(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続された循環ラインと、前記循環ラインに前記タンクから出てタンクに戻る処理液の流れを形成するポンプと、前記循環ラインに介設されたフィルタと、前記循環ラインを流れる処理液を用いて基板に液処理を施す処理部と、を備えた液処理装置において、前記フィルタを洗浄するフィルタ洗浄方法において、
前記フィルタを前記循環ラインの所定位置に設置した状態で、前記循環ラインの一部のみ、及び前記タンクにフラッシング液を供給することにより、前記フィルタの内部を前記フラッシング液で満たすフラッシング液充填工程と、
前記循環ラインの前記一部及び前記タンクに供給された前記フラッシング液を、前記循環ラインの前記一部または前記タンクに接続されたドレンラインから排出することにより、前記フィルタから前記フラッシング液を抜くフラッシング液排出工程と、
を備え、
前記フラッシング液充填工程において、前記フィルタの内部を前記フラッシング液で満たすことは、前記ポンプを停止した状態で、前記タンク内の前記フラッシング液の液位が前記フィルタの内部空間の頂部の高さ以上となるまで前記タンクに前記フラッシング液を供給することにより行われ、このとき、前記循環ラインのうちの前記タンク内の前記フラッシング液の液位以下の高さの部分のみが前記フラッシング液により満たされる、フィルタ洗浄方法。
前記フラッシング液充填工程及び前記フラッシング液排出工程を少なくとも1回ずつ行った後に、前記タンクに前記フラッシング液を貯留するとともに前記ポンプを稼働させて前記循環ラインに前記フラッシング液を循環させる工程と、
その後、前記フラッシング液の循環を停止するとともに前記ドレンラインから前記フラッシング液を排出する工程と、
その後、前記循環ラインの一部のみ、及び前記タンクに別のフラッシング液を供給することにより、前記フィルタの内部を前記別のフラッシング液で満たす第2フラッシング液充填工程と、
その後、前記循環ラインの前記一部及び前記タンクに供給された前記別のフラッシング液を、前記循環ラインの前記一部または前記タンクに接続されたドレンラインから排出することにより、前記フィルタから前記別のフラッシング液を抜く第2フラッシング液排出工程と、
を更に備えた、請求項1または2に記載のフィルタ洗浄方法。
処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続された循環ラインと、前記循環ラインに前記タンクから出てタンクに戻る処理液の流れを形成するポンプと、前記循環ラインに介設されたフィルタと、前記循環ラインを流れる処理液を用いて基板に液処理を施す処理部と、を備えた液処理装置にフィルタ洗浄方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記フィルタ洗浄方法が、
前記フィルタを前記循環ラインの所定位置に設置した状態で、前記循環ラインの一部のみ、及び前記タンクにフラッシング液を供給することにより、前記フィルタの内部を前記フラッシング液で満たすフラッシング液充填工程と、
前記循環ラインの前記一部及び前記タンクに供給された前記フラッシング液を、前記循環ラインの前記一部または前記タンクに接続されたドレンラインから排出することにより、前記フィルタから前記フラッシング液を抜くフラッシング液排出工程と
を備え、
前記フラッシング液充填工程において、前記フィルタの内部を前記フラッシング液で満たすことは、前記ポンプを停止した状態で、前記タンク内の前記フラッシング液の液位が前記フィルタの内部空間の頂部の高さ以上となるまで前記タンクに前記フラッシング液を供給することにより行われ、このとき、前記循環ラインのうちの前記タンク内の前記フラッシング液の液位以下の高さの部分のみが前記フラッシング液により満たされることを特徴とする、記憶媒体。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、半導体ウエハ等の基板に薬液等の処理液を供給することにより、当該基板にエッチング処理、洗浄処理等の液処理を施す液処理工程が含まれる。このような液処理工程は、多数の液処理ユニットを含む液処理装置により実行される。
【0003】
このような液処理装置においては、各液処理ユニットに共通の処理液供給機構から処理液が供給される。処理液供給機構は、タンクと、タンクから出てタンクに戻る循環ラインを有している。循環ラインに複数の分岐ラインが並列に接続されており、各分岐ラインから対応する液処理ユニットに処理液が供給される。循環ラインには、パーティクル等の汚染物質が液処理ユニットに供給されることを防止するために、フィルタが設けられている(例えば特許文献1を参照)
