することによって、計測点の多点化を容易にすることができる。
【0068】
加えて、フィルタ及びセンサの少なくとも一方をPS-FBGで構成することにより、フィルタ及びセンサの少なくとも一方を透過する透過光のスペクトルの形状を極めて鋭利にすることができる。しかも、変位計測装置1において測定される光は、フィルタ及びセンサの双方を透過した測定光である。このため、被検物体Oに生じる変位量が微小であっても、測定光の振幅変化として高感度に検出することができる。すなわち、フィルタ及びセンサの少なくとも一方としてPS-FBGを用いることにより、被検物体Oに生じる微小な変位の検出感度を向上させることができる。
【0069】
被検物体Oの変位量の検出感度が向上すると、SNRが改善する。従って、アベレージング等のSNRを向上させるための技術が不要となる。或いは、アベレージングのための観測回数を低減させることができる。その結果、被検物体Oの変位量の計測時間を短縮することができる。
【0070】
実際に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT: lead zirconate titanate)を圧電素子として被検物体Oに微小な振動を付与し、PS-FBGセンサ及びPS-FBGフィルタを備えた変位計測装置1で測定された信号と、PZTで測定された信号とを比較した。その結果、変位計測装置1では、PZTと同等な精度で振動を検出できることが確認できた。
【0071】
更に、圧電アクチュエータであるMFC (Macro Fiber Composite)アクチュエータでCFRPに振動を付与した結果、PS-FBGセンサ及びPS-FBGフィルタを備えた変位計測装置1でCFRPを伝播するラム(Lamb)波をアベレージングを実行することなく検出できることが確認できた。尚、従来のAWGを構成要素とする計測装置を用いて同等なラム波を検出するためには、約4000回のデータ収集を伴うアベレージングが必要となる。従って、変位計測装置1における感度の向上によって従来よりも計測時間を低減できることが確認できた。
【0072】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係る変位計測装置の構成図である。
【0073】
図7に示された第2の実施形態における変位計測装置1Aは、照射系2の構成が
図1に示す第1の実施形態における変位計測装置1と相違する。他の構成および作用については第1の実施形態における変位計測装置1と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0074】
変位計測装置1Aの照射系2では、ASE光源6の出力先に、NチャンネルのAWG20が設けられる。そして、AWG20の出力側が第1のFBG3と接続される。AWG20の特性は、AFBG8の特性と同等である。従って、変位計測装置1Aの照射系2からは、AFBG8を備えた第1の実施形態における照射系2から出力される照射光のスペクトルと実質的に同等なスペクトルを有する照射光を出力することができる。
【0075】
つまり、第2の実施形態における変位計測装置1Aは、第1のFBG3及び第2のFBG4に入射させる照射光の波長帯域を調整するための光学素子として、AWG20を用いるようにしたものである。このため、第2の実施形態における変位計測装置1Aによれば、第1の実施形態における変位計測装置1と同様な効果を得ることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態に係る変位計測装置の構成図である。
【0077】
図8に示された第3の実施形態における変位計測装置1Bは、超音波送信系30及び超音波受信系31を設けた点並びに検出系5の詳細機能が
図1に示す第1の実施形態における変位計測装置1と相違する。他の構成および作用については第1の実施形態における変位計測装置1と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0078】
超音波送信系30は、被検物体Oに超音波による振動を付加するシステムである。超音波送信系30は、関数発生器32の出力側に、増幅器(アンプ)33を介してPZT等の圧電素子34を接続することによって構成することができる。
【0079】
一方、超音波受信系31は、被検物体Oを伝播する超音波を受信するシステムである。超音波受信系31は、PZT等の圧電素子35を用いて構成することができる。更に、圧電素子35からの出力を検出するためにオシロスコープ等の検出装置を用いることができる。
図8に示す例では、PD9の出力をモニタリングするためのオシロスコープ10が超音波受信系31における検出装置としても用いられている。
【0080】
つまり、変位計測装置1Bは、超音波送信系30及び超音波受信系31を構成要素として付加したものである。従って、検出系5では、被検物体Oの構造に応じた超音波による振動に対応する変位量を示す指標を取得することができる。
【0081】
また、変位計測装置1Bには、超音波受信系31が備えられている。従って、超音波受信系31の圧電素子35で受信された超音波信号と、PD9で受信された光信号とを比較することが可能となる。つまり、検出系5では、光信号及び超音波信号の双方に基づくデータ処理が可能である。
【0082】