【0004】
フィルタは定期的に交換される。新しいフィルタが設置された後、タンクにフラッシング液(純水または共洗い用の薬液)が供給され、その後、循環ラインに設けられたポンプが駆動され、循環ラインにフラッシング液を循環させる。循環を継続することにより、循環ラインを流れるフラッシング液中に含まれるパーティクルがフィルタにトラップされ、フラッシング液のパーティクルレベルが徐々に低下してゆく。パーティクルレベルが基準値以下に低下したら、次工程(共洗いまたは薬液処理)に移行する。
【0005】
上記の循環時にパーティクルレベルがなかなか基準値以下に低下せず、次工程に移行するのに時間がかかっていた。その原因を解析したところ、新品のフィルタ内部にパーティクルが含まれており、このパーティクルがフラッシング液を循環させる際に循環ラインに流出し、循環ライン及びタンクを汚染していることがわかった。しかしながら、新品のフィルタ内部に含まれるパーティクルを完全に無くす手法はまだ確立していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フィルタ内部に存在しうる汚染物質の循環系への拡散を最小限に抑制しつつ、フィルタを循環ラインの所定位置に装着した状態でフィルタを洗浄する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
好適な一実施形態において、本発明は、処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続された循環ラインと、前記循環ラインに前記タンクから出てタンクに戻る処理液の流れを形成するポンプと、前記循環ラインに介設されたフィルタと、前記循環ラインを流れる処理液を用いて基板に液処理を施す処理部と、を備えた液処理装置において、前記フィルタを洗浄するフィルタ洗浄方法において、前記フィルタを前記循環ラインの所定位置に設置した状態で、前記循環ラインの一部のみ、及び前記タンクにフラッシング液を供給することにより、前記フィルタの内部を前記フラッシング液で満たすフラッシング液充填工程と、前記循環ラインの前記一部及び前記タンクに供給された前記フラッシング液をドレンラインから排出することにより、前記フィルタから前記フラッシング液を抜くフラッシング液排出工程と、を備えたフィルタ洗浄方法を提供する。
【0009】
他の好適な一実施形態において、本発明は、処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続された循環ラインと、前記循環ラインに前記タンクから出てタンクに戻る処理液の流れを形成するポンプと、前記循環ラインに介設されたフィルタと、前記循環ラインを流れる処理液を用いて基板に液処理を施す処理部と、を備えた液処理装置であって、前記液処理装置の動作を制御する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記フィルタを前記循環ラインの所定位置に設置した状態で、前記循環ラインの一部のみ、及び前記タンクにフラッシング液を供給することにより、前記フィルタの内部を前記フラッシング液で満たすフラッシング液充填工程と、前記循環ラインの前記一部及び前記タンクに供給された前記フラッシング液を、前記循環ラインの前記一部または前記タンクに接続されたドレンラインから排出することにより、前記フィルタから前記フラッシング液を抜くフラッシング液排出工程とを備えたフィルタ洗浄方法を実施するためのプログラムを格納する記憶部を有し、前記制御装置が前記プログラムを実行することにより前記フィルタ洗浄方法が実施されることを特徴とする、液処理装置を提供する。
【0010】
さらに他の好適な一実施形態において、本発明は、処理液を貯留するタンクと、前記タンクに接続された循環ラインと、前記循環ラインに前記タンクから出てタンクに戻る処理液の流れを形成するポンプと、前記循環ラインに介設されたフィルタと、前記循環ラインを流れる処理液を用いて基板に液処理を施す処理部と、を備えた液処理装置に上記のフィルタ洗浄方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルタに洗浄用のフラッシング液を供給する際に、循環ラインの一部のみにしかフラッシング液が供給されないので、フィルタ内部に存在する汚染物質の拡散範囲を制限することができる。このため、フィルタ交換後、短時間で汚染物質レベルを許容範囲までに低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1に示すように、液処理装置は、基板に対して液処理を行う複数の処理ユニット(液処理ユニット)16と、処理ユニット16に処理液を供給する処理流体供給源70を有している。