このため、第3の実施形態における変位計測装置1Bによれば、第1の実施形態における変位計測装置1と同様な効果を得ることができる。加えて、被検物体Oに生じる振動を光信号及び超音波信号の双方として検出することができる。従って、光信号及び超音波信号の各利点を有効に活用することができる。例えば、圧電素子35及びFBGセンサの一方の精度確認や校正のために他方で取得された信号を利用することができる。また、光信号と超音波信号の重み付け加算等の後処理を実行することもできる。
【0083】
(第4の実施形態)
図9は本発明の第4の実施形態に係る変位計測装置の構成図である。
【0084】
図9に示された第4の実施形態における変位計測装置1Cは、第1のFBG3及び第2のFBG4をいずれもセンサとして設けた点が
図1に示す第1の実施形態における変位計測装置1と相違する。他の構成および作用については第1の実施形態における変位計測装置1と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0085】
変位計測装置1Cでは、第1のFBG3もセンサとして被検物体Oに取り付けられる。
図9に示す例では、第1のFBG3及び第2のFBG4として第1のPS-FBGセンサ及び第2のPS-FBGセンサが被検物体Oに取り付けられている。つまり、第1のFBG3は、被検物体Oの変位量に応じて第1の反射率分布が波長方向に変化する第1のセンサを構成する。同様に、第2のFBG4も被検物体Oの変位量に応じて第2の透過率分布が波長方向に変化する第2のセンサを構成する。
【0086】
但し、第2のFBG4の第2の透過率分布が、被検物体Oの変位量に応じて第1のFBG3の第1の透過率分布と異なる変化量で波長方向に変化するように、第1のFBG3及び第2のFBG4の各透過特性が決定される。そうすると、第1のFBG3及び第2のFBG4の双方を透過する透過光の振幅は、被検物体Oの変位量に応じて変化することとなる。
【0087】
図10は、
図9に示す第1のFBG3としての第1のPS-FBGセンサ及び第2のFBG4としての第2のPS-FBGセンサを透過する透過光の、被検物体Oの変位量に応じた振幅の変化を示す図である。
【0088】
図10において二点鎖線は第1のPS-FBGセンサの透過光のスペクトルを、一点鎖線は第2のPS-FBGセンサの透過光のスペクトルを、実線は第1のPS-FBGセンサ及び第2のPS-FBGセンサを透過した透過光のスペクトルを、それぞれ示す。尚、説明簡易化のため、第1のPS-FBGセンサに対応するスペクトルのピークと、第2のPS-FBGセンサに対応するスペクトルのピークが同じ高さとして表示されている。
【0089】
図10(A)に示すように、被検物体Oに生じる変位量Dがゼロである場合に、第1のPS-FBGセンサのスペクトルと第2のPS-FBGセンサのスペクトルとがオーバーラップするように第1のPS-FBGセンサ及び第2のPS-FBGセンサの透過光特性が決定されているものとする。この時の第1のPS-FBGセンサのスペクトルのピークに対応する波長をλ
01とし、第2のPS-FBGセンサのスペクトルのピークに対応する波長をλ
02とする。
【0090】
この場合、第1のPS-FBGセンサ及び第2のPS-FBGセンサを透過する透過光を光信号として検出すると、オーバーラップ領域に対応する振幅I
0の信号が検出される。
【0091】
一方、被検物体Oに変位量D
1の変位が生じている場合には、第1のPS-FBGセンサのスペクトルのピークに対応する波長がλ
11に、第2のPS-FBGセンサのスペクトルのピークに対応する波長がλ
12に、それぞれシフトする。但し、第1のPS-FBGセンサのスペクトルと第2のPS-FBGセンサのスペクトルの各シフト量は互いに異なる。このため、第1のPS-FBGセンサのスペクトルと第2のPS-FBGセンサのスペクトルのオーバーラップ領域が変化し、第1のPS-FBGセンサ及び第2のPS-FBGセンサを透過する透過光の振幅は、被検物体Oの変位量D
1に対応する振幅I
1となる。
【0092】
同様に、被検物体Oに変位量D
2の変位が生じている場合には、第1のPS-FBGセンサのスペクトルのピークに対応する波長がλ
21に、第2のPS-FBGセンサのスペクトルのピークに対応する波長がλ
22に、それぞれシフトする。このため、第1のPS-FBGセンサ及び第2のPS-FBGセンサを透過する透過光の振幅が、被検物体Oの変位量D
2に対応する振幅I
2となる。
【0093】
従って、後段の第2のPS-FBGセンサからは、被検物体Oの変位量Dに応じた振幅Iを有する光が測定光として出力されることになる。このため、第1の実施形態における変位計測装置1と同様な原理で被検物体Oの変位量を計測することができる。尚、第1のFBG3及び第2のFBG4は、いずれもセンサとしての役割と、フィルタとしての役割を兼ねていると言うこともできる。
【0094】
以上のような第4の実施形態における変位計測装置1Cによれば、第1の実施形態における変位計測装置1と同様な効果を得ることができる。加えて、各FBGセンサの特性を適切に決定することにより、被検物体Oの変位量の測定レンジを広げることが可能となる。すなわち、変位量の測定感度と測定レンジを、被検物体Oの材質や想定される変位量の範囲等の条件に合わせて調整することができる。
【0095】
(第5の実施形態)
図11は本発明の第5の実施形態に係る変位計測装置の構成図である。
【0096】
図11に示された第5の実施形態における変位計測装置1Dは、第1のFBG3及び第2のFBG4を透過する各透過光の少なくとも一方に代えて反射光を利用するようにした点が
図1に示す第1の実施形態における変位計測装置1と相違する。他の構成および作用については第1の実施形態における変位計測装置1と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0097】
被検物体Oの変位量に応じた振幅を有する測定光をPD9に入射させるためには、第1のFBG3及び第2のFBG4の各透過光に代えて反射光を利用することもできる。反射光を利用する場合には、反射光を生じさせる第1のFBG3及び/又は第2のFBG4の反射光の波長に対する反射率分布が調整される。
【0098】
図11に例示されている変位計測装置1Dは、フィルタとして機能するる第1のFBG3の反射光が光サーキュレータ7を介してセンサとして機能する第2のFBG4に入射するように構成されている。そのため、第1のFBG3の反射光のスペクトルが、第2のFBG4の透過光のスペクトルとオーバーラップするように、第1のFBG3の反射特性が決定される。
【0099】
また、AFBG8は、ASE光源6と光サーキュレータ7との間に配置されている。すなわち、光サーキュレータ7のポート1にASE光源6が、ポート2に第1のFBG3が、ポート3に第2のFBG4が、それぞれ接続されている。従って、ASE光源6から出力された広帯域の照射光が光サーキュレータ7のポート1に入射し、ポート2から出力される。光サーキュレータ7のポート2から出力された照射光は、第1のFBG3としてのPS-FBGフィルタに入射する。そして、第1のFBG3において反射した反射光が光サーキュレータ7のポート2に入射する。
【0100】
光サーキュレータ7のポート2に入射した第1のFBG3からの反射光は、ポート3から第2のFBG4に照射光として出力される。このため、第2のFBG4に入射する照射光のスペクトルは、第1のFBG3の反射特性に対応するスペクトルとなる。従って、第1のFBG3で反射し、かつ第2のFBG4を透過する透過光のスペクトルは、第1のFBG3の反射率分布と第2のFBG4の透過率分布のオーバーラップ領域に対応するスペクトルとなる。
【0101】
このため、被検物体Oに変位が生じると、変位量に応じて第2のFBG4の透過率分布がシフトし、第1のFBG3の反射率分布と第2のFBG4の透過率分布のオーバーラップ領域が変化する。その結果、第1のFBG3で反射し、かつ第2のFBG4を透過する透過光の振幅は、被検物体Oの変位量に対応する振幅となる。
【0102】
従って、第1の実施形態における変位計測装置1と同様な原理で、被検物体Oの変位量を計測することができる。このため、第5の実施形態における変位計測装置1Dによれば、第1の実施形態における変位計測装置1と同様な効果を得ることができる。
【0103】
尚、第1の実施形態において述べたように、フィルタとセンサの順序は任意である。従って、
図11において、第1のFBG3をPS-FBGセンサ等のFBGセンサとし、第2のFBG4をPS-FBGフィルタ等のFBGフィルタとしてもよい。また、透過光に代えて反射光を利用することができるため、第1のFBG3を透過し、かつ第2のFBG4で反射した光がPD9に入射するように第1のFBG3及び第2のFBG4を配置してもよい。更に、第1のFBG3で反射し、かつ第2のFBG4でも反射した光がPD9に入射するように第1のFBG3及び第2のFBG4を配置してもよい。
【0104】
但し、第1のFBG3及び第2のFBG4の配置方法によっては、被検物体Oの変位量とPD9に入射する測定光の振幅とが非線形の関係になる場合もあり得る。その場合には、非線形の関係にある被検物体Oの変位量と測定光の振幅との間における換算テーブルを予め試験等によって準備したり、任意の関数を用いてフィッティングを行うことにより、測定光の振幅を被検物体Oの変位量に換算することができる。
【0105】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0106】
例えば、上述した各実施形態を互いに組合わせることもできる。従って、透過光又は反射光の波長に対する第1の透過率分布又は第1の反射率分布を有する第1のFBG3と、透過光又は反射光の波長に対する第2の透過率分布又は第2の反射率分布を有する第2のFBG4とを用いて、スペクトルのオーバーラップ領域が被検物体Oの変位量に応じて変化する光学系を構成することができる。この場合、透過光又は反射光の波長に対する透過率分布又は反射率分布が被検物体Oの変位量に応じて変化するPS-FBGを少なくとも含む光学系とすることが感度向上の観点から好適である。
【0107】
そして、検出系5では、被検物体Oの変位量に応じて第1の透過率分布及び第2の透過率分布の少なくとも一方が他方に対して異なる変化量で波長方向に変化する第1のFBG3及び第2のFBG4を経由した照射光の振幅を検出し、第1の透過率分布及び第2の透過率分布の少なくとも一方の変化量に応じて変化する振幅に基づいて被検物体Oの変位量を示す指標を取得することができる。或いは、被検物体Oの変位量に応じて第1の反射率分布及び第2の反射率分布の少なくとも一方が他方に対して異なる変化量で波長方向に変化する第1のFBG3及び第2のFBG4を経由した照射光の振幅を検出し、第1の反射率分布及び第2の反射率分布の少なくとも一方の変化量に応じて変化する振幅に基づいて被検物体Oの変位量を示す指標を取得することができる。