【0015】
処理流体供給源70は、処理液を貯留するタンク102と、タンク102から出てタンク102に戻る循環ライン104とを有している。循環ライン104にはポンプ106が設けられている。ポンプ106は、タンク102から出て循環ライン104を通りタンク102に戻る循環流を形成する。ポンプ106の下流側において循環ライン104には、処理液に含まれるパーティクル等の汚染物質を除去するフィルタ108が設けられている。必要に応じて、循環ライン104に補機類(例えばヒータ等)をさらに設けてもよい。
【0016】
循環ライン104に設定された接続領域110に、1つまたは複数の分岐ライン112が接続されている。各分岐ライン112は、循環ライン104を流れる処理液を対応する処理ユニット16に供給する。各分岐ライン112には、必要に応じて、流量制御弁等の流量調整機構、フィルタ等を設けることができる。
【0017】
液処理装置は、タンク102に、処理液または処理液構成成分を補充するタンク液補充部116を有している。タンク102には、タンク102内の処理液を廃棄するためのドレン
ライン118が設けられている。
【0018】
図2に示すように、液処理装置は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、液処理装置において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって液処理装置の動作を制御する。
【0019】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0020】
次に、
図2を参照して、フィルタの交換及び洗浄の手順について説明する。下記の洗浄の手順は、当該手順を実行するために組まれたプログラムがインストールされた制御装置4の制御の下で自動的に行うことがでできる。これに代えて、オペレータが液処理装置をマニュアル操作することにより、下記の洗浄の手順を実行することもできる。
【0021】
図2に示す例では、
図1に示した構成に加えて、ポンプ106とフィルタ108の間にヒータ109が介設されている。
図2では、液処理装置の構成要素間の高さ関係が示されている。多くの液処理装置では、タンク102、ポンプ106、フィルタ108の高さ関係が実際に
図2に示すようになっている。フィルタ108の内部の頂部の高さ(詳細には、実際使用時に液で満たされるフィルタ108の内部空間の最も高い位置の高さ)は、タンク102の通常最高液位よりも低い。「通常最高液位」とは、液処理装置の通常運転時において許容される最高液位を意味し、タンク102の内部空間が液で隙間無く完全に満たされる時の液位よりも低く、例えば
図2(d)、
図2(g)に示す液位である。
【0022】
なお、図示した液処理装置ではタンク液補充部116が、後述の第1及び第2フラッシング液を供給する機能を有しているため、フラッシング液供給部としてタンク液補充部116を用いるが、タンク102内にフラッシング液を供給する専用の(タンク液補充部116とは別の)フラッシング液供給部を設けることもできる。
【0023】
まず、所定時間の使用を終えたフィルタ(図示せず)が取り外され、
図2(a)に示すように、新しいフィルタ108が循環ライン104に設置される。このとき、フィルタ108は液処理装置の実際運転時と同じ状態で循環ライン104に設置される。すなわち、フィルタ108が循環ライン104に接続されるだけでなく、エア抜き用のポート108a,108b及びドレン用のポート108c,108dも、対応するエア抜き用のライン及びドレン用のライン(いずれも図示せず)に接続されるということである。
【0024】
[第1フラッシング液充填工程]
次に、
図2(b)に示すように、ドレンライン118に設けた開閉弁119(
図1には図示されていない)を閉じた状態で、開閉弁117(
図1には図示されていない)を開いてタンク液補充部116からタンク102内に第1のフラッシング液としての純水(DIW)をフィルタ108の内部の頂部の高さよりも高い所定液位(図示例の場合、前述した「通常最高液位」より低い液位でよい。)まで注入する。こうすれば、タンク102内のフラッシング液の水位と、フィルタ108内のフラッシング液の水位が平衡するので、フィルタ108の内部空間が、完全にフラッシング液により満たされる。このときポンプ106を動かす必要はない。またこのとき、循環ライン104は、タンク102内のフラッシング液の液位と同じ高さに対応する位置までフラッシング液で満たされる。
【0025】
[第1フラッシング液排出工程]
次に、
図2(c)に示すように、ドレンライン118の開閉弁119を開く。するとタンク102の底壁に接続されたドレンライン118から、
図2(b)に示されている全てのフラッシング液がドレンライン118から排出される。このとき、フィルタ108を満たしていたフラッシング液が、循環ライン104に流出し、ヒータ109及びポンプ106を順次介してタンク102に流入し、ドレンライン118より流出する。このフラッシング液の流れに乗って、フィルタ108内に存在していたパーティクルがドレンライン118より流出する。
【0026】
上記のフラッシング液充填工程及びフラッシング液排出工程は、交互に複数回、例えば10回ずつ実行される。これにより、フィルタ108内にもともと存在していたパーティクルの大部分がドレンライン118に流出する。フィルタ108内にもともと存在していたパーティクルの一部は、フィルタ108内、あるいは、循環ライン104をなす管の内壁面、ポンプ106及びヒータ109の内部の流路内壁面、及びタンク102の内壁面にわずかに残る可能性はあるが、その量は非常に少ない。
【0027】
[第1フラッシング液循環工程]
最後のフラッシング液排出工程が終了した後、ドレンライン118の開閉弁119を閉じ、
図2(d)に示すように、開閉弁117を開いてタンク液補充部116(
図1参照)からタンク102内にフラッシング液としての純水を注入するとともに、ポンプ106を稼働させ、フラッシング液を循環ライン104内に循環させる。このとき、タンク102内のフラッシング液の液位は、例えば前述した通常最高液位とする。所定時間フラッシング液を循環させた後、ポンプ106を停止するとともにドレンライン118の開閉弁119を開く。これにより、タンク102、循環ライン104及び循環ライン104に設けたポンプ106及びヒータ109等の各種機器の内部にあるフラッシング液が、ほぼ全てドレンライン118より流出する。これにより、タンク102及び循環ライン104を含む循環系に残留していたパーティクルが減少する。この第1フラッシング液循環工程では、ヒータ109に通電してフラッシング液を昇温させることが好ましい。
【0028】
[第2フラッシング液充填工程]
次に、
図2(e)に示すように、ドレンライン118の開閉弁119を閉じた状態で、開閉弁117を開いてタンク液補充部116からタンク102内に第2のフラッシング液としての処理液(これから基板の処理に使用しようとしている処理液、例えば薬液)をフィルタ108の高さよりも高い所定液位まで注入する。このときポンプは動かす必要はない。これにより、フィルタ108の内部空間が、完全にフラッシング液により満たされる。また、循環ライン104は、タンク102内のフラッシング液の液位と同じ高さの位置まで満たされる。第2フラッシング液充填工程は、供給される液の種類以外は、第1フラッシング液充填工程と同じである。
【0029】
[第2フラッシング液排出工程]
次に、
図2(f)に示すように、ドレンライン118に設けた図示しない開閉弁を開く。するとタンクの底壁に接続されたドレンライン118から、
図2(e)に示されている全てのフラッシング液が排出される。このとき、フィルタ108を満たしていたフラッシング液が、循環ライン104に流出し、ヒータ109及びポンプ106を順次介してタンク102に流入し、ドレンライン118に流出する。第2フラッシング液排出工程は、排出される液の種類以外は、第1フラッシング液排出工程と同じである。
【0030】
第2フラッシング液充填工程及び第2フラッシング液排出工程は、タンク102及び循環ライン104を含む循環系に存在していた第1のフラッシング液としての純水を処理液で置換する工程である。第2フラッシング液充填工程及び第2フラッシング液排出工程は、少なくとも各一回行えばよい。以上により、フィルタ交換に付随する一連の手順が終了する。
【0031】
その後、ドレンライン118に設けた図示しない開閉弁を閉じ、
図2(g)に示すように、タンク液補充部116からタンク102内に処理液(第2のフラッシング液と同じ液)を注入するとともに、ポンプ106を稼働させ、フラッシング液を循環ライン104内に循環させる。このとき、タンク102内のフラッシング液の液位は、例えば前述した通常最高液位とする。この状態を所定時間続けた後、パーティクルカウンター等により処理液中のパーティクル数のチェックを行い、問題がなければ、分岐ライン112を介して処理ユニット16に処理液を供給し、基板の処理を行うことができる。
【0032】
上記の実施形態によれば、新品のフィルタ108内にパーティクルが存在していたとしても、処理液の循環開始から短時間で処理液中のパーティクルを非常に低いレベルに抑えることができる。これにより、フィルタ交換に伴う装置の停止時間を短縮することができ、装置のスループットを向上させることができる。
【0033】
上記実施形態とは対照的に、フィルタ108の交換後直ちにフラッシング液をタンク102及び循環ライン104を含む循環系に循環させると、もともとフィルタ108内にあったパーティクルが循環系全体に拡散してしまうことになる。一旦循環系全体に拡散したパーティクルは、フラッシング液を循環させてフィルタ108を通すことによりフィルタ108によって捕捉するしかない。パーティクルは循環液中だけに存在しているわけではなく、流路壁面に対して付着/離脱するので、パーティクルレベルを許容範囲内までに低下させるには非常に時間がかかることになる。上記実施形態では、第1フラッシング液充填工程及び第1フラッシング液排出工程において、循環系のフラッシング液に触れる領域を制限することにより、パーティクルの拡散範囲を大幅に制限する。このため、一旦循環系内に拡散したパーティクルをフィルタ108によって捕捉するために必要な時間を大幅に低減することができる。
【0034】
上記の実施形態においては、フィルタ108の内部の頂部の高さがタンク102の通常最高液位よりも低かった。実際のところ多くの実際の液処理装置ではこのようになっているが、装置レイアウトの都合でフィルタ108の内部の頂部の高さをタンク102の通常最高液位よりも高く設定することも考えられる。このような場合における交換直後の新品のフィルタの洗浄手順について、
図3を参照して説明する。
図3は液処理装置の各構成要素の実際の高さ関係を示しているものとする(Hが高く、Lが低い)。
【0035】
図3に示すように、フィルタ108がタンク102よりも高い位置にある場合、第1フラッシング液充填工程及び第1フラッシング液排出工程は以下のようにして行う。
【0036】
フィルタ108の下流側において、循環ライン104に排液ライン120を接続する。排液ライン120には開閉弁122を設ける。排液ライン120の接続点よりも下流側において、循環ライン104に開閉弁124を設ける。排液ライン120に適度な流れ抵抗が設定されていることが好ましく、この目的のため、開閉弁122の上流側において排液ライン120にオリフィス(図示せず)が設けられているか、あるいは、排液ライン120の流路断面積が循環ライン104の流路断面積よりも小さくなっている。
【0037】
第1フラッシング液充填工程においては、ドレンライン118の開閉弁119を閉じ、排液ライン120の開閉弁122を開き、循環ライン104の開閉弁124を閉じた状態で、タンク液補充部116からタンク102内にポンプ106の空打ちが生じない程度の量のフラッシング液(例えば純水)を注入し、ポンプ106を稼働する。
【0038】
すると、タンク102内のフラッシング液が循環ライン104を流れフィルタ108に流入し、排液ライン120に流出する。排液ライン120に適度な流れ抵抗が設定されているため、フィルタ108の内部空間の最も高い位置までフラッシング液が迅速に充填される。
【0039】
フィルタ108内全域にフラッシング液が充填されたら、ポンプ106を停止し、ドレンライン118の開閉弁119を開く。これにより、第1フラッシング液排出工程が行われる。すなわち、フィルタ108内にあるフラッシング液、循環ライン104内にあるフラッシング液、タンク102内にあるフラッシング液が、ドレンライン118から(一部は排液ライン120から)流出する。このフラッシング液の流れに乗って、フィルタ108内に存在していたパーティクルがドレンライン118(一部は排液ライン120)に流出する。
【0040】
図3の構成を用いる場合も、第1フラッシング液充填工程及び第1フラッシング液排出工程を交互に繰り返すことが好ましい。第1フラッシング液循環工程は、開閉弁119、122を閉じ、開閉弁124を開いた状態で、タンク液補充部116からタンク102内にフラッシング液としての純水を注入するとともに、ポンプ106を稼働させ、フラッシング液を循環ライン104内に循環させることにより実施することができる。第2フラッシング液充填工程及び第2フラッシング液排出工程は、フラッシング液として処理液(例えば薬液)を用いて、上記の第1フラッシング液充填工程及び第1フラッシング液排出工程と同じ手順により実施することができる。
【0041】
図3の実施形態では、
図1及び
図2の実施形態と比較すると、第1フラッシング液充填工程においてパーティクルが拡散する範囲が広くなる。それでも、排
液ライン120の接続点よりも下流側の循環ライン104と、タンクの上部領域がパーティクルにより汚染されずに済む。このため、フィルタ108の交換後直ちにフラッシング液をタンク102及び循環ライン104を含む循環系に循環させた場合と比較すれば、パーティクルレベルを許容範囲内に低減するために必要な時間を短縮することができる